北ア 西穂高岳西尾根

2015年12月29日~31日
薄田(単独、記)

行程:
12月29日(火)
新穂高ロープウェイ 13:00 Abs: 1,000m ~ 1,700m地点 16:00
12月30日(水)
1,700m地点 5:30 ~ 小岩場前ギャップ 2,550m 14:30
12月31日(木)
2,550m 6:30 ~ ジャンクションピーク 2,750m 9:50 ~
西穂ロープウェー 15:00

今回の年末山行は直前まで行き先を決めなかった。
候補は、西穂高西尾根、西穂高~奥穂高~涸沢岳縦走、摩利支天南山稜。
最後まで迷ったが、結局ロープ不要の(たぶん)本ルートに決定。
単独で車も無いので、松本まで電車。
以降バスなので、スタートが13:00と遅くなった。
穂高平の牧場から尾根へと取り付く。
(実は、牧場内部の立派な木の脇を抜け、しばらく歩いてから取り付くのが正しいらしい。下降はそのライン。)
立派な立木
11月末まで向畑代表と「太刀岡」のフリーに通っていたので、今一体力に不安があったが、結果的に今回北アルプスの3,000m弱(高低差2,000m)のバリエーションルートには、やはりパワーが足りなかった。
淡い期待(コスイとも言う)の一つが、西穂高ロープウェイ隣の尾根なのでトレースも少し有ろうかと思っていたが、期待は打ち砕かれ27・28日の降雪後、私が最初のトレーサーになってしまった。
入山地点の穂高平では10cm程度の積雪も、高度を上げるに従い増えていき、深いところ(吹きだまり等)では「わかん」着用にもかかわらず腰までハマり往生させられる。
さて、ルートの概要であるが、2,000m位までは樹林帯の急登。その後傾斜も落ちて楽になるが、何しろ長い。ワカンを着用するも膝上くらいまでが続きオジサン(?)クライマーには正直応える。
幸いだったのは29、30日共好天に恵まれ、無風快晴であったこと。
くどいが、9時間もラッセルしてると気分が暗く楽じゃない。
14:30、明らかに傾斜が増すので、ギャップ前の樹林帯にテントを張る。
時間が早いのでテント設営後偵察に出かけた。
赤布が切れたところから右か左で少し迷うが、右は先がよく見えないので左に登る。
一ヶ所弱点が有るが、かなりの木登り急登の様子。疲れたので右は翌日にする。
登山体系には「大クーロアールを右手に見て岩場の左手から登る」と有る。
小岩場(登山体系による)は別に小さくなく、立派な岩場で100~150mは有ったと思う。
当日は明るくなるのを待って出発する。
登山体系を信じ、最後のマーキングから岩場の右を巻いて40m程度進むと、左上する雪が乗ったバンドを発見。
赤布は無いが自分のルートファインディングを信じスタート。ここからクライミング感がやっと出てきます。
最初(バンド)は雪壁60度くらい、バンドが終わると這松と岩のミックスとなり更に傾斜が増す。
ふと上を見ると、細い立木にボロボロの赤布を発見。ルートは正解、ちょっと安心。
ここからが核心で80度程度の傾斜が10m程度続く。這松は殆ど雪に埋もれていて、ピッケルで雪を落としながら登るので時間が掛かる。
チラッと下を見ると「ギャップ」が真下に見える。「おお怖」。
この頃から(8:00位)晴れ間が無くなり、行く手のルートが見えなくなる。
おまけに雪まで降ってきた。
それでも取り敢えず目視できるジャンクションピークまでは行こう。
雪は少し絞まって来たが、一部膝下くらいまで沈んでしまう。この段階でこの状況ではかなりヤバイ。
目指せJP
時計を見ると9:30を回った。J/P着が9:50となり、残す高度と西穂からロープウェー迄の時間を見積もると今日中の下山は無理と判断。
只、先程の核心をどうやって下降するか悩んだが、120cm&60cmのシュリンゲを各1本持参したので何とかなると思い直す。あとは「気合い」だけ。
ルンゼ状
慎重にトレースバックすると岩場を下に見て右側にルンゼ状を発見。
気温も高くないので雪崩れないと判断。ルンゼを下降してギャップまで戻った。
その後天場で休んでいると、1人の男性が登ってきた。「もう少し早く来てチョ-ダイ---!」
更に、下降し始めたら男女の2人パーティーが登ってきた。ラッセルの礼を言われる。「ガーン、がーん」である。
「チャンチャン。This is my life 」
お終い。