錫杖岳 注文左ルート

錫杖岳 注文左ルート

2022年6月18日~19日

船戸(記)、玉木、小森、早田

注文左ルートの存在についてはトポなどで冬季登攀のルートである事は知っていたが、無雪期にも登攀出来る事を錫杖開拓で有名な石際さんのブログで知り、ずっと興味を持っていた。今回は玉置さんが付き合ってくれるとの事だったので、ついでに若手2名(小森・早田)にも声を掛けて4名で行ってきた。

・6月18日
前日夜の内に、中尾高原口に着いて仮眠後入山。初日は船戸・早田が左方カンテ、玉置・小森が1ルンゼへ。

早田くんは初錫杖だったが、(ブツブツと独り言を呟きながら)頑張って全ピッチノーテンで登ってきた。

4ピッチ目で挟まる早田くん

それにしても、気になったのは左方カンテの残置の多さ。特に核心の6PのCS周りには、捨て縄が2~3本ぶら下がっていた。
あそこをA0して越える事の是非はさておいても、簡単に回収出来るはずのものを置いていくのはどういう了見なのだろう。
とりあえず今回は全てナイフで切って回収しておいたが、最近どんどん増えてきている注文ルートの残置カム然り、もう少し岩場とルート開拓をされた方々への敬意を持った方が良いのではないだろうか

そんなこんなで、我々は16時過ぎくらいには錫杖沢出合のテントに戻ってきたが、玉置・小森が中々戻ってこない。川で冷やしたビールを目の前にお預けを喰らうのは辛いが、ボチボチ帰ってくるだろうと当初は待っていた。ところが17時を過ぎ、18時目前になってもまだ降りてこない。あの二人ならば問題は無いはずだが・・・万一の事を考えるとアルコールを飲む訳にもいかず、18時過ぎたら流石に様子を見に行くかと思っていたところ、ようやく沢の上部に玉置さんが現れた。

続けてその後に小森くんが現れて手を振っている。こっちは2時間近く飲むのを我慢してるのに、呑気に手なんか振りやがって・・・
良いからさっさと降りて来い(怒)

プレモルのエール、お勧めです

・6月19日
夜中にテントを叩く雨の音で目が覚める。結構しっかり降ってるし明日はダメかなーと思いながら再度眠りに落ち・・・たのだが起床時間の1時間近く前に、外が騒がしくて起きてしまう。小森・早田ペアが朝っぱらから盛り上がってるようだ、心の中で二人を一通り罵倒した後、諦めてこちらも起床する。

地面を見ると、思ったよりも濡れていない。とりあえず取り付きの北沢大滝までは行ってみるかと、いう事になる。
北沢大滝に着いてみると、既に先客が登り始めていた。岩も乾いてるように見えるし、予定通り登攀する事に。前日と同じく船戸・早田、玉置・小森のペアだが、早田さんに無理を言って自分が、全ピッチリードさせて貰う事に。ありがとうございます。

1P目:45m 5.6(グレードは石際さんのトポを参考にさせて貰った)
北沢大滝の下部を登る。見張り塔を登った時にも通ったが毎回いまいちラインが分からずに右往左往・・・終了点は滝の本流のすぐ横なので、あまり左に行き過ぎると戻るのが大変になる。

若干、雪渓が残ってました

 

2P目:40m 5.8?
本来はジグザグチムニーの中に入るのだが、前日の雨のせいか見るからにビチョビチョで水も滴っている。どうしたもんかと考えたが3P目以降は日当たり良好でここで諦めるのは勿体無い。チムニー横の右上フェースは草も生えてあまり快適には見えないが、何とか上まで繋がりそうなので、意を決して取り付く。

出だしから、しっとりした触り心地と動く岩に神経をすり減らす。早いとこ1ピン目を取りたいがクラックが見当たらず、効きの怪しいハーケンを1本打って、更に4~5mランナウトしたところでようやくしっかりしたカムを決められて、ほっと一息。その後もジリジリとロープを伸ばし、何とか終了点に。いやー、怖かった

最後は若干薄被り

 

(実は後続の玉置さんは、チムニーを登っていた。意外と挟まれば快適だったとの事・・・巻こうとして墓穴を掘ったか)

3P目:30m 5.6
冬季用の年季の入った終了点からすぐ右の階段状を登った後、今度は左に抜けてバナナ岩の直下まで。

4P目:40m 5.8
ハイライトのピッチ。2本のチムニーの左側を登る。スタンス・ホールドとも探せば出てくるが、動く岩も多いので慎重に。被ったCSを越えるあたりがOW気味でここが核心か(持ってきた4番を唯一使った)

チムニー内の岩も動くので要注意

5P目:25m 5.7
最終ピッチ。気の抜けない5.7との記載だったが、取り付いてみてすぐに意味が分かる。全ピッチ中、1番脆かったのがこのセクションで、特に離陸から数手は冷や汗ものだった。何とか突破し最後は狭いチムニーを抜けて少し歩けば前衛壁の頂上へ。

後続パーティ

今回は早田さんの厚意で、全ピッチリードさせて貰った。登攀記録があるとはいえ、数年前の記録で岩の状況を確かめながらの手探りクライミングとなり、神経を使う部分もあったがその分充実感溢れるクライミングが出来た。錫杖にはまだまだ登っていないルートもたくさんあるし、これからも足繁く通って腕を磨いていきたいと思います。

錫杖岳前衛フェース黄道光デラックス(仮)

2020年9月19日~22日
河合(記)、川上

マルチピッチクライミングには、色々な取り組み方がある。エイドorフリー。ピンクポイントorレッドポイント。オールリードorリード&フォロー。ワンプッシュorフィックス。壁のすっきりした部分で終えるor登山の原点に戻ってトップアウト。理想は、ワンプッシュかつオンサイトフリーでのトップアウトと思うけど、中々それは難しい。

今回、既に2度敗退している黄道光に、2年ぶりにチャレンジすることになった。パートナーは同じ位登れる川上さんなので、今回は以下のルールでトライ。

  • 黄道光の終了点は壁の途中で中途半端なので、北沢デラックスの最終ピッチ5.11bを経由して前衛フェース頂上へ抜ける。
  • 実質クライミングの2ピッチ目5.11a、4ピッチ目5.11c、5ピッチ目5.11c、6ピッチ目5.11bは下から順に各自RPする。進行スピードを合わせるかは、その場の具合で判断
  • フィックスロープを許容。
  • 荷上げあり。
  • 個別ピッチRP時は、クイックドローの残置は許容、カムは回収。
  • 最終的に、リード&フォローかつノーフォールで前衛フェース頂上に抜けることを目標とする。

9/19
 そんなことをまじめに行きの車内で話し合っていたら、うっかり伊那ICまで行ってしまったぜ。当初予定では前日夜行のつもりだったけど、前日は雨。以前の経験からびしょ濡れサンシャインクラックが予想されたので、ゆっくり昼間運転で16:30槍見温泉着、17:50錫杖沢出合のテン場着。

 

