ウメコバ沢中央岩峰凹角ルート

2019年2月10日(日)
川上、山崎(記)

当日の天気は晴れ (風強い)。
ウメコバ沢入り口
前夜の雪が少し積もる。ウメコバ沢F1、F2は氷結しておらず、左岸側のフィックスを使い通過。

凹角ルート取り付き付近。中央の凹角沿い。傾斜は立っているので、着雪はそれほど多くない。

3P目。40mくらい。
リード中の川上。10a。中央のクラック沿いに左右のこまかいスタンスにアイゼンの爪を立て、手はピックを引っ掛けて登るドラツーセクション。中間支点は主にカム。

2P目の終了点あたりから下を望む。各ビレイ点は残置ハーケンが主体。2Pは15mくらい。

3P目の核心部。左面上に1つだけハンガーボルト。この上の中間部も難しい。40mくらい。

4P目出だし。左上にボロハーケン。カムやナッツ使用。40mくらい。

4P目出だしの確保支点。やはりボロガタハーケンなのでカム等で補強が必要。

5P目(20mくらい)は傾斜も落ちてきてシングルアックスでも登れるが雪がベッタリ。ロープが巻いてある大岩で終了。16時頃。大岩周辺は岩がたくさん浮いているので要注意。その後、ロープをしまい左手の方に向かって歩いていくと上の写真の沢と降りる懸垂下降地点に出る。フィックスが張ってあるので、それを使い懸垂下降。1回懸垂後も取り付きまではガレた急な沢を降りていくので要注意。

日光月山西面夫婦滝

2019年2月3日(日)
薄田、野澤、山崎(記)

アプローチ
今市インター~栗山ダム 約1時間
県道23号線日陰集落内のお寺脇から栗山ダムへの林道(舗装路)に入るが、当日は先日の降雪が残っていてアイスバーン化していた。結構急こう配の箇所もあるので、降雪後などは運転に注意が必要で四駆、スタッドレスもしくはチェーンがないと危ない。
栗山ダム駐車場からは来た道を少し戻り、トンネル付近から南西?方面への急な小尾根を下降する。なお、栗山ダム駐車場付近からも谷に向かって斜面を下降していく明瞭な踏み跡があるがこれは違うようです。栗山ダム駐車場から夫婦滝エリアまで約30分。一部フィックスが張ってある急尾根だが踏み後あり。

滝の概要
主に夫婦滝(雄滝、雌滝)、無名滝などがあるようだ。
雄滝…このエリアを代表する滝。落差約100mはあろうかという滝で3段に分かれていたが、当日の状態は、中段がやっとつながったという感じの細いつららの集合体で、とても難しそうと言うか無理。中間部分は日も当たり融けだしていた。今後の冷え込みに期待か。
雌滝…雄滝から歩いて5分ほどのところにある滝。雄滝のような直瀑ではなく、上部は左に曲がっており、傾斜は厳しくない。こちらも上まで長さは100m以上ありそう。当日の状態は、登攀可能だが薄くて幅も未発達な感じ。本日は我々を含め3パーティが入っていたが、みんなこの滝を登っていた。
無名滝…雄滝の手前にある滝で、少し谷を分け入ったところにある。こちらも約50メートルはあろうかという滝で、下部はスカート状で、上部10mくらいがバーチカルだが、ここは日当たりが良いためか当日はザーザー水が流れており登攀不可。どうやらこの滝の上にも氷瀑があるらしい。
本日は、登れそうな雌滝を登った。3人だったため野澤さんリードで3人同時登攀。
1ピッチ目
30m位か。傾斜は強くないが、氷が薄くてしょほい。アックスやスクリューを、氷をよく見て打ち込まないとガリっといやな音がする。スクリューが入りきらない。抜け口上がって少し歩いた2段目の氷段の前の氷柱にスリング巻いてビレー。2ピッチ目
出だし1段上がった後、5mほどの垂直の滝。やはりここも氷は薄くて壊れやすい状態で、野沢さん丁寧に登る。その上は傾斜が落ち、本来の2ピッチ目終了点(と言っても何もない)の1段下の氷段手前で切る。60mロープならそこを乗り越えて核心部である3ピッチ目の氷瀑の前まで行ける。3ピッチ目
10mくらい?
3メートルほどの氷段をこえて本来の2ピッチ目の終了点、3ピッチ目の核心氷瀑の前まで。氷結しているが、やはり一部薄くて脆そうな感じ。雌滝最上部の終了点から1回目の懸垂でここまで降りることになる。2回目の懸垂支点は無いのでV字スレッドを作ることになるが、ちょうど出来上がっていたV字スレッドにスリングが掛かっていたので、それにスリングを足して懸垂支点とした。4ピッチ目
40mくらい。上の写真で奥に写っている滝。
核心の氷瀑で、薄くて脆いところあり。野沢さん左側のラインを慎重に登って行った。垂直部を登りきると滝は左方向に緩くカーブしていく。傾斜は緩くなるので困難ではない。細くなった氷を登って行くと左側の木に残置スリング、カラビナ22枚ありそこで切る。その先もう10mほど行くとてっぺん。
下降
懸垂3回で取り付きに戻った。2回目の懸垂支点はない。V字スレッドでの懸垂となる。最後の懸垂支点(1ピッチ目の終了点のあたり)は、よく周りを見ると青いスリングのかかった木があるのでそれを使って降りた。最後は懸垂せず右岸側を歩いて降りられるらしいが、どこに下りていくのか分からなかったので行かなかった。

南アルプス 荒川出合の氷爆

2019年2月2日~3日
玉置、小池、中和(記)

今シーズンは氷の状態が悪いようで、あれこれ候補地が上がるも、目的地が決まらない難民状態。マルチのアイスに行きたかったのと、北側斜面なので氷の状態も良いだろうと信じて、南アの荒川出合の氷爆に行くことにしました。
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概要:
南アルプス 荒川出合の氷爆
2019/02/02 3ルンゼ・右のナメ滝
2019/02/03 2ルンゼ・正面大滝

コースタイム:
02/02(土) 開運トンネル(05:20) – 荒川出合(08:00) – 3ルンゼ出合(09:30) – 登攀終了点(16:30) – テント(18:30)
02/03(日) テント(08:30) – 2ルンゼ出合(08:30) – 2ルンゼ大滝(10:30) – 登攀終了点(16:30) – テント(21:00) – 開運トンネル(23:40)

行動記録:

2/2(土) 晴れ
開運トンネルから荒川出合まで10kmの林道歩き。除雪バッチリなので非常に歩きやすい。
林道歩きが多い自分は感覚が麻痺しているが、他の2人にとっては苦行でしかないと思う。荒川でのアイスを推薦した手前、氷が無かったら2人から氷のような視線を浴びての林道下山になるけど、2ルンゼに氷爆の存在を確認して一安心。2ルンゼ付近の平地にテント設営して、身軽な装備で3ルンゼに移動。

出合から1時間程、軽いラッセルを交えて氷爆の基部に到着。3ルンゼの各ルート状況は以下のとおりで、右のナメ滝に取り付く。

アーリースプリング: 上部のみ氷結し下部は草付が露出。登れない
夢のブライダルベール:氷は繋がっているけど、中間は一部がツララの集合体のよう。
右のナメ滝:過去の記録より氷の幅は狭い。左ルートは草付が露出している。

右のナメ滝
ブライダルベールとアーリースプリング

1p(30m)  小池さん
結構立っている部分が数メートル程あり、このピッチが一番悪く感じた。左岸の赤い残置スリングがある木でピッチを切る。

2p(30m)  玉置さん
傾斜は緩いがトラバース気味に登るのが、何となく落ち着かない。ルートが左右に分かれる場所が吹き溜まりになっており、除雪してピッチを切る。

3p(50m)  中和
左ルートと右ルートに分かれるが、状態が良い右ルートを登る。序盤は立っているが、一段上がると後は何てこと無いナメ。左ルートと合流する辺りで、ロープ一杯になったので適当な灌木でピッチを切る。

この上にも、もう1段小さな滝があったけど、時間が押していたのでここで終了。左岸の尾根を懸垂3回連続で滝下に戻ったが、林道に復帰する頃には真っ暗になっていた。

2/3(日) 晴れのち雨

昨日のヘッデン下山の反省も踏まえ、13時をリミットに撤退することを申し合わせていた。が、大量に担ぎ上げた酒と食料のためか、体調不良のメンバーが出たり、寝坊したりと、いきなり暗雲が立ち込める。

2ルンゼ出合からすぐに10m以下のナメ滝が連続するので各自フリーで適当に登る。ナメ滝群の上は吹き溜まりになり、所々腰ラッセル。結構しんどく、10時過ぎになって大滝基部に到着する体たらく。3段で構成される大滝は、1段目だけ登って時間切れかもね、などと言いあう。

2ルンゼ正面大滝

1p(40m) 玉置さん
滝の左側を登るが、氷が固い上に、昨日の疲れもあるのか本調子ではないようだ。1段目の落口まで一気に抜ける予定だったが、弾切れを起こしそうになり、核心部を越えたところでピッチを切る。

2p(20m) 小池さん
1段目の上部。傾斜は70度位だけど、最初の数mだけは氷が脆いので、足が決まらず苦しそうな印象。それ以後は安定した登りで難なく越えていき、1段目の落口でピッチを切る。

3p(30m) 中和
1段目の落口から右岸尾根にトラバースして下山予定だったが、両岸立っており、やむを得ず2段目も登る。1段目に比べればユルユルだけど、落ちると大滝の基部まで大ジャンプになるので確保してもらう。この辺りから本格的に雨が振り始めてきた。

4p(30m) 小池さん
目論見が外れて、2段目の落口からも尾根に移れないので、結局3段目も登る。傾斜は50度位だが、落ちると1p目より下まで行ってしまうので確保する。この滝の上は雪に埋もれたナメ滝が続くのでロープは仕舞う。

3段目の上からはラッセルしながらの遡行になるが、雨で濡れた雪でアイゼン団子が酷い。数歩でドラえもんの足のようになりゲンナリ。
下降路である右岸の尾根は、トポだと簡単に下山できるような記述だが、想像より急峻で、日没+雨+ガスでルーファイが非常に難しい。装備も体も雨でビショビショで悲壮感が漂う。懸垂3回交えて大滝の下に戻り、テントに帰ったのは21時。テントを片付け、林道を各自下るが、所々スケートリンクになっており、全員が複数回コケた。結局、全員が開運トンネルに到着した頃には日付が変わっていた・・・。

出発時間遅れ、同ルート下降しなかった等、ミスが重なって下山が遅くなってしまいました。反省点や課題が盛り沢山ですが、スケールの大きい氷爆で2日間遊べて楽しかったです。小池さん、玉置さんありがとうございました。

足尾 ウメコバ沢中央岩稜 チコちゃんルート

2019年1月27日
薄田(記)、川上

充実しました。(手強かった)
前週、川上君より足尾のアルパインが面白そうとのことで誘いがあり、それでは行ってみっかとなり行ってきました。
埼玉を前夜発して某所を5:00に出発。銅親水公園よりスタート。1.5時間で出合着。4人パーティの先行がいたがアイスクライミングとのこと。
先行を譲ってくれようとしたが辞退してフォローする。
取り付き迄約40分。前夜から降った雪が15から20cmくらい有った。
8:00川上リードでスタート。
1P(Ⅳ級)スラブ右手のコーナークラックからのスタート。夏のⅣ級なのでアイゼン&アックス×2PCのドライツーリングでどうゆうグレーディングかわかりませんがルート中一番痺れました。右はクラック、左はスラブの細かい手足ホールド。「怖い」「怖い」。
クラッカー川上はカムの選択が早く時間が掛かった(40分くらい)が危なげなく?抜けた。
続く薄田も慣れないドライツーリングで時間がかかったが脹ら脛のパンプを我慢シ-シ-抜けました。
2P(Ⅲ)薄田、Ⅲ級だけど傾斜が落ちた分雪が天こ盛り状態。おまけに大きな岩も浮いており時間がかかる。

2P中間

3P(Ⅴ級):川上本ルートの核心ピッチ。スタートから薄田も触っているでかい(50*40cm)位のやつが岩にのっかてるだけ。力、掛けなくてよかった。
肝心なクラックは4m程度(キャメロット4番残置)で1P目よりは優しく感じた。それでもホ-ルドが雪に隠れて雪払いに時間がかかる。

3P核心手前
3P中間枯木地点

4P(Ⅲ):薄田、2P目より傾斜が有り相変わらず雪がたっぷりで大変。
川上君を迎え入れ時間を見ると14:20(実際は約30分~1時間早かった)となり残り2ピッチとピークまで70mのコンテをこなす時間を3時間と見積もり下降(裏手をフィックスロープ)時間を考えて勇気ある敗退を決断。
3回の懸垂下降で1時間掛けて取り付きに戻る。残置のハーケンは無いので岩角といつ枯れたか解らない枯れ木(パリパリに乾燥)を使いました。
キャメロット4番はワイヤーが切れていて外れなかったが下降途中で川上君回収出来て良かった。BDの金物品質は安いけどそれなり。
銅親水公園に戻ったのが16:00だったのでまあまあの時間でした。
足尾の松木沢全体が鉱毒で不毛地帯。雰囲気も手伝って充実させて貰いました。

