西上州 荒船山艫岩昇天の氷柱

2017年2月12日(日)
薄田(記)、河合

ルート処理時間 取り付き9:55 終了14:09
『痺れました』是は率直な登攀後の感想です。詳細は記載のとおりです。
例の宿泊地を6:30出発。
中山峠(駐車場)7:30出発(時間はアバウト)。中山峠には既に2台の車。2番目男女ペアパーティーも出発直前。一寸ユックリし過ぎ。反省。(只、下仁田ネギ、小さかったけど6本入り160円は安く旨かった。お酒も少々?)
我々が準備中に更に1ペア到着。聞けば同じく「昇天の氷柱」が目的とのこと。
本日既に我々を入れて3パーティーが取り付くと話したら車内にて作戦会議、結果的に方向転換した。
我々は昨日、今日と国道の艫岩ビューポイントからチェックして1P目しか氷が確認されないにも関わらす取り敢えず取り付き迄行って判断する事にして出発する。

艫岩全景(一番左の顕著なルンゼが本ルート)

取り付きに到着すると既に1パーティー目のトップがF1を12mほど登り終え続くトンネル状になった狭いところをトライ中でありました。結局ザックなしでも通過不可で左のチムニーから抜けていた。
1P目チムニー上の先行TOP

続いての順番は男女ペアで有ったが先行パーティーの登りを見て、我々を先に行かせて下さいました。感謝です。
1P目薄田リードでスタート。12m(70°~80°)と易しめだが氷の発達が以前の記録ほど無く、先の岩がトンネル状を成し、一見して通過不可能と判断。先行と同じく左のチムニーに入るが大いにザックが邪魔して体が上手く上がらない。残置ハーケンが2本有り、チムニー奥の最上部に木の根っこが良いホールドになってくれて助かった。チムニーを左側に出てブッシュ帯を10mでピッチを切る。
1P目

2P目は釣瓶で河合君に行って貰う。途中スクリューを3本入れ快適そうに登る。3P目手前の木の根でピッチを切っていた。
続いて薄田の番だが上を見上げて見るとやはり氷が無い!いや、核心部はゼロでは無いがワイドクラックの奥にベルグラ状に気持ち貼り付いてる程度。薄田、思わず「是、どうやって登るの?」と口に出してしまった。
先行の2ndは上部をステミングで上手く登っていたらしい。
ルート終了してから河合君曰わく3P目は私が行く気満々に見えたので止めなかったとのこと。「早く言ってよ—!止めましょて!」
静観すること暫し。どう見ても右のワイドクラックを上手く使ってしか登れないと判断。
右のクラック奥に右足で蹴り込み更に右半身をワイドクラックに入れて登る。先にアックスは2本ともクラック奥の氷に引っかけ程度に打ち込む。
左足は微細なホールドに『ダート』の1本爪で立つ。連続して登れないのと傾斜がキツいので左足脹ら脛があっという間にパンプする。
スタート3~4mはましな氷があるので気休めのスクリューを1本入れる。その後右壁のペツルのボルト迄遠いので意味を成さない。
ペツルから先に残置見えなく4m程登るが落ちれば氷に直撃必至。よく見ると左遠くにリングボルト発見。助かった。引き続き右のクラックに右足をねじ込み左足は微細なホールドに1本爪を引っ掛けながら登るも左脹ら脛、すぐにパンプ。
ボルトは1.5m間隔に5本程度続くが徐々に左へ遠くなる。想像であるが夏の人工用に打たれた物では無いでしょうか?
登るとヌンチャクの玉切れになり、下の2本を外して上にロープを伸ばす。疲れて来たので河合君に申し訳無いが2回テンション休憩を入れる。
更に登ると徐々に両サイドが狭くなってきて左側にアックスを入れられるクラックが出てきたので惜しげも無く入れて捻る。1時間も掛けて3P目やっと終了。落ちなくて良かった。実感であります。
3P目下部

3P目上部

3P目脇のニードル

ビレーポイントには2本のペツルと太いシュリンゲが残置されおり有りがたく使わせて貰う。ピッチを切り、河合君を迎える。
4P目河合君の順番だが見上げると同じく氷がほぼ無い。3P目より短く傾斜も落ちるが相談して続いて薄田リードとする。
ここも微妙なミックスクライミングが続くが左壁際に残置支点が適当に有るので1テン入れて登れた。抜け口がキノコの笠状になっていて右の氷にアックス決めるも頼みの氷に力を入れた瞬間、その氷が崩れ落ちあわや墜落。左アックスがクラックを捉えていたので何とか持ちこたえた。最後のキノコ笠はハング状でラックのギヤ類が邪魔して足を上げるのを手こずるが(体、固すぎ)気合いで左足を上げ笠の縁に蹴り込み通過。
4P目薄田

