大井川水系 大根沢

南アルプスに大根沢山という山がある。「ダイコンたくさん」ではなく「おおねさわやま」と言う。この山を源流にする沢はいくつかあるが不勉強な自分は明神谷くらいしか遡行していない。そんな訳で、山名の由来となった大根沢に行くことにした。


中和(単独、記)

概要:
2022/11/03~11/06
信濃俣河内支流の西河内から大根沢にアプローチ。
大根沢支流のブナ沢から寸又川まで下降後、杓子沢を遡行して大根沢山。

11/3 快晴
赤石温泉付近に車を停めて自転車で畑薙ダムに移動。林道をしばし歩いて信濃俣河内に入渓する。渇水期なので信濃俣河内に水の重さはなく、紅葉を眺めながら歩くだけで西河内の出合に到着。

畑薙は紅葉シーズン

アプローチに使った西河内は「何もない」の一言で表現できる沢だ。小滝とミニゴルジュが散見される程度の下降向きの沢で、登って面白いと感じたなら感性が豊かな人だと思う。水源も低くH1400くらいで枯れる。稜線に上がると焚火ができないのでH1600あたりの傾斜地をそれっぽく整地して宿泊。ぞんざいな整地だったので、傾斜でズリ落ちては起きるを繰り返す嫌な夜になった。

11/4 快晴
夜明けと同時にガレた沢を登ってコルを目指す。不安定なガレを登らず、横着して右手の尾根に逃げるとあっけなくコルに出た。
コルから水の少ない沢を下降していくと40分ほどでブナ沢の源流部に出る。ここから杓子沢(地図に名前がないが大根沢山の南西に詰める沢)出合まで3時間で下降できると予想していたが、滝が多く2倍ほどの時間がかかった。
途中、木の根を支点に懸垂したらロープを引けずに登り返したり、大高巻きしてのルートミスもやらかしている。適正な判断ができる人ならもっとスピーディに下降できるとは思う。

H1600付近の12m滝
大滝はないが10mくらいまでの滝が点在

滝やゴルジュで薄暗いブナ沢から一転し、杓子沢の出合は薪も豊富な明るい河原で宿泊好適地。ここより下流の大根沢の中下流部はゴルジュはあるものの小滝と釜が続くきれいな渓が寸又川本流まで続く。この日は大根沢橋よりやや下流に泊まった。

サクラ沢出合の二俣

11/5 快晴
この日は寸又川まで下降した後、杓子沢出合まで登り返して同沢を遡行するのが目的。泊地を出て大根沢を下降していくが、渓相は相変わらず穏やかだ。にしても林業のゴミが非常に多い。大根沢には森林鉄道の支線や営林小屋があったので何となく予想していたが、ブルドーザー、ワイヤー、吊り橋、小屋、森林鉄道など林業ゴミの展覧会となっている。

コマツ製ブルドーザー

左岸の大根沢事業所跡を見送るとすぐに寸又川との出合だが、ここはゴルジュ内に全水量が1mほどの幅で圧縮されて落ち込みとなっている。高さは2mほどなのでトラバースして釜に飛び込めば下降できるが、すぐ横に森林軌道があるので歩いて寸又川に出合う。

上から見た落ち込み

大根沢出合からは左岸林道に上がって時間短縮しようとしたが、この林道は相変わらず崩落地だらけで極悪だった。釣り師によると思われるトラロープが残置されているが、落ちたら良くて大怪我の崩落地にロープの強度も固定方法も不明なゴミで突っ込めるのが信じられない。豆腐メンタルの自分はトラロープに命を預ける気にならず、適当な場所で懸垂して大根沢に降りて杓子沢の出合まで戻った。

画像だと何が何だかわからないが、崩落地にトラロープがフィックスされている

ここからは大根沢の南西に詰めあげる杓子沢の遡行だが、基本的に上に行くほど難しいしヌメる。下流は小規模なゴルジュと小滝のみだが、中流は5m前後のヌメる滝が連続し、上流部はV字谷からの崩落壁という品揃え。
中流部の終わりであるH1580で三俣状になって沢が東に屈曲するが、本流と思われる沢の水は伏流し、地図にない支流からは大量の水が流れこんでいる。地図と現実の不一致にひどく困惑させられたが、一番風格のある本流と思われる涸れ沢を遡行したら正解だったようで、すぐに水は復活した。と同時に左右の壁が立って来てルンゼ状になってくる。快適な幕場は諦めざるを得ない雰囲気だが、H1750付近に奇跡的に平坦な場所をゲットし快適な夜を過ごした。

最上流部。同じような滝が3つ続いて崩落地に出る

11/6 快晴
この沢は詰めが崩落壁なので、どこで逃げるかの判断が核心になる。なまりきった今の体とメンタルで崩落地を登る気になれないので、遡行中も脱渓ポイントのチェックばかりしていた。途中5m滝を高巻きするためロープを使って一段上がると、5m滝が3つ連続する上は崩落地となっているのが見えた。頑張って登ってもすぐに遡行終了になるのがわかったので、懸垂して一段降りて滝下の右岸から脱渓。あとは藪を漕いで大根沢山に到達。この先はほぼ登山道なので、14時前には赤石温泉にたどり着いた。

コースタイム:
11/3:赤石温泉(10:30)-信濃俣林道終点(11:02)-西河内(12:49)-西河内H1600(15:29)
11/4:西河内H1600(5:39)-コル(6:11)-杓子沢出合(14:27)-大根沢橋(15:50)-泊地(16:10)
11/5:泊地(6:40)-寸又川(8:13)-大根沢橋(10:50)-杓子沢出合(11:57)-杓子沢H1750(15:27)
11/6:杓子沢H1750(6:37)-大根沢山(9:35)-赤石温泉(13:50)

装備:
60mロープ、荷揚げ用補助ロープ、トライカム#2まで(未使用)、ハーケン数枚(未使用)、アブミ(未使用)、沢靴(ラバーソール)、軍手、シュラフ


アルパインの岩場における残置やラッペルボルトの是非を語るクライマーは多いが、登山者もペンキと赤札の設置について少しは思いを巡らせても良いのではないか。
もちろん百名山や丹沢・奥多摩あたりの登山道ならば、立派な道標があろうが等間隔で刺々しい色のペンキマークがあろうが何か言うつもりはない。そういう場所だと承知しているからだ。
また、赤札をゼロにしろなどと言う気もない。バリエーションにおいて、ルートの取付きや尾根の下降点に確信が持てないとき、無造作につけられた赤札で一安心したことも一度や二度ではないからだ。
ただ、未整備であることが魅力の深南部において、ペンキや赤札で過剰にルート整備するのは、山域の特性を無視した身勝手な行為だと思えてならない。例えるなら谷川岳や剱岳の岩場をラッペルボルトで整備するのと同レベルの暴挙なのではなかろうか。

過剰なペンキの典型、この後も赤札が連打されている

 

 

笠間 ターゲット

笠間 ターゲット
河合(記)

この冬トライして最も印象に残った1本は?
問われると、それはスプラッシュでも秋雨でも、スカラップでもない。「ターゲット」。この1本に尽きる。
パートナーがおらずひっそり出かけたある日、アプローチで迷いに迷い、何故か鎖場にぶち当たり、ペットボトル転げ落としながら辿り着いた笠間ボルダーで、出会ってしまった。
このルートはひっそりと口を開けていた。ボルダーで3級、リードで5.10cという、よくわからないグレードが付いている。
綺麗に割れた弓状の前傾ハンドクラックで、出だしはフィンガーだ。
笠間で一番美しいのでは、と思う。
高さは取付から7~8m。下地は最悪、斜めの岩盤か木の根が飛び出た急斜面。リードならカムを2~3個決めるだろうか。
チョーク跡は、やはりついていない。
当初、見た目に圧倒され、トライするつもりはなかった。
しかし、石器人スラブの鬼トライを重ねるうち、ソールも心も擦り切れ、あまりに美しい割れっぷりに気が少々触れて「やってみるか」となった。
トライするにはそれなりに葛藤があった。
「万が一にも落ちないか」
「Point of no returnはどこか」
「クラック内のコンディションは?」
「落ちたら大怪我確実・・・でも頭から落ちなければ死なないよな・・・」
最終的にグラウンドアップは諦め、トライ前に抜け口に回り込んだ。
マントル位置に葉がヤバイ量乗っていないか確認(多少乗ってたが無視)。登攀に使わない部分のクラックに手を入れ、湿気と幅に問題がないことを確認。申し訳程度にマット1枚とサーマレストを敷き、やにわにトライを開始。マットの上に落ちられる気がしない。
出だしのフィンガーからシンハンド部分が少しテクニカルだったが問題なく、タイトハンドに手を捻じ込んだ。
「これならクライムダウンできる。行こう」
心は決まった。
後は絶対の自信のあるハンドジャム。
しかし、安全圏から飛び立つあの感覚。
久々に、アルパインをやっていた時の感覚を思い出した。
最後はワイドハンド気味、ジャムの決まりは甘くなったが、予想通りの容易さ。
多分15秒位であっさり片付いた。
リップ部分は、やはり少し枯葉が乗っていた。
妥協して掃除しときゃ良かった。
最後まで手はジャムのみに拘り、丁寧にマントルを返して抜けた。
周りに誰もいない中、一人、小さく「やった」と呟いて、足早に取付に戻った。
こうして無事に抜けられたので、とりとめもない記事を書いている。
この割れ目に触れ合った時間は多分1分に満たないけど、凝縮された時間だった。

そもそも、私はメンタルが弱い。
クライマーのくせに、安全圏から離れることが嫌いだ。
当然ランナウトが苦手、RやXの付くルートは基本、興味の外だ。
今回、自分の興味とは真逆のルートに触れて体感したのは何か。
それは、精神的な、目に見えない部分での「クライミング」だった。
この手のクライミングの、安全圏に抜けた時の、全身から迸る充実感は、筆舌に尽くし難いものがあることもわかった。
でも、登ってみて思う。
こういうクライミングは、苦手だ。
私の芸風ではないし、適性もないことも何となくわかった。
どっと疲れを感じつつ、再び石器人スラブでソールと心を磨く作業に戻った。
【蛇足】
・体感グレードは、多分リードしたら5.10b位。5.10cはかなり甘いと思う。
・ボルダーグレードの3級は、オンサイトトライでの葛藤を加味していると思われる。
・間違っても、ハンドジャムのできない人や、やったことない人が、グラウンドアップ・
ロープなしで取りついてはいけない。
・もう二度とやりたくないと今は思っているけど、また気が向いたら登ってしまう可能性
もゼロではない。
・ボルダートライは全くお勧めできないけど、クラッカーが自らを試す一本にはなると思
う。(リードすれば楽しいと思います!)

瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア

瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア
河合(記)

アレアレア。
名前を見るだけで特別な感情がこみ上げる。
初めて買ったマルチピッチトポ「日本マルチピッチ」でこの名前を知ったのは10年前。当時は遙か雲の上の存在で、自分がトライする日が来るとは思わなかった。5.12マルチ黎明期に菊地敏之氏により開拓された、憧れのルートだ。取りつく人が未だに少ない本ルート、せっかく登ったので少し詳し目に紹介してみる。

以下注意!
このルートを本気でトライ予定の方には、野暮な情報てんこ盛りなので、行き詰まるまで見ない方が良いと思います。また、ムーブやプロテクションを記載しているので、オンサイト(下から通しでは誰も成功していない?)を狙う人もこの下を読まないで下さい。

【ルート解説】
・アレアレア 5.12b 10ピッチ
(使用ギア)
ヌンチャク12
カム0.25、0.4×2、0.5、0.75、1、2、0.2/0.3、0.3/0.4、0.4/0.5、紫、赤リンクカム

(1ピッチ目:5.11d:30m)
・燕返しのハングの右端からスタート。最初はハーケンとリングボルト、すぐにハンガーボルトが出現し核心に入る。核心は直上してから右上するのがオリジナルラインとのことで、ボルダー2~3級程度のパワー全開のリーチが必要なボルダームーブ、小柄だと辛い。右に大きくトラバースしてから直上し核心を巻くこともできるらしいが、プロテクションのハンガーボルトから大分離れるし、岩も脆そう。
核心後は遠いホールドを処理しつつ右上し、ハングから抜け出す所が第2核心。ここは以前あったと思われるガバのもげた痕跡があり、脱落部分はブランクなので、初登時より難しくなっているだろう。
ハングを抜けると、コーナークラックに入る。ハーケンがあるけど、カムも必要。最後はフィンガークラック。同様にボルダリーな砂の塔5.12aより少し難しく感じ、11台とはとても思えず、体感5.12a。

