北ア 錫杖岳 前衛フェース 注文の多い料理店、1ルンゼ

2016年8月10日~12日
薄田、河合、山口(バーバリアン)

この夏休み、前半戦で赤蜘蛛登ったので後半どこ行こう?屏風?滝谷?剱?北岳?夢は膨らみましたが赤蜘蛛でヨレた体は完全回復せず。
ということでアプローチの短い錫杖岳に行くことにしました。今度は連休開始で元気モリモリの山口さんも合流。

8月11日(木)
河合(記)

注文1

10日、また前夜発。中央道は渋滞で5時間かかってしまい、槍見温泉駐車場26:00到着。

11日、登攀意欲バリバリの山口さんと、ヨレヨレ組の薄田、河合の間で起床時間を巡るかけ引きがありましたが、結局5:00起床となりました。
眠い…ゆっくり歩いて汗をかきかきテン場へ。
テン場にて(河)「あー、~もうビール飲みたい」(山)「そんなんで大丈夫?」(河)「大丈夫!取付いたらスイッチ入るから」(山)「(ホントかよ・・・)」
この後も弱気発言を繰り返す主に河合、時々薄田の両名は山口さんの叱咤激励を受けながら取付へ。
注文-2

さて、今日のお題は「注文の多い料理店」。錫杖岳を代表するオールナチュラルプロテクションの好ルートとの噂。目も覚めたし、それじゃあ行ってみよう!

1p目:Ⅳ(リード:薄田)
階段上を草付テラスまで。プロテクションはあまり取れなかったような。準備運動のピッチ。草が結構生えてました。

注文3

2p目:5.8(リード:河合)
テラスを左に少しトラバースしてからクラックを左上~フェースを右上して枯れ木テラスまで。快適なピッチでした。う~ん、いい感じ!薄田さんも思わず「このピッチ、俺がリードすれば良かった…」。でも写真は撮るの忘れました。

3p目前半:5.8(リード:山口)
前夜の車の中でのやりとり(河)「どのピッチリードしたい?」(山)「3ピッチ目で。」(河)「んじゃ任せた!」(薄)「(まぁ頑張れ)」ということで、ハイライトの3ピッチ目は山口さんリードです。キャメ#4×2、#5その他を装備してハング越え~広めのクラック。プロテクションはクラックにとりますが、クラックの幅が広すぎてクラック登りというよりは凹角登り、レイバック主体になり、結構力を使いました。いや~楽しい!弾数の尽きた山口さんは途中のハング下の支点でピッチを切ってました。
注文4

3p目後半:5.8(リード:河合)
あまりに快適で「次は俺にもやらせてくれ~」、ということでリード交代。引き続き快適なクラック(でも割とフェース登り)が続き、思わずにやけてしまいます。最後は少し右にトラバースして水平テラスへ。
注文5

4p目前半:5.8(リード:山口)
当初は河合リードの予定でしたが、(河)「まだ物足りないでしょ?」(山)「そうだね。」ということで、再び山口さんにスイッチ。大き目のクラック→左ハンド、右幅広のダブルクラックでした。少し草が増えてきましたが、まだまだ快適です。最上部は左の草付から回り込めば良いのですが、フォローだったので右壁に行ってみたらボロくてフットホールドが欠けた(落石してすみません)ので諦めて戻りました。最後山口さんは左方カンテの中間支点とかを使ってピッチを切っていました。終了点はもうちょい上だよ~。

注文6

4p目後半:Ⅲくらい(リード:薄田)
最後の10mは薄田さんに締めてもらい、左方カンテとの合流点のテラスに到着。

注文7

この日、注文は後ろにもう1パーティーのみでした。
対岸の「見張り塔からずっと」には3人パーティーが取付いていましたが、ルートが違うような…大丈夫かな。

注文8

懸垂時、水平テラスは後行パーティーが食事中だったため使えず、左方カンテ核心手前の大テラス経由で3回懸垂下降して取付まで。大テラスからロープ引いたら、ロープの流れ悪く最初は引いて動かなかった(セカンド以降に直してもらった)ので要注意でした。

