八ヶ岳 小同心クラック

2016年7月10日
川端(記)、太田(無所属)

前日の天気が悪く太刀岡山のフリーが中止になりましたが、日曜日は天気が良さそうなので急遽、友人と小同心クラックに行ってきました。

7月9日(土)
22:30 美濃口駐車場に到着し、八ヶ岳山荘で晩酌。誰もいないのでビールと焼酎を飲み夜更かししてしまいました。

7月10日(日)
4:00 起床し赤岳山荘駐車場まで車で移動。身支度をして発。快晴過ぎて赤岳鉱泉につく頃には汗だくに。
ギア類を整え大同心稜を登り大同心基部を小同心に向かいトラバース。踏み跡明瞭で迷うことはありません。
赤岳鉱泉から2時間弱で小同心クラック取付。

1P目(太田リード)
ガバホールド豊富で快適に登れます。
2P目(川端リード)
このルートの核心とのことですが、こちらもホールド豊富で安心して快適に登れました。
小同心クラックというけど、チムニーです。これに足を突っ込みすぎると体勢がきつくなるので足を開いて登ります。
出っ張った岩を乗越すのにコツが必要かもしれません。岩はガバなので思い切って体を上げ、出っ張った岩に左のお尻をのせ座るムーブで乗り越えました。
後から登ってきた相棒に聞いたら、やはり同じムーブを使ったとのことです。
そこを超えるとすぐにボルトがありましたが、それをスルーし先のボルトでピッチを切りました。
3P目(太田リード)
2P目を伸ばしたのでアっという間に終わってしましました。

小同心の頭から歩き、横岳頂上直下の岩を登ります。
ロープを結び横岳頂上へ出ます。
休憩後、大同心ルンゼを下り大同心稜から下山しました。

登攀時間は小同心クラック取付から横岳頂上まで約2時間と短かったのですが、露出感があり気持ちいいクライミングでした。

大同心から小同心へのトラバース
大同心から小同心へのトラバース
1P目、1ヵ所岩角にスリングをかけ支点を取りましたがハーケンがいい間隔であるので使いました。
1P目、1ヵ所岩角にスリングをかけ支点を取りましたがハーケンがいい間隔であるので使いました。
大同心ルンゼの下りで念のためロープを出し50m懸垂しましたが斜度がなく摩擦でロープを回収できず、結局、登り返してクライムダウンしました。
大同心ルンゼの下りで念のためロープを出し50m懸垂しましたが斜度がなく摩擦でロープを回収できず、結局、登り返してクライムダウンしました。

川端20160710_小同心クラック5

八ヶ岳 日ノ岳中山尾根

2015年12月13日
薄田(記)、赤井、野澤

最近、高齢者(自分も?)からの問い合わせがチラホラ有るとのこと。
因みに、当クラブはアルパイン・クライミング・クラブです。
ということで、冬のトレーニングに「中山尾根」に行ってきました。

12日の夜行で、小淵沢IC近くの道の駅にてテントを張る。
ここでは小雨。暖かい。
13日、赤井さん号で美濃戸まで入りアプローチ。
赤岳鉱泉8:30位(記憶はアバウト)。
中山乗越経由、取り付きスタート9:30。
勿論、パワーフリークライマー野澤君リード。
正面では無く右から下り気味でスタートするが5、6m登ったところでパワーフリークライマー野澤君が木の見える方向に直上しようとするので、薄田がストップコール。続いて「左に回り込むのです」コール。
 中山尾根1200頃
山下達郎では無いが「雨が雪に変わって」いるので、岩に雪がそこそこ乗っていて一応冬壁チックだが、やはり暖かい。
その後は適当につるべで登り、上部岸壁も野澤君リード。
中山尾根上部岩壁1
しかし、途中再度のルート修正。
終了は14:30位。
流石に稜線近くは風が強く冬山の様相でした。
全体に気温が高く、とにかく暖かい。
12月の八ヶ岳ではとうていありませんでした。
「地球が壊れています。」

 

八ヶ岳 阿弥陀岳南稜

2015年9月15日(火)
牧野(単独、記)

駐車場はキノコ採りの地元ナンバープレートの車でほぼ満車。
車止めを抜け広河原沢を渡り尾根に取り付く赤テープがある。
登山道は明瞭で、一般登山道と変わらない。
あおなぎ
P-1あたりから多少岩稜らしくなる
視界が開け以前に登った天狗尾根がかっこよく見えた。
P-3を左に回り込みるルンゼ下部に出る。ここでヘルメットを被る。
ルンゼは多少濡れていたが問題なし。
ルンゼ上部から下部を望む
P-4も左に巻き山頂へ。
山頂は4、5人の登山者が展望を楽しんでいる。
阿弥陀岳山頂
中央稜への分岐は摩利支天を越えてすぐ。判りやすい。
上部は多少傾斜があるが問題なし。
その後も道は明瞭で、ほとんど一般道。
沢に出て左右の樹林の中の道を歩く。
途中地元のキノコ採りの方と会い、色々楽しいお話を聞かせて戴いているうちに舟山十字路到着。