1ピッチ目
(2ピッチ目:5.7:20m)
・ハーケン、リングボルト、RCCボルトラダーのスラブを直上気味に辿った。オリジナルラインにはほとんどプロテクションがないらしいので、私の登ったラインはオリジナルとは異なるようだ。ボルトラダー沿いに登ると5.7では済まず、ホールドも分かりづらくて、体感5.10aのスラブで油断できない。

2ピッチ目

(3ピッチ目:5.7:20m)

・ベルジュエール3ピッチ目と共通で、フェイスを登り、最後灌木帯に入る癒しのピッチ。体感5.8。2、3ピッチは容易にリンクでき、合わせて40m弱。

3ピッチ目

(4ピッチ目:5.12a:30m)
・フェイスのピッチだけど要所でカムが必要。出だしは3ボルト左カンテを登る。出だしのランナウトが激しく岩も風化気味、5.10ノーマル程度だけど慎重に。2ボルト目の位置に戦慄!その後、右に大きくトラバースして垂壁に入り、ボルトにクリップしてからボルダー2級程度のボルダリーな核心をこなす。ヌメっていると辛いところ。その後、穴やクラックにカムを決めつつ直上、右に微妙なトラバースをこなし、最後にランナウトで5.10d程度のカンテを登る。変化に富んでいて面白い。私が瑞牆で登った他のフェイス5.12aルート全て(太陽の登1、2、5ピッチ、ギャラクシアン、医者の娘、砂の塔等)より難しく感じ
、体感5.12b(易し目)。一緒にトライした川上さんも「人生最難の5.12a」とコメント。

4ピッチ目

(5ピッチ目:5.7:20m)
・一度ダウンクライムしてルンゼに入り、よく濡れている苔だらけのコーナークラックを登る。1つ目のプロテクションセットまでが怖い。これも5.7では厳しく、短いながら悪く感じ、体感5.9。ロープを余分に伸ばせば、白クマのコルから途中離脱可能。

5ピッチ目

(6ピッチ目:5.12b:20m)
・本ルートのハイライトとなるフィンガークラック。プロテクションには特に注意が必要。出だしは浅い溝やフレアードクラックのため、プロテクションセットが困難、初登時は残置ハーケン2つをフィックスドプロテクションとしたとのこと。しかし、現在は上側のハーケンが折れて消失(誰か落ちたらしい。無事だったのか?)、下側の1本のみ。そのため、ハーケンのみをプロテクションとして核心ムーブ後半で落ちると、確実にグラウンドフォールだ。
しかし、オフセットカムやリンクカムを使えばプロテクションは一応セットできる。私は残っている下ハーケンを0.2/0.3オフセットカムで補強(効きは良い)、その上に紫リンクカム、一度クライムダウンしてアグレッシブテスト後に突っ込んだ。鍵となる紫リンクカム(オフセットカム0.4/0.5も効く?)は、頑張ればまぁまぁの効きでセットできるけれど、固め取りできず、位置が少しでもずれるとアグレッシブテストで容易に吹っ飛び、大墜落に耐えられるかはわからない。核心ムーブを起こしながら追加でマスターカム青色や灰色もセットできるけど、とても力を使うので大変。このような状況のため、出だしは現在PD相当だろう。
ルートは、出だしの数手が核心でボルダー2級程度、その後小核心こなし大レスト、その後レイバック主体の5.11-程度のフィンガークラックを登る。レイバックが多いので疲れるし、プロテクションセットも結構シビア。残置ハーケンが4箇所位あるけど、使わないでも登れる。日当たりが良いのでヌメるとしんどい。春うらら2p目5.12aより核心ムーブとプロテクションは明らかに厳しいけど持久力的には易しく、体感5.12b(易し目) PD。
このピッチのみをトライする人も多いらしいけど、ショートピッチトライとマルチピッチの6ピッチ目としてのトライは全くの別物で、このピッチの真価は下から繋げてきた時にこそ体感できると個人的には思っている。

6ピッチ目

(7ピッチ目:5.11d:30m)
・全く油断ならないピッチ。オリジナルラインは、ピナクルに登ってボルダー1級程度の地ジャンから始まる極悪の2手をこなす。初登者の菊地氏にトライ中にお会いしたので伺ったところ「地ジャンはしていない」とのこと。しかし、私より遙かに強い再登者達も地ジャンしたそうで、初登時とホールド状況が変わっているかもしれない。
ところが、川上さんが、右から回り込む画期的なラインを発見した。リーチが必要だけど、5.11+で収まる強度だ。やはり現地で菊池氏に伺ったところ「その(川上さんの)ラインでは登っていない」とのこと。
ルート攻略は出だしが鍵。オリジナルラインはランジ一発、飛び先のホールドはいまいちで、微妙な体のコントロールが難しい。できる人は多分すぐできて、できない人にはずっとできない系のムーブ。川上ラインはホールドを見出すのが核心、一見不可能そうだけれど、絶妙に続いている。キーホールドが遠いので、身長165cm未満の人に川上ラインは不可能かもしれない。出だしの核心をこなすと、ホールドのわかり辛い5.10c程度の右上スラブ。プロテクションはほぼリングボルトで一部RCC、一部抜けかけていて怖い。最後は簡単な5.7程度のクラック。ベルジュエールの終了点の太い灌木でピッチを切った。トータ
ルで体感オリジナルライン5.12b(と言うより、1級のボルダーと言う方がしっくりくる)、川上ライン5.11d(易し目)。オリジナルラインを経由するなら、間違いなくダントツで人生最難のイレブンルート。

7ピッチ目

(8ピッチ目:5.10b:35m)
ここからはベルジュエールと共通。前半はチムニー登りからステミングを交え傾斜の緩いコーナークラックを登って5.8位。プロテクションはスリングで延長しておかないと後で地獄を見るらしい。後半は逆イの字に見えるT字クラックで快適なレイバックとハンドクラック。体感5.10b。

8ピッチ目

(9ピッチ目:3rd:30m)
・クライミング要素はほぼなく、走って登れる。

(10ピッチ目:5.8:20m)
・出だしの被ったクラックは少々トリッキー。後はクラックを少し登って最後は簡単なスラブ。体感5.9。

10ピッチ目

【体感グレード】
〇トポのグレード(トポによって微妙に異なる)
5.11d→5.7→5.7→5.12a→5.7→5.12b→5.11d→5.10b→3rd→5.8
〇体感グレード
5.12a→5.10a→5.8→5.12b→5.9→5.12bPD→5.11d→5.10b→3rd→5.9
私のグレード感は大分甘いようだ。「太陽の登」は3ピッチ目5.12c(5.12bに感じた)以外はトポ通りに感じたのだが…

【実際のトライ】
ほとんどのトライを秀峰の川上さん、1日ずつ秀峰の玉置さん、山崎さんに無理言って付き合ってもらった。深く感謝。
(1日目:2020年夏)
全体像把握のため7p目までトライ。難しいピッチは何れもRPできず、一部ムーブもこなせなかったけど、ある程度勝負になることを確認。ただ、この後が長かった…
1p目5.11d:河合×、川上フォロー×
2p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
3p目5.7:河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a:川上×、河合フォロー×
5p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
6p目5.12b:河合×、川上フォロー×
7p目5.11d:川上×フォロー×、河合×
(2日目:2020年夏)
4p目まで到達するも、ヌメりに負けて4p目はRPできなかった。翌日のトライ用に1~3p目をフィックス。
1p目5.11d:川上×RPフォロー×、河合×××RP
2p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
3p目5.7:川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a:河合××、川上××
(3日目:2020年夏)
2日目の翌日、朝イチで3p目までユマールして、早めに4p目をトライし何とかRP。かんかん照りになったので午前中に白クマのコルから脱出。
4p目5.12a:河合×RP、川上×フォロー×
5p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
(4日目:2020年秋)
秋遅くに白クマのコルからベルジュエールの大フレーク経由で、7p目と6p目をトライ。コンディションは割と良かったけど、7p目の地ジャンは止まらなかった。6p目はトップロープで探り、ムーブは全て解決するも、問題はプロテクション。
7p目5.11d:河合××、川上×フォロー×
6p目5.12b:河合××、川上××
(5日目:2021年春)
大フレーク経由。7p目で地ジャンしまくり、遂に止めるも、その後のムーブを詰めておらずRPできず。シャウトでお騒がせしました。川上さんは別ラインを探り、見事発見。これなら5.11dで登れる!ということで、ランジが止まらなくなった私も新ラインに参戦し、やっと7p目のRPに成功。6p目は残りの時間にトップロープで探るも、ランジの失敗で指がズタズタ血だらけ、まともにトライできなかった。
7p目5.11d:河合××××RP(川上ライン)、川上××××
6p目5.12b:河合×、川上×
(6日目:2021年春)
大フレーク経由。前回オリジナルラインでは7p目がRPできず悔しかったのでRPするも、地ジャンは何回か失敗で確率は低い。川上さんは自分のラインできっちりRP。その後、6p目に本腰入れて取り組む。トップロープ2便でムーブ、プロテクションを固め、残り2便はトップロープだけどプロテクションセットありでもノーテンションで繋がった。でも結構ギリギリだったので、いつリードするか悩む。
7p目5.11d:河合×RP(オリジナルライン)、川上RP(新ライン)、フォロー〇
6p目5.12b:河合××‐‐川上×××××
(7日目:2021年秋)
個別RPの完了が見えてきたところで梅雨入り、夏に新型コロナウイルスに感染し肺炎を発症して病院送り、後遺症で長きに渡る自宅療養、振り出しに戻ってしまった。2ヶ月半ぶりのクライミングで山灯花5.13aトライした翌日にアレアレア。無謀と言う他ない。当然、ズタボロにされた。1p目で指先の皮が破れて大流血、ホールドを血まみれにしながらヨレヨレトライ。2p目5.7のスラブのフォローすら落ち、最後は中指人指し指全面をテーピングぐるぐる巻きにして4p目の核心をトライ、引きつけられずムーブが起こせなかった。悔しい。川上さんは4p目をフォローながらノーテンで上がってきて、昨年からの成長を
感じられたようだ。
1p目5.11d 河合×、川上フォロー×
2p目5.7川上〇、河合フォロー×
3p目5.7川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a川上××フォロー〇、河合×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
(8日目:2022年4月10日)
この日は甲府で27℃と初夏の陽気、しかしアプローチは所により膝下の雪で濡れた。前日の湯河原幕岩ボルダーの疲労を引きずりつつ、10ヶ月ぶりの6p目トライ。核心の青エイリアンをセットしていたスロットが何故か広がっていてスカスカ、仕方ないのでマスター青を入れたら見事スタック、ゴリゴリ引っ張ったら取れたけどクラックの幅が広がってしまった。ごめんなさい。ホールドとしては使わないはず。上部のハーケンも1本抜けていて、ホールドも壊れていてムーブとプロテクションの変更を余儀なくされた。岩の風化が進んでいて脆い部分があるので注意が必要だ。1便目は下部をエイドしてトップアウトし
2便目でムーブとプロテクションの確認と修正。出だしの紫リンクカムを上手く決める方法を見つけた。これは今日中に行けそうということで、3便目は出だしのみリハーサルし、トップロープを引き抜いた。そして夕方の4便目で意を決してRP。緊張した。川上さんも昨年できなかった核心を解決し、トップロープながらノーテンとなった。さぁ、次はワンプッシュだ。
6p目5.12b 河合×××RP、川上×××-×
(9日目:2022年6月18日)
仕事が忙しすぎたり、風邪引いたりで、2ヶ月ぶりの外岩復帰。リハビリ初戦にアレアレアという無茶。当然のごとく各駅停車だったけど、全てムーブはこなせた。今回は山崎さんに付き合ってもらい、難しいピッチは全てリードさせてもらった。7p目(ランジは3位飛んだけど止まる気がせず川上ライン経由)を終えたところで雨が降ってきて時間切れ。
山崎さんは手応えあった模様(?)。私はボロボロでめちゃくちゃ疲れた。
1p目5.11d 河合×、山崎フォロー×
2p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
3p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
4p目5.12a河合×、山崎フォロー×
5p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
6p目5.12b河合×、山崎フォロー×
7p目5.11d河合×、山崎フォロー×
(10日目:2022年6月25日)
遂にトライ日数が二桁になってしまった。既に甲府は37℃、灼熱が予想されたけど、玉置さんに付きあってもらい下からリトライ。今回はオールリード。リード&フォローよりリード固定の方が休めるし荷物も軽いので楽なことがわかった。
1p目は出だしのボルダームーブは気合でこなすも、後半のハング抜け口で落ちてしまい、その後コーナークラックの抜け口でも落ち、2テンションで抜けた。やり直すには体力に不安があったのでそのまま継続。2、3p目を無難にこなし、4p目の極悪垂壁へ。しっかり左手で保持り倒して渾身のデッドを止めた。そのままノーテンで5p目までこなす。
6p目は、ワンプッシュ成功の可能性ある時以外は出だしの危険ゾーンをリードしないことに決めていた。紫リンクカムの渋いセットを練習してからハンドゾーンまでエイド、一度降りてからノーテンで上まで繋げた。7p目は川上ラインを経由して問題なく再登。時間に余裕があったので、4年ぶりにベルジュエールのT字クラック8p目5.10bを登った。実はこのピッチは初めてのリード。ロープの流れが悪くなりそうなのでT字クラックの下でピッチを切った。今までのピッチに比べれば大分楽だったけど、雨が降ってきた。9p目の3rdを駆け足でこなして撤収。十一面岩山頂は、ワンプッシュ成功時まで取っておこう。かな
り疲れたけど、体が動くようになってきた気がする。
1p目5.11d 河合×、玉置フォロー×
2p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
3p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
4p目5.12a河合〇、玉置フォロー×
5p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
6p目5.12b河合△、玉置フォロー×
7p目5.11d河合〇、玉置フォロー×
8p目5.10b河合RP、玉置フォロー×
9p目3rd河合RP、玉置フォロー〇
(11日目:2022年7月2日)
3週連続アレアレアを下からトライ。そして3週連続で雨に降られた。今回は再び川上さんが、スピーディーフォローで、ワンプッシュを完全サポートしてくれるとのこと、ありがたい限り。
予報では午後早くから崩れる感じだったので夜行して、6:55に登攀を開始した。流石に3週連続なのでムーブは大体覚えていて、スムーズに1p目を突破。しかし前の週より湿度と気温(この日甲府は36.5℃)のせいか、日差しはないのにヌメっている。2、3p目も問題なくリンクし、途中でベルジュエールパーティを抜かせてもらった。4p目は、左手がヌメりでしっかり保持れず、何度もチョークアップして意を決してデッドしたら止まった。後半のカンテもヌメりで気持ち悪く、足が切れたりしたけど押し切った。5p目は出だしノープロで怖いけど、流石に慣れた。
そしてついに6p目に到達した。鍵となる紫リンクカムが一発でベストな位置に決まった。行くしかない。心を落ち着け、集中を限界まで高めて意を決して突っ込むも、出だしのレイバックホールドがヌメって発進できない。スタートの足位置を調整したらスリップ、あっけなくテンション。逸る心を落ち着けて、少し間隔を置いてからやり直す。今度は発進できた。出だしのレイバックがかなりギリギリですっぽ抜けそうだったけど歯を食いしばって耐えた。届いたフィンガージャムもヌメった!もう危険ゾーンに入っていてやり直しは利かない。スパークしそうになる頭を、もう1人の自分が「落ち着け」と宥める。冷静
にガストンし、フィンガージャムを改めて渾身の捻りでバチ効かせた。指よ、ねじ切れてしまえ。「大丈夫だ、行ける」。スタティックにハンドクラックへ。その後の小核心を越え渾身のデッドでガバを取ったところで一旦緊張の糸が切れ、気がついたら大絶叫してい
た。お騒がせしました。その後、もう一度ギアを入れ直し、パワフルレイバック音頭をこなして終了点へ。なんと表現してよいのか、とにかく凝縮された時間だった。しかし、こんなに頑張ったのに雨がぽつぽつ来てしまった。がっくし。
雨が辛うじて一旦落ち着いたので、急いで登ることにした。7p目は川上ライン経由、フルパワー気合一発でこなし、ベルジュエールのパーティを再び抜かせてもらった。8p目は時間がないので、ロープ流れが悪くなること覚悟で途中ピッチを切らずに繋げたら、途中のランナーは結構伸ばしたのに、最後は綱引きになった。8p目終了点では雷鳴が鳴り響き、再びぽつぽつ来始めた。走って9p目を1分でこなすも、10p目のスタート時点でザーザー降り始めた。これまたダッシュの2分クライムで十一面岩てっぺんに着いて、とりあえず叫んで2秒後にはロアーダウンで下降開始。川上さんを十一面岩頂上に上げる時間はなく
、すぐに横殴りの嵐。しかもロープがロープに乗ってスタック、大雨の中登り返すはめになり、すぐ処理して岩陰に逃げ込んだ。寒い。後1分遅れたら完登を逃した可能性が高く、ギリギリのタイミングで、12:25完登!全く余韻に浸る暇はなかった。途中から急いだ
せいか5時間半と、難易度の割にはスピーディーに登れたと思うけど、その分疲れた。大雨は30分程度で上がったので、冷えた体を日光浴で温めてから、ゆっくり下った。
1p目5.11d 河合〇、川上フォロー×
2p目5.7河合〇、川上フォロー〇
3p目5.7河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a河合〇、川上フォロー×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
6p目5.12b河合×〇、川上フォロー×
7p目5.11d河合〇、川上フォロー×
8p目5.10b河合〇、川上フォロー〇
9p目3rd河合〇、川上フォロー〇
10p目5.8 河合〇

