鹿島槍ヶ岳 天狗尾根

2002年4月13日から2日間
倉田、三好、朱宮、宮川、柴田(記)


昨年もこのルートを目指したのだがその時は井上さんの調子が悪く第1クーロアール辺りでリタイヤだった。

で、しつこくそのリターンマッチ。

今年はメンバーも5人に増えた。

倉田さんは納車したてのエスティマで夜の中央道をカッ飛ばし(ところどころで150キロオーバー)八王子から3時間ほどで大谷原に着く。

途中疲れたら運転交代するよ、と言っていたのだが結局最後まで彼女一人で運転。

あとから聞いたら「交代されると大谷原に着くのが遅くなると思った」との事。

お嫁に来た日からコキ使われているようなエスティマにちょっぴり同情。

これからも倉田さんにブン回される事でしょう。

朝5時に起きて6時に出発。

林道をまっすぐ進んでいたら右への分岐をみっちょんに指摘される。

さっぱり覚えていなかったが発電所の取入口でようやく昨年の記憶が蘇る。

昨年は荒沢出合まで雪の上を歩けたのだが今年は発電所のすぐ先で雪が切れ渡渉となる。

先行の2人組はパンツ姿で渡っていた。

我々も覚悟を決めて宮川さんを先頭に渡渉開始。

明星山の小滝川で流されかけた実績を持つ倉田さんと小柄なみっちょんは本気顔で渡っていた。

(下山後に聞くとここが今回の山行の核心だったとのことでした。)

何とか全員無事渡渉を終えヤレヤレである。

冷たさでしびれた足をプラブーツに戻ししばらく歩くと荒沢出合だが、昨年快適に登った出合の尾根筋はすっかり雪が落ちて藪になっているのでしばらく荒沢を進み登りやすそうな斜面を選んで尾根に上がる。

最悪ヤブコギ数時間かと覚悟したが、数十分であっさりと藪は終り尾根上のトレースに出た。

尾根上は固めの雪が残っており割と楽チンに高度を稼ぐ。

対岸の東尾根が次第に開けて来て南俣尾根や荒沢尾根が良く見えるようになる。

風もなく暑いので柴田はシャツ1枚になって登っていたら途中から日が翳り雪が降ってきた。

第1クーロアール手前でアイゼンをつけるがザクザクした雪にキックステップが効く事が多かったのでロープは特に出さずアックスもシングルのままで第1・第2クーロアールとも通過。

第2クーロアールを越えると天狗の鼻の一角で荒沢の頭から北壁がかっこいい姿を現し暫し見とれる。

まだ12時で時間的には早いが大分雪も本格的になってきたので天狗のコルまで降りたところで雪面を整地して倉田・宮川組と三好・朱宮・柴田組に分かれて幕とする。

幕を張ってもやる事が無いので1本だけ持ってきたビールを回し飲みしたあとは「山岳しりとり」をして過ごした。

「け」と「る」で終わる事がやたら多かった気がする。

てな事をしているうちに天候はすっかり悪化し時折強く吹雪いている。

まあ翌日は良くなると聞いていたのでそれほど心配しなかったが就寝前のトイレもタイミングを見てゆかないと雪まみれになる程だった。

尚、夕食は宮川さん担当の「半熟卵入りレトルトカレー」

だったがなかなか美味でございました。

翌日は3時過ぎに起きて5時に出発。

左手のリッジ沿いに進むがⅢ程度の岩で一度だけロープを出した。

倉田さんがリードしみっちょん・朱宮さんはアッセンダーで登り最後に宮川さんと柴田がフォローする。

ここを過ぎると荒沢の頭まで展望が開け、気持ちの良いリッジを越えて荒沢の頭に着く。

東尾根にも数パーティいたが我々の方が先に着いたので北峰までの新雪のリッジは我々がトレースを刻む事が出来た。

みっちょんラッセルお疲れさま。

北峰着7時45分。

剣岳があちら側に浮かんでいるのが見える。

のんびりしたい所だが飛ばされそうなくらい風が強いのでほとんど休む事なく南峰を目指す。

南峰でも相変わらず風が強いので写真を撮り終えるとすぐに下降にかかり布引山を過ぎ冷小屋の手前の樹林帯脇でようやく休みレーションなどを食す。

途中鎌尾根を下るパーティがいた。

ここから先赤岩尾根分岐までは足が潜る上に、アイゼンがすぐ団子になり結構消耗。

赤岩尾根の分岐で斜面をトラバースするところもアイゼンがすぐ団子になるので往生した。

少しだけ赤岩尾根を下ったところで右手の西沢の斜面をのぞきこむと何とか降りられそうだったのでアイゼンを外して西沢へ下る事とした。

休憩中携帯が通じるかな、と在京の瀧島さんに電話したらちゃんと通じた。

西沢への下降は最初は後ろ向きで下り斜度が落ちたあたりからはシリセードで「イヤッホー!」と一気に斜面を下る。

上を見上げるとみんな喜色満面で滑り落ちてくる。

歩きとシリセードを交え1時間足らずで北俣本谷と西沢の出合まで下った。

疲れているときには拷問のように思える赤岩尾根を下らずにすんで良かった良かったである。

北俣出合から大谷原までは林道を1時間ほど。

所々荒れていたが雪解け水の流れる音は軽やかで春の息吹が感じられ何となく気持ちいい道のりだった。

帰路薬師の湯でさっぱりして中央道を東京に向かって戻る。

嫁入りしたてのエスティマを気遣い私は130キロ程しか出しませんでした。

【タイム】
4月13日 大谷原 6:00→ 第1クーロアール10:00→ 天狗の鼻12:00 → 天狗のコル 12:15

4月14日 天狗のコル 5:05 → 北峰 7:45 → 南峰 8:20 → 赤岩尾根より西沢に下る 11:00 →
北俣谷出合 12:00 → 大谷原 13:15

 

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