鹿島槍ヶ岳東尾根

2018年4月21日~4月22日
赤井、谷水(記)

2日間ともお天気良すぎて、まるで夏山のように暑い山行になりました。
1日目は7時出発。一ノ沢の頭まではブッシュが頻繁に出てきて非常に歩きづらかったです。ニノ沢の頭でテント設営。計5グループが集結し、テント村となりました。誰も第一岩峰基部まで行かず、気温が高すぎて雪が腐っている状況では危ないと判断。14時頃から赤井さんは持参のビールとウイスキーで、私はジュースで乾杯し1日目終了。特に危険箇所なしでした。
2日目は4時出発。最後から2番目となり、第一岩峰で1時間待ち。生ぬるい風が時折吹くくらいで、ちっとも寒くない。快適ですが、この後の雪が気になる。最後尾で雪は階段状になっていました。

第二岩峰で30分待ち。暑い!水がどんどん減っていくので、雪を水ボトルに入れて太陽光で溶かします。冷たくておいしい!赤井さんにリードしてもい、自分もチョックストーンをなんとか越えて、東尾根の山場は無事終了。

12時に鹿島槍南峰に到着、大休憩をとります。剱岳周辺はまだ白かったですが、南峰から雨池山荘までは夏道が露出しており、ノーアイゼンで下ります。赤岩尾根から下っていくも、西沢で早く下山したい誘惑に誘われ、沢下山。途中、爺ヶ岳東尾根側の沢から雪崩がありましたが無事下山終了。駐車場に戻ったのは16時30分でした。
暑かったですが、富士山まで見えて気持ちのいい山行でした。

鹿島槍ヶ岳 天狗尾根

2017年5月3日~5月4日
赤井、川端(記)、小渕

当初は北壁主稜を計画しましたが山の状態などから天狗尾根に計画変更しました。
計画では1日目:天狗ノ鼻、2日目:北壁主稜→天狗ノ鼻で宴会、3日目:下山。のつもりでしたので無駄に多い酒類とつまみを持ったことを後悔しました。

5月3日(水)晴れ 微風
前夜に大谷原に着きましたが駐車場は満車ちかく埋まっていました。
6:00出発。晴れて気温が上がる予報。


取水堰堤を越えると何度か渡渉がありました。飛び石を失敗し右足水没。冬なら凍傷になるところでした。


出合から荒沢に少し入った右側(左岸)に赤布発見。そのあたりから適当に藪こぎで登り天狗尾根に上がります。このあたりはほとんど雪がありません。


しばらく登ってアイゼンを装着。雪が腐って歩きにくい。このあたりからペースが落ち足が前に出ない。


両サイドから雪崩のサウンドを聞きながら天狗ノ鼻を目指します。
ドデカい雪崩(写真の左より)も目撃し明日の行動はテントで話し合う事を決める。


雪の状態が悪かったのでロープを出したところもありました。


ヘロヘロで天狗ノ鼻に到着。私たち以外にテントが2張り。天気は最高。良すぎるから明日が心配。
明日の行動を話し合った結果、北壁は諦め天狗尾根を登り赤岩尾根下山を決める。


5月4日(木)快晴 微風
前日より雲が少なく日差しがキツそうな朝。3パーティー中、最後で6:00出発。


7時過ぎからあちこちで雪崩。当初の予定でカクネ里を行く予定でしたが上から状態を見て計画を変更し本当に良かったと感じた。


曇ることなく容赦ない日差しの中で昨日の疲労が堪える。
気温も昨日より高く感じた。
雪の状態が悪くステップを切るが崩れる。ロープをところどころで出すため渋滞もおきる。


この時期の鹿島槍は初めてで、いろいろな記録を拝見しましたが今回は雪が多いのではと感じた。


6時間以上かけ北峰。山頂標識は埋もれていました。


下山途中、冷池山荘でのもう一泊の誘惑を振り切り赤岩尾根を忠実に下りました。
西俣出合からヘッデンに。


あんなに連発する雪崩を目の当たりにし状況判断などなど勉強になりました。
北壁をいけば天狗尾根を下り天狗ノ鼻(BC)に戻るので、今回は下見ができたことからいい経験になったと感じました。

