2002年5月7日から4日間
石田、森廣、大滝(記)
扇沢~黒部ダム~内蔵助平~ハシゴ谷乗越~真砂沢~長次郎谷Ⅴ・Ⅵのコル~八ツ峰の頭~剣岳~前剣岳~武蔵谷~真砂沢~ハシゴ谷乗越~黒部ダム~扇沢
7日、未明より扇沢は小雨に煙っていた。
桜がまだ咲いていて小さく喜んだ。
7:30のトロリーバスで黒部ダムに行き、雨具を着て8:00出発。
外に出て観ると、今年は本当に雪が少ない。
五月下旬のようだ。
別山南尾根は全然雪が無い。
黒部川沿いの道も夏道を行ったり、雪の上を進んだり、大岩の間を縫ったりと目まぐるしい。
平年なら河原をとことこ歩けるのに苦労する。
丸山東壁を石田君に説明しながら登っていくと、岩壁を過ぎた辺りに大きく前傾している岩があったので、雨宿りをした。
夏には見たことの無い場所だ。
この先、雨の中、真砂沢まで頑張るのも辛いし、翌日に真砂沢に入っても日程としては、大丈夫なので、早いけれどこの快適な場所で泊まる事にした。
雪を整地したら立派なテント場になった。
すぐ下に水流もあったし、ハングからの雫でもあっと言う間に水が汲めた。
11:30たっぷりと昼寝をした。
8日、9:00起床。
朝まで降っていたのでゆっくりと起きた。
11:00出発。
いい天気になった。
森広さんが「雨の後だから今日は八ツ峰の上に上がるのは止めましょう」と言う。
雪崩を考慮した堅実な考えに感嘆する。
少ない雪で出た藪に苦労しつつ内蔵助平に着く。
雪のあるここは初めてだ。
やはり、スキーにうってつけの地形だ。いつかスキーで来たい。
ハシゴ谷乗越からは、尾根ではなく谷を下る。
Ⅰ峰3稜が目標だったが、見事に雪が少ない。
やはり、そこは登れない。
谷は剣沢まで雪が繋がっていて快適。
剣沢の流れは真砂沢近くまで出ていた。
13:50真砂沢。
他にはスノーボードの人が一人居た。
風を避けるため斜面を切り崩して幕営した。
9日、3:00起床。
満天の星が素晴らしい一日を約束してくれる。
4:30出発。5℃。
初めからアイゼンを着けて歩く。
事前に聞いていた長次郎の雪崩跡は、その舌端は別山沢出合まで達していた。
沢幅一杯に想像を絶する土砂と岩と雪のデブリ。
後で上部から見て分かったが、これは雪の崩壊ではなくⅠ・Ⅱ峰間ルンゼより一本下側ルンゼ上部の土の斜面が4日の大雨で緩んで崩れ落ち、雪を巻き込んで流れて行ったものだった。
歩き難いデブリを登り、Ⅰ・Ⅱ峰間ルンゼ下に着く。
上部に1ヶ所雪が切れている所があるため、協議の結果Ⅴ・Ⅵのコルから登ることにした。
6:55、Ⅴ・Ⅵのコル。
二人組の先行パーティーが居たが、ここで追い着く。
Ⅵ峰は夏の懸垂支点まで雪が無い。
石田君に「ロープ要る?」と聞くと、即座に首を横に振った。
大滝、石田、森広、の順で、ロープ無しで登り始める。先行はガイドさんらしい。
彼のトレースを有り難く追う。
白馬岳、鹿島槍ケ岳、爺ケ岳、針ノ木岳、蓮華岳、槍ケ岳、見える筈の山は全て見える。
雪は、ぐしゃぐしゃ。
切れ目も良く出てくる。
懸垂下降3回、どれもロープ1本。
一ヶ所、懸垂しようとしてロープをエイト環にセットして、一段降り、最終チェックをしたらロープが一本しかエイト環に入っていなかった。
自分がこんな事になるとは何と言う事。皆さん、チェックは入念に。
快適に登り、9:55八ツ峰の頭。
所要3時間の八ツ峰主稜上半。
登る為にロープは結ばなかった。
頭からは北方稜線の山々。どっしりとして重々しい。
いつか行ってみたい。
小窓尾根は雪がほとんど無い。
先行のガイドさんの言うには、R4には氷瀑は無いようだ。
11:35剣岳山頂。
富山平野は雲海の中だ。
そこからは雪が所々消えていてアイゼンでは歩き難い道を下って行く。
前剣を過ぎた地点では、急な雪面を体を山側に向けて長い距離を下った。
武蔵谷が下まで綺麗に雪が着いているようなので下りた。
雪は適度に締まり、快適だった。
スキーで滑りたい。
15:20真砂沢。
石田君が上げた缶ビール1本を三人で分けて乾杯した。
10日、3:00起床。
5℃。曇り。
5:00出発。
6:20ハシゴ谷乗越7:00内蔵助平10:30黒部ダム
今春の奥山参りは終わった。
所々、咲いている桜を愛でながら帰京した。