(河、薄)「さて、ビールだ飯だ~♪」(山)「何言ってるんすか。まだこんな時間(14:10)だし、登るに決まってるじゃないすか」(河、薄)「まじ?」(山)「まじ。」(河)「ん~今から左方カンテやったら日暮れそうだしな~、よし、黄道光1p目やってみるか!」
ということで、その場の思いつきで、黄道光へ行ってみることにしました。
左方カンテ取付に行くと、黄道光から降りてくるパーティがいたので、しばし待ち。曰く、3p目のボルトが抜けているらしいとのことでしたが、この時間から登っても3p目には行けないので問題ないかな。

左方カンテ1p目:Ⅲ(リード:河合)
アプローチ。本来の左方カンテ1p目終了点少し下の立木でピッチを切ります。

黄道光1p目:5.11a(リード:河合)
やって参りました黄道光。甲斐駒+注文のダブルパンチでヨレヨレの体で登れるようなルートではないのですが、とりあえず河合がリード。これが中々にキツい!ボルトはペツルですがところどころ間隔が遠く、油断して小さ目のカムを持っていかなかったこともあり、フラフラな体に結構ランナウト、しかも傾斜はハング気味で腕が吸われる…「うぉ~!」とかシャウトし、振り絞りながら核心のクラックを通過。後で写真見るとロープと壁に足が挟まってました。もっと余裕もって登らないと。
注文9

下から「さっさと諦めて降りて来いよ~」オーラ全開の薄田さんを尻目にテンション混じりで何とかトップアウト。5.11aよりは随分辛めに感じました(ヨレてるせいだと思いたい)が、ムーブは大体解決。このレベルをマスターでオンサイトするにはまだ実力不足なことを感じました。次は万全な調子の時にやってみたい!フォローの2名は、また魂飛び出かかった私を尻目に、楽しそうに登ってきました。「わ、私もフォローが良かった、かな?」

当然のごとく1p目で時間切れ、ハイライトの3p目をしっかり目に焼き付け、下降しました。また戻ってくるぞ~!

注文10

この日は結局18:30頃にテン場に戻りました。当然残置し冷やしたビールに潤沢なツマミがお待ちかねです。いや~たまらん!

コースタイム
6:40登山口→7:50/8:30錫杖沢出合テン場→9:00/9:30注文取付→13:00注文4p目終了→13:10懸垂下降開始→14:10/30注文取付→14:40/15:25 左方カンテ取付→15:45黄道光取付き→17:10黄道光1p目フォロー終了→17:50/18:00左方カンテ取付→18:30錫杖沢出合テン場

8月12日(金)
薄田(記)

今回は他会の山口君を加えての錫杖になりました。
8月6日~8日で河合君と甲斐駒・Aフランケ「赤蜘蛛ルート」行って間もない(中2日)ハ-ドスケジュ-ル。
正直赤蜘蛛はアプローチが核心で体力勝負です。昔のクライマーは強かった!!!
お前も片足突っ込んでるでしょうと聞こえてきそうですが(*^ー゜)。
只、天候に恵まれ素晴らしい1週間になりました。
以下、記録
薄田は今回で3回目なので若い(自分も若いつもり)二人にリードを譲りスタ-トです。
写真1_若い2人

新版日本の岩場参照のピッチで1~3P:河合、4~6P:山口、7・8P:薄田が担当。
写真2_河合リード

前回(2、3年前)に登ったときには存在した中間ピンが殆ど抜かれており「カム等」が無いと登れない状況でした。(キャメロット2番以下1セット程度必要。)
その分ピンが無いとルートファインディング能力が問われ、場数慣れしたベテラン諸氏には楽しめるルートに変貌を遂げています。
但し、冬登るには真の実力を問われる厳しいものになるのでは無いでしょうか?
以前あった大量のビレーポイント(リングボルトメイン)は消滅し新たにペッツルのボルトが確保地点に存在します。
写真3_山口リード

ルート中楽しい、これぞ「フリークライミング」言いたいピッチは6p目のバリエーション(リトルウィングライン10b)でここはお勧めです。但しピンは有りません。
写真4_6p目ダイレクトルート

写真5_6p目ダイレクトルート2

現在のクライミング技術からすると容易いのですが高度感も含むあのロケーションの中では雄叫びを上げたいくらい(ちょとオーバー)。
写真6_高度感の中クライミング

コースタイム:
7:50 テント場スタート
8:25/50 取り付き
9:40 2p目終了
10:30 5p目中間
10:45 山口にリードチェンジ
12:40 6p目終了(薄田にリード交代)
13:40 8p目終了
14:00 懸垂下降開始
15:40 取付
16:50 天場
17:40 駐車場

以上