立山東尾根

2021年10月2~3日
齊藤(記)、中和

雪山の足慣らしに立山でも…
そう計画をして立てた雄山東尾根。
正直舐めてました…。こんなにもキツイとは(笑)
雪山は雪の状況によって難度が変わるのは判っては居ました。
出発日の朝の大町は雪予報。翌日は晴れになって居たので、土曜日の午後には晴れるだろうと安易な気持ちでいた…

 

金曜日夜にパートナと合流して扇沢へ。
大町あたりから雨が降ってきたが、気温は高く7度
ホントに雪かな? 黒部平辺りで雨だと雨の中歩くのは危険だなぁと話し合いながら就寝。
朝起きると扇沢でも見事な銀世界となって居ました。

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【扇沢も降雪であった】

これで濡れずに歩けると2人とも降雪に歓喜する。
始発のバスで黒部湖へ。 黒部湖は扇沢以上の降雪で既に雪一面といった感じ。

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【黒部湖もたくさんの降雪が見られた】

わくわくしながらケーブルカーを使って目的地の黒部平へ向かう。
黒部平の園地は、吹雪の様相となって居た…

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【黒部平は吹雪の様相(笑)】

丁度、同じルートを計画をしていた友人パーティに出会う。彼らは天候悪化とラッセルなどを考慮して奥大日に変更したとのこと。その彼らに見送られながら黒部平を出発した。
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【歩き始めからラッセル】

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【この辺はまだまだ久しぶりの雪景色に歓喜をしてた(笑)】

当然のことながら、トレースは無い。出だしからくるぶしラッセルである。
この尾根は、近所にゴンドラの電線がある為、その点検道が続いている。
快適な道を歩いていく。途中から電線は大観峰の方に向かう為、道も当然そっちの方に向かっていくが、だんだんと目指す主稜線から離れていく。藪の切れ間を狙っていこうかと話をするが、何か決定的な目印が欲しい為もう少し歩くがいい加減離れていくのも明確になってきた頃に手頃なルンゼが出てきたのでここを登攀する事にした。

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【適当なルンゼを登る】

遥か上部には尾根が見えている。

尾根を目指しルンゼを上がるが、中間地点から悪くなる。
1枚岩があり良い感じのスラブ岩である。自分は何とか超える事が出来たが、パートナは断念。
左から何とか合流する。その後、尾根を目指し左上をしていく。

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【かなりの斜面ではあるが、なぜか嬉しそうなNさん(笑)】

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【ジャンクションピーク辺り。この辺がやばかった】

何とか尾根に取付くことが出来た。尾根には、なんか手掛かりや薄い登山道でもあるかと思ったが、全く無く藪一面であった…。考えが甘かったと改めて痛感した。

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【トレースがあれば快適な登り?】

ここからは藪漕ぎをしながらラッセルを行っていく。
この頃には、天気は吹雪となっており、降雪も激しく腰ラッセルの箇所も出てきていた。

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【ラッセル祭り全開中。どこを通っても胸ラッセル状態💦 】

藪をわけわけ登っていくと岩峰が出てくる。右も左もあまり良い感じではない。
岩の割れ目から生えている草を手掛かりにムーブを起こし何とか突破。後続のパートナは苦戦💦。一段降りてそこから登りなおして何とか突破した。ちょうど2350-2400mのポイントであった。
この辺から森林限界になって来るためハイマツも出てくる。
藪漕ぎが無くなったので歩きやすくなったかというと今度は降雪が行く手を遮る。
ある程度傾斜があるところは良いが平らな所は雪が溜り、腰ラッセルである。
登攀が苦手なパートナには、平地でのラッセルをお願いして登攀系のルートの時には、平地でのパワーが出ない自分が先頭に立ちとお互い役割分担をしながら進んで行く。
今日中に、何とかP2783まで目指したいが、この状況だと厳しい。
16時を時間期限として良テン場を探しながら進んで行く。P2640に何とか張れそうなポイントを見つけた為、この日はここで幕営とした。

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【今日はここは越える事ができないとビバーク決定地】

雪は朝からずっと降り続いていて、テン場についても降っていた。寝る前に再度除雪を行い就寝とした。
2人とも完全に舐めてた為、夜はかなり冷えて寒かった。寒さもだが、トイレに行きたかったが、トイレに行くのも面倒だし寒いし雪だらけになる為、朝まで我慢の夜が続いた。

 

翌朝起きると直ぐにトイレに向かう。雪は止んで、ガスも晴れているが上空にはまだ重たい雲があった。

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【翌朝。ガスは晴れたが雲がかかっていた】

今日は曇りの一日なのか?そう話ながら準備を進める。空も明るくなってきた頃にテントを撤収して出発をする。

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【今日もラッセルやる気満々のNさん】

現在の標高が2650m弱 目指すピークは3000m。350m程度上げる計算にはなるが、昨日よりも雪が多いことなどを考えると一刻の猶予も許されない状況であった。15:15には最終バスが出てしまう為、15時までには、室堂に着きたいその為には、13時までにはトップアウトをしないといけない。7時間弱しか行動時間が無い。
焦っても雪が無くなる訳はなく、眼前にはたっぷりと新雪が積まれており、胸ラッセルも上等!であったが、ご来光およびモルゲンロートに光る立山はとても美しく足を止めてカメラのシャッターを押さずには居られなかった。

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【朝日が立山を照らし始める。贅沢な時間の始まりだ】

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【モルゲンロート】

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【ご来光】

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【贅沢な時間に苦しさも忘れた一時】

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【モルゲンロート2】

当初テン場予定であった、P2786に到着。ここからは下りも少しずつ入ってくる。
怪我で下りに不安を抱えるパートナは下りは慎重に。見ているこちらもひやひやである。
1つ目の大きな下りを越え、先頭を交代。私が先行して2つ目のギャップを超える。
これを超えると後は雷電峰へのひたすら登りとなる。

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【贅沢な時間が終わり再び苦しい時間へ(笑)】

ここまでは、腰上ラッセルがデフォルトで、1時間に50mを上がらないペースであったが、この辺からは少しずつ雪も締まってきてまた、風もあたるところになってきたので雪も飛び出しておりハイマツも所々顔を出して来た。そうなればこっちのもの! 両手両足を使い登っていく。
片手にピッケルを埋め、片手は雪の中に手を突っ込み、アイゼンを効かせながら快調に高度を稼いでいく。
サイコーに気持ちの良い瞬間である。

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【通ってきた道を振り返る】

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【トレースがしっかりと見て取れる】

雪壁を登り終えると、岩峰が出てくる。
岩峰群を適当に登るとピークに着く。雷電峰である。ピークには標柱跡らしきものがあるが標識など何も無かった。

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【雷電峰直下 雄山の社と神社が見て取れる】

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【雷電峰と雄山】
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【時間があったら行こうかなんて話してた龍王岳とNさん】

 

パートナとがっちり握手を交わし、雄山までの残りの道を進む。
現在10:15 何とか昼前に抜けれそうだ。雄山までの登りは今までとは全く異なりラッセルもほとんどなくあってもくるぶし程度のものとなり快適なものであった。上部に人工物らしきものが見える。
そう。登山道の道標である。あそこまで行けば終わる。と最後の力を振り絞り登る。
そしてようやく道標のロープを越え登山道へたどり着く。終わった…。

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【そして登山道。ついに帰宅できると確信した瞬間(笑)】

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【東尾根上部。雷電峰までがキツカッタ】

パートナとがっちり手を交わし無事に抜けられた事を祝う。そして雄山山頂社に行き雄山の山頂に向かう。
9月の終わりに取った鳥居は雪で埋もれていた。山頂の神社も半分ほど雪がついていた。

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【雄山社 スキーヤーがちらほら】

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【雄山神社】

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【9月に来たときはもちろん下をくぐれた鳥居。今は埋まっている】

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【Nさん】

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【筆者】

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【2人でがっちりと!サイコーの山行をありがとう!!!】

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【雄山から劒岳を望む】

なんとすがすがしい気分なんだろうか。眼下には2日間格闘してきた尾根が広がりそして今朝、先程自分たちがつけたトレースが深々と刻まれていた。あそこは大変だった。あそこも急登だったと先ほどまでの景色が脳裏に浮かぶ。
相方とがっちり肩を組み記念撮影を行い遠くに見える劒にあいさつをして社に戻る。ここでのんびり一本たてる。
後は一の越経由で下山をするだけである。今は丁度11時。遅くても13時には室堂に着くだろう。
何よりも帰宅が出来る目途がたったことが嬉しい。15時の終バスに間に合わなければ今日も室堂に泊まらないといけないかもと何回も何回も頭を過ったからだ。パートナは、まだ全快とまでは行っておらず下りに不安があるので、ゆっくり下山をするとのことで、一の越で待ち合わせとした。
一の越で再度出合い室堂に向かった。12:45 そして室堂に到着をした。

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【室堂に無事に到着】

装備を解除してアイゼンを外し13時のトロリーで帰路に着いた。大観峰からのロープウェイでは、昨日の道がくっきりと見え自分たちが通った道。登ったルンゼなどを確認をしながらの下山であった。こんなにも満足感のある山行はなかなか無かった。
本当にお疲れ様でした。2日間協力をして共に戦う。久しぶりの感覚であった。やはり雪山はサイコーである…。

 

改めて、こんなサイコーの山行を共にしてくれたパートナに感謝をしたい。

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【黒部平から。すべてはここから始まった(笑)】

瑞牆山十一面岩正面壁アレアレア、カンマンボロン太陽の登

河合(記)、川上

 

誰も記録書いてくれないので、また書きます。
誰か書いてよ~、山行ってる人・・・

このご時世、風邪引くと大変に面倒。PCR検査に始まり、陰性となっても自宅待機が続く。おかげで瑞牆ベストシーズンの10月をほぼ棒に振ってしまった。

やっとこ3週間ぶりにクライミングに出られたのが10/31。もう終盤戦だけど、川上さんを道連れにして駆け込み瑞牆。

10/31

さて、そろそろ互いに今年の瑞牆の心残りに区切りをつけないといけない。川上さんは蒼天攀路3p目5.12b、河合はアレアレア6p目5.12bと7p目5.11dに未練があったので、この週末は未練を断ち切ることにした。

 まずは、川上さんにとってRP目前の蒼天攀路3p目だ。朝イチで90分アプローチをこなしていつもの取付へ。川上さんがヌン掛けしている間にワンパーティやってきた。ご好意で2便連続で出させてもらえて、川上さんは無事RP!