日高山脈中部横断(農屋~カムエク南西稜~1823峰~ピラトコミ山~札内川ダム)

2018年12月27日~2019年1月3日
中和(単独、記)

 

日高山脈は山が深いので、その最深部に行こうと思うと、一週間近い休みが必要になってしまう。自然、関東労務層が日高の中核に行く機会は、年に数回しかないことになる。でも今年はまだ日高に行けていない。それじゃあ年末年始は日高に行くしかない。

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概要:
日高山脈中部横断(農屋~カムエク南西稜~1823峰~ピラトコミ山~札内川ダム)
2018/12/27~2019/1/3

コースタイム:
D0(12/27) : 新千歳空港 – 苫小牧
D1(12/28) : 農屋バス停(09:46) – 静内ダム(10:53) – 高見ダム(13:23) – C1(16:06)
D2(12/29) : C1(05:41) – 東沢林道分岐(07:37) – 清和橋(13:01) – C2(15:44)
D3(12/30) : C2(06:08) – シカシナイ山(10:20) – P1821(15:45) – Ω3(15:45)
D4(12/31) : Ω3(06:29) – P1848(10:40) – カムエク(14:36) – Ω4(15:36)
D5(1/1) : Ω4(07:02) – ピラミッド(08:34) – ガケ尾根の頭(10:15) – C5(13:46)
D6(1/2) : C5(06:46) – 1823峰(09:36) – P1643(11:47) – Ω6(15:29)
D7(1/3) : Ω6(06:11) – ピラトコミ山(09:17) – 林道(13:36) – 札内川ダム(15:01)

行動記録:

12/27
前日移動。苫小牧でアマゾンからのガス缶をコンビニで受け取り、そのまま駅でビバーク・・・などするはずもなく、全館暖房のビジホで過ごす。

12/28 晴れ
苫小牧から色々乗り継いで農屋バス停。ここから南西稜取付まで約48kmの林道歩き。この山深さこそが日高の魅力!!そんな自己暗示をかけて淡々と歩く。どうやら単独の先行者がいるようで足跡がある。ルート被らないといいなぁ。高見橋の分岐手前でツェルト泊。

こんな感じの林道が続く

12/29 雪
出発してすぐに足跡の主を追い抜く。ペテガリに行くとのこと。他人のトレースを辿るなどお互い不幸でしか無いのでWin-Winだ。
除雪はナナシ沢出合の1km位先で終わり、膝ラッセルになるのでスノーシューを履く。地図に無い橋やらトンネルがあり困惑したけど、どうにか清和橋に到着。南西稜を突破できないと、もう一度48kmの林道歩きになるので、敗退という選択肢はない。

地図に無い作りかけの橋。橋の下の足場を使って渡る。

清和橋の少し先から尾根に取付くが、急斜面のラッセル。笹の上に乗った新雪で、踏み抜きが酷い上に笹の葉で滑る。吠えながら必死に登る。標高900を超えた辺りで傾斜が緩むので整地してツェルト泊。

12/30 雪のち晴れ
シカシナイ山まではシューが比較的快調。サクサク登るっていると、シューの真横で轟音と共に雪庇が谷底に消える。うーん。
シカシナイから先は藪と雪庇に加えてシューでも膝上ラッセル。進まない。シューで藪アスレチックをやると引っかかるのでアイゼンに変えると股ラッセル。相変わらず進まない。1821山頂でイグルー泊。

藪と雪庇の尾根
太平洋まで見えるマイホーム

12/31 晴れのちガス
カムエク南西稜の核心部に入るので、最初からアイゼンピッケル。雪庇尾根を所々腰までのラッセルしていくが、ハイマツ藪の踏み抜きも酷く、1848まで拷問に近い。
核心は1848の先の2箇所の靴幅+αくらいのナイフリッジ。左右どっちも切れ落ちてるけど、コイボクカール側なら落ちても即死はしなそうなので、そこまで緊張感はない。ロープ出してもいいかなと思ったけど、四つん這いになったり、ハイマツを掴んだりして通過。

南西稜核心部

後は大した所は無いけど、引き続き膝から股ラッセルの急登。もう吠える気力も無くなり、ヘロヘロでカムエク山頂。カムエクとピラミッドのコルで半イグルー。

カムエク南西稜を振り返る

01/01 吹雪のち止む
6時にイグルーを這い出ると、吹雪で視界が悪くヘッデンだと苦しい。暖かいマイホームに戻り、完全に明るくなってから出発。
ピラミッドへの登りは、ちょっとした岩場もあるのでアイゼンでの行動だけど、藪の踏み抜きも多く消耗する。ピラミッドからガケ尾根の頭へは岩稜をかわしながらの股ラッセルが続く。進まない。

ガケ尾根の頭の雪稜

ガケ尾根の頭南側の岩稜帯を抜けた辺りから吹雪が収まってきて、1832峰が遠くで雪煙を上げているのが見えてきた。1602のコルは吹き溜まりでイグルー建設に好適だけど、もう少し進めるだろうと色気を出したものの、雪庇尾根と藪の踏み抜きで全然進まない。天気も悪いし、正月なので早めに行動を切ろうと思ったけど、モナカ雪ばかりでイグルーも雪洞も建設不適。風が当たらない岩の隙間を除雪してツェルト泊。

01/02 雪が降ったり止んだり
雪庇地帯なので完全に明るくなってから出発。1823峰手前のピークまで、引き続き藪と雪庇のアスレチック会場。

雪庇尾根

一段上がった1737からはシューで歩ける快適な尾根になり、何事も無く1823峰に着。視界が悪いので懐からコンパスを出すとアウターのフロントジッパーの金具が壊れて雪の中に消えた。ジッパー全開固定、非常にまずい。さすがに試される大地。吹雪かれたら低体温になる可能性があるので、さっさと先に進む。
1643から国境稜線を外れてピラトコミ山に向かう。ここは地図を見て、雪稜を期待していた場所だ。だけど、実際には猛烈な藪尾根。所々ナイフリッジもあるけど、藪もセットなのでスッキリしない。おまけに藪こぎやラッセルしていると壊れたアウターの隙間から雪が入ってきて寒い。モン○ルに対する呪いの言葉を吐き続ける。ピラトコミ手前のコルでイグルー泊。

