北アルプス 池ノ谷ゴルジュ、剱尾根、チンネ

1997年8月9日~13日
瀧島、中嶋(記)、森広、石原

当初の計画では池の谷ゴルジュから剣尾根、チンネを登るというもの。

8月8日

秋津駅に集合、関越回りで魚津インターまで。R8沿いのコンビニで最後の買い出しをし馬場島を目指す。滑川から行こうとしたが「通行止め」の表示があったので上市経由に変更。しかし途中ではまる。2時頃にあきらめてテントを張る。

8月9日 曇り(台風が日本海にいた)

明るくなればこっちのもので馬場島まではスムーズに着いた。白萩にかかる橋の手前に車を止める。さて、池の谷の入り口までばか丁寧に水通しに行って結構時間がかかる。入り口から最初の滝までは10分ほど。昔の記録で最初にザイルを出しているところはうまくクリアできる。入り口の滝は50mまるまる、岩がぼろぼろなのでノーピンになってしまう。ハーケンを2枚打ってビレー点にし、下降用のボルトまで打つ。ここから懸垂30mでゴルジュを見通せるところに降りられる。どう見ても絶望的というか、行く気のおきないゴルジュが展開していて、満場一致で記念写真をとって小窓経由で上部に行くことに決定した。この日は池の谷に入ってすぐの岩小屋で泊まる。

ちなみに池の谷に入るのに足をぬらさずに済む道が、取水堰のところからばっちりついている。

8月10日 曇りのち雨

雪渓登りから始まる。私だけアイゼンがなかったが登りはなんとかなった(下りは相当苦労したが)。R10とおぼしきところから登りはじめるが、道が安定していず結構悪い。夏はあまりトレースされていないようだ。尾根の上にでた頃から雨が降り始める。雨宿りを兼ねて山用語限定しりとりをし、これに負けた森広さんを先頭に進む。ここからの薮こぎもかなり大変、トポではコルCまでロープを出すところはないが、2ピッチ分真面目にロープを出した。何度もコルCだと思っていた場所があったが、この日は結局コルCには着いていなかった。不意にナイスなテン場が現れたので、天気が悪かったこともあり迷わず行動中止。

8月11日 雨のち晴れ

朝からけっこうな雨。10時頃までたっぷりと眠る。小やみになってから意を決して出発。結構登ってからようやくコルCにでて快適なクライミングを開始した。岩は濡れていたが堅いのでそれなりに快適であった。フリーではあと一歩で行けなかった。このあとほどなく門が見えてくる。写真で何回も見ていたが思った以上に大きくかっこいい。

思い出すだけで震えるくらい。此のピッチもリードさせてもらう。かぶり気味をクラックを使ってのっこし、左上するフレークに掴まっていく。極めて面白い。次の1ピッチで門は終わり、脆くて思ったより悪い。このあと剣尾根の頭まで何回かロープを出した。トポではやたら易しそうだがそんなことはなかった。でも天気も良くなってきていたし、馬場島を見下ろすロケーションは最高だった。三の窓に着く頃は真っ暗だったが水が取れたので一安心。水汲みはかなり恐かった。

8月12日 晴れ・にわか雨

寝たのが遅かったので、朝はけっこうのんびり。ガスがかかっていたのであわてる気もしなかった。ガスがあがって左稜線の取り付きが見えたので出発、先行パーティが1組。ピナクルまで、最初の2ピッチほどは4級とかにしては少し悪く感じた。浅い縦クラックが多い。ピナクルから1ピッチ快適なフェースを登ると歩きが3ピッチくらい続く。T5から先はかなりかっこいい岩稜が迫ってくる。5級というので気合いを入れていくが、岩が堅くホールドも良いので4級上くらいに感じる。もちろんかなり楽しいピッチではあった。あとは適当にリッジを行けばおしまい。所用時間4時間。

一度テントに戻ってお茶を飲んで一服してからお代わりをしにいく。私と石原パーティが北=新から上を適当に、瀧島、森広パーティが魚津高ルートから適当に。北=新は下手な先行パーティがいたため相当待った。難しいのは3ピッチ目の途中10m程で、5級とはいいながら岩が相当脆く、フリーではとても行けなかった。あまりいいルートではない。