ワンプッシュ完登後

(全体を通じての印象)
・10ピッチに及ぶマルチなので相応の体力は前提として、本ルートに重要なのは悪いムーブをヨレた状態でもこなせるような、瞬間的な出力を維持する力だと思う。5.11+~5.12-の各ピッチでは個性的かつ強度のあるボルダームーブが次々と待ち受けている。内容は前傾壁からスラブ、クラックと変化に富んでおり花崗岩のオールラウンドな能力が必要だ。容赦のないランナウトや難しいプロテクションセットが要求され、残置プロテクションも良くないので、易しいピッチを含め全般にグレード以上の厳しさを感じる。疲労が蓄積した状態で、落ちられないフィンガークラックの最大核心が待ち受けており、フィジカルだけでなくメンタルの強靭さが求められる。内容は濃く、グレードよりは内容を求めるトラッドなクライマーにお勧め。マルチピッチ特有の全身疲労の中で、祈るように一手、また次の一手を出していく、そんな完全燃焼ができると思う。こんな厳しくも素晴らしいルートを開拓して下さった初登者に感謝。
開拓者は、ヨセミテのアストロマンのような経験を日本でもできる場を求め、本ルートを開拓したと言う。私は本家アストロマン未経験なので、アレアレアを登って、改めて開拓者にそこまで言わしめたアストロマンを是非トライしたいと思った。

奥只見 袖澤南沢岩穴沢左俣 白石沢スラブ

202291718

川端・右田(記)

新潟県魚沼市の奥只見シルバーラインの長~いトンネルを抜けた先の秘境に奥只見湖がある。その山肌に雪崩に磨かれた大スラブの絶景があるそうなので行ってきた。

9月16日

奥只見ダム駐車場

9月17日

奥只見ダムの駐車場から歩き始める。袖沢から南沢の途中までは林道歩き、そのあと林道は崩壊しているため沢に降りる。そこで沢靴に履き替えてアプローチシューズをデポ。沢靴にしたが伏流しているため少しの間、乾いたゴーロ歩き。間もなく岩穴沢出合(Co720)で水流もあり沢登りの雰囲気となる。左俣を進み先の二股は左沢を選択。この二股まではナメが多いが1ヶ所悪い滝があり川端さんはジャミングで抜け、私はトライするも断念しロープ出してもらう。左沢の入り口は狭く見逃してしまうほど。ヌメヌメスラブ滝は左岸を巻いたが足元は崩れまくって悪かった。そのあとは3段のヌメヌメ滝、川端さんは沢バイルを使って抜けたが持ってこなかった私はロープ出してもらう。

その後、開けた場所にでて詰めの全容が見えた。無理でしょ~!稜線に続くのは垂壁に見える水の滴る岩壁だった。左岸は傾斜がまだマシに見えてのでそこから支尾根に上がることにした。藪斜面を木登り状態の3ピッチで尾根に乗り猛烈な藪漕ぎが始まった。Co1220のピークを目指し、そこから今度はキャンプ地のCo780まで白石沢左岸尾根を下る。藪を漕ぎ始めて6時間が経ち二人とも手持ちの水がなくなり、日も暮れてヘッデンで藪を下る。今日も残業か~!闇の中、傾斜がきつくて足場がなくなったりするのでロープを出し進む。豪雪地帯のため斜面の木は根本から下向いちゃってる。支点といっても気休め程度で懸垂で降り始めるとズズズとロープが抜けそうになる。Co800付近から懸垂下降すると藪が切れスラブとなり地面が見えた?ん?暗くて見えない。さざ波?ダメだ~!ダム湖だ~!降り立つ陸地がなく登り返す。そこからは40mほどトラバースし懸垂でやっとこキャンプ地に到着。

キャンプ地は白い砂地で沢水があり快適そのもの。沢ではヘッデンに無数の目が反射している。海老だ。

川端さんと焚火を囲んで宴。寝転んで満点の星空を見たりしている内に日付けが変わる。もう寝よう。

918

今日も何があるか分からないから。としっかりと水を汲んで歩き始める。沢を進んでいくと大岩にぶつかり、クライミングシューズに履き替え、右岸のスラブを登って巻く。間もなく白い大スラブの中に入っていく。この景色を求めて来たんだ、目に焼き付ける。

 

登りやすそうなところを登っていたら1081ピークに出た。もっと下降に近いピークに出たかったのに・・・。稜線はまた濃い藪で覆われているため漕ぐ。1時間半ほどでCo1190、そこから沢地形を下降し岩穴沢左俣右沢に入る。右沢は下降に踏み後があったり、途中の懸垂では残置スリングがあった。あとは来た道を辿って駐車場へ。

白石沢スラブがメインのつもりだったが、そこまでのアプローチが印象深く思い出になる山行だった。楽しかった~!軽いノリで一緒に行ってくれた川端さんに感謝です。ありがとうございました!

コースタイム

917日 駐車場630~南沢830~岩穴沢左俣左沢左岸尾根1230~キャンプ地2010

918日 キャンプ地7301081ピーク1040~岩穴沢出合1430~奥只見ダム1730~駐車場1810

装備

ハーケン(使用せず)、沢バイル、沢靴フェルト、ロープ30m、クライミングシューズ

錫杖岳 注文左ルート

錫杖岳 注文左ルート

2022年6月18日~19日

船戸(記)、玉木、小森、早田

注文左ルートの存在についてはトポなどで冬季登攀のルートである事は知っていたが、無雪期にも登攀出来る事を錫杖開拓で有名な石際さんのブログで知り、ずっと興味を持っていた。今回は玉置さんが付き合ってくれるとの事だったので、ついでに若手2名(小森・早田)にも声を掛けて4名で行ってきた。

・6月18日
前日夜の内に、中尾高原口に着いて仮眠後入山。初日は船戸・早田が左方カンテ、玉置・小森が1ルンゼへ。

早田くんは初錫杖だったが、(ブツブツと独り言を呟きながら)頑張って全ピッチノーテンで登ってきた。

4ピッチ目で挟まる早田くん

それにしても、気になったのは左方カンテの残置の多さ。特に核心の6PのCS周りには、捨て縄が2~3本ぶら下がっていた。
あそこをA0して越える事の是非はさておいても、簡単に回収出来るはずのものを置いていくのはどういう了見なのだろう。
とりあえず今回は全てナイフで切って回収しておいたが、最近どんどん増えてきている注文ルートの残置カム然り、もう少し岩場とルート開拓をされた方々への敬意を持った方が良いのではないだろうか

そんなこんなで、我々は16時過ぎくらいには錫杖沢出合のテントに戻ってきたが、玉置・小森が中々戻ってこない。川で冷やしたビールを目の前にお預けを喰らうのは辛いが、ボチボチ帰ってくるだろうと当初は待っていた。ところが17時を過ぎ、18時目前になってもまだ降りてこない。あの二人ならば問題は無いはずだが・・・万一の事を考えるとアルコールを飲む訳にもいかず、18時過ぎたら流石に様子を見に行くかと思っていたところ、ようやく沢の上部に玉置さんが現れた。

続けてその後に小森くんが現れて手を振っている。こっちは2時間近く飲むのを我慢してるのに、呑気に手なんか振りやがって・・・
良いからさっさと降りて来い(怒)

プレモルのエール、お勧めです

・6月19日
夜中にテントを叩く雨の音で目が覚める。結構しっかり降ってるし明日はダメかなーと思いながら再度眠りに落ち・・・たのだが起床時間の1時間近く前に、外が騒がしくて起きてしまう。小森・早田ペアが朝っぱらから盛り上がってるようだ、心の中で二人を一通り罵倒した後、諦めてこちらも起床する。

