瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア

瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア
河合(記)

アレアレア。
名前を見るだけで特別な感情がこみ上げる。
初めて買ったマルチピッチトポ「日本マルチピッチ」でこの名前を知ったのは10年前。当時は遙か雲の上の存在で、自分がトライする日が来るとは思わなかった。5.12マルチ黎明期に菊地敏之氏により開拓された、憧れのルートだ。取りつく人が未だに少ない本ルート、せっかく登ったので少し詳し目に紹介してみる。

以下注意!
このルートを本気でトライ予定の方には、野暮な情報てんこ盛りなので、行き詰まるまで見ない方が良いと思います。また、ムーブやプロテクションを記載しているので、オンサイト(下から通しでは誰も成功していない?)を狙う人もこの下を読まないで下さい。

【ルート解説】
・アレアレア 5.12b 10ピッチ
(使用ギア)
ヌンチャク12
カム0.25、0.4×2、0.5、0.75、1、2、0.2/0.3、0.3/0.4、0.4/0.5、紫、赤リンクカム

(1ピッチ目:5.11d:30m)
・燕返しのハングの右端からスタート。最初はハーケンとリングボルト、すぐにハンガーボルトが出現し核心に入る。核心は直上してから右上するのがオリジナルラインとのことで、ボルダー2~3級程度のパワー全開のリーチが必要なボルダームーブ、小柄だと辛い。右に大きくトラバースしてから直上し核心を巻くこともできるらしいが、プロテクションのハンガーボルトから大分離れるし、岩も脆そう。
核心後は遠いホールドを処理しつつ右上し、ハングから抜け出す所が第2核心。ここは以前あったと思われるガバのもげた痕跡があり、脱落部分はブランクなので、初登時より難しくなっているだろう。
ハングを抜けると、コーナークラックに入る。ハーケンがあるけど、カムも必要。最後はフィンガークラック。同様にボルダリーな砂の塔5.12aより少し難しく感じ、11台とはとても思えず、体感5.12a。

1ピッチ目
(2ピッチ目:5.7:20m)
・ハーケン、リングボルト、RCCボルトラダーのスラブを直上気味に辿った。オリジナルラインにはほとんどプロテクションがないらしいので、私の登ったラインはオリジナルとは異なるようだ。ボルトラダー沿いに登ると5.7では済まず、ホールドも分かりづらくて、体感5.10aのスラブで油断できない。

2ピッチ目

(3ピッチ目:5.7:20m)

・ベルジュエール3ピッチ目と共通で、フェイスを登り、最後灌木帯に入る癒しのピッチ。体感5.8。2、3ピッチは容易にリンクでき、合わせて40m弱。

3ピッチ目

(4ピッチ目:5.12a:30m)
・フェイスのピッチだけど要所でカムが必要。出だしは3ボルト左カンテを登る。出だしのランナウトが激しく岩も風化気味、5.10ノーマル程度だけど慎重に。2ボルト目の位置に戦慄!その後、右に大きくトラバースして垂壁に入り、ボルトにクリップしてからボルダー2級程度のボルダリーな核心をこなす。ヌメっていると辛いところ。その後、穴やクラックにカムを決めつつ直上、右に微妙なトラバースをこなし、最後にランナウトで5.10d程度のカンテを登る。変化に富んでいて面白い。私が瑞牆で登った他のフェイス5.12aルート全て(太陽の登1、2、5ピッチ、ギャラクシアン、医者の娘、砂の塔等)より難しく感じ
、体感5.12b(易し目)。一緒にトライした川上さんも「人生最難の5.12a」とコメント。

4ピッチ目

(5ピッチ目:5.7:20m)
・一度ダウンクライムしてルンゼに入り、よく濡れている苔だらけのコーナークラックを登る。1つ目のプロテクションセットまでが怖い。これも5.7では厳しく、短いながら悪く感じ、体感5.9。ロープを余分に伸ばせば、白クマのコルから途中離脱可能。

5ピッチ目

(6ピッチ目:5.12b:20m)
・本ルートのハイライトとなるフィンガークラック。プロテクションには特に注意が必要。出だしは浅い溝やフレアードクラックのため、プロテクションセットが困難、初登時は残置ハーケン2つをフィックスドプロテクションとしたとのこと。しかし、現在は上側のハーケンが折れて消失(誰か落ちたらしい。無事だったのか?)、下側の1本のみ。そのため、ハーケンのみをプロテクションとして核心ムーブ後半で落ちると、確実にグラウンドフォールだ。
しかし、オフセットカムやリンクカムを使えばプロテクションは一応セットできる。私は残っている下ハーケンを0.2/0.3オフセットカムで補強(効きは良い)、その上に紫リンクカム、一度クライムダウンしてアグレッシブテスト後に突っ込んだ。鍵となる紫リンクカム(オフセットカム0.4/0.5も効く?)は、頑張ればまぁまぁの効きでセットできるけれど、固め取りできず、位置が少しでもずれるとアグレッシブテストで容易に吹っ飛び、大墜落に耐えられるかはわからない。核心ムーブを起こしながら追加でマスターカム青色や灰色もセットできるけど、とても力を使うので大変。このような状況のため、出だしは現在PD相当だろう。
ルートは、出だしの数手が核心でボルダー2級程度、その後小核心こなし大レスト、その後レイバック主体の5.11-程度のフィンガークラックを登る。レイバックが多いので疲れるし、プロテクションセットも結構シビア。残置ハーケンが4箇所位あるけど、使わないでも登れる。日当たりが良いのでヌメるとしんどい。春うらら2p目5.12aより核心ムーブとプロテクションは明らかに厳しいけど持久力的には易しく、体感5.12b(易し目) PD。
このピッチのみをトライする人も多いらしいけど、ショートピッチトライとマルチピッチの6ピッチ目としてのトライは全くの別物で、このピッチの真価は下から繋げてきた時にこそ体感できると個人的には思っている。