魚津高のほうが岩の弱点を縫っていて面白そうだ。上部を登っているときににわか雨が来て、一時はどうなることかと思った。

8月13日 曇り

池の谷を下る。私だけアイゼンをしていなかったので下りには時間をかけさせてしまった。所用時間5~6時間ほど。

下山後のメニュー
魚津で寿司、温泉(何故か古本屋)ikenotan2ikenotan3

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瑞牆山 小ヤスリ岩 ファーストワークス

1997年7月19日~7月20日
細田、中嶋(記)、畠中

18日夜、柳瀬川集合、関越周りで瑞牆に向かう。アプローチの沢の出合いにテントを張る。

19日 晴れ

宴会が長引いたのでかなり遅くまで寝ていた。もっともこの日は上でビヴァークの予定だったので焦らなかった。十一面のアプローチのガレ沢に入らず北沢をひたすら詰め、取り付きを探す。岩雪169号の初登の記録では岩のどの面にルートが引いてあるのか解らないので、周りを偵察しまくった。北面は薮が多そうなので西面と南面を重点的に探したが、記録にある「いちばん右端にある左上クラック」が見つからなかった。西面の中央に走る直上するクラックがもっともきれいで登り易そうに見えたので、意を決してエイドアップをはじめた。

1P目、AA1 40m
キャメロットの#2?3ではじまり、#5が使えるところもあった。一部フリーもまじえ、最後に”広いテラス”に乗りあがったときはなかなかの感動。うまい人ならこれくらいのクラックはフリーで登ってしまうのだろう。

2P目、4級 10m
初登時の記録にある”広いテラス”から、3ピッチ目の凹角までのトラヴァース。広いテラスというのは本当に広くて、途中に岩の衝立を挟んで六畳二間くらいに感じた。

3P目、4級 AA1 15m
脆いクラックをエイドアップしていく。岩がしっかりしていればフリーで行けそうに見える。リードした細田によれば、脆いが技術的にはAA1位とのこと。狭いトンネルをくぐって4ピッチ目取り付きのテラスへ。この時点で17時近かったのでここまでとしロープをフィックス。六畳二間のうちの一間にシュラカバに潜って雑魚寝、酒をあげてあったので非常に気もちの良いビヴァークとなった。

4P目、オフィズス? ボルトラダー 25m
オフィズスは初登記録では10aだが、こういうのは初めてだったのでどのくらい難しいのかさっぱり解らなかった。とてもおっかなかったのは確かで、キャメの#5が役に立った。もちろんテンションかけまくりでした。続くボルトラダーはらくちん、とにかく初登者の方に感謝です。

頂上は思ったより広く、十畳位に感じた。岩茸がいっぱい。下降中、広いテラスから北面に懸垂支点があって、初登時の1ピッチ目が北面にあることが解った。初登時のものの方が、クラックが浅く、泥やコケが付いていて難しそうに見えた。

このルートは全4ピッチと短いが、その分私のようなエイド初心者の練習にはもってこいだと思う。そうでなくても、雄々しく突っ立っている岩塔小ヤスリの上に立てるのだから、かなりお買得なルートだ。

 

 

丹沢 玄倉川女郎小屋沢~小川谷廊下下降

1997年7月6日
瀧島、中嶋(記)、水柿、他

前の晩に谷峨の駅で浅野夫妻と待ち合わせ、谷峨の駅前にはまったく店がない。

6日 快晴

ザンザ洞の予定だったが、ユーシン方面の林道にゲートができてしまったためルート変更。天気も最高にいいので積極的に水に入れる女郎小屋と小川谷にした。車を小川谷の林道の途中に止めて、女郎小屋出合いはしょぼめで解りづらい。堰堤を2つほど越えるとそれらしくなってくる。ほとんどの滝は激しいシャワークライムで直登できる。シャワーのせいでホールドを探すのが大変、程々に難しい。浅野かみさんが、落石が顔に当たってしまいかわいそうだった。野猿柵はなんだか解らないうちに終わってしまった。詰めはまったく薮をこがなくて良い。

