ギリシャ カリムノス島

2016年8月13日~20日
平岩あ(記)、平岩く

今年の夏休みは北海道にフリークライミングに行く予定だったが、台風やら何やらで天気が悪そうなのでキャンセルになってしまった。
中々取れない一週間丸々の休みなので、どっかイイトコロないかなあ~と探していたら、アテネ行きの航空券がそこそこの値段で買えることを発見。
という事で行ってきました、2度目のギリシャ、カリムノス島(前回の報告はこちら)。

8月13日~14日
成田→関空→イスタンブール→アテネ→コス島→カリムノス島→マスーリ(泊)

プロペラ機でコス島へ
プロペラ機でコス島へ

家を出てから33時間、ようやく辿り着いた。
買ったのが安いチケットなので、色々と大変な訳で。
更にアンラッキーも重なった。
この日、コス島からカリムノス島に向かうフェリーが強風で欠航になっていて、違法操業している小型船でカリムノスに渡ることになったのだ。

強風で海は激荒れ
強風で海は激荒れ

当然ながらそんな船があることは知らず、最初に来た違法船に乗り損なってしまい、結局次の違法船を捉まえるまでコス島の港で3時間以上待ってしまった。
まあ、違法船でも何でもカリムノス島に渡れたのは良かった。
運賃は、足元をガン見されて、えらい高かったけど(20E/1人)。
当初の予定では、島に渡った当日の午後からクライミングをすることにしていたのだが、そんなこんなで結局宿に到着したのは17時過ぎ。
もう移動で疲れ果ててしまい、この日は大人しく買い物と夕食だけ済ませて、寝てしまった。

8月15日
クライミング1日目:

今回泊まった宿は、前回のようなスタジオではなく、Masouri Blueという一応ホテル。

ホテルの部屋。2ベッドルームでもう一部屋にはダブルベッドが置いてある。
ホテルの部屋。2ベッドルームでもう一部屋にはダブルベッドが置いてある。

予約が直前だったので、ホテルに較べて安いスタジオは全て埋まってしまっていて、予約できなかったのだ。
朝食付き、5泊で540Eとか。日本円で6万円ちょっとかな。
まあ、それでも他のリゾート地に較べると格段に安い。
朝食はビュッフェ形式なのだが、スタートが7:30amから。

朝食は外に並べられたテーブルで。滞在中1回しか食べてないけど。。。
朝食は外に並べられたテーブルで。滞在中1回しか食べてないけど。。。

朝早く出たいクライマーには微妙に使えない時間で、結局初日に一度食べたっきり、2日目以降は出発前に食堂に立ち寄って、パンとかゆで卵をもらって岩場に持っていく感じだった。
パンったって、フランスパンを切ってそのままくれるだけなので、モサモサしてて岩場で食べ辛いことこの上ない。
結局、毎日自分達でヨーグルトを買って、それを食べてから出かけていた。
我々には朝食付きはあまり意味がなかった。

さて岩場。
今回もスクーターを借りる予定はなく、Masouriから歩いて行ける範囲のエリアで済ませるつもり。
Kalymnos_5

最初は様子見で簡単なエリアということで、Afternoonからスタート。

Jonas Kitchen (6b)
Jonas Kitchen (6b)

アップで2本登った後は、Grande Grottaを跨いでPanoramaへ。
そこから今度はGrande Grottaへ・・・と初日はGrande Grottaとその近くの岩場をうろうろしながら登った感じだった。
Kalymnos_7