コースタイム:
船山十字路 6:30 – 立場岳 8:40 – P1 9:55 – P3ルンゼ 10:30 – 阿弥陀岳 11:10~11:50 – 中央稜分岐 12:00 – 広河原沢 13:25 – 船山十字路 14:00

八ヶ岳 赤岳西壁主稜、阿弥陀岳北稜

2003年1月12日から2日間
三好、堀田、池﨑(記)


1月11日

美濃戸口-行者小屋

時間は十分にあったので、いい天気の元、行者小屋のちょっと下の樹林帯でロープワークの確認などをやっておく。

 

1月12日

行者小屋-赤岳西壁主稜-行者小屋

3:30に起床して5:30出発。

ヘッドランプを点けて、分三郎道をゆっくり登る。

取り付きへのトラバース地点で先行は3人組1パーティ。

取り付きでこの先行パーティが登るのを待っている間に、途中で抜かした団体のガイドパーティがあとからやってくる。

既に混み気味。

先行パーティのアイゼンが外れたりしてしばし待った後、池崎が登りはじめる。

1ピッチ目出だしのチョックストーンにはスリングが通してあった。

新設のビレイ点のボルトに掛かっているのと同じスリングだ。

前回あったっけ?とりあえず掴んで登っておく(!)。

そのまま上がってビクナルでランナーを1つ取って右上。

立派なボルトでビレイ。

その後もビレイ点やランナー用のボルト(全部で4箇所くらいかな?)が要所に設置されていて、自然の岩を使ったランナーはルートを通して一生懸命取っても2,3ヶ所程度だった。

ボルトが多いので、ヌンチャクも1~2個持っていても便利かも。

あとは最後の2ピッチはボルトが設置されていない(見つけられなかった?)ので岩角でビレイ点を作った。

どのみち長いスリングは必要。

登り始めはガスの中を登っていたが、途中から青空が見えてきて、山頂では快晴。

しばし小屋のかげで風を避けながら休憩の後、頂上で記念撮影して地蔵尾根から下山。

ヤマケイの記事にも載っていた通りで、ルートの要所にはボルトが設置されていてビレイ点に関してはとても安定していた。

でも混んでるとビレイ点に近づけないのがたまにきず・・・。

<行程>
05:30 行者小屋出発
07:00 主稜取付き(順番待ち)
07:40 登攀開始
11:30 終了点、頂上往復
12:10 下山開始
13:00 行者小屋

 