藪尾根、奥がピラトコミ山

01/03 快晴
今日はピラトコミに登って下山するだけ。でも相変わらずヤブと格闘しながらのラッセル。イライラメーターはとっくに振り切っている。絶叫しながら雪庇とヤブの集合体を処理していると、ふいに右足の接地感が薄くなり、少し遅れてズズンという音とともに雪庇が落ちていった。この山行で三度目。いい加減に学習しろよという話だけど、酷いヤブなので、藪と雪庇のコンタクトラインを攻めざるをえない
山頂直下からはご褒美のように快適な尾根になり、十勝平野を一望しながら山頂。下山は東面直登沢の右岸尾根を使ったが、地図にない小さなポコが多く意外とかったるい尾根だった(この尾根はなぜか赤札が付いている。原始性が魅力の日高への冒涜だと思う)。後は林道を歩いてダムのゲートでタクシー召喚の術。財布は冬山のようにお寒くなるが、中札内のバス停まで20kmもあるので、もうここでゴールしてもいいでしょう。

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この山行のために11日間の休みを確保しましたけど、低気圧の通過もなかったので、停滞ゼロ、予定を大幅に前倒して抜けられました。主目的だったカムエク南西稜は、間違いなく中部日高で一番美しい雪稜ルートです。ポロシリ、ナメワッカ、イドンナップ、エサオマン、カチポロ、1839峰などなど、北部中部の主要なピークを左右に眺めながら、国境稜線最高峰のカムエクに登り詰めるので、日高のど真ん中にいる愉悦を感じます。最短経路でも入下山だけで4日かかりますけど、クライミング的な困難さは低いので、もっと歩かれてもいいルートだと思いました。

阿弥陀岳北西稜

2018年12月30日~31日
川端(記)、小渕

12月30日
赤岳山荘駐車場に車を置き行者小屋へ。天気はいいが気温が低い。
行者小屋にテントを張りジョウゴ沢へ今季初アイスの計画でしたが、最近フリーばかりで久々の山ということもあり、深いラッセルがあるとキツいので、明日に備え北西稜の偵察へ。
行者小屋から少し下りたあたりで適当に尾根を目指しましたが、いつも間に北稜寄りになっていることに気づき、これまた適当なところをトラバースして北西稜の下部まで詰めて戻りました。トレースはありませんでしたが深いところでも膝までのラッセルで状態はまずまずでした。
12月31日
7:00出発
快晴。
前日付けたトレースを見失う間抜けなミスがあり時間をロス。
リッジでロープを出したこともあり行者小屋から岩壁の1Pまで4時間かかった。
11:00
1P 小渕
右のバンドを進み傾斜の落ちたところを登るとハンガーボルトがある。途中のランナーが取れず苦労していた。
2P 川端
ビレイ点からすぐ上の凹状を登る。ここもランナーが取りにくいが、よく見ると残置ハーケンが見つかる。かなりランナウトしましたがホールドもあるので落ち着いて登れた。3P 小渕
ビレイ点から左に回り込むが足元の雪が崩れそうで少々気持ち悪い。途中の木やハーケンでランナーが取れる。ハンガーボルトのあるところでピッチを切った。
4P 川端
出だしが少々悪い。一段上がったところから右へトラバースぎみに登る。ホールドもあり、お助け紐もある。スラブの下まで来たら手の届くところにハーケンがあるのでランナーをとり、細かいホールドを拾いジワジワ登る。凹角部分にハーケンが連打されているのでさほど恐怖を感じず登れたがハーケンが墜落に耐えるとは思えなかった。途中にスリングがあり助けてくれる。
最後の抜け口は雪がついている岩を持つ気になれずバイルをひっかけ一気に足を上げてリッジに出る。少し登ればハンガーボルトがあるのでピッチを切ってここで実質クライミングは終了。ここからコンテで御小屋尾根に出る。ロープをほどき阿弥陀頂上へ。15分くらい。阿弥陀岳 15:30
快晴に加え稜線にでてもほとんど風がなく、雪も締まっていたので最高のコンディションでした。

鳥海山北面 (中島台~新山~稲倉岳~中島台)

2018年12月21日~23日
中和(単独、記)

正月前に体を冬山に慣らしておきたいので、気候の厳しさに定評のある鳥海山に行くことにした。登山大系によると、鳥海北面には幾筋かルートが拓かれており、気象条件も手伝って充実した山行ができるそうな。今年は暖冬寡雪だけど、鳥海は山麓の矢島(標高46m)のアメダスは積雪30cm。雪の心配はいらなそうだ・・・

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概要:
2018/12/21~12/23
鳥海山北面 (中島台~新山~稲倉岳~中島台)

コースタイム:
12/21 : 中島台浄水場(9:50) – 林道終点(12:20) – 台地状地形(14:40) – Ω1(15:50)
12/22 : Ω1(06:09) – 新山(10:40) – 扇子森(14:26) – Ω2(15:40)
12/23 : Ω2(06:01) – 稲倉岳(06:36) – 唐吹長峰(08:35) – 中島台浄水場(10:47)

行動記録:

12/21(金) 晴れ
夜行バスとレンタカーで中島台に移動。除雪は横岡第一発電所手前の浄水場で終わるため、レッカーされないと信じて路駐。
第二発電所までトレースがあったが、その先は膝ラッセルになるためスノーシューを履く。林道終点からは鳥越川に沿って上がって行くが、頻繁に倒木や飛び石で渡渉を繰り返すので、意外と骨が折れる。途中、倒木に雪が乗っているかと思って無造作に歩いたらスノーブリッジ。思いっきり踏み抜いて沢に落ちそうになるが、引っかかって助かった…。
次第に右岸が安定した尾根っぽくなるので、これで楽に標高を稼ぐと標高1000mあたりで台地状を呈してくる。台地の中には無数の沢と窪地があり複雑な地形。けどまあ、天気が良く新山が見えるので、新山基部を目指して歩いて、適当な場所で半イグルー(壁だけブロック、屋根ツェルト)建設。