鹿島槍ヶ岳 ダイレクト尾根

2017年4月23日
薄田、川上(記)

薄田さんは1泊2日で会社がらみの出張(旅行?)。土曜夜に帰ってきてそのまま鹿島槍に向かうという強行軍(その姿勢、見習いたい)。午後9時半に埼玉を出発したものの、高速道路の工事渋滞で時間ロスし、大町に着いたのは、午前3時前だった。1時間半だけ寝て、大谷原へ出発。午前6時頃に歩き始めた。

薄田さんは2年前にダイレクト尾根に取り付こうとして、間違えて鎌尾根を登ってしまったことがあるそうで、「今度は間違えられない」と気合が入っていた。鹿島槍南峰をはるか上に望む北俣本谷の下の方は、すごいデブリの量だった。2人して地図と見比べて念入りにルートを確認。

念入りにルート確認

目の前の急なルンゼがダイレクト尾根の取り付きだと確信する。登っていくと、だんだん傾斜を増してくる。日が高くなり、雪が腐ってくると、足が沈み込んで歩きにくくなった。

北俣本谷の急なルンゼを登る

傾斜は、谷川岳の一ノ沢を詰める感じに近い。滝のかかった岩壁が目の前に見えてくると、左に巻いて岩混じりのルンゼ状を登ろうか、と話し合ったが、そのルンゼ状から、崩落したこぶし大の岩がごろごろと落ちてきたのが見えたので、右へトラバースし、尾根状になっている潅木混じりの雪壁を登ることにした。と、降りてくるスキーヤーが見える。よくこんな急斜面を下るもんだ、と感心した。

急斜面を下るスキーヤー

ここでアンザイレン。スノーバー2本突っ込んでセルフビレイ。
1P目、薄田さんリード
潅木などにランナーをとりながら、慎重に進んでいく。雪壁の高さは10メートルくらいか、雪稜に抜けて、60メートルロープいっぱいのところまでいく。

1p目核心に向かう薄田さん

私の番。さほど難しくないが、腐った雪壁の処理に手こずる。と、慎重に雪を踏み固めてフットホールドを作ったつもりが、下が空洞になっていて抜けた。微妙にテンションかかってしまったが1メートルくらい下に地面があり、立てたので、ロープなくても大丈夫だった、・・・と私は思うのだが、(薄田さんは「テンションかけたんだから、ロープのおかげ」と言っていた)ちょっと悔しい。

1p目雪稜に出る川上

実質、ここでロープいりそうな登りは終了したが、一応そのままスタカットで2ピッチ伸ばした。ロープをしまい、頂上直下の登りで午後3時。
山頂を踏むと遅くなりそうだったので、そのまま左に巻いて、赤岩尾根への下山路を目指す。稜線上の一般道に乗ったところで、握手を交わした。最高の景色。「これだから春山はやめられねえんだよな」と薄田さん。
さすがの強行軍で疲れがあるのか、薄田さんのペースが落ちる。冷乗越で休憩し、ダイレクト尾根を見やると、ものすごく急な斜面に見える。80度~85度位はありそうだ(多分そんなにないけど、そう見える)。

冷乗越で休憩
山頂に突き上げる中央の尾根と左のルンゼを登った

私「なかなかかっこいいですね」。
薄田さん「確かにね。でも見た目のカッコよさに比べて、ちょっと物足りなかったな。もう少し内容あると思っていたんだけどな」。確かに。その先、赤岩尾根序盤の滑ったらやばいトラバースは、薄田さんは、安定して素早く通り越していた。私もそのトレースに続くが、少し緊張。尾根は忠実に辿らず、途中で西沢に降りて、大谷原に午後7時半到着。疲れたが、やっぱり今回も楽しかった。

