大源太山 コブ岩尾根、中央稜

2019年3月9日~10日
中和、玉置(記)

今シーズンは年内からなかなか冷え込まなかったが、駄目押しと言わんばかりに春の訪れも早かった。早くしないと標高の低い上越国境の雪山シーズンが終わってしまうので、雪が溶ける前にと慌てて大源太山のコブ岩尾根と中央稜に挑んだ。

3/9 土曜日 快晴
<行程>
清水集落5:45
丸の沢出合 8:03
丸の沢二俣 8:44
キャンプ地発 10:04
コブ岩基部 13:42
大源太山山頂 15:13
キャンプ地 16:59

前夜のうちに清水集落へ向けて出発。関越道で上越国境を超えた途端に思ったより雪があり、期待が高まる。清水集落に入ったあとは除雪終了点にて車中泊。1日前に降ったと思われる20cm程度の新雪があり、出発地点で積雪は1m程度だった。朝食をとって出発。最初からスノーシューを装着して歩き始めた。最初はなだらかな林道歩きでサクサク進めるかと思ったが、雪が深くなって来たのとトレースも山スキー以外なかったりでペースは遅れ気味。情けないことにほとんど中和さんに先頭をラッセルしてもらった。また、林道は法面からの雪崩でデブリがあったり、雪の斜面と化していてスノーシューには厳しいトラバースを強いられたりと緊張させられる場面が頻繁にあった。結局丸の沢出合まで2時間強かかった。丸の沢出合での渡渉は年によっては苦労するようだが今回はしっかりしたスノーブリッジがあり、特に難しいことはなく渡れた。丸の沢からはこれから登るコブ岩尾根の険しい山容がよく見えた。そう簡単に登らせてはくれなそうだ。しばらく進み、大畠の沢と丸の沢本流の間の小尾根を少し上がって、雪崩の心配のない平らな尾根上でテントを設営した。余分な荷物をデポし、出発の準備をした。この時点で午前10時ごろ。この先もラッセルが予想されるので、スノーシューを持っていくか迷ったが置いていくことにした。小尾根を下降し、大畠の沢を渡ってすぐ横のコブ岩尾根へ取り付いた。始めは急傾斜の樹林帯をひたすらラッセルで上がっていった。しばらくすると藪に覆われたナイフリッジが現れた。ナイフリッジをたどり、トサカ状のP2を過ぎると、藪の露出した60度程度の急な雪壁となった。藪をつかんで強引に登ってさらに進むとコブ岩が近くなってきた。コブ岩の手前は雪壁になっていたが、雪が深い上に所々クラックを踏み抜いてしまいなかなか進めない。なんとか突破しコブ岩基部にたどり着いた時点で時刻は13時42分となっていた。キャンプ地から標高差たったの500mを4時間近くかかった計算。コブ岩の正面は垂壁となっており、とても突破できるようには見えない。左側は急な藪となっており登れそうだ。近づいてみると傾斜は60度もなく、藪も豊富であまり難しいようには見えなかったので時間節約のためロープは出さずに行くことにした。取り付いてみると実際、先ほど越えた下部の藪壁よりも易しいように感じた。コブ岩を超えた後は恐ろしいナイフリッジと雪壁を越え、ひと登りで15:13に山頂着。下山は山頂から反対側へ2段降りて、大畠の沢源頭からバックステップを織り交ぜつつギャップを踏み抜きながらテント場まで下降した。

