谷川岳 一ノ倉沢 滝沢ルンゼ状スラブルート

2006年3月11日
向畑(記)

今年の滝沢はお買い得、ほとんどそれだけの理由で登りに行った。

少なくともここ10年以上毎年見ているが、こんなに滝沢下部が埋まっているのは初めてだ。

そこで、まだ登ったことがないルンゼ状スラブに行くことにした。

11日

2時30分に指導センター出発。

旧道には先週のトレースが残っていたが、標高の高いところは2~3日前に雪が降ったようで、一ノ倉沢の上部では多少新雪が乗っていた。

ただ、くるぶし位までもぐる程度なので、膝やかかとに古傷を抱える身には、かえって歩きやすくて楽だった。

滝沢下部には暗いうちに到着。

10年以上前に第三スラブと間違えて第二スラブを登っていて、今回また、ルンゼ状スラブを登るつもりで三スラを登ってしまうとかなり恥ずかしいので、5時30分を過ぎ、明るくなってから取り付いた。

取り付きのクレバスを慎重に乗っ越すと、わずか一歩で滝沢下部が終わってしまった。

何年か前に三スラを登った時に、ルンゼ状スラブも確認したはずだったが、雪が多いためか、Y字川原もどこだか良くわからない。

行き過ぎたような気がしてかなり急な雪壁を強引にトラバース、左のルンゼに入る。

随分狭いなあと思いながらも登っていると、だんだん岩が出てきて薄いベルグラ登りになる。

さらに50mほど行くと雪壁から小さなリッジに出て、ルンゼは終わってしまった。

何となく、ルンゼ状スラブのさらに左のルンゼを登ったみたいだが、技術的にはそこが一番難しかったかも。

結局、その小さなリッジの右側がルンゼ状スラブで、ブッシュ伝いにスラブ内に降りることができて本当に良かった。

見上げると、200mほど上に一応カーテン状の第一の氷瀑がかかっている。

しかし、近づいてみると、傾斜もスケールも大したことはない。

それでも、失敗は絶対に許されないので、意識して、ゆっくりと、呼吸を整えながら登る。

スクリューが良く効きそうなので、ロープがあれば快適だろうなと思った。

氷瀑の上は再び雪壁で、さらに100mほど上には第二の氷瀑が見えている。

こちらはさらにスケールは小さいが、途中からモナカになってきて焦ってしまう。

その上はさらに雪壁で、7時30分には滝沢リッジに到着。

ルンゼ状スラブは滝沢の他のスラブと異なり、雪壁から直接滝沢リッジに出てしまう。

草付き帯がないのですっきりしていると言えばすっきりしているが、その分滝沢リッジ最上部のドームに続く切れたリッジを登らないといけない。

トレースがついてしまえば簡単になってしまうが、今回、ルンゼ状スラブは2時間程度で終わってしまったのに、滝沢リッジを抜けるのに1時間半もかかってしまった。

どちらかと言えば、こちらの方がロープが欲しかった。

滝沢リッジに出た所で、二ノ沢右壁を上がってくるパーティが見えた。

この2人、後で分かったがYCCの佐野(耕)、畑パーティだったらしい。

右壁側にはできるだけ雪を落とさないようにしていたが、そんなことならガンガン落とせば良かっ………たとは決して思ってません。

ドーム基部9時着。

ここに来るのは4回目だが、ドームも今までで一番埋まっている。

何となく、5~6手程度で抜けられそうな(そんなに甘くはないかな?)気がして、ドームもかなりお買い得かなと思ってしまった。

国境稜線10時着。

西黒尾根を降り、指導センターには11時45分に着いた。