1月13日

行者小屋-阿弥陀岳北稜-行者小屋-美濃戸口

前日と同じ予定であったがちょっとだけ寝坊して6:40にヘッドランプを点けて分三郎道に向かう。

途中、指導標に導かれて道を右に入り、阿弥陀岳北稜の途中まで夏道を辿るが、トレースはバッチリでラッセルは皆無。

夏道のトラバースを左に分けて一登りしたところでアイゼンをつけて登攀の準備をする。

最初急な斜面はロープ無しで上がって、JPまで行くと学生さんのグループと他にもう1パーティ程が壁に取り付いていた。

ここで5~6パーティ程が取り付きに溜まるが、この学生さんパーティを待っていたら結局最後から2番目の取り付きとなってしまった。

学生さんパーティはそれこそ苦戦していて、「早くのぼってくんないかなぁ」が、そのうち「もう少しだ、がんばれ」と声を掛けたくなるくらいであった。

おつかれさんでした。

ということで、この日は三好さんトップで取り付く。

「登れなかったらはずかしーな」

とか言いながら相変わらずさくっと1ピッチ目を登っていく。

その後二人が続く。

その後は数パーティが入り乱れての大混乱状態で、訳判らずのうちに終了点。

学生時代に来たときは相方と二人っきりだったのに、こんなもんなのか。

このルートも真新しいボルトが打たれていたが、1ピッチ目のビレイ点は人が多くて近づけなかったみたいで三好さんはブッシュ(?)でビレイしていた。

この日も快晴で阿弥陀岳山頂でチョー大休止。

空気も澄んでいて360度ぜーんぶ丸見え。

2本も持っていたテルモスのお茶をがぶ飲みして、いざ見えてしまうとじつななんだかよくわからん山並みを地図で調べたりしたのち下山開始。

まだ日のあたっていない中岳沢をシリセードで一気に下り30分程で行者小屋に付いた。

撤収して美濃戸口へ。

林道をあるいていると荷物を背負ったままでときたま三好さんは走りだすのであった。

他の二人は早足で追いかける。

三好さんが走るのをやめて歩き出すと二人は追いつく。

しばらくすると三好さんはまた走る。

これを繰り返すうちに、美濃戸手前の大きなS字にたどり着く。

S字の向こうの最後の上り坂が勝負だ。

三好さんは上り坂をまたまた走る。

いままで走ってきた三好さんは体力を消耗しているはずである。

勝負するならここしかない。

上り坂の途中で三好さんが歩き出したところで、試しに池崎ダッシュをかける。

池崎がなんとか三好さんに追いつく。

それからちょっと二人とも走る。

さて、誰が最初に坂を登り切って美濃戸についたのかそれは秘密。

ちなみに残りの一名は静観・・・。

<行程>
06:40 行者小屋出発
07:40 JP取付き(順番待ち)
08:40?登攀開始
09:50 終了点
09:55 阿弥陀岳頂上
10:40 下山開始
11:10 行者小屋着

八ヶ岳 旭東稜、権現岳東稜

2002年3月30日から2日間
三好、柴田、池﨑(記)


今回は柴田さんに誘って頂き、三好さんと3人で八ヶ岳の旭岳と権現岳の東稜に行く事となった。

柴田さんと三好さんは先週赤岳東稜を登っており、今回は「八ヶ岳東稜シリーズ」

の完結編という事らしい。

 

3月30日

八ヶ岳・旭岳東稜-ツルネ東稜

前日、雨の国立駅を車で出発して清里駅で仮眠。

清里までずっと雨が降っていて「明日はどうなることやら・・・」と思いながら寝たが朝には雨はなんとか止んでいた。

駅を車で出発して5時過ぎに林道の二股から歩き始める。

しばらく行くと沢沿いにでる。

途中何回か徒渉があり、雪の上を水が流れている所もあり絶対落ちたくない感じだ。

出合小屋到着後、不要な荷物をデポしてヤッケや登攀具等を身に付け7時過ぎに旭岳東稜へ向け出発する。

最初はワカンを使っていたが、途中の樹林の中のやせた尾根の岩稜の下りが自分にはちょっとやばそうだったのでアイゼンに替える。

柴田さんはワカンのまま、三好さんはワカンとアイゼン併用で歩いている。

樹林帯のやせた尾根をしばらく登り、ちょっとした木登り気分の急な尾根を登り5段の宮の取り付きにつく。

ここまで来て気が付けば樹林帯を抜けて天気は快晴。

柴田さんはここで装備を身に付ける。

10:45に5段の宮に取り付く。

5段の宮を全て柴田さんトップ、最終ピッチを三好さんトップで登る。

1ピッチ目の出だしの一手を登り右上の草付きに立ち上がった所で、次の一手が取れずいきなり消耗してしまいそうになる。その後も自分には結構渋い所が多かった。

どうにもならずダブルでアックスで強引に上がったりで、ごまかしながらうやむやのうちに登ってしまった感じ。

最後、5段の宮の抜口では既に柴田さんが崩してくれているとはいえ、こんもりと積もった雪のリッジを乗り越すのは崩れそうな気がしてちょっと緊張する。

5段の宮を抜けるとしばらくは先と同様の雪がこんもり積もったリッジが続く。

リッジをそのまま進んで最後の壁(雪が付いている時期は雪壁?)は三好さんトップ。

草付き混じりで濡れている壁。

オーバーグローブもロープも泥と水を吸っている。

ここを1ピッチ登って終了。

全般的に草付きありありで、アックスさまさまの印象だった。

それにしても、5段とは如何に。

3段くらいしか判らなかった・・・まだまだ余裕がない未熟者。

稜線まで登ると旭岳山頂。風はほとんど無く快晴。

アルプスの山々から富士山まで全て見渡せる。

しばし休憩の後、ツルネに向かって歩き出す。

ツルネ東稜はトレースはなかったが沢山ある赤布や黄色テープに導かれて出合小屋へ。

小屋に戻ると他に1パーティ(お医者さんグループ?)が来ていて小屋内にテントを張っていた。

<タイム>
林道(5:15)→出合小屋(6:40/7:10)→旭岳東稜 肩(10:20/10:45)→旭岳頂上(14:40/14:55)→
出合小屋(17:00)

 