私としては、もっと雪が腐った春山の経験をたくさん積む必要があると実感した。また、よろしくお願いします。

鹿島槍ヶ岳 大冷沢 ダイレクト尾根

2005年4月5日から2日間
大滝(記)、森広


4月5日

朝、東京を車で出発し15:00に大谷原に着く。大町の町中には除雪の雪溜まりがまだ残っていた。大谷原は橋まで除雪してあった。

それ以外は1m位も積雪がある。見晴るかす山は真白だ。スキーを着け15:30歩き出す。

20℃。

快晴。

西俣出合16:45テント設営。

何と冷尾根側に氷が見える。下部は氷が無いので登れはしないが、5mくらいのが二つ繋がっている。

4月なのにこんな所に氷が有る事に驚く。西俣に少しだけ雪面が開いて居る所があったので水が汲めた。翌朝は早いのでスーパーの弁当を食べてすぐに寝た。

夜中にスキーを着けた単独の人がテントの傍を過ぎて行った。目指すのは鎌尾根かダイレクト尾根か。

4月6日

3:00起床。

寝ていて寒くなかった。外に出て見ると雪が柔らかく潜る。

冷えて雪面が締まって欲しいのに雪崩が心配だ。天気はいいので行くしかない。

4:15出発。

6℃。

夜中の先行者はスキーを履いたまま進んで居る。鎌尾根を下りられなかった場合赤岩尾根からスキーを取りに戻るのが大変なので、我々は置いて行った。しかし、一歩一歩潜る。時間と体力を使う。ゴルジュ手前から明るくなる。

ダイレクト尾根取付きにスキーがデポしてあった。先行者はダイレクト尾根を登り、鎌尾根を下降する予定らしい。

鎌尾根右側面奥に何と氷があった。

染み出しが凍ったような様子だ。幅15m、高さ50m位あるように見える。垂直で表面が凸凹に見える。難しそうだが、登攀意欲が湧いて来る。登り終わったら左にトラバースして鎌尾根に行けそうだ。今後考えよう。

ゴルジュが終わると傾斜が増して来る。雪面も漸く堅くなってきたのでアイゼンを着ける。ダイレクト尾根は明瞭だ。下部は段差が激しいので取付きは左のルンゼから入る。

気温が高くなりチリ雪崩が落ち始めた。暫く登ると右にすっきりとした斜面が現れたのでルンゼと分かれ登る。これで雪崩は関係無い。尾根上に出ると北俣本谷、右俣、左俣、北峰が良く見える。あまりの暑さにヘルメットの中に雪を入れて登る。第一岩峰に着く。

先行していた森広さんはピッケル1本だけだったので急な雪面を処理出来ないで居た。

私はダブルアックスだったので交替して7m位胸の前の雪を落としてアックスを深く刺して登って行った。傾斜が緩んだ所でロープを出して居たら、トレースされて登り易くなった斜面を森広さんは「大丈夫です。」と言って登って来た。

第二岩峰に着く。

岩峰の形状はしていない。ブッシュがあり、右に廻り込むと良さそうだ。急だがロープを出さずに行く。ブッシュを掴みながらトラバースして行って見えないルンゼに着くと傾斜がそれ程きつくない斜面に出た。快適に15m位登高すると南峰直下の広い斜面に出た。12:00終了。

剣岳の勇姿が眼前に繰り広げられる。疲れが吹っ飛ぶ。

強風の為ヤッケを着て先行者のアイゼンの跡を追うが何処で鎌尾根に下りたか分からない。

雪庇ごと落ちたくないので赤岩尾根経由で降りる事にした。冷小屋では除雪を始めていた。

14:00赤岩尾根下降点。

トレースのない斜面を慎重に下降して行く。

いつものように西俣上部より西俣を下降した。

シリセードを楽しみたかったが、雪が腐っていて少ししか出来なかった。テント場15:40。

大谷原17:10。

 

北アルプス 鹿島槍ヶ岳 天狗尾根(北壁敗退)