6ピッチ目

(7ピッチ目:5.11d:30m)
・全く油断ならないピッチ。オリジナルラインは、ピナクルに登ってボルダー1級程度の地ジャンから始まる極悪の2手をこなす。初登者の菊地氏にトライ中にお会いしたので伺ったところ「地ジャンはしていない」とのこと。しかし、私より遙かに強い再登者達も地ジャンしたそうで、初登時とホールド状況が変わっているかもしれない。
ところが、川上さんが、右から回り込む画期的なラインを発見した。リーチが必要だけど、5.11+で収まる強度だ。やはり現地で菊池氏に伺ったところ「その(川上さんの)ラインでは登っていない」とのこと。
ルート攻略は出だしが鍵。オリジナルラインはランジ一発、飛び先のホールドはいまいちで、微妙な体のコントロールが難しい。できる人は多分すぐできて、できない人にはずっとできない系のムーブ。川上ラインはホールドを見出すのが核心、一見不可能そうだけれど、絶妙に続いている。キーホールドが遠いので、身長165cm未満の人に川上ラインは不可能かもしれない。出だしの核心をこなすと、ホールドのわかり辛い5.10c程度の右上スラブ。プロテクションはほぼリングボルトで一部RCC、一部抜けかけていて怖い。最後は簡単な5.7程度のクラック。ベルジュエールの終了点の太い灌木でピッチを切った。トータ
ルで体感オリジナルライン5.12b(と言うより、1級のボルダーと言う方がしっくりくる)、川上ライン5.11d(易し目)。オリジナルラインを経由するなら、間違いなくダントツで人生最難のイレブンルート。

7ピッチ目

(8ピッチ目:5.10b:35m)
ここからはベルジュエールと共通。前半はチムニー登りからステミングを交え傾斜の緩いコーナークラックを登って5.8位。プロテクションはスリングで延長しておかないと後で地獄を見るらしい。後半は逆イの字に見えるT字クラックで快適なレイバックとハンドクラック。体感5.10b。

8ピッチ目

(9ピッチ目:3rd:30m)
・クライミング要素はほぼなく、走って登れる。

(10ピッチ目:5.8:20m)
・出だしの被ったクラックは少々トリッキー。後はクラックを少し登って最後は簡単なスラブ。体感5.9。

10ピッチ目

【体感グレード】
〇トポのグレード(トポによって微妙に異なる)
5.11d→5.7→5.7→5.12a→5.7→5.12b→5.11d→5.10b→3rd→5.8
〇体感グレード
5.12a→5.10a→5.8→5.12b→5.9→5.12bPD→5.11d→5.10b→3rd→5.9
私のグレード感は大分甘いようだ。「太陽の登」は3ピッチ目5.12c(5.12bに感じた)以外はトポ通りに感じたのだが…

