越後駒ヶ岳 佐梨川雪山沢

1997年10月10日~11日
瀧島(記)、水柿、平松

正月に行く予定の家ノ串尾根と近い将来是非行きたい正面尾根の偵察を兼ねて雪山沢に入る事にした。前から気になっていたこの山域を積極的に考えるきっかけになったのは、佐梨川にダムの建設計画がある事を知ったからだ。日本が世界に恥じる、数々の必要の全くないダムがこの場所にも造られようとしている。自然な姿の佐梨川の最奥部に今一度触れておきたかった。

10月10日 晴れ

あまりの眠さに関越トンネルの手前のパーキングで夜を明かしてしまった。長距離ドライブには本当に弱い。急いで佐梨川の林道に入り、8時半に車発。

桑ノ木沢出会いから桑ノ木沢を眺めると奥に登攀意欲をそそられるリッジを発見。いつの日か登る事を誓いフィルムに収める。

ここで林道から離れて川床に降りる。いきなり小川谷ゴルジュのような井戸の底でへつったり、腰まで漬かりながら進む。それでも金山沢出合いまでは1時間程で着いた。金山沢を分けてからすぐの垂直の40メートルの三階の滝は左岸から滝で落ちているルンゼから巻く。

1ピッチ目は滝の途中にヘビがいて超ビビった。ヘビが近寄らない事を祈りつつ登るが、ワンポイント悪く、ハーケンを叩き込んで超えた。後はトラバースぎみに滑りそうで恐い草付きを登り5ピッチと懸垂2回で川床に戻った。この三階の滝の高巻きに3時間ほどかかってしまった。

小滝をいくつか越えると左岸から緩傾斜の沢が入る。エスケープに使えると思った。2段の滝を左岸から2ピッチと懸垂1回で巻くと沢は少しだけ穏やかになった。このあたりから上は紅葉が始っている。正面にはロータリーピナクルという岩峰がそそり立つ。河原を整地してビバーク。

タイム: 8:00頃車発 夕方16:00頃着

10月11日 雨

出発と同時にぽつりと雨粒を感じた。何とか本降りにならないでくれと山の神に祈りつつ、初めの滝を越える。次の緩い傾斜のナメ滝は直登できず右岸のロタリーピナクルの正面の草交じりの壁を強引に登る。しかし1ピッチ登った所で無情にも土砂降りとなり、先の長さとメンバーを考えて退却する事にした。濡れたロープは重く、すぐにキンクしてしまい、頭を使う懸垂を繰り返す。

昨日エスケープに使えると思った沢は、少し登るとすぐに悪い滝が出て結局、沢通しに、忠実に下る。三階の滝は懸垂のロープが届いているか心配だったが、何とかクリアーした。後は増水したゴルジュを震えながら下った。かなりの雨の割にはゴルジュを無事に通過できて車に戻った時には放心状態だった。

タイム不詳。

敗退はしたけれども、正面尾根と家ノ串尾根の取り付きは確認した。地味な沢だけれども、内容はすばらしい。近い将来もう一度訪れようと思う。