2003年4月14日から3日間
森広、大滝(記)


4月14日

大谷原8:10発 晴 9℃
辺り一面雪原。クロカンしたら楽しそう。

大川沢を遡るが、途中、大高巻きを1回余儀なくされた。

9:50吊橋を渡る。

大分傾いて来ている。その先の取水口を渡った所で渡渉箇所が現れた。

うだうだと悩んだが、意を決して一番安全そうな地点を見極めて裸足になって渡った。

大滝で膝上、森広は腿の付け根まで潜った。幅は8m程。

天狗尾根に取付くが、雪が締まっておらず1歩1歩、ずぼっずぼっと潜ってしまい、疲れるし時間は浪費するしで捗らない。4月中旬ならばもっと締まっていて欲しい。

上部では、雪の亀裂が前傾壁になっており正面からは越えられない為、右の急斜面から廻りこんだ所が2ヶ所あった。

これじゃあ、帰りも怖い。ロープ無しではとても降りる気になれないし、懸垂の支点も無い。

当然、天狗の鼻まで行けるものと思っていたら、手前の2120mピークで5:20になっていた。こんな遅々としたスピードでしか進めなければ、天狗の鼻は夜になってしまう。

それは危険だ。でも、ここで泊まれば時間的に北壁はもう登れない。心なしか、北壁の雪が少なく見える。

雪質もこの高さでぐさぐさだから北壁も同じかも知れない。しばし悩んだが、ここで幕営とした。北壁は又の機会だ。

 

4月15日

5時起床 3℃ 6:40発 高曇り

第二クーロアールもぐずぐず雪で、足を蹴り込んでも5、6回目でやっと決まる有り様。

雪の蟻地獄か。

8:30天狗の鼻。

なんと、2時間もかかった。

こんな亀さん状態では、天狗尾根さえ抜けられるか心配になってきた。

北壁をカメラに収め進む。

大きい雪庇が幾つも出来ている。

前傾している雪壁が現れる。

左はかなり切り立っているが何とか越えられるかも知れないが、下がすっぱり切れている。

右は、きのこ雪の下をくぐらなければならない。

しかも廻りこんだ先の様子は分からない。

暫し逡巡していたら、下の森広さんが、ロープを出そうと言う。

少しクライムダウンして、アンザイレンする。

右のきのこ雪が崩壊する確立は殆ど無いのでくぐることにする。

潜ったあとは安定した斜面だった。

スタンディングアックスビレイで確保。

11:46 岩場に達しアンザイレンする。

1ピッチ目は残置ハーケン2本、木の根1箇所でランニングを採る。

2ピッチ目はハーケン2本。

難しくは無いが、荷が重いのでゆっくり登る。

ガスがかかり視界が無くなって来た。

こんな高い所なのに、まだ潜る。

13:50 やっとジャンクションピークに着いた。

流石にここまで来ると、雪は締まっている。

快適に歩いて北峰。

両側がすっぱり切れていてアルプス的だ。ガスで何も見えない。

地図で方向を確認して、南峰へ向かう。

15:20南峰。

冷池小屋に向かって下るが、ガスの切れ目から、剣の山並みが現れ、喜ぶ。

ガスの綾織が牛首尾根の雪面を幻想的に美しくしている。

丸々太った雷鳥が、十羽ほど姿を見せた。

巨大なクレバスがあり、縁から10mほどの所に亀裂があった。

まるで白いビルディングが山の縁から引き離されそうな様子に見える。

17:13 冷池小屋。

小屋は殆ど埋まっている。

テントを張る位置を考えたが、森広さんが、山の縁から離れてもっと小屋側にしましょうと言う。

やはり巨大クレバスにおののいたようだ。

 

4月16日

4:00起床 快晴 6:10発 -3℃
一面雪山の美景。

剣岳、爺ヶ岳、鹿島槍、ヤッホー。

赤岩尾根の上部は朝の冷え込みで締まっている。慎重にゆっくり通過し、最近のパターンである、西沢下降を選ぶ。

暫くは、壁側に向かって下り、急なデブリの跡を延々と下る。

下部の安全地帯でゆっくり休み、大谷原10:00着。

 

