八ヶ岳 赤岳東稜

2002年3月23日
三好、柴田(記)


今年は春の訪れが早く既に桜は満開。

谷川もこの週で打ち止めになってしまったがせっかくのシーズンなのでもう少し雪稜を登りたいと思い三好さんと赤岳東稜に行く事になった。

登山体系やwebで記録を読むと結構時間がかかるようだ。

私の家庭の事情で日曜日の朝6時までに自宅に戻っている必要があり日帰りは至上命令なので資料を総合的に判断し大体13-14時間かかると踏み、午前3時から4時の出発を予定した。

美しの森の隣のKitz Medowsスキー場駐車場に2時前に着き、1時間ほどだけ仮眠することにする。三好さんは大きな目覚し時計を持参しておりこれではアラームが聞こえなかった等と言う言い訳は通用しそうもない。

ところが1時間後に鳴り響くアラームを消してあと5分だけと思って寝てしまい、気がついたら4時30分を廻っていた。

あたふたと準備をし5時15分に駐車場を出発。二人とも寝坊した事に焦っていたみたいで最初は林道でなくスキー場の方に向かってヤミクモに歩いていた。

林道はまだ結構雪が残っていてところどころでスネ位まで潜る。スネだから大した事ないのだけど潜らないと思って置いた足が意表をつかれて潜ると結構疲れる。

林道と別れて大門沢に入り最初の二俣は右、その後は左を取る。

県界尾根から降りている支尾根と県界尾根に挟まれた沢を暫く登り、雪質のいい所で尾根に出ると尾根は広く台地状に広がり二俣が近い事が分かる。

天気は曇りで赤岳方面は灰色の雲に覆われていて見えない。

まあでも天気がいいと雪が腐って登高に難儀するのでむしろ曇りでよかったと思った。

急な雪面を慎重に降りゴルジュ状に降り立つ。

地形からして二俣の上部である事を確信。

ここで暫く休むが時間は7時30分と予定より若干早いペース。

暫くゴルジュ状の右俣を登り傾斜の緩い所から東稜に上がる。

雪は締まっていて快適に登れる。

樹林帯をやり過ごすとすぐに第1岩峰が現れる。

トポ通り左にトラバースし雪壁を登り抜ける。

雪壁の上は短いながらもナイフリッジになっていて美しい。

登攀中の三好さんの姿をカメラに収める。

だんだん天気は良くなりつつあるようだ。

見下ろすと清里あたりの大地を日ざしが照らしている。

第2岩峰の取付きでハーネスを装着し、ロープも必要に応じて出せるようにして左の雪壁へ回り込む。

いつのまにか雪が降り出し積雪期登攀のムードが盛り上がってきた。

傾斜は60度~70度くらいで結構立っているがアイゼンとアックスが良く決まるので不安はない。

また雪は若干柔らか目で蹴り込むと足裏で立つ事も出来るのでフロントポイントのクライミングで疲れたふくらはぎを休ませる事も出来る。

途中あえて望めば岩に移れない事もなかったが雪壁の登攀が安全快適だったのでそのまま雪壁を詰める事とした。

左右のアックスを草付きに引っかけながら登ると上部で傾斜は緩み緩い雪稜の向こうの最後の第3岩峰を残すだけとなった。

右手にはA/B/Cルンゼやセンターリッジが見える。そのうち登りに来たいものだ、と思いセンターリッジのルートを目で追う。

第3岩峰はハイマツ混じりの真教寺尾根の岩尾根と一体化しており岩峰と呼ぶほどの事もなく、普通に歩いて越えるとすぐに主稜線の竜頭峰に出た。

西風がすごい勢いで吹きさらしていた。

結局ロープは出さずに終わってしまった。

時計を見ると午前10時30分。

ラッセルがなかった事と雪面の条件が良くロープを出さずに済んだ事で2時間40分と予定より早く赤岳東稜を終える事が出来た。

下山は県界尾根と真教寺尾根とどちらにするか迷ったが三好さんと相談の結果、赤岳の頂上経由で県界尾根を下る事とした。

頂上でアリバイ写真を撮りトレースの無い県界尾根を下る。

新雪が少々積もっているが雪崩れるほどの量はなさそうだ。

それでもトラバースする時は上部を確認し慎重に進む。

小天狗手前の台地で小休止としアイゼンや登攀具を仕舞いレーションなどを食す。

天候は回復し我々が登った東稜とその右に東壁、ずっと左に天狗尾根などが見える。

気温は思ったよりも低いようでペットボトルの水が氷になりかかっていた。

小憩後樹林帯を斜めに下るが何故かここだけこれまでにないほど雪面が堅くなっている。

アイゼンは先程はずした所であり再度装着するのもかったるい。

結局最後までヤセ我慢してアイゼンはつけなかったが堅く締まった雪面に所々キックステップも効かず木に頼りながらの下降だった。

今回はここが一番緊張した。

大門沢枝沢まで降りるとあとは時折意表を突かれて足が潜るのを我慢しながら駐車場までスタコラ歩くだけだ。

午後1時50分に駐車場着。

三好さんお疲れさまでした。

八ヶ岳東稜シリーズはまだまだ色々あるのでまた行きましょう。

【タイム】
スキー場駐車場(5:15) → 二俣(7:30/7:50) → 竜頭峰(10:30) → 赤岳(10:50/11:00) →
駐車場(13:50)