2018年1月7日
赤井、河合(記)
何・・・だと・・・?
2018年1月7日
赤井、河合(記)
何・・・だと・・・?
先週登れなかった右側壁、赤井さん川上さんが付き合ってくださるということで、6日ぶりに大谷不動。
6:25スキー場スタート。今回は雪カチカチトレースばっちり。1時間程で大谷不動に着きました。この先はトレースがなく、一ノ滝の巻きはアイゼンとアックスでないと危ない感じ。右側壁8:30頃着。
本流二ノ滝は先週より少し薄くなってましたが、右側壁はほぼ変化なし。ゆっくり支度し、9:25登攀開始。今回は河合リードで固定。中央と右端にラインが取れ、右端の方が垂直部短く簡単そうでしたが、敢えて正面突破で中央のラインを選択。
登られた痕はなし。出だし2mで段がありましたが、その後10m位垂直の氷。多少凹凸があるので狙ってアックス打ち込みますが、固い。気温は-10℃と、先週より1℃低い位なのですが・・・すぐ腕も足もパンプ。この垂直部を抜けるのに、スクリューを5本も打ってしまいました。ビビりすぎ。
垂直部を抜け、傾斜の緩い弱点を辿りながら、スクリュー8本、ロープ30mちょっとでビレイによさそうな滝左側へ。ここでポカミス。ビレイ点を構築しフォロービレイ中ふと見上げると、ぶら下がる巨大つらら。これは崩壊したらアウト!幸い右側壁は日が当たらず、気温上昇も鈍かったので良かったですが、上がってきた赤井さんに、支点を右側に再構築してもらいました。ただ、そこも2ピッチ目の落氷ラインで、良い場所ではありません。ビレイ点は右端に作るべきだった・・・上はちゃんと見ないと。
大分時間を食ってしまいましたが、確か11時過ぎに2ピッチ目開始。
1ピッチ目より段が見えるものの、ほぼ垂直15m。
左右は水が滴りつらら状で悪そうだったので、中央のラインを選択。それでも水はかかりました。氷は1ピッチ目と比べ大分柔らかく、打ち込みは楽ですが支点が心配なので、短い間隔でスクリューをねじ込みました。垂直部で5本入れたはず。落氷ラインに赤井さん川上さんがいるので、極力氷落とさないよう気をつけましたが、脆い氷で、ちょこちょこ落としてしまいました。やはりすぐパンプし、大レストを挟みながら最後1.5m、ほとんど凹凸のない垂直氷を気合で乗り越え、大休止。抜けてからは雪壁と少し氷を登り、30mちょっとで正面左側の残置だらけの太い立木に到着。
テンションかけずに登れましたが、結局2ピッチ、リード&フォロー2名で3時間もかかってしまいました。もっと早く確実に登るのが今後の課題。
懸垂下降は、ロープが巨大つららの近くを通ったためおっかなく、なるべく触らないようにそーっと降りました。
降りてきたらまだ13:00頃だったので、不動裏にも行ってみました。F1はほぼ雪壁でロープ要らない感じだったので、川上さんに氷でのリード→支点構築→フォロー確保→懸垂下降の一連の流れをみっちり練習してもらいました。時間が結構経ったのでF2はまた今度。まだ登れそうな感じでした。
16:40頃に大谷不動を出発。帰りは17:55と日没ぎりぎりとなりました。
この日、左岸壁左ルート、右ルート、本流二ノ滝に人が入っていました。
右ルートのF1はまだ繋がっていて良さそうでしたが、左ルートF1の抜け口は薄そうでした。
当初は雲竜渓谷、あわよくば雲竜瀑をと思っていましたが、17日の春一番で薄くなってそうな気がしたので、大谷不動本流に行くことにしました。二ノ滝のリードは今シーズンの目標(河合)だったので気合入りました。
2月18日
薄田さんは金・土と伊豆修善寺で大宴会だったそうです。当初は、「城山まで来い」との指令でしたが、残り少ないアイスシーズンなので拒否。
上信越道が吹雪いていたり、小諸着いても風が吹き荒れていたりで、転戦も検討しましたが、とりあえず行ってみることにしました。
2月19日