3月31日

八ヶ岳・権現岳東稜-ツルネ東稜

30分程寝坊して4時少し前に起きだす。

シュラフカバーで頑張っていた三好さんは寒かったみたい。

昨日より雲が多い。

天気は崩れてくる予報のようだ。

丁度明るくなり始めてヘッドランプが要らなくなった5時過ぎに出合小屋を出発。

権現沢右又に入りしばらく登ると大きなツララがいくつも掛かった顕著なゴルジュ帯を通り過ぎてすぐに右手の東稜に取り付く。

取り付きの斜面はそれなりに急で雪も締まっていたので斜面の途中の平らなところで自分はアイゼンを付けた。

アイゼンを付けている間に柴田さんはアイゼンなしでキックステップでスカスカ登っていった。

三好さんは小屋からアイゼン着用していたのでガシガシ登っていった。

はあはあいいながら追いかけると尾根に上がってちょっと行った所で待っていてくれた。

昨日の旭岳東稜と同じく、傾斜がきつい所では腿上、時折胸近くのラッセル。

今日はワカンは小屋に置いてきたが、せっかくだから持って来ても良かったかな。

樹林帯を登って行くとバットレス取り付きに出た。

取り付きの直下は草付きにかるく雪が乗った急な斜面。

ビレイ点の潅木までの残り2~3m程がロープ無しでは自分にはちょっとオーバースペックだったので柴田さん、三好さんが登った後にロープを垂らしてもらって登る。

昨日と違って眼下は雲に覆われているが、東稜は時々薄いガスが流れていく程度で天気は上々。

1ピッチ目、柴田さんトップで登り始める。

しばらくしてビレイ解除のコールがきて池崎、三好さんの順番で登る。

とっても暖かかったので素手で登った。岩がほのかにあったかい。

最初の2手ほどが岩ですぐに草付になる。

個人的にはここの草付がいやらしかった。

草付きにピッケルとバイルを突き刺して這い上がる。

ここから草付き混じりの壁を左へ回り込むように斜上していくと広いフェースに出る。

ここまで来てフェースの上部の小さなテラスでビレーしている柴田さんの姿が見える。

フェース自体はどこを登ったら良いのか判りにくいが、ホールドは結構豊富でぐいぐい登っていくとテラスに着く。

テラスにはちょっと間隔が離れているが残置ハーケンが2個。

テラスに若干の雪が残っている程度でフェースにはまったく雪は無かった。

2ピッチ目、柴田さんトップ。

池崎、三好さんの順に登る。

あまり特徴の無い岩の壁を登って傾斜がゆるくなった所で終了。

ロープを解く。

あとは、雪があまり付いていない岩稜帯を登るとやがて稜線の手前で雪のリッジになる。

足元はずっと下まで斜面が続いている。

アイゼンのダンゴをマメに落しながら慎重に歩いて稜線に出る。

稜線でしばし休憩の後、昨日よりちょっと遠くに見えるツルネに向けて歩き出す。

ツルネ東稜はトレースがついたので昨日よりはかなり歩きやすいが、ちょっとでもトレースをはずすとスコンと膝上(あるいは腿まで)まで埋まる。

出合小屋でデポした荷物をザックに詰め込んで帰路に着く。

来るときにいやらしかった徒渉は川底が見えていて昨日とは様子が変っていた。

日に日に暖かくなっているのかな。

最後は雪混じりの落ち葉の積もった林道をあるいて車を駐車している空き地へ。

車で林道を抜け、美しの森の駐車場を通りすぎたあたりからポツポツと雨が降ってきた。

<タイム>
出合小屋(5:10)→バットレス取付(8:45)→バットレスの頭(11:00)→権現岳頂上(11:35/11:40)→
出合小屋(13:55/14:20)→林道車止め(15:30)

※コースタイムby柴田さん(←ありがとうございます m(_ _)m)

 

八ヶ岳 赤岳東稜

2002年3月23日
三好、柴田(記)


今年は春の訪れが早く既に桜は満開。

谷川もこの週で打ち止めになってしまったがせっかくのシーズンなのでもう少し雪稜を登りたいと思い三好さんと赤岳東稜に行く事になった。

登山体系やwebで記録を読むと結構時間がかかるようだ。

私の家庭の事情で日曜日の朝6時までに自宅に戻っている必要があり日帰りは至上命令なので資料を総合的に判断し大体13-14時間かかると踏み、午前3時から4時の出発を予定した。

美しの森の隣のKitz Medowsスキー場駐車場に2時前に着き、1時間ほどだけ仮眠することにする。三好さんは大きな目覚し時計を持参しておりこれではアラームが聞こえなかった等と言う言い訳は通用しそうもない。