鹿島槍ヶ岳 天狗尾根

2002年4月13日から2日間
倉田、三好、朱宮、宮川、柴田(記)


昨年もこのルートを目指したのだがその時は井上さんの調子が悪く第1クーロアール辺りでリタイヤだった。

で、しつこくそのリターンマッチ。

今年はメンバーも5人に増えた。

倉田さんは納車したてのエスティマで夜の中央道をカッ飛ばし(ところどころで150キロオーバー)八王子から3時間ほどで大谷原に着く。

途中疲れたら運転交代するよ、と言っていたのだが結局最後まで彼女一人で運転。

あとから聞いたら「交代されると大谷原に着くのが遅くなると思った」との事。

お嫁に来た日からコキ使われているようなエスティマにちょっぴり同情。

これからも倉田さんにブン回される事でしょう。

朝5時に起きて6時に出発。

林道をまっすぐ進んでいたら右への分岐をみっちょんに指摘される。

さっぱり覚えていなかったが発電所の取入口でようやく昨年の記憶が蘇る。

昨年は荒沢出合まで雪の上を歩けたのだが今年は発電所のすぐ先で雪が切れ渡渉となる。

先行の2人組はパンツ姿で渡っていた。

我々も覚悟を決めて宮川さんを先頭に渡渉開始。

明星山の小滝川で流されかけた実績を持つ倉田さんと小柄なみっちょんは本気顔で渡っていた。

(下山後に聞くとここが今回の山行の核心だったとのことでした。)

何とか全員無事渡渉を終えヤレヤレである。

冷たさでしびれた足をプラブーツに戻ししばらく歩くと荒沢出合だが、昨年快適に登った出合の尾根筋はすっかり雪が落ちて藪になっているのでしばらく荒沢を進み登りやすそうな斜面を選んで尾根に上がる。

最悪ヤブコギ数時間かと覚悟したが、数十分であっさりと藪は終り尾根上のトレースに出た。

尾根上は固めの雪が残っており割と楽チンに高度を稼ぐ。

対岸の東尾根が次第に開けて来て南俣尾根や荒沢尾根が良く見えるようになる。

風もなく暑いので柴田はシャツ1枚になって登っていたら途中から日が翳り雪が降ってきた。

第1クーロアール手前でアイゼンをつけるがザクザクした雪にキックステップが効く事が多かったのでロープは特に出さずアックスもシングルのままで第1・第2クーロアールとも通過。