台地状地形

12/22(土) 昼前後は吹雪
朝は新山も見えて「冬の鳥海はいい天気だなー」と皮肉を吐いていたが、標高1600mあたりから猛吹雪。風はそれほどでも無いけど、視界が極めて悪く、直登ルンゼを登っているのかわからない。というか5m先の斜面が水平なのか登りなのかも不明。数分おきにコンパスを切って、遮二無二ピックを刺して登っていたら稜線に出た。
稜線も引き続き吹雪。新山と思われるピークを踏んで下降するが、ほぼホワイトアウトしており、外輪山に上がる方法が全くわからない。時折、火口壁が霞んで見えるので、壁基部をトラバース気味に千蛇谷を下降。火口壁上部からの雪崩にビビりながら、せかせかとラッセルし、標高1800m辺りで登山道の杭を見つけて外輪山に上がる。
外輪山に上がると傾斜も緩むのでシューに変えて歩いていると、扇子森あたりで唐突にガスが晴れ、酒田の街まで見えた。地形さえわかれば、こっちのターン。蟻の戸渡り周辺の雪庇尾根を越え、多少の風雪にも耐えられるように全イグルー建設。ゴミとかいらない地図を燃やして焚き火しつつ、酒を飲んでダラダラと過ごす。屋内でも焚き火ができるのがイグルー山行の醍醐味だ。

マイホーム

12/23(日) 晴れ
今日も晴れ。落ちる可能性がある所は全て通過しているので、今日はハイキング。稲倉岳からの下りは素晴らしい雪面で、スキーだったら最高だろうけど、自分が履いているのはスノーシュー。尻セードしようかと思ったけど、カッパが破れたら惨めなので普通に歩いた。唐吹長峰の北東尾根を降りて自分のトレースを拾えば、後は来た道。車はドナドナされずに残っていた。

八ヶ岳 裏同心ルンゼ・南沢大滝アイスクライミング

2018年12月15、16日
中和、玉置 (記)

前週末の広河原沢は雪も氷もなく撤退、結局伊豆の城山でフリークライミングという残念すぎる結果に終わったので、今度こそということで氷結が良好だという情報があった裏同心ルンゼと南沢大滝へ行ってきました。

12月15日 裏同心ルンゼ
前夜に出発し、美濃戸口で車中泊して暗いうちに出発した。雪が薄く積もった林道を進んでいくが、ギアとテントの重さで足が前に進まない。中和さんにどんどん引き離されるが、仕方ないので黙々と歩き続けた。赤岳鉱泉についた頃にはだいぶ疲れてしまった。しかもザックを下ろした時に太ももが攣ってしまいしばらく足を引きずる羽目になった。中和さん、心配かけてすみません。足をかばいながらテントを設営し、アタック用の荷造りを済ませた頃には足の調子も回復してきたので、予定通り裏同心ルンゼへ向かった。

しばらく進んでF1に到着すると、すでに先行パーティーが取り付いていた。氷結は良好そうだ。我々もギアを準備し、腹ごしらえをして滝に取り付く。10mくらいの短く傾斜もそれほどない滝だったが、シーズン初&足の調子が万全ではなかったので少し緊張した。滝の抜け口にペツルボルトの支点があったのでそこで中和さんをビレイした。中和さんは人生初のアイスクライミングだが、ゆっくりながら落ちることもなく順調に登ってきた。F1の上部は60mほどの河原歩きとなりF2へ向かった。F2は3段に分かれており、下部と上部が70度から80度程度の傾斜だった。3段合わせて45mくらいだろうか。まとめて1ピッチで登ることにしたが3段目で疲れてしまいだいぶ時間がかかってしまった。残置支点が他のパーティーに使われているのでF3の氷にスクリューで支点を作り中和さんをビレイ。後続パーティーも続々登ってくるので先に進んでもらってから、F1と同じような長さ、難易度のF3をこなしさらに上へ進んだ。F4?は傾斜の緩い河原歩きの途中の40度程度のナメ滝だったのでフリーソロで突破。最後のF5に取り付く。ここは水が流れており少し鬱陶しかった。F5を抜けると前方には大同心が迫ってきた。右側に45度程度のルンゼがあり氷結も良さそうなので、ここで中和さんが初リードにトライ。難なく突破し、大同心の基部へ上がった。時間があれば大同心南稜を登りたかったが、午後2時を過ぎていたので取り付きだけ覗いて大同心稜を下山し、赤岳鉱泉で宿泊した。

12月16日 南沢大滝
テントを畳んで南沢大滝へ向かった。大滝は自分が見たことのある写真よりもまだ細かったが登ることは出来そうだった。小滝の方も十分氷結しているように見えたが、他のパーティーが取り付いていたので最初から大滝を登ることにした。大滝は全体的に湿っており、スクリューの刺さりが悪かった。特に上部の垂直部分は脆い氷の上を水が流れている状態だった。アックステンションをかけつつ1mおきにスクリューをセットしていたら弾切れになってしまったので一旦ロワーダウンで下部のスクリューを回収して再トライ。必死になってなんとかトップアウトして支点をセットした。服についた氷を払いながら、中和さんをビレイする。中和さんも結構苦労したようだ。さらに奥に別の滝があるという話を聞いたので、氷結した河床を歩いて進んだ。すると確かに50度程度のナメ滝が現れたが、あまりそそられなかったので懸垂下降で大滝下まで戻った。結構時間も押していたので、その後は二人ともトップロープで1トライずつ登って下山することにした。しかし、中和さんが支点を回収する際に凍結したロープがスタックしてしまい懸垂下降はできず、結局本来とは別の残置支点でロワーダウンすることになった。このトラブルでかなり時間をロスしてしまった。ロープの凍結を甘く見ていたことは反省。美濃戸口についた頃には辺りはすっかり暗くなっていた。

シーズン初のアイスということで感覚を取り戻すのがメインだったが楽しめた。自分はアイスのリードはまだまだ修行中なのでもっと経験を積んで行きたい。中和さん、どうもありがとうございました。

天竜川水系 水窪川支流・戸中川

2018年11月2日~11月5日
中和(単独、記)

この時期にノコノコ沢登りに行くと奇異の目で見られるが、温暖寡雪な南ア深南部は意外と快適である。吸血生物と釣り師がおらず、紅葉が盛りというメリットも捨てがたい。そんな訳で天竜川水系の水窪川支流・戸中川に行くことにした。目的は悪いゴルジュを有するという西俣と、多くの滝を持つ東俣の遡行である。

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概要:
2018/11/02(金)~2018/11/05(月)
天竜川水系 水窪川支流・戸中川西俣(遡行)
天竜川水系 水窪川支流・戸中川中俣(下降)
天竜川水系 水窪川支流・戸中川東俣(遡行)