3/10 日曜日 晴れのち曇り
<行程>
キャンプ地 6:05
中央稜基部 7:55
大源太山山頂 13:16
清水集落 16:52

二日目は途中まで昨日の下山のトレースを辿り途中から分かれて中央稜基部へ向かった(写真2左側の尾根)。少しラッセルはあったものの、特に手こずることもなく順調に基部へ到達した。中央稜下部は傾斜50度程度のルンゼを挟んで2つの藪尾根があった。尾根上は藪が鬱陶しそうなのでルンゼの左端を登ることにした。取り付きで雪にクラックがあったのでスコップで雪を掘り集め足場を作って取り付いた。中和さんが最初先頭だったが、左の藪に入ろうとして手こずっていたので自分がルンゼを先行した。ルンゼ内はそこまで難しくはなかったが、相変わらず所々クラックがあり鬱陶しかった。幸いクラックが斜めに走っていたので乗り越しは難しくなかった。その後ルンゼの上部で左の藪へ入った。しかし、進むにつれて掴める木が少なくなり、さらに潅木の踏み抜きが酷くなかなか進めなくなった。自分がもがいているところに中和さんが追いつき交代してもらった。踏み抜き地獄で恐ろしいのでここからロープを出すことにした。もう一度自分が先頭でリードすることにして1ピッチ目。相変わらず藪の踏み抜き地獄とラッセルが続きゆっくり進んでいった。中間支点は豊富だが木を丸々一本掘り出したりといった土木作業で体力が吸い取られるピッチだった。ロープを50m以上伸ばし、傾斜が急になる場所でピッチを切った。次は中和さんリード。傾斜は60度弱でやや急になるが相変わらずの藪尾根。雪の踏み抜きは傾斜がきつい分少なかったようだ。気温がかなり高くなって来ているのを感じ、眼下で小さなちり雪崩が頻発している様子を見ていると轟音とともに左のルンゼでブロック雪崩が2回起きた。恐ろしい。こんなものを喰らったらひとたまりもないだろう。3ピッチ目は再び自分がリード。尾根を少し進んだ先に一箇所岩場があり、直登の可能性を探ったが直下の藪でとった中間支点からそれなりにランナウトしており、無茶はできなかったので大人しく左の藪から登って突破。その先の松の木でピッチを切った。最後の4ピッチ目は中和さん。最初は特に難しいことはない雪の斜面をトラバース気味に進み、小尾根に取り付いてまた藪登り。主稜線に抜けたところでピッチを切った。そこから山頂までは昨日のトレースを辿ってすぐ、下山もあっという間。あとはテントをたたんで、清水まで長いアプローチを戻った。中央稜は短いかと思っていたが、結果的にはコブ岩尾根より登攀要素は強く充実した藪クライミングとなった。帰りは途中まで河原を歩いたが、林道よりはるかに楽だった。堰堤に阻まれ途中から林道に戻ると、行きの時点で不安定そうに見えた斜面は軒並み雪崩れていた。

前回の戸隠P3尾根は敗退で悔しい思いをしたが、今回は無事に目標と敷いたルートを完登でき、充実した山行となった。しかし、中和さんにラッセルをほとんどお願いしてしまったので、まだまだ強くならなければいけないとも感じた。中和さん、ありがとうございました。

大源太山コブ岩尾根

2018年4月1日(日)
薄田(記)、野澤

行程: 清水 4:00 ~丸の沢出合 6:30~ Ⅱ峰8:50~ 大畠ノ沢 10:00~ 清水12:30

「ヤブ、ヤブ、ヤブ----」 薮には参りました。
谷川も終わったこの時期に夜行日帰りで行けそうなところを検討した結果この大源太山コブ岩尾根になりました。
当クラブの古い記録もあり、ネットでも3月末から4月中旬の記録も散見してたので行ってみたが・・・・・
清水部落を過ぎてすぐのところが除雪前なので車の最高到達地点。夜の11:00を過ぎていたが既に2台駐車。(結局登山者では無かったと思う。)
レガシーの後にテントを張り3時まで寝る。
丸ノ沢が出会いまでは登川右岸にある国道上を進むが途中3本くらい大きな沢を越える。
「アズマヤ沢」だと思うが沢身を渡る直前で薄田、空洞化した雪面を踏み抜き左足の靴が岩にスタック。これがクラック状になった所にジャミングがバッチリ決まりウンともスントも動かない。10分くらい格闘の末やっと脱出。その大きな岩は浮いておりそのような状態になってしまった。
過去の記録を見るとアプローチにスキーを使用しているパターンが多く、行ってみて納得。兎に角アプローチが平坦で長い。今回は雪解けが進み歩きのほうがベターだった。
丸の沢に入るとルートの全貌が見えて来たが・・・雪が無い。黒すぎる。一抹の不安が脳裏を過ぎるがビンゴになってしまった。
大畠の沢に入り本流に滝が見えたのでそこから尾根に取り付く。暫くは雪面を歩けたが1峰前くらいから猛烈な薮になり閉口する。アイゼンを付けるのが早すぎた。アイゼン、スノーバー、ストックと次々に薮に引っかかりイヤになった。
1峰手前は左手が小岩場になっており多少楽になるが2峰手前も又しても猛烈な「ヤブ」。
鶏冠状に特徴の有る2峰は3年前の某クラブの記録と比較するとエライ違い。丸裸状態で有る。
結局これ以上行っても同じようにヤブに痛めつけられるだけと判断。これにて敗退決定。
年によって違いがあると思うがまあ写真の通り天気だけは良かったので久しぶりに越後のディープなヤブに触れられて良しとしよう
下降は残置のシュリンゲを使い20mの懸垂下降とヤブのクライムダウンで大畠の沢4ルンゼに降り立ち長いアプローチを汗だくで清水へと戻った。