【実際のトライ】
ほとんどのトライを秀峰の川上さん、1日ずつ秀峰の玉置さん、山崎さんに無理言って付き合ってもらった。深く感謝。
(1日目:2020年夏)
全体像把握のため7p目までトライ。難しいピッチは何れもRPできず、一部ムーブもこなせなかったけど、ある程度勝負になることを確認。ただ、この後が長かった…
1p目5.11d:河合×、川上フォロー×
2p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
3p目5.7:河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a:川上×、河合フォロー×
5p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
6p目5.12b:河合×、川上フォロー×
7p目5.11d:川上×フォロー×、河合×
(2日目:2020年夏)
4p目まで到達するも、ヌメりに負けて4p目はRPできなかった。翌日のトライ用に1~3p目をフィックス。
1p目5.11d:川上×RPフォロー×、河合×××RP
2p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
3p目5.7:川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a:河合××、川上××
(3日目:2020年夏)
2日目の翌日、朝イチで3p目までユマールして、早めに4p目をトライし何とかRP。かんかん照りになったので午前中に白クマのコルから脱出。
4p目5.12a:河合×RP、川上×フォロー×
5p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
(4日目:2020年秋)
秋遅くに白クマのコルからベルジュエールの大フレーク経由で、7p目と6p目をトライ。コンディションは割と良かったけど、7p目の地ジャンは止まらなかった。6p目はトップロープで探り、ムーブは全て解決するも、問題はプロテクション。
7p目5.11d:河合××、川上×フォロー×
6p目5.12b:河合××、川上××
(5日目:2021年春)
大フレーク経由。7p目で地ジャンしまくり、遂に止めるも、その後のムーブを詰めておらずRPできず。シャウトでお騒がせしました。川上さんは別ラインを探り、見事発見。これなら5.11dで登れる!ということで、ランジが止まらなくなった私も新ラインに参戦し、やっと7p目のRPに成功。6p目は残りの時間にトップロープで探るも、ランジの失敗で指がズタズタ血だらけ、まともにトライできなかった。
7p目5.11d:河合××××RP(川上ライン)、川上××××
6p目5.12b:河合×、川上×
(6日目:2021年春)
大フレーク経由。前回オリジナルラインでは7p目がRPできず悔しかったのでRPするも、地ジャンは何回か失敗で確率は低い。川上さんは自分のラインできっちりRP。その後、6p目に本腰入れて取り組む。トップロープ2便でムーブ、プロテクションを固め、残り2便はトップロープだけどプロテクションセットありでもノーテンションで繋がった。でも結構ギリギリだったので、いつリードするか悩む。
7p目5.11d:河合×RP(オリジナルライン)、川上RP(新ライン)、フォロー〇
6p目5.12b:河合××‐‐川上×××××
(7日目:2021年秋)
個別RPの完了が見えてきたところで梅雨入り、夏に新型コロナウイルスに感染し肺炎を発症して病院送り、後遺症で長きに渡る自宅療養、振り出しに戻ってしまった。2ヶ月半ぶりのクライミングで山灯花5.13aトライした翌日にアレアレア。無謀と言う他ない。当然、ズタボロにされた。1p目で指先の皮が破れて大流血、ホールドを血まみれにしながらヨレヨレトライ。2p目5.7のスラブのフォローすら落ち、最後は中指人指し指全面をテーピングぐるぐる巻きにして4p目の核心をトライ、引きつけられずムーブが起こせなかった。悔しい。川上さんは4p目をフォローながらノーテンで上がってきて、昨年からの成長を
感じられたようだ。
1p目5.11d 河合×、川上フォロー×
2p目5.7川上〇、河合フォロー×
3p目5.7川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a川上××フォロー〇、河合×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
(8日目:2022年4月10日)
この日は甲府で27℃と初夏の陽気、しかしアプローチは所により膝下の雪で濡れた。前日の湯河原幕岩ボルダーの疲労を引きずりつつ、10ヶ月ぶりの6p目トライ。核心の青エイリアンをセットしていたスロットが何故か広がっていてスカスカ、仕方ないのでマスター青を入れたら見事スタック、ゴリゴリ引っ張ったら取れたけどクラックの幅が広がってしまった。ごめんなさい。ホールドとしては使わないはず。上部のハーケンも1本抜けていて、ホールドも壊れていてムーブとプロテクションの変更を余儀なくされた。岩の風化が進んでいて脆い部分があるので注意が必要だ。1便目は下部をエイドしてトップアウトし
2便目でムーブとプロテクションの確認と修正。出だしの紫リンクカムを上手く決める方法を見つけた。これは今日中に行けそうということで、3便目は出だしのみリハーサルし、トップロープを引き抜いた。そして夕方の4便目で意を決してRP。緊張した。川上さんも昨年できなかった核心を解決し、トップロープながらノーテンとなった。さぁ、次はワンプッシュだ。
6p目5.12b 河合×××RP、川上×××-×
(9日目:2022年6月18日)
仕事が忙しすぎたり、風邪引いたりで、2ヶ月ぶりの外岩復帰。リハビリ初戦にアレアレアという無茶。当然のごとく各駅停車だったけど、全てムーブはこなせた。今回は山崎さんに付き合ってもらい、難しいピッチは全てリードさせてもらった。7p目(ランジは3位飛んだけど止まる気がせず川上ライン経由)を終えたところで雨が降ってきて時間切れ。
山崎さんは手応えあった模様(?)。私はボロボロでめちゃくちゃ疲れた。
1p目5.11d 河合×、山崎フォロー×
2p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
3p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
4p目5.12a河合×、山崎フォロー×
5p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
6p目5.12b河合×、山崎フォロー×
7p目5.11d河合×、山崎フォロー×
(10日目:2022年6月25日)
遂にトライ日数が二桁になってしまった。既に甲府は37℃、灼熱が予想されたけど、玉置さんに付きあってもらい下からリトライ。今回はオールリード。リード&フォローよりリード固定の方が休めるし荷物も軽いので楽なことがわかった。
1p目は出だしのボルダームーブは気合でこなすも、後半のハング抜け口で落ちてしまい、その後コーナークラックの抜け口でも落ち、2テンションで抜けた。やり直すには体力に不安があったのでそのまま継続。2、3p目を無難にこなし、4p目の極悪垂壁へ。しっかり左手で保持り倒して渾身のデッドを止めた。そのままノーテンで5p目までこなす。
6p目は、ワンプッシュ成功の可能性ある時以外は出だしの危険ゾーンをリードしないことに決めていた。紫リンクカムの渋いセットを練習してからハンドゾーンまでエイド、一度降りてからノーテンで上まで繋げた。7p目は川上ラインを経由して問題なく再登。時間に余裕があったので、4年ぶりにベルジュエールのT字クラック8p目5.10bを登った。実はこのピッチは初めてのリード。ロープの流れが悪くなりそうなのでT字クラックの下でピッチを切った。今までのピッチに比べれば大分楽だったけど、雨が降ってきた。9p目の3rdを駆け足でこなして撤収。十一面岩山頂は、ワンプッシュ成功時まで取っておこう。かな
り疲れたけど、体が動くようになってきた気がする。
1p目5.11d 河合×、玉置フォロー×
2p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
3p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
4p目5.12a河合〇、玉置フォロー×
5p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
6p目5.12b河合△、玉置フォロー×
7p目5.11d河合〇、玉置フォロー×
8p目5.10b河合RP、玉置フォロー×
9p目3rd河合RP、玉置フォロー〇
(11日目:2022年7月2日)
3週連続アレアレアを下からトライ。そして3週連続で雨に降られた。今回は再び川上さんが、スピーディーフォローで、ワンプッシュを完全サポートしてくれるとのこと、ありがたい限り。
予報では午後早くから崩れる感じだったので夜行して、6:55に登攀を開始した。流石に3週連続なのでムーブは大体覚えていて、スムーズに1p目を突破。しかし前の週より湿度と気温(この日甲府は36.5℃)のせいか、日差しはないのにヌメっている。2、3p目も問題なくリンクし、途中でベルジュエールパーティを抜かせてもらった。4p目は、左手がヌメりでしっかり保持れず、何度もチョークアップして意を決してデッドしたら止まった。後半のカンテもヌメりで気持ち悪く、足が切れたりしたけど押し切った。5p目は出だしノープロで怖いけど、流石に慣れた。
そしてついに6p目に到達した。鍵となる紫リンクカムが一発でベストな位置に決まった。行くしかない。心を落ち着け、集中を限界まで高めて意を決して突っ込むも、出だしのレイバックホールドがヌメって発進できない。スタートの足位置を調整したらスリップ、あっけなくテンション。逸る心を落ち着けて、少し間隔を置いてからやり直す。今度は発進できた。出だしのレイバックがかなりギリギリですっぽ抜けそうだったけど歯を食いしばって耐えた。届いたフィンガージャムもヌメった!もう危険ゾーンに入っていてやり直しは利かない。スパークしそうになる頭を、もう1人の自分が「落ち着け」と宥める。冷静
にガストンし、フィンガージャムを改めて渾身の捻りでバチ効かせた。指よ、ねじ切れてしまえ。「大丈夫だ、行ける」。スタティックにハンドクラックへ。その後の小核心を越え渾身のデッドでガバを取ったところで一旦緊張の糸が切れ、気がついたら大絶叫してい
た。お騒がせしました。その後、もう一度ギアを入れ直し、パワフルレイバック音頭をこなして終了点へ。なんと表現してよいのか、とにかく凝縮された時間だった。しかし、こんなに頑張ったのに雨がぽつぽつ来てしまった。がっくし。
雨が辛うじて一旦落ち着いたので、急いで登ることにした。7p目は川上ライン経由、フルパワー気合一発でこなし、ベルジュエールのパーティを再び抜かせてもらった。8p目は時間がないので、ロープ流れが悪くなること覚悟で途中ピッチを切らずに繋げたら、途中のランナーは結構伸ばしたのに、最後は綱引きになった。8p目終了点では雷鳴が鳴り響き、再びぽつぽつ来始めた。走って9p目を1分でこなすも、10p目のスタート時点でザーザー降り始めた。これまたダッシュの2分クライムで十一面岩てっぺんに着いて、とりあえず叫んで2秒後にはロアーダウンで下降開始。川上さんを十一面岩頂上に上げる時間はなく
、すぐに横殴りの嵐。しかもロープがロープに乗ってスタック、大雨の中登り返すはめになり、すぐ処理して岩陰に逃げ込んだ。寒い。後1分遅れたら完登を逃した可能性が高く、ギリギリのタイミングで、12:25完登!全く余韻に浸る暇はなかった。途中から急いだ
せいか5時間半と、難易度の割にはスピーディーに登れたと思うけど、その分疲れた。大雨は30分程度で上がったので、冷えた体を日光浴で温めてから、ゆっくり下った。
1p目5.11d 河合〇、川上フォロー×
2p目5.7河合〇、川上フォロー〇
3p目5.7河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a河合〇、川上フォロー×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
6p目5.12b河合×〇、川上フォロー×
7p目5.11d河合〇、川上フォロー×
8p目5.10b河合〇、川上フォロー〇
9p目3rd河合〇、川上フォロー〇
10p目5.8 河合〇