河合は大谷不動初めてでアプローチよくわかりません。薄田さんは2回目で、今回の予定ルートとは途中から別のルートで行ったとのこと。朝6:40。某スキー場を出発、初心者コースを詰めて峠に出ました。ここから右トラバースのハイキング道があるらしいのですが、前夜の風雪でトレース皆無。安全策で、ワカンつけて逆方向に下る林道をラッセルすることにしました。ラッセルはワカンで膝から膝上、そんなに大変じゃないですが、やはり中々前に進みません。傾斜緩い所で林道を外れ適当にショートカット。
下の林道に降り立ち、今度は緩やかな登り。ハイキング道と林道の合流点まで、峠から40分もかかってしまいました。
合流点で振り返ると薄田さんがいない。あれ?ワカン忘れたとのことですが…20分位待つと、フラフラ歩いてくる薄田さん。2日酔いで全くペース出ない模様。こんなペースじゃ大谷不動つかないぞ~しかし、ハイキング道との合流点からは、明瞭なトレース(埋まり気味)で突然高速道路状態となり、大谷不動までは結局2時間くらいで着きました。
大谷不動からは岩壁横の急斜面をトラバース。途中、左岩壁各ルートが壮観でした。
一ノ滝は薄いし滝つぼありなので、右岸を高巻き(一部フィックスロープあり)、二ノ滝へ。
取り付き9:30到着。
先行パーティが登っていたのでしばし待ち、10:30登攀開始。念願の1ピッチ目(Ⅴ+)は河合がやらせてもらいました。
出だしはスカスカの雪が10m位。その後、15m位、80°強の垂直近い氷が続きます。氷の表面はヌメっとしていて、アックスもアイゼンも刺さり良く快適。しかし、スクリュー2本入れた辺りで、気持ちよく打ち込んだアックスが抜けなくなり、2分間位格闘することとなってしまいました。どうも私は怖がってアックスを余分に打ち込んでしまうようです。
その後じわじわ高度を上げていったところ、トレーニング不足のふくらはぎが悲鳴。ツりました。スクリューは足元。落ち着いて左手アックスを完璧に決め、左手と右足で立って宙ブラの左足を振ってみる。痛みが落ち着いたらスクリュー入れて一安心。3分位がっつりレスト。さらに抜け口越えたら太ももまでツりかけ、自分の弱さに悲しくなりました。
そんなこんなで40分位かかりましたが1ピッチ目を何とかノーテンションで通過。さて左の灌木でビレイ、と思ったら、後4mで下から「ロープないぞ!」の声。仕方ないので、周囲の柔氷を削って固い面出してスクリュービレイ。後で聞けば、先行パーティーの落氷がヤバくて、氷の直下に行けなかったとのこと。薄田さんは「手が冷たい」とボヤきながらも、30分位で登ってきました。
2ピッチ目は薄田さんリード。上部の核心は今回、段々ができておりⅣ+程度の簡単さでした。薄田さんはさくっと20分弱で抜けました。河合も快適にフォローし、無事完登。三ノ滝は省略。
下りは、50mロープでは2回に分けないと降りられないので、とりあえず灌木まで斜懸垂。ここで河合がポカミス。手を放すとロープが手の届かないところに行ってしまうのに、うっかりロープ引き上げて末端処理をほどく前に引かない側のロープを開放してしまった。仕方ないので、ロープをある程度引いたところで、余りのロープでビレイして薄田さんロープ回収。すみません。本チャンでやったらヤバいと大反省。
なお、懸垂に使った小灌木(残置いっぱいあり)は、懸垂時かなりきしんでいて、ヤバげでした。降りる時は、位置悪いですがさらに5m位左にある太い灌木まで行って捨て縄して懸垂した方がいいです。同様に2ピッチ目のリードビレイ時も、小灌木は大墜落あったら耐えられるかわかりません。氷の落下ラインを避けて、スクリューで支点自作した方が無難かと思います。
降りたら13:00とまだ時間があったので、隣の右側壁登ろうと思うも、右ルートは登れる2ラインともにトップロープ状態で空く気配全くなし。残念ですが仕方ないので、もう一度二ノ滝1ピッチ目を登ることにしました。