グレード的には、前回、2年前に来た時は6c(5.11a)までしか触れなかった。
今回は7a(5.11d)のルートが目標だ。

本日登ったルート
(Afternoon)
– Nonno Ringo (5c)  OS。一応トポでは星3つ。アップにどうぞ。
– Jonas Kitchen (6b)  OS。あまり記憶にないが、面白かったような気がする。
– Panakia (6b+)  1X。クールダウンで取り付くも登れず。カチ。核心ムズイ。クリップ出来なかった。今ツアーで唯一宿題にしてしまったルート。最新トポでは6cになってた。
(Panorama)
– Joggel&Toggel (6c+)  OS。出だしの数メートルが被ってて、見た目どおりここがポイント。面白い。お買い得という噂が。
(Grande Grotta)
– DNA (7a)  2RP。今ツアーの目標ルート。傾斜はキツイけど、ガバばっかなので登り易い。回収は登り返すか、途中にビナ捨てた方が良いです。

Joggel&Toggel (6c+) 出だしが被ってる
Joggel&Toggel (6c+) 出だしが被ってる
DNA (7a) ガバどっ被り
DNA (7a) ガバどっ被り

8月16日
クライミング2日目:

コス島でカリムノス行きの船を待っている間、ポーランド人のクライマーと知り合いになった。
昨日、岩場からの帰り道、マスーリの街中で偶然そいつに会って、「ビレイヤーがいないので明日一緒に登ってくれないか」と頼まれた。
という事で、今日はそのポーランド人、Kacと3人で岩場に向かった。
アップをGrande Grottaの右の方にあるルートで済ませてから、Kacの希望でSpartacusに移動。
このエリアは夕方までずーっと日陰らしいので、特に夏場に長時間登りたい人には良さそうだ。
日本と違って空気が乾燥しているので、日陰に入るとかなり涼しく、夏でも普通にクライミングが出来る。
流石に登ると暑いけど、降りてしばらくぼーっとしてれば、汗は普通にひいていく。
正直、暑くてもっと登れないかと思ってたけど、エリア(って言うか日陰)を選べばかなり快適だな、こりゃ。
Kacは7c+ (5.13a)まで登ったことがあるらしいのだが、仕事やら彼女やらでしばらくまともにクライミングをしていなかったらしく、「リハビリじゃ」と言いながら登っていた。
確かに上裸になった上半身はちょっとユルかったし、身体のキレはイマイチっぽかった。
Kalymnos_10

この日は1時くらいまで登って下山。

本日登ったルート
(Grande Grotta)
– Monahiki Elia (6a+)  2年越し2RP。上部のダブルコルネが楽しい。
(Spartacus)
– Harakiri (6b+)  OS。核心は一手。自分的には名前が余計な感じだが、ルートはかなり面白かった。
– Les Amazones (6c)  2年越し2RP。これも中間部のダブルコルネがポイント。所々ホールドがスローパーチックで悪い。良いルートです。
– Kerveros (7a)  OS。これはムーブ、スケールともに良かった。お買い得。人気があるのも納得。

Les Amazones (6c) ダブルコルネを登る
Les Amazones (6c) ダブルコルネを登る

一旦部屋に戻ったら水着に着替えてビーチへ直行。
泊まっているホテルの前の階段を降りると、すぐ目の前がビーチで、沢山の人が海水浴に来ている。
カリムノスは、クライミングだけでなく、ビーチリゾートとしても有名なので、この時期はクライマーと同じくらいかそれ以上に海水浴のお客さんがいるのだ。
自分はもう何年も海に行ってないので、本当に久々に生の水着のネーチャンを見て力いっぱい目の保養。
中にはトップレスの人も居たりして・・・GoPro頭に付けとけば良かった。

トップレスのギャルは写ってません
トップレスのギャルは写ってません

海の水はかなり冷たいので、長時間浸かっていられない。
あと、日差しがハンパなく強いので、パラソルの下でないと寝てられない。
パラソルとビーチで寝るベッドみたいなのは、ホテルに泊まっているお客は専用のものが置いてあってタダで使える。
(実際、今回ホテルに泊まった利点というと、ほぼコレだけだったような気がする。)
その他、近くの飲食店が出しているパラソルとかがあるので、飲み物(値段設定が高い)を頼むとそれを使わせてもらえたりするらしい。
クライマーらしき連中は、普通にタオルを砂の上に敷いて、直射日光の下でガン寝して全身真っ赤になってた。
Kalymnos_13