ワンプッシュ完登後

(全体を通じての印象)
・10ピッチに及ぶマルチなので相応の体力は前提として、本ルートに重要なのは悪いムーブをヨレた状態でもこなせるような、瞬間的な出力を維持する力だと思う。5.11+~5.12-の各ピッチでは個性的かつ強度のあるボルダームーブが次々と待ち受けている。内容は前傾壁からスラブ、クラックと変化に富んでおり花崗岩のオールラウンドな能力が必要だ。容赦のないランナウトや難しいプロテクションセットが要求され、残置プロテクションも良くないので、易しいピッチを含め全般にグレード以上の厳しさを感じる。疲労が蓄積した状態で、落ちられないフィンガークラックの最大核心が待ち受けており、フィジカルだけでなくメンタルの強靭さが求められる。内容は濃く、グレードよりは内容を求めるトラッドなクライマーにお勧め。マルチピッチ特有の全身疲労の中で、祈るように一手、また次の一手を出していく、そんな完全燃焼ができると思う。こんな厳しくも素晴らしいルートを開拓して下さった初登者に感謝。
開拓者は、ヨセミテのアストロマンのような経験を日本でもできる場を求め、本ルートを開拓したと言う。私は本家アストロマン未経験なので、アレアレアを登って、改めて開拓者にそこまで言わしめたアストロマンを是非トライしたいと思った。

瑞牆山十一面岩正面壁アレアレア、カンマンボロン太陽の登

河合(記)、川上

 

誰も記録書いてくれないので、また書きます。
誰か書いてよ~、山行ってる人・・・

このご時世、風邪引くと大変に面倒。PCR検査に始まり、陰性となっても自宅待機が続く。おかげで瑞牆ベストシーズンの10月をほぼ棒に振ってしまった。

やっとこ3週間ぶりにクライミングに出られたのが10/31。もう終盤戦だけど、川上さんを道連れにして駆け込み瑞牆。

10/31

さて、そろそろ互いに今年の瑞牆の心残りに区切りをつけないといけない。川上さんは蒼天攀路3p目5.12b、河合はアレアレア6p目5.12bと7p目5.11dに未練があったので、この週末は未練を断ち切ることにした。

 まずは、川上さんにとってRP目前の蒼天攀路3p目だ。朝イチで90分アプローチをこなしていつもの取付へ。川上さんがヌン掛けしている間にワンパーティやってきた。ご好意で2便連続で出させてもらえて、川上さんは無事RP!

後続パーティの蒼天攀路トライ。富士をバックに映えます

 さっさと退散して、次目指すは白クマのコル。久々にベルジュエール6p目の5.10a大フレークを登って軽くアプローチ兼アップして、狙うは7p目の5.11dピッチ。

 が、しかし、出だしの地ジャンランジが止まらない。この時期なのに日当たり良好、真昼間で少々ヌメったけど、それを抜きにしても、出した右手が振られに耐えられない。撃ちまくるも敢えなく敗退。川上さんも少し触るも、手応えなしとのこと。飛ばない手順もあれこれ考えたけど、無理。

過去触ったイレブンの中で圧倒的に再難。5.11fか5.11g?ホールド欠けた?出だし以外マイルドなのでボルダーグレードの方がわかりやすく、初段位か。アレアレアを完登する上で、最大の核心であることを認識。非常に悔しい。修行して出直しだ。