9/20
確か7時過ぎから登り始めたはず。

1ピッチ目(Ⅲ級)リード:川上
川上さん「ロープ要りますか?(いらねーだろ)」河「朝イチなんでお願いします」当然のように川上さんはノープロで登って行った。

2ピッチ目(5.11a)リード:河合(×)→川上RP→河合RP→川上フォロー
朝イチからハングは辛い。下部のコーナー核心をパンプしながら抜けるも、上部でライン取りをミスってボルトが消失、魂のクライムダウンで最後力尽きて落ちてしまった。川上さんは一発でクリア。北沢デラックスへ向かうKさんAさんパーティを見送り、河合も再トライ。指が冷えまくって感覚無くなるも、何とかRP。4年前にトライしたはずなのに、最初からこれはまずいなぁ。体感5.11b。しかも、冷え切った指で、6年連れ添ったマイクロトラクションを落としてしまい、がっくし。荷上げはムンターで何とかした。なお、川上さんは全く指冷え問題なかったとのこと。これが二子山クライマーと城ケ崎クライマーの耐寒性の差か。


(先にさくさくと登っていくK
さん)

 

3ピッチ目(Ⅱ級)リード:河合
KさんAさんパーティが上に抜けるのをじっくり鑑賞してから、行動開始。北沢デラックス、めちゃかっこいい。このピッチはただの草付トラバース。ホールドはガバ(灌木と笹)。

 

4ピッチ目(5.11c)リード:川上(×、×)→河合RP→川上RP
核心かつハイライトのサンシャインクラックを擁する55mのロングピッチだ。河合は2年前に1度トライしていたので、川上さんがオンサイトトライ。しかし、残念ながら出だしのハング越えではまってしまい早々にテンション。余程悔しかったらしく、すぐにロープ引き抜いてリトライするも、第2ハング越えと、クラック後のフェースでテンションが入っていた。やはり、厳しいようだ。

河合は2年前にびちゃびちゃのクラックに耐えるも第2ハング越えまでは繋がっていた、はずなのだが全くムーブ記憶にない。とりあえず出だしからランジになったぞ、おかしいな。今度は湿気ているクラックをだましだまし登ると、鬼門の第2ボルトセクションに来ていた。「ここまで来たら(もう1回やりたくないから)落ちられねーな。」慎重に一番確実そうなムーブを選んで抜けた。今回はガバから蛙が飛び出すこともなく、40m地点のテラスへ。後半のライン取りも悩み、少し行っては探りを繰り返し、以前登った時のライン取りと違うような気もするけど、何とか一発で登ることができた。ムーブは核心でもイレブン前半、休めるところも結構あった。でも、55mのスケールは肉体的にも精神的にも体力が必要で、体感5.11c/d。

こうなると川上さんにプレッシャーがかかる。緊張した面持ちの川上さんは、それでもきっちり次の便でRP。さすが決められる男は違うな。物静かな彼には珍しく、ロアーダウンしながらガッツポーズしていた。

(川上さん珍しくガッツポーズ!下降はフィックスしてグリグリ)

今日はここまでで時間切れ。4ピッチ目終了点と、2ピッチ目終了点にそれぞれ60mロープをフィックスして撤収。(2ピッチ目終了点にはロープ出して戻った。)

 

9/21
 この日も7時20分にスタートしようとするも、左方カンテと共通の1ピッチ目は混雑。ユマーリングなので~と途中で入れてもらえて(無理やり入って?)感謝。朝から空中ユマーリング、3ピッチ目だけまたロープ出して、8時40分に5ピッチ目開始。

(これ全部ユマーリングとか憂鬱)

 

5ピッチ目(5.11c)リード:河合FL→川上FL→河合フォロー
このピッチは以前ビレイとユマーリングしたことがあるので、オンサイトトライではなかった。けれど、やっぱしムーブわからないぞ。行っては戻りをまた繰り返して前半の悪い核心を抜け、クラックに入った。カムをヌンチャクで延長するの忘れて、ロープの流れが悪くて重いけど、クラックに入ってしまえばこっちのもの。フィンガーロックをきめてランナウトさせて突っ込んだら、5.11b/cセクションが終わっていた。後半の5.11aセクションは、最後油断ならなかったけど根性決めてムーブ起こしてFL。上部はちょっと脆くて注意が必要。

また川上さんにプレッシャーかけてしまった。何か悪いなぁ。しかしそこは川上さん、また彼にしては珍しくムーブやレストポイントを尋ねられたけど、テンポよく、ビレイヤーの見た目ではあっさりとFL。このピッチは、ワンプッシュトライ時は私の担当かなと思ったので、フォローでもう一回登っておいた。ザック背負ってもノーテンで行けた。わかってしまえば、このピッチもイレブン前半のムーブだ。が、しかし、40mの長さはやはりしんどく、体感5.11c。

6ピッチ目(5.11b)リード:川上OS→河合FL
黄道光の終了点はハンギングビレイで、一応両手離して立てるけど、ちょっと中途半端だ。上には気持ち良さそうなフェースがボルト3つ分続いていて、北沢デラックスの最終ピッチとなっている。「これは登るのが自然だよね。」と川上さんと意見が一致、さあ、もうひと踏ん張り。

川上さんはあっさりとOSして一言「5.11bもないっすよ」。河合はかなり必死にFL。ムーブは悪いけど、今までの長いピッチに比べればかなり気楽だ。体感5.11a/b。

終了点は明らかなテラスがあったけど、残置ハーケン3つとボロいスリング。(後でこの6m上にハンガーボルト残置ビナ付きを発見)仕方ないので捨て縄で補強してカラビナ残置して(後で自分達の追加した分は撤去したのでありません)ロアーダウン。

個別RP完了ということで、15時位にさっさと取付に戻って、翌日のワンプッシュに向けて英気を養った。この日、黄道光は我々以外にワンパーティトライしていた。前来た時はチョーク跡さえなかったのに、良い時期は、人気だな~

9/22
 さあ、勝負のワンプッシュだ。また7時過ぎにスタートしようとしたら、後続パーティも黄道光とのこと。オンサイトトライの邪魔するのも悪いし、我々が全部一発で行ける保証もないので、先に行ってもらうことにして、7時20分スタート。

1ピッチ目(Ⅲ級 30m)リード:川上
先行パーティが左方カンテ1ピッチ目終了点まで行き過ぎたので、やはり先に行かせてもらうことにした。例によってノープロ川上さん。

2ピッチ目(5.11a 30m)リード:河合
さすがに3回目じゃ落ちられない。出だし勢いよく2ボルト目にクリップしようとしたら、クリップしていた1ボルト目のヌンチャクからロープが外れた。こういうことってあるんだな~。力入ったけど、問題なくクリア。体はちょっと固い、指は昨日から血だらけだけど、動いている。もう3日目だし、やっと錫杖の岩に体が馴染んできた感じだ。でもバックロープもシングルなんで地味に重い。川上さんもノーテンフォロー。

3ピッチ目(Ⅱ級 20m)リード:川上
お散歩(草)。

4ピッチ目(5.11c 55m)リード:川上
呼吸を整えて、いざスタート。と、思ったら、Zクリップじゃね~か!!川上さん魂のアンクリップ。彼には出だしが鬼門らしい。その後立て直して、本人曰く「かなりやばかった」けど無事ノーテンで抜けていた。流石だ。こんな気合入ったクライミング見せられたら、フォローで落ちるわけにはいかないので、ノーテンでフォローした。

5ピッチ目(5.11c 40m)リード:河合
55mフォローしてから40mをすぐリードできる体力はなく、20分位休んでスタート。3度目でムーブに悩むことはない、と思いきや、下部核心でまごついてしまった。でもカラーランプが点灯するほどではなかった。最後の核心では疲れていて、思わず声が出たけど、確実に再登。途中のヌンチャクに余ったカム残置したりしたけど・・・川上さんは「きついっす」とか言いながら、めっちゃ笑顔でノーテンフォロー。この時点で黄道光完登!