コースタイム:
11/2(金) 仮設ゲート(06:03)-戸中山林道ゲート(06:30)- 第1ゴルジュ(07:00) – 第2ゴルジュ(09:14) – 二俣(12:58) – 崩落地末端(13:38) – 宿泊地(13:57)
11/3(土) 宿泊地(06:09) – 稜線(08:49) – ロクロバ峠(11:12) – 堰止湖(14:03) – 中俣出合(15:26) – 宿泊地(16:01)
11/4(日) 宿泊地(06:10) – メラドの滝(06:40) – 連瀑帯(10:19) – 戸中山林道(13:45) – 宿泊地(15:37)
11/5(月) 宿泊地(06:06) – 鹿の平(07:44) – 戸中山林道(10:04) – 戸中山林道ゲート(11:36) – 仮設ゲート(11:58)

行動記録:

11/2(金) 晴れ
戸中山林道はゲートの2km手前で通行止め。ゲート手前の崩落地は落石の巣なので妥当な措置だろう。仮設ゲートから30分程度歩いて西俣出合にかかる奈良代橋の横から入渓。
当初は穏やかな河原が続くが、次第に両岸が立ち始める。やがて黒光りした側壁に囲まれ、薄暗い第1ゴルジュとなる。ゴルジュ内は沢が屈曲するたびに滝を掛けているので、どんな滝が出てくるのかワクワクが止まらない。一本だけ10m超のハング気味の滝があるが、これを右岸から巻く以外は、全て水流通しに遡行可能。

10mハング滝

第一ゴルジュの先は、しばらく平凡な河原となるが、右岸からの大きな滝を見送ると第2ゴルジュが始まる。こちらも両岸が激しく立った薄暗い渓相だが、水流通しにフリーで遡行できる。ちょっと渋かったのが、途中にある6m滝と、出口にある5m滝。6m滝は、右壁のバンドを空身で登って荷揚げするが、荷揚げロープを全力で引っ張っても水流に負けてしまう。「ヴォルガの船曳き」のような体勢で必死にやっても上げられなかったが、落口に移動するとあっさり荷揚げ出来た。沢の荷揚げは、水流を読まないと体力の無駄である。ゴルジュ出口に掛かる5m滝は、フリクションは良いので突っ張りで這い上がってから右壁に飛びつき、細かいホールドを拾って越える。

6m滝

第2ゴルジュを抜けると、両岸も寝始め、堰堤と河原が交互に現れる退屈な渓相。地図では1170m付近で三俣のようになっているが、右俣、中俣は水量に乏しい。左俣は水量を保ったまま、3~6m程度の滝を連続させるが、ガバだらけで楽しく越える。その先の二俣で左俣を採ると、薄暗いゴルジュのような渓相となり、またも5m程度の滝が連続する。そう難しいものはない。崩壊した堰堤を二個続けて越えると、崩落地の末端部に出る。

崩落地末端

崩落地最初の10m滝は、岩がボロボロなので迷わず巻きを選択。その先も小滝を越えていくと、沢は崩落壁となって消えていくのが見える。これより先に進むのは諦めてビバーク場所を探すと、一段高い場所に落石が無さそうな場所をゲット。沢に向かって外傾しており快適とは言えないが、崩落地の中なので贅沢は言えない。薪は左岸の尾根まで上がると大量の倒木があり、燃料には困らなかった。

11/3(土) 晴れ時々曇り、一時小雨
視界が無い時に崩落地に入るのは非常に危険なので、天候が不安だったが幸い晴天。崩落地の突破にかかる。
本谷ルンゼは急傾斜のガレとなっており、上部はかなり苦しそう。右側のルンゼは水流があるが、崩落壁に詰め上げており抜けられない。さらに一本右のルンゼは下部は急峻だが、上の方は傾斜が緩い。そんな訳で、水のあるルンゼを登ってから、右端のルンゼへの引っ越しを狙う。
水のあるルンゼは、4m程の滝を持つが、垂直のボロ滝で登りたくない。右壁を巻くが、ほぼ全てのホールドが動いて心臓に悪い。滝上から、リッジに向かって急なザレ斜面を登る。
乗り越すリッジは、下から見ると簡単にそうに見えたが、ガレとザレを練って固めたようなボロリッジな上、靴幅しかなくビビリが入る。馬乗りになったり、四つん這いになったりと無様な格好だが、恥も外聞もない。ジリジリ前進すると、右側のルンゼとの標高差が5mくらいまで接近するが、ボロ岩なのでクライムダウンなど不可能。ハーケンかワードホッグを打って懸垂したいが、ハンマーで叩くと簡単に崩れてしまう岩ばかり。リッジを進みながら、あちこち叩きまくって、一応はハーケンが効くリスを拾えたので、長めのナイフブレード2枚でルンゼに懸垂。このルンゼも相当ボロいが、リッジに比べれば遥かに快適で、崩落地頂点まで詰めあげる。崩落地の頂点は、笹やら土やらがオーバーハングしており、フリーでは越えられない。適当な根っこにスリングを掛けてA0で乗り越した。

崩落地

乗り越した場所は黒沢山南側の笹原で、ここから二時間程、軽く笹藪をこぎつつ稜線を歩き、中俣の下降点であるロクロバ峠に移動。
下降する中俣は、登山大系でボロクソ言われていたので、何も無いと思っていたが、立派な堰止湖が出来ていた。左岸の尾根が大崩落して作られたようで、南ア最大の湖沼ではないだろうか。湖岸を歩いて通過しようとしたが、かなり悪い。技術的なものではない。へつれない場所で池の中を歩くのだが、泥が堆積して「グチャ」、「ズボッ」っという感じの沼を、胸まで水に浸って歩くため、非常に気持ち悪いのである。心なしかドブ臭までしてくる。
装備が泥だらけになりそうなので、高巻きに変更したところ、釣り師と思しき巻道があり、これを使うと簡単にダム本体に行けた。このダム湖を抜ければ、下流には何もない。ゴルジュのような場所もあるが、歩くだけで戸中川本流に合流。

堰止め湖

本流を遡行し、大きめの堰堤を越えると広大な河原となり、泊まり場は無尽蔵。「フルフラット」、「薪豊富」、「柔らかい砂地」など強気の条件を出しても、希望通りの好物件がザックザク。数百人は寝れそうな明るい砂地を1人で独占し、焚き火を相手に楽しい夜を過ごす。

宿泊地

11/4(日) 曇りのち雨
西俣が予想以上に容易だったので、東俣も簡単に抜けられると思っていたが、最初のゴルジュでその考えは打ち砕かれる。登山大系にある「メラドの滝」と呼ばれる滝から始まるのだが、両岸立った薄暗いゴルジュに2つの沢から大きな滝が落ちこんでおり、沢からのプレッシャーが凄い。水流左にバンドが有るが、とても登る気にならず、右岸を巻きにかかる。この巻きも中々悪く、ロープ1ピッチ、懸垂1回で落ち口に立つ。(写真は最下段しか写っていないが、右側の滝は3段30m以上ある)

