北アルプス 剱岳 剱尾根

2004年5月6日から4日間
大滝(記)、森広


5月6日 快晴

上市駅よりタクシーで馬場島に7:40到着。

白萩川までの道は殆ど雪が無い。取水口を過ぎ、川が左に屈曲する地点で流れが出ていて対岸に渡れない。仕方ないので夏道を目指して左の急な斜面を大高巻きする。部分的にⅣ+位あって恐い。

奮闘して鞍部に着くとはっきりした道があった。9:55。

白萩川に向かって降りて行く。池ノ谷出合は雪で埋まっていた。そのまま詰めたくなるが、馬場島で池ノ谷は沢が出ていて通過不能と言われたので諦める。

10:55小窓尾根に取付く。

雷岩の地点だがここで良いのか少し不安だ。

本流に大岩が有って登り口の左にも大岩がある。赤谷尾根側を見ると急な沢があって十字峡の様に見える。

アイゼンを着けて登って行くが、途中で落雪が有り危険だなと思っていたら左に夏道が見えたのでアイゼンを外してそこを歩く。12:00小窓尾根上に出る。1614m地点に13:50。

展望が開け、剣尾根が凄い迫力で聳えている。そこから池ノ谷に降りて行く。途中雪が切れて居る所もあったが問題は無い。

池ノ谷に降り立つと、自分があの『池ノ谷』に居る歓びに満ちて来る。『剣尾根』と対峙する。やっと来たこの場所に。

延々と歩き始める。快晴で気温が高い。頭がぼーっとして来る。夢を見ながら足だけは前に出して行く。途中、右岸の岩と雪の段差があり雫が落ちていたので冷たい水を補給出来た。

16:00剣尾根末端。

大高巻きをした為に時間が遅くなった。ここは安定しているので泊まる事にした。

水は雪と岩の隙間に雫が沢山落ちていたので溢れるほど取れた。寝る前にコッフェルを置いて居たら、朝には一杯になっていた。

5月7日 晴、午後暫くガス

3:30起床4:50出発 4℃ 2本目に現れたルンゼR10を詰める。初め確信が持てなかったが、その先は壁になっていたので戻って取付いた。

コルEからは藪、急な雪面、恐い土壁、色々な要素が出て来る。ルートを見つける力が要る。Ⅲ峰8:20。

Ⅱ峰の岩場でロープを出す。荷物が重いので結構難しい。いきなりA0してしまう。20mランニング6箇所位。

殆ど休み無く岩場、藪を越えて行く。天気は良いが日が当たらず風が気持ち良いので行動が捗る。

コルCに着く。いよいよ核心部だ。ガスが周りを覆い始め岩場が陰惨に見える。畏怖すべき壁だ。緊張感が高まる。風が出てきて寒いので雨具の上を着て薄い手袋に取り替える。

恐い思いを押さえ込み大滝がリードする。少しだけフリーで登り、後はアブミの架け替えだ。荷が重く疲れる。右にカンテを廻り込むとフリーになる。後半のフェースをフリーで行こうとするが、恐くて一旦まとめたアブミをまた用意して結局ずっと人工で登ってしまった。ルートが曲がるので後半はロープが流れ難くなる。ランニング12箇所位。

森広さんはハーケンに手が届かず苦労した。

這松の尾根を進んで行くとあの高名な「門」が登場した。
多くのクライマーが称えて止まない「門」。
本当に素晴らしい岩塊だ。

R6のコルを越え取付きのバンドで休憩し中央のクラックを観察する。出だしが被っていてシュリンゲが風に揺れている。いきなり疲れそうだ。覚悟を決めて大滝がリード。クラック内に手を噛ませて身体を上げ、シュリンゲにアブミをセット。

アブミの上段に移るとしっかり掴めるガバホールドがあった。

ハングを乗り越し、左にあったハーケンにシュリンゲを通して確認したら簡単に抜けた。落着いて右上を見たらしっかりしたハーケンがあって助かった。

その後は、クラックと言うよりもバンドの左上トラバースと言う感じだ。ハーケンも適宜あり、とても楽しく途中から歌が出て来る。名にしおう名ルートだ。16:40。

ここでロープを外すが最後のスラブが結構恐かった。ぐずぐずのガレを通過すると間もなくドームの頭。時間が遅いのでここで泊まる事にした。17:00。

テント3~4張可能。

5月8日 快晴

3:30起床 5:10出発 -2℃ 念の為ハーネスを着けて行く。

アイゼンを着けたり外したり忙しい。

コルAもテント3~4張張れそうだ。岩場を左に巻く所で1ヶ所恐い所があった。右に望見出来るドーム稜のルートを考えながら目で追う。

中央ルンゼは氷化している部分もあった。登ってみたい。小窓ノ王、池ノ谷、小窓尾根、赤谷尾根、毛勝山方面、後立山方面、展望は360度だ。

剣尾根の頭は、岩場は行けそうだが恐かったので、左の雪壁をダブルアックスで行く。

長次郎の頭7:30。

剣岳山頂8:20。

槍ヶ岳も見えた。早月尾根の下降は、降り初めて間もなくと暫く行ったいつもの雪壁とニヶ所懸垂した。伝蔵小屋11:07。18℃。

馬場島15:00。

天気も気分も良かったので馬場島で泊まって帰京した。

 

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