ところが1時間後に鳴り響くアラームを消してあと5分だけと思って寝てしまい、気がついたら4時30分を廻っていた。

あたふたと準備をし5時15分に駐車場を出発。二人とも寝坊した事に焦っていたみたいで最初は林道でなくスキー場の方に向かってヤミクモに歩いていた。

林道はまだ結構雪が残っていてところどころでスネ位まで潜る。スネだから大した事ないのだけど潜らないと思って置いた足が意表をつかれて潜ると結構疲れる。

林道と別れて大門沢に入り最初の二俣は右、その後は左を取る。

県界尾根から降りている支尾根と県界尾根に挟まれた沢を暫く登り、雪質のいい所で尾根に出ると尾根は広く台地状に広がり二俣が近い事が分かる。

天気は曇りで赤岳方面は灰色の雲に覆われていて見えない。

まあでも天気がいいと雪が腐って登高に難儀するのでむしろ曇りでよかったと思った。

急な雪面を慎重に降りゴルジュ状に降り立つ。

地形からして二俣の上部である事を確信。

ここで暫く休むが時間は7時30分と予定より若干早いペース。

暫くゴルジュ状の右俣を登り傾斜の緩い所から東稜に上がる。

雪は締まっていて快適に登れる。

樹林帯をやり過ごすとすぐに第1岩峰が現れる。

トポ通り左にトラバースし雪壁を登り抜ける。

雪壁の上は短いながらもナイフリッジになっていて美しい。

登攀中の三好さんの姿をカメラに収める。

だんだん天気は良くなりつつあるようだ。

見下ろすと清里あたりの大地を日ざしが照らしている。

第2岩峰の取付きでハーネスを装着し、ロープも必要に応じて出せるようにして左の雪壁へ回り込む。

いつのまにか雪が降り出し積雪期登攀のムードが盛り上がってきた。

傾斜は60度~70度くらいで結構立っているがアイゼンとアックスが良く決まるので不安はない。

また雪は若干柔らか目で蹴り込むと足裏で立つ事も出来るのでフロントポイントのクライミングで疲れたふくらはぎを休ませる事も出来る。

途中あえて望めば岩に移れない事もなかったが雪壁の登攀が安全快適だったのでそのまま雪壁を詰める事とした。

左右のアックスを草付きに引っかけながら登ると上部で傾斜は緩み緩い雪稜の向こうの最後の第3岩峰を残すだけとなった。

右手にはA/B/Cルンゼやセンターリッジが見える。そのうち登りに来たいものだ、と思いセンターリッジのルートを目で追う。

第3岩峰はハイマツ混じりの真教寺尾根の岩尾根と一体化しており岩峰と呼ぶほどの事もなく、普通に歩いて越えるとすぐに主稜線の竜頭峰に出た。

西風がすごい勢いで吹きさらしていた。

結局ロープは出さずに終わってしまった。

時計を見ると午前10時30分。

ラッセルがなかった事と雪面の条件が良くロープを出さずに済んだ事で2時間40分と予定より早く赤岳東稜を終える事が出来た。

下山は県界尾根と真教寺尾根とどちらにするか迷ったが三好さんと相談の結果、赤岳の頂上経由で県界尾根を下る事とした。

頂上でアリバイ写真を撮りトレースの無い県界尾根を下る。

新雪が少々積もっているが雪崩れるほどの量はなさそうだ。

それでもトラバースする時は上部を確認し慎重に進む。

小天狗手前の台地で小休止としアイゼンや登攀具を仕舞いレーションなどを食す。

天候は回復し我々が登った東稜とその右に東壁、ずっと左に天狗尾根などが見える。

気温は思ったよりも低いようでペットボトルの水が氷になりかかっていた。

小憩後樹林帯を斜めに下るが何故かここだけこれまでにないほど雪面が堅くなっている。

アイゼンは先程はずした所であり再度装着するのもかったるい。

結局最後までヤセ我慢してアイゼンはつけなかったが堅く締まった雪面に所々キックステップも効かず木に頼りながらの下降だった。

今回はここが一番緊張した。

大門沢枝沢まで降りるとあとは時折意表を突かれて足が潜るのを我慢しながら駐車場までスタコラ歩くだけだ。

午後1時50分に駐車場着。

三好さんお疲れさまでした。

八ヶ岳東稜シリーズはまだまだ色々あるのでまた行きましょう。

【タイム】
スキー場駐車場(5:15) → 二俣(7:30/7:50) → 竜頭峰(10:30) → 赤岳(10:50/11:00) →
駐車場(13:50)

 

八ヶ岳 赤岳 西壁主稜

2002年3月17日
池﨑、一ノ瀬(記)