第2クーロアールを越えると天狗の鼻の一角で荒沢の頭から北壁がかっこいい姿を現し暫し見とれる。

まだ12時で時間的には早いが大分雪も本格的になってきたので天狗のコルまで降りたところで雪面を整地して倉田・宮川組と三好・朱宮・柴田組に分かれて幕とする。

幕を張ってもやる事が無いので1本だけ持ってきたビールを回し飲みしたあとは「山岳しりとり」をして過ごした。

「け」と「る」で終わる事がやたら多かった気がする。

てな事をしているうちに天候はすっかり悪化し時折強く吹雪いている。

まあ翌日は良くなると聞いていたのでそれほど心配しなかったが就寝前のトイレもタイミングを見てゆかないと雪まみれになる程だった。

尚、夕食は宮川さん担当の「半熟卵入りレトルトカレー」

だったがなかなか美味でございました。

翌日は3時過ぎに起きて5時に出発。

左手のリッジ沿いに進むがⅢ程度の岩で一度だけロープを出した。

倉田さんがリードしみっちょん・朱宮さんはアッセンダーで登り最後に宮川さんと柴田がフォローする。

ここを過ぎると荒沢の頭まで展望が開け、気持ちの良いリッジを越えて荒沢の頭に着く。

東尾根にも数パーティいたが我々の方が先に着いたので北峰までの新雪のリッジは我々がトレースを刻む事が出来た。

みっちょんラッセルお疲れさま。

北峰着7時45分。

剣岳があちら側に浮かんでいるのが見える。

のんびりしたい所だが飛ばされそうなくらい風が強いのでほとんど休む事なく南峰を目指す。

南峰でも相変わらず風が強いので写真を撮り終えるとすぐに下降にかかり布引山を過ぎ冷小屋の手前の樹林帯脇でようやく休みレーションなどを食す。

途中鎌尾根を下るパーティがいた。

ここから先赤岩尾根分岐までは足が潜る上に、アイゼンがすぐ団子になり結構消耗。

赤岩尾根の分岐で斜面をトラバースするところもアイゼンがすぐ団子になるので往生した。

少しだけ赤岩尾根を下ったところで右手の西沢の斜面をのぞきこむと何とか降りられそうだったのでアイゼンを外して西沢へ下る事とした。

休憩中携帯が通じるかな、と在京の瀧島さんに電話したらちゃんと通じた。

西沢への下降は最初は後ろ向きで下り斜度が落ちたあたりからはシリセードで「イヤッホー!」と一気に斜面を下る。

上を見上げるとみんな喜色満面で滑り落ちてくる。

歩きとシリセードを交え1時間足らずで北俣本谷と西沢の出合まで下った。

疲れているときには拷問のように思える赤岩尾根を下らずにすんで良かった良かったである。

北俣出合から大谷原までは林道を1時間ほど。

所々荒れていたが雪解け水の流れる音は軽やかで春の息吹が感じられ何となく気持ちいい道のりだった。

帰路薬師の湯でさっぱりして中央道を東京に向かって戻る。

嫁入りしたてのエスティマを気遣い私は130キロ程しか出しませんでした。

【タイム】
4月13日 大谷原 6:00→ 第1クーロアール10:00→ 天狗の鼻12:00 → 天狗のコル 12:15

4月14日 天狗のコル 5:05 → 北峰 7:45 → 南峰 8:20 → 赤岩尾根より西沢に下る 11:00 →
北俣谷出合 12:00 → 大谷原 13:15

 

北アルプス 鹿島槍ヶ岳東尾根

1999年11月20~21日
小谷、椛島、三好(記)

11月20日(土)

晴れ

車の中で仮眠をとり、5:30頃起きる。

思ったほど寒くない。

6:10には出発

雪が少なかったらということで、水は担ぎ上げる。

東尾根には先行する二人組パーティがいて、すぐ追い越すが、赤布を大量につけながら歩いていた。

高度を上げてゆくと、少しずつ雪が増える

大体30~40cmくらいといったところ。

ヤブは濃くないが、雪が締まってないので、これ以上積もっていたら歩きにくいだろうな。

12:00には二ノ沢の頭に到着。

中途半端だが、ここでテントを張る事にする。

無風、快晴、

周りは全て一望できる

なんと、外で宴会を行うことになる。

春山みたいで気分がいい。

こんなんでいいのかなぁ。

まぁいいか。

しかし、カバ君のパワーには恐れ入る。

ビール3本、ワインのボトル、日本酒の1リットルパック。

これだけ出てくると何も言えない。

幸せ。

11月21日(日)