後続パーティの蒼天攀路トライ。富士をバックに映えます

 さっさと退散して、次目指すは白クマのコル。久々にベルジュエール6p目の5.10a大フレークを登って軽くアプローチ兼アップして、狙うは7p目の5.11dピッチ。

 が、しかし、出だしの地ジャンランジが止まらない。この時期なのに日当たり良好、真昼間で少々ヌメったけど、それを抜きにしても、出した右手が振られに耐えられない。撃ちまくるも敢えなく敗退。川上さんも少し触るも、手応えなしとのこと。飛ばない手順もあれこれ考えたけど、無理。

過去触ったイレブンの中で圧倒的に再難。5.11fか5.11g?ホールド欠けた?出だし以外マイルドなのでボルダーグレードの方がわかりやすく、初段位か。アレアレアを完登する上で、最大の核心であることを認識。非常に悔しい。修行して出直しだ。

アレアレア7p目5.11d。出だし、何にもない

 さて、気を取り直して、次は6p目5.12b。前回ヌメりでクライミングにならなかったけど、今回はパリパリだ。怖いのでトップロープだけど、1便目でプロテクションもムーブも解決。しかし、出だしのプロテクションはやはり怖い。ハーケン+青エイリアン、ブラインドセットで効いてるか怪しい紫リンクカムを離陸前にセットしてからの、根性レイバック中に黒エイリアン×2。黒エイリアンのセットはフルパワー核心まっただ中なので、2つセットするのが非常に辛いけど、1個では怖い。バナナクラックの核心セットより辛いぞ。PDっしょ。レストポイントまで離陸から6手、プロテクションセットなければ気楽なんだけどなぁ。その後は11a位の、出だしに比べれば簡単なプロテクションちょっと怖いレイバック系フィンガーで快適。このルート、シビアなフィンガージャムは出だし核心の1手だけ。

 結局この日は3便出して、後少しトップロープで黒エイリアンのセット慣れたらリードで狙うかなという感じまで来たけど、7p目のランジを解決できないのにRPしても仕方ないので、今年のアレアレアは終了。ランジの修行して出直してきます。

アレアレア6p目5.12b。出だしはクラックというよりミゾ

11/1

 当初は2日目もアレアレアか蒼天攀路の予定だったけど、川上さんも河合も懸案に一区切りついたので、どうするよ~と相談。「やっぱマルチで〆じゃね」という謎の境地に(主に河合が)至ったせいで、太陽の登5.12cに決定。

1p目5.12a:河合リード

寒い。核心はスラブだ。あっさりと手順間違えフォール。いや、手順分かっていても無理。うっかり左の木に触ってしまった。他はムーブ解決。最後までに気の抜けない、見た目いまいちだけど内容の濃いピッチ。川上さんも大体解決して上がってきた。ビレイ点は風が強くてかなり寒い。

太陽の登1p目5.12a。相変わらず楽しそうに登る川上さん
紅葉は最盛期で、鮮やか!

2p目5.12a:川上リード

いよいよ風が強くなってきて辛い。出だしはジェットストリームみたいな横トラバースからのマントル。川上さんたまらずテンション、でもその後はさくさくと抜けていった。

 フォローしたら、1箇所目の核心っぽいところでライン取りミスって落ちてしまい、最後の核心にはしっかりとやられてしまった。でも、快適に右に左に弱点を突く、素晴らしいピッチだ。これは気持ちいい!ノーテンで行きたかったけど。

太陽の登2p目5.12a。出だしではまってしまった川上さん

3p目5.12c:河合リード

風がアホみたいに強くて発狂しそうだ。が、川上さんに無理行って行かせてもらうことに。出だしの左トラバースは明らかな核心、全然ホールドに手が届かない。ムーブもわからずテンション。思い切って飛んでみたら一発で止まった。ボルダー2級位か。アレアレアの地ジャンより、飛び先ガバなのでずっとマイルド。ただ、この先長そうで、ビレイヤー殺しの寒さだったので、今日はここで御終い。クライムダウンして2p目終了点まで戻って、懸垂下降。

その後は、2人で1p目5.12aをトライ。河合は2便目で木を触らないムーブを見つけ、3便目でRP。5.12aど真ん中か。川上さんは鬼のように連続トライするも詰め切れず宿題に。

11/8

 先週太陽の登が楽しかったので、今週もリベンジ。先週よりかなり暖かい。

1p目5.12a:川上リード

 今度は順番チェンジで川上さんから。調子が出ないみたいで、スラブに足が乗れていないのが遠めに分かる。やはりテンション。河合は自動化済でノーテンだったけど、朝イチスラブはしんどく、川上さんの気持ちがわかった。

太陽の登1p目5.12a。核心のゴミホールド達が見える

2p目5.12a:河合リード

 このピッチはリードが最高に気持ちいい!もう、天国!!適度にレストポイントがあり、まさにエンジョイクライミング!前回寒くてダッシュで登ったためかムーブは怪しかったけど、核心の手順は覚えていたので、何とか押し切りRP。瑞牆の今まで触った5.12aの中で一番易しく感じたけど、これより易しい5.12aはいくらでもあるので、やっぱり5.12aかな。川上さんは何回かテンションかかり、やはりまだ本調子ではなさそう。

太陽の登2p目5.12aをフォローする川上さん。すっきりしたフェース

3p目5.12c:川上リード

 核心ピッチは川上さんに任せた。前2ピッチ調子悪そうだったのでちょっと心配だったけど、調子出てきたようで、出だしの核心あっさり解決、テンションかけながらも、さくさく上に抜けていった。河合はフォローだったけど、ここまでノーテンだったし、本気スイッチオン。出だしのランジを気合で決め、クラックセクションも辛うじて越えて、レストポイントが見えた。これはノーテン行けるかと色気が出て、目の前に見えたボロいフレーク、剥がれそうな気配あったけど、下に人いないし、思わずガストンで体重かけてしまった・・・剥がれた・・・50cm×40cm×10cmの巨大フレークを剥がしてしまい、私も剥がれてフォール。岩は1p目終了点下部に着弾、取付にメテオが降り注いでしまった。大反省。川上さんはこの岩は触っていないらしく、どうやら登攀ラインから左に逃げ過ぎてボロいゾーンに入ってしまったようだ。ここはマルチなんだと、今さら再認識。

 せっかくなので周辺のボロい岩を、下に人いないので落としまくって掃除、気を取り直してフォロー継続。残りもかなり危なかったけどノーテンで行けた。あ~、悔しい。ずっと小悪いムーブが続く系で、体感5.12b。

太陽の登3p目5.12c。これまたすっきりしたフェース
隣のHappiest Youを登るパーティ。ビレイヤーの服装に注目!上裸!!

4p目5.10a:河合リード

 ボロいスラブ。迂闊に脆いフットホールドに乗ると容赦なく取れる。グレード以上に慎重さが求められるピッチ。脆いホールドを片っ端から掃除した後、意地で草付には触らずオンサイト。

5p目5.12a:河合リード→川上リード→河合リード

 密かにオンサイトを狙っていたけれど、出だしでムーブをミスって敢無く撃沈。ダメダメだ。適当にムーブ作って抜けた。スラフェースからのカンテ登りで、変化あって楽しいピッチ。

 ここで川上さんが覚醒!出だしのムーブを粘りに粘って押し切り、フラッシュ!河合も2便目で登れたけど、作業感は否めず、あっけなく落ちた1便目に後悔が残る。なぜ川上さんのように粘れなかったのか。もっと1便を大事にしないと。このピッチは2p目の5.12aよりもさらに易しく感じて、体感5.11d。

太陽の登5p目5.12a。まだまだ続くすっきりしたフェース

6p目5.7は省略、一度下で落ち着きたいし、川上さんが因縁の1p目5.12aと勝負付けたいこともあったので下降。

 その後、川上さんは1p目5.12aと更に2便戯れ、最後は「(裏切られる)右足を信じなくてもよいムーブを発見」してRPしていた。曰く「登れなかったらトラウマになるところでした」。

 河合は前から気なっていたJoker5.12cの下部、美しいクラックのショートサーキット5.11bにトライ。シンハンドとオフフィンガーに苦しめられるも、短いので押し切ってオンサイト。すぐさまフォローで回収したら全く違うムーブになった。

ショートサーキット5.11b。右にある立木で支点構築可

 太陽の登は、核心5.12cでワンテン入ってしまってワンプッシュ・ノーフォールフリーは達成できなかったけど、十分勝負できたのは収穫。オールボルトで気楽だし、グレードも瑞牆にしてはマイルド。すっきりした岩の、素晴らしいルートでした。

そんなこんなで、その後川上さんと予定が合わないこともあり、今シーズンの瑞牆を終了。今年も楽しませてもらいました。でも、突発的に暖かくなったら、まだ行くかも。

来年は、アレアレアのワンプッシュを目標に頑張ろう。待ってろよ、7p目・・・

瑞牆山フリーウェイ

2020.10/3
河合(記)、川上

9月は連休以外天気悪くて機会のなかったフリーウェイ、やっと週末に晴れ間が来たのでリベンジ。

今回はリードRPまで前進不可、フォローも落ちたらテラスからやり直し。つまり、リードもフォローも下から順にオールフリーで登らないとダメというルール。荷上げあり。

この日は夜から秀峰小川山集会だったけど、我々は完登するまでヘッデンでも粘る決意(少なくとも私は)。登れない限り酒には永久にたどり着かない・・・

宴会へ向けて落ちずに行くぞ~ということで、気合入れて7:55登攀開始

1p目5.10d リード:川上

今回はちゃんと寒くてフリクションあるぞ。川上さん危なげなくクリア。

未だかつてないほどパリパリの1p目

2p目5.11c リード:河合

前回酷い目にあったけど、今回はフリクションが来ていて問題なし。私は上部トラバースが下部より苦手だ。

 

3p目5.11b var. リード:川上

勝手に新スタンダートの5.11b var.経由。川上さんは2箇所目のトラバース地点で相当粘り1撃でRP、前回の雪辱を果たす。フォローしたら前回より大分楽に感じ、ラインとムーブわかれば11b易し目かも。荷上げの都合で、川上さんは手前の立木テラスでピッチ切ってました。ここまで40m位。

3p目残りⅢ級位 リード:河合

7m位斜め上に移動し、10cクラックの真下まで。

4p目 5.10c リード:河合

ここから先は1年ぶり。ワイドテイストなピッチで、4番2個あると心強い。問題なし。次の終了点はボロいので、カム0.4~1辺りで支点構築。

楽しそうにフォローする川上さん

5p目+6p目リンク 5.11a+5.10a リード:川上

出だしのカンテが悪い。川上さん遂にフォール!すぐさまやり直すも、かなりプルプルな感じでクリア。河合もフォローの出だし足滑ってフォール!すぐやり直してクリア。核心が最初の方でよかった。なお、この11aのピッチの終了点はハンギングビレイになるので、次の10aピッチもリンクした方が快適。リンクしてもロープ30m。

7p目 5.11a リード:河合

私の唯一RPできていないピッチ。1年ぶりに対面するも、出だしのスラフェースのマントルは相変わらず悪い。探りまくって意を決して発進するもフォール。2回目で突破。どうやら最適ムーブではなかったようだ。上部の10cスラブは、今回は問題なし。フォローの川上さんは11aマントル一発も、上部10cスラブで無念の不意落ち。もちろんロアーダウンでテラスからやり直し、次は突破。

8p目 Ⅲ級 リード:川上

 Ⅲ級となっているけど、出だしのワンムーブは5.9位あると思う。30m位ロープ出たところにある、残置のある立木でビレイ。

1年前に10cピッチの終了点に懸垂下降で残置したビナが、移動していた

後は台座の裏側から回り込んで、13:35に大面岩山頂に到着。

登攀5時間40分。

大面岩頂上の岩の上にて、川上さん

 [

同河合。背景真っ白

2回落ちたけど、やり直してオールフリーで終えることができて良かった。

コンディション良い時に登ると、こんなに快適なのか~というのが、正直な感想。

体力的にも余裕があり、ワイルド・アット・ホームや一刀への継続も視野に入って来た感じ。荷物絞って荷上げ無くせば、登攀時間も1時間は短縮できる?

