谷川岳 幽ノ沢 V字状岩壁右ルート

2000年10月22日(日曜日)
向畑、倉田、高橋、柴田(記)

タイム:
一ノ倉沢出合5:05 幽の沢5:30 V字右取付7:30終了13:45
中芝新道14:25/14:35 旧道16:00 一ノ倉沢出合17:00

以前から一度行きたいと思っていた幽の沢にようやく行ける事になった。

秋の蒼空の下黄葉に彩られた快適なスラブを登るイメージを描きつつ関越道を北に向かう。

指導センターで山行計画を提出し既提出分をチェックするとV字右が2パーティある。

明日は早く出発せねばと思いつつ一ノ倉沢出合の駐車場に着くが紅葉目当てのカメラマンのせいか既に大賑わいで車を止める場所を探すのに苦労する。

何とか道路わきに駐車し高橋さんとも無事合流、軽く飲んで1時頃寝た。

見上げれば満天の星空で「よしよし、予定通り」である。

翌朝は4時に起き5時過ぎに出発、まだ暗いのでヘッデンをつけて旧道を幽ノ沢出合まで歩くが空は曇天で天気はイマイチの模様。

幽ノ沢出合に着くと2人組が準備をしていた。

我々もここで身支度をして幽ノ沢に入る。

ナメ床や小滝を過ぎると先行した2人組が何故か戻ってきた。

「何やってんだろ、この人たち」

と思いつつ下降する2人組をやり過ごす。

沢が右に回りこむと高差4m程度のナメ滝が現れる。

釜は結構深そうで10月下旬のいま落ちたらなかなか刺激的だろう。

右岸は濡れたスラブでホールドは結構高い位置にありいやらしそうで、左岸はというと立った草付きでナヨナヨした草はホールドにならずこちらも難しそう。

4人であれこれ観察したが結局「展望台経由にしますか」と言う事になりUターンする。

「なーるほど、あの2人組が戻って来たのはこういうことか」

と思っていると2パーティ9人くらいが登ってくるのに出会い、下を向いてやり過ごす。

しばらく戻ってから左岸のルンゼに入り展望台への巻き道を探すが判然としない。

仕方なく本流に戻り再度先ほどのナメ滝の見える所まで戻るとナメ滝上に中年の男女と犬一匹が休んでいる。

ゲゲッ、犬でも登っている、そんなはずはない、とよく見ると右岸の低い位置に細かいホールドが続いていてスリングまで掛かっており、取り付いてみると問題なく滝上に立つ事が出来た。

飼い主によれば「いやぁ、犬はスラブには結構強いですよ。」との事である。

この時は気づかなかったが向畑さんは「犬でも登れるところを登れなかった」事に衝撃を受けていたようである。

(正確に言うと「登れないと思った」なのだが。)

あとは大滝を右岸から快適に登りカールボーデンに着くと紅葉とスラブが素晴らしい景観で中央壁、V字状岩壁がいらっしゃい、と出迎えてくれる。

アプローチ2ピッチはやさしいスラブ、リッジ登りで先行パーティ10人以上が登るのを待って我々もロープを結ぶ。

右股リンネをトラバースするあたりで先行のセカンドが派手に落ちており、迫力を感じつつV字の要に着く。

見上げると10人くらいがファッションショーのように思い思いのスタイルで壁に張り付いている。

中にはどういう訳か懸垂下降をしている人もいてまるでクライミングジムのような混雑ぶりである。

左ルートに転進する事も真面目に検討したが柴田と倉田さんがアブミを持ってきてない事もあって結局計画通り右ルートを登る事にした。

さて、我々はトップが登ったWロープでセカンドとサードがフォローし、サードが引いたバックアップロープでラストが登るパターンをアプローチから終了点まで続けた。

サードがトップの、セカンドがラストの確保を同時にする事で所要時間を節約出来ると言う向畑式計画だったが、前が詰まっていて4人揃っても時間待ちとなる事が多かった。

1、6、7、8ピッチを倉田さん、2、3、4、5ピッチを柴田がリードで登る。

岩は順層でホールドもしっかりしているが時々濡れて滑りやすい。

3ピッチ目の終了点で時間待ちの間に「冬の石楠花尾根の取付きはどの辺りなんですか。」と向畑さんに聞くと「さあ、私は犬も登れるところを登れなかった人間ですから。。。よく分からないです。」との返事。

結構傷ついていたようである。

4ピッチ目を登るあたりからガスが岩肌を舐めだしたのでカッパを着て登りつづける。

最後は笹薮の中の踏み跡を辿って1時45分頃登攀終了。

さすが幽ノ沢でも最も良く登られているルートだけあってピンは充分あるが古くて腐食しているのも結構多い。

また簡単なルートでも濡れているとそれなりに悪くなるのでナメてはいけないと思った。

中芝新道をスタコラと下り黄葉に彩られた旧道を約1時間歩き一ノ倉沢出合に着いた。

トイレ工事は大分進んでいるようだ。

初めての幽の沢は今ひとつの天気だったがカールボーデンの美しさは素晴らしく、今度は新緑の頃にまた来たいと思った。

向畑さん、高橋さん、倉田さん、有難うございました。

また行きましょう。

 

 

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