アレアレア7p目5.11d。出だし、何にもない

 さて、気を取り直して、次は6p目5.12b。前回ヌメりでクライミングにならなかったけど、今回はパリパリだ。怖いのでトップロープだけど、1便目でプロテクションもムーブも解決。しかし、出だしのプロテクションはやはり怖い。ハーケン+青エイリアン、ブラインドセットで効いてるか怪しい紫リンクカムを離陸前にセットしてからの、根性レイバック中に黒エイリアン×2。黒エイリアンのセットはフルパワー核心まっただ中なので、2つセットするのが非常に辛いけど、1個では怖い。バナナクラックの核心セットより辛いぞ。PDっしょ。レストポイントまで離陸から6手、プロテクションセットなければ気楽なんだけどなぁ。その後は11a位の、出だしに比べれば簡単なプロテクションちょっと怖いレイバック系フィンガーで快適。このルート、シビアなフィンガージャムは出だし核心の1手だけ。

 結局この日は3便出して、後少しトップロープで黒エイリアンのセット慣れたらリードで狙うかなという感じまで来たけど、7p目のランジを解決できないのにRPしても仕方ないので、今年のアレアレアは終了。ランジの修行して出直してきます。

アレアレア6p目5.12b。出だしはクラックというよりミゾ

11/1

 当初は2日目もアレアレアか蒼天攀路の予定だったけど、川上さんも河合も懸案に一区切りついたので、どうするよ~と相談。「やっぱマルチで〆じゃね」という謎の境地に(主に河合が)至ったせいで、太陽の登5.12cに決定。

1p目5.12a:河合リード

寒い。核心はスラブだ。あっさりと手順間違えフォール。いや、手順分かっていても無理。うっかり左の木に触ってしまった。他はムーブ解決。最後までに気の抜けない、見た目いまいちだけど内容の濃いピッチ。川上さんも大体解決して上がってきた。ビレイ点は風が強くてかなり寒い。

太陽の登1p目5.12a。相変わらず楽しそうに登る川上さん
紅葉は最盛期で、鮮やか!

2p目5.12a:川上リード

いよいよ風が強くなってきて辛い。出だしはジェットストリームみたいな横トラバースからのマントル。川上さんたまらずテンション、でもその後はさくさくと抜けていった。

 フォローしたら、1箇所目の核心っぽいところでライン取りミスって落ちてしまい、最後の核心にはしっかりとやられてしまった。でも、快適に右に左に弱点を突く、素晴らしいピッチだ。これは気持ちいい!ノーテンで行きたかったけど。

太陽の登2p目5.12a。出だしではまってしまった川上さん

3p目5.12c:河合リード

風がアホみたいに強くて発狂しそうだ。が、川上さんに無理行って行かせてもらうことに。出だしの左トラバースは明らかな核心、全然ホールドに手が届かない。ムーブもわからずテンション。思い切って飛んでみたら一発で止まった。ボルダー2級位か。アレアレアの地ジャンより、飛び先ガバなのでずっとマイルド。ただ、この先長そうで、ビレイヤー殺しの寒さだったので、今日はここで御終い。クライムダウンして2p目終了点まで戻って、懸垂下降。

その後は、2人で1p目5.12aをトライ。河合は2便目で木を触らないムーブを見つけ、3便目でRP。5.12aど真ん中か。川上さんは鬼のように連続トライするも詰め切れず宿題に。

11/8

 先週太陽の登が楽しかったので、今週もリベンジ。先週よりかなり暖かい。

1p目5.12a:川上リード

 今度は順番チェンジで川上さんから。調子が出ないみたいで、スラブに足が乗れていないのが遠めに分かる。やはりテンション。河合は自動化済でノーテンだったけど、朝イチスラブはしんどく、川上さんの気持ちがわかった。

太陽の登1p目5.12a。核心のゴミホールド達が見える

2p目5.12a:河合リード

 このピッチはリードが最高に気持ちいい!もう、天国!!適度にレストポイントがあり、まさにエンジョイクライミング!前回寒くてダッシュで登ったためかムーブは怪しかったけど、核心の手順は覚えていたので、何とか押し切りRP。瑞牆の今まで触った5.12aの中で一番易しく感じたけど、これより易しい5.12aはいくらでもあるので、やっぱり5.12aかな。川上さんは何回かテンションかかり、やはりまだ本調子ではなさそう。

太陽の登2p目5.12aをフォローする川上さん。すっきりしたフェース

3p目5.12c:川上リード

 核心ピッチは川上さんに任せた。前2ピッチ調子悪そうだったのでちょっと心配だったけど、調子出てきたようで、出だしの核心あっさり解決、テンションかけながらも、さくさく上に抜けていった。河合はフォローだったけど、ここまでノーテンだったし、本気スイッチオン。出だしのランジを気合で決め、クラックセクションも辛うじて越えて、レストポイントが見えた。これはノーテン行けるかと色気が出て、目の前に見えたボロいフレーク、剥がれそうな気配あったけど、下に人いないし、思わずガストンで体重かけてしまった・・・剥がれた・・・50cm×40cm×10cmの巨大フレークを剥がしてしまい、私も剥がれてフォール。岩は1p目終了点下部に着弾、取付にメテオが降り注いでしまった。大反省。川上さんはこの岩は触っていないらしく、どうやら登攀ラインから左に逃げ過ぎてボロいゾーンに入ってしまったようだ。ここはマルチなんだと、今さら再認識。

 せっかくなので周辺のボロい岩を、下に人いないので落としまくって掃除、気を取り直してフォロー継続。残りもかなり危なかったけどノーテンで行けた。あ~、悔しい。ずっと小悪いムーブが続く系で、体感5.12b。

太陽の登3p目5.12c。これまたすっきりしたフェース
隣のHappiest Youを登るパーティ。ビレイヤーの服装に注目!上裸!!