けれど、今回は宴会が待っているのでさっさと下山。

下山時、いつも気になっていたボルダー課題、ジャイアンとパンダ3級のオンサイトを2人で決めた。この課題は高さがないのでノーマットでも怖くない。

小川山の宴会場には、瑞牆からなのに、まさかのクライミング組一番乗りだった。これで「ヘッデン野郎共」の汚名返上だな。翌日、川上さんは日没してからもスラブと闘って、すぐさまヘッデン野郎に戻っていたけど。あ、私もか。

フリーウェイはやっぱ5.11b var.経由がいいよね~というのは、川上さんとの共通した感想。

川上さん曰く「クラックからクラックを繋いでフリーで登る感じが、ヨセミテを感じさせる」そうで、私はヨセミテの切れたクラックは全て振り子トラバースで突破してきたのでよくわかんないけど、とにかくライン取りは素晴らしいです。

5.11b var.経由で途中リンクすれば5.10d→5.11c→5.11b→5.10c→5.11a→5.11a→Ⅲ級と、中だるみもなくなり、イレブンも4ピッチ稼げて、日本を代表するイレブンマルチ!!と思いました。お勧めです。

大面岩頂上からの、一瞬の絶景

大井川水系 日影沢 (聖沢支流)

2021/10/23~10/24
中和(記)

コースタイム:
沼平ゲート(6:42) – 聖沢出合(8:01) – 日影沢出合(8:35) – 二俣(10:29) – H2100 C1 (14:17)
H2100 C1(6:00) – 上河内岳(10:15-10:25) – 聖平(11:51-12:00) – 聖沢登山口(15:58) – 沼平ゲート(16:58)

行動記録:

10/23 快晴
沼平ゲートから自転車で林道東俣線を移動し、聖沢出合より入渓。聖沢の下流部は特に何もないので、適当に歩いて30分ほどで日陰沢出合。

日影沢の下流部もまた、基本的に歩くだけの谷。途中で8mの直瀑を持った小ゴルジュがあるがちょっと登れない。右岸から簡単に巻いた。この滝を過ぎると、安定した河原が沢山あってどこでも泊まれる感じの渓相。

8m直瀑

二俣(H1510)を過ぎて適当に登っていくと、沢が北側に折れ曲がるところに20m弱の直瀑。右側のルンゼ状は比較的簡単だが、そこから落口へのトラバースがかなり悪そう。単独だし、無理して登らなくても高巻きも簡単そうなので、迷わず高巻きを選択。見立どおり右岸の沢を使うと簡単に高巻けた。

18m直瀑

滝上はゴルジュ内に滝をかけているので、まとめて巻くと安定した河原でゆるい渓谷となる。
だが、徐々に側壁が立ち始めて何かありそうな雰囲気が漂う。予想通り、沢が折れ曲がったタイミングで滝が連続するのが見える。体のフリクションを使いつつ越えていくと登れない6m滝で詰まる。これは左岸の草付から適当に高巻いた。

6m滝

滝を連続させた左岸からの支流を見送ると、本流はV字谷に落石が挟まったような大雑把な渓相になる。挟まっている岩のサイズが大きいと突破は困難だが、幸い自動車サイズの岩はほとんど無い。快適に登るが、途中6mの滝にて詰まる。シャワー覚悟で流芯に突っ込めば登れそうだが、水が冷たくて手が痺れるので左岸の小沢を使って巻いた。

シャワー滝

H1950くらいになると沢が急激に開けて、ダケカンバと枯れたヤマハハコの茂る台地状となる。前には上河内の山頂付近が見え、後ろには笊や富士が見える素晴らしい場所だ。
あまり標高を上げると雪が出るので、薪が豊富で快適なH2100付近で泊。

10/24 快晴

この日は山頂に抜けるだけの消化試合だと思っていたが、ここからが核心だった。
夏ならなんてこと無い小滝だろうが、凍っている上に雪もあって悪い。ベルグラをハンマーで叩き落としながら登るので、なかなか進まない。おまけに登れないと雪がついた草付斜面のトラバースになるため、高巻きはもっと気持ちが悪い。アイゼンをもってくれば良かった・・・。

ベルグラがついてる

水流が雪の下に消えると、沢は崩落壁に目掛けて詰めているのが見える。気温上昇とともに崩落壁から頻繁に石ころが降ってくる上に、雪があるので落石音がせず非常に怖い。直撃すると下まで落とされそうなので、H2450付近で凍った草付にピックを決めて強引に登り、右岸の尾根に逃げた。
右岸尾根の最後は、急斜面のハイマツ藪に体力を吸われたが、主稜線は一転して快適に歩ける雪面。大展望に癒やされつつ上河内岳山頂で大休止。

上河内岳山頂 (左から兎、聖、赤石、荒川)

あとは聖沢沿いの登山道をダラダラと下山。出会所跡の先で崩落があって登山道がわからなかったが、崩落地を適当にトラバースして下山。赤石温泉白樺荘での日帰り入浴の時間にはギリギリ間に合わなかった。

遡行図:
すべての滝を水線遡行しようとしなければ難しい沢ではない。泊まり場も多いので、下降や継続に使うのに好適かと。

遡行図

装備:
ハーケン数枚(未使用)、トライカム少々(未使用)、30mロープ(未使用)、沢ハンマー、沢靴(ラバーソール)、軍手、ツェルト、シュラフ、のこぎり

瑞牆山 小ヤスリ岩 山灯花

河合(記)

小ヤスリ岩正面壁の中央、垂直の広大なフェースを登るこのルート、瑞牆林道への右折ポイントからでも、容易にそのラインを追うことができる。見た目の迫力は、かのエクセレントパワーと遜色ないと思う。しかし、人気はないようだ。過去に他パーティと被ったことはなく、トライ中のクライマーも2パーティしか見たことがない。年間で片手程度のパーティしかトライしていないのではと思う。
不人気の理由は色々ありそうだ。アプローチが80分強、標高差500mと遠い。グレードも発表時5.13a、瑞牆本で5.12dと、気軽に取り付くには中々ハードルが高い。そしてランナウト。25mのフェースにボルトは7本、特に一連の核心は強烈で、並のトラッドより緊張する。

ここ!

ショートピッチなのにビレイ地点から足元スースーで高度感満載の本ルートに惚れ込み、今年、集中的にトライした。今年の初夏と秋に小ヤスリ岩で黄色か赤色の奴が絶叫していたら多分私です、お騒がせしました。

核心に入る。Thanks to S木さん

(1日目)
2020年夏、川上さんの蒼天攀路3p目5.12bのトライに付き合いがてら、上から懸垂下降して、1便トップロープで触った。ムーブは全て起こせたけど、繋がるイメージ湧かず。

6ボルト目から下を見下ろす。ヨセミテっぽい景色。ボルト間隔が…

(2日目)
2021年初夏、トライ開始。この日は、以前このルートを登ってみたいと話していたS田さんに付き合ってもらった。今回はちゃんとリードするも、何度もバンジージャンプ、怖ぇぇ…。最終クリップ手前でバランスを崩し、剥がれるように頭を下に落ちてしまったのは、怪我しなかったけど大失態。1便目でアップどころか指と腕が終わりかけ、メンタル終了。以降トップロープでトライを継続、計4便出した。毎回リードしていたらヌンチャク回収できなかったと思う。S田さんは蒼天攀路3p目5.12bを2撃しているのに核心がこなせず「5.13aは少なくともある、封印。」と一言。パートナーを1名失った瞬間であった。

お手上げポーズ?のS田さん

(3日目)
今度は川上さんに「微笑街道5.12cやりなよ~かっこいいよ~、その間俺は隣の山灯花やるからさ~」と甘い声をかけて誘い出すことに成功。以降、パートナーは川上さん。今回も初便はリード、やはり指と腕が終了しかけた。残りはトップロープで計4便。新たにレストポイントを発見、できそうな気がしてきた。川上さんは微笑街道5.12cのムーブを順調に解決していた。ボルト8本+5番カムで、山灯花ほどランナウトしないそうだが、核心はそれでも相当ランナウトしているように見えた。小ヤスリ岩正面壁の3ルートは、どれも容赦のないランナウトが漏れなく付いてくるようだ。

(4日目)
今回からトップロープを封印、全トライリードで臨む。3便目に覚醒、核心ムーブが繋がり、最終クリップ手前まで行くも、クラックを保持れず宙を舞った。ワンテンとなった。この日は微笑街道に川上さんと、それ以外に1パーティ、蒼天攀路3p目に1パーティで小ヤスリ岩正面壁満員御礼という珍事。両パーティとも知り合いなのが、この世界の狭さを物語る。3人並んで登っている写真撮っていたらぜひ下さい。午後は突然の夕立で微笑街道パーティがヌンチャク回収不能に。タイミングよく山灯花のヌンチャク回収を終えた直後だったので、ロープをゴボウして上から回りこんで回収。

