明星山 P6南壁マニフェスト

2002年4月28日
倉田、中嶋(記)


マニュフェスト 12ピッチ(9:15-17:00) 中嶋 倉田

今回の目標のひとつ、長いこと憧れていたルートでもある。

前日に双眼鏡を使って対岸からラインとビレーポイントを予習しておいたので、全体的なライン取りについては問題なかった。

ただ、偵察のときは懸垂下降用の支点が目立つので、残置スリングの無いビレーポイントについては見過ごしてしまい早めに切ってしまうことがあった(3ピッチ目の終了点)。

快適なフリーのルートという先入観があったが、ペツルなんかは全く見かけず、支点が不安な中そこそこのムーブをこなしていくのはなかなか刺激的であった。

ナチプロは有効だけど、石灰岩は表面がイレギュラーなのですわりが悪いことが多く、これもまた少し怖い。

以下ピッチ毎の概要(グレードは体感のもの)。

1ピッチ目(3級)中嶋
取り付きは新しいリングボルトが2本打ってあるところよりも、一段右上のテラスからスタートしたほうがいい。ほとんどピンが無く、またシーズン始めということもあり砂利がたまっているので慎重に行く。

2ピッチ目(5.8位)倉田
クイーンズウェイから分かれて右にトラバースする一手(一足)がちょっと難しい。

3ピッチ目(5.10b)中嶋
傾斜は強いけどホールドは堅く非常に楽しめる。トポによっては2つのピッチに分けているがラインもまっすぐなので1ピッチ分でまったく問題ない。ただ、終了点を最後のハングのすぐ上の懸垂下降用の支点で切ってしまわず、さらに8m程伸ばしたところで切らないと次のピッチがしんどくなってしまう。次ピッチで倉田さんにはつらい思いをさせてしまった。

4ピッチ目(5.10+?)倉田
途中からライン取りが分かりづらくなり、フォローした感じではこのピッチが最難に感じた。本当は左に出る部分ボルトラダーをはずれてもうさらにトラバースするのではないかと思いつつフォローしたが、正直いって判りづらかった。倉田さんの苦労がしのばれる攻撃的なラインではあり楽しめたが。

5ピッチ目(5.8位)中嶋
下部城塞を越える部分が少しもろく感じたが問題は無い。スラブの部分もロープを伸ばす。

6ピッチ目(5.7位)倉田
クイーンズウェイやクワトロとも重なる正面壁の交差点のようなピッチ。壁はわれわれ2パーティの貸し切りだったのにここでわざわざ渋滞してしまった。いいピッチだと思う。

7ピッチ目(5.10a)中嶋
上部城塞、傾斜が強い割には岩がもろくて、グレードにかかわらず最も厳しく感じたピッチだった。この辺だけ岩の質が違うようで、割れ方がチャートのようでピンもほとんど当てにならない。

8ピッチ目(4級)倉田
ピナクルを目差して右上してからまた左上していく。

9ピッチ目(4級)中嶋
トポにあるフリースピリッツと共有するビレーポイントが見つからないので、三日月ハング下の安定したビレーポイントで切る。鷹ノ巣ハングの真下になり、次のピッチのビレーにもそれほど問題ない。

10ピッチ目(5.10d)中嶋
はたしてラインがあっていたのかどうかちょっと自信がないのだけど、フリーで行けたのでいいのでしょう。洞穴に直下の垂壁にボルトラダーが右端と左端に2本あり、どちらをたどればいいのかわからず迷った挙句、ランペ右上後左にトラバースして左のボルトラダーから越える。迷った分時間をかけてしまったが、ここまできて全オンサイトを逃すのも悔しいので頑張ってしまった。倉田さんありがとう。洞穴は屋根がでかい。軒下から下を覗くと小滝川が小さく見える。

11ピッチ目(5.9位)倉田
トポでは5級たすになっているけど、迫力やプロテクション等考えてももう少し難しい気がする。迫力の天井軒下トラバースも怖いが、実はその先がもっと怖い。そろそろ気力的に疲れてくる中よくリードしてくれたなあという感じ。

12ピッチ目(4級位)中嶋
トポでは前のピッチまでしか記述が無くて、すっかり気を抜いてしまっていた分悪く感じた。なにしろ特長が無くてライン取りがまったくわからない。50mいっぱい伸ばして木のあるところまで行って終了。

このあと下降路の松ノ木まで行くのにもシーズンはじめのせいか踏み後もはっきりせず楽ではなかった(先行パーティがはまっていた)。

目標どおり全ピッチノーテンションで抜けることができたので、もう一回登る可能性は低いだろうなあ。もろい部分がおっかないし。

でも、この手のロングフリーが好きな人にはおすすめの逸品です。