谷川岳 一ノ倉沢 4ルンゼ

2004年9月21日
大滝、森広、菅野(記)


一ノ倉は雪渓が完全に消えていた。

本谷をつめていくと4ルンゼに出るようだが、本谷核心部の大滝などを横目にテールリッジ~衝立岩~烏帽子沢奥壁~本谷バンドを超えていく。

初・谷川なので岩を見物がてらいく。

4ルンゼは岩の崩壊があり、様子がだいぶ変わったと言う。

F2は左壁から右に落ち口へA0で行く。

F3は上部にチョックストーンのあるチムニー滝で、水が流れていて冷たさを感じもがきながらチョックストーンを登る。

F4が核心であろうか。

右側から登ると少し傾斜があり唯一壁らしいが上部で冷たい落ち口をトラバースする。

後は快適なスラブを登り、最後は延々と草付き登攀。

丁度日が照り暑くなって来た頃、のどの渇きを感じながら、虫のごとくの速さで草付きを登る大滝さんに感心する。

右よりを登っていくと一ノ倉尾根の踏み後にでる。

全体的には岩というよりは沢登りに近い。

国境稜線を抜けて谷川岳~西黒尾根~厳剛新道を下降する。

帰りの国道では両側にたくさん生えているツキヨダケに森広さんが感動する。

駐車場に戻ると行きにはガスっていた谷川の岩壁がよく見えて感動する。

この岩壁を見て登攀意欲をそそり初登した昔のクライマーは偉大だ。

今回、4ルンゼを登り国境稜線に抜けて谷川一ノ倉全体の様子を眺め、谷川がアプローチ~岩場のスケールを含めて魅力的な山なのだと思った。

 

谷川岳 一ノ倉沢 4ルンゼ

2000年3月23日
小谷(記)

立体駐車場1:05発。

センターに計画書を出しラッセルに励む。

雪は踝から脛で、所々膝上になったりトレースが出てきたりと相変わらずだが、積雪量は多い。

2:50一ノ倉沢出合い着。

し~んと静まりかえり、下弦の月があたりを照らす。

快晴無風、-5℃。

装備を付け、ここ数か月間溜め込んだものを一気に吐き出すように歩き始めた(3:15)。

衝立前沢からのデブリが歩き難いが、ここ以外デブリらしいデブリが無い。

雪は踝くらいまでもぐる。

月が沈み、ヘッデンをつける。

5時滝沢下部氷瀑近くに着く。

明るくなってきてしまった。

下方に2人パーティが登ってくる。

ヘッデンを外し、用足しをして出発するも本谷バンドのクレバスが大きく越えられない。

狭くなった所を右へ右へと探すがうまいところが無く南陵近くまで行くと、ヒドンクレパスが突然出てきて危うく落ちそうになる。

少し戻り、下がしっかりしていそうなところを勝負で乗越す。恐かった(5:25)。

後はひたすら雪壁を登るのみ。

2ルンゼを過ぎ、3ルンゼの氷瀑が綺麗だ。

滝沢スラブが真横から見える。

後続パーティは3スラに張り付いている。

3スラのF1近くには氷がびっしり張っている。

周りに見とれながら、4ルンゼの最狭部F4を7時過ぎに通過。

F4と言っても単なる雪面が続いているだけで、ダガーポジションでぐいぐい登れる。

これがやりたかった。

上部カール地帯に入るとあたりは開け、カチカチに凍った雪壁が延々と続いている。

アイゼンの前爪しか入らない雪面にダガーポジションでの登高は疲れる。踏み外すと一気に下まで飛んでいきそうだ。

早く右の尾根に乗りたいが、尾根上も岩が出ていて面倒そうなので、慎重に蹴り込んでは
疲れるとがに股に足を置き最後の詰めまで雪面を登る。

8:05頂上直下の一ノ倉尾根に抜けた。

雪煙を舞上げた風が心地よい。

疲れたのか、緊張が解けないのか、鼓動が収まらない。

快晴で遠くまで雪山が続いている。稜線上は風が強いが、厳冬の寒さは無く歩きやすい。

トマの耳手前でヘリコプターが頭上を何回も旋回してくる。何か連絡した方がいいのかと思いあわててトランシーバーを出すが、出したとたんに行ってしまった。

巻き上がる雪煙で西黒尾根の下降点に迷うが降りてしまえば難なく歩けた。

一ノ倉岳8:30発、肩の小屋9:38、登山センター11:10着。

4ルンゼは特に難しい箇所もなく、一ノ倉沢のど真ん中を一ノ倉岳頂上直下まで一気に上り詰められる気分の良いルートだった。