(5日目)
先週微笑街道5.12cをトライしたS木さんはRPトライを夕立でロスト、リベンジで秀峰パーティに合流。暑くなってきたので早く登攀を開始すべく、植樹祭駐車場5:30集合の朝活。S木さん、川上さんはあっさり微笑街道を片付けるも、私は山灯花核心ムーブに苦戦、一度も突破できず。S木さん、川上さんも山灯花に参戦。山灯花の核心ムーブは微笑街道より厳しいそうで、2人とも核心で敗退。

核心まで一撃、さすがのS木さん

(6日目)
5日目の翌日に朝活トライ。前日の疲労を引きずり、繋げると核心がどうしてもこなせずワンテン地獄。川上さんは全てのムーブを解決した模様。

前半のランナウトを堪能する川上さん

(7日目)
10/2。新型コロナウイルス肺炎と後遺症地獄で3ヶ月近くブランクが空き、すっかり秋になってしまった。2週間の入院と2ヶ月近くの自宅療養で体はボロボロになり、振り出しに戻った感じだ。アプローチが既に辛い。こんな状態でインドア含めクライミング復帰初戦が山灯花のヌンチャク掛けなんて、アホと言われても仕方ないが、溜まりに溜まった狂気に近い情熱の捌け口は、ここしかない。
1便目で奇跡的にトップアウトできた。自宅療養中のbeastmaker効果か。しかし、へとへとに疲れてしまった。2便目で核心一手目まで辛うじて到達するも、全く繋げて登れる気がしなかった。不甲斐なさに落ち込む。友人クライマーの言葉を借りれば「まだまだ楽しませてくれる」。ポジティブに行こう。
寒くなるまで絶対諦めないという固い決意表明でヌンチャクを残置。今の体力だとヌンチャクがけでその日が終わってしまう。

(8日目)
10/9。この時期にしては暑い。甲府は30℃、取付も14℃近くだ。先週より調子は劇的に良くなり、2便目で核心が止まりかけた。その後も繋がり1テンになった。核心の手順を変更し、3便目ではヨレヨレの中、遂に4日目以来核心を突破したが余力なく、次のクリップ後足を滑らして落ちてしまった。叫んだ。体力なくて土日の2連登は無理だけど、体が岩を思い出してきた気がする。

(9日目)
10/16、今週もこの時期にしては暑い。甲府は28℃だ。1便目から繋げて頑張り、手のかじかみに耐えながら最終クリップを越えるも、余力なく後6手でフォール。最後までデッドポイントの応酬で、きついことこの上ない。1便目で寒いのに頑張り過ぎたためパンプ、以降も引きずり、2便目は更に高度を上げるも後4手でフォール。最終便はヌメって、核心を越えたところでスリップしてしまった。RPが視野に入ってきたが、現状の弱った持久力で、苦しい最後をこなせるかどうか。リップを掴むまで全く気が抜けない。

(10日目)
10/31。前の週は風邪でダウン、いつの間にか季節は進んでいて植樹祭駐車場の日陰は真っ白。取付は最高気温6.2℃。寒い。1便目は寒過ぎて各駅でムーブの確認、2便目は14時前の、日が当たって暫く経って温まるのを待ってトライ、核心後と最後の2箇所危なかったけど、何とか押し切ってRP。大絶叫。末端壁まで普通に聞こえてしまったらしく、大変お騒がせしました。コロナ療養地獄の日々と、全然思い通りに動かない体、色々こみ上げてきて潤っときた。まだボロボロだけど、これでクライマーとして少しは復活できたかな。

(ルートの構成)
【オンサイト狙う方は以下を読まないでください】
・4ボルト目クリップ後に大レストでき、実質ここで上下に分かれる。4ボルト目まではムーブのわかりにくい5.11c程度の小コーナーからのガバフェースで、このルートのランナウトっぷりを出だしから堪能できる。マスターで登る場合、2ボルト目が遠いので、小柄な人は手前のフレーククラックに0.5か0.75カムをセットすると安心。ヌンチャクがかかっていれば問題なくクリップ可能。
・4ボルト目からが第1核心。カチとポケットに誘われるままムーブを起こしていく。4~5ボルト目は唯一ボルト間隔が少し近く、エイドでチョンボ可。
・5ボルト目にクリップしてから始まる一連のムーブが核心。最初のガツンと来るムーブから6ボルト目まで小悪いムーブがランナウトで続く、このルートのハイライト。慣れるまでは結構怖い。
・6~7ボルト目は性質が変わり、わかり辛いホールドを探しつつバランシーなムーブをこなす。目を皿にして使えるホールドを探そう。
・最終7ボルト目からは持久力勝負。クラックと言うには浅い溝を活用しつつ、散らばるホールドへのデッドポイントを連続してこなし、最後はパンプした腕でマントルを返す。私で実質スタートの1ボルト目クリップしてから計74手。
・このルートには他にも重要な核心がある。付き合ってくれるパートナーの確保だ。私は幸い川上さんやS田さん、S木さんといった優しい人々に恵まれた。特に川上さんには9日間も付き合ってもらい、深く感謝。

(感想)
典型的な花崗岩垂壁フェースで、右に左に弱点を突いて絶妙にラインが繋がっており、多彩なムーブを要求されとても面白かった。使えるホールドは色々あり、リーチもあまり関係なさそうだ。花崗岩フェースにありがちな極端に悪いムーブはなく、部分的に切り出しても難しいセクションで2級程度だろう。その代わり内容はストレニュアス、傾斜がド垂直で細かいホールドも多く、結構なカチ持久力が必要だ。見栄えとシチュエーションは最高級、岩も固く、チョーク跡もほとんどない(最近は我々の残滓があるかも)、順番待ちとは無縁、夏でも涼しい、雨後の乾きが良くコンディションも割と安定、素晴らしいルートだった。個人的には4つ星、とってもお勧め!
グレードは、高グレードの花崗岩フェースの経験が少ないので正確にはわからないけれど、太陽の登3p目5.12cと2グレード以上の差を感じ、労力的に過去に登った何本かの5.13aと全く遜色なく、(例えば、タイプは違うけどルート構成の似ている虎の穴5.13aより少し難しく感じた)、初登時の5.13aで良いのではと感じた。一緒にトライした川上さんも、微笑街道5.12c+1.5グレード位あり、同等グレードのルートだと、任侠道より大分難しいとのこと。
コロナで死にかけどん底に落ちたこの夏、ただひたすらこの灯を目指した結果、再び戻ってくることができた。私を導いてくれた、特別な灯だ。

以下、諸々の写真

アプローチのフィックスは足スースー。フィックスの安全は必ず確認を!
シャクナゲ満開のアプローチ
雨に遭う日も…

皆さんそれぞれの課題で頑張ってました。かっこよかったです。

仲秋(泉5p目)5.12d PDをRPするI田くん
千日の瑠璃4p目5.13d R/Xを探るM井さん
千日の瑠璃3p目5.14a Rを探るO西さん
蒼天攀路3p目5.12bを登るI島さん
蒼天攀路3p目5.12bを登るK野さん
微笑街道5.12cを登る川上さん。Thanks to 齊藤さん
微笑街道5.12cを登るS木さん

いや~、小ヤスリ岩ってほんといいところだな~

取付からの大絶景
山灯花5.13aで富士山をバックにレストする河合。Thanks to I田くん

北岳バットレス 下部フランケ~Dガリー奥壁

2021年10月2~3日
山崎-船戸、浅野-小池(記)

山行タイム/行動記録:

10月2日(土)前夜、某所集合 快晴 
先発組の山崎、船戸、小池 アプローチ下見とガチャデポ

05:15、芦安駐車場発(バス)

06:13-06:30、広河原インフォメーションセンター
緊急事態宣言解除後、初の週末とあって、ハイキングも盛況。かなりの人出。センター男子トイレ前に見たことないほどの大行列ができていた。吊り橋をわたった広河原山荘のほうは比較的、すいていた。

09:10-09:20、大樺沢二俣
風光を楽しみビバーク適地を探したりしつつ、のんびりと大樺沢を詰める。

12:10、Cガリー出合 周辺をチェック
二俣あたりの沢は枯れていたのに、水がけっこう流れており、明日も汲めそう。
Cガリーを飛び石をたどり渡渉後、まもなくの岩のところを右に入ると、取り付きへの踏み跡がある(登山道わきに目印のケルンあり)少し登って、傾斜がゆるくなったあたりの岩盤上部で再度沢筋をわたり、対岸の踏み跡を登っていくと、視界が開け足元が草付きになる。そのまま登れば下部岸壁取り付きに至る。Cガリー出合いから30分くらい。

12:45-13:45、取り付き下見
下部岸壁の各ルートをみながら相談。いちばん簡単で落石リスクも少なそうな5尾根支稜経由が早くて良いのだろうが、もし明日渋滞行列になっていたら、すいていそうな十字クラックから行こうか、などと検討しつつ、ガチャのデポ。見た感じ、十字クラックは予想に反してあまり楽しそうなルートではなかった。登られてなくて、何か詰まっていそうだ。1Pだけでもためしてみようかとの気力も萎え、翌日への体力温存を最優先に、早々にテン場に下る

14:40、大樺沢二俣

15:00、白根御池小屋
コロナ下での今シーズンから テント泊までも事前予約制になり、オンライン事前決済に変わった。密を避ける配慮もあってのことだろうが、人数制限か、連休や土日は予約が早く埋まってしまうので要注意 (何度もやむなく山行中止してきたが、台風などの気象条件悪化の場合は、予約取り消し願いのメールがきて、払戻ししてくれる)  前日から営業再開したばかりの白根御池小屋の生ビールをありがたくいただき、翌日に備える。一番の不安は時間のこと。2時間並んだとの記録もあった。渋滞に巻き込まれて足止めを食らうと、バスをのがして、最悪、夜叉神峠のゲートまで4時間くらいは林道の登り道を歩かなければならないだろう。 16時40分発の最終バスが出てしまったあと、個人でタクシーを呼ぶという最終手段があるが、それでもゲートが閉まる18時前に夜叉神を通過しなくてはならず、17時半広河原出発がデッドライン。それまでにはなんとしても下っておきたい。

19:00、就寝

10月3日(日)快晴

1:30、起床
某所より、後発にて参加の浅野さんと合流 会えてよかった!