しばし海辺でのんびり昼寝をしてから、夕食を食べに出かける。
以降、帰るまで毎日このルーティーン。起きる、登る、海、夕飯、寝る。
いやー、素晴らしきリゾート・クライミング哉。社会復帰出来なくなりそうです。

8月17日
クライミング3日目:

カミさんが、そろそろ同じエリアは飽きたと言い出した。
登るルートはまだまだ沢山あるというのに。
ということで、この日の前日、スクーターを借りれないかと思い、レンタルバイク屋に行って話を聞いてきた。
今回ギリシャに行くことが決まったのが出発の2日前だったので、国際免許を取りに行ってる暇がなかった(某奥様は水着を買いに行く暇はあったらしいのだが)。
ので、日本の免許でスクーターを借りれないかという、結構ハードルの高い交渉をしてきたのだ。
結果、借りれる事にはなったのだが、事故ったりしても全て「自己責任になる」と言われ(当たり前)、何かあってもマズいので今回はやっぱり諦めることにした。
代わりに自転車を借りて、今日はこれまで歩いて行ってたエリアから少しだけ足を伸ばしてみることにした。
向かった先は、メジャーエリアのOdyssey。
レスト日を挟まず、ぶっ続けで4日と半日登る予定なので、中日の今日は一応ユルクラモード。
到着してみると、このエリアもまたデカい。

Odysseyエリア全景・・・いや、2/3景くらいか
Odysseyエリア全景・・・いや、2/3景くらいか

朝、壁の向かって左の方に歩いて行く人が結構見えたので、自分達は右側へ行ったのだが、右は右で結構人が居た。
人を避けるように一番右のエリアの左隣のエリアで登ったのだが、ここの壁は結構ショボかった。
我々が登っていたエリアの右隣と左隣は人気があるようで人がいた。後で見学に行ったら確かに壁もカッコいい。
よりによって、一番大した事のないところで登っていたようだ。
Odysseyも日陰を選べば2時過ぎまで登れる。という事で2時くらいまで登ってこの日は退散。
Kalymnos_15

本日登ったルート
(Odyssey)
– Poly Retsina No Good (6a)  OS。星3つだけど、かなりどうでもいいルートだな・・・って、ここに来て数日登ってかなり贅沢になってるかも?日本にあったら普通の快適な10aです。
– Penelope (6a+)  FL。中間部の一手もの。この核心は結構悪い。これもイマイチなルートだ。
– Imia (6c)  2RP。これはスケールがあって面白かった。中間部で細かくなる辺りが核心で、ルーファイ迷ってOS失敗。
– Why Not (6b+)  OS。ケイブの右端のラインで、短いけどこれは面白かった。

Penelope (6a+) 核心の箇所で悩む奥様
Penelope (6a+) 核心の箇所で悩む奥様
Imia (6c)
Imia (6c)

前回の報告でも書いたが、この島の水道の水は塩水なので、飲む用の真水は街中でタダで汲めるようになっている。
そんな訳で、先日Nalgenを持って、水場に行ったのだが、2ヶ所ある水場は両方とも枯れてしまっていて水が出ない。
あれ?そうなの??今回は買わないとダメか?と思いながら歩いていると、自販機みたいなものがあり、おじさんがそこから水を汲んでいた。
やっぱり買うのか、と思い幾らか聞いてみると、「タダだよ」と教えてくれた。
なるほど。この時期だけなのか、ずーっとこの状態なのか聞かなかったけど、町の水場で水が出ないときは、この自販機が目印のようだ。

泥棒にしか見えないが、水はタダです。
泥棒にしか見えないが、水はタダです。

8月18日
クライミング4日目:

奥様がやっぱり7aにチャレンジしたい!という事で、以前鳴海さんから聞いた、Grande Grottaのお買い得7aをやってみたいと言い出した。
そんな訳で4日目の今日もまたGrande Grottaへ。
Kalymnos_19

