1999年9月1日
森広(記)
6:30頃沢に下る。
最初は火砕流堆積物のようなもので川床ができている。
最初のうちは滝らしい滝はなく、ちょっとしたナメがでてくるくらい。
まるで壺の底のようになっていて暗いウナギの寝床を過ぎると小さな滝やナメが続くようになる。
茶褐色の凝灰岩で、脆そうに見える。
獅子ノ牢は両側の斜面に岩が生えているが、川床は何もない。
この岩は稜線からもよく見えた。
左岸から支流が入ると、滝も今までより少し大きいのがでるようになった。
相変わらず茶褐色の凝灰岩で、柔らかいので岩盤に穴があいて釜になっていたりする。
ここのナメが一番きれいだった。
源流が近づく頃、たいして強くはないが硫化物の臭いがした。
次の滝の隅に薄黄色い沈殿物がついている。
この先も点々とそういうところがあった。
まだかすかに生きている山らしかった。
水がなくなっても溝のような沢をつめていく。
両側笹のトンネルで、足元の石も不安定だ。
二俣になるたびに深い方を登って、できるだけまともに薮に入るのを遅らせるが、ついに溝がなくなった。
笹薮は背丈より少し高く、見通しが利かない。
笹だけのうちはよかったが、低木が増えてくると丈夫な枝がからみあって身動きがとれない。
時速200mくらいじゃないだろうか?クロウスゴが実っていたので、見つける度に味わう。
薮にハイマツが混じってきてから30分ほどで稜線、疲れた。
めんどくさいから頂上は省略したかったが、道はどうでも頂上を通らなければならないようにできていて、道を外れるとすごい薮なのでしかたなく沖武尊、中ノ岳、家ノ串、前武尊の各ピークを通過。
不動岳はそれこそ省略したかったが、一旦こっちの道に入ると戻るのも面倒で、溶岩でできた岩場を通過。
霧で何も見えなくなり、雨が降ってくる。
一旦雨が止んで虹が出たが、しばらくして二回目の雨。
沢の中でも被らなかったヘルメットを、雨よけに被る。
傾斜が落ちてきた頃、すっかり暗くなったのでヘッドランプを灯し、旭小屋を経て川場谷出合いに戻る。