3:00、白根御池小屋発
3:30、大樺沢二俣
4:25、バットレス沢出合
4:30、Cガリー出合
4:50  下部岸壁 5尾根支稜取り付きで支度 4尾根に行く3人パーティーの先行が1組いるのみ 空が明るくなり稜線が見えてきた

広河原から見えた快晴の北岳 左側に大樺沢が見える
取り付き下部から見た全景

5時すぎ、山崎-船戸組先行、続いて5時30分頃 浅野-小池組も登攀開始

~下部岸壁~

1P目、(浅野)5尾根支稜の角まで
傾斜はそれほどでもなくスタンス、ホールドも豊富にあるが、プロテクションをとれるところがない。朝いちの岩は指につめたく 緊張感がある くの字型にルートがまがるところで、流れが悪くならないよう付近の立木をビレイ支点にピッチを切る。

2P目、(小池)角から広めの草付き前まで
ところどころ草や木が生えているスラブ 残置ハーケンと木で数カ所、中間支点がとれる。フリクションのきかないチャートスラブのツルツル感がここから実感できる。傾斜がゆるくなり、草つきになってきたところで、それ以上のばすと、とれなくなりそうだったので、立木支点で適当にピッチを切った。

3P目、(浅野)草付きから一段上がった岩面のビレイ点まで
先行の山崎-船戸組が、わりと悪そうな右側のルンゼをコンテで登っていくのが見えた。そのすぐ上部に先行の3人パーティーがつかえている様子をみて、浅野さんは違うラインをとり、ビレイ点から斜上する細いレッジ伝いに、岩の中間部くらいまでのばしたところで切った。

4P目、(小池)中間部ビレイ点から、横断バンド、下部フランケ取り付きまで
やさしいスラブ壁面をほぼ直上していくとすぐ、横断バンドに出た。そこから草付きを数メートルのぼると、下部フランケ1P目取り付きの左、Dガリーそばに何本か古いスリングのかかったビレイ用支点がある。

~下部フランケ~

1P目、(浅野)5.10a、20m スラブ~Ⅳ、15m V字凹角
支点からバンドを右へ。この1P目が下部フランケ核心ピッチ。スラブ面の真ん中くらいのところに、直上するへこみがあり、ハーケンがたくさん打たれている。チャートのスラブではなかなか手強い角度。細いリスに指をひっかけて登るが、草付きへ抜けるところがとくに悪い。抜けると草付き上部に安心して立てるスペースがある。前の二人はここでビレイしていたが、浅野さんは、続きも短いからと繋げた。切らずに続けた次は、Ⅳ、15mの凹角をステミングであがり左へ。凹角内部の中間支点は豊富にある残置ハーケンでとれる。

2P目、(小池)Ⅳ+、20m。V字凹角。
ここも右壁にハーケンが連打されている。前の凹角と似たような感じのルンゼを登る。上にハングがかぶさってきたところを左に抜けていくとビレイ点あり。立木に残置スリングがかかっている。振り向けば快晴の空を背景に、富士山が裾まできれいに見えた。こんなに晴れているバットレスなんて、神様の贈り物か奇跡か。

3P目、(浅野)Ⅳ+、40m。V字凹角。
チョックストーンを乗越し、ハング下を左へ。抜け口に、手のホールドがみつからず、緊張する。閉塞感のあるルンゼが続いたあと、左方向へ抜けていくと視界がひらけ、開放的なDガリー全貌がよく見える。
からりと晴れて空気も澄んでおり、終了点近くのチムニー、城塞のあたりまでハッキリ見える。こんな風に爽快な高度感を味わいつつ、ゴールにむかってまっすぐ登っていけるロングルートはそうそうないのではないだろうか。

4P目、(小池)Ⅳ+、25m~?フェイスに走るクラックから草付きトラバースへ連続、Ⅲ、40mくらい。(途中で切って懸垂)
カンテを伝って走るクラックをたどって、Dガリーへの横断バンドを探しつつ登る。ここかな?と思われるところで、途中から、Dガリーへ向かう草付きへトラバース。「支点があまりとれない 迷いやすい」との記録も多数目にしていたので、よくよく下調べしておいたつもりが、うっかり斜上しすぎてしまい痛恨のミス。 バンド途中にスリングがかかった支点のボルトをみつけたので、一旦切って、フォローの浅野さんに一段下へ先に行ってもらい、解除後、正解と思われるバンドへ懸垂でおりた。心もとない支点を頼りに、降りはじめてみれば階段状に歩ける傾斜。このピッチまで順調だったのに、時間のロスが痛い。

5P目、(浅野)Ⅲ、40m。Dガリーを詰める。
それほど傾斜のない草付きを、Dガリーを辿り登る。コンテでも大丈夫そうではあるが、中間支点をとりつつ左のルンゼ方向から4段ハングの直下テラスにまであがれば、安定したビレイ点がある。50mロープぎりぎり、残り1mくらいまで、するすると出た。

下部フランケ側から、トラバース先のDガリー方向を見る 青丸、先行の山崎さんが4段ハング真下のテラスに到達したあたり 赤丸 ビレイポイントの船戸さん

~Dガリー奥壁~

1P目、(小池)Ⅴ+、40m。4段ハング クラック
4段ハングをクラック沿いに乗越していく、トポ上Dガリー核心。1段目のハング面、左側と右側にクラックがあり、右のほうが登られているようだが、ロープをまっすぐ伸ばせそうだったので、左のフィストサイズのクラックに挑戦するも、下部に足置きにいいホールドをみつけられず、かなり体をあげないとひっかからなく苦しい。この1段目と、最後の段が難しかった。さいごも幅広のフィストサイズで、左側高い位置にホールドがあったが、そこをみつけるまで探りながら3番で結局カムエイド。この4段ハングピッチは全体で20m程度と短いけれど、弾切れが心配になり、カムをずらしながら、残置ハーケンに支点をかけかえつつあがった。(ハンドサイズのカムを2セットも持っていたので、心配いらない数だった。)最後のハングを乗り越すと眼前に、Dガリーのピンク色のスラブが広がる。ゆく先に、いくつかのハーケンとボルトがまとまって見えるので、あれがビレイ点かな?と、そこまでロープをのばし、シンハンドサイズのクラック沿いにスラブを10mくらい進み、残しておいたリンクカムと3番で補強してピッチを切る。

しかし、この位置からの引き上げだと、クラック抜け口にセットしてきたほうの3番が干渉してしまい、ロープアップに難儀した。こんな風に抜け口に短くカム支点をとるなら、ハングをぬけたすぐのところにあるリングボルトと そのへんの適切なクラックを使って、上から覗きこめるくらい近い距離のところをビレイ点にしておくのが正解。またしても時間をくってしまい 先行との距離もさらに開いてしまう。そこへとなりの4尾根からあがってくる3人パーティーのコールが聞こえ、視界に入ってきた。追いつかれて、もし、抜け口渋滞にはまってしまったら、広河原への下山デッドラインを超えてしまうかもしれない。

ハング抜け口でビレイする山崎さんと、クラック核心部の船戸さん

2P目(浅野)Ⅴ、40mくらい クラック スラブ
スラブに走るハンドサイズのクラックをたどり右方向へ登る 手足とも豊富にホールドがあってよく効く感じだが、痛い。チャート岩質のクラックが滑りそうなのと面倒で、テーピングもロクにしてこなかったため、拳や指のあちこちが切れて血が滲む。ハンドサイズといっても、次第に幅が広くなる。足も深くハマり、痛い。続いてシンハンドくらいの微妙なサイズのクラック。しかし広々とした視界のDガリーは開放感があって爽快。さわやかな風が抜けていった。ハーケンやリングボルトは、残置が多すぎて ピッチもどこで切ってよいのか不明瞭。残置にカムで補強してどこでも切れるように思う。

Dガリー2P目 スラブをすいすい登っていく浅野さん 上部中央に4Pめチムニー入り口、左側に城塞ハング入り口が見える

3P目、(小池)Ⅳ、30mくらい。スラブ
このつるつるスラブをランナウト気味に直上するのかな?怪しげな残置以外とれなさそうで、悪いように見えるので、やや右方向へ浅めルンゼをたどり、4尾根ルート近くにある潅木で中間支点をとった。そこから逆くの字型に本来ルートへ戻る方向へ、次ピッチのチムニーをめざして左上、チムニー真下で切った。このピッチはかなり悪いらしいときいたが、それほど難しく感じなかった。本来ルートから右に逃げてしまったのかもしれない。ここで4尾根方向から登ってくる3人パーティーが新たに突然現れた。同ルートを後ろから来ていたはずのガイドパーティーの皆さんだった。時間切れか、Dガリー奥壁をやめ、ショートカットしてきた模様。同じ抜け口に向かって3パーティー集中となる。みんな帰りのバス時間のことを考えているだろう。

4P目、(浅野)Ⅳ+、30m。オフウィズス チムニー
右側の壁に1箇所、ハーケンが打ってあるほかには、プロテクションをとれるところがない。ステミングとチムニー登りで体をねじこみズリあげ、じゃまなザックにもがきながら少し進み、右壁プロテクションのあたりで、早々に壁の右上へいったん抜けてから、反対側へチムニーを跨ぎ越える。わたったところのすぐそばがビレイポイント。

Dガリー4P目 オフィズスチムニーを乗越す船戸さん

5P目(小池)Ⅳ,15m  スラブからチムニー  城塞ハング
ビレイ点から、城塞ハング入り口までのスラブは短く、傾斜もさほどないが、支点がとれずランナウトするので絶対に足を滑らせたりできない。

しかし恐怖より下山時間のほうが気になり、4尾根ルートから来てビレイしているガイドパーティーをすり抜けるように駆け上がり、ハング入り口へ突進してしまった。入り口からすこし被った、浅い凹角をあがりチムニーへ。

内部はやや曲がっていて、ハーケンもたくさん打ってある。まず右壁レッジに打ってあるピンでランナーをとる。ホールド、支点ともたくさんあるので、見た目ほどには悪くなく、後ろも続いているので、なんでもありのステミングとチムニー登りでさっさと抜ける。

最終ピッチ、城塞ハングを通過中の山崎さん

12:20-12:30、dガリー奥壁終了点
抜けたところの、根元にたくさんスリングのかかったハイマツを支点に終了。

崩落後、ほとんどのルートの最終ピッチがここ城塞ハングに集中、名物の渋滞がおきるボトルネックになっている。もし、何かで誰かがつかえてしまうと、たちまち大渋滞になるだろう。先行の山崎船戸組にかなり遅れてではあるが無事に続いて、待つこともなく素早く抜けられてよかった。

13:00、登山道
終了点からの登り道で踏み跡を見失い、少々迷子になってのち先行の2人と合流。お待たせして、すみません。下山時間の広河原からの足が気になり、すぐに走っておりる覚悟でいたが、せっかくだから山頂踏んできたら?と言っていただき、最終手段のタクシー手配が確定した。その場で電話予約、帰りの足も確保できて、ひと安心したのち、お言葉に甘えて、山頂へ。