朝一は隣のPanoramaでいつも人が取り付いている人気ルートでアップ。
そこから件のお買い得課題へ向かう。
7a、トポにはロープスケールで40mと書いてあるのだが、うちの70mロープでそもそも登れるのかが心配になる。
が、結果的に70mロープで問題なかった。
奥様はこの課題に頑張って2便出したが登れず。。。さらにクールダウンでやったHappy Girlfriendとかいう5c+(5.9)も登れず、正に踏んだり蹴ったり。
すっかりUnhappy Wife状態。
でも、この島の良いところは、登れなくても海がある!ことだ。
海で泳いで、のんびり昼寝をして、島で一番お気に入りのレストランでご飯を食べたら、ようやくご機嫌が直ったようだ。

カミさんのお気に入り、Aegean Tavern。マスーリで多分一番おいしい。夏は予約した方が確実です。
カミさんのお気に入り、Aegean Tavern。マスーリで多分一番おいしい。夏は予約した方が確実です。
Tavernから見える夕日
Tavernから見える夕日

本日登ったルート
(Panorama)
– Carpe Diem (6b)  OS。グレードが手頃だからか、いつも人が取り付いている人気ルート。1本コルネの処理が面白い。
– Aeolia (6c+)  OS。このルートは面白かった。見た目どおり、左のコルネを取るまでが悪い。
(Grande Grotta)
– Trela (7a)  OS。何しろ長い。回収は途中でビナ一本捨てました。確かにお買い得かも。
– Happy Girlfriend (5c+)  OS。Grande Grottaの最奥・ど真ん中にある記念受験的ルート。でも核心はちゃんと悪いです。

Trela (7a) トポにはロープスケール40mって書いてあるけど、多分そこまでない。でも長い。
Trela (7a) トポにはロープスケール40mって書いてあるけど、多分そこまでない。でも長い。

8月19日~20日
クライミング5日目~カリムノス島→コス島→アテネ→イスタンブール→関空→成田

最終日、ホテルのチェックアウトが12時のところ、カミさんが交渉して1時まで延ばしてもらった。
11時くらいまでクライミング出来そうだ。
ということで、いつもよりも30分早く7時に出て、岩場に向かう。
Kalymnos_23

マスーリから一番近いPoetsにしようかと思ったのだが、カミさんが行ったことのないエリアが良いと言うので、その隣のIannisというところに行って来た。
結論から言うと、これが大当たり。
このエリア、こじんまりしてるけど、登ったルートは面白かったし、他にも幾つか面白そうなルートがあった。
次回また来たいな。

Iannisエリア全景。写真中央の洞窟がエリアの中心で、他のエリアと比べると小さい。
Iannisエリア全景。写真中央の洞窟がエリアの中心で、他のエリアと比べると小さい。

本日登ったルート
(Iannis)
– Kalotina (6a)  OS。このエリアで一番簡単なルート。見た目あまりパッとしないのだが、登ると更にパッとしない。。。
– Kalyne (6b)  OS。見た目イマイチだが、このルートはスケールもムーブもあってかなり楽しい。アップは是非これで。
– Adolf in the Bay (6c+)  2RP。あまり長さがないが、このルートは面白かった。ライン取りとホールドの甘さが絶妙。ラストもシビれます。

Kalyne (6b) アップはこれを是非
Kalyne (6b) アップはこれを是非

という事で、4.5日はあっと言う間に過ぎてしまい、これにて終了。
ここから現実の世界へと戻る25時間+の旅が待っている。
今回、夏のカリムノスってどうなのよ??的な疑問を持ちつつ、勢いで取り敢えず来てしまったが、いやー、想像を遥かに上回る楽しさだった。
朝一から登って、2時くらいに下山して、海に直行。もうキラールーティーン。
雨はほぼ100%降らないし、岩のコンディションも良いし、何よりクライミングオフシーズンなので、基本的に岩場が空いている。
次回も絶対夏に来たいなあ。
Kalymnos_26