(まだ本気の川上さん)

(5.11b/cパートを終え、めっちゃ笑顔の川上さん)

 

6ピッチ目(5.11b 15m)リード:川上
まだまだ旅は終わらない。このピッチは川上さん爽やかに再登。河合は、うっかり荷上げ荷物に入れるの忘れてしまったカムとヌンチャクのせいで、どっさり加重クライミング。足切れたりするも、短いのでパワーでねじ伏せノーテンフォロー。ちょっと落ちそうだった。

7ピッチ目(Ⅴ級位15m)リード:川上
ここからは、前衛フェース頂上に行ったことがあるという川上さんに任せた。テラスから直上したところ、わかりにくい位置にボルトと残置を発見、その後10m位左上気味に登ったところの灌木にあった残置でピッチを切っていた。

8ピッチ目(Ⅳ+級位25m)リード:川上
フェースの境界線に沿ってさらにカムをきめつつ左上。先ほどまでの爽やかなフェースはどこへやら、抜けそうな灌木掴んだり、ジャルパインテイストだ。最後はヤブに突入したら、ちゃんと左方カンテの最終ピッチ出だしの終了点に出ていた。

9ピッチ目(Ⅲ級40m)リード:河合
最後は歩きと、ほんの少しのクライミングで、気持ちよい笹原の前衛フェース頂上に出た。13時50分、リード&フォロー、ノーフォール、ワンプッシュで黄道光デラックス(仮)9ピッチ、完了!

(@前衛フェース頂上)

下降は注文の多い料理店側に降りた。左方カンテ終了点各所の懸垂下降支点に残置カラビナが1枚しかなく、しかも左方カンテ組が皆平気で残置カラビナ1枚で懸垂下降していることに愕然。仕方ないので1枚ずつカラビナを足して降りたところ、3枚も消費。持っていかないでね。さらに先行パーティが懸垂3ピッチ目で見事にチムニーにロープスタック、ヘルプを頼まれ、注文の水平テラスに降りる予定が、我々まで大テラスに降りることになってしまった。我々のロープはチムニースタックを小技で回避、やれやれだぜ、と思ったら次のピッチで落石してしまった。すんません。

何はともあれ、無事に降りてきて、翌日の予報がいまいち、かつ登攀欲を上回る温泉欲と食欲(主に河合)に突き動かされ、最終日の予定を変更して早々に下山した。誰だろなぁ、最後は深夜特急で締めるとかいう活きのいい計画書作ってた奴は。

そんなこんなで、黄道光デラックス(仮)を、今の我々にできうる多分最良のスタイルで完登できました。条件、パートナーに恵まれ、素晴らしいルートを、疲れてもなお次から次へ出てくる核心、落ちられないプレッシャーなど諸々含めて堪能できたのが良かった。

いつか状況が許すようになったら、こんなクライミングを、ヨセミテのあの例の世界一☆の多いと呼ばれるルートで、オンサイトでやってみたい。そのためにはまだ力が足りない。がんばろー。

錫杖岳 前衛フェース 黄道光、1ルンゼ

2018年7月14日、15日
野澤、河合(記)

海の日3連休は毎年天気よくないけど、今年は珍しく晴れるという予報。でも暑くなるらしいので、多少は標高の高い錫杖岳に野澤さんと行くことに。狙うは、2年前の宿題、黄道光5p 5.11c。前回は注文の多い料理店登って余った時間に1p目だけトライしてとても苦労したけど、今回はどうなることやら。

7/14
前夜入りして3時間睡眠。5時10分出発。同日程で錫杖入りする薄田さん川上さんパーティはまだ爆睡中。テン場は2番乗り、まったり支度して、8時35分、左方カンテ1p目登攀開始。一番乗り!

1p目(左方カンテ):Ⅲ級 35m(リード:河合)
前来た時より、豪雨の影響か明らかに荒れてる。正規終了点の手間5mの立木でピッチを切る。

2p目(黄道光1p目):5.11a 30m(リード:野澤)
側壁に微妙に遠い間隔でぺツルボルトが並んでる。野澤さんは出だしにカムを決めて壁に取り付いたところ、フットホールドがモゲた!少し下から取り付いてしまった模様。その後核心のコーナーレイバックを行きつ戻りつ、意を決して吠えながら突撃!残念ながらテンション。その後わかり辛いスラブをこなして終了点へ。1時間半位の粘りのクライミング。コーナークラックは湿気ていたとのことで、カムは出だしだけ。
セカンドの私はユマール。最初から空中ユマールでしんどく、普通にフォローした方が楽だったかも。

3p目(黄道光2p目):Ⅱ級 20m(リード:河合)
テラスへ向けて草付トラバース。

4p目(黄道光3p目):5.11c 55m(リード:河合)
本ルートの核心ピッチ。ガチャ大集結!♯0.3~3のカム2セット+♯0.2、1、2、ナッツを揃えて万全と思ったら、♯0.4を自宅に忘れて1個しかないことに気づく。
それにしても暑い!2p目のユマールで汗だく、20分位レストしてからスタート。

出だしはアツアツに温まったハングを越えるけどホールドわかり辛い。カムをセットする間に腕が吸われ、気合のデッドポイントからの癒しのクラック!と思ったら、「びちゃびちゃじゃね~かよ!」思わず叫んでしまう位には濡れ濡れクラック。思わずテンション!と叫びそうになったけど、2p目の野澤さんの魂のクライミングを思い出し、寸前のところで口を噤む。
その後、びちょ濡れのクラックをだましだまし登って、サンシャインクラック入口のハング下でレスト。この間、何回悪態ついたかわからない。憧れのルートがアツアツビチャビチャだなんて、愚痴りたくもなるもの。(当日、左方カンテを登っていた皆様におかれましては、汚い言葉の数々、すみませんでした。)
レスト後、第2核心となるハングに突っ込む。プロテクションの選択を誤り腕がパンプ、最後はサンシャインクラックに届いた左手フィストがすっぽ抜け、涙のフォール、やっちまった…しばし呆然。
その後、魂が抜けてしまい、ノロノロとアツアツのオフセットしたサンシャインクラックを適当にレイバックでこなし、またボルトに戻るとムーブ悪く余裕のテンション。ここが最大核心か~こりゃ条件良くてもオンサイト無理だ~。しかもガバホールドがヌルっとしたと思ったらツチガエルが飛び出したり。
40m地点付近には両手放せるテラス。でも正規の終了点はまだ10mちょっと登らないといけない模様。ろくにカムないんですけど・・・レッジトゥレッジという点でも、ここでピッチ切っていいんじゃね?という誘惑にかられるも、頑張ってちゃんとした終了点のある扇岩テラスへ。2時間近くかかってしまった。後続のパーティの方(1p目で撤退した模様)、すみませんでした。
野澤さんは最初フリーを試みるも、荷物の重さに耐えかね、ユマールに切り替え。55mの斜上クラッククリーニング、お疲れ様でした。

5p目(黄道光4p目):5.11c 40m(リード:野澤)
鉄人の体力を誇る野澤さんの調子が悪そうだ。軽い熱中症かな。扇岩テラスでじっくり休んで水飲んだ後でトライ。セカンドがユマールの場合は、ユマールからのリードはしんどいので、リード固定の方が良かったかも。
最初は8つのボルトが程々の間隔で並んでいて、その後クラックに入る所が悪そう。野澤さんはアメリカンエイドに切り替えてトップアウトに専念していた。後半のハング手前のコーナーも悪そう。ハング部はボルトが噂通りたくさん打ってあって、下の方とコンセプトが異なるように感じた。このピッチも2時間近くかかってしまった。