地面を見ると、思ったよりも濡れていない。とりあえず取り付きの北沢大滝までは行ってみるかと、いう事になる。
北沢大滝に着いてみると、既に先客が登り始めていた。岩も乾いてるように見えるし、予定通り登攀する事に。前日と同じく船戸・早田、玉置・小森のペアだが、早田さんに無理を言って自分が、全ピッチリードさせて貰う事に。ありがとうございます。

1P目:45m 5.6(グレードは石際さんのトポを参考にさせて貰った)
北沢大滝の下部を登る。見張り塔を登った時にも通ったが毎回いまいちラインが分からずに右往左往・・・終了点は滝の本流のすぐ横なので、あまり左に行き過ぎると戻るのが大変になる。

若干、雪渓が残ってました

 

2P目:40m 5.8?
本来はジグザグチムニーの中に入るのだが、前日の雨のせいか見るからにビチョビチョで水も滴っている。どうしたもんかと考えたが3P目以降は日当たり良好でここで諦めるのは勿体無い。チムニー横の右上フェースは草も生えてあまり快適には見えないが、何とか上まで繋がりそうなので、意を決して取り付く。

出だしから、しっとりした触り心地と動く岩に神経をすり減らす。早いとこ1ピン目を取りたいがクラックが見当たらず、効きの怪しいハーケンを1本打って、更に4~5mランナウトしたところでようやくしっかりしたカムを決められて、ほっと一息。その後もジリジリとロープを伸ばし、何とか終了点に。いやー、怖かった

最後は若干薄被り

 

(実は後続の玉置さんは、チムニーを登っていた。意外と挟まれば快適だったとの事・・・巻こうとして墓穴を掘ったか)

3P目:30m 5.6
冬季用の年季の入った終了点からすぐ右の階段状を登った後、今度は左に抜けてバナナ岩の直下まで。

4P目:40m 5.8
ハイライトのピッチ。2本のチムニーの左側を登る。スタンス・ホールドとも探せば出てくるが、動く岩も多いので慎重に。被ったCSを越えるあたりがOW気味でここが核心か(持ってきた4番を唯一使った)

チムニー内の岩も動くので要注意

5P目:25m 5.7
最終ピッチ。気の抜けない5.7との記載だったが、取り付いてみてすぐに意味が分かる。全ピッチ中、1番脆かったのがこのセクションで、特に離陸から数手は冷や汗ものだった。何とか突破し最後は狭いチムニーを抜けて少し歩けば前衛壁の頂上へ。

後続パーティ

今回は早田さんの厚意で、全ピッチリードさせて貰った。登攀記録があるとはいえ、数年前の記録で岩の状況を確かめながらの手探りクライミングとなり、神経を使う部分もあったがその分充実感溢れるクライミングが出来た。錫杖にはまだまだ登っていないルートもたくさんあるし、これからも足繁く通って腕を磨いていきたいと思います。

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登

河合(記)

相変わらず緊急事態宣言に翻弄されていますが、隙間の記録です。

『(前略)…これらを登るためには「アルパインクライマーにしては充分な、5.11、12を登った経験」程度ではだめで、5.12、13という数字を日常茶飯事とする実力がなければならない。つまり、フリークライマーとして高レベルにあるということが前提で、それによって初めてこうした付加価値の高いルートを登ることができる。(日本マルチピッチ フリークライミングルート図集(菊池敏之著、山と渓谷社))』

トポに書かれた一節が、当時、5.12aをやっとこ登ったばかりの私に深く刺さった。5.12や13を日常とできれば、きっと世界は大きく広がるのだろうと。

時は経ち、5.12a位なら一日で、ある程度片付くようになってきた。そこでマルチピッチも、今までの5.11台からワンランク上げ、5.12の混じるものに手を出し始めたのが昨年。実力が足りず、手を出したアレアレア、太陽の登ともに完登できずにシーズンを終えた。今回、シーズンを跨いで、やっと太陽の登を完登することができたので、記録しておく。

【太陽の登(6ピッチ、5.12c)について】

詳細はトポを参照してもらえばと思うので、各ピッチの感想。

(1ピッチ目:5.12a)

見た目と裏腹に体感しっかり5.12aあるスラフェース。嫌らしい1歩があり、出だしで湿気ていることも多く、緊張する。核心を抜けても、上部でもうひと勝負あり、朝イチアップなしで登るには中々ハードなピッチ。途中の左側の木を使うとつまらなくなるので、限定した方が良いと思う。

スラフェースに張り付く@1ピッチ目

(2ピッチ目:5.12a)

1ピッチ目と性質が変わってオーソドックスなフェースクライミング。出だしが小川山のジェットストリームっぽい。つまり怖い。その後は薄いカンテを右に左に弱点を突きながら登る、長さもあって快適で素晴らしいピッチ。瑞牆の5.12aの中では登り易い方だと思う。

立ち昇るジェットストリーム臭@2ピッチ目

(3ピッチ目:5.12c)

すっきりしたフェースにひたすら立ちこむピッチ。出だしのトラバースが遠くて悪いけど、私は横っ飛びランジで解決、リーチなくても不可能ではないはず。他に極端に悪いムーブはなく、ノーハンドレストできる箇所もあるけど、次々出てくる小核心を一つでもミスるとおしまい、集中力の持久力が必要。このピッチも本当に素晴らしい!明らかに下の2ピッチより難しく、難し目の5.12bに感じた。

晴れると爽快、でも風強くてビレイヤー殺しの3ピッチ目

(4ピッチ目:5.10a)

ボルト2本の短いピッチ。今までの快適なフェースとうって変わって岩が非常に脆く、踏んでも壊れないフットホールドを探し出すのが核心。慎重さが必要。

次々とホールドがもげる4ピッチ目

(5ピッチ目:5.12a)

スラフェースから、垂直のカンテを絡めて登る変化に富んだピッチ。出だしの岩が少々風化気味だけど、気になる程ではない。ムーブは少々トリッキー。上部のカンテも中々面白く、最後のライン取りに悩むところ。このピッチも瑞牆の5.12aにしては易しい印象。

攻めたライン取りの5ピッチ目

(6ピッチ目:5.7)

省略する人も多く、それも頷ける要注意のピッチ。出だしのトラバースからのダウンクライムは問題ないけど、その後のボロボロのルンゼはノープロテクションで神経を使う。ただ、これを登らないとカンマンボロン頂上には行けないので、ワンプッシュ時は外せない。


最後はノープロの易しいチムニーと歩き@6ピッチ目

(全体を通して)

花崗岩の典型的なスラフェースが続く、素晴らしいルート。特に、2、3ピッチ目の解放感やスケールは本当に素晴らしい。ただし、2、3ピッチ目は、完全な弱点主義で登ると、左側の脆いカンテ部分に入ってしまうので、なるべくボルト沿いに登ることを心がけた方が良いと思う。

【記録】

・初日(昨年)(パートナー:川上さん)

1ピッチ目5.12a:河合リード×、川上フォロー×

2ピッチ目5.12a:川上リード×、川上フォロー×

3ピッチ目5.12c:河合リード×(2ボルト目で寒さ敗退)

下降後

1ピッチ目5.12a:河合リード×RP、川上リード×××

・2日目(昨年)(パートナー:川上さん)

1ピッチ目5.12a:川上リード×、河合フォロー〇

2ピッチ目5.12a:河合リードRP、川上フォロー×

3ピッチ目5.12c:川上リード×、河合フォロー×

4ピッチ目5.10a:河合リードOS、川上フォロー〇

5ピッチ目5.12a:河合リード×RP、川上リードFL

下降後

1ピッチ目:川上リード××RP

・3日目(今年)(パートナー:川上さん)

1ピッチ目5.12a:河合リード〇、川上フォロー×

2ピッチ目5.12a:川上リード×、河合フォロー〇

3ピッチ目5.12c:河合リード××、川上リード××

4月の暖かそうな日、花崗岩復帰戦で久々に太陽の登に取りついた。しかし、例によって風が強くて寒い。気合で1、2ピッチ目をノーフォールでこなすも、滅茶苦茶腕がパンプしてしまった。3ピッチ目のランジは感覚を忘れていて、何度も壁に膝を強打。その後のフィンガークラックからの左上トラバースは、以前フォローした時のライン取りが誤っていたことが判明し、ムーブをイチから作り直しで体力消耗。2便目で中間部のレストポイントまでたどり着くも、後半の核心で落とされてしまった。無念。しっかり要所のムーブを記憶して下降した。

・4日目(今年)(パートナー:Sさん(会員外))

1ピッチ目5.12a:河合リード〇、Sさんフォロー×

2ピッチ目5.12a:Sさんリード×、河合フォロー〇

3ピッチ目5.12c:河合リードRP、Sさんフォロー×

4ピッチ目5.10a:SさんリードOS、河合フォロー〇

5ピッチ目5.12a:Sさんリード×、河合フォロー×〇

6ピッチ目5.7:河合リード〇、Sさんフォロー〇

中々都合と天気が合わず、ノーズ以来全然マルチに行っていないというSさんを、「快適マルチですよ~2ピッチ目と5ピッチ目はオンサイト狙えますよ~」と甘い言葉で誘い出した。極悪人だ。

先行パーティを見送ってから、すっかり慣れた1ピッチ目をこなし、未だに核心以外のムーブがうろ覚えの2ピッチ目をノーテンでこなした。やはり出だし2ピッチで結構体力を削がれる。先行パーティは3ピッチ目以降行かないようだ。

2ピッチ目のフォローからの3ピッチ目のリードは、すぐはしんどいので15分位休んでスタート。出だしのランジは、この日は一発で止まった。その後、クラック、上部の小核心群に耐えてRP。かなり疲れた。Sさんは、「怖い」を連呼するものの、ムーブを全てこなして登ってきた。リーチあると出だしのトラバースは問題ないらしい。

4ピッチ目はSさんが慎重にこなした。Sさんの踏んでいたフットホールドは河合が踏んだら壊れた。

5ピッチ目もSさんがオンサイト目指して取りつくも、トリッキーな花崗岩にやられていた。ワンプッシュチームフリー的には、どちらかRPしない限り先に進めないけど、Sさんは既に疲労困憊、無理言って付き合ってもらっていたこともあり、フォローをノーテンでこなして良しとすることにした。しかし、出だしの核心で、私も手がスリップ、落ちてしまった。疲労は確実に溜まっている。テラスまで降ろしてもらい、すぐにやり直し、上部カンテを落ちそうになりながら気合でこなして、今度は何とかノーテンで抜けた。

ここまで来たら、最後の6ピッチ目を登らなければならない。ホールドのもげるボロいルンゼを、固い部分選んでチムニーして、カンマンボロン山頂へ。登攀時間6時間、下降はフィックスのゴボウ+70mロープ懸垂下降4回で30分強。支点がよく整備されているので下降も快適。

こうして、個別ピッチRPとともに、ワンプッシュもどき(厳密には5pのリードが落ちていてやり直していないので、フォローはノーテンだがワンプッシュチームフリーでない)での完登を終えた。終えてみてわかったのは、5.12のピッチをこなすと、明らかに5.11のピッチとは異なる重いダメージが体に蓄積されるということだ。これは、まだ私が5.12を日常と出来ていないことの証拠だ。マルチピッチ仕様に体を戻すとともに、5.12を日常とする位、力をつけねばと感じた。

冬トラッドの記録

河合(記)

今冬は緊急事態宣言やらに大分翻弄されてしまった。それは現在も…

記録の更新が久しく途絶えていたので、山ではないですが今冬のトラッド記録を残しておきます。

【1本目:センチュリーフォーカラーズ5.12b @甲府のとある岩場】

(1日目)

非常に美しい真っ向勝負のフィンガークラックがあると噂に聞き、このルートの存在は以前から気になっていた。調べてみると、甲府のとある岩場の人目に付かないところにあるとのこと、故吉田和正氏のブログを頼りに、川上さんに付き合ってもらって捜索に出かけた。入口らしき沢を発見、詰めていくうちに沢の分岐にぶつかり、左に川上さん、右に河合で探索続行。川上さんが何とか岩を発見。駐車場から1時間半位かかった。迷わなければ駐車場から25分位。

ほんと綺麗な「くの字」。その昔は「昇仙峡イクイノクス」と言われていたらしい。曲がりがオリジナルと逆だけども。

く!

横から見ても、く!

