北穂高岳 滝谷ドーム中央稜、北西カンテ

2001年7月20日から4日間
櫻井、井上、一ノ瀬(記)


7月19日夜

21:30西国分寺駅→稲核ダムで仮眠

7月20日

7:00頃稲核ダム出発。

寝不足だがさわやかな朝。

8:15上高地、ここで朝食。

今日は北穂・南稜テン場までの予定、だがさすが連休の上高地、やっぱり人、人、人、で富士山夏山状態!追い越してもまた人の列が途切れずその行列の一員のまま14:00涸沢へ。

自分だけがへろへろだと思ったら2人もお疲れの様子、北穂高小屋までゆっくりと時間をかけて登り、16:40テン場着。

夕食の焼き肉丼がへろった腹に染みわたった。

7月21日

起床。

ラーメン食って7:30発。

北穂小屋経由で登山道から三尾根をかなり慎重に下り、20m懸垂して9:00取付きへ。

「私ら3時間待ちですよ」

と順番待ちの1パーティー、前を登る3パーティーとやはり三ツ星ルートだけある。

遅く出た我らは10:30登攀開始。

昨日の暑さで軽い熱中症にかかった井上さん、調子はまずまずだが念のため、と櫻井さんがトップ。

さすが3,000mの高所、もう下からガスがあがりはじめている。

少し寒い。

1P目、短いチムニー。

どう登んねん?手も足も私には取っ掛かりがなく、うろうろしていると上と下から叱咤する櫻井さんと井上さん。

突っ張るのね、なになにザックを降ろして自分と一緒に上げるですか、うんこらどっこいしょ、わーわー言いながらなんとか突破。

3P目からは井上さんトップ。

3人ギリギリのビレーポイントで5P目、最初の一手、左を回り込むにも下が切れててない!ここどうやっていくの!?後続のトップがもう横にいる、早く登らなくては。

しかし右を見上げても打ち手は読めず、やはり左か。

「こわいよう、どどどこに足を手ををー?!いやーわわかんないーっ!!」

焦りと恐怖で半泣き状態、口が勝手に喋りまくる。

「スリングかけてそこに足掛けろ」

ぎゃーぎゃーうるさいので仕方なく櫻井さんが指導。

ようやく体が上にあがる。

(あとで「トラバースであんなに怖がる奴めずらしいよ」と言われた)多分私以上に櫻井さんと後続のトップがほっとしたに違いない。こわかったーこわかったー登れたよぉーよかったぁーと小鼻を膨らませながら、いやいやまだあるんだ落ちれないぞ、と気を引き締めてあとはバリバリA0でなんとか登り切る。

ちょっと調子に乗った頃、終わりが近づく。

ラストのハングを右にいき、全7ピッチ。

終わりだ終わりだ!もう周りはガスで真っ白だった。

ドーム頭16:00。

終了点少し過ぎたところで靴を履き替える。

小屋まで戻り、水をたっぷり買って我が家へ。

小雨降るあやしい空に明日が心配だ。

7月22日

3時、他のテントからのでかい声に起こされる。

暫くして静かになり2度寝を決め込もうとしたら「あ、朝日」

の声に仕方なく5時起床。

すがすがしい青空。

北穂小屋を経由し登山道少し行って、8:30北壁取付き。

左ルート・右ルートを観察したらピンがヤバそうなので、北西カンテに決定。

取り付き準備中、登山者の落とす落石、早くもどこか登攀終了してまた北壁上部をいく5、6人パーティーのガラガラさせる音が滝谷に響く。

トップの井上さんが奥へと進むにつれ、ロープが流れにくくなる。

暫くしてアブミに乗ってがんばってる姿が見えた。

よし、私もアブミだ!初めてのA1にわくわくして進むとまたもやピンチ。

アブミを掛けるピンに届かない!うぇーうぇーいってたら上から井上さんが「桜井さんに助けてもらいなよ」

あ「さくらいさーーん!」

・・返事がない。

数回叫んだら、「あやいち抜けるの遅いからと思って気持ちよくひなたぼっこしてたのによー」と返ってきた。

今日もご指導を賜りやっとこさアブミに足を掛ける。

「私は落ちない、大丈夫」

と願をかけ、ばしばし打ってあるピン古いのまで余すことなく使い、リズムに乗ったころテラスへ這い上がる。

登り終えた嬉しさで最後に乗ったアブミを回収しそこねあせっているとせかされるように桜井さんに回収されてしまった…。

2P目もなんなく?クリア。

いやーしかしアブミって楽しい!と思ってしまった。

終了点12:00。

少しすぎた安定したとこで靴を履き替える。

えさをパクつき小休止していると、「握手しませんか」と急に井上さんが言う。

あらたまられると照れてしまうが3人握手。

「おつかれ」

「ありがとうございました」

せめて今日は午前中には登り終えたいと思っていたが12時ジャストに登攀終了!で一人でむふむふ喜んでいた。

テン場に戻るとなんと20張位あったテントが私達の1張しかなく、さみしそう。

今夜の寝床は涸沢なので我々も撤収、テントをばさばさやっていたら、ポールを折ってしまった。

ごめんなさい。

涸沢ではのんびりまったり。

周りの山々を眺める。

やっぱり山頂付近は午後ガスるのだなぁ、次はあそこいきたいなあ、と夢を馳せる。

7月23日

また周りの人々の声で目覚める。

今日で下山か…あっという間だった。

寂しいな…。

下山中、屏風や穂高を眺め、いつかこようとまた夢を馳せる。

後半単調な道は一人のおじさんと2人のバトルについてってあっという間に昼頃バスターミナルへ到着。

沢渡で久しぶり櫻井カーに乗り込み新島々バスターミナル前の「妙鉱の湯」(400円)で汗を流したあと、少々の渋滞を経て帰京。

車窓からの都会臭い風を受けて思わず穂高へ戻りたくなった。

<感想・反省>

あいかわらず、登攀中の余裕のなさ・記憶力のなさゆえ記録とはいえない感想文だ。

ベースを置いて高所での初めてのクライミングだったが、前週落ちたときの恐怖感・左手首の捻挫をかばうためとはいえ、ヌンチャクスリング掴みまくりの登りや先を考えない登りかたは情けない。

しかしあの滝谷を登ったことはかなり嬉しい。

もっと写真とっとけばよかったなぁ。