黒伏山 南壁中央ルンゼ蒼山会ルート

2001年6月2日から2日間
朱宮、三好(記)


6月2日(土)

中央ルンゼ

黒伏山は全員がはじめてだったので、藪をこぎ右往左往しながら取り付き基部を探し、登り始めたのは9時。

しかも中央ルンゼに登るという2人組の先行パーティーが既に取り付いており、一人は地元の人で何度か来ているような話ぶりだったので、ちょっと位置が違うよなと思いつつ、藪の中でこれ以上右往左往するのも面倒で、次の順番を待った。

時折「これ渋いよー」というリードのおじさんの叫び声が聞こえてきたが、特に気にしなかった。

しかし5級+なのに登ってみるとかなり悪く、プロテクションはたくさんあってしっかりしているがホールドがほとんどなくA1をあっさり使った。

1P終わる頃におかしいと思い始め、後の三好がもう一度取付きを探したところ、だいぶ右の方にトポの写真通りのルートがあるという。

早速ロワーダウンしてやり直した。

実はそこは象の鼻カンテ(見ればそれとわかる)の左側の名も無き凹角ルートだった。

既に10時を回っていた。

1P (朱宮・30m)

快適なフェース、ホールドもたくさんある。

顕著なハングを左から巻く当たりがやや難しい。

2P (三好・30m)

傾斜も緩く容易なスラブから3人テラスへ。

3P (朱宮・40m)

クラックに沿って右上する。

プロテクションもしっかりしており問題はない。

ブッシュに頭を押さえられたら、プロテクションに従って左へトラバースするがやや悪い。

出だしの下につきだしたホールドは動くので注意。

すぐ上に見えたビレイ点で終了。

4P (三好・50m)

右上する凹状のスラブを登る。

傾斜も緩く快適だがプロテクションはやや少ない。

正面に核心部のフェースが見えてくる。

スラブの右側にビレイ点あり。

5P (朱宮・20m)

逆層スラブで気持ちが悪い。

ビレイ点から右の側壁に向かって直上し、垂壁部分に達したらの基部を左へトラバースする。

ルンゼの中央部でビレイ。

6P (三好・35m)

実はルートの核心部はここなのではないかと思われるほどボロかった。

ルートそのものはホールドもたくさんあり、傾斜の割にはそれ程難しくないが、出だしの数メートルは落石に気が抜けない。

実際、朱宮が一個落として、後続パーティー(さっきの人たち)をひやひやさせてしまった。

この時点で1時半。

7P (朱宮・25m)

垂直のフェースの一番最後が問題。

トポには垂直のフレークをヒールフックからマントリングして・・とあったができなかった。A0使用。

直上するのではなく、中間のバンドを左から巻く方が楽だった。

ここをのっこすと傾斜が落ち、階段状のスラブ帯になる。

通常のビレイ点はもう少し上だと思ったが、なんか眠くなってきたので、ここで一旦切った。

8P (三好・25m)

中間の垂直のフェースがフリーではやや難しい。

あとは若干の木登りを交えて最後の垂壁へ。

9P (朱宮・15m)

最初はフリーで越えようと思ったが、あっさり断念した。

細かいホールドがあるので行けなくは無かったかもしれないが、人工混じりで越えた。

このころ眠気はピークに、ビレイしている夢まで見て、下からの声にはっとさせる。

10P (三好・40m)

踏み後のある灌木帯をひたすら上に。3時頃。

11P (朱宮・10m)

一応ロープを出した。

黒伏山南峰頂上まではここから10分くらい。

頂上は藪に覆われておらず、眺めがいい。

特に山形市方面。

帰りはエアリアに載っていた南峰からの裏側を回る登山道を探して降りようとしたが見つからず、尾根上を西に向かって適当に下降した。

所々かなり傾斜が強く滑りやすいので注意。

傾斜が緩くなりしばらく笹藪をこいでいくと、顕著な沢と合流しそのままその沢を下降していくと、本来の登山道に出た。

4時半。

(記・朱宮)

6月3日(日)

柳沢小屋は登山者で一杯だったため、酒をのんびり飲んで騒ぐ(?)こともできず、早々に眠ったが、木下・村岡Pは風の軌跡の残りのピッチとあともう一本登ると言っていたので、蒼山会ルートに取り付く予定の私達は、のんびり出発し、8:30登り始め。

1P (三好)

「ユニット藪と苔」にいつのまにか入っているらしいので、藪は三好の担当となる。

悪い!ざれざれで、傾斜も強く、過重をかければ引き抜けそうな藪を掴み、バランスを取りながら登る。

少し太めのブッシュが出てきて一安心と思って、藪こぎしてゆくと、今度はロープが摩擦で全然のびなくて苦労する。

目の前のビレイ点になかなか届かない。

疲れた。

2P (朱宮)

フリーで行くぞと、息巻いている。

テンションをかけてしまったが、なんとか抜け、4cmクラックのビレイ点で切る。

三好は、なさけない登りっぷりを披露する。

ホールドがザレザレでまるっこいのは怖い。

3P (朱宮)

本来の2Pめの途中で切ってしまったので、次も朱宮が行くという。

またフリーでと頑張るが、すぐにアブミが出てきた。

おじさんと呼ばれる年齢になって、あきらめも早くなったか。

それにしてもほこりっぽい。

まともに目も開いていられない。

ビレイしていると、木下くんが落ちて怪我したと言う村岡さんの声が聞こえた。

結構ひどいらしいので、このピッチを終えて、すぐに懸垂して様子を見に行くことにした。11:00。

木下くんの怪我は手の指が血まみれで、足の小指は打撲っぽかったが、なんとか歩けるとのこと。

指の肉がえぐれたーえぐれたーと叫んでいるし、血も止まった様子だし、傷はそのままで下山して、村岡奥様の治療を受ける。

皮が向けただけよ、皮が邪魔なら歯で引きちぎって登るのよと言いながら、皮を切り、傷口をがしがし、ごしごしと洗っている。

さすが看護婦さん。とても素敵だ。

結局、この夜は山形の栗谷川さん宅でまた酒盛りし、仮眠してから帰ることになった。

栗谷川さん、おじゃましました。

また(?)よろしくお願いします。

蒼山会ルートは全部フリーできっちり進めるくらいうまくなって、ついでに1Pめは他の人がリードしてくれるんだったら、また行ってもいいかなぁ。。。