おしまい。

ギリシャ カリムノス島 クライミングツアー

2014年5月10日~17日
平岩あ(記)、平岩く

昨年、仕事に私生活に色々あり過ぎて、結局夏休みを全く取れなかった。
一蓮托生、カミさんもどこにも行けなかったので、ストレスが溜まってご機嫌斜めどころかドっ被り。
そんな家庭内の空気を何とか立て直そうと企画したのが、今回のリゾート De ゆるクラツアー。
まさかの想像を絶する楽しさだったので、報告させて下さい。

5月10日

成田→イスタンブール→アテネ→アテネ市内(泊)

1日移動に費やした。アテネ市内のホテルに着いたのは現地時間の23:00過ぎ。ドア・トゥ・ドアで20時間、さすがにギリシャは遠いな。
今回、アレンジと手配担当の(く)によると、トルコ経由で行くと最短とか言ってたけど、詳細は不明。
長い道中だったけど、乗り換えで待たされる時間もそんなになくて、結構スムーズだった気がする。
アテネの空港から市内まではバスが24時間動いてて、夜中も15~20分間隔くらいで出てるので、移動には困らなかった。
カリムノスへの移動は翌日の夕方なので、空港にスーツケースを預けて(1個9Eだったか)市内に移動。
明日は飛行機の時間まで観光をして過ごすのだ(←ミーハー)。

5月11日

アテネ→コス島→カリムノス島→マスーリ(泊)

カリムノス島への移動はコス島経由。
プロペラ機での移動だが、週末は1日2便、夕方にしかコス島行きの飛行機がないらしく、夕方近くまでアテネ観光。
有名なパルテノン神殿とかの観光名所は、市内から歩いて行けるところにあって、暇つぶしには事欠かない。
夕方、アテネからコス島へ。コス島からカリムノス島まではフェリー。
フェリーはその日の最終便に乗ったら、最終飛行機の接続で1.5h以上待たされて、結局宿に着いたのは昨日よりも遅い0:00前。
アプローチで既に疲れた。登るよりも移動の方が疲れる気がする・・・。

5月12日

クライミング1日目。

今回泊まったのは、現地ではスタジオと呼ばれている自炊宿。
部屋には、山ヤ的には快適なベッドが3つと、トイレ兼シャワー、キッチンスペースが付いている。
食器や鍋類も小汚いながら(失礼!)揃ってて、冷蔵庫もある。
これで、一泊15E。一人じゃなくて、一部屋。
マスーリに数あるスタジオの中でもかなり安い部類らしいけど、Wifiも使い放題で相当快適だった。

今回泊まった部屋。
今回泊まった部屋。手前にもひとつベッドがある。テラスが気持いい。

面白いのは水。カリムノスは、基本全部塩水。飲み水は、スーパーで買うか、町に2箇所真水を汲めるところがあって、そこで汲む。

この日は朝一に買い物に出たりして、出発が若干遅くなったのもあって、宿から近そうで簡単なルートがあるエリアを探す。
と言うか、そもそも夫婦揃って登れないので、その2人にとって簡単なルートとなると、探すこと自体が既にハードルが高い。
散々トポを眺めた挙句、「Poets」というエリアに行く事に決定。宿から歩く。
岩場は裏山にあるみたいなノリだが、規模がハンパない。
二子の弓状くらいの高さ(もっと高い?)の壁が延々2~3キロに亘って続いている感じ。
更には同じような規模のエリアが、島中に幾つもあるのだから凄い。

壁の全景(半景?)。中央左の顕著な洞窟がGrande Grotta。
壁の全景(半景?)。中央左の顕著な洞窟がGrande Grotta。

アプローチは、宿から街中を岩場方面に15分くらい歩いて、そこから岩場に向かって丘の斜面を適当に登って行く。
斜面の登りも大体15~20分くらいで、合計30分くらいのアプローチか。
別に買った島の地図と、分かり易い写真付きのトポのお陰で、目的のエリアに迷うことなく到着。

