2000年2月27日
向畑(記)、森広、倉田
「荒船山に行こうかな。」
と誰かに言ったら、アイスクライミングの情報には素早い森広さんから、早速、「一緒に行きましょう。」と誘いの電話が入った。
週末は冷え込みそうな予報だったが、昇天の氷柱は滝と違って染み出しが凍る。
急に冷え込んでも氷柱は形成されていない可能性も高いが、取りあえず出かけてみることにした。
ベースとなる内山峠に上がるのには、ノーマルタイヤのシビックでは非常に不安だったので、多分パートナーにあぶれていそうな倉田さんをだまし、スタッドレスタイヤのマークⅡで行くことにした。
上信越道の下仁田インターから254号をたどり、内山トンネルを抜けてから内山峠に上がった。
登山口の駐車場には23時30分頃着いたが、既に車が1台止まっていてテントが張ってある。
早起きする自信のない我々パーティは、「クライマーならこんなに早く寝るわけがない。」
とか訳のわからないことを寝る前には言い。
翌朝には、当たり前のように男女ペアのパーティが自分たちより早起きして出かけていったが、ヘルメットやロープなどが目に付かなかったので、「もしかしたら普通の登山者かも。」
といった勝手な甘い期待を抱いていた。
しかし、一杯水で追いつくと、先行の2人はしっかりとハーネスを着けて用意を済ませていた。
出遅れた当パーティは6時50分に内山峠を出発、7時40分に一杯水に到着。
ここで一通りの装備を身に付け、余分なものをまとめてザックを1つデポ。
一杯水の看板の裏から艫岩の基部をトラバースし、氷柱取り付きには8時40分に着いた。
先行パーティは既に取り付いていたが、ビレーしている女性をよく見ると、YCCの小柳さんだった。
氷柱の幅は予想通り狭く、落氷直撃の危険があり取り付くかどうか迷ったが、戻って転進するのもめんどうだ。
1段目の上が比較的広く、2段目の入り口は右に回り込む感じになっているのが下から見てもわかる。
先行パーティが2ピッチ目に抜けてしまえば、取りあえず1ピッチ目は登れそうだ。
1ピッチ目、先行が完全に抜けきるまで待ったので、取り付いたのは10時。
スラブ上にたれた幅2m程度の氷から、上部は50cm位のチムニー内の氷へ。
途中、窮屈な体勢でチョックストーンをくぐり抜ける。
立ち木でビレー。
2ピッチ目、出だしのつららが下まで届いていない。
右側の階段状の岩場を2mほど登り、氷に移る。
さらに一段上がると傾斜が落ち、3段目の取り付きへ。
3ピッチ目、ここが核心となっていたが、氷がつながっていない。
しかし、岩の部分に残置があるらしく、先行は果敢にもA0で登っている。
ここで当パーティは、おもむろにザックからアブミを取り出す。
出だしの氷を2mほど登り、氷が途切れたところから岩に移り、ベタ打ちにされているボルトとハーケンをたどる。
残置が途切れたところから、今度は右側の狭いルンゼに詰まった氷に移る。
4段目の取り付きには、ペツルボルト2本の立派なビレーポイントがある。
4ピッチ目、ルンゼに傘のような氷がかかり、行く手をふさいでいる。
傘の天井には穴が開けてあるようで、小柳さんが傘の中に入り、奮戦的なクライミングを続けている。
ラインはルンゼ内の氷をオポジションで登って傘の中にもぐり込み、穴をくぐって傘の上にいったん乗る。
そこから左のかぶった氷を乗っ越すと樹林帯に出て終了。
先行2人が穴を広げ、余分なつららも落としてくれたので割と楽に越えられたが、それでも穴は人間が抜けることができるぎりぎりの大きさしかなく、腰に付けたアブミがつっかえてかなり苦しかった。
終了は16時。
登山道経由で一杯水に戻り、デポを回収後内山峠に戻ったのが17時20分。
国道沿いにある荒船の湯を目差し、峠を下った。