1999年11月7日
向畑(記)、倉田
この時季としてはとても暖かく、11月とは思えないほどの登攀日和だった。
他にクライマーは中央カンテに1パーティ、南稜に取り付こうとしていたのが1パーティだけ。
紅葉も盛りを過ぎたため、出合を占領していたカメラマンもぐっと少なくなっていた。
5時15分頃一ノ倉沢出合出発、ディレッティシマには7時頃に取り付いた。
本谷の水量もぐっと減っているので乾いていることを期待していたが、先週降った雨のせいか、烏帽子はいつもどおりの染み出しで、それなりに濡れていた。
1ピッチ目、変形チムニールート横の凹角を途中まで登ったが、どうみても右のリッジに出てしまった方が簡単そうだ。
という訳で最後までつめないでリッジに出たら、すぐ横に見たことがある変形チムニールートがあった。
これゃいかんと思って、そこからまた左に戻っていくという変なラインを登ってしまった。
下部2ピッチは、ルートファインディングの苦手な私にはとても分かりにくかった。
2ピッチ目、意識的に左よりを登った。
出だし2mほどでぐらぐら動くハーケンがあっただけで、途中かなり厳しいムーブが1ヵ所あったにもかかわらず支点はそれだけ。
フォローした倉田さんによると、土に埋まったハーケンがもう1本あったとのこと。
もしかしたら、ここもラインをはずしてしまったかも知れない。
このピッチで倉田さん1回目のフォール。
3ピッチ目、変形チムニー左側のフェース。
支点は少なく、しかもボルトは年季が入っているが、ラインが分かるので比較的快適。
フェースの上は草付きをたどり、右上してビレーポイントへ。
4ピッチ目、左上にある凹角。
抜け口が悪く、とてもⅣ級には思えないが凹角内には支点があり精神的には多少は楽。
凹角を抜け右にトラバースしたところにあるビレーポイントから、さらに右に行った小ハング下のビレーポイントへ。
5ピッチ目、小ハングを直上し、上部のボルトラダーへ。
途中ランナウトするが、ラダーもフリーで登れ、支点が少ないことを除くと快適なピッチ。
ラダー上のビレーポイントから、さらに右側のリッジを回り込んだところのビレーポイントへ。
6ピッチ目、トポによると出だしは「おおまかな岩場を直上(Ⅳ)」
とあるが、とてもⅣ級で登れそうなラインは見当たらない。
何よりも、支点がないのでどこを登っていいのかよく分からない。
仕方がないのでフレークとブッシュを使って真上のリッジ状を目指し直上、ルート中ここの数手が最も怖かった。
そのあともランナウトして登っていくと、このピッチも上部はボルトラダーになっている。
スラブに連打されたラダーはフリーではちょっと難しそうなので、最初からA0使いまくりで突破。
抜けたところに浅打ちハーケンが3本並んでいる。
さらに上部にもビレーポイントがあるような気がしたが、あと5mのコールがかかったので、ブッシュとつなげてビレーポイントをつくった。
このピッチで倉田さん2回目のフォール。
ビレーポイントが抜けないかと、一瞬ヒヤッとした。
7ピッチ目、やはりテラスを右側に回り込むと、5mくらいのところにビレーポイントがあった。
そこからフェースを直上、ルートは凹角状になっていくが、ここは割と支点があるので、これまでのピッチと比べるとぐっと楽になる。
8ピッチ目、最終ピッチは倉田さんリード。
草付きを少し登ると変形チムニールートに合流し、烏帽子岩基部へ。
13時頃終了。
下降は南稜から直接鎌形ハング下に降りようとしたが、南稜は長いこと降りたことがなかったので、途中で間違えて6ルンゼに降りてしまい、そのまま6ルンゼを本谷バンドまで下ってしまった。
でも、6ルンゼでリチウムのヘッドランプ(ペツル製)を拾った。
ヒョングリの下で水洗いして、はずれていた電球をセットしてみたらちゃんと電気が点いた。
自分が持っているゴムが伸びたやつよりも、かなり新しい。
出合に戻ったのは17時頃だった。
6ルンゼから本谷バンドへの最後の50m近い懸垂で、引きロープと反対側のロープが来なくなり、ロープを切って残置してしまいました。
私の場合、引きロープと反対側のロープが岩角やクラック、草付きなどに絡まり、回収できなくなることがとても多いのですが、どこか私のやり方に問題があるのでしょうか?気づいた点がありましたら教えていただけませんか。