剱岳 剱尾根 R4

2017年5月3日~5月4日
薄田(記)、野澤

GWなので前から行きたかった剣尾根R4に行ってきました。
4月の初め野澤君に電話したら5月6日が結婚式出席予定とのこと。当初、R4~剣尾根を継続と目論んでいましたが時間を短縮してR4のみとしました。

5月2日、22:00柳瀬川駅集合でレガシーにて出発、翌3日4:00に馬場島到着。
流石GWにして駐車場ほぼ満車状態。辛うじて1台の空きに賺さずレガシーを滑り込ませる。
但し、テントは面倒くさがって車のすぐ後に設営。眠くて「大岩」の後まで行って張る元気なし。
顔は見ないが6:30ころ誰か(オジサン)にテントの張場所を注意されてやむなく起床。「ごめんなさい」でした。
さりとて二人とも朝飯はカップ麺で有りますれば、ユックリお湯を沸かして『茶』飲んでカップ麺を食す。「更にごめんなさい」。
準備して、4年前の事故の件も有るので、目の前の警備隊に挨拶に伺う。
隊員から5月1日にそれなりの降雪が有り(馬場島も)、源治郎谷?で雪崩れ発生。1名が死亡とのこと。
更に諸注意を真摯に聞いて入山スタートです。
道は、早月尾根との分岐から雪が残る状況で大きめの「バックホー」が道の傍らに置いてありました。GW明けには取水口手前の橋くらいまでは除雪されるでしょう。
そうではありましたが、心配していた取水口上は取水口のすぐ上ががっつりデブリ・ブリッジとなっており、昨年みたいな冷たい徒渉は有りませんでした。「アリガタヤー」。
「鷹の座り」近辺は膨大なデブリが谷を埋め尽くし、デブリの上り下りで重荷が肩に食い込む(ちょっちオーバー)。池の谷に入りゴルジュ地帯は更にデブリのてんこ盛りで河床から何m有るのやら。時折落石の音が響くので気持ちが悪い。
気温も徐々に上がり、喘ぎながら12:00に二股に到着。
早速テントを張るが何もすることが無いので野澤君持参の350ml缶ビールを2人で飲んで昼寝する。
夕方、同じくR4計画者2名が 偵察から戻ったので状況を教えて貰う。聞くにどうも氷の付着が甘そうな様子。今から心配すると髪の毛が抜けるので予定どおり行くことにする。

5月4日、1:30起床。3:30出発。薄田今一調子上がらず、野澤君に遅れること5分。
取り付き5:30~スタート6:00~終了11:00。
取り付きには先行の男女ペアが準備中。見上げるルートは写真の通り氷は一応繋がっているのが解る程度だが先行も行く気満々だし行かない手は無い。

R4全景

1P目(野澤)写真の雪壁を右上し4級程度の岩登り2~3m直上後右にトラバース(25m)。キャメと残置ピンでビレー。
1P目取付にて先行のロープ

2P目(薄田)ここからはアックス&アイゼンの世界。傾斜がそこそこ有るが(高度感抜群)氷が柔らかいのでグリベルの2本の縦爪がバッチリ効く。
支点は手を抜いて(スピードアップ)先行の抜いたSC穴に13cmを2箇所入れてお終い(皆さんは真似しないように)。傾斜は有っても70°くらい。
すると雪混じりの氷となり、先行女性の待つ(待ってないか!)ビレーポイントへ向かう。
先行男性がリード中なのでセルフ無しで少し待つ。先行が落とす氷が時折唸りながら飛んでくるのでスリル満点(後で聞いたら野澤君は口に1発食らい口中を切ったとのこと)。ここもセルフは残置ピンとカム。ここも25m少しのロープスケール。
2P目野澤フォロー

2P目終了点から3P目を望む

3P目(野澤)出だし、雪壁から岩を右に回り込みルンゼに入る。ここから上が本ルート中で1、2番の傾斜が有る場所でしたが先述の通り軟弱氷なので難しくない。
3P目スタート

貴重なアックスが薄い氷を叩くと「カチン」と悲鳴を上げる。更に全ピッチを通して氷が薄いのでスクリューも「ガリッと」泣いて侵入を嫌がるので涙が溢れそうにそうになる。確か40m程度。
3P目登攀ライン

4P目(薄田)このピッチは下部から中間は殆ど氷が無く、薄く狭い。しかるに右手の岩に乗って通過(Ⅲ+程度)。抜け口4m手前から氷に移る。35m程。
4P目抜け口野澤フォロー

5P目(野澤)写真のとおり傾斜が落ちて氷も気温の上昇と共に水氷状態。本ピッチが氷のラストピッチとなる。40m程。
5p目取付(先行)

5P目中間

6P目(薄田)緩い雪壁50m。
6P目スタート

7P目(野澤)15mの岩場。Ⅲ+程度ですが氷混じりの為少し難しい。右上して這松帯に入ると実質終了。後は雪稜をロープスケールいっぱいでR4全ルートの終了となる。
8P目実質最後リード

懸垂が出てくる予定なのでハーネスは外さない。ルンゼ内はほぼ日陰状態で有ったが抜けたのでこれ以上無いほどお日様が我々に強い日射を浴びせる。
小窓の王、チンネが格好良い。
先行2名のトレースを追っていくと這松の中に綠のロープシュリンゲを発見。ロープ跡が見当たらないので先行はフリーで降りた模様。我々が遅いので姿は認めず。
傾斜は雪壁の傾斜は出だし60~70°程度。勿論後ろ向きになり靴底に付着する雪団子をまめに落としながらの下降となる。先行のトレースが有るので助かる。手を抜くとフットホールドを捉えられず気持ちよく(?)R2のルンゼに死へのジェットコースターがスタートする。シンギングロックのグリップ(アックス)が傷だらけになるが致し方ない。
この辺から若い(私も若いけど?)野澤君に間を空けられる。
天場へは13:00に到着。休憩後14:00出発、15:30頃馬場島着。

この冬はそこそこアイスクライミングに通ったので技術的な困難さは感じなかったが、そこは剣岳の直下。天気にも恵まれ気分は最高でした。
(最後1P程度誤差があるかも(^_^;))
お終い。