4p目5.10a:河合リード

 ボロいスラブ。迂闊に脆いフットホールドに乗ると容赦なく取れる。グレード以上に慎重さが求められるピッチ。脆いホールドを片っ端から掃除した後、意地で草付には触らずオンサイト。

5p目5.12a:河合リード→川上リード→河合リード

 密かにオンサイトを狙っていたけれど、出だしでムーブをミスって敢無く撃沈。ダメダメだ。適当にムーブ作って抜けた。スラフェースからのカンテ登りで、変化あって楽しいピッチ。

 ここで川上さんが覚醒!出だしのムーブを粘りに粘って押し切り、フラッシュ!河合も2便目で登れたけど、作業感は否めず、あっけなく落ちた1便目に後悔が残る。なぜ川上さんのように粘れなかったのか。もっと1便を大事にしないと。このピッチは2p目の5.12aよりもさらに易しく感じて、体感5.11d。

太陽の登5p目5.12a。まだまだ続くすっきりしたフェース

6p目5.7は省略、一度下で落ち着きたいし、川上さんが因縁の1p目5.12aと勝負付けたいこともあったので下降。

 その後、川上さんは1p目5.12aと更に2便戯れ、最後は「(裏切られる)右足を信じなくてもよいムーブを発見」してRPしていた。曰く「登れなかったらトラウマになるところでした」。

 河合は前から気なっていたJoker5.12cの下部、美しいクラックのショートサーキット5.11bにトライ。シンハンドとオフフィンガーに苦しめられるも、短いので押し切ってオンサイト。すぐさまフォローで回収したら全く違うムーブになった。

ショートサーキット5.11b。右にある立木で支点構築可

 太陽の登は、核心5.12cでワンテン入ってしまってワンプッシュ・ノーフォールフリーは達成できなかったけど、十分勝負できたのは収穫。オールボルトで気楽だし、グレードも瑞牆にしてはマイルド。すっきりした岩の、素晴らしいルートでした。

そんなこんなで、その後川上さんと予定が合わないこともあり、今シーズンの瑞牆を終了。今年も楽しませてもらいました。でも、突発的に暖かくなったら、まだ行くかも。

来年は、アレアレアのワンプッシュを目標に頑張ろう。待ってろよ、7p目・・・

8月瑞牆山マルチ(アレアレア、ワイルド・アット・ホーム、夢のカリフォルニア)他

順番は前後しますが、過去のものも、随時上げていければと思ってます。
管理人がさぼらなければ。

2020年8月の12日間
河合(記)

この半年は色々なことがあった。コロナ禍でイタリア赴任が出国2日前に幻に消え、東京で住む場所が消失、補充人員として非常事態の職場内を転々、コロナ自粛でクライミングも2ヶ月以上ブランク。

自粛解除後からはリハビリ外岩。ボルトルートのショートピッチやボルダーで体が戻ってきたので、8月は瑞牆山に通った。(なお、8月現在私は都民ではないことを断っておきます。)職場より瑞牆行った回数の方が多いかも・・・?

 

8/1(1日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

11ヶ月ぶりにマルチに復帰。玉置さんと。着いて早々「濡れてる・・・」

1p目5.11c(リード:河合)
早速コーナーで濡れた足が滑ってテンション。核心のスラブ部分も、キーホールドが濡れていてテンション。でも、ムーブは濡れていても起こせることがわかった。

2p目5.10c(リード:玉置→河合)
びしょ濡れの簡単ワイド~ハンドクラック。玉置さんギブアップでリードチェンジ。濡れていてもハンドなので問題なく再登。

3p目5.11a(リード:河合)
全面びしょ濡れ。玉置さんに「行く?」と聞いたら「行ってみよう」というので、行ってみた。雑巾ムーブ多用、最後1手まで行ったところでムーブミスって落ちた。以前オンサイトしたはずなのに・・・半分以上のホールドが濡れていてチョークは意味なし。濡れていてもカチホールドはカチれることがわかった。

がっつり濡れてる・・・

 

4p目5.10d(リード:河合)
見た目乾いてそうで安心。でもジャムしたら手が黄緑色に。再登。このピッチは瑞牆にしては珍しくグレード甘目で、5.10bか、あっても5.10c位。

5p目5.11b(リード:河合)
このピッチも乾いていて嬉しい。ヌメるけど。昨年落ちたけど、今回は無事リベンジ。変化に富んだ楽しいピッチ。でも最後のスラブがちょっとボロくて怖い。

ここまで来て、もういいやとなって、太陽のテラスから懸垂2発で下降。

 

8/2(2日目)【大ヤスリ岩:夢のカリフォルニア5.10b】

前日びしょ濡れでげんなりだったので玉置さんと相談、この日は確実に乾いていそうな大ヤスリ岩、夢のカリフォルニア5.10bへ。あわよくばミステリー5.12aに繋げる作戦。

1p目5.10b(リード:河合)
初っ端から厳しいレイバックで怖い。テンションと叫びたいのをぐっと我慢して耐えると気持ちよくワイドになった。後半終了点手前の岩は浮いているので要注意。オンサイト。


ヌンチャク下の岩は浮いているので注意

2p目5.10a(リード:玉置→河合)
まずは玉置さんにトライしてもらうも、ワイド部分ギブアップでリードチェンジ。このピッチは本当に気持ちよく快適なクラックで、さくっとフラッシュ。トポに出ていた終了点が存在せず、仕方ないのでナイフピークの根本まで。

ついでにロープ伸ばしてミステリー5.12aを見に行くも、古いRCCとリングボルトしか見えず、思った以上にドスラブ、心が折れて登らず撤収。

この日の核心は下降。1p目終了点に荷物置いてきてしまったので同ルート下降せざるを得なかったけど、危惧した通りロープが激しくスタック、マイクロトラクションジャンプとかで何とかしたけど、もうげんなり。クラック横のリングボルト抜くのはまだわかるけど、トポに出ている終了点まで撤去するのは、やり過ぎじゃないかと思った。同ルート下降はお勧めできない。