コルにでたらそのまま東沢の支流に当たる沢を下りはじめる。かなり急で岩も出ていて悪かったが、みんなそつなく降りてきていた。東沢本流までは10分もないくらい、そして小川谷の本流までも数十分。小川谷の終了点には遡行を終えた人がたくさん、そのなかをはしゃいで下っていくのは愉快だった。後はいつもの通り、奇声ををあげて滝壷に飛び込んだり、デンジャーなウォータースライダーを楽しんだ。懸垂は2回。残念だったのは5mの美瀑の滝壷がしょぼくなっていたこと、あそこに飛び込むのが一番迫力があったのに。町では異常に暑い日だったようだが、私達には関係なかった。なんだかプールで遊びすぎた後の疲労感に似たものがあった。中川の方でそば屋に入ってとろろそばを食べた。無茶苦茶うまかった。浅野夫妻には今度鳳来を案内してもらおう。インスタント煮込みうどんが楽しみだ。

 

 

奥多摩 盆堀川棡葉窪、三郎ノ岩道窪

1997年6月28日
中嶋(記)、宮島、板橋

大洞川井戸沢の予定だったが、日曜に台風が来るということで小常木に変更。中央道、塩山経由で柳沢峠を越え三条新橋でテントを張る。勝沼インターから三条新橋までは真っ直ぐ行けば1時間くらい。意外と近い。ビールを飲んで3時頃寝る。

28日

朝から時折雨がパラついていたので小常木もやばいということになり、こういうときでもないといかなそうな盆堀の沢に行くことになる。車で青梅まで下って盆堀についたのが10:00。

車は棡葉窪の出合いまでしか入れない事になっている。はじめに一番手前の棡葉窪を登る。全くの空荷で、共同装備は車のキーと時計くらい、

何をしに行くのか判らない風体だ。既に雨が降り始めていた。相当つまらないがはしゃぎながら登っていく。一応ちょっとした滝やゴルジュがある。こんな所に先行パーティがいたのには驚いた。30分もかからずに登攀終了、仕事道を下る。仕事道の途中、急に視界が開けたので宮島さんと「うおー」と叫んだら、すぐ近くに林業の人がいて驚かせてしまった。

車に戻ってトポを確認してすぐにお代わりをしに行く。伝名沢三郎ノ岩道窪、出合いからかなりの間はかなりつまらない河原歩き。クモの巣を払う棒を持ってガキの散歩のようにして進む。堰堤を3つほど越えてから急に沢は楽しくなってくる。直登できるそこそこに楽しい滝が連続する。大滝は思った以上にでかく、巻きもそれなりに手こずった。後は薮しか無いというところで、右の尾根にでた。踏み跡を拾っていくと棡葉窪の下降路と同じ所にでた。 とにかくずっと雨の中だったので全身ずぶぬれ、服をぬらしたくないので裸のまま3人で車に乗って数馬の温泉に向かった。数馬の温泉は五日市から車で30分はかかる。けっこう遠い。夕飯は彦バン。

 

 

足尾 ウメコバ沢中央岩峰

1997年6月21日~6月22日
瀧島(記2)、板橋(記1)、水柿

【記1】

ウメコバ沢の出合までは、車止めのゲートからジャンダルムや黒沢を見ながら1時間ほどの歩き。ウメコバ沢出合にテントを張って、中央岩峰へ。松木沢の徒渉は、要サンダル、F1.F2は固定ロープあり。踏跡をたどり中央岩峰に基部まで出合より45分。

中央岩峰左岩壁右岩稜チコちゃんルート 9P Ⅳ+

1P目は、右岩稜上の枯木をめざしロープを伸ばす。2P-4Pは岩稜上を適当に登る。5P目の御大の岩場といわれる核心部は、左の松島クラックⅣ+は、キャメロットをかまして登る。あとは頭まで適当に登る。

御大の岩場以外はⅢ級程度(あえて登るならいくらでも難しくできます)ですが、残置の類はほとんどないので(ビレイ用も)ご用心。各種ハーケン・ナッツ・キャメロット等は、感動するぐらいよく利きます。ナチプロの練習にはよろしいかと。

中央岩峰正面壁凹角ルートダイレクト 6P Ⅴ+

4時間以上かかった

1P・2PともにⅤ級程あり、残置ハーケンは腐り切っていてドキドキグレードが高い。エイリアン、キャメロットでランニングをとる。3P目のダイレクトの核心はスベリ台状の細かいフェースで、残置は沢山あるが、ギアが重く、チンドン屋状態の私にはかなり辛い。Ⅴ+になっているが10a以上に感じた。

