八ヶ岳 旭東稜、権現岳東稜

2002年3月30日から2日間
三好、柴田、池﨑(記)


今回は柴田さんに誘って頂き、三好さんと3人で八ヶ岳の旭岳と権現岳の東稜に行く事となった。

柴田さんと三好さんは先週赤岳東稜を登っており、今回は「八ヶ岳東稜シリーズ」

の完結編という事らしい。

 

3月30日

八ヶ岳・旭岳東稜-ツルネ東稜

前日、雨の国立駅を車で出発して清里駅で仮眠。

清里までずっと雨が降っていて「明日はどうなることやら・・・」と思いながら寝たが朝には雨はなんとか止んでいた。

駅を車で出発して5時過ぎに林道の二股から歩き始める。

しばらく行くと沢沿いにでる。

途中何回か徒渉があり、雪の上を水が流れている所もあり絶対落ちたくない感じだ。

出合小屋到着後、不要な荷物をデポしてヤッケや登攀具等を身に付け7時過ぎに旭岳東稜へ向け出発する。

最初はワカンを使っていたが、途中の樹林の中のやせた尾根の岩稜の下りが自分にはちょっとやばそうだったのでアイゼンに替える。

柴田さんはワカンのまま、三好さんはワカンとアイゼン併用で歩いている。

樹林帯のやせた尾根をしばらく登り、ちょっとした木登り気分の急な尾根を登り5段の宮の取り付きにつく。

ここまで来て気が付けば樹林帯を抜けて天気は快晴。

柴田さんはここで装備を身に付ける。

10:45に5段の宮に取り付く。

5段の宮を全て柴田さんトップ、最終ピッチを三好さんトップで登る。

1ピッチ目の出だしの一手を登り右上の草付きに立ち上がった所で、次の一手が取れずいきなり消耗してしまいそうになる。その後も自分には結構渋い所が多かった。

どうにもならずダブルでアックスで強引に上がったりで、ごまかしながらうやむやのうちに登ってしまった感じ。

最後、5段の宮の抜口では既に柴田さんが崩してくれているとはいえ、こんもりと積もった雪のリッジを乗り越すのは崩れそうな気がしてちょっと緊張する。

5段の宮を抜けるとしばらくは先と同様の雪がこんもり積もったリッジが続く。

リッジをそのまま進んで最後の壁(雪が付いている時期は雪壁?)は三好さんトップ。

草付き混じりで濡れている壁。

オーバーグローブもロープも泥と水を吸っている。

ここを1ピッチ登って終了。

全般的に草付きありありで、アックスさまさまの印象だった。

それにしても、5段とは如何に。

3段くらいしか判らなかった・・・まだまだ余裕がない未熟者。

稜線まで登ると旭岳山頂。風はほとんど無く快晴。

アルプスの山々から富士山まで全て見渡せる。

しばし休憩の後、ツルネに向かって歩き出す。

ツルネ東稜はトレースはなかったが沢山ある赤布や黄色テープに導かれて出合小屋へ。

小屋に戻ると他に1パーティ(お医者さんグループ?)が来ていて小屋内にテントを張っていた。

<タイム>
林道(5:15)→出合小屋(6:40/7:10)→旭岳東稜 肩(10:20/10:45)→旭岳頂上(14:40/14:55)→
出合小屋(17:00)

 

