剱岳 八ツ峰 Ⅵ峰Cフェース剣稜会、本峰南壁A2ルート

2000年8月14日から19日
櫻井(記)、高橋

8月14日

黒四ダム – 真砂沢出合い

夏の内蔵助平は初めてだった。

雪のある時は疎林の雪原といった感じだが、夏は濃い緑の中少々息の詰まる歩きだ。

昼過ぎに真砂小屋前のキャンプサイトにテントを張る。

この日の核心は二俣に1年前デポされた食糧などの回収だ。

二俣までは河原の散歩を40分ほど。

八ツ峰側の大岩わきの急斜面にある、と聞いていたがどこも背たけを越すフキのような草で覆われている。

河原を歩き回りこの辺だろうという所を下から角度を変えながら眺めると吊ってある細ひもがなんとか見つかった。

草をかき分けゆるい泥壁をずるずるさせながら登って一斗缶に触れるところまできたが、頭の上に吊り下がっている重い缶はどうにも手では支えられそうもなく、結局、缶を別のラインで確保しなおし、古いひもを切り落として何とか回収できた。

なんだか救助訓練をしているようだった。

隣にはサンナビキの青い袋がやはり枝にぶら下がっていた。

食糧(冬用で楽しいものは含まれてなかったけれど)、燃料をたっぷり調達してこれで一安心。

キャンプサイトは雪渓のすぐ下で夜は吹き降ろしの冷風で寒かった。

8月15日

長次郎雪渓-Cフェース剱稜会ルート-Ⅴ、Ⅵのコル-長次郎雪渓

早起きしたつもりだったが長次郎の雪渓には先行パーティが10人くらい見える。

結局5パーティの4番目に取り付く。

岩とのコンタクトラインも開いたところもなく安定していた。

評判の通り簡単だが景色が良く爽快なルートだった。

昼過ぎには終了点に着いたがガスが濃くなってきたので八ツ峰の上を回るのは止めⅤ、Ⅵのコルに降りた。

この辺はゆるいスラブ状に石がゴロゴロしていてやっかいだった。

雪があればスタスタだろう。

長次郎雪渓を下りテントにもどった。

8月16日

休養日(櫻井)

長次郎雪渓から本峰頂上往復(高橋)

8月17日

真砂沢出合いから別山平

8月18日

別山尾根から平蔵谷のコル-南壁A2取り付き-A2-頂上-別山尾根

平蔵谷のコルの下は山靴にアイゼンをつけての雪渓トラバースとなりちょっとしたアルパイン気分だった。

ここには我々を含め3パーティが取り付いていた。

上部はスレート状の岩のエッジが非常に鋭く、しかもはがれ易いのでロープを傷めないように気を使ったが、登り自体の難しさは無かった。

この日は天気も良く1日中のんびりした気分だった。

私は頂上に抜け出るバリエーションが大好きなのだが、穂高の稜線を歩いた程度の感じしか無かった。

8月19日

室堂から下山

去年のヨーロッパの後から肩を傷めてしばらく岩から遠ざかっていたことと、新人を連れての山行でバリエーションとしての刺激は無かったが、初めて夏の剱岳を体験しその良さも、人の多さも納得できた。

夏山とは言え山靴とアイゼンは必携だった。