丸山東壁 左岩稜・Appendix(敗退)

2001年5月19日
向畑、倉田(記)


去年から数えて何回目になるのかわからないが丸東への計画を立てた。

今回は付き合ってくれそうな人たちを何人か誘ってみたが断られてしまい、また向畑師匠だけ付き合って下さることになった。

腰が悪いのに何時も付き合っていただき本当に感謝。

初めて足を踏み入れる山域なのでいろいろ思いを馳せていた。

ぽかぽかした中、黒部川をてくてく詰め、雪渓で埋まっている川を越え、内蔵助谷へ。

背中のアメリカンエイドの道具が重く向畑さんに遅れ、体力の無い自分が情けない。

思いを馳せていた丸東を見ると体とはうらはらに、登ってやるぞと思う。

1ルンゼ出合いにテントを張っていると、中央壁のダイレクトルートに取付いている2人が見える。

12時ごろ?取付きにつくと、今まで晴天だった天気が一転、雲が張りだし雨雲らしいものも見えてくる。

天気予報では夕方から夕立の予定。

まだ大丈夫だろうと向畑さん。

取付きにはボルトがいくつか。

アペンディックスやメイズのルート途中にも残置がちらほら。

話に聞いていた通りとはいえ、うーん。

壁を前に、準備している最中にぽつぽつ。

向畑さんが、「これ雨かな?。」

私が、「そうですねー。」

と言っていると、結構でっかい音が鳴り響く。

向畑さんが、「これって雷かな?。」

私が、「そうですねー。」

すると、雨が降りだし、本降りに。。

仕方ないので、雨具を着るが、それでも止まなそうなので、ツェルト被って待つ。

待つ…。

雨脚が弱まった間に晴れ間が見えてきた。

私が、せめて1ピッチ。

と言う思いで、岩に取付く。

始めフレンズ、次、ロックス、次、アングルを決めようとした時、願いもむなしく、雨が又降り始めた。

向畑さん、「下りてきたら?。」

私が、「そうですよねー。」

クライミングダウンしてもどると。

向畑さん、「テントへ戻りましょう。」

私が、「そうですね…。」

雨は止む気配も無く、梅雨のような降りに感じる。

(実はこの週から梅雨のような天気が続いたのであった。)

ダイレクトルートの2人組も降りてきた(4ピッチ登って降りてきたとのこと)。

雷雨の中、濡れた岩を見るともうみんな下ることしか頭に浮かばなかった。

最終のトロリーは17時35分。

又来た道を今度は濡れ鼠になりながら、とぼとぼと戻る。

私はヨレヨレになり17時35分ちょうどにバスに倒れこみながら乗り込む。

乗客の人が面白そうにみていた。

うう、恥ずかしい。

計画を立ててもなかなか行けない所ってあるよね。癖がついちゃったみたいに。

とある人に言われたことがある。

今は、あーそれそれと言う感じ。

でもなんで、、、取付きで天候が急変するんだ?岩の神様の天罰だろうか。。

「しばらくは岩を触らない方がいいんじゃない?」

と面白そうに話す向畑さんが私の目の前にいた。

くそー。

次の日、小川山に新たな活路を求めるが、打ちのめされたのであった。

くそー。。