4PもⅣ+程をエイリアンをセットしながら登り、砕石帯へ。(落石要注意)あとは頭に向かって適当に登る。Ⅲ程度

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中央岩峰の下降は、頭から10メートルほど左岩稜方面に歩き、コルに突き上げるルンゼ目指して右斜めへブッシュの中をクライムダウン、さらにルンゼを下降し、懸垂下降40メートル。(支点あり)あとは歩いて降りれます。

中央岩峰に関しては、岩は硬いが、残置ハーケンは、鉱毒の影響なのか、ほとんど腐っているので、ナッツ・フレンズ類は1セット、ハーケン5枚程度あるといいと思います。よく利きます。飲料水はどこでもとれます。

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【記2】

89年の秋に日帰りで2回松木に入った。宇都宮の水口の案内で、中央岩峰の凹角ルートをトレースした。近くて気に入った岩場なので3週間後にもう1度同じルートを登ってしまった。殺伐としてはいるが、静かで岩も想いのほか固く楽しめる。その後8年間も無雪期の松木に向かわなかったのはなぜだか自分でもよく分からない。

8年ぶりの無雪期の松木沢は草木がずいぶんと茂って前回に受けた荒涼、殺伐とした地獄の世界といった印象はない。岩と緑がうまく調和していて気持ちの休まる山に変わっていた。

6月21日 快晴

ゲートから1時間ほどでウメコバ沢の対岸につき、テントを張る。昨日までの台風で水量は多くアプローチには苦労しそうだ。ウメコバ沢に入り中央岩峰までの滝はどれも左岸から簡単に超えられる。正面に凹角ルートは、はっきりと分かる。昼近くになったのでやさしいと思われる右岩稜ルートに取り付いた。トップはすべて板橋。ゲレンデの右端を1ピッチ(Ⅳ)で稜上に出る。稜上を3ピッチ(Ⅱ~Ⅴ)で垂壁のクラックのしたについた。クラックは25m Ⅴ 級、その後稜上を2ピッチ(Ⅱ~Ⅳ)で肩に出た。対岸のチャンピオン岩稜もすごい迫力だ。ビレー点を15m程移動してヘッドウオールの快適な2ピッチ(Ⅲ+)登ると頂上だった。中央岩峰の入門ルートで楽しいクライミングができた。頂上からの下降路は裏側のルンゼを30mほどクライムダウンした所に懸垂支点があるが、ここまでの下りは慎重に。40mの懸垂下降で歩けるルンゼに降りられる。

テントに戻るとすぐに暗くなり、後は貸し切りの広い河原で酒もたっぷりある楽しい夜を過ごした。

6月22日 晴れ

今日は凹角ルートに向かう。水量はかなり減った。3回目のトレースになるわけだ。かって知ったルートのはずが、1ピッチ目からやたらと悪い。自分の実力が落ちたのか、それともルートが変わったのか、残置もかなり減ったように思えた。前ピッチ中、すべてにⅤ級以上を感じてしまった。自分のからだが完全になまってしまって、やたらと難しく感じたのだろう。

少し早いが、1本で上がることにした。ほかのルートの偵察をして明るいうちに、ゲートの車に戻った。次回はみんなを連れてきて、合宿でもしようと思う。

 

 

妙義山 ホトケ沢~並木沢下降

1997年6月15日
桜井、中嶋(記)、宮島、板橋、水柿

14日工事渋滞がひどく、着いたのは結構遅かった。寝たのは3時頃。

15日

特筆すべき事として、ホトケ沢が、沢のトポと概念図とエアリアと地元名によって異なるということ。おかげでどれを登るかで結構考えてしまった。ホトケの出合いは貧弱で水もない。しかしすぐに水がでてきて楽しめる滝が連続して現れる。後はひたすらそんな感じ。