河合はユマール。1p目よりは傾斜ないから大分楽と思ったけど最後はやはり空中ユマール。終了点に着いたら17時と時間かかり過ぎ、丸一日使ってしまった。
まだ修行が足りないということですね。精進します。
下降は60mロープで懸垂3回。新品ロープがスパゲッティになったり、スタックしかかったりで大分時間かかってしまい、アプローチも迷いかけ、結局ヘッデン出して久々の残業になってしまった。テン場帰着は20時過ぎ。

7/15
当初は、2日目も個別ピッチのRPをかけて黄道光、または北沢フェース右ジェードル~上部錫思杖戯と思ったけど、黄道光の核心5.11cの2ピッチは条件的にRPは厳しいこと、上部錫思杖戯は昨日、遠目に濡れ具合が酷いことを確認していたので、昨日薄田さんと川上さんが登ったというLittle Wing 5.10cに行くことにした。
そもそも起床が6時とやる気なく、取り付きの1ルンゼでは当然の順番待ち、しかも先行パーティのリードが派手に10m位ぶっ飛んだりして(尻打っただけでどうやらほぼ無傷だった模様。よかった。)スタートしたら既に9時40分。

1p目(1ルンゼ)Ⅳ級、Ⅴ+ 50m(リード:河合)
終了点の位置を覚えていたので、トポの1p目と2p目をリンク。途中、手前でピッチ切った先行パーティが進むのを待っていたら、綺麗なランを見つけて癒された。

2p目(1ルンゼ)Ⅳ級 40m位(リード:河合)
野澤さんはⅤ字状岩壁のすぐ手前でピッチを切っていた。後でわかったことだけど、正規?のぺツル終了点は側壁側にあったらしいけど、Little Wing入るつもりだったので問題ない。

3p目(1ルンゼ)Ⅳ級、Ⅳ級(ライン違って多分Ⅴ級)45m位 (リード:河合)
またリンクして、Ⅴ字左のルンゼ~大テラス~ボロボロのフェース。ボロボロのフェースはプロテクション取り辛くて、岩も脆くてちょっと緊張。掴んだアンダーがもげかけた。ハーケンとスリングの残置のある小レッジでハンギングビレイ。

4p目(Little Wing 1p目) 5.10b (リード:野澤)のはずがトラバース15m
さて、Little Wing入口に着いたぞ~と見上げると、そこにはびちょ濡れの壁、滴る水・・・こいつはやべぇ、ということで早々に挫折、1ルンゼのラインに復帰を試みてトラバース。
(後で詳しく聞いたら、薄田さん、川上さんパーティも別のラインでエスケープしたとのこと)フォローの河合は濡れ手で滑って初めてカムを落とすも、幸い大テラスでストップ、先行パーティに下降時拾っていただきました。ありがとうございました。

4p目の続き(1ルンゼ復帰中、10m)(リード:野澤)
先行パーティが懸垂下降していたので待ってから、正規1ルンゼ5p目終了点のぺツルの終了点に復帰。

5p目(1ルンゼ)Ⅳ級30m位(リード:河合)
前回1ルンゼ登った時はLittle Wing 5.10bのラインを登ったので、正規ラインは今回が初めて。出だしのプロテクション取れない所にはぺツルが2つ打ってあった。後はルンゼと見せかけてカンテ登りを楽しんで、適当に終了点へ。ロープの流れが悪い。Ⅳ級よりは悪く感じた。

この時点で14時。順番待ちやら、ルート復帰やら、暑さでだるいやら、大分時間食ってしまった。アタックすればLittle Wing は登れるだろうけれど、本日帰京の野澤さんの明日の仕事がヤバイことになってしまう。ということで、モチベーションも上がらないこともあり(疲れてたんだと思う)、無理せずここで敗退することに。下降は懸垂4ピッチで、15時に取付、テン場で薄田さん、川上さんパーティと合流し、恒例の早足をこなし(ガチャ担いでテン場から登山口まで30分は、とばし過ぎてると思う)、汗だくへとへと下山。
帰京する野澤さん川上さんを見送り、薄田さん、河合は居残り。

7/16
薄田さんが西穂高岳にハイキングに行くというので、私も付き合ってまったりハイキング。標高高くても日差しがあるとやはり暑かった。

今回は念願の黄道光の完登をかけて頑張ってみましたが、結果的には中途半端になってしまいました。オンサイトを逃して悔しかったけれど、憧れのサンシャインクラックをフリーで(テンション交じりだったけど)こなせたのは嬉しかった。実力が足りなかったということで、また機会あれば練習してトライしようと思います。でも、もう真夏には行かないもんね・・・

北ア 錫杖岳前衛壁 注文の多い料理店、左方カンテ、1ルンゼ左

2017年9月30日~10月1日
野澤、川上(記)

ずっと行きたいと思っていた錫杖岳。野澤さんも「注文」を狙っていたことを知り、休みを合わせてぜひ行こうということになった。金曜夜発で、午前1時半頃に道の駅。翌朝は4時半起床で、5時半頃に槍見温泉の駐車場を出発した。幕営地の錫杖沢出合には7時頃。少々冷えるが、天気はバッチリだ。

初日は、まず今回の大目的であるところの「注文」に向かう。8時半頃、1番乗りで取り付きに着いたが、すぐ後から続々と2パーティーほど集まってくる。9時頃登り始める。つるべで登ったので、奇数ピッチが野澤さん、偶数が川上。
1p目、Ⅳ
簡単なフェース、アップになる。

2p目、5.8
少しトラバースして、上のテラスへ。

3p目、5.8
このピッチが核心。ハングを乗り越すところで力を使う。ジャミングで行くのか、フェースムーブで行くのか、初見では、悩みどころだ。野澤さんはスパイダーマンみたいに壁を背にするすごいムーブで登っていた。乗り越してからも距離があり、リードするには、結構緊張するだろうが、野澤さんは、さくっと終わらせる。川上も「フォローで時間はかけられない」との思いで、フォロー特有の思いきりの良さをいかしたレイバック気味のムーブで乗り越した。

4p目、5.8
テラスから、快適なダブルクラックをフェース登りで。ブッシュがうるさい壁を越えて終了。上部はルートファインディングに少し悩む。

5p目、Ⅳ+
スラブ。左上にキラキラ光るハンガーボルトが一つ。野澤さん「あー、ハンガーがある」とポツリ。使っちゃうのかな、と思いきや、ボルト使わずに、10メートル近いランナウトで解決。さすがです。全ピッチ通してオールナチュプロで登れました。

6p目、Ⅲ
あまり記憶なし、簡単だったので。すぐに頂上に抜けた、はず。

前衛壁の頂上は、草むらになっていて、西穂から槍まで一望できて、景色も最高だった。ここで正午頃。握手を交わして、しばし休憩した。日が当たりポカポカ、なんか和む、気持ちいい。その後、懸垂で同ルート下降したが、下から続々とパーティーが登ってきて、4ピッチ目のテラスでかなり待った。結局下まで2時間くらいかかる。計6パーティーくらい取り付いていたのでは?注文の多い料理店は、やはり大人気のお店で、天気の良い週末は、激込みだったという話。