今度は薄田さんリード。酔いも冷めて絶好調。20分強でささっと登っていました。河合もフォローで行ってびっくり。アックスもアイゼンも気持ちいい位決まる。大分氷が緩んだようです。あっさり1時間位でリード&フォロー+懸垂で取付に戻りました。毎回この位スピーディーに登れればロングルートも楽勝なんだろうけどなぁ。
帰りは二ノ滝15:30出発、17:00前には駐車場に戻れました。帰りはちゃんとショートカットのハイキング道を使用。峠で迷ったときは、消火栓の赤い標識の奥に行って、堰堤下をトラバースしてから下降で正解。迷ったら下ればいつか林道に当たります。
峰の原スキー場10:10発 快晴 13:30不動尊着 本流へ下見に行く。
17:00テント場着。
午前 雪
11:30発 右側壁の氷瀑へ向かう。
13:30取り付き
15:30終了
17:20テント場
5:20起床 晴れ
7:00発 不動裏の氷瀑へ向かう。
11:30テント場着
12:00発 15:00峰の原スキー場
去年初めて大谷不動に行って虜になってしまった。
今回で2回目だ。
東京から須坂は遠いので、中央道梓川Pで仮眠した。
スキー場の端でスキーシールを外し順調に林道を行く。
去年、森広さんの板がワックス不足で雪が付着して苦労した。
しっかり準備したらしく今回は問題ない。
わかんらしき跡がある。
ここはスキーのほうが楽だ。
不動尊に着いたらテントが1張あった。
後で会ったら、2人パーティで1人は森広さんの知人だった。
わかんとスノーシューでの入山で1日かかったそうだ。
13:30中途半端な時刻なので、本流へ下見に行く。
早目に沢に降り詰めて行く。
F1が大きい。
去年はたいしたことがなかったのでノーザイルで越したが、8M程垂直。
下は壷が口を開けている。
そのまま行こうかと思ったが、森広さんがロープを欲しがったので、アンザイレンした。
ここを越すと本流F2と右側壁の氷瀑が現れる。
F2は去年より下部が易しく見える。
前回、右側壁に取り付こうと思って近づいたら、雪の塊がぼたぼた落ちてきてそそくさと逃げ帰った。
近くで観察すると、中央は良く凍ってはいるが少し雫が垂れている。
右端が登れそうだ。
右端の垂直を登り、左にトラバースし、切れればピッチを切って直上する。
そう言う作戦で行こう。
テントに帰って美味しいおでんを食べた。
1月31日、起きたら雪が降っていた。
天気待ちをして、昼前に出発。
F1を越し、右側壁に着く。
本当は中央を行くべきだろうが、ぶっ立っているし、でこぼこしていてランニングが採り難そうだし、雫も落ちている。
ここは右に逃げよう。
力が付いたらいつか中央を登ろう。
右端に取り付く。
10m程垂直に近い。
途中、オフィズスみたいにへこみがあったので身体を入れて休んだりした。
緩傾斜になり左上する。
上部垂直部の下に着く。
ピッチを切ろうと思ったが、下から見るより傾斜があるし、氷がすかすかしていて、ビレー点には心許ない。
このまま登ろう。
一休みして登り始める。
段々と腕が疲れて来る。
うー、辛い。
うー、苦しい。
うー、まずい。
手首で振ると言うよりも、腕全体で振る。
はあー、なんとか垂直部は抜けた。
良かった。
ビレー点の木は10m位先の左だ。
遠くてコールが聞き取り難い。
後で森広さんの言うには、ロープが一杯になったので登ってきたそうだ。
懸垂したら50m一杯だった。
右から登ったので足りなくなったんだ。
使用スクリュウ6本
2月1日、帰る日なので早く起きた。
不動裏に向かう。
去年は左だけ登った。
今年は右ルートを登ろうと考えていたが、会ったパーティに聞くと、右ルートをトップロープで登ったそうだ。
左ルートを登って、回り込んでロープセット出来るらしい。
左ルートは前回より垂直部が短く見えた。
それでもやはり緊張する。
上部で容易に右に歩いて行って、立木にトップロープをセットする。
下降してみたら、ハングになっていた。