池崎さんと「どっか易しいとこ行きたいねぇ」と石尊稜を計画したが「石尊の前に赤岳主稜だな」とみんなに言われ、即変更。

そして初めてのリーダー、無事登れるだろうか、緊張とワクワク感が交互にくる。

3月16日

西国分寺朝発。

身支度して10時前に美濃戸口バス停出発。

13時前に行者小屋に着いてしまった。

無風快晴、今日はのんびりひなたぼっこ。

3月17日

6:10文三郎道をゆく。

先行Pに習い、真ん中あたりの道標よりロープ出してトラバース、8時取付。

1P目:順番待ち。後続がぞくぞく控えているのでもう変な格好でもなんでもいいや登れれば、と自分に理由をつけてかなりのへっぴり腰でチョックストーンを乗越す。

2P目:先行Pに「左だよ」とルートを教えられ、笑顔で左に廻りこむ。

3・4P目:雪付きガレを適当に。

5P目:凹角の右ラインをいく。左ラインより楽?

6P目:雪付きガレを池崎さんに適当にいってもらう。

7P目:凹角。右ラインのピンは使用中なので仕方なく(私には)難しめの左ラインをとる。私はここが核心だった。

ここから2・3P雪付きガレ、最後稜線までは惰性でロープを延ばす。

池崎さん、そのまま先行けばいいのに「いや、一ノ瀬さん、どうぞっ!」というので行かせてもらう。

稜線12時。

赤岳頂上で嬉しくて力いっぱい握手。

あとは文三郎道を下る。

池崎さんは元気に下るが私は気が抜けたのか、膝へろへろ。

行者に着く頃、滑落事故があったようだ。内容はよく分からなかったが、ヘリで負傷者が輸送されるのをぼーっと見届けたあと行者をあとにする。

ふろふろめしめしと言いながら夕暮れ前に駐車場に着。

ほとんどのピッチ、長スリングを岩に引っ掛けて支点とする。
ピンがないので短スリングはあまり使用しなかった。
ロープ2本あったのだが1本で通してしまった。(池崎さんロープ背負いっ放し、ごめんなさい)時間短縮にはなったと思うが簡単なルートではこれでいいのかな。

分からないのでなんかいろいろ持っていったがリードしたことによってどんなルートで何がどれだけ必要か少しだけ分かった。

かかった時間も渋滞のおかげで後押しされたのや、ルートの迷いもなかったことで大して遅くはなかったが、渋滞でなければどうだったのだろう・・・。

うーん、まだまだなのだ。

 

八ヶ岳 無名峰南稜、大同心雲稜ルート

2001年3月24日から2日間
赤井、三好、柴田(記)


昨年末の岳沢アイスアプローチ敗退以来痛めていた腰がやっと回復し、まる3ヶ月ぶりの山行。

当初は谷川の1・2の沢中間稜と中央稜を計画していたが谷川が例年より早く3月24日から入山禁止になってしまい、がっくりしながら八ヶ岳に転戦。

赤井さんと三好さんの希望を聞きながら登山体系を眺め、無名峰南稜と大同心雲稜の組み合わせに決めて計画を提出。

3月24日

(晴れ)

小淵沢駅で仮眠の後美濃戸口経由で美濃戸に向かうが林道は氷化した路面に轍が出来て車で進むのが困難になり途中で車を道路脇に止めて歩く事に。

こんなの初めてだ。(でも駐車場代が浮いた。)