メラドの滝

メラドの上は、直登できる5m以下の滝を連続して掛け、「このままゴルジュを抜けられるか・・・?」と、またも甘い考えが生まれ始めたが、ゴルジュ出口に10m直瀑が待っており絶望。右壁を斜上するバンドから直登できる可能性もあるが、落口への数メートルが悪い。取り付く気にならず、2つ下の滝まで降りてから右岸を巻く。第1ゴルジュを抜け、一旦平穏になった後、第2ゴルジュとなるが、全て水流付近を突破できるので、特記することはない。

第一ゴルジュ出口の滝

標高1050m辺りで沢が東に90度曲がると、傾斜が急激に増し始めて滝が連続。最初のスライダー状の滝はツルツルで突破不能なので、左側を巻き気味に登る。続くヒョングリ滝はやや細かいが右壁から登る。これを越えると登山体系にある全6段の連瀑帯である。核心である5段目は、細かい上にヌメリがあり、ホールドに立ち込む踏ん切りがつかない。「タワシを持ってこなかったからな!」と捨て台詞を残して、倒木で懸垂して3段目の落口に撤退。

連瀑帯4・5段目の滝

3段目の落口から左岸の30m弱のルンゼを小さく巻きにかかるが、人の頭より大きい岩でも抜け落ちるボロルンゼな上、掴めると思っていた木もポキポキ折れる頼りない代物で、心もへし折られる。ナイフブレード2枚と親指位の太さの木にスリングをかけ、懸垂20mで3段目の落口に後退。さらに倒木でもう1回懸垂して最下段まで戻った後、右岸の大高巻きと懸垂1回で連瀑帯の上に出る。
ここを越えると、堰堤と河原が続き、この渓谷では珍しい明るく平穏な場所となる。崩壊した林道を見送って、堰堤を越えていくと、再びゴルジュ状の滝場。10mを越える滝は無いが、ヌメる滝が多く消耗。CSの乗り越しだったり、手がかりの無い斜瀑だったり、手強いものもあり、登りきれず左岸を巻く。
標高1600m付近で3畳ほどの流木が転がったスペースを見つけたので、ここに沈殿。雨で湿気た薪で火力は貧弱だったが、ダラダラと焚き火をしていると、体も概ね乾いて寝られる状況になった。

11/5(月) 晴れ
宿泊地の上は、既に源流も近いと言うのに滝場がしぶとく続く。難しい滝は無いが、相変わらずヌメるので階段状の滝でも慎重にならざるを得ない。二俣を左に入ると、まもなく水が枯れたガレ沢となり、崩落地へと突き上げる。当初は崩落地を詰めようと思ったが、アリジゴクのようなガレで標高は上がらず、体力ゲージだけが減っていくのが自分でもわかる。妥協して木が生えた右岸の尾根に逃げると、獣道があり、これを辿れば鹿の平の一角に飛び出す。

鹿の平

4つの平といえば「信濃の国」だが、南ア深南部にも4つの平がある。ここ鹿の平と、黒バラ平、カモシカ平、笹の平と呼ばれる笹原である。カモシカ平以外は水場も至近の別天地で幕営にも最適である。さすがに鹿の平で一泊は出来ないので、せめて昼寝でもとガチャを外して草地に寝転んでいると、往復一時間かけて不動岳に行くのが面倒になってきた。寝過ごすと笑えないので15分くらいで切り上げ、不動岳は寄らず、鎌崩尾根から戸中山林道を経て下山。昼前には仮設ゲートに戻った。

遡行図:

・戸中川西俣
下流部の2つのゴルジュを含めて殆どの滝が登れ、楽しい遡行が出来る。詰めの大崩落地は悪いので、適当な所で左右いずれかの尾根に逃げるのが安牌。

・戸中川中俣
釣り師が逆河内にアクセスする際に使われる沢なので難しい場所はない。堰止湖というユニークなものがあるが、大正池やオンネトーのような、観光用の小奇麗な堰止湖を想像して行くと後悔する。

・戸中川東俣
崩落地を除けば、滝/ゴルジュ/高巻きのいずれも西俣より悪い。おまけにゴルジュ以外は、大菩薩や丹沢のような微妙なヌメリがあるため遡行しずらい。

主要装備:
ハーケン 11枚、カム#0.5~1.0 (1番のみ使用)、ワードホッグ2本(未使用)、沢ハンマー、60mロープ、15mフローティングロープ、アブミ(未使用)、スカイフック(未使用)、沢靴(ラバーソール)、軍手、ツェルト、シュラフ、のこぎり

 

大井川水系 寸又川支流・栗代川(遡行)~小根沢(下降)

2018年10月13日~15日
中和(単独、記)

栗白川は数年前から計画していたが、天気が悪かったり沢靴を忘れたり、今年だけで3回流れている因縁の沢である。寸又では最も入渓しやすい沢なので、いつでも行けるという謎の安心感があったが、運良く休みを取れたので、同じく大無間を取り巻く小根沢とセットで遡下降した。

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概要:
2018/10/13(土)~2018/10/15(月)
大井川水系 寸又川支流・栗代川(遡行)
大井川水系 寸又川支流・小根沢(下降)

コースタイム:
10/13(土) 栗代橋(6:26) – ユズリハ沢出合(8:51) – ホオジロ沢出合(10:11) – こっぱ沢出合(12:44) – 倉沢橋(14:37) – 大崩沢出合(15:01) – 岩小屋(15:11)
10/14(日) 岩小屋(6:04) – 二俣(8:07) – 稜線(9:17) – 大無間山(9:47) – 三方嶺(10:48) – 左俣出合(15:59)
10/15(月) 左俣出合(06:00) – 左岸林道(06:10) – 小根沢出合(8:51) – お立ち台(12:12) – 左岸林道起点(15:17)

行動記録:

10/13(土) 曇り、夜遅く雨
栗代橋から下を覗き込むと、栗代川も寸又川もカーキ色に濁っている。崩落地が多い南ア南部では、堆積土で濁りが長引くのは間々あり、水位も脛下程度なので予定通り入渓。茶色く濁ったゴルジュを歩くのは不気味だが、壊れた堰堤を2つ越えると穏やかな河原になり、水は澄み始めて一安心。
取水堰堤を越えた先の「八丁暗見」に入るが、淵や釜は埋まって深い場所でも膝程度。ユズリハ沢を分けた先の「曲がり渕」も同様で、かっては泳いで取り付いたという「鶴の天」ですら股程度の深さしか無く、遡行は容易。
曲がり渕を超えると、広河原となり左岸からホオジロ沢が合流。「竜言渕」と呼ばれるゴルジュに入るが、これまた浅いので通過は容易。滝を越えるのにアブミを1回使ったが、これは簡単に巻くことも出来る。
ここまで肩透かしを食らうと、核心部と言われる「龍神の瀬戸」への期待はいやが上にも高まる。黒光りする側壁は、数十メートルの高さで屹立し、風格は大渓谷のそれである。倒木が引っかかった3mの滝を右から越えると、核心部の滝である。1つ目の滝は、かつては振り子トラバースで越えたと言うが、今ではそんな面倒はいらない。釜が埋まっているので、水流に耐えて這い上がり、へつり気味に登れる。2つ目の滝も以前は泳いで水流を横断したそうだが、足が付くので、歩いて右岸に渡りバンドを登れば核心部は終了。
こっぱ沢を分けると穏やかな河原となり、歩くだけで倉沢橋に到着。橋のすぐ上は5mの滝だが、これは下部が立っており右から小さく巻く。その上の滝も越えて大崩沢を見送って、本谷(倉沢)の滝を越えると、まとまった数の流木と岩小屋を見つけたので行動終了。
が、この岩小屋、いざ入ってみると天井が低く快適さに欠ける。焚き火すると燻製になりそうなので、雨は降らないと信じ、外でごろ寝していたが無情にも深夜から雨。ツェルトに包まって黙殺していたが、全身濡れ始めて寝ている場合ではなくなり、焚き火と一緒に岩小屋に引っ越した。

10/14(日) 曇り時々小雨、夕方から晴れ
岩小屋を出てしばらく行くと20mの直瀑。これは観賞用で左岸を巻く。この先で二俣となり左に入ると、5m前後の滝が続くが問題になるものは無い。最後の二俣手前で15m程度の滝が2本連続。1本目は水流左横を直登するが一歩だけが微妙。2本目の直瀑は遠望すると高巻きかと思ったが、これも水流左横を直登。

15m直瀑

この滝を越えて最後の二俣を右側に入る。すぐに沢は3つに分かれるので、北東に向かう沢に入ると水が枯れ、ヤブのない斜面を登ればP2102と大無間のコルに出る。大好きな大無間に立ち寄りつつ、三方嶺に移動して小根沢下降点を探る。三方嶺の大崩落地が小根沢の本谷のようだが、ガスってて下降路は全く見えない。崩落地は下手に取り付くと進退窮まるので、山頂を南側に50m程下った場所から小根沢の枝沢に入る。

標高差400m近いガレとザレの集合体を下ると、一時間ほどで水が流れるガレ末端部。いくつか小滝を見送ると、本谷が右から合流してくる。ここからは10mを越える滝が連続し、水流沿いに下降できない。懸垂を2回交えつつ、右岸を小さく巻きながら下降していく。

連瀑帯

連瀑帯を抜けると、両岸立ったゴルジュに滝を重ねており、高巻きを選ぼうものなら相当上まで巻き上げられそう。ハーケン連打で懸垂かと思ったが、左岸の小ルンゼから小尾根を乗り越し、ガレを下降して巻けた。その先にも滝が2つあるが、これは左岸のバンドからガレに移行して滝下に降りる。
上流部で険しいのはここまで。後は左右から支流を加えつつ、時折ゴルジュとなるが、容易な癒し系ゴルジュ。最後のゴルジュを抜けると、だだっ広い河原となり左俣出合。ここはフルフラットな砂浜に大量の流木というリゾート地。山奥の雰囲気が心地よく、砂地に寝転び、酒と焚き火と星に囲まれてダラダラと過ごす。

10/15(月) 断続的に小雨
宿泊地から10分ほどで左岸林道に交差。林道から下山も可能だが、計画通り小根沢の出合まで下降を継続することにする。
左岸林道の下流も広い河原が続き、場違いな堰堤まであるが、徐々に両岸立ち始めてゴルジュとなる。序盤は容易なゴルジュだったが、両岸が30mくらい立った薄暗い空間になると、高巻きが絶望的な廊下に2つの滝を連ねる。最初の5m滝は容易、続く2段8m滝は圧縮された水流がS字を描いて落ちている。沢に引っかかった倒木を支点に懸垂するが、水流が強いため体を持っていかれそうになる。S字状の水流を振り子気味に横断して釜に降りる。

2段8m滝

その後も、断続的に黒光りするゴルジュと滝が出てドキリとするが、バンドが繋がっていたり、落ち込み程度だったりで、ロープ出す事は無い。頭上を森林鉄道の鉄橋が横切ると、15mの滝を落として寸又川の本流と交わる。本流は茶色く濁って水流も強そうなので滝下には降りず、林鉄の軌道跡に上がり下降終了とした。

後は下山のみだが、小根沢左岸の尾根を300mくらい登り返して左岸林道に復帰すれば、残るは林道起点まで約20kmの林道歩き。この林道は全長40kmを超える長さで悪名高いが、今では崩落の悪さに定評がある。今回の山行では、シビアな崩落地は「お立ち台」手前の一箇所だけだが、ここの横断は中々に悪い。ガレと岩壁の境界付近を横断したが、岩壁基部をトラバースする箇所が不安定で、ビビリながら通過。崩落地の上の樹林帯を大高巻きするのが安牌。

左岸林道

お立ち台から先は、以前より崩落が進んでいるものの、手を使う場所は無い。0.5kmごとにキロポストがあるので、数字に一喜一憂しながら林道起点に至る。

遡行図:
「赤石沢よりはるかに悪い」とまで言われた栗代川は、ほぼ全ての淵と釜が埋まって、その魅力は著しく衰微している。現状では倉沢橋より下流のみでの遡行価値は無く、本谷(倉沢)や大崩沢を詰めるか、他の沢へ継続しないと物足りない。

遡行図_栗代川

小根沢は予想以上に面白い渓谷で、源頭のガレに始まり、大滝、ゴルジュと目まぐるしく渓相が変化する。かといって極端に難しくもない。中流の河原が冗長な感もあるが、段丘が発達して泊まり場として非常に優秀。遡行記録が少ない渓谷だけに、どんな滝やゴルジュが出てくるかワクワクしながら下降できた。

遡行図_小根沢