おー、やっぱり壁がでかい。簡単なエリアという事で、傾斜は寝ているけど、迫力は十分。
最初は日本的な短め+簡単なルートでアップ。
支点の間隔が短い!ボルトも全てキレイなハンガーだ。
簡単で短いとは言え、1本登ると何となく海外の岩場に来た、という実感が湧いてきた。
そしてこの開放的な雰囲気とロケーション、想像していたよりも楽しいかも。
来るまでは、正直、フリークライミングするのに海外に行く意味あんのー?くらいにしか思ってなかったけど、これはかなりイイ。Poets

結局この日は一日このエリアで過ごした。
他の連中は、日中は日差しが出て暑いらしく、昼過ぎには、誰も居なくなってしまい、途中から貸切状態。
自分らも日差しに負けて、結局3時過ぎには撤収した。

本日登ったルート
Pindaros (5a) 記念すべき最初の1本。
Anacreonte (6a) グレードなり。
Ibria (6b+) カチ。登り易くて楽しい。
Iris (6b+) 下部ボルダー、クリップ注意。上部ルートが分かり辛くて怖い。

ここでギアの話を少しだけ。
今回、シングルロープ70mを1本、ヌンチャクを25本持って行った。
一部、80mロープでないとロワーダウンできないルートもあるようだが、基本70mで困る事は一度もなかった。
ただ、60mだと途中までしかロワーダウンできないルートや、スタートをフリーソロで登ってからハンギングビレイとかが結構あるので、最低でも70mを持っていくことをお勧めします。
中途半端だったのがヌンチャクの本数。
1ルートで多いときは15本とか使うので、2人でヌンチャクを掛けっぱにして別々のルートをトライするのだと25本では足りず、逆に2人で同じルートしかやらない(若しくヌンチャク掛けっぱにしない)のだと、25本は多過ぎという感じだった。
まあ、あとは日本に較べて支点の間隔が短いので、全ピンにクリップしないで間引けば足りるのかも。
ビビりな自分は、ピンがあると条件反射的にヌンチャク掛けちゃいますが。

5月13日

クライミング2日目。

今日は登るよ~ということで、朝食も簡単に済ませて岩場に向かう。
朝の(く)との会議で、本日はAfternoonからSpartan Wall辺りへ行ってみようかということになった。
Afternoonは、街からも見えるGrande Grottaという巨大洞窟の左隣のエリア。
Grande Grottaは中~上級者の人気エリアなので、人がどんどん上がって行く&上がって来る。
うーん、いつかは自分達もGrande Grottaの被ったルートとかトライしたいぜ、と思いながらGrande Grottaの基部を左に分岐。

最初に、トポに人気のラインと書いてある、小汚い6aでアップ。
見た目の汚さを差し引いても、面白い。
登り終わると、丁度、学生の団体がこのエリアにやって来た。
イギリスの大学生達と引率の先生で、カリキュラムの一貫でクライミングの実技の授業でやってきたとのこと。
そんな羨ましい授業があるのか、イギリスには。
わざわざ混んでるエリアで登るのも何だよなあ、という事で、早々に更に左隣のSpartan Wallに移動。

アップ第二弾で6a+のルートを登り、目を付けていたLucifer’s Hammerに取り付く。
何だ、このルート。超面白い。
が、結局この日は登れず宿題に。短い滞在期間、もう一回登りに来れるかな。Lucifer's Hammer

帰りに再度Afternoonに立ち寄り、ダウンに6aのルートを学生達に混ざって登る。
若いっていいなあ。

本日登ったルート
(Afternoon)
Swiss Baby (6a) 小汚い見た目と違って、面白い。核心付近が垂壁カチ。
Blu (6a) 上部の洞窟に乗り上げるルート。カチだったっけ?
(Spartan Wall)
Spassparture (6a+) これも垂壁。快適。
Lucifer’s Hammer (6c) 色々な要素があって面白い。核心までストレニュアス、上部はガバ。今日は登れなかった。

