柄沢山~荒沢山~足拍子岳

2000年2月5~6日
板橋、三好(記)

ラッセルしたい気分になった。

足拍子には南尾根からラッセル訓練と称して4年ほど前に登ったが、雪庇が発達していて怖かったという印象が残っている。

しかも、その頃はへにょへにょで、結局ラッセルに〝ついて行く〟訓練になってしまったことだし、今度はきちんと歩いてみよう!と計画する。

2月5日(土)

晴れ

土樽駅で仮眠した後、越後中里スキー場に移動して車を置く(2日間置いて1,000円)。

7:20歩き出し。

ちょっと歩いてから、私はわかん、板橋さんはテストとしてスノーシューを装着する。

ちょうどリフトが動き始める時間となったので、あまり人の入っていないコースの端をこそこそ辿り、高速リフトの終点についてからはひたすら尾根上を行く。

雪も少なめでラッセルはきつくないが、ヤブが所々出てきて歩きにくいし、急傾斜で息が上がる。

板橋さんが元気にトップを行き、9:55には小さなプレートがある柄沢山に登り上げる。

暑くて、ヤッケなんて着ていられない。

その後は、「春山JOY、JOYですねぇ」とかなんとかしゃべりながらの、のんびりペースでのラッセルとなる。

体がすぽっとはまってしまう(私ははまらずに通過したが)ギャップと、ヤブが出たり、岩が出た急斜面となっているポイントで注意するだけ。

雪庇も発達していないので、それほど慎重にならなくてよい。

ただ、スノーシューはトラバースや下りに弱く、登りも傾斜が強くなると、蹴りこみがし難いので辛くなるとのこと。

岩が出てくるところでは、わかんだけよりは歯のついたスノーシューが登りやすそうではある。

1148m手前の尾根の方向が変わるあたりに11:00過ぎに到着。

荒沢山がきれいな三角錐となって見えるが、それからがひたすら登りとなるのだった。

昨日か一昨日かに降った雪を落として、雪を固め、足を一段一段上げて行く。

荒沢岳山頂に到着したら15:10になっていた。

山頂には今日、カドナミ尾根を往復したらしいトレースが残っている。

念入りに整地をしてブロックまで積んで、ツェルトを張る。

17:15くらいには4~5人のパーティが荒沢尾根から上ってきたが、1分も山頂に居ないで下って行ってしまった。

手足が少し汗で濡れてしまったが、寒くもないし全然大丈夫と思っていたら、板橋さんは足が少ししびれた感じがすると言い、寒そうにしている。

一度、凍傷になると弱くなってしまうというのは本当なのだなぁ。

気をつけねば。

2月6日(日)

高曇り

板橋さんと行くと朝飯はラーメンではなく、リゾットなどになる。

すると不思議なものでラーメンが食べたくなり、下りたらラーメンだぁと決意し、7:20、アイゼンをつけ出発する。

ホソドノコル手前には立った岩が現れるそうなので、潅木を支点に懸垂10mほどでコルに立つ。

今回は始め、足拍子から荒沢山へ逆方向で行こうと思っていたのだけど、岩は直上できないし、岩を避けてのヤブ泥アックス登りもしんどそうだ。

それから足拍子岳まで、ひたすらトレースをつけるのが楽しい。

しばらく行くと股まで潜ってしまうので、私はわかんをつけたが、まだ下りも所々あり、足拍子直下の登りは傾斜があるので板橋さんはスノーシューを履かずにつぼ足ラッセルだ。

ぜぇぜぇしながらも足拍子岳には10:30到着。

前回は天候も悪く冬山っぽくて、この先に高いところはもうないってことでやっと山頂だとわかったくらいだったのだが、今日は高速の車の音も聞こえっぱなしで、高速道と平行して歩いて妙な気分だ。

足拍子からは少しトレースを戻って南尾根に取付き、もういいよって思うくらいに後ろ向きにずかずか下り続ける。

急斜面だが、雪の状態は悪くない。

というわけで、そのまま尾根を下る予定が、土樽駅の見える方向、栗ノ木沢を下ろうなんて悪い誘惑に負けてしまう。

しかし、大きな滝はないものの、案の定、雪にはまりまくり、ブッシュを掴みながらトラバースしまくりのバテバテコースで余計に時間がかかった。

土樽駅には13:30到着。

下り電車は13:48、その次は16:32だから、かなりきわどい時間だった。

今回はずーっとトレースを付けて行くことができたので満足満足ではあったけど、2週間後再び来たら雪がかなり増えていて、もっと楽しそうーと少し残念な気分になった。

その時はえせスノーボーダーになってしまったのだけど、また、この周辺を歩きに、登りに来てみようと思う。

 

 

すばらしき里山、足拍子岳(ホソドノ沢ダイレクトスラブ)

1999年6月13日
関、瀧島(記)

晴れ。

足拍子岳はせこい里山である。

でもその中には日本土着の山の楽しさが凝縮されていて日帰りでも十分に楽しむことができる。

また、悪いスラブや雪渓、ルートファインディングの難しさなど、はまる要素もたくさんありそれがまた楽しみのひとつだと思う。

今回も楽しく充実した1日を過ごすことができた。

旭原の手前の林道をゲートまで車ではいる。

車発(5:40)足拍子本谷はすぐに雪渓となり、ホソドノ沢出会いで水筒に水を入れ忘れていることに気づき側壁のしずくの滴りで何とか水筒を満タンにすることができた。

(6:40から7:10)ホソドノ沢を10分上ると取り付きである。

ダイレクトスラブの取り付きのF1(40m)の正面はへたな左官屋さんがコテでならしたようなスラブでボルト連打でもしないと無理だ。

左岸のカンテからガリーをたどる。

雪渓から岩に取り付くところが少し怖くて、堅い雪渓にバイルを打ち込み確保し太郎君がトップで取り付く。

左岸を4ピッチでF1の上のスラブの中央に立つ。

6ピッチ目が核心のF2で堅いフェースを登る快適なピッチだった。

ダイレクトスラブは上部が3本に分かれて、今回は向かって右側の右方ルンゼに入ったようだ。

稜線まで11ピッチのクライミングだった。

稜線は昼過ぎ。

ここから前手沢を下るか、縦走してから足拍子本谷を下るか迷ったがこの山域の概念をつかむ意味も含めて縦走してから足拍子本谷を下る事にした。

稜線上にはかすかな踏跡がある。

足拍子岳本峰のふたつ手前くらいのコルから懸垂を1回と後は歩いて雪渓の上に降り立つことができた。

安心したのもつかの間、雪渓の状態はやっぱり悪い。

今にも崩れそうな幅1メートル程のスノーブリッジの上を懸垂で下ったり、ぶったぎれた雪渓をいかにして渡るかなど、いろいろと課題を与えてくれる。

なんやかんやで車に戻ったのは夕方になっていた。

旭原に続く車道に出てから、今一度、夕暮れの足拍子岳を心地よい疲れを感じながら眺めた。

幸せな気分だ。

本谷の雪渓がぶった切れているのがよく見える。

コンパクトにまとまった荒々しい姿。

こんな山が好きだ。

太郎君、誘ってくれてありがとう。