柱状節理が発達しているところでは、滝はかなりきれいというか面白い形になる。ほとんどが直登でき、もしくは簡単に巻ける。わたしと宮島さんは巻いてしまった滝を他はザイルを出して登るなんて事もあった(20m大滝)。そこから始まるナメはだんだん傾斜が増していって、仕舞には恐くなって尾根に入ってしまう。大汗をかいて稜線にでた。谷急の頂上はまあまあの景色、でも天気がそれほどさえなかった。並木の下降点にはテープがあった。必要ない。ギリギリで下れる滝が何回かあって楽しめる。懸垂は2回。30m大滝は予想以上の迫力でかっこよかった。下降は結構悪かったけど。ホトケと比べると並木はかなり迫力があったきれいだと思った。途中のゴーロが残念だけど。登山道からはあっという間に民家の裏にでる。かなりの里山でした。

 

 

西沢渓谷 西のナメ遡行~アザミ沢支流下降

1997年6月7日
中嶋(記)、宮嶋

6日の夜にいつものように綱島に集合。八王子で水柿を拾うはずだったが、結局拾えなかった。先週に続いての西沢渓谷なのでスムーズに行けた。車で快適に寝る。

7日

やはり朝はゆっくり。山の神までは一気に行く。ホラの貝の突破は厳しそうだ。御築江、乙女、東ナメと美しい花崗岩の出合いを通り過ぎて、西ナメの出合いに着く。ちなみにスラヴ大賞は東ナメだった。西ナメはいきなりワイヤーがかかっているのが興ざめだ。私は運動靴のまま、宮島さんはラバーで登りはじめる。ちょうど良い傾斜で快適に登れる。2段40mは結局ワイヤーのごぼうで登ってしまったが、かなりおっかなかった。途中ワイヤーが動いた。かなりやばいと思う。

ここまで一気に来てしまったが、ここできれいなナメは終わりだった。もっと味わって登るべきだったのかもしれない。この後小さい滝が続いて、急に樹林の中の静かな沢に変身する。それはそれで良い雰囲気だった。途中からずっと赤テープがうるさいくらいあって、ちょっと腹立たしかった。石塔尾根は薮が多くほとんど展望は利かない。とは言っても反対側は良く見える。適当にアザミ沢めがけて降りはじめる。もっと良い踏み跡があったのかもしれないが、悪いところはなかった。途中からは里山の中の小川下りという感じで、これまた、それはそれで良い雰囲気だった。林道には意外なほどあっけなくでた。

林道にでてしまえば山行は半分終わった気になってしまう。しかしこれが大きな罠で此の後西沢本流の沢下りをやらされることになる。地形図の登山道はまったく存在を確認できなかった。いい加減沢を下ったところでゴルジュになってきて困難な雰囲気になったので、枝沢をかなり登って軌道跡にでた。道として使えなくはないが、結構スリリングだった。軌道が空中を走っていたりして。この道は途中から急に整備され、トロッコの歴史を書いた看板があったりする。

 

 

唐沢岳幕岩 大凹角状ルート

1997年6月5日~6月6日
大滝(記) 、森広

5日

6:30七倉ゲート出発

7:20高瀬ダム

8:30金時の滝左高巻き終わり

9:40大町の宿(幅12m奥行き5m 水あり フライシート不要でツェルトも吊り下げて張れる)

10:50取り付き

1P3級 部分的に濡れていて怖い。

2P3級 個々も少し濡れていて怖い。

3PA1、4級 洞穴上をトラバースしていたらフレーク状の大きなスタンスが剥がれ大落石となって取り付き及びアプローチのルンゼに落ちていった。(登る人もアプローチ中の人も要注意)。

4P4級 ボサテラスより左へのトラバースが怖くA0にする。

5P4級 緩く開いたジェードルだが窪みの部分がずうっと濡れていて怖い。乾いていれば快適そう。

6P3級 傾斜の緩いスラブだがピンが2本のみなのでじっくり進む。

7P2-3級 容易な草付き。

8PA1 ここはA1フェースの基部でピッチを切ったほうがスムーズになる。

9P4級 快適にスラブっぽく左上。

10P4級A1 あぶみでチムニーを快適に右上(ピン多い)回り込んだ所はテラスになっていて、大きな岩のブロックが積み重なっている。微妙に前傾っぽいここをフレンズ1ハーフを噛ませて岩の縁を掴んで登るがぐらりと動きそうで怖い。このピッチが一番面白く感じた。最後のルンゼに入る前にザイルの流れを考えて木でピッチを切る。