「左方カンテ Ⅴ+、6ピッチ」(注文との合流地点まで)
取り付きに戻ってきた時点で午後2時半前。私「まだどこか行けますかね」。野澤さん「行けるところまで左方カンテやりますか」と話し合う。今度は私がおいしいピッチをやらせてもらおうと思い、3p目のⅤに照準を合わせて、私が奇数、野澤さんが偶数ピッチをリード。でも、確かに3ピッチ目もおもしろかったが、このルートのハイライトは、6p目だった。最初のチムニーからフェースに移るところにムーブがあって多少充実する。ただ、全体的に「注文」より簡単で、3時間かからないくらいで抜けることができた。こちらも、いくつか残置はあったが、ビレイ点以外オールナチュプロで登った。「時間的に上まで抜けれないと思ってたけど、行けましたね」と野澤さん。私もうれしかった。午後5時過ぎ。そこから懸垂して降りた。

2日目
「1ルンゼ~little wing(5.10c、10ピッチ)」…転じて「1ルンゼ左(5.8、7ピッチ)」
1ルンゼを6ピッチ登って白壁に移り、little wing(5.10c)をやるつもりだった。が、途中からルートとトポが一致していないような気がしてきた。帰ってきてから気づいたが、取り付きから間違えて1ルンゼ左ルートを登っていたようだ。奇数ピッチが野澤さんリード。

1P目、Ⅳ+
凹角に沿って登る。Ⅳ(1ルンゼなら)にしては難しめだな、と思った。

2p目、5.8
左端のオフウィズスを登ったが、思ったより悪かったので、いったんクライムダウン。より簡単そうに見えた右端のコーナーを登って、ハング下の微妙なスラブをトラバースすることにしたが、ホールドが細かくて結構緊張した、しかも苔コケで、多分登られていない。やはり、オフウィズスを登るのが正解だったようだ。1ルンゼと間違えていたため、Ⅴ+と思って取り付いたが、登りきった後で、もっと難しいよな、と思った、でも、面白かった

3p目、5.8
1ルンゼなら「Ⅳ.簡単な凹角」のはずだが、結構奮闘的。野澤さん「簡単な凹角…ではなかったですね」、僕もそう思った。
以下、手元のトポにグレード表記ないので、私の体感

4p目、Ⅲくらい
明るいスラブに出て、簡単な岩稜を登る。ほとんどランナーは取らなかった。

5p目、Ⅳ+くらい
凹角っぽい所を登り、広いテラスへ。

6p目、Ⅴ+くらい
1ルンゼの6ピッチ目には、5.10bのバリエーションがあり、これをやるつもりだったが、ルートが良く分からない(実際は1ルンゼ左を登っていたので当然だが)。適当に難しそうなフェースから凹角に入った。全然登られていない感じで、嫌らしかった。カムも所々にしか決まらず緊張。それでもⅤ+~5.8位か。

7p目、Ⅲくらい
左にトラバースして、ブッシュを登ると、前衛壁の頂上と思われる所に出てしまう。Little wingに入るトラバースを見逃して頂上まで来てしまったようだ。ここで午後1時半頃。このルートは、残置は多かったが、大体ハーケンか、怪しいリングボルトだったため、残置数ヶ所使った以外、ナチュプロで登った。

懸垂2回して、広いテラスに戻る。多分、ここをトラバースでlittle wingだろうと目星をつけ、実際に野澤さんがトラバースしてみたが、もう時間は午後3時前。下らないとこの日のうちに帰れないため、後ろ髪を引かれる思いで、下山を始めた。幕営地でテントをしまう。午後6時半頃に駐車場に着いた。

今回、憧れの錫杖岳に行けて本当に楽しかった、野澤さんありがとうございました。もっと力をつけて、今後は深夜特急や黄道光といった高難度ルートにも挑戦したいと思った。新しい目標ができ、日々のフリークライミングにも力が入りそうだ。皆さん、今後ともよろしくお願いします。

 

錫杖岳前衛壁 一ルンゼ

2017年2月25日~26日
向畑(記)、福原

2月25日朝出発。中央道松本ICで降り、9時からやっている波田駅前のスーパーに寄って宴会用の食材を買う。槍見の駐車場に11時30分到着。クライマーかどうかはわからないが車が5台止まっている。用意して12時に出発。有線放送のお昼のメロディが流れている。
14時30分クリヤ岩小屋前に到着。岩小屋内に1張り、周辺に2張り、すでにテントが張られている。岩小屋の上を整地してテントを張り、宴会を始める。
来る途中、一ルンゼに3人パーティーが取り付いているのが見えた。遠目で見た分には何となく氷が薄いような気がする。錫杖はそれほど詳しくないが、6年前、もしくは10年前に見た時は、もっと威圧的で登攀意欲をかきたてるような、立派でカッコいい氷だったような気がする。しかし、聞いたところではここ数年は結氷が悪かったらしく、これでも大分いい方らしい。

2月26日、用意して4時ちょっと前にテン場を出発。夜半から小雪が降り続いており、若干の積雪がある。トレースをたどり壁の前まで来る。ルートに向かう踏み跡があり、ここだろうと思い、ザック1つをデポして用意を始める。やや明るくなってきたので取り付きに向かう。しかし、明るくなって、目の前にあったのは三ルンゼだった。
間違えた、ということで再びザックをかついで一ルンゼに向かうと、少し前に我々の後ろを通り過ぎて行った2人パーティーが用意している。仕方がないなと思い、待つことにする。ところが、かわいそうに思ったのか、「準備できてるんだったら先に行ってもらっていいですよ」とのこと。感謝。ありがとうございます。

結局、取り付いたのは6時30分くらいと思われる。天候は最初雪、午前中は晴れたり曇ったりで、午後からは再び雪。
1ピッチ目、途中岩が出ていてちょっと悪い。カムでランナーが取れる。抜けた所の右のクラックにカムをセットしてビレー。40m。
2ピッチ目、スラブのベルグラを登る。薄くてもろい。二俣のビレーポイントでビレー。30m。
3ピッチ目、最初の氷瀑を右から越える。越えたところ右側のビレーポイントでビレー。30m。
4ピッチ目、2番目の氷瀑を登る。傾斜が立ってくる上部ほど氷が薄く、スクリューは効きそうにないのでランナウトして抜ける。左側にビレーポイントが見えるが、行くのがめんどくさそうなのでそのまま直上する。その上の氷瀑を一段登ったところの安定した氷でハンギングビレー。よく見ると、すぐ右にもビレーポイントがあった。40m。
5ピッチ目、そのまま氷瀑左側を登り、氷漬けになったビレーポイントでビレー。上に行くにつれて氷が雪混じりでぼろくなってくる。30m。
6ピッチ目、氷瀑左側を登る。ぼろい上にだんだん薄くなってきてランナウトする。氷の抜け口が見えてきたが、上に抜けてもビレーポイントがあるかどうか分からなかったので最後の安定した氷でピッチを切る。ハンギングビレー。30m。
7ピッチ目、ぼろい氷を5mほど上がると雪壁に抜ける。さらに雪壁を登り右に回りこんだところに工業用ボルトのしょぼいアンカーがあった。20m。終了時間は登っている途中、お昼のメロディが流れていたので13時頃かな。

ちょっと細かく切りすぎて時間がかかってしまった。下降は懸垂4回で降りることができたので、5ピッチほどで登れるみたいだ。取り付きに戻ったのは15時。テントに戻り、撤収して下山。槍見駐車場着が18時。

1ピッチ目
多分4ピッチ目

北ア 錫杖岳 前衛フェース 注文の多い料理店、1ルンゼ

2016年8月10日~12日
薄田、河合、山口(バーバリアン)