と、ここで今更ながら気付いたことが。
当たり前だが、どのエリアも初めて行くところなので、最初のルート同定に時間を取られてしまい、結構思ったように便数を出せない。
更に、登れるところ(というか登りたいところ)が沢山あるので、短い滞在期間中にそれらを回る事を考えると、ひとつのルートを腰を落ち着けてトライする感じにもならず、基本全てオンサイトで登れるか、登れないかの勝負になってしまう。
効率良くクライミングに時間を割くためには、日本でガッツリ下調べをして、登りたいルートに目星を付けてから来ると良いのかもしれない。
あと、サラリーマンには難しい注文だが、やっぱりもう少し滞在期間に余裕を持って来たいところだ。最低でも移動を除いてクライミングに1週間。まあ、無理かあ・・・。

5月14日

クライミング3日目。

朝食時、やはり、ここに来たからには冷やかしでもGrande Grottaで登っておくべきだろう、という話になり、朝一は件の大洞窟に向かう。
洞窟の中からルートを見上げると、笑っちゃうくらい被ってる。Grande Grotta
やっぱりグレードが高いやつは無理そうだ、ということで、エリアの右端に1本だけあるアップルート(6a+)に取り付く。
非常にサービス精神旺盛だなあ、と感心したのが、洞窟の最奥に、5c+(5.9)のルートが1本だけひいてある。
どう考えても記念受験ならぬ、記念クライミング的なルートで、結構たくさんの人が登って写真を撮っていた。

Grande Grottaで1本触れて取り敢えず満足したので、すぐ右隣のPanoramaエリアに移動。
このエリアも高難度の課題が並んでいて、登れそうなルートがない。壁を眺めながら、どんどん右にトラバースして、Panorama Rightというエリアまで。
ここで簡単なルートを2本登る。
このエリア、人が全然来ないので静かなんだけど、人気がないだけあって、ルートも他に較べるとイマイチ感がある。
時間的にも、エリア的にも微妙に中途半端になったので、昨日登れなかったLuciferをやろう、と思いつき、ここからSpartan Wallまで大移動。

到着して、早速ヌンチャク掛けをしながら、ムーブの確認。トップアウトして降りる。
これが実質ラストチャンスだよなあ、と思いながら出した2便目で運よく登れた。このルートはやっぱり面白い。

本日登ったルート
(Grande Grotta)
Monahiki Elia (6a+) 下から見るより全然被ってる。コルネ慣れしてる人にとっては6a+か。1テン。
(Panorama Right)
Eureka (6a) グレードなり。少し汚い。
La Vie Selon Gege (6b) ワンポイントの乗越し。
(Spartan Wall)
Lucifer’s Hammer (6c) 登れた!

夕食は、宿の斜め向かいにある食堂へ。
マスーリには、こんな狭い街にこんなに食堂あって潰れないの??ってくらい食堂が沢山あって、食べるところには困らない。
しかも、1人10~15Eも出せば、結構豪勢に食べられるので、長期滞在でなければ、基本的に外で食べるのがお勧め。
自分らは、朝食に、スーパーで買ってきたグラノーラとか果物を食べ、昼は適当にパン屋で買ったり、宿の差し入れを持って行ったりしていた。
で、夜は毎日外へ。
カップラーメンとか食べたくなる人は、2、3個日本から持っていった方が安く済むと思う。
短期滞在で自炊したい人は、調味料を一通り日本から持って行けば、現地で買って使い切れないで余るということがない。

宿の斜め向かいの食堂。美味しかった。
宿の斜め向かいの食堂。美味しかった。

 