4P目キノコ上

終了点は太めの立木に環付ビナまで残置されておりメジャールートを実感。
但し、氷が有れば。(先行は上手く、我々の1/2程度で登っていると思う。)

コースタイム
7:35内山峠→8:35/55一杯水→9:10/55取付→11:25 2ピッチ目終了
→12:25 3ピッチ目リード終了→13:00 3ピッチ目フォロー終了
13:05 4ピッチ目リード開始→13:40 4ピッチ目リード終了
→14:00 4ピッチ目フォロー終了
14:30下山開始→14:55/15:05一杯水→15:40内山峠

荒船山 艫岩 昇天の氷柱

2000年2月27日
向畑(記)、森広、倉田

「荒船山に行こうかな。」

と誰かに言ったら、アイスクライミングの情報には素早い森広さんから、早速、「一緒に行きましょう。」と誘いの電話が入った。

週末は冷え込みそうな予報だったが、昇天の氷柱は滝と違って染み出しが凍る。

急に冷え込んでも氷柱は形成されていない可能性も高いが、取りあえず出かけてみることにした。

ベースとなる内山峠に上がるのには、ノーマルタイヤのシビックでは非常に不安だったので、多分パートナーにあぶれていそうな倉田さんをだまし、スタッドレスタイヤのマークⅡで行くことにした。

上信越道の下仁田インターから254号をたどり、内山トンネルを抜けてから内山峠に上がった。

登山口の駐車場には23時30分頃着いたが、既に車が1台止まっていてテントが張ってある。

早起きする自信のない我々パーティは、「クライマーならこんなに早く寝るわけがない。」

とか訳のわからないことを寝る前には言い。

翌朝には、当たり前のように男女ペアのパーティが自分たちより早起きして出かけていったが、ヘルメットやロープなどが目に付かなかったので、「もしかしたら普通の登山者かも。」

といった勝手な甘い期待を抱いていた。

しかし、一杯水で追いつくと、先行の2人はしっかりとハーネスを着けて用意を済ませていた。

出遅れた当パーティは6時50分に内山峠を出発、7時40分に一杯水に到着。

ここで一通りの装備を身に付け、余分なものをまとめてザックを1つデポ。

一杯水の看板の裏から艫岩の基部をトラバースし、氷柱取り付きには8時40分に着いた。

先行パーティは既に取り付いていたが、ビレーしている女性をよく見ると、YCCの小柳さんだった。

氷柱の幅は予想通り狭く、落氷直撃の危険があり取り付くかどうか迷ったが、戻って転進するのもめんどうだ。

1段目の上が比較的広く、2段目の入り口は右に回り込む感じになっているのが下から見てもわかる。

先行パーティが2ピッチ目に抜けてしまえば、取りあえず1ピッチ目は登れそうだ。

1ピッチ目、先行が完全に抜けきるまで待ったので、取り付いたのは10時。

スラブ上にたれた幅2m程度の氷から、上部は50cm位のチムニー内の氷へ。

途中、窮屈な体勢でチョックストーンをくぐり抜ける。

立ち木でビレー。

2ピッチ目、出だしのつららが下まで届いていない。

右側の階段状の岩場を2mほど登り、氷に移る。

さらに一段上がると傾斜が落ち、3段目の取り付きへ。

3ピッチ目、ここが核心となっていたが、氷がつながっていない。

しかし、岩の部分に残置があるらしく、先行は果敢にもA0で登っている。

ここで当パーティは、おもむろにザックからアブミを取り出す。

出だしの氷を2mほど登り、氷が途切れたところから岩に移り、ベタ打ちにされているボルトとハーケンをたどる。

残置が途切れたところから、今度は右側の狭いルンゼに詰まった氷に移る。

4段目の取り付きには、ペツルボルト2本の立派なビレーポイントがある。

4ピッチ目、ルンゼに傘のような氷がかかり、行く手をふさいでいる。

傘の天井には穴が開けてあるようで、小柳さんが傘の中に入り、奮戦的なクライミングを続けている。

ラインはルンゼ内の氷をオポジションで登って傘の中にもぐり込み、穴をくぐって傘の上にいったん乗る。

そこから左のかぶった氷を乗っ越すと樹林帯に出て終了。

先行2人が穴を広げ、余分なつららも落としてくれたので割と楽に越えられたが、それでも穴は人間が抜けることができるぎりぎりの大きさしかなく、腰に付けたアブミがつっかえてかなり苦しかった。

終了は16時。

登山道経由で一杯水に戻り、デポを回収後内山峠に戻ったのが17時20分。

国道沿いにある荒船の湯を目差し、峠を下った。