13:10-13:25、北岳(3193m)   ありがたく山頂を踏む。
15時 大樺沢二俣16時40分頃 広河原

広河原発17時30分で、と、予約していた車が既に到着していた。大きい荷物を積みたいとお願いしていたところ、乗合と同じバンタイプの車両にしていただき、おかげで大型荷物もトラブルなく積めました。さらに現地で相乗りを3名、申し込まれたこともあって、かなり安くすみました。乗合価格とあまりかわらなかった。船戸さん交渉ありがとうございます。

 

おもな確保系共同装備
・ダブルロープ50m×2本
・カム1式(キャメサイズ目安 0.3×10.5×20.75×21×22×23×2 うち紫と緑各1はリンクカム代用 黄色1はトーテムカムで代用)4番サイズも、手元にあれば核心で使えたと思うがかさばるので持って行かなかった (なくてもいけた)
・アルパインヌンチャク 8本位
・スリング 120cm、60cm適宜  捨て縄、ビナ各種 など
・ナッツ類は持っていったが使用せず

携帯電波状況
ドコモは広河原から大樺沢、山頂付近のほぼ全域で使えたがAU、ソフトバンクは 大樺沢周辺、テント場とも電波がはいらないらしい。

 

かかった時間
下部岸壁1時間強、下部フランケ2時間、トラバースに40分くらい、Dガリー奥壁3時間弱。
以前ソロで登ったとき、Dガリー奥壁2P目スラブ上でお茶にしたと浅野さん。風流です。セルフをとってゆっくり景色を楽しみながら、この岩盤の上で一服できたら、幸せだろう。時間に余裕があれば、いろいろ楽しみながら登りたかった。
行程的に下山時間が気になるので、もう1泊する余裕があるといいと思った。

念願のルート
前に4尾根から登ったとき、Dガリー奥壁を登るクライマーがよく見えた。いつか あそこにいきたいと、当時の仲間たちと目標にしたルートである。しかしどうにも縁に恵まれず計画すれば、そのたび魔法のように必ずなにかがおきて、中止や天気敗退を繰り返すうち何年もたってしまったのだ。今度こそ登りたかった。今シーズンもまた何回かいろいろあったのち、念願の快晴、絶景。下部フランケDガリー奥壁からの北岳登頂がようやくかなった。名前からしてカフカの「城」みたいであった「城塞」ハング。最終Pまでたどりつけるのだろうか、抜けられて終えてしまったら、さぞや感無量だろうと思いきや、時間が気になるあまり、これで夜道の林道歩きを免れた!という安心感と達成感のほうが大きかった。勿体ないことです。本来的な、登れたという喜びは、あとからジワジワと来ました。

しつこい台風や想定外のアクシデントに何度もめげそうになりましたが、諦めずに行ってみよう、と励まし続けてくれたメンバーみなさんに感謝しています。

奥秩父 大洞川・荒沢北雲沢

2021年7月10~11日
赤井・小池・谷水(記)

赤井さん・小池さんが沢に行くと聞いたので、混ぜてもらうことに。梅雨の終わりで半日ごとに天気予報が変わり、なかなか場所が決まらない。もうバリエーション尾根に…ともなったが土壇場で予報が回復し、無事沢山行に行くことができた。

コースタイム
7月10日 サメ沢橋ゲート(9:25)-荒沢谷橋(10:30-10:48)-アシ沢出合(11:48-12:01)-狼谷出合(15:00)-ビバーク地点1260m(15:55)
7月11日  ビバーク地点(6:29)-北雲沢出合(7:14)-登山道(9:50-10:00)-雲取山(10:25-10:30)-お清平(13:25-13:35)-猿鼻尾根-サメ沢橋ゲート(15:15)

7月10日(晴)
釣り師の多い沢なので朝出発。天気予報では曇のち雨だったが、それに反して晴天で気分は上がる。林道歩きの1時間は暑く、早く水に入りたくてたまらなくなる。橋で準備し増水気味の沢に入渓。わざと水流の強いところを選びしぶきを浴びたり、深みにハマって流されてみたり、気温の高さも相まって水の冷たさが気持ちいい。アシ沢を過ぎ、ベンガラの滝に着くが水が前に飛び出していて真っ白。巻いていてもしぶきがすごい。増水をはっきりと感じられた。

ベンガラの滝

その後絶好のテンバである菅の平につくが、時間はまだお昼。明日朝一で井戸淵に入りたくないので先を目指して進む。井戸淵は短く明るい。突破できないかと入ってみるが、2つ目の滝ではじかれる。滝の水量もあるが、淵も白く泡立っていて底がしれない・・・。巻道もあるし無理はしなかった。

井戸淵のはじかれた滝

巻きは右手から。遡行図によると狼谷に降りるみたいだったが出合いへ向けての懸垂下降で本流に戻れた。30mロープで事足りた。そこからはひたすら小滝をこえ歩き、沢が左側へ曲がってきたな、というところで左手に大地をみつけそこで幕営。本流から離れているし、高いしさらなる増水でも耐えられそう。

しかし連日の雨で薪はしけっていた。科学の結晶である着火剤を多用し火はついたが、大きくはならず、いつまでも手のかかる焚火であった。寝る前に光に寄ってきたのかミヤマクワガタ(河合さんに確認済)が現れ、野生のクワガタを初めて見たと言ったら赤井さんに驚かれてしまった。

ライトに映えるミヤマクワガタ

7月11日(晴)
出発してから1時間くらいのところで本流が土砂崩れで埋まっており伏流も水が少なかったので、水をくんだ。しかし土砂崩れを過ぎるとすぐに本流の水は復活、脱渓するまで枯れることはなかった・・・。

大雲沢はつめが悪いらしいので北雲沢に入る。この二股の手前から倒木がひどく鬱陶しくなる。早めに尾根に上がってしまいたかったが、同行者が沢を詰めたそうだったので沢どうしで登山道を目指した。1780m付近の雲取山と三条ダルミの間に出た。そこからはひたすら北へ。お清平目指して一直線。15時から雨予報もでていたので、それに合わないように急ぎ気味。お清平からトラバースで猿鼻ノ尾根にのり標高差700m下の雲取林道目指して下る。空はまだ青く雨が降る様子はない。1136地点を南西にとるとすぐに雲取林道に続く林道に出た。

クネクネと林道を辿ること30分ほどで曇り林道に合流。そこからサメ沢橋までの10分間がとても長かった。西の空が暗くなってきていたので、降り出す前に戻ってこれて一安心。荷物を車にのせ、出発して暫くして土砂降りに。いいタイミングで降りてこられた。

山行中は本当に晴天で気持ちが良かった。サメ沢橋を出発してから3組の釣り師とすれ違ったので、この流域はゆっくり出発がちょうど良かった。増水していたことで巻いてしまった滝も平水なら取り付けたように感じたのが、やや残念ではあった。飛び入り参加を快く受け入れてくださりありがとうございました。

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登
河合、川上(記)

これまた緊急事態宣言の隙間の記録。
このルートの記録書くの何回目だろうか。

前回、散々付き合ってくれた川上さんを裏切り、抜け駆けで太陽の登を登ってしまったので、今度は川上さんにも太陽の登にけりをつけてもらうべく、もう1日行ってきました。本人は忙しそうなので、また勝手に私が記録つけておきます。

(今回のルール)
・各ピッチ、どちらかがRPしない限り先に進まず、チームフリーを目指す。
・2、3ピッチ目は未RPの川上さんリードで、川上さんRPまで先に進まない。
・フォローのテンションは、時間あれば下からやり直すけど、基本やり直しなし。
・河合はサポートで1、5ピッチ目のリードを担当(足引っ張るなよ)。

【1ピッチ目5.12a リード:河合】
7;45開始。2、3ピッチ目の川上さんのトライのためには一発で登りたいところ。このピッチは4回連続で落ちてないので大丈夫と思ったら、最後の核心で右手の結晶がポロっと取れてズルっといきかけて危なかったけど耐えた。川上さんはフォローで核心1テン入ってしまったけど、足はちゃんと乗れていい感じだったそう。

壁黒くね?
いや、気のせいだろ。
黒く見えるのは心が煤けているからだ!
雨上がりの1ピッチ目。

【2ピッチ目5.12a リード:川上】
この日は本当に緑が綺麗だった。このルートの魅力は内容もさることながら、景色にもあると思う。なんてことを思いながらまったりビレイしていたら、最後の核心で川上さんが落ちてしまった。長いのでやり直しは体力を消耗する。短い休憩を挟んだ2便目で川上さんはきっちりRP。私も落ちずにフォロー。

新緑の道!

【3ピッチ目5.12c リード:川上】
川上さんの根性を見た!川上さんは1便目はヌンがけに徹し、さあ次で、と思ったら出だしの核心ではまり2~4便目を無駄にしてしまう(出だしのみでロアーダウン)。気持ちはわかるが、少し落ち着こうか。日差しでホールドが温まってきてしまったけど、大休憩を挟んだ5便目で出だしの核心を抜け、遂に行ったか!と思ったら上部最後の核心でミスったそうで、吹っ飛んできた。「マジかーぁぁ!」の声がこだまする。さすがに今日は無理で出直しかな~と思っていたら、6便目でなんと決めてきた!9便目で5.12c RPしてくるとか、どんな体力してるんだ・・・私も出だしのランジが一発で決まりシャウト、そのままの勢いでノーテンフォロー。

ビレイ点にて、川上さんbefore

【4ピッチ目5.10a リード:河合】
後は俺の仕事だ任せろヘッデン出してでも今日中にチームフリーするぞ、ということで河合リード。大分ボロいホールドは掃除したと思う。問題なく再登&フォロー。

【5ピッチ目5.12a リード:河合】
このピッチはトリッキーなムーブがあるけど安定してこなせて、危なげなく再登。川上さんは出だしの核心で落ちてしまったけど根性でテラスからやり直し、最後の核心で歯食いしばってノーテンフォロー、マルチピッチフリーかくあるべしという気合を見た。やばいぜ!

イクストランへの旅に出ているパーティが!いいなぁ!!

【6ピッチ目5.7 リード:河合】
川上さんはこのピッチを登ったことがないというので「行く?」と聞いたら、「もう5.10台でも落ちそうな位ヨレてる」そうで、「5.7だから行けるじゃん」なんて野暮なことは言わずに河合リード。ボロいルンゼも慣れたので問題なく再登&フォロー、17:20カンマンボロン頂上に到着!