とてもじゃないがリード出来ない。
上で確保してもらって、トライしたが、疲れて、疲れて、2回程、ぶら下がって休んだ。
森広さんは5回程休んだ。
暫く前から、ペツルのルベルソーを使っているが、セカンドのビレー時にフルロックするので、この様な時はとても楽が出来た。
今回も満足した。
来年の計画を思案しながら、快調にスキーを滑らして、明るいうちにスキー場に着き、「湯っ蔵んど」の温泉に入って帰京した。
2月15日 峰の原高原スキー場より大谷不動尊のベースまで
2月16日 本流(一の滝、二の滝の途中まで)
2月17日 不動裏の氷瀑F2左ルート 下山
米子(よなご)不動の存在を知ってからどれくらいの年数が経ったのだろう。
ここ数年難しい氷を登り込んで来た僕は、米子不動に行って見たいと思うようになっていた。
でもおののきが付き纏う。
あまりにも大きく難しい。
ガイドをよく読むと、大谷不動の方が少しはやさしそう。
それでも凄い所だ。
自分なんかに登れるだろうか。
たとえ登れなくてもいい、見るだけでもみて見よう。
現地に行かなければ登れるものも登れない。
出発前に経験者に会えたので、宇原川沿いに行くべきか、峰の原高原スキー場より入山すべきか、聞いたら、宇原川沿いの方が帰りに下りになるのでいい、と言われそっちから行ったら、すぐに深い雪に阻まれ車がスタックしてしまった。
今年は雪が多いのでこっちの方は駄目みたいだ。
すったもんだして、峰の原スキー場に着き、出発出来たのは11:40だった。
快晴。
スキー場内を横断して端っこに来ると、何と遥か向こうに氷が見えているではないか。
林道を板を履いたまま、ジグザグに緩く下って行く。
15:30大谷不動着。
こんな山奥に立派なお堂が建っている。
トイレもある。
広い敷地にテントを張る。
ここに居ながらにして、左岩壁の左ルート、中央ルート、右ルートが間近に見える。
ど肝を抜かれる凄さだ。
遅くて登れる時間ではないので、偵察に行く。
不動裏の出会はほんの数分。
本流まで行こうと思ったが、ラッセルになったので止めた。
ラジオが良く入り、須坂の夜景は綺麗だった。
7:30出発 晴れ 風強し
本流に向かうが、雪が多くてトラバース道が急な雪壁になっている。
進み難いので途中で沢に降りて、詰める。
8:20一の滝、滝の右側から水が出ていて、温くて美味しかった。
ここをロープレスで越え、いよいよ二の滝だ。
でかい。
この頃より曇ってくる。
大滝リード。
左は雫が落ちているので右より取り付く。
氷柱状なのでビレイヤーは裏で確保する。
腹にぐっと来る傾斜と大きさだ。
覚悟を決めつつ寡黙に用意する。
いやー、大変だ。
声を出しつつ慎重に決めて行く。
新製品のミゾーの北辰(ほくしん)が研ぎ澄まされた日本刀の如く良く刺さる。
途中で傾斜が緩くなり、最後の立っている15mの手前で切る。
雪が降り出しおまけに
風も強まり、雪崩の心配が出てきた。
セカンドの森広さんをスノーシャワーが襲う。
登って来た彼女の眼鏡は真っ白だった。
あと15m登ると終わりだが、彼女がもう登れないと言うのでブッシュで懸垂した。
下りながら、なんて凄い所を登ったのだろうと思った。
帰りに右側壁の氷瀑の基部まで行ったが、雪の塊が音も無く落ちてきたのでさっさと逃げ帰った。
二の滝ではランニングスクリュウ5本使用。
5:00起床 6:50出発 晴れ
不動裏のF1は距離があるのでロープを着ける。
F2は左右とも凍っているが左の方が登り易そうなのでそっちにする。
右側より取り付く。
大滝リード。
ここもビレイヤーは氷の裏。
裏で諦めを決め、行って来ます、と言う感じで表の無情な垂直の海原に嫌々飛び出す。
ここもやっぱり凄い。
北辰、ナジャ、ランボー、道具と己を研ぎ澄ませ、繊細かつ大胆に一歩一歩高みへ。
無になる自分を見出す。
やがて、傾斜は緩くなり右のブッシュでビレー。
森広さんを迎え、下降して9:10