雪のち晴れ

4:00に起床。

雪が降り、風も多少出ているが、気温はやはりそれほど低くない。

6:00には歩き出し。

急登が続き、いきなりバテそうになる。

トレーニングしないとなぁ、と思いながら必死に進む。

途中で岩も出てくるのでアイゼン装着

7:30に第一岩峰取り付き

右、氷柱が中途半端にくっ付いている。

真中、岩。

左、岩でも傾斜が緩く、草付きにはアックスが効きそう。

左側に取りつき、2ピッチ、ロープを出して終了

アイゼンで岩って久しぶりなので、ちょっと立ち込むのにも緊張した。

いつのまにか快晴になっている。

第二岩峰はカバ君リードで、2ピッチに切って終了。

結構、傾斜がきつい。

小谷さんはすらすら登って行くが、私はモタモタという感じ。12:30。

14:30には北峰に到着。

聳える剣に目が奪われるが、時間もないことだし、とっとと

下山にかかる

踏み跡があるので、かなり楽だ。

途中、立ち止まると、牛首尾根が長~く、黒部別山が遥か低~く見える。

そして、大タテガビン…。

心臓がバクバクし始める。

振り切るようにして、再び歩き出す。

15:00には南峰を通りすぎ、16:10に冷池山荘。

赤岩尾根の分岐までひと頑張りした後はもう駆け下るだけ。

19:00には大谷原に到着。

しかし、車のトランクに入れていたはずの財布とカードがない!?車上荒らしだ。

バタバタしていたらもう20:00。

だが焼肉まんにはなんとしても入ろうということになり、結局、小谷さんはカバ君宅に収容。

すいません。

今度からは貴重品はちゃんと持ち歩きます。

でも、ショックが大きいと思いきや、それほどでもない。

毎年のように、盗難届や遺失届を出しているので、慣れてきてしまったのだろうか。

ちょっと悲しい…。

 

 

鹿島槍ヶ岳 東尾根第2岩峰南尾根

1999年5月8日
関(記)

今シーズンの雪稜の締めくくりとして、変なところに行ってきましたので報告します。

山域は、鹿島槍ヶ岳の北俣本谷から東尾根につきあげる支稜で、登山大系をめくると、ルートの記述はないものの概念図に第2岩峰南尾根と名付けられています。

昨年杉浦さんとダイレクト尾根を登った時に、対岸になんとなく気になる尾根を見つけてから鹿島槍へのラインとして意識していたものです。

南面の急傾斜の尾根なので雪がだいぶ落ちていましたが、変化に富んでいて充足の山行となりました。

この尾根が完全に雪でコーティングされた時に登ると一層面白いのではないでしょうか。

5月8日

天気予報では快晴を告げていたが起きると雨が降っている。

大気の状態が不安定なのだろうか。

4時の出発予定だったが、雨=中止という考えが染み付いている私にとって雨具を着て出発するという考えはなかなか起きず5時まで車の中でグズグズしていた。

小降りになったところで雨具を着て出発、30分も歩き出すと次第に大町の方から晴れ出して来た。

北俣本谷に入り間もなくすると目指す第2岩峰南尾根が見えてくる。

末端はヤブ壁になって本谷に落ち込んでいる。

一番の弱点となるラインは対岸の鎌尾根の取り付きとほぼ同じ所まで稜がのびており、これをつめてヤブ壁の末端にたどり着く。

(7時)ここでハーネス、アイゼン等を装着する。

尾根に這い上がるまでは密度の濃いヤブの木登りとⅡ,Ⅲ級の岩稜が交互に続く。

急傾斜のヤブに腕は引っかき傷だらけとなり、腕の筋肉も張ってくる。

尾根上に這い上がると、鹿島の主稜線が目に飛び込んできた。

(9時頃)ここからルートは雪稜らしくなり、ナイフリッジの急登が続くが、雪が少ないのでやはりヤブまみれになることとなる。

それでもこの尾根の核心部である下部をぬけたので幾分ほっとしていた。

上部に行くに従い雪も増え、途中に5~10mの小ギャップが2箇所ありいずれもクライムダウンとなる。

ここには古い残置シュリンゲがあった。

東尾根を右手に睨み早く合流しないかなと期待しつつひたすら雪壁状の斜面を登ると、1時半頃ようやく東尾根の第2岩峰上に合流した。

北峰に着いたときには疲れきっていたので(2時半)北俣本谷経由で下山すると2時間で大谷原に戻ることが出来た。

下山して薬師の湯に入ると前日はほとんど寝ていないこともあって疲れがドッと出て、ロビーのソファで寝てから帰途についた。

翌日は平松の49日でした。