川上さんafter。
そしてこの笑顔である。
肖像権は・・・

今回は9時間半かかったけど、ワンプッシュチームフリーで太陽の登を登ることができた。個人的には一度も落ちずに頂上まで登れたのが嬉しい。それにしてもこの日13便出した川上さんには脱帽するしかない。私も体力付けないとなぁ。

笠ヶ岳 穴毛谷四ノ沢 ピナクル東南壁五月晴れ

日程:2020.9/20-22

参加者…山崎(記)、船戸

 

今回の主な登攀装備

60mダブルロープ×2、#01~5×2、#6、ヌンチャク。スリング、確保器、他

 

9月19日(土)

20時、都内某所集合。新穂高温泉駐車場。

 

9月20日(日) 曇り / 晴れ

7時15分 駐車場発 ~ 10時15分 四ノ沢出会い。

蒲田川左俣林道を行き、穴毛谷をやり過ごし、2本目の左に分かれる道に入る。直進すると弓折・双六方面。しばらく行くと穴毛谷に入り、堰堤を右岸に渡り、後は沢を左右に渡りながら穴毛谷を遡る。踏み跡などは全くなし。四ノ沢出会いには10時15分着。

林道分かれ道

穴毛谷

   四ノ沢出会。遠くに目指すピナクル。

出会 10時40分 ~ 二俣 11時10分 ~ テン場 13時30分

出会から四ノ沢を左俣と右俣に分ける二俣までは順調。二俣から左俣に入るが、その辺りから悪くなる。当日は雪渓あるも部分的に薄いようで、時々音を立てて崩壊していた。雪渓左端を進み、左俣に少し入ったとこで左岸に渡るが、この辺りは全体的にガレ場で、ほぼみんな浮石で動く。中には冷蔵庫大の岩も普通に動くので、極めて慎重に行動しなければならない。触れて動き出した岩が、轟音を立てて沢に落ちていく。

慎重に左俣を詰め、左岸側3本目の沢筋に入っていく。この辺で水を補給。支沢の急登を20分位で右側にトラバースしていくと、わずかなスペースのテン場に到着する。テン場は2人用1張り分しかなく少し斜めっている。二俣からテン場までが非常に悪く、神経をすり減らすので、大した行動時間でないのにとても疲れた。

  二俣付近。雪渓が現れる。岩はみんな浮いている。

  二俣付近。左俣に入ったところ。

 前方にそそられる第1岩峰が。

 

  テン場。眺めは最高。遠くに穂高が。

 

9月21日(月) 高曇りのち晴れ

基部ルンゼまでは、テン場からすぐそこ。そこからクライミング開始。

 

  ピナクル全景。赤線が登攀ライン。

1P目

7時30分開始 ~ ピナクル頭 13時50分

 

1P目 Ⅲ級 50メートル 船戸

テン場から登ってきてルンゼ状をそのまま登って行っても基部大テラスに出られるが、途中ロープを出し、右側のカンテ状を登る。簡単だがプロテクションを取るところがあまりない。カムを2つだったか決めて基部大テラスへ。正面をさらに一段上がったところの小灌木の根っこに新しい捨て縄があり、そこで切る。

 

2P目 Ⅳ ほぼ60m 船戸

1P目終了点すぐ上の草の生えた少し悪い凹角状を上がり、あとは右上方向にみえる3P目のダブルクラック下の木を目指して緩斜面を右上していく。古いハーケンが1つあったが、リードは無視し、岩やところどころにある節理にプロテクションを取りながら右上していく。滑る草付きやスラブ、脆い箇所もあるので慎重に行く。

 

2P目 ダブルクラック下の立木目指して緩やかに右上。

3P目 10a 35m 山崎

出だし滑りやすい草付きに注意しながら直上し小ハングを越え、ダブルクラックは左側のクラックを登る。垂直に立っており、遠くからだとわからなかったが、左側のクラックは、これまたダブルになっており、左側はワイド、右側は快適なハンドサイズ。ワイドクラック内は湿っており、足を滑らせ少々苦戦したが、右側はハンドバチ効きで快適。抜け口が草付きで滑り易く、少し悪いが慎重に上がる。終了点の太い立木でビレイ。残置スリングが巻き付けてある。体感10aか。

  3P目出だし。右上の小木にも残置スリングあり。帰りはそこを懸垂支点とした。


  3P目終了点の立木

 

4P目 5.7 40m 船戸

太い木から草付きを少し右上すると短いワイドクラック。ここで6番カムを使用。アームバーと膝を使ったりヒール&トゥで体を上げるが、すぐにガバがある。ワイドを抜けたところに大きな動く岩があるので注意する。この辺岩が不安定な状態。さらに気の抜けないいやらしい草付き岩稜帯をほぼ直上していくと木がありそこでビレイ。2本の捨て縄あり。

4P目。ここからは見えないが、右の木が生い茂っているところにワイドクラックがある。

 

5P目 10b 30m 山崎

最終ピッチ。少し左にいくと3つの割れ目が。トポでは真ん中を行くことになっているので、最初右から入り、真ん中のクラックに移ろうとするも乗り移れず。そのまま右のワイドクラックを直上する。右クラックはガバもあり容易。スタート点から少し下ったクラックの一番下からも取り付こうとしたがうまくいかず、結果こうなった。

脆い岩に注意しながら登ると、大岩に2本のスリング。すぐその先がピナクルてっぺんだが、ハイマツで足場が悪そうなので降りてきて2本スリングのところでビレイ。

 

  5P目の3本のクラック。五月晴れルートは真ん中を行く。一段降りて下から取り付こうとしたが、草が生えてて手を入れられず怖いので、サッサと右から抜けた。右は簡単。

  5P目ビレイ点から下。下に見える木が4P目の終了点。

   登ってきた壁。

帰りは各終了点にあった立木を使って、登ってきたルート沿いに降下した。色々あったが生きて取り付きに戻ってきた。


翌日は、二俣までのあの最悪な沢筋をゆっくり丁寧に慎重に下り、11時頃に新穂高温泉郷に到着。ほかの方の記録でもありましたが、帰ってきたというよりは生還したといった感じ。

壁は、人気ルートとは大違いで、連休にも関わらずだれもおらず、とてもワイルドな感じであったが静かなクライミングを楽しめました。

それよりもとにかくアプローチが悪い。アプローチ核心でした。

8月瑞牆山マルチ(アレアレア、ワイルド・アット・ホーム、夢のカリフォルニア)他

順番は前後しますが、過去のものも、随時上げていければと思ってます。
管理人がさぼらなければ。

2020年8月の12日間
河合(記)

この半年は色々なことがあった。コロナ禍でイタリア赴任が出国2日前に幻に消え、東京で住む場所が消失、補充人員として非常事態の職場内を転々、コロナ自粛でクライミングも2ヶ月以上ブランク。

自粛解除後からはリハビリ外岩。ボルトルートのショートピッチやボルダーで体が戻ってきたので、8月は瑞牆山に通った。(なお、8月現在私は都民ではないことを断っておきます。)職場より瑞牆行った回数の方が多いかも・・・?

 

8/1(1日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

11ヶ月ぶりにマルチに復帰。玉置さんと。着いて早々「濡れてる・・・」

1p目5.11c(リード:河合)
早速コーナーで濡れた足が滑ってテンション。核心のスラブ部分も、キーホールドが濡れていてテンション。でも、ムーブは濡れていても起こせることがわかった。

2p目5.10c(リード:玉置→河合)
びしょ濡れの簡単ワイド~ハンドクラック。玉置さんギブアップでリードチェンジ。濡れていてもハンドなので問題なく再登。

3p目5.11a(リード:河合)
全面びしょ濡れ。玉置さんに「行く?」と聞いたら「行ってみよう」というので、行ってみた。雑巾ムーブ多用、最後1手まで行ったところでムーブミスって落ちた。以前オンサイトしたはずなのに・・・半分以上のホールドが濡れていてチョークは意味なし。濡れていてもカチホールドはカチれることがわかった。

がっつり濡れてる・・・

 

4p目5.10d(リード:河合)
見た目乾いてそうで安心。でもジャムしたら手が黄緑色に。再登。このピッチは瑞牆にしては珍しくグレード甘目で、5.10bか、あっても5.10c位。

5p目5.11b(リード:河合)
このピッチも乾いていて嬉しい。ヌメるけど。昨年落ちたけど、今回は無事リベンジ。変化に富んだ楽しいピッチ。でも最後のスラブがちょっとボロくて怖い。

ここまで来て、もういいやとなって、太陽のテラスから懸垂2発で下降。

 

8/2(2日目)【大ヤスリ岩:夢のカリフォルニア5.10b】

前日びしょ濡れでげんなりだったので玉置さんと相談、この日は確実に乾いていそうな大ヤスリ岩、夢のカリフォルニア5.10bへ。あわよくばミステリー5.12aに繋げる作戦。

1p目5.10b(リード:河合)
初っ端から厳しいレイバックで怖い。テンションと叫びたいのをぐっと我慢して耐えると気持ちよくワイドになった。後半終了点手前の岩は浮いているので要注意。オンサイト。


ヌンチャク下の岩は浮いているので注意

2p目5.10a(リード:玉置→河合)
まずは玉置さんにトライしてもらうも、ワイド部分ギブアップでリードチェンジ。このピッチは本当に気持ちよく快適なクラックで、さくっとフラッシュ。トポに出ていた終了点が存在せず、仕方ないのでナイフピークの根本まで。

ついでにロープ伸ばしてミステリー5.12aを見に行くも、古いRCCとリングボルトしか見えず、思った以上にドスラブ、心が折れて登らず撤収。

この日の核心は下降。1p目終了点に荷物置いてきてしまったので同ルート下降せざるを得なかったけど、危惧した通りロープが激しくスタック、マイクロトラクションジャンプとかで何とかしたけど、もうげんなり。クラック横のリングボルト抜くのはまだわかるけど、トポに出ている終了点まで撤去するのは、やり過ぎじゃないかと思った。同ルート下降はお勧めできない。

 

8/8(3日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

この土日はツヨツヨの川上さんが付き合ってくれるので、前からトライしたかったアレアレア5.12bへ。今の我々にオンサイトは厳しいので、なるべくムーブを解決してトップアウトを目指すことに。

 

1p目5.11d(リード:河合)
出だしからいきなり悪くてA0してしまった。出だし以外は各駅停車だけどムーブ起こせた。カムは0.4、1、2を使用。

2p目5.7(リード:川上)
いや、5.7とか嘘でしょ!?5.10aか10bはある悪いスラブ。川上さんはオンサイト、河合もフォローでノーテン。

3p目5.7(リード:河合)
このピッチはちゃんと5.7だった。ベルジュエールと共通で、再登。カムは2使用。

4p目5.12a(リード:川上)
前半の核心ピッチだ。まずはカンテ登り、2ボルト目がとても遠くて怖い。その後も容赦ないランナウトで、川上さん各駅ながら渾身のトップアウト。メンタル耐久力ないと、このピッチで敗退もあるかも。河合はフォローで全ムーブ起こせた。核心は1級くらいありそうな垂壁ムーブで悪い。カムは0.5、0.75、1使用。