 

8/8(3日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

この土日はツヨツヨの川上さんが付き合ってくれるので、前からトライしたかったアレアレア5.12bへ。今の我々にオンサイトは厳しいので、なるべくムーブを解決してトップアウトを目指すことに。

 

1p目5.11d(リード:河合)
出だしからいきなり悪くてA0してしまった。出だし以外は各駅停車だけどムーブ起こせた。カムは0.4、1、2を使用。

2p目5.7(リード:川上)
いや、5.7とか嘘でしょ!?5.10aか10bはある悪いスラブ。川上さんはオンサイト、河合もフォローでノーテン。

3p目5.7(リード:河合)
このピッチはちゃんと5.7だった。ベルジュエールと共通で、再登。カムは2使用。

4p目5.12a(リード:川上)
前半の核心ピッチだ。まずはカンテ登り、2ボルト目がとても遠くて怖い。その後も容赦ないランナウトで、川上さん各駅ながら渾身のトップアウト。メンタル耐久力ないと、このピッチで敗退もあるかも。河合はフォローで全ムーブ起こせた。核心は1級くらいありそうな垂壁ムーブで悪い。カムは0.5、0.75、1使用。

5p目5.7(リード:川上)
5.7とか嘘でしょ!?その2。短いけど悪い濡れ濡れコーナークラック。川上さんは何事もないようにオンサイトしてたけど、河合はフォローでも落ちそうになった。カムは0.75か1辺り使用、だったような。

6p目5.12b(リード:河合)
出だしにハーケンが2つあるという話だったけど、最初の1本しかない。蜘蛛の巣べったりでトライの形跡もない。3番カムで補強してスタートするも、日差しでヌメヌメ、どうしようもない。エイドに切り替えるも、カムが効かない。片刃効きカムを束ねて体引き上げて黒エイリアンを決め、そっとテンション。抜けたら多分グラウンドフォールだ。ノーズの冷や汗エイドを思い出した。その後プロテクションは問題なくなったけど、ヌメって、ただのエイドクライミングになってしまった。フォローの川上さんは出だし以外何とかなった模様。出だしはPDでもいいんじゃないかと思った。

多分快適にフォローしているように見える

7p目5.11d(リード:川上→河合→川上)
ピナクル上から次のホールドまで、遠くて足もない。どうやらランジのようだ。川上さんが飛びまくるも止まらず選手交代。10回位飛んだら1回止まりかけるも、ホッカホカのホールドに耐えられず。再び川上さんにスイッチ、A0交えてトップアウトしてもらった。ランジの後は10台のスラブと5.7位のクラックでマイルド。カムは0.75~2辺り使用。

朝8時スタートで、この時点で17時過ぎていて日が暮れそうだったので、ベルジュエールと共通の3ピッチは互いに既登だったこともあり省略、白クマのコル経由で下降。

今シーズントライした人はまだほとんどいないのかもしれない。素晴らしいルートなのに、もったいない。

8/8(4日目)【小ヤスリ岩:蒼天攀路5.12b、山灯火5.12d】
川上さんは蒼天攀路3p目5.12bをやってみたい、私は山灯火5.12d触りたいということで、小ヤスリ岩へ。蒼天攀路3p目は、最初とにかく怖いのだけど、川上さんは気合と根性で1便目からトップアウトしていた。河合は2年前に既登なので快適にフォローさせてもらったけど、後半の核心でテンションかけてしまった。

その後、山灯火5.12dにトップロープでトライ。結構ランナウトしていて、リードだと大変そう。ムーブは1便目で全部ばらせ、核心はボルダー1級くらいか。指と足の持久力がかなり必要そうだったけど、本当に気持ちいの良い素晴らしいルートだった。今度はちゃんとリードでトライしたい。

この後は再び蒼天攀路ビレイ点に下降して川上さん炎のトライのビレイ。

山灯火は、ザ・垂壁。出だしから怖い

 

8/9(5日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

この日は仕事で帰った川上さんに代わって、薄田さんに付き合ってもらった。3日目でヨレてたけど、そこは気合だ。

1p目5.11c(リード:河合)
スラブはヌメったけど、きっちりRPできた。薄田さんは出だしでテンションも、スラブ部分はノーテン。さすがっす。

核心手前トラバース中の薄田さん

 

2p目5.10a(リード:河合)
乾いていれば快適。

3p目5.11a(リード:薄田)
当初は河合のオールリード&荷上げのつもりだったけど、薄田さんがやりたいとのことでチェンジ。いつも通り濡れているフェースに四苦八苦した模様。このピッチ、乾いていることってあるの?河合はもう慣れているのでノーテン。

4p目5.10d(リード:河合)
もう3回目だし問題なし。

5p目5.11b(リード:薄田)
また薄田さんがリードしたいというのでチェンジ。3p目よりは手応えあったようだ。河合もさくっとノーテンでフォロー、と言いたかったけど、最後のスラブで足滑らせて危なかった。

6p目5.8(リード:薄田)
チムニーのピッチまでは登りたいというので、また薄田さんに行ってもらうも、慣れないワイドで大苦戦だった模様。久々の手羽ムーブ。

このピッチで面倒になったので下降。最後のピッチ登ってないけど、とりあえず個人的にはノーテン・ワンプッシュ完了。次は継続だ。下りながら見たHappiest you5.12cは面白そうだった。太陽のテラスからロープぶん投げた方向が左より過ぎて悪く、ロープがスタックして下降が大変だった。面倒でも、鎌形ハング上で1回切った方が良い気がする。

 

8/15(6日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

遅い夏休み開始。また川上さんに付き合ってもらってアレアレア。今回はフィックス使って、下から順にRPして土日で白クマのコルから抜けることが目標。

 