この夏休み、前半戦で赤蜘蛛登ったので後半どこ行こう?屏風?滝谷?剱?北岳?夢は膨らみましたが赤蜘蛛でヨレた体は完全回復せず。
ということでアプローチの短い錫杖岳に行くことにしました。今度は連休開始で元気モリモリの山口さんも合流。

8月11日(木)
河合(記)

注文1

10日、また前夜発。中央道は渋滞で5時間かかってしまい、槍見温泉駐車場26:00到着。

11日、登攀意欲バリバリの山口さんと、ヨレヨレ組の薄田、河合の間で起床時間を巡るかけ引きがありましたが、結局5:00起床となりました。
眠い…ゆっくり歩いて汗をかきかきテン場へ。
テン場にて(河)「あー、~もうビール飲みたい」(山)「そんなんで大丈夫?」(河)「大丈夫!取付いたらスイッチ入るから」(山)「(ホントかよ・・・)」
この後も弱気発言を繰り返す主に河合、時々薄田の両名は山口さんの叱咤激励を受けながら取付へ。
注文-2

さて、今日のお題は「注文の多い料理店」。錫杖岳を代表するオールナチュラルプロテクションの好ルートとの噂。目も覚めたし、それじゃあ行ってみよう!

1p目:Ⅳ(リード:薄田)
階段上を草付テラスまで。プロテクションはあまり取れなかったような。準備運動のピッチ。草が結構生えてました。

注文3

2p目:5.8(リード:河合)
テラスを左に少しトラバースしてからクラックを左上~フェースを右上して枯れ木テラスまで。快適なピッチでした。う~ん、いい感じ!薄田さんも思わず「このピッチ、俺がリードすれば良かった…」。でも写真は撮るの忘れました。

3p目前半:5.8(リード:山口)
前夜の車の中でのやりとり(河)「どのピッチリードしたい?」(山)「3ピッチ目で。」(河)「んじゃ任せた!」(薄)「(まぁ頑張れ)」ということで、ハイライトの3ピッチ目は山口さんリードです。キャメ#4×2、#5その他を装備してハング越え~広めのクラック。プロテクションはクラックにとりますが、クラックの幅が広すぎてクラック登りというよりは凹角登り、レイバック主体になり、結構力を使いました。いや~楽しい!弾数の尽きた山口さんは途中のハング下の支点でピッチを切ってました。
注文4

3p目後半:5.8(リード:河合)
あまりに快適で「次は俺にもやらせてくれ~」、ということでリード交代。引き続き快適なクラック(でも割とフェース登り)が続き、思わずにやけてしまいます。最後は少し右にトラバースして水平テラスへ。
注文5

4p目前半:5.8(リード:山口)
当初は河合リードの予定でしたが、(河)「まだ物足りないでしょ?」(山)「そうだね。」ということで、再び山口さんにスイッチ。大き目のクラック→左ハンド、右幅広のダブルクラックでした。少し草が増えてきましたが、まだまだ快適です。最上部は左の草付から回り込めば良いのですが、フォローだったので右壁に行ってみたらボロくてフットホールドが欠けた(落石してすみません)ので諦めて戻りました。最後山口さんは左方カンテの中間支点とかを使ってピッチを切っていました。終了点はもうちょい上だよ~。

注文6

4p目後半:Ⅲくらい(リード:薄田)
最後の10mは薄田さんに締めてもらい、左方カンテとの合流点のテラスに到着。

注文7

この日、注文は後ろにもう1パーティーのみでした。
対岸の「見張り塔からずっと」には3人パーティーが取付いていましたが、ルートが違うような…大丈夫かな。

注文8

懸垂時、水平テラスは後行パーティーが食事中だったため使えず、左方カンテ核心手前の大テラス経由で3回懸垂下降して取付まで。大テラスからロープ引いたら、ロープの流れ悪く最初は引いて動かなかった(セカンド以降に直してもらった)ので要注意でした。

(河、薄)「さて、ビールだ飯だ~♪」(山)「何言ってるんすか。まだこんな時間(14:10)だし、登るに決まってるじゃないすか」(河、薄)「まじ?」(山)「まじ。」(河)「ん~今から左方カンテやったら日暮れそうだしな~、よし、黄道光1p目やってみるか!」
ということで、その場の思いつきで、黄道光へ行ってみることにしました。
左方カンテ取付に行くと、黄道光から降りてくるパーティがいたので、しばし待ち。曰く、3p目のボルトが抜けているらしいとのことでしたが、この時間から登っても3p目には行けないので問題ないかな。

左方カンテ1p目:Ⅲ(リード:河合)
アプローチ。本来の左方カンテ1p目終了点少し下の立木でピッチを切ります。

黄道光1p目:5.11a(リード:河合)
やって参りました黄道光。甲斐駒+注文のダブルパンチでヨレヨレの体で登れるようなルートではないのですが、とりあえず河合がリード。これが中々にキツい!ボルトはペツルですがところどころ間隔が遠く、油断して小さ目のカムを持っていかなかったこともあり、フラフラな体に結構ランナウト、しかも傾斜はハング気味で腕が吸われる…「うぉ~!」とかシャウトし、振り絞りながら核心のクラックを通過。後で写真見るとロープと壁に足が挟まってました。もっと余裕もって登らないと。
注文9

下から「さっさと諦めて降りて来いよ~」オーラ全開の薄田さんを尻目にテンション混じりで何とかトップアウト。5.11aよりは随分辛めに感じました(ヨレてるせいだと思いたい)が、ムーブは大体解決。このレベルをマスターでオンサイトするにはまだ実力不足なことを感じました。次は万全な調子の時にやってみたい!フォローの2名は、また魂飛び出かかった私を尻目に、楽しそうに登ってきました。「わ、私もフォローが良かった、かな?」

当然のごとく1p目で時間切れ、ハイライトの3p目をしっかり目に焼き付け、下降しました。また戻ってくるぞ~!

注文10

この日は結局18:30頃にテン場に戻りました。当然残置し冷やしたビールに潤沢なツマミがお待ちかねです。いや~たまらん!

コースタイム
6:40登山口→7:50/8:30錫杖沢出合テン場→9:00/9:30注文取付→13:00注文4p目終了→13:10懸垂下降開始→14:10/30注文取付→14:40/15:25 左方カンテ取付→15:45黄道光取付き→17:10黄道光1p目フォロー終了→17:50/18:00左方カンテ取付→18:30錫杖沢出合テン場

8月12日(金)
薄田(記)

今回は他会の山口君を加えての錫杖になりました。
8月6日~8日で河合君と甲斐駒・Aフランケ「赤蜘蛛ルート」行って間もない(中2日)ハ-ドスケジュ-ル。
正直赤蜘蛛はアプローチが核心で体力勝負です。昔のクライマーは強かった!!!
お前も片足突っ込んでるでしょうと聞こえてきそうですが(*^ー゜)。
只、天候に恵まれ素晴らしい1週間になりました。
以下、記録
薄田は今回で3回目なので若い(自分も若いつもり)二人にリードを譲りスタ-トです。
写真1_若い2人

新版日本の岩場参照のピッチで1~3P:河合、4~6P:山口、7・8P:薄田が担当。
写真2_河合リード

前回(2、3年前)に登ったときには存在した中間ピンが殆ど抜かれており「カム等」が無いと登れない状況でした。(キャメロット2番以下1セット程度必要。)
その分ピンが無いとルートファインディング能力が問われ、場数慣れしたベテラン諸氏には楽しめるルートに変貌を遂げています。
但し、冬登るには真の実力を問われる厳しいものになるのでは無いでしょうか?
以前あった大量のビレーポイント(リングボルトメイン)は消滅し新たにペッツルのボルトが確保地点に存在します。
写真3_山口リード