5p目5.7(リード:川上)
5.7とか嘘でしょ!?その2。短いけど悪い濡れ濡れコーナークラック。川上さんは何事もないようにオンサイトしてたけど、河合はフォローでも落ちそうになった。カムは0.75か1辺り使用、だったような。

6p目5.12b(リード:河合)
出だしにハーケンが2つあるという話だったけど、最初の1本しかない。蜘蛛の巣べったりでトライの形跡もない。3番カムで補強してスタートするも、日差しでヌメヌメ、どうしようもない。エイドに切り替えるも、カムが効かない。片刃効きカムを束ねて体引き上げて黒エイリアンを決め、そっとテンション。抜けたら多分グラウンドフォールだ。ノーズの冷や汗エイドを思い出した。その後プロテクションは問題なくなったけど、ヌメって、ただのエイドクライミングになってしまった。フォローの川上さんは出だし以外何とかなった模様。出だしはPDでもいいんじゃないかと思った。

多分快適にフォローしているように見える

7p目5.11d(リード:川上→河合→川上)
ピナクル上から次のホールドまで、遠くて足もない。どうやらランジのようだ。川上さんが飛びまくるも止まらず選手交代。10回位飛んだら1回止まりかけるも、ホッカホカのホールドに耐えられず。再び川上さんにスイッチ、A0交えてトップアウトしてもらった。ランジの後は10台のスラブと5.7位のクラックでマイルド。カムは0.75~2辺り使用。

朝8時スタートで、この時点で17時過ぎていて日が暮れそうだったので、ベルジュエールと共通の3ピッチは互いに既登だったこともあり省略、白クマのコル経由で下降。

今シーズントライした人はまだほとんどいないのかもしれない。素晴らしいルートなのに、もったいない。

8/8(4日目)【小ヤスリ岩:蒼天攀路5.12b、山灯火5.12d】
川上さんは蒼天攀路3p目5.12bをやってみたい、私は山灯火5.12d触りたいということで、小ヤスリ岩へ。蒼天攀路3p目は、最初とにかく怖いのだけど、川上さんは気合と根性で1便目からトップアウトしていた。河合は2年前に既登なので快適にフォローさせてもらったけど、後半の核心でテンションかけてしまった。

その後、山灯火5.12dにトップロープでトライ。結構ランナウトしていて、リードだと大変そう。ムーブは1便目で全部ばらせ、核心はボルダー1級くらいか。指と足の持久力がかなり必要そうだったけど、本当に気持ちいの良い素晴らしいルートだった。今度はちゃんとリードでトライしたい。

この後は再び蒼天攀路ビレイ点に下降して川上さん炎のトライのビレイ。

山灯火は、ザ・垂壁。出だしから怖い

 

8/9(5日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

この日は仕事で帰った川上さんに代わって、薄田さんに付き合ってもらった。3日目でヨレてたけど、そこは気合だ。

1p目5.11c(リード:河合)
スラブはヌメったけど、きっちりRPできた。薄田さんは出だしでテンションも、スラブ部分はノーテン。さすがっす。

核心手前トラバース中の薄田さん

 

2p目5.10a(リード:河合)
乾いていれば快適。

3p目5.11a(リード:薄田)
当初は河合のオールリード&荷上げのつもりだったけど、薄田さんがやりたいとのことでチェンジ。いつも通り濡れているフェースに四苦八苦した模様。このピッチ、乾いていることってあるの?河合はもう慣れているのでノーテン。

4p目5.10d(リード:河合)
もう3回目だし問題なし。

5p目5.11b(リード:薄田)
また薄田さんがリードしたいというのでチェンジ。3p目よりは手応えあったようだ。河合もさくっとノーテンでフォロー、と言いたかったけど、最後のスラブで足滑らせて危なかった。

6p目5.8(リード:薄田)
チムニーのピッチまでは登りたいというので、また薄田さんに行ってもらうも、慣れないワイドで大苦戦だった模様。久々の手羽ムーブ。

このピッチで面倒になったので下降。最後のピッチ登ってないけど、とりあえず個人的にはノーテン・ワンプッシュ完了。次は継続だ。下りながら見たHappiest you5.12cは面白そうだった。太陽のテラスからロープぶん投げた方向が左より過ぎて悪く、ロープがスタックして下降が大変だった。面倒でも、鎌形ハング上で1回切った方が良い気がする。

 

8/15(6日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

遅い夏休み開始。また川上さんに付き合ってもらってアレアレア。今回はフィックス使って、下から順にRPして土日で白クマのコルから抜けることが目標。

 

1p目5.11d(川上×RP、河合×××RP)
川上さんがトライするも、出だしムーブばらせず。河合がムーブ解決、すぐさま川上さんRP。河合は自分で作ったムーブをなぜか間違え、結局4便もRPにかかり出だしからつまずいた。同じくボルダームーブの砂の塔5.12aより難しく、体感5.12a。

ハングを抜けるとコーナークラック(ハーケンあるけどカムも欲しい)

 

2p目5.7(河合RP、川上フォロー)
怖いスラブを今度は河合リード。わかれば5.10a位。やはり5.7ってことはないと思う。

3p目5.7(川上再登、河合フォロー)
特になし。

4p目5.12a(河合××、川上××)
先週より日が当たってヌメり、核心ムーブが起こせなかった。ランナウトが痺れる。川上さんは最終ボルトのはるか上から吹っ飛んできた。

ここで時間切れ、取りつきまでロープ2本でフィックスして下降。

 

8/16(7日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

朝イチで空中ユマーリング。ヨセミテっぽいぞ。

 

4p目5.12a(河合×RP、川上×)
1便目から狙っていくも、核心ホールド保持れず。川上さん推奨の持ち方を試したら保持れるようになって、次の便でギリギリ何とかRP。シャウトでお騒がせしました。この時期、日が当たると勝負にならず、10時過ぎが本気トライのリミットだ。川上さん曰く「人生最難の5.12a」とのこと、河合の体感は易し目の5.12b。良い時期ならもうちょい簡単に感じる、といいな。

核心でぶら下がる川上さん。ムーブ悪いぞ

5p目5.7(河合RP、川上フォロー)
コーナークラックも、今日は乾いていた。でもワンポイント結構悪くて、5.9か5.10a位あると思う。6p目は既にアツアツでヌメって話にならないので、そのまま白クマのコルにロープ伸ばして脱出。後半戦は涼しくなってからかな。

時間が余ったので、午後は川上さんの蒼天攀路3p目5.12bの炎のトライのビレイ。私は指皮が終わっていて試合終了。めちゃ暑くてビレイだけでも熱中症になりそうだった。

 

8/18(8日目)【大面岩下ボルダー:青い日2段ほか】

パートナーいないのでボルダー。前から気になっていた青い日2段を触ったけど、ホールド遠い上にヌメって何もさせてもらえず。他にいくつか触ったけどあまり登れず、成果は2級1本。

青い日2段。綺麗だな

 

8/19(9日目)【金山沢ボルダー:鷲は舞い降りた初段ほか】

この日もボルダー。朝イチで、昨年登れなかった鷲は舞い降りた初段に打ち込むも、後ちょっとで左手が止まらず悔しい。その後トラマン1級、山形県エリアで阿修羅初段、ヒドラ1級などトライするもいずれもヌメりで心が折れて、ヨレヨレの中、何とか穴契約社員3級とトラツグミ3級登って終了。トラツグミ3級は面白かった。

鷲が舞い降りた初段、左手目測誤って痛恨のフォール

 

8/22(10日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12b】

雨が降りそうだったので、川上さんとカンマンボロン砂のエリアへ。7月に1便だしたEternal Wish5.12bをトライ。前回濡れていた核心ホールドは拭けば登れるレベル、3便出して核心2度抜けたけど、両トライとも最後落とされてしまった。プロテクションは間隔遠いけど、ちゃんと決まる所があり不安はない。

Eternal wish5.12b。傾斜やばくてロープがおかしな方向に垂れてる

 

8/29(11日目)【大面岩:フリーウェイ5.11c】

今週も川上さんとマルチ。1年ぶりのフリーウェイ。

 

1p目5.10d(リード:川上)
川上さん問題なく1撃。河合もフォローでノーテンだったけど、ヌメるぞ。

2p目5.11c(河合××〇、川上××フォロー)
1便目はクラック入る手前の最後の核心で落ちてしまった。その後また同じ場所で落ち、川上さんも吹っ飛びを繰り返し、大分時間食ってしまった。過去最悪にヌメって心が折れそうだったけど、何とか3便目でねじ伏せた。指が痛い。(この日のルールで、どちらか完登しないと前進できない)

 

3p目5.11b(川上×、河合FL)

今回はより充実するため、5.11b var.を選択。川上さんが難しいライン取りを解明してくれたので、気合でフラッシュ。出だしのランナウトが痺れた。ほとんど登られた形跡がないけど、泥チムニー登るよりよっぽど快適だし、充実するのでお勧め。カムは小さいのから4番まで2セットでちょっと余る位。

 

3ピッチ目var.5.11bは秀逸なライン取り。
こっちがフリーウェイの新スタンダート?
どこでトラバースするか、センスが問われる

 

ここで大雨が降ってきて敗退。残念。

 

8.30(12日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12bほか】

この日は前日よりも予報が悪かったのでフリーウェイを諦めて砂のエリア。Eternal Wish5.12b1便目でキーホールドを掃除して、2便目でRP。体感5.12a/b。またシャウトでお騒がせしました。難しいジャムはないかわり、フェース力と耐久力が問われる1本。RP直後から、やはり雨が降ってきた。

川上さんも後ちょっと。その後岩の殿堂5.12cに行こうとするも、以前登った砂の塔5.12aの核心ホールドがごっそりなくなっており、以前のムーブに固執したら1便目でトップアウトできず、2便目で抜けるも時間切れ。核心は以前登った上回りだとワングレードアップ、下回りは変わらないと思うけど、またホールドが欠けるかもしれない。岩の殿堂5.12cは次回また天候不安定な時に。

川上さんEternal wish5.12b核心を抜けたところ

8月は天気が良くて、計画した山行がほとんど実現できて良かった。これからフリクションが来る季節、天気良くて色々登れるといいなぁ。