3月31日

八ヶ岳・権現岳東稜-ツルネ東稜

30分程寝坊して4時少し前に起きだす。

シュラフカバーで頑張っていた三好さんは寒かったみたい。

昨日より雲が多い。

天気は崩れてくる予報のようだ。

丁度明るくなり始めてヘッドランプが要らなくなった5時過ぎに出合小屋を出発。

権現沢右又に入りしばらく登ると大きなツララがいくつも掛かった顕著なゴルジュ帯を通り過ぎてすぐに右手の東稜に取り付く。

取り付きの斜面はそれなりに急で雪も締まっていたので斜面の途中の平らなところで自分はアイゼンを付けた。

アイゼンを付けている間に柴田さんはアイゼンなしでキックステップでスカスカ登っていった。

三好さんは小屋からアイゼン着用していたのでガシガシ登っていった。

はあはあいいながら追いかけると尾根に上がってちょっと行った所で待っていてくれた。

昨日の旭岳東稜と同じく、傾斜がきつい所では腿上、時折胸近くのラッセル。

今日はワカンは小屋に置いてきたが、せっかくだから持って来ても良かったかな。

樹林帯を登って行くとバットレス取り付きに出た。

取り付きの直下は草付きにかるく雪が乗った急な斜面。

ビレイ点の潅木までの残り2~3m程がロープ無しでは自分にはちょっとオーバースペックだったので柴田さん、三好さんが登った後にロープを垂らしてもらって登る。

昨日と違って眼下は雲に覆われているが、東稜は時々薄いガスが流れていく程度で天気は上々。

1ピッチ目、柴田さんトップで登り始める。

しばらくしてビレイ解除のコールがきて池崎、三好さんの順番で登る。

とっても暖かかったので素手で登った。岩がほのかにあったかい。

最初の2手ほどが岩ですぐに草付になる。

個人的にはここの草付がいやらしかった。

草付きにピッケルとバイルを突き刺して這い上がる。

ここから草付き混じりの壁を左へ回り込むように斜上していくと広いフェースに出る。

ここまで来てフェースの上部の小さなテラスでビレーしている柴田さんの姿が見える。

フェース自体はどこを登ったら良いのか判りにくいが、ホールドは結構豊富でぐいぐい登っていくとテラスに着く。

テラスにはちょっと間隔が離れているが残置ハーケンが2個。

テラスに若干の雪が残っている程度でフェースにはまったく雪は無かった。

2ピッチ目、柴田さんトップ。

池崎、三好さんの順に登る。

あまり特徴の無い岩の壁を登って傾斜がゆるくなった所で終了。

ロープを解く。

あとは、雪があまり付いていない岩稜帯を登るとやがて稜線の手前で雪のリッジになる。

足元はずっと下まで斜面が続いている。

アイゼンのダンゴをマメに落しながら慎重に歩いて稜線に出る。

稜線でしばし休憩の後、昨日よりちょっと遠くに見えるツルネに向けて歩き出す。

ツルネ東稜はトレースがついたので昨日よりはかなり歩きやすいが、ちょっとでもトレースをはずすとスコンと膝上(あるいは腿まで)まで埋まる。

出合小屋でデポした荷物をザックに詰め込んで帰路に着く。

来るときにいやらしかった徒渉は川底が見えていて昨日とは様子が変っていた。

日に日に暖かくなっているのかな。

最後は雪混じりの落ち葉の積もった林道をあるいて車を駐車している空き地へ。

車で林道を抜け、美しの森の駐車場を通りすぎたあたりからポツポツと雨が降ってきた。

<タイム>
出合小屋(5:10)→バットレス取付(8:45)→バットレスの頭(11:00)→権現岳頂上(11:35/11:40)→
出合小屋(13:55/14:20)→林道車止め(15:30)

※コースタイムby柴田さん(←ありがとうございます m(_ _)m)

 

八ヶ岳 旭岳東稜

2000年1月29~30日
森広、倉田、三好(記)

1月29日(土)

晴れ

八ヶ岳の東面にもそろそろ雪がついてきただろうかと、旭岳東稜に出かけることにする。

日曜から天気が崩れるようなので、なんとか土曜日中に決着をつけたい。

美しの森の駐車場に車を置き、珍しく酒を飲まずに仮眠した後、6:30に歩き出す。

林道に車が入った跡もあるが、すぐにあきらめてUターンしたようだ。

出合小屋8:50。

踏み跡は出合小屋までしっかりあるけど、旭岳東稜には続いていない。

ラッキー。

少し沢に入ったところから尾根に取付くが、赤布等には気付かなかった。

9:45頃には尾根に登り上げる。

雪はヒザ程度、時々ズボッと深くはまり、急登はヤブを掴みアックスを効かせながら進み、14:30上部岩壁の取付きに着く。

倉田さんはやる気満々なので、リードしたいと言いきる。

しかし、非情にもジャンケンとなるのだった。

結果、珍しく、本当ーに珍しいことに森広さんがジャンケンに勝つ。

しかし、思ったより傾斜もきつくて右か左かとやっているうちに疲れてきたらしく、一旦下りる。

で、二番目に勝った私が交代して取り付くと、いいホールドに手が届かない。

すなおに、スリングをアブミにして登ってしまった。

2段目はいい所に木もあるし、簡単と思いきや、やはり手が届かない。

細かいところに立つのも怖い。

えいっと体を伸ばすとなんとか届くが、届いたら届いたでバランスが取れなくなって、足ブラになる。

息を吐き吐き、パワーで登ってしまった。

もたもたして時間もむっちゃかかるし、登り方も全然駄目だ。

3段から先は左手の草付きを登ると登山大系には書いてあるが、傾斜がきつく回りこむのが難しそうで、よくわからない。

ほぼ正面通し右側を草付きアックス登りで倉田さんに行ってもらう。

結局、岩壁が終わったのは16:30過ぎで、暗くなってきた。

暗い中、そんなに安定しているわけでない雪のナイフリッジを通るのは怖いので、ずっとロープは出しっぱなしで、旭岳に到着したのは20:20。

よかったーと硬い握手を交し合う。

しかーし、稜線上のトレースは見事に消えており、疲れた体に股まで埋まるラッセルはきつい。

ヘロヘロな私がすぐにラッセルを交代すると、倉田さんが「もぉーっ」と叫びながら、這い這い進む。

確かにその方が速い。

途中、懸垂も1回やって、21:30ツルネ手前でやっとテントを張ることにした。

風がちょうど当らないらしく、樹木が稜線にまであるよいテン場だ。

今まで飲んだ酒の中で一番好きな屋久島の焼酎をちびちび飲んで、22:30消灯。

1月30日(日)

晴れ?

6:00起床。

夜中から風がかなり強く吹いている音はしていたが、テントには全く風が当らない。

7:45出発。

風が強くて時々立ち止まらなくてはならないほど。

昨日中に登りきれてよかった。

あとはツルネ東稜をひたすら下る。

下りは派生する尾根に入らないようにと思っていたら、赤布がべたべた付けられていて迷いようがない。

ラッセルしていると、雪の表面の凍ったところがちょうどヒザ下に当り、むちゃくちゃ痛くなってきたのには参ったけど。

9:30ツルネ東稜を下りきり、11:55には駐車場に到着。

後ろを振り向くと、稜線上にはレンズ雲が何重にもなって掛かっている。

なかなかお腹一杯、充実のよい山行でした!!

追加:温泉・風呂の入浴料は小渕沢や茅野方面では600円なのが、清里から韮崎あたりでは1,000円になっているらしい。

高いぞー。