ルート中楽しい、これぞ「フリークライミング」言いたいピッチは6p目のバリエーション(リトルウィングライン10b)でここはお勧めです。但しピンは有りません。
写真4_6p目ダイレクトルート

写真5_6p目ダイレクトルート2

現在のクライミング技術からすると容易いのですが高度感も含むあのロケーションの中では雄叫びを上げたいくらい(ちょとオーバー)。
写真6_高度感の中クライミング

コースタイム:
7:50 テント場スタート
8:25/50 取り付き
9:40 2p目終了
10:30 5p目中間
10:45 山口にリードチェンジ
12:40 6p目終了(薄田にリード交代)
13:40 8p目終了
14:00 懸垂下降開始
15:40 取付
16:50 天場
17:40 駐車場

以上

錫杖岳 前衛フェース 左方カンテ

2016年6月4日~5日
赤井、河合(記)

最近、隔週で本チャン行っては報告書いている気がします。今回も週始めに、日程の合った赤井さんと相談。今回は錫杖岳に行くことになりました。河合の狙いは左方カンテ、赤井さんの狙いは3ルンゼということで、混みそうな左方カンテを土曜、3ルンゼを日曜に登ることにしました。

6/3
都内某所22:00集合。一路新穂高温泉へ。駐車場には似たような人達が次々と来ました。

6/4 晴れのち曇り
6:00に起きたら、周りのパーティーはほとんど出発した後でした。寝過ぎたかな。左方カンテは人気ルートだし、ひとしきり皆さんが取付いた後行けばいいでしょということで、まったり出発。
1時間位で錫杖沢出合のテン場に着いてびっくり。テントが一張しかない!みんな別の所で泊まってるのかな。ここから歩いて30分ちょっとで左方カンテ取付に到着。さすがに先行パーティあり。話では上にもう1パーティいるとのことで、今日は3パーティのようです。

1P目:Ⅲ(リード:河合)
このルートは残置がほとんどない、ということで、初っ端から残置ゼロ。でも立木あるし、Ⅲ級なので気にはなりません。ルンゼを直上、先行Pの使っていた支点の下の立木でピッチを切りました。初っ端からビレイはハンギング気味(ちゃんとテラスにビレイ点ありますが混んでると使えないです)。
終了点からは黄道光1P目5.11aのペツルボルトがよく見えました。
錫杖_20160604 写真2
2P目:Ⅳ(リード:赤井)
引き続きルンゼを登ります。傾斜が立ってきました。このピッチも残置なかったと思いますが、クラックが随所にあるのでプロテクション取るには充分。
錫杖_20160604 写真3
3P目:Ⅴ(リード:河合)
ピナクル登ってスラブ右上→小ハング→右上という感じでした。ピナクル登ってから小ハングまでに細いクラックが走っていてカム使えました。小ハングはカム使えないような細いクラックに、ハーケンが2つくらい埋まっていましたが使える代物ではなく無視。スタンスは豊富でホールドもガバ、岩も硬いので思い切って行けます。スラブを左に行くクラックが走っていてそちらも登れそうでしたが、多分外れ。
錫杖_20160604 写真4
4P目:Ⅱ(リード:赤井)
チムニー入口までの歩きピッチ。15m位。一瞬で終了。黄道光サンシャインクラック5.11cが見えていて、超かっこいいです。これは惚れる!
錫杖_20160604 写真5
5P目:Ⅳ(リード:河合)
易しいチムニー。チムニー内にクラックが結構走っていて支点は取りやすいです。一個、古そうな残置カムがありました。このピッチ、フォローはザックを股下に吊るして登ったそうです。
錫杖_20160604 写真6
6P目:Ⅳ+(リード:赤井)
左フェースを登ってそのままテラスまで。出だしは珍しく残置ハーケン(今日初めて?)ありました。最初のレッジまでまともなプロテクションがほぼ取れませんが、基本はガバでスタンスも豊富なので手順間違えなければ大丈夫。
錫杖_20160604 写真7
7P目:Ⅴ+(リード:河合)
左方カンテの核心ピッチみたいです。出だしのチムニー突破はワンムーブが結構悪いですが、出だし1ピン目にペツル打ってあるので多少気休めになります。(落ちればグラウンドの可能性高いですが・・・)行けそうだったのでフリーで登りました。最初のチョックストーン越えてからはチムニー→左壁乗越→カンテ。チムニーはクラック結構ありキャメ#0.5が残置されていたほか、ハーケンも打ってありました。ここもフォローは股下ザック登攀となり、大変だったようです。
錫杖_20160604 写真8

錫杖_20160604 写真9
8P目:Ⅳ+(リード:赤井)
注文の多い料理店と共通パートで、結構順番待ちがありました。人気ルートが2つ重なっているので、仕方ありません。フェースですがちゃんとプロテクションきめられる場所があります。上部は灌木帯の間のフェースを登りますが、懸垂下降時ロープが引っかかりやすいので要注意です。
錫杖_20160604 写真10
9P目(Ⅲ)は藪歩きっぽいので省略、というのは建前で、赤井さんも河合も錫杖沢に残置したビール回収の誘惑に負けたという説が濃厚。一応オールフリーで登れました。
下降は注文側を4ピッチ懸垂下降。油断していたら8P目の灌木帯でロープが引っかかり、後ろの懸垂パーティに取って頂きました。危うくもう一回8ピッチ目登るところでした。先行パーティが同じ目に遭っていたのを助けたばかりなのに、自分達もやっちまって反省。
足早に下山してビールにありつきました。何で登った後のビールはこんなに旨いんだろうか。雲行き怪しく、明日も登れるのかな?

6/5 小雨→曇り
夜中に雨音がしたような気がしていましたが、「気のせいのはず・・・」と知らんぷり。ささっと3ルンゼ登って午前中の下山を目論んでいましたが、4:00起きしてテントの入口を開けて、「あっ、ダメだ。」雨は降っていないものの結構濡れていて、登る気起きず撤退。朝から温泉浸かっていたら日が差してきたので転戦を画策しましたが、頼みの太刀岡山目指して山梨県入ったら本降りに…諦めてまっすぐ帰宅となりました。赤井さん、3ルンゼ登れずごめんなさい。

左方カンテは人気ルートなので順番待ちがそこそこありましたが、岩が硬くとても快適でした。ここに慣れてしまうと一ノ倉沢行けなくなってしまいそう・・・残置は噂のとおりほとんどなく(見落としもあると思いますが、ほんと少ないです)、確実にプロテクションを取れる技術ないと危ないかと。錫杖、もっと近ければいいんだけどなぁ。

コースタイム:
6:50登山口→7:55/8:20錫杖沢出合→8:55/9:30左方カンテ取付→14:05 8P目フォロー終了→15:05/15注文取付→15:25/45左方カンテ取付→16:10錫杖沢出合