赤岳鉱泉までの道はいつも通りだが雪が例年よりは多いような気がした。

天気が良くて暑い。

赤岳鉱泉までの道のりで腰が痛みだす事をひそかに恐れていたがいまのところ何ともないようだ。

三好テントを設営後無名峰南稜に向かう。

三又峰ルンゼに入る手前で北側の尾根に上がるがこれが無名峰南稜。

しばらく進むと大きな岩壁が正面を塞ぐような形になりここでアンザイレン。

1P目(三好):リッジをしばらく登った後右の草付き混じりの凹角を登りピッチをきる。

2P目(三好):正面右の岩が露出したもろいスラブを登る。

古い残置が1つあっただけでスラブにアイゼンが決まらず微妙だった。

アンカーポイントではみっちょんがハーケンを打ち足す。

3P目(柴田):カンテ状を右に回りこみ潅木でランナーを取りながらロープを伸ばす。

岩は脆くボロボロで頼りにならないが、潅木が豊富。

4P目(柴田):木登りを交え雪の斜面を上部のリッジまで。

容易。

ここで下部岩壁が終了し、いったんロープをたたむ。

雪稜を道なりに詰めるとやがてチムニー状の上部岩壁が現れる。

だいたい横岳西壁はどこもこういうパターンですな。

5P目(赤井):チムニーは途中で屈曲しているように思われたので「ロープの流れが悪くなるようなら途中でピッチを切ってね」

と赤井さんに声をかけるがあっさりと登り切ってビレー解除のコール。

フォローしてみると上部はかぶっているがチョックストーンが人工壁の終了点のような大ガバになっている。

これをつかんでチムニーを抜けると夕日を浴びた主稜線がすぐそこに見えていた。

見覚えある中山尾根の終了点もすぐ横にあった。

地蔵尾根、行者小屋経由で帰幕。

鉱泉でビールを買い、ジフィーズ2連チャンであっさり眠りに落ちる。

美濃戸(7:30)→赤岳鉱泉(10:00/10:50)→無名峰南稜取付(12:00ころ)→終了点(17:15)→
行者小屋(19:00)→赤岳鉱泉(20:00)

3月25日

(曇り)

のびたサッポロ一番を食べて大同心稜を大同心に向かう。

先行は1Pのみですいている。

暖かな割には支点は比較的効いていた。

1P(三好)取付きからしばらくフリーでハングの手前からA1。

柴田は利尻のバットレス以来のアブミでもたつく。

2P(三好)ビレー点左のフェースからずっとアブミの掛け替え。

支点の間隔が短く容易。

3P(柴田)右のカンテを越えてから浅い凹角を登る。

出だしのカンテ越えはいったん右に向かうが悪そうなので戻って直上してから越える。

4P(柴田)頭上の顕著な鞍部までのフリー。

Ⅲ級とは思えなかった。

途中浮いたハーケンをピッケルで打ち直し。

5P(柴田)ジェードルからバンドまで。

簡単そうに見えたA0部分で左足が上手く決められず力尽き、一度降ろしてもらいA1で越える。

バンドに出てヤレヤレと言う気分。

バンドからは一応ロープをつないだままで赤井さん、三好さん、柴田の順番で右にトラバースし最終ピッチの取付きに着くが既に午後3時と制限時間を過ぎておりここでtime’s up。

ドームを登る先行パーティのコールを聞きつつレーションを食べて一路鉱泉へ。

タイム:
赤岳鉱泉(7:10)→雲稜ルート取付(9:00ころ)→5P目終了点(15:00)→赤岳鉱泉(16:00/16:30)→
美濃戸(17:30)

心配していた腰の方は何とかもってくれて一安心。

しかししばらく登っていないと体力もクライミング技術も全て低下している。

またやり直しですな。

 

八ヶ岳 大同心雲稜ルート

2000年12月16日から2日間
井上、赤井(記)


12月15日

八王子駅22:00集合。

南沢の大滝へ行く予定の森広、柴田組が同乗し、私の車で美濃戸山荘の駐車場へ。

一杯飲んでからテントと車に分かれ睡眠。

12月16日

(ジョウゴ沢)

7:30起床。9:00出発。

柴田・森広組と別れ一路赤岳鉱泉へ。

途中から雲行きが怪しくなってきて、「コリャー、小同心クラックは無理か」と思うがとりあえず赤岳鉱泉まで行ってテントを張った。

上部の視界は悪く上のほうは見えず風も強そうなため、小同心はあきらめ、ジョウゴ沢へ行くことにした。

13:00 F1取付2パーティほどトップロープで練習している脇をとおり上にぬける。

F2には左側のなめ気味の所を一パーティが取り付いており一パーティが順番待ちしていたため、右側の滝を登る。

上で井上君のビレイをしていると2パーティ程後続がきた。

F3はしょぼい5mほどのなめた滝で、そこを越えると視界が悪くなり風が強くなってきた。

そのためここから下降した。

12月17日

(大同心雲稜ルート)