1p目5.11d(川上×RP、河合×××RP)
川上さんがトライするも、出だしムーブばらせず。河合がムーブ解決、すぐさま川上さんRP。河合は自分で作ったムーブをなぜか間違え、結局4便もRPにかかり出だしからつまずいた。同じくボルダームーブの砂の塔5.12aより難しく、体感5.12a。

ハングを抜けるとコーナークラック(ハーケンあるけどカムも欲しい)

 

2p目5.7(河合RP、川上フォロー)
怖いスラブを今度は河合リード。わかれば5.10a位。やはり5.7ってことはないと思う。

3p目5.7(川上再登、河合フォロー)
特になし。

4p目5.12a(河合××、川上××)
先週より日が当たってヌメり、核心ムーブが起こせなかった。ランナウトが痺れる。川上さんは最終ボルトのはるか上から吹っ飛んできた。

ここで時間切れ、取りつきまでロープ2本でフィックスして下降。

 

8/16(7日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

朝イチで空中ユマーリング。ヨセミテっぽいぞ。

 

4p目5.12a(河合×RP、川上×)
1便目から狙っていくも、核心ホールド保持れず。川上さん推奨の持ち方を試したら保持れるようになって、次の便でギリギリ何とかRP。シャウトでお騒がせしました。この時期、日が当たると勝負にならず、10時過ぎが本気トライのリミットだ。川上さん曰く「人生最難の5.12a」とのこと、河合の体感は易し目の5.12b。良い時期ならもうちょい簡単に感じる、といいな。

核心でぶら下がる川上さん。ムーブ悪いぞ

5p目5.7(河合RP、川上フォロー)
コーナークラックも、今日は乾いていた。でもワンポイント結構悪くて、5.9か5.10a位あると思う。6p目は既にアツアツでヌメって話にならないので、そのまま白クマのコルにロープ伸ばして脱出。後半戦は涼しくなってからかな。

時間が余ったので、午後は川上さんの蒼天攀路3p目5.12bの炎のトライのビレイ。私は指皮が終わっていて試合終了。めちゃ暑くてビレイだけでも熱中症になりそうだった。

 

8/18(8日目)【大面岩下ボルダー:青い日2段ほか】

パートナーいないのでボルダー。前から気になっていた青い日2段を触ったけど、ホールド遠い上にヌメって何もさせてもらえず。他にいくつか触ったけどあまり登れず、成果は2級1本。

青い日2段。綺麗だな

 

8/19(9日目)【金山沢ボルダー:鷲は舞い降りた初段ほか】

この日もボルダー。朝イチで、昨年登れなかった鷲は舞い降りた初段に打ち込むも、後ちょっとで左手が止まらず悔しい。その後トラマン1級、山形県エリアで阿修羅初段、ヒドラ1級などトライするもいずれもヌメりで心が折れて、ヨレヨレの中、何とか穴契約社員3級とトラツグミ3級登って終了。トラツグミ3級は面白かった。

鷲が舞い降りた初段、左手目測誤って痛恨のフォール

 

8/22(10日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12b】

雨が降りそうだったので、川上さんとカンマンボロン砂のエリアへ。7月に1便だしたEternal Wish5.12bをトライ。前回濡れていた核心ホールドは拭けば登れるレベル、3便出して核心2度抜けたけど、両トライとも最後落とされてしまった。プロテクションは間隔遠いけど、ちゃんと決まる所があり不安はない。

Eternal wish5.12b。傾斜やばくてロープがおかしな方向に垂れてる

 

8/29(11日目)【大面岩:フリーウェイ5.11c】

今週も川上さんとマルチ。1年ぶりのフリーウェイ。

 

1p目5.10d(リード:川上)
川上さん問題なく1撃。河合もフォローでノーテンだったけど、ヌメるぞ。

2p目5.11c(河合××〇、川上××フォロー)
1便目はクラック入る手前の最後の核心で落ちてしまった。その後また同じ場所で落ち、川上さんも吹っ飛びを繰り返し、大分時間食ってしまった。過去最悪にヌメって心が折れそうだったけど、何とか3便目でねじ伏せた。指が痛い。(この日のルールで、どちらか完登しないと前進できない)

 

3p目5.11b(川上×、河合FL)

今回はより充実するため、5.11b var.を選択。川上さんが難しいライン取りを解明してくれたので、気合でフラッシュ。出だしのランナウトが痺れた。ほとんど登られた形跡がないけど、泥チムニー登るよりよっぽど快適だし、充実するのでお勧め。カムは小さいのから4番まで2セットでちょっと余る位。

 

3ピッチ目var.5.11bは秀逸なライン取り。
こっちがフリーウェイの新スタンダート?
どこでトラバースするか、センスが問われる

 

ここで大雨が降ってきて敗退。残念。

 

8.30(12日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12bほか】

この日は前日よりも予報が悪かったのでフリーウェイを諦めて砂のエリア。Eternal Wish5.12b1便目でキーホールドを掃除して、2便目でRP。体感5.12a/b。またシャウトでお騒がせしました。難しいジャムはないかわり、フェース力と耐久力が問われる1本。RP直後から、やはり雨が降ってきた。

川上さんも後ちょっと。その後岩の殿堂5.12cに行こうとするも、以前登った砂の塔5.12aの核心ホールドがごっそりなくなっており、以前のムーブに固執したら1便目でトップアウトできず、2便目で抜けるも時間切れ。核心は以前登った上回りだとワングレードアップ、下回りは変わらないと思うけど、またホールドが欠けるかもしれない。岩の殿堂5.12cは次回また天候不安定な時に。

川上さんEternal wish5.12b核心を抜けたところ

8月は天気が良くて、計画した山行がほとんど実現できて良かった。これからフリクションが来る季節、天気良くて色々登れるといいなぁ。