持っていったナチュプロ
キャメロッ#ト0.3~2、エイリアン青と緑、BDストッパー#4~8

錫杖岳 前衛フェース左方カンテルート

2007年2月24日~25日
向畑(記)、長門

3月24日

3時頃新穂高に到着、駐車場で1時間ほど仮眠の後、5時頃より歩き始める。

雪は少なく、最初のうちは登山道が出ている。

8時頃取り付きに到着、8時30分頃より上り始める。

天候は雪。

すぐ止むだろうと思っていたが、結局この日は1日中降っていた。

1ピッチ目、長門リード、ルンゼ状の雪壁30メートルほど。

ツルベで登る。

2ピッチ目、フリーと人工、セカンドはザックを担いでのドライツーリング。

3ピッチ目、出だしをフリーで行くが、すぐに傾斜が出てきたので数回の人工を交え、緩傾斜よりフリー。

4ピッチ目、氷の詰まったチムニー。

狭くてアックスがふれず、下部は10㎝スクリューとアイスフックの人工。

5ピッチ目、右の凹にベルグラがあり登れそうだったが、かなり薄かったので、正面の壁よりフリーと人工。

トポの6ピッチ目もロープを伸ばし、大テラスへ。

6ピッチ目、チムニーから左壁を直上。

向畑はこのピッチでランナウトに耐えられず、十数年ぶりにチョンボ棒を出す。

長門がフォローで上がってきたら暗くなってしまったので、フィックスして下のテラスでビバーク。

行動終了は18時30分頃かな。

壁に新雪が付き、払わないとルートがよくわからないため時間がかかった。

後続の奈良から来られたソロのおじさん(失礼)が結構早く、ところどころで待たせてしまって申し訳なかった。

3月25日

5時頃起床、6時30分頃よりユマーリング開始。

7ピッチ目、草付きダブルアックスで、快適に登る。

8ピッチ目、簡単なリッジを経て、P2のピーク(多分)が見える尾根上の雪原に出て、満足して下降。

終了9時頃かな。

同ルート下降で取り付き着11時頃。

新穂高着13時頃。

駐車場でビールを飲んだためその後の記憶がなく、気が付いたら松本ICから高速に乗るところだった。

 

錫杖岳 左方カンテ・1ルンゼ

2002年8月22日から2日間
石田、大滝(記)


アプローチ短く、岩小屋は沢で水が取れて快適。

岩は明るくしっかりしている。

焚き火が出来て無料温泉もある。

3回目だがもっと行きたい。

8月22日

槍見温泉対岸の無料駐車場は舗装されていて快適。

ヘリポートが併設されて居る。

7:45発 9:40岩小屋10:15左方カンテ取り付き。

石田君は、登る力はあるがルートファインディングの力は分からないので大滝が全てリード。1、2P目、おおまかな岩をぐいぐいと登って行く。

3P目は初めての時はアブミに乗ったが、今回はアブミを出しはしたが、A0風にしてホールドの形状を確かめながら登った。

被り気味だがホールドは大きい。

石田君はフリーで登ってきた。

流石に上手だ。

5P目のチムニーでは、ザックを股の下にぶら下げて登ると背中が空いて楽になる事を教えた。

その上のフェースは綺麗な素晴らしい壁。

バランスクライムの格好の練習場だ。

7P目の出だしのオフウィズスはやはり嫌らしいが短いので何とかなる。

その上のフェースは前回恐かったが、今回は全然恐くなかった。

ルートを覚えたせいだろうか。

高度感も出て気持ちいい。

13:30終了 同ルート下降。

15:00取付きに戻る。

このルートはロープの回収時に気をつけなければいけない。

7P目の回収時にゆっくりと引いたにもかかわらず引っ掛かった。

石田君が少し登り返して回収した。

3P目の懸垂では、降り立った反対側にピナクルがあるので勢い余ったロープがピナクル側まで行ってしまい易い。

実際、回収不能になったロープが5m位の長さで残されていた。

我々はすごくゆっくりと引いたのでクリアー出来た。

そのロープを回収して岩小屋に渡して、ツェルトをぴんと張った。

8月23日

6:40 1ルンゼ取り付き。

ここは出だしから立っているので恐い。

シュリンゲがあちこちぶら下がっているのでつい握ってしまう。

本番だからいいやと自分をごまかす。

3P分緊張すると、大テラスに着く。

5P目はルートが分かり難い。

中央より登り始めて右上し、その後、左上して行く。

ランニングを長くした方が良い。

6P目は素直にアブミを出す。

ハーケンの効きを確かめながら静かに加重してゆく。

リードで落ちたら抜けると思われるハーケンが何箇所かある。

前回、上部でカンテ左のフェースに行ったが、ルンゼを直上出来ないものかと少し登って見たが、びしょびしょ濡れ濡れで、残置ハーケンは在るがとても登れたものではない。

正規ルートに戻り、快適なフェースを進む。

このピッチは好きだ。

最終ピッチは開脚で登る広いチムニー。

その後、右に岩は堅いが恐いトラバースをすると広い横断バンドに出て終わり。

11:30同ルート下降で12:40取り付きに戻る。

今回、石田くんのロープが8.3ミリだった。

懸垂下降時、空中になるとすべりが良すぎて辛かった。

細いロープの時はグローブをはめた方が良いかも知れない。

 

錫杖岳 前衛フェース北沢側フランケ しあわせ未満

2002年6月1日から2日間
倉田、中嶋(記)


府中本町に夜8時に集合して、なんと錫杖には12時前に到着した。

駐車場のエスティマの中でシュラフに入る。

5:30起きで6時半頃出発。

他にも3~4パーティはいて、結構この時期は込み合うようだ。

重荷で疲れるが、天気も良いし気持ちがいい。

「しあわせ」のある北沢フランケには雪渓がたっぷりあって、取り付きまでで手間がかかってしまう。

倉田さんにロープを着けて先行してもらい、雪渓から壁に取り付いて一段上がったところに残置ピンがありそこでビレー。

1ピッチ目 中嶋 ビレー点からはどう見ても50mで足りそうなので、トポの2ピッチ分をまとめてリード。

もともとエイドのピッチだったのがすぐにフリー化されていて5.10c。

クラックの中がややイレギュラーでカムが少し決めづらかったが、なんとかオンサイト。

クラックからちょっと離れてフェースを利用したりするところがやや恐い。

2ピッチ目 倉田さんがこのピッチをやりたいというのがルートを選んだ理由。

大きくハングしたなかのリス~クラックを拾っていくAA2+、やはり迫力がある。

なんとこのピッチのリードにゆうに3時間かかっていた。

マイクロナッツを決めづらそうにしていたが、結局ネイリングで越えなければならないところが多かったようだ。

フックにのっていたりもして、実に恐い。

果敢に挑む倉田さんはすごいと思った。

でも物落とさないように注意ですね。

3ピッチ目 中嶋 これもトポでは2ピッチ分に分かれているが、どう考えても続けてしまって問題ない。傾斜も微妙で、岩が安定していなかったから恐かったけど、かなりの程度までフリーでいけると思う。

ほとんどカムで、2回ほど大き目のナッツ。

架け替えや間引きも多用してなんとかギアを足らせた。

ブッシュに突っ込んで終了。

岩がいずれ安定して、さらにクラックの泥を掃除すればフリー化は問題なさそう。

2ピッチ目のラインを変えてオールフリーになればかっこいいいな。

4ピッチ目 倉田 ほとんど草つき。

左方カンテの最終ピッチのビレー点で終了。

左方カンテを5回の懸垂下降で取り付きまで。

クリヤ谷に張ったテントでビールを飲みながらおいしい夕食。

テン場はクリヤ谷がベストかも。

それより上はアプローチが悪い。

夜9時過ぎに寝る頃までは星が見えていたが、何時かわからないけどすごい雷雨になって、結局翌日は岩が乾かないだろうということでそのまま下山。

快晴のなか露天風呂に入り、道の駅で飛騨牛の串焼き食べて帰京した。

帰りも5時間かからず、意外と近い山だなあというのが感想。