4:00起床。6:30発。

途中私がメガネを忘れテントに取りに戻る。

8:00取り付きにつく。

2パーティほどおり順番待ち。

取り付きはボルト1本のみ。

1P目 赤井
最初左にトラバースし取り付く。

3mのぼり今度は右にトラバース。

5mほどフリーでのぼり人工に切り替わる。

ここで少し順番待ち。

人工の途中に3mmの細い残置スリング2本あり、アブミをかけためしに体重をかける。

大丈夫そうなのでホットすると。

“ぶちぶち”とスリングの切れだす音がする。

ひえー、とすぐに、つぎの支点にヌンチャクをかけフィフィをかけてのっこす。

手を抜くんじゃなかったと少し後悔した。

ビレイ点は順番待ちのため手前でしばらく休んでからビレイ点へいった。

フォローの井上君をビレイしていると。

終了間際でなんと彼のオーバミトンの紐が切れ下に落ちてしまう。

予備を持ってきていないとのことで下に拾いに戻ることになった。

ホキ。

下に降り。

行動食をくい。

ミトンを探す。

みつかったので登り返すことになった。

2P目 赤井 ひたすら人工で進む。

途中リングの細く伸びきったボルトもあったりしたが問題なし。

人工が下手なため少々時間がかかる。

ここで、14:00くらいになっていたので降りることにした。

赤岳鉱泉に戻るとテレビの撮影でアイゼン付けの競争をやっていた。

マッターホルン登頂部と思われる。(今時、大学の山岳部でもやっていないのじゃーなかろうか?)
テントを撤収し、帰りについた。

18:00美濃戸山荘駐車場へ付く。

車には雪が積もっていたので、ワイパーを回した。

すると雪に埋もれた飴玉が落っこちボンネットとウインドの間に挟まってしまい取るのに苦労した。

ホキ。

でもおいしかったです。

ご馳走様。

 

 

八ヶ岳 旭岳東稜

2000年1月29~30日
森広、倉田、三好(記)

1月29日(土)

晴れ

八ヶ岳の東面にもそろそろ雪がついてきただろうかと、旭岳東稜に出かけることにする。

日曜から天気が崩れるようなので、なんとか土曜日中に決着をつけたい。

美しの森の駐車場に車を置き、珍しく酒を飲まずに仮眠した後、6:30に歩き出す。

林道に車が入った跡もあるが、すぐにあきらめてUターンしたようだ。

出合小屋8:50。

踏み跡は出合小屋までしっかりあるけど、旭岳東稜には続いていない。

ラッキー。

少し沢に入ったところから尾根に取付くが、赤布等には気付かなかった。

9:45頃には尾根に登り上げる。

雪はヒザ程度、時々ズボッと深くはまり、急登はヤブを掴みアックスを効かせながら進み、14:30上部岩壁の取付きに着く。

倉田さんはやる気満々なので、リードしたいと言いきる。

しかし、非情にもジャンケンとなるのだった。

結果、珍しく、本当ーに珍しいことに森広さんがジャンケンに勝つ。

しかし、思ったより傾斜もきつくて右か左かとやっているうちに疲れてきたらしく、一旦下りる。

で、二番目に勝った私が交代して取り付くと、いいホールドに手が届かない。

すなおに、スリングをアブミにして登ってしまった。

2段目はいい所に木もあるし、簡単と思いきや、やはり手が届かない。

細かいところに立つのも怖い。

えいっと体を伸ばすとなんとか届くが、届いたら届いたでバランスが取れなくなって、足ブラになる。

息を吐き吐き、パワーで登ってしまった。

もたもたして時間もむっちゃかかるし、登り方も全然駄目だ。

3段から先は左手の草付きを登ると登山大系には書いてあるが、傾斜がきつく回りこむのが難しそうで、よくわからない。

ほぼ正面通し右側を草付きアックス登りで倉田さんに行ってもらう。

結局、岩壁が終わったのは16:30過ぎで、暗くなってきた。

暗い中、そんなに安定しているわけでない雪のナイフリッジを通るのは怖いので、ずっとロープは出しっぱなしで、旭岳に到着したのは20:20。

よかったーと硬い握手を交し合う。

しかーし、稜線上のトレースは見事に消えており、疲れた体に股まで埋まるラッセルはきつい。

ヘロヘロな私がすぐにラッセルを交代すると、倉田さんが「もぉーっ」と叫びながら、這い這い進む。

確かにその方が速い。

途中、懸垂も1回やって、21:30ツルネ手前でやっとテントを張ることにした。

風がちょうど当らないらしく、樹木が稜線にまであるよいテン場だ。

今まで飲んだ酒の中で一番好きな屋久島の焼酎をちびちび飲んで、22:30消灯。

1月30日(日)

晴れ?

6:00起床。

夜中から風がかなり強く吹いている音はしていたが、テントには全く風が当らない。

7:45出発。

風が強くて時々立ち止まらなくてはならないほど。

昨日中に登りきれてよかった。

あとはツルネ東稜をひたすら下る。

下りは派生する尾根に入らないようにと思っていたら、赤布がべたべた付けられていて迷いようがない。

ラッセルしていると、雪の表面の凍ったところがちょうどヒザ下に当り、むちゃくちゃ痛くなってきたのには参ったけど。

9:30ツルネ東稜を下りきり、11:55には駐車場に到着。

後ろを振り向くと、稜線上にはレンズ雲が何重にもなって掛かっている。

なかなかお腹一杯、充実のよい山行でした!!

追加:温泉・風呂の入浴料は小渕沢や茅野方面では600円なのが、清里から韮崎あたりでは1,000円になっているらしい。

高いぞー。