いそいそトライ開始。今まで難し目のフィンガークラックは、春うらら2p目もアレアレアも、トップロープでリハーサルしていたので、今回は少しスタイルに拘り、トップロープを封印して臨んだ。さぁ、吹っ飛ぶぞ。

出だしはプロテクションがいまいちの中ボルダームーブ、ノーズで拾ったオフセットカムが久々に活躍。その後のフィンガーはナッツやカムが良く効いて、くの字の中間部に到達、の前に既にテンションでオンサイト失敗。ここまではイレブン前半位で前哨戦。

くの字の後半がこのルートの本番。傾斜80°位、明確な足がない中をスメアで耐えつつ、フィンガージャムを、クロスムーブを交えながら連打していく。何箇所かカムをセットできる程度のレストポイントはあるけど、腕の完全回復は望めない。綺麗なクラックだけど手前側が飛び出る形でオフセットしていて、フットジャムが効かせ辛い。救いは、極端に悪いムーブはないことと、大体どこでもカムが効くことで、突っ込んでは吹っ飛びを繰り返して、1便目でムーブを解決しトップアウト。ストレニ系のルートのようだ。カムは♯0.5まで。

 2便目は、とりあえず突っ込んでみることに。くの字屈曲部まではうまく行くも、後半の最初の方で敢無く吹っ飛ぶ。繋げるとめちゃくちゃパンプするぞ。

クロスを繰り出す(Yさん撮影)

 3便目は既に腕が残っておらず、くの字後半の出だしで、いい加減にセットした♯0.4が吹っ飛び、大フォール。クラックが斜めなので、セットは要注意。地面まで戻ってきてしまった人もいるらしい。

(2日目)

 翌日、1便目で終了点のガバ取りまで達するもムーブを詰め切っておらずまた盛大に吹っ飛び、その次の5便目で完登。ビレイしてくれた川上さんと小さいカムには、吹っ飛びまくって大分負担をかけてしまった。

川上さんの3日目のトライ(小池さん撮影)

 コンディション良かったこともあり、グレードは体感易し目の5.12b位。極端に悪いムーブがなく、アクセスも良いので、敷居は春うらら2p目より低いかも。貴重な地面からトライできる5.12-の純クラック、お勧め。

【2本目:アメジスト・ライト5.13a-b? @甲府のとある岩場】

(1日目)

 このルートは、そもそもどこにあるのかすらよくわかっていなかった。センチュリーを探して彷徨っていた時、沢の右岸に壁が見えたので、「これ、センチュリーじゃない?」と見に行ったら見つかったのがこのルート。

綺麗なクラック発見!右がアメジスト・ライト

最初は名前もわからず、「何かネットで見たことあるよね、このクラック」と川上さんと話していたら、ふと、思い出した山野井氏の記録。照らし合わせてみると、やはりアメジスト・ライト。吉田氏が5.13a-b位とブログに書いていて、傾斜も110°位あり、明らかに難しそう。場所だけ覚えてセンチュリー探しに復帰。

 当初トライの予定はなかったけれど、川上さんのセンチュリー完登が近づいていたのでビレイついでに、触ってみることに。

 この日は、なぜかワイドで悶えたいと願う秀峰の誇る変〇、山崎さん、小池さん、右田さんも同行して5人の大所帯。センチュリー隣のヘイトクライム5.10aというワイドクラックで、とても楽しそうに悶絶していた。うん、間違いない、変〇だ。完登していたのは、ワイド教祖の川上さんだけだったような。

ワイドに挟まり始める山崎さん

 私は川上さんにメンドクサイ往復してもらって、アメジスト・ライトに1人寂しく向き合った。

 出だしのコーナークラックはプロテクションちょっと怖い簡単なレイバックで、5.10b位。テラスで一休みしてからが本番。

 傾斜は強いけどスタンスとクラック周辺のカチが豊富、フィンガージャムとカチフェースムーブを交えて高度を上げていく。大き目のカムが結構決まる。下部の核心はムーブに悩んだけど、シンハンドの悪い部分をスキップして、レイバックからの逆手ハンドジャムで切り抜けた。この部分、ちょっとランナウト。ここまでで5.11cはあるかな。ハンドジャムで大レスト、カムを固め取り。

 さて、ここからがこのルートの本番。クラックが途切れて次のクラックへ移る。岩がブロック状に飛び出ていて傾斜をもろに食らう中、甘い左手シンハンドジャムからのグルーで固められたサイドカチへのデッド。悪い!左手のジャム位置が少しでもずれると引きつけられない。さらにそこから左手でハンドジャムをきめてプロテクションを決めるまでも一苦労。緑エイリアンが何とか効いた。

 ここから、さらに左のアメジスト・レフトクラックに移るのがもう1つの核心、右の脆いフィンガークラックにジャムをきめ、左手を伸ばす。当初リップのガバへのランジで解決したけど、スタティックに行けることに気付いたので、以降はそちらのムーブを採用。最後はパンプしていると辛いマントル。カムは足下の緑エイリアン1つだけでランナウトしているので、メンタルにくる。

 こちらも1便でムーブは、ぼやっと作れた。タイプは違うムーブ系だけど、明らかにセンチュリーより難しい。この日はさらに2便出し、ワンテンまで。

 この日は川上さんがセンチュリーを無事RP。

傾斜110°?

(2日目)

 色々あって2週間後、寒さが一段ときつくなる中、川上さんにお願いして、再びアメジストへ。アメジストで初めて他のパーティに遭遇。

 寒さで手がかじかみ、核心最中の左手ハンドジャムを良い位置に決められず2回落ちたけど、3便目で何とか詰め切って完登。他のパーティも1名完登していた。

他のパーティの人のトライ

 この日一緒にトライしてくれた川上さんも、私も、体感グレードは5.12c位。その日完登した別パーティの人も5.12のどこかと話していて、5.13の厳しさは感じず。ムーブが違うのかもしれない。上部は岩が少々脆く、核心最中の右手フィンガーがざらざらしていて不安定、マントルの最後のガバホールドもトライ中に剥がれてしまった(少し難しくなってしまいました、すみません)ので、その辺りが影響しているのかも。

 グレードはさておき、岩が美しくて、ムーブも面白いクラックで、こちらもお勧め。

 この日、あまりに寒かったので、ビレイに付き合ってくれた川上さんに「何かやりたいルートある?」と聞いたら「スコーピオン5.12b」という答えが返ってきたので、翌日に向け、南下。そして触ることになったのが次のルート。

【3本目:タランピオン5.13a @城ケ崎浮山橋】

(1日目(実際は2日目))

 このルートは2シーズン前にスコーピオンを完登した直後に触り、あまりのムーブの悪さに封印していた。浮山橋で他にトライしたいルートがなかったので、再トライ。

正面からでは傾斜が伝わらない

 このルート、名前の通り、タランチュラの下部を経由してスコーピオンの核心をこなす。核心は下部のタランチュラ部分で、一言で表すなら「天井レイバック」。パワーと身体張力命、シワにスメアした足が抜けないことを祈りながら、ムーブを起こしていく。そして、核心の一連のパワームーブに入る手前も、右手フィンガージャムからの左手アンダーを取るムーブが悪い。

【写真10】天井レイバックするレジェンドAさん

 プロテクションセットも、非常に重要。核心は息つく暇もなくフルパワームーブが続き、スコーピオンのさかさまレストポイントに入るまで、全くプロテクションセットの隙はない。クラックはずっと細いので、小さなプロテクションで、かなりのランナウトに耐えないといけない。私は最初のレストポイントから緑と青エイリアンをセット、一度地面までクライムダウンしてから、再度トライする方法を採用。城ケ崎のカムセットあるあるで、傾斜の強い細いパラレルクラックは、ちゃんとセットしたと思っていても吹っ飛ぶことがあり、今回も1度片方吹っ飛んで、固め取りに救われた。(吉田氏ブログが参考になるので関心ある人は熟読を勧めます。)

 初日は、以前できなったムーブが起こせたので、珍しく乾いていることもあり、継続することに。ついでにスコーピオンを再トライ、前半の核心でテンションかけてしまったけど、やっぱり素晴らしいルートで、何度登っても楽しい!


足が切れたら負け。RPトライ時は最後2つのプロテクションはない(Aさん撮影)

(2日目)

 この日は、スコーピオンに王手のかかった川上さんに加え、レジェンドAさんも参戦。Aさんの年齢を感じさせないパワーに脱帽。私は核心最後の右手リップ取りの後を、手数の少ないタランチュラくるりんぱムーブに変更。腕のパワーは抑えられるものの、カム足下で体を反時計回りに回転させて足を先行させる恐怖のムーブで、落ちると頭で壁に人間除夜の鐘、絶対落ちられない。川上さんは最後のクリップで粘りに粘って、スコーピオンを完登、おめでとう。Aさん曰く、初登者が、5.12aあるか不安になって、ガバの右側でムーブ起こさないとクリップできない位置に終了点を設定したんだそうな。今の感覚だと、ガバまでで、十分5.12a以上あるように思う。

この日、ワンテンまで持ち込むも、核心の一連のムーブは、通しでは一度も成功せず。

コウモリレストを堪能する川上さん

(3日目)

 トライが形になってくるも、核心の左手アンダー寄せが止まらず、吹っ飛び続けて終了。ビレイの川上さんはマリオネット5.12aに手を出して、いい感じのようだ。アストロドームと浮山橋は片道10分位なので、互いにビレイできるのでよかった。

(4日目)

 初便でついに、核心の左手アンダーが止まった!と思ったらその後足が切れて落ちてしまった。気を抜いているつもりはないのだけど、ちょっとでも力加減が弱まると容赦なく足が抜けてしまう。2便目は左手アンダーの前にセーブしすぎて足が切れた。やっぱり出し惜しみはなしだ。恐怖に打ち勝つため、絶叫を解禁、人生で初めて気合注入のためだけに寒いのに上裸になる。次の3,4便目は、核心最後のリップ取りまで行くも、力尽きて大フォール。日没直前の5便目、ついにリップを捉えた!余力は少しある。意を決して、くるりんぱムーブに入る。怖くて絶叫。足がレストポイントに入った!ここからは勝手知ったるスコーピオンロード。慎重に腕を回復させつつ、完登。痺れた!

 体感、今まで登ったトラッドで一番難しく、労力的に5.13aに感じた。ムーブ系なので、グレードの感じ方には幅がありそう。

この日は川上さんもマリオネット完登で絶好調、おめでとう。

【4本目:タランチュラ5.13a @城ケ崎浮山橋】

(1日目)

 実は、今シーズンのタランピオン初日に、タランチュラオリジナルの部分を触るも、よくわからずプロテクションも悪めだったので封印していた。せっかくタランピオン登ったので、覚えているうちにタランチュラもやっちまおうということで、早々にタランピオンを完登していたAさんとトライ。1便目で上部を探ると、絶妙なアンダークリングで抜けられることが判明、しかし落ちるとハングの際にぶつかりそうで怖い。2便目で体にしみついた下部核心を越え、余裕をもってチュラオリジナル部分に入るも、最後、潮でツルツルの部分に雑スメアしてしまい、スリップで落ちてしまった。その次の便では、既によれていて下部をぎりぎり突破、後半は落ち着いてRP。Aさんは間隔空いて核心ムーブを忘れてしまっていて、怒濤の7トライするも下部を詰め切れず、翌日完登したそうな。

理不尽な傾斜

 労力的にはタランピオンと差を感じず。タランチュラの方がパワーは要らないけど、繊細さとメンタルが問われる感じ。ライン的は、タランチュラがオリジナルルート。トポでは5.12dと書いてあるけど、そんなに甘くなく、これより簡単な5.13aはたくさんあると思う。私は故杉野氏のHP同様、5.13aに感じた。

 なお、終了点はなく、近くの灌木も枯れているので、両手離せる部分で終了とし、エイドダウンで回収した。

 そんなこんなで今冬は、本数は少ないけど、濃厚なトラッドを堪能できた。来シーズンは、何やろうかな・・・

難しいトラッドを登る上で重要なものは何か。基礎となるジャム筋やフェース力のフィジカル、的確なプロテクションセットや安全評価の技術、プロテクションやコンディションの悪さにめげないメンタルなど色々な要素があると思うけど、個人的には、ルートに付き合ってくれる仲間の存在がとても重要なんじゃないかと思う今この頃。付き合ってくれた主に川上さん、Aさん他皆様、ありがとうございました。

名張(香落渓)遠征

2020/11/21~23
河合(記)、小池(記)、山崎(記)齊藤、玉置、船戸、山口、他1

有志で名張遠征行ってきました。

それぞれの視点で記録しておきます。

(割り振り忘れたので被ってるところありますがご容赦を)

(総括:河合)

10月のある日、山口さんから「名張行きませんか?」とLINE。長くてジャミング必要なクラックがいっぱいあるらしい!二つ返事で、「行きたいです!」と返信。その後、あれよあれよという間に8人も物好きが集まった。

11/20

22時半都内某所で山口さんと合流し途中で小池さんをピック。首都高の分岐間違えたり、東名集中工事渋滞でげんなりしつつ夜通し交代運転。朝6時頃に近くのローソンに着いた。恐ろしく眠い。

7時まで仮眠してから、山崎号と合流、一路名張へ。どこかの道の駅で寝坊した船戸号(船戸さん+玉置夫妻)はメッセージだけ残して置いていくことに。薄情也。

初日は河合、山崎さん、齊藤さんは屏風岩、他は第一岩壁へ。

渡渉が冷たいし滑る。沢靴とネオプレーンソックスとストック持ってくれば良かった。

前日雨降ったらしく、岩は下の方が湿気ていたけど、すぐ乾きそうだったし、まぁ登れるだろうということで登攀開始。

【1本目:マシュマロマン5.10a】

湿気てるけど、左端の綺麗に割れたクラック!う~ん、これ、フィストじゃ済まなくない?離陸して暫くすると、やはりスカスカ、アームバー発動。途中からは右のコーナーフィンガー使えるようになって楽になったけど、思わず本気になってパンプ。OS。手のサイズ大きい人には簡単かもしれないけど、手の小さな私には5.10b/c位に感じた。少なくとも10aじゃ厳しいよ~でも、1本目から充実のいいルート!

