瑞牆山 十一面岩末端壁・調和の幻想、カサメリ

1997年9月20日~9月21日
中嶋(記)、石原

前の週が3連休にもかかわらず雨で中止になったため、wingの加藤さんからの情報を元に「調和の幻想」を急遽登りに行くことにする。八王子集合、黒森の部落はやたら工事していてあせった。

20日 はれ

起きたら10時だった。末端壁でアプローチが近いということもあって完全になめている。でもルートそのものは恐そうなのでびびっていた。取り付きまで来てみると、クラック沿いに濡れていてひどい状態。とりあえずはということで石原から登りはじめる。

1ピッチ目、5.9、20m
途中のハンドが濡れていて悪い。

2ピッチ目、5.9、20m
これは傾斜が落ちたところのクラックが流水溝になっていて悪かった。

3ピッチ目、5.8、10m
中盤のフェースでクラックにしか目が行かないとはまる。

4ピッチ目、スラブ10a?
オフィズス?ハンド?一番恐いピッチだった。特に出だしからクラックにはいるまでのスラヴが最高に恐い。オフィズスはレイバック気味に行ったが、その姿勢ではプロテクションが取りづらく恐かった。ハングした岩に行く手を阻まれたところで左にトラヴァース。

5ピッチ目、ワイドフレーク5.8、40m
出だしでフレンズ#2をきめてから8m程ランナウトしつつレイバック。リングボルトで取ってからまた8mのランナウト。ワイドフレークが終わってほっとしていると、けっこう悪いオフィズスがでてくる。ヒール・トゥと肘・ハンドを駆使して越えると終了点。短いが中だるみがまったくなく、とても充実したルートだった。ギアはフレンズ、エイリアンが1セットずつで足らせた。5ピッチ目のワイドはキャメ#5がきけばそんなにランナウトしないかも。

黒森でビールを買って宴会。

21日 曇り時々雨

どこに行っても濡れていて登れそうにないので、カサメリのモツランド上に行くことにする。途中で細田さんと、アニキさんがテントで寝ていた。ミルクミルクでウォーミングアップ。念願のプラチナムに取り付いてみた。オンサイトは当然無理で、けっこうな無理をして5mほどフォール、石原さんを焦らせた。もしかしたら行けるかもと思っていたのだ。下半分くらいは傾斜を完全に殺せるので、実質途中から上の10手ほど。カチを使ってのきわどいムーブが続く。完全にムーブを覚えてから、石原さんのビレーなどして回復を待つ。Tシャツまで脱いでのトライ。ばっちりチョークアップして深呼吸して取り付く。核心に突入してから頭は真白、よどみなくムーブがつながり気が付くとマントル返していた。思わず叫んでしまった。こんなに気もちのいいのは本当に久しぶり(はじめて?)だった。此のあとカサメリの他のエリアを偵察に行ったがどこも濡れていた。奥のアプローチは結構悪い。いいルートは3本ほど、いずれは行きたい。

 

 

瑞牆山 小ヤスリ岩 ファーストワークス

1997年7月19日~7月20日
細田、中嶋(記)、畠中

18日夜、柳瀬川集合、関越周りで瑞牆に向かう。アプローチの沢の出合いにテントを張る。

19日 晴れ

宴会が長引いたのでかなり遅くまで寝ていた。もっともこの日は上でビヴァークの予定だったので焦らなかった。十一面のアプローチのガレ沢に入らず北沢をひたすら詰め、取り付きを探す。岩雪169号の初登の記録では岩のどの面にルートが引いてあるのか解らないので、周りを偵察しまくった。北面は薮が多そうなので西面と南面を重点的に探したが、記録にある「いちばん右端にある左上クラック」が見つからなかった。西面の中央に走る直上するクラックがもっともきれいで登り易そうに見えたので、意を決してエイドアップをはじめた。

1P目、AA1 40m
キャメロットの#2?3ではじまり、#5が使えるところもあった。一部フリーもまじえ、最後に”広いテラス”に乗りあがったときはなかなかの感動。うまい人ならこれくらいのクラックはフリーで登ってしまうのだろう。

2P目、4級 10m
初登時の記録にある”広いテラス”から、3ピッチ目の凹角までのトラヴァース。広いテラスというのは本当に広くて、途中に岩の衝立を挟んで六畳二間くらいに感じた。

3P目、4級 AA1 15m
脆いクラックをエイドアップしていく。岩がしっかりしていればフリーで行けそうに見える。リードした細田によれば、脆いが技術的にはAA1位とのこと。狭いトンネルをくぐって4ピッチ目取り付きのテラスへ。この時点で17時近かったのでここまでとしロープをフィックス。六畳二間のうちの一間にシュラカバに潜って雑魚寝、酒をあげてあったので非常に気もちの良いビヴァークとなった。

4P目、オフィズス? ボルトラダー 25m
オフィズスは初登記録では10aだが、こういうのは初めてだったのでどのくらい難しいのかさっぱり解らなかった。とてもおっかなかったのは確かで、キャメの#5が役に立った。もちろんテンションかけまくりでした。続くボルトラダーはらくちん、とにかく初登者の方に感謝です。

頂上は思ったより広く、十畳位に感じた。岩茸がいっぱい。下降中、広いテラスから北面に懸垂支点があって、初登時の1ピッチ目が北面にあることが解った。初登時のものの方が、クラックが浅く、泥やコケが付いていて難しそうに見えた。

このルートは全4ピッチと短いが、その分私のようなエイド初心者の練習にはもってこいだと思う。そうでなくても、雄々しく突っ立っている岩塔小ヤスリの上に立てるのだから、かなりお買得なルートだ。