11P 緩い泥ルンゼを15m、最後右に出て終了。そこが右稜の頭。

16:0024度C

踏み跡を15m下ってドーム壁の落ち口に立つ。懸垂下降で右稜のコル到着。

18:00

6日

朝からガスが濃く、岩も濡れているし午後雨がふるらしいため下山。

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・アプローチの唐沢は怖い。

・残雪はA沢とワシの滝との間にあったが通過に支障はなかった。

・B沢には多くの雪がありシュルンドが開いているように見えた。

・正面壁左側のルートは取り付きにくいかもしれない。

・人工の箇所では5、6ヶ所リングなしシュリンゲ代用のボルトがあった。

(誰か打ち替えて下さい。)ハーケンは打たなかった。

以上

 

 

富士山 サミットフォール

1997年5月31日~6月1日
森広(記)、板橋

吉田口から火口壁にに出て、火口をのぞくとそれらしい氷瀑が見える。銀名水へ向かって火口の縁を歩きながら観察する。登るラインは何通りか取れそうだが、特に上半分は不安定に見える。31日は銀名水付近に泊まり、1日に火口の中に降りる。

1日は快晴。気温が上がってくると雨のように水が滴ってくるし、細かい氷片や石まで落ちてくる。左寄りは氷が薄く、氷柱も細い。中央は下まで達しないので、右寄りから登る。一段登って岩の凹角の下から氷柱に取り付くが、正面は壊れて登れなくなったので、左に回り込む。傾斜の緩いところには中途半端に固まったザラメ雪が載っているので、バイルはあまり効かない。ザラメ雪の下には氷があるはずだが、とどかない。スクリューもほとんど効いていないようだ。腕よりも細い氷柱は触れるだけで折れてしまう。

下部はそれでも太めの氷柱があるが、傾斜の強くなる上部は細い氷柱しかない。近くで見るととても登れるような状態ではない。岩の凹角から登って左にトラバースするとしても、一番氷柱の細い所を通らなければならない。3段ほど登った所から敗退。

ここまで登るには登ったが、降りるのはかなり怖い。板橋君に凹角の下まで登ってきて確保してもらい、慎重にクライムダウン。凹角下から岩にハーケンを打って懸垂下降で戻る。岩は脆くてハーケンの効きもいまいちなので、そっと降りる。

今年は雪が少ないから氷の発達も悪いのか、気温の変化がうまくいかなかったのか、この氷瀑を登るチャンスを捕まえるのは、難しそうだ。

 

 

西沢渓谷 ヌク沢左俣右沢遡行~ナメラ沢下降

1997年5月31日
中嶋(記)、宮島、水柿

30日

21:00綱島集合 翌1:00西沢渓谷

31日

6:00頃からハイカーが賑やかで目がさめる。ヌク沢は出合いの橋に名前が書いてあるのですぐ判る。登山道が横切るまでの1時間ほどはゴーロが多くて単調。そこから先も二股までは最近できた堰堤がいくつかあって腹立たしい。大事な税金を使って勝手にあんな邪魔で汚いものを作るのはやめにできないものかと、沢に来るたびに思う。二股から上はようやくナメ滝も多くなってきて楽しめる。あっという間に大滝に着く。全て足すと200mほど、これはさすがにでかく迫力がある。しかし登ってしまえばあっけない。稜線までは特筆すべき事はなく、薮こぎはないが結構ばてた。結局ヌク沢ではロープを出さず。

ナメラの下降点までは一般道を50分位、結構登る。途中の避難小屋でだれて大休止してしまった。西破風山を少し過ぎたところから突っ込む。薮が浅いところを縫って降りていくと、大草原のエンディングみたいなきれいなところに出た。この頃には雨だと思っていた天気が晴れになってきていた。ナメラ沢はとにかくナメが多い。水柿がはじめウォータースライダーしていたが、どこか打ったらしく敗退していた。ヌク沢よりはきれいで、下降に使うにはもってこいの良い沢だと思った。下降中二股は確認できなかった。どういうことだろう?下りの林道は。すぐにR140の工事現場に出て、工事中の必要以上に立派な国道を下って無料駐車場に戻った。