5月15日

クライミング4日目。

この中途半端な滞在日数のお陰で、レスト日が設定できない。
貧乏性なこの夫婦(特にダンナ)は、レストをする事が勿体無いと思ってしまう。
1週間、7日丸々クライミングに充てられれば、3日登って中日にレストとかって出来るんだろうけど、クライミング日数4日半だと、もう登り倒すしかないだろう。
と思ったのも束の間、宿代を精算する現金が足りないことに気付き、朝一、隣街まで歩いてお金を下ろしに行くことに。
街中にも一台ATMがあるのだが、自分らの滞在中は壊れていて、「隣街で下ろしてね」とご丁寧に貼紙がしてあった。

昼前に岩場に到着。今日はSpartacusという、Spartan Wallの更に左隣のエリア。
アップに短い6aを登った後、その直ぐ横にある2ピッチのルートをつなげて登る(6a、6b)。
2ピッチ目、6bのセクションで、高さにビビって力が入ってしまい、途中テンション。い、いかん。
テンションはいただけなかったが、このルート、本当に素晴らしい。日本にあったら幾つ星が付くんだろう。
10cでこのスケールで登らせてくれるルート、遠路はるばる登りに来て、本当に良かった。4日目アップ

エリアを横移動して向って右側に。同じエリアにある6b+を(トポでは右隣、Spartan Wallに載っている)。
これも38m、素晴らし過ぎて、言葉も有りません。
で、最後に6cのコルネがモコモコのルートをやって本日は終了。Les Amazones

本日登ったルート
(Spartacus)
Geissen Schnucki (6a) 微妙に悪かったような。
ZiegenPeter – Astree (6a+, 6b) 2ピッチ続ける場合は、1ピッチめ終了点とその下の支点で長ヌンあると良い。1テン。
Les Amazones (6c) ムーブが面白い。このルートも楽しい!1テン。
(Spartan Wall)
Tales of Greek Heroes (6b+) 38m。掛かりの良いカチ。

しっかしこの島の壁、エリアが広大だ。
行きたい岩場が宿から離れている場合は、通常スクーターか、車をレンタルして移動するようだが、自分らは結局歩いて行ける範囲で全日程を過ごしてしまった。
それでも、難し過ぎて行かなかったエリアが多数。
登れる人なら、歩いて行ける範囲だけでも10日間はかるく居れるだろう。
あと、毎日移動しないで、滞在中1日とか2日だけ離れたエリアに行きたいっていう人は、タクシーを使うのも有りだと聞いた。
特に人数がそこそこ揃ってるグループだと、スクーターとか車をレンタルするより安く済むようなので、ご参考までに。

5月16日

クライミング5日目にして、最終日。

今日は、帰りの移動があるので、クライミングは半日のみ。
いつもより1時間早起きしてしまった。
なるべく移動に時間をかけないよう、宿寄りでグレードが合っているエリア、ということでZeusに行くことに。

ヤギが脱走しないように塀に囲まれたエリアで、何だか裏庭みたいな雰囲気。
アップ用のルートがアルパインみたいな変なルートしかなかったので、仕方なくそれでアップ。

この最終日に来て、(く)が果敢に6bのオンサイトを狙って取り付くが、失敗。
自分は、滞在中3本目の6cオンサイトトライでようやく成功。最後の最後に少し成果があって嬉しい。

本日登ったルート
(Zeus)
Demeter (4b) + Demeter Extension (5c+) アルパインちっく。
La Mouette Genereuse (6b) ワンポイントの乗越し。少しランナウト。
Blonde, James Blonde (6c) オンサイトできた。

こんなに登れない夫婦が、海外にクライミングなんて来ちゃって良いのー?と思った今回の旅だったが、結論から言うと、全然あり。
もちろん、もっと登れる方が断然楽しいに違いないが、このロケーションと整備された岩場で、登るモチベーションを高いレベルで維持できる。
結果、毎日のように登れて、良い修行になる!しかも、こんなに楽しい修行って。
向畑さん、今度一緒に行きましょう。

Bye-bye Calymnos