齊藤さんは出だしでスリップ(リードじゃなくてよかった…)、後はさくさくとTRで登っていた。山崎さんも登れそう。

マシュマロマン5.10aをリードする山崎さん。右端はパンドラ5.11a

【2本目:パンドラ5.11a】

レベルアップして手頃そうなイレブンに挑戦。マシュマロマン隣のパンドラ5.11aは、下から見上げたら核心っぽいのが見え、綺麗だったので早速トライ。出だしはあまりに快適なハンド、と思ったら突然悪くなって核心に突入。固め取りして突っ込みかけるも、苦戦するうちにパンプ、落ちそうになったので一旦レストポイントまでクライムダウン。呼吸整えて、今度は落ち着いて一連のムーブをこなして一服。上部はよく覚えてないけど何とかなってOS。体感5.11aか5.11a/b位の気持ちいルートでした。

【3本目:モスラパワー5.11c】

今回は、このルートのオンサイトトライが主目的。2本アップして体も温まったし、早速トライ。

出だしから細い。落ち着いてフィンガーサイズのカムを決めて、コーナークラックへ。足技ないのでコーナー奥でフィンガーロック、フットジャム正対力づくでねじ伏せ、シンハンドへ。が、ジャミングが効かない・・・一度クライムダウン試みるも、回復しない・・・「舐めんなよ~!」とシャウトするも、シンハンドのリトライで落とされてしまった。ぶら下がってみたら、ちゃんと左フェースにホールドあるではないか・・・無念。上部のテラスから先のシンハンド~オフフィンガーも悪くて侮れない感じ。そして長い! 70mロープで、ビレイヤーに取付まで来てもらいギリギリロアーダウンできた。メーカーによってはロアーダウン無理かも。70mロープでトライする方はくれぐれも気を付けて。

モスラパワー5.11cをオンサイトトライする河合。この後落ちた

この日は眠くて4本目を出す気力なく、ここまで。山崎さんはマシュマロマン5.10aをきっちりRP、齊藤さんもPPしていた。おめでとうございます。

(ここまで河合)

有名なエリアがいくつかあるが、それぞれアプローチが違う。山口さんと私は、3日間通して 第一岸壁エリア集中にした。

噂に聞いていた通り第一核心は渡渉 水量も多くはなく、流れは緩やかなものの、太股あたりまで水がくるので、裾の濡れやパンいち渡渉が気にならない人以外は、ウェーダーで渡ったほうがらくでしょう。持って行ってよかった。

第一岩壁への渡渉

ローカルルールに従って、渡渉点から奥に入ったところへ黄色の旗を設置し、ウェーダー残置、第一岸壁エリアはここから河原を少し歩いてから顕著な踏み跡をたどり15分ほど登ったところ。

黄色いタオルをかけておきます

初日「直登」10a15m 楽ちんかと思いきや後半 抜け口に微妙なサイズのOWが ここを上がったテラスからさらに上にのびる「サブマリン」10a25m 気持ちのよいハンドとスクイズチムニーのハング超え チキンウィングやニーバーがよく効き変化があって楽しい。テラスを横移動して降り、スネークマンテラスから、山口さんは「スネークマン」5.11a32mにトライ。すっきりとまっすぐにのびるクラックながら、サイズが悪いようで苦戦していた。暗くなってきたので撤収 この時期の日の短さが恨めしい。スーパーに寄り、つまみと行動食を買い出し後、定食屋「名張程満月」で夕食後、泊地に移動してテントで乾杯。
(ここまで小池)

キャンプ場

今回は、三重県名張市郊外にあるクラック天国、香落渓に遠征しました。

11月20日の夜遅くに3台に分かれて東京を出て、交代で運転しながら現地に着いたのが早朝。距離にして400kmほどの大移動でした。眠気を引きずりながら、初日と2日目はいくつかのエリアがある中で、屛風岩と第一岸壁に数人ずつ分かれて行き、最終日は全員で第一岸壁に行きました。

まず初日、我々の行く手を青蓮寺川が阻み、早くも岩場は簡単には我々を近づけさせません。事前情報では渡渉があることは知っていましたが、飛び石伝いに何とかなるのではと思っていましたが、ガチの渡渉でした。そこそこ深いし滑るし流れ速いし水冷たいし。パンイチになったり膝上までズボンを捲ったりウェーダーを使ったりして渡河しました。この時期はウェーダーがあると便利です。また、黄色いタオルを車の所と渡渉したところに掲げておくローカルルールがありますので、その通りにします。

さて、河合、斎藤、山崎は屛風岩に、山口、小池、玉置夫妻、船戸は第一岸壁に向かいました。

屛風岩ですが、渡渉後急登僅かで岩場基部に到着。日当たりがなく、前日降ったようで基部は濡れておりコケコケしていました。見上げると素敵なクラックが広がっていました。

下はコケコケしている

まず、アップがてら「名張入門 5.9」を登りますが、いきなりのワイドぎみで、アップどころかアップアップとなり手荒い歓迎を受けました。その横の「Crackbaby 5.7」は優しくお出迎えなるも、次に触った「マシュマロマン 10a」がこれまた手荒い歓迎。一直線に30mくらいに伸びたすばらしい綺麗なクラックですが、クラックの両側にはスタンスはなく、手足ジャムをしっかり決めないと登れません。ここ香落渓クラック群は、そのようなクラックがほとんどのようで、ごまかしが効きません。出だしフィンガーからだんだんと幅広くなり、核心はフィストよりやや広いサイズ。カムも#4を3個使いました。初日はお疲れ気味のため多くは登りませんでしたが、魅力的なルートがたくさんありました。

マシュマロマン 10a 25m

瑞牆クラッカー河合さんOS、山崎2便目でなんとかRP、斎藤さんも2便目ピンクポイント。一直線に伸びた素晴らしいクラックです。これが10aとは名張厳しい。

名張入門 5.9

まずはアップと思いきやとんでもない。入門させてもらえませんでした。

名張入門5.9をトライする山崎さん

パンドラ 11a 22m

瑞牆クラッカー河合さん OS。さすがです。

モスラパワー 11c 38m

調子に乗った河合さん、さすがに苦戦しましたが、瑞牆クラッカーを「なめんじゃねー!」の気迫で翌日ゲット。

初日はこれにて終了。第一岸壁組は、遅くまで頑張ったようです。

宿泊は、近くのキャンプ場。ご飯は、名張市内からそう遠くないので、外食で済ませ、早く寝て翌日に備えました。

(ここまで山崎)

11/22

この日は玉置夫妻と船戸さんと屏風岩。もちろん河合はモスラパワー狙い。

【4本目:Baby Crack 5.7】

オールバチ効きジャミング。短くて10mないと思う。FL。カム2個は決めたような。

左がBaby Crack

【5本目:名張入門5.9】

ナバラーの方に「右クラック限定で登ると5.10a位になって楽しいよ」と教えていただいたので、その通り登ってみた。結構ムズくて、ワンポイントならマシュマロマンより悪い。FL。体感、右クラック限定で体感ワイド5.10aかな。玉置さんは大分気合入れて魂のランナウトも完登ならず。このルート、今ツアーでトライした5/6名が撃退された。名張恐るべし・・・

【モスラパワー5.11c続き】

アップ終わったので、早速RPを期して頑張ってみるも、フィンガージャムきめて休む場所にカム入れてしまいレストできず、最後1mで落ちてがっくし。その後、もう一便出すも、下部でもうヨレヨレ、ギリギリ。でも上部はもう慣れたしジャミングでごまかせるので余裕を持って登れた。体感、下部5.11b/cと上部5.11bで合わせて5.11dかな。途中テラスで完全に休めるので、そこでグレードはリセットかなとも思うけど、労力面で確実に11+はあると感じた。変化に富んで、最後まで気の抜けない素晴らしいルート!

本日はこの4便で終了。ナバラーのIさん、Iさん夫妻にお勧めルートなど色々教えていただきました。ナバラーの皆さん大変親切で、我々ビジターにはありがたかったです。ありがとうございました。

この日は伊賀牛の焼肉。天国也。船戸さんはこの日離脱。

(ここまで河合)

2日目は、踏み跡をのぼり、これなんテラスから、「コレナンデスカ」10a 23m 快適なフィスト〜ハンド 上部がハングしており、抜け口でちょっとあったフェイスムーブをさがしてごにょごにょやっていたら落ちた。でもガバが見つかってみれば癒し系でした。山口さんはもちろんオンサイト。そのあと、下へおりて、下からスネークマンテラスへあがり、「スネーク」やろうということになるも、テラスへあがるまでのアプローチ、「でかいつらダイレクト」10Cの下部がとても悪い。そばにいたクライマーが、核心のフレークに0.5を決めておかないとグランドしますよ と、抜けやすい場所まで教えてくれてありがたかった が、山口さんが登ってみると、0.5がぽろりと外れてしまった。やな予感した、とのことで固めていたもう1本で止まったが、カム抜け目撃がトラウマになっている私はおののいた。みんな気をつけよう、「でかいつら」。核心フレークの手をかける、角のところです。ようやくよじ登ったスネークテラスから、懸案の「スネーク」山口さんトライのあと、私もトップロープで触らせてもらうも、手も足もきまらない微妙なサイズが連続し、カムエイドを繰り返してやっとトップアウトするていたらくだった。でもまっすぐで、とても美しいクラック。こんどは、ちゃんと登れるようになりたい。この日も、結局、陰るまでスネークマンテラス。山口さんは隣のプルトニウムをトライ。屏風組は、河合さんが結果を出しており、お祝いに「伊賀牛奥田」で、極上の焼肉を食す 美味しさにうっとり。河合さんごちそうさまです。テント宴会も、はなやいだ雰囲気に。

(ここまで小池)

2日目は、第一岸壁組が山口、小池、斎藤、山崎。屛風岩組が、河合、玉置夫妻、船戸に分かれました。

 渡渉は、第一岸壁の方が優しかったです。もちろん膝上でしたが。

第一岸壁も素晴らしいクラック群が目の前に現れました。しかも長い。

直登 10a 15m

上部のワイド部分が厳しいです。

写真9 スネークマン 11a 32m

素晴らしいの一言に尽きる。名張を代表するルート。最後がフェースでランナウトするが、そこまでいろいろなサイズのジャミングが要求され、足もサイドフェース面を使えずごまかしが効かない。TR張ってジャミングの練習に良いです。河合さんのみOS。ところがこのルート、取り付きまで行くのが一苦労でした。

美しいクラックのスネークマン5.11a

コンドウサン 10c 30m

山口さん渾身のOS。

プルトニウム 10c 17m

名前からしてヤバいが内容もヤバい。ナバラー曰く、垂壁のワイドでは最難とか。河合、山口がトライするもRPならず。何でこれが10c?

これなんですか 10a 23m

出だしフィンガー、一部フィスト、あとはバチ効きハンド主体の薄被りのルート。癒されました。

皆さん、他にも思い思いにいろいろなルートを登りました。

(ここまで山崎、11/22,23日分まとめて)

これなんですか5.10aをフラッシュする山崎さん

11/23

最終日は、皆で第一岩壁。山口さん小池さんペアは3日連続だそうな。

【6本目:でかいつらダイレクト下部5.10c】

本日の目的はスネークマン5.11a。ということで、辿り着くために、アップがてらこのルートの下部をやることに。山口さんから「悪いよ~」と聞いてはいたものの、心の片隅では「10cだし、落ちないっしょ」でも取りついてみて、思いました。「ごめんなさい。」突然ヨセミテのピトンスカーみたいなカムの効かないオフフィンガー。うげー。4回か5回くらい探ってはプロテクションセットに絶望してクライムダウン。ダメ元でセットするもはじけ飛ぶ黒エイリアン。山崎さんから0.4/0.5オフセットカム借りて、やっとプロテクション信じられたのでスタート。ボルダームーブ起こしてスネークマンテラスへ。OS。ワンポイントだけど、10台のムーブにしてはえぐかった。体感5.10d。

でかいつらダイレクト下部5.10cをオンサイトする河合

【7本目:スネークマン5.11a】

このルートは、ナバラーの方にも、既にトライしていた山口さんにもお勧めされたので楽しみにしていた。とにかく綺麗なストレートクラック、トポを見る限り最後はクラックが無くなるらしくて、おっかないなぁ。齊藤さんにビレイに上がってきてもらった。

早速トライ。タイトハンドから始まる。シンハンドもあったけど要所でハンドがばっちし決まって、快適そのもの。中間のオフフィンガー部分が核心か。タイプの似ているモスラパワー上部に比べれば大分マイルド。最後のフェース部分はムーブに悩んだけど、落ち着いて探せば手も足もホールドあり、プロテクションも多少ランナウトするけど問題なし。気持ちよくOSできた。体感は5.11aぴったし、イレブンのムーブはないけど、持久系で腕が張って気持ちいい!アプローチの、でかいつらダイレクト下部のムーブの方がワンポイントでは多分悪いです。

【8本目:プルトニュウム5.10c】

前日、ナバラーのIさんに「ワイドなら」とお勧めしてもらったのでトライ。トポによると「核融合の気分が味わえる」らしい。意味がわからない。丁度コンドーサン5.10cの取付に山口さん小池さんペアがいたので、ロープフィックスしてもらって、また齊藤さんに付き合ってもらって、ユマーリング+少々クライミングで取付へ。

まず出だしのトラバースが怖い。そして、クラックに入ってからの5mが、このルートの核心。出だし5番からの、6番サイズ。とにかくサイズが悪く、たまらずテンション。右差し根性アームバーと足技でじわじわ上がって、力尽きてを繰り返す。核融合できない。後で思い返せば、リービテーション(使えるのか?)と、外足スタックをもっと活用するべきだった。途中から癒しのカチが出現し外足ヒール&トウも決まる10aクラスのワイドになった。最後はチムニーサイズのランナウト。1本で呻き声連発、充実(ゲ〇ゲ〇)の素晴らしい(〇獄の)真っ向勝負ワイドだった。次は技、根性そして何よりワイドへの愛を身につけて再挑戦したい。多分、愛がないと核融合できないんだと思う…なんか、〇態と誤解されそうな気がしてきたので、これくらいに。

グレード5.10cは、辛い!同じグレードで登ったことのある小川山の完全なる酒乱5.10cと比べると、2グレード以上の差を感じた。名張恐るべし。

【9本目:これなんですか5.10a】

プルトニュウム5.10cをもう1度トライしたかったけど時間なかったので、山崎さんと最後に1本ワークアウト。名張にしては珍しくかぶったルート。出だしはワイド気味。核心のハンドは傾斜があるけど、キャンパで行けそうな位気持ちよくジャミングが決まる。さくっとOS。体感5.10a/b。山崎さんもきっちりFLで嬉しそうだった。

この日は15時過ぎに早めに撤収。7時間運転で帰宅。

(河合)

 3日目は、「花」5.10a20mをやりたく、モモンガテラスにのぼる。しかしこのアプローチも悪かった。マルチルートの「サキサカ」1P目、5.10a続く2段のOW、(カム4番から5番くらい?)のほうがずっとマシでした。テラスから「花」5.10a20m 平行にまっすぐのびる2列を使って登る、とても気持ちのよいクラック 楽しくのぼるも、クラックが切れテラスにあがる、少しのトラバースに緊張。となりの段へおりて、「コンドーさん」5.10c30m まっすぐキレイなフィスト連続、3番が6個くらいあるとよい感じ。かなり奥に手足をつっこむので、手首がキズだらけになります。フィスト練習にはぴったり。足もクラック外で拾えるところがないため、ジャミングのいいトレーニングに。この日登ったルートすべて、山口さんオンサイト、おめでとうございます 3日間通しで第一岸壁エリアの10aすべて登り、全部オンサイト。お見事でした。私も恐怖を克服してちゃんと登れるように精進してまいります。ありがとうございました。

(小池)

(感想:河合)

・ルートが長い!1ルート登る労力が通常の2本分。特にオンサイトトライはカムが重い!

・ジャミング確実にきめないと登れない(疲れる)ルートが多いので、通えればジャミング上手くなりそう!ヨセミテに通じる!

・次はいかさま師5.12bをトライしたい。核融合も果たしたいです。誰か行きませんか~

(感想:小池)

名張はすばらしい岩場です。

クラックはすっきりとまっすぐ、長いルートもあり、80mロープがいるところも。おのずと、カムはたくさんいります 同サイズが多くいる場合も。クラックが走る壁のまわりはつるつるであったりするため、ジャミングを決めて登るしかない。通えば強くなろうというものです。そして、首都圏からは遠いです。やはりここは特別な場所。地元のナバラーの皆さんの努力で 環境を大切に保たれていることをひしひしと感じました。感謝です。また行きたい!

(感想:山崎)

慌ただしい3日間でしたが、今回、名張に来て感じたことは、とにかく素晴らしい岩場の一言に尽きます。また、名張を愛するナバラーと呼ばれる人たちの岩場に対する思いが随所に感じられ、彼らに敬意を表するとともに、なぜナバラーは強いと言われるのかわかりました。また名張を訪れたいと思います。

(その他情報:小池)

泊地:景勝地でもあり、キャンプ場が無難。第一/サニーサイド渡渉点から車で数分の 香落渓 紅葉谷 にテン泊しました 1000円/一人一泊 車で入れる土と芝の平坦地キャンプ場 水場(雨水?)炊事場(シンク)トイレあり

エリア一帯、携帯の電波がまるではいりません。試していないけど、エリアでばらけるときなど、無線があると良いかもしれないと思いました

立山東尾根

2021年10月2~3日
齊藤(記)、中和

雪山の足慣らしに立山でも…
そう計画をして立てた雄山東尾根。
正直舐めてました…。こんなにもキツイとは(笑)
雪山は雪の状況によって難度が変わるのは判っては居ました。
出発日の朝の大町は雪予報。翌日は晴れになって居たので、土曜日の午後には晴れるだろうと安易な気持ちでいた…

 

金曜日夜にパートナと合流して扇沢へ。
大町あたりから雨が降ってきたが、気温は高く7度
ホントに雪かな? 黒部平辺りで雨だと雨の中歩くのは危険だなぁと話し合いながら就寝。
朝起きると扇沢でも見事な銀世界となって居ました。

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【扇沢も降雪であった】

これで濡れずに歩けると2人とも降雪に歓喜する。
始発のバスで黒部湖へ。 黒部湖は扇沢以上の降雪で既に雪一面といった感じ。

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【黒部湖もたくさんの降雪が見られた】

わくわくしながらケーブルカーを使って目的地の黒部平へ向かう。
黒部平の園地は、吹雪の様相となって居た…

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【黒部平は吹雪の様相(笑)】

丁度、同じルートを計画をしていた友人パーティに出会う。彼らは天候悪化とラッセルなどを考慮して奥大日に変更したとのこと。その彼らに見送られながら黒部平を出発した。
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【歩き始めからラッセル】

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【この辺はまだまだ久しぶりの雪景色に歓喜をしてた(笑)】

当然のことながら、トレースは無い。出だしからくるぶしラッセルである。
この尾根は、近所にゴンドラの電線がある為、その点検道が続いている。
快適な道を歩いていく。途中から電線は大観峰の方に向かう為、道も当然そっちの方に向かっていくが、だんだんと目指す主稜線から離れていく。藪の切れ間を狙っていこうかと話をするが、何か決定的な目印が欲しい為もう少し歩くがいい加減離れていくのも明確になってきた頃に手頃なルンゼが出てきたのでここを登攀する事にした。

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【適当なルンゼを登る】

遥か上部には尾根が見えている。

尾根を目指しルンゼを上がるが、中間地点から悪くなる。
1枚岩があり良い感じのスラブ岩である。自分は何とか超える事が出来たが、パートナは断念。
左から何とか合流する。その後、尾根を目指し左上をしていく。

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【かなりの斜面ではあるが、なぜか嬉しそうなNさん(笑)】

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【ジャンクションピーク辺り。この辺がやばかった】

何とか尾根に取付くことが出来た。尾根には、なんか手掛かりや薄い登山道でもあるかと思ったが、全く無く藪一面であった…。考えが甘かったと改めて痛感した。

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【トレースがあれば快適な登り?】

ここからは藪漕ぎをしながらラッセルを行っていく。
この頃には、天気は吹雪となっており、降雪も激しく腰ラッセルの箇所も出てきていた。

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【ラッセル祭り全開中。どこを通っても胸ラッセル状態💦 】

藪をわけわけ登っていくと岩峰が出てくる。右も左もあまり良い感じではない。
岩の割れ目から生えている草を手掛かりにムーブを起こし何とか突破。後続のパートナは苦戦💦。一段降りてそこから登りなおして何とか突破した。ちょうど2350-2400mのポイントであった。
この辺から森林限界になって来るためハイマツも出てくる。
藪漕ぎが無くなったので歩きやすくなったかというと今度は降雪が行く手を遮る。
ある程度傾斜があるところは良いが平らな所は雪が溜り、腰ラッセルである。
登攀が苦手なパートナには、平地でのラッセルをお願いして登攀系のルートの時には、平地でのパワーが出ない自分が先頭に立ちとお互い役割分担をしながら進んで行く。
今日中に、何とかP2783まで目指したいが、この状況だと厳しい。
16時を時間期限として良テン場を探しながら進んで行く。P2640に何とか張れそうなポイントを見つけた為、この日はここで幕営とした。

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【今日はここは越える事ができないとビバーク決定地】

雪は朝からずっと降り続いていて、テン場についても降っていた。寝る前に再度除雪を行い就寝とした。
2人とも完全に舐めてた為、夜はかなり冷えて寒かった。寒さもだが、トイレに行きたかったが、トイレに行くのも面倒だし寒いし雪だらけになる為、朝まで我慢の夜が続いた。

 

翌朝起きると直ぐにトイレに向かう。雪は止んで、ガスも晴れているが上空にはまだ重たい雲があった。

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【翌朝。ガスは晴れたが雲がかかっていた】

今日は曇りの一日なのか?そう話ながら準備を進める。空も明るくなってきた頃にテントを撤収して出発をする。

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【今日もラッセルやる気満々のNさん】

現在の標高が2650m弱 目指すピークは3000m。350m程度上げる計算にはなるが、昨日よりも雪が多いことなどを考えると一刻の猶予も許されない状況であった。15:15には最終バスが出てしまう為、15時までには、室堂に着きたいその為には、13時までにはトップアウトをしないといけない。7時間弱しか行動時間が無い。
焦っても雪が無くなる訳はなく、眼前にはたっぷりと新雪が積まれており、胸ラッセルも上等!であったが、ご来光およびモルゲンロートに光る立山はとても美しく足を止めてカメラのシャッターを押さずには居られなかった。

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【朝日が立山を照らし始める。贅沢な時間の始まりだ】

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【モルゲンロート】

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【ご来光】

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【贅沢な時間に苦しさも忘れた一時】

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【モルゲンロート2】

当初テン場予定であった、P2786に到着。ここからは下りも少しずつ入ってくる。
怪我で下りに不安を抱えるパートナは下りは慎重に。見ているこちらもひやひやである。
1つ目の大きな下りを越え、先頭を交代。私が先行して2つ目のギャップを超える。
これを超えると後は雷電峰へのひたすら登りとなる。

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【贅沢な時間が終わり再び苦しい時間へ(笑)】

ここまでは、腰上ラッセルがデフォルトで、1時間に50mを上がらないペースであったが、この辺からは少しずつ雪も締まってきてまた、風もあたるところになってきたので雪も飛び出しておりハイマツも所々顔を出して来た。そうなればこっちのもの! 両手両足を使い登っていく。
片手にピッケルを埋め、片手は雪の中に手を突っ込み、アイゼンを効かせながら快調に高度を稼いでいく。
サイコーに気持ちの良い瞬間である。

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【通ってきた道を振り返る】

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【トレースがしっかりと見て取れる】

雪壁を登り終えると、岩峰が出てくる。
岩峰群を適当に登るとピークに着く。雷電峰である。ピークには標柱跡らしきものがあるが標識など何も無かった。

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【雷電峰直下 雄山の社と神社が見て取れる】

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【雷電峰と雄山】
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【時間があったら行こうかなんて話してた龍王岳とNさん】

 

パートナとがっちり握手を交わし、雄山までの残りの道を進む。
現在10:15 何とか昼前に抜けれそうだ。雄山までの登りは今までとは全く異なりラッセルもほとんどなくあってもくるぶし程度のものとなり快適なものであった。上部に人工物らしきものが見える。
そう。登山道の道標である。あそこまで行けば終わる。と最後の力を振り絞り登る。
そしてようやく道標のロープを越え登山道へたどり着く。終わった…。

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【そして登山道。ついに帰宅できると確信した瞬間(笑)】

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【東尾根上部。雷電峰までがキツカッタ】

パートナとがっちり手を交わし無事に抜けられた事を祝う。そして雄山山頂社に行き雄山の山頂に向かう。
9月の終わりに取った鳥居は雪で埋もれていた。山頂の神社も半分ほど雪がついていた。

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【雄山社 スキーヤーがちらほら】

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【雄山神社】

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【9月に来たときはもちろん下をくぐれた鳥居。今は埋まっている】

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【Nさん】

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【筆者】

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【2人でがっちりと!サイコーの山行をありがとう!!!】

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【雄山から劒岳を望む】

なんとすがすがしい気分なんだろうか。眼下には2日間格闘してきた尾根が広がりそして今朝、先程自分たちがつけたトレースが深々と刻まれていた。あそこは大変だった。あそこも急登だったと先ほどまでの景色が脳裏に浮かぶ。
相方とがっちり肩を組み記念撮影を行い遠くに見える劒にあいさつをして社に戻る。ここでのんびり一本たてる。
後は一の越経由で下山をするだけである。今は丁度11時。遅くても13時には室堂に着くだろう。
何よりも帰宅が出来る目途がたったことが嬉しい。15時の終バスに間に合わなければ今日も室堂に泊まらないといけないかもと何回も何回も頭を過ったからだ。パートナは、まだ全快とまでは行っておらず下りに不安があるので、ゆっくり下山をするとのことで、一の越で待ち合わせとした。
一の越で再度出合い室堂に向かった。12:45 そして室堂に到着をした。

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【室堂に無事に到着】

装備を解除してアイゼンを外し13時のトロリーで帰路に着いた。大観峰からのロープウェイでは、昨日の道がくっきりと見え自分たちが通った道。登ったルンゼなどを確認をしながらの下山であった。こんなにも満足感のある山行はなかなか無かった。
本当にお疲れ様でした。2日間協力をして共に戦う。久しぶりの感覚であった。やはり雪山はサイコーである…。

 

改めて、こんなサイコーの山行を共にしてくれたパートナに感謝をしたい。

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【黒部平から。すべてはここから始まった(笑)】

瑞牆山十一面岩正面壁アレアレア、カンマンボロン太陽の登

河合(記)、川上

 

誰も記録書いてくれないので、また書きます。
誰か書いてよ~、山行ってる人・・・

このご時世、風邪引くと大変に面倒。PCR検査に始まり、陰性となっても自宅待機が続く。おかげで瑞牆ベストシーズンの10月をほぼ棒に振ってしまった。

やっとこ3週間ぶりにクライミングに出られたのが10/31。もう終盤戦だけど、川上さんを道連れにして駆け込み瑞牆。

10/31

さて、そろそろ互いに今年の瑞牆の心残りに区切りをつけないといけない。川上さんは蒼天攀路3p目5.12b、河合はアレアレア6p目5.12bと7p目5.11dに未練があったので、この週末は未練を断ち切ることにした。

 まずは、川上さんにとってRP目前の蒼天攀路3p目だ。朝イチで90分アプローチをこなしていつもの取付へ。川上さんがヌン掛けしている間にワンパーティやってきた。ご好意で2便連続で出させてもらえて、川上さんは無事RP!

後続パーティの蒼天攀路トライ。富士をバックに映えます

 さっさと退散して、次目指すは白クマのコル。久々にベルジュエール6p目の5.10a大フレークを登って軽くアプローチ兼アップして、狙うは7p目の5.11dピッチ。

 が、しかし、出だしの地ジャンランジが止まらない。この時期なのに日当たり良好、真昼間で少々ヌメったけど、それを抜きにしても、出した右手が振られに耐えられない。撃ちまくるも敢えなく敗退。川上さんも少し触るも、手応えなしとのこと。飛ばない手順もあれこれ考えたけど、無理。

過去触ったイレブンの中で圧倒的に再難。5.11fか5.11g?ホールド欠けた?出だし以外マイルドなのでボルダーグレードの方がわかりやすく、初段位か。アレアレアを完登する上で、最大の核心であることを認識。非常に悔しい。修行して出直しだ。

アレアレア7p目5.11d。出だし、何にもない

 さて、気を取り直して、次は6p目5.12b。前回ヌメりでクライミングにならなかったけど、今回はパリパリだ。怖いのでトップロープだけど、1便目でプロテクションもムーブも解決。しかし、出だしのプロテクションはやはり怖い。ハーケン+青エイリアン、ブラインドセットで効いてるか怪しい紫リンクカムを離陸前にセットしてからの、根性レイバック中に黒エイリアン×2。黒エイリアンのセットはフルパワー核心まっただ中なので、2つセットするのが非常に辛いけど、1個では怖い。バナナクラックの核心セットより辛いぞ。PDっしょ。レストポイントまで離陸から6手、プロテクションセットなければ気楽なんだけどなぁ。その後は11a位の、出だしに比べれば簡単なプロテクションちょっと怖いレイバック系フィンガーで快適。このルート、シビアなフィンガージャムは出だし核心の1手だけ。

 結局この日は3便出して、後少しトップロープで黒エイリアンのセット慣れたらリードで狙うかなという感じまで来たけど、7p目のランジを解決できないのにRPしても仕方ないので、今年のアレアレアは終了。ランジの修行して出直してきます。

アレアレア6p目5.12b。出だしはクラックというよりミゾ

11/1

 当初は2日目もアレアレアか蒼天攀路の予定だったけど、川上さんも河合も懸案に一区切りついたので、どうするよ~と相談。「やっぱマルチで〆じゃね」という謎の境地に(主に河合が)至ったせいで、太陽の登5.12cに決定。

1p目5.12a:河合リード

寒い。核心はスラブだ。あっさりと手順間違えフォール。いや、手順分かっていても無理。うっかり左の木に触ってしまった。他はムーブ解決。最後までに気の抜けない、見た目いまいちだけど内容の濃いピッチ。川上さんも大体解決して上がってきた。ビレイ点は風が強くてかなり寒い。

太陽の登1p目5.12a。相変わらず楽しそうに登る川上さん
紅葉は最盛期で、鮮やか!

2p目5.12a:川上リード

いよいよ風が強くなってきて辛い。出だしはジェットストリームみたいな横トラバースからのマントル。川上さんたまらずテンション、でもその後はさくさくと抜けていった。

 フォローしたら、1箇所目の核心っぽいところでライン取りミスって落ちてしまい、最後の核心にはしっかりとやられてしまった。でも、快適に右に左に弱点を突く、素晴らしいピッチだ。これは気持ちいい!ノーテンで行きたかったけど。

太陽の登2p目5.12a。出だしではまってしまった川上さん

3p目5.12c:河合リード

風がアホみたいに強くて発狂しそうだ。が、川上さんに無理行って行かせてもらうことに。出だしの左トラバースは明らかな核心、全然ホールドに手が届かない。ムーブもわからずテンション。思い切って飛んでみたら一発で止まった。ボルダー2級位か。アレアレアの地ジャンより、飛び先ガバなのでずっとマイルド。ただ、この先長そうで、ビレイヤー殺しの寒さだったので、今日はここで御終い。クライムダウンして2p目終了点まで戻って、懸垂下降。

その後は、2人で1p目5.12aをトライ。河合は2便目で木を触らないムーブを見つけ、3便目でRP。5.12aど真ん中か。川上さんは鬼のように連続トライするも詰め切れず宿題に。

11/8

 先週太陽の登が楽しかったので、今週もリベンジ。先週よりかなり暖かい。

1p目5.12a:川上リード

 今度は順番チェンジで川上さんから。調子が出ないみたいで、スラブに足が乗れていないのが遠めに分かる。やはりテンション。河合は自動化済でノーテンだったけど、朝イチスラブはしんどく、川上さんの気持ちがわかった。

太陽の登1p目5.12a。核心のゴミホールド達が見える

2p目5.12a:河合リード

 このピッチはリードが最高に気持ちいい!もう、天国!!適度にレストポイントがあり、まさにエンジョイクライミング!前回寒くてダッシュで登ったためかムーブは怪しかったけど、核心の手順は覚えていたので、何とか押し切りRP。瑞牆の今まで触った5.12aの中で一番易しく感じたけど、これより易しい5.12aはいくらでもあるので、やっぱり5.12aかな。川上さんは何回かテンションかかり、やはりまだ本調子ではなさそう。

太陽の登2p目5.12aをフォローする川上さん。すっきりしたフェース

3p目5.12c:川上リード

 核心ピッチは川上さんに任せた。前2ピッチ調子悪そうだったのでちょっと心配だったけど、調子出てきたようで、出だしの核心あっさり解決、テンションかけながらも、さくさく上に抜けていった。河合はフォローだったけど、ここまでノーテンだったし、本気スイッチオン。出だしのランジを気合で決め、クラックセクションも辛うじて越えて、レストポイントが見えた。これはノーテン行けるかと色気が出て、目の前に見えたボロいフレーク、剥がれそうな気配あったけど、下に人いないし、思わずガストンで体重かけてしまった・・・剥がれた・・・50cm×40cm×10cmの巨大フレークを剥がしてしまい、私も剥がれてフォール。岩は1p目終了点下部に着弾、取付にメテオが降り注いでしまった。大反省。川上さんはこの岩は触っていないらしく、どうやら登攀ラインから左に逃げ過ぎてボロいゾーンに入ってしまったようだ。ここはマルチなんだと、今さら再認識。

 せっかくなので周辺のボロい岩を、下に人いないので落としまくって掃除、気を取り直してフォロー継続。残りもかなり危なかったけどノーテンで行けた。あ~、悔しい。ずっと小悪いムーブが続く系で、体感5.12b。

太陽の登3p目5.12c。これまたすっきりしたフェース
隣のHappiest Youを登るパーティ。ビレイヤーの服装に注目!上裸!!

4p目5.10a:河合リード

 ボロいスラブ。迂闊に脆いフットホールドに乗ると容赦なく取れる。グレード以上に慎重さが求められるピッチ。脆いホールドを片っ端から掃除した後、意地で草付には触らずオンサイト。

5p目5.12a:河合リード→川上リード→河合リード

 密かにオンサイトを狙っていたけれど、出だしでムーブをミスって敢無く撃沈。ダメダメだ。適当にムーブ作って抜けた。スラフェースからのカンテ登りで、変化あって楽しいピッチ。

 ここで川上さんが覚醒!出だしのムーブを粘りに粘って押し切り、フラッシュ!河合も2便目で登れたけど、作業感は否めず、あっけなく落ちた1便目に後悔が残る。なぜ川上さんのように粘れなかったのか。もっと1便を大事にしないと。このピッチは2p目の5.12aよりもさらに易しく感じて、体感5.11d。

太陽の登5p目5.12a。まだまだ続くすっきりしたフェース

6p目5.7は省略、一度下で落ち着きたいし、川上さんが因縁の1p目5.12aと勝負付けたいこともあったので下降。

 その後、川上さんは1p目5.12aと更に2便戯れ、最後は「(裏切られる)右足を信じなくてもよいムーブを発見」してRPしていた。曰く「登れなかったらトラウマになるところでした」。

 河合は前から気なっていたJoker5.12cの下部、美しいクラックのショートサーキット5.11bにトライ。シンハンドとオフフィンガーに苦しめられるも、短いので押し切ってオンサイト。すぐさまフォローで回収したら全く違うムーブになった。

ショートサーキット5.11b。右にある立木で支点構築可

 太陽の登は、核心5.12cでワンテン入ってしまってワンプッシュ・ノーフォールフリーは達成できなかったけど、十分勝負できたのは収穫。オールボルトで気楽だし、グレードも瑞牆にしてはマイルド。すっきりした岩の、素晴らしいルートでした。

そんなこんなで、その後川上さんと予定が合わないこともあり、今シーズンの瑞牆を終了。今年も楽しませてもらいました。でも、突発的に暖かくなったら、まだ行くかも。

来年は、アレアレアのワンプッシュを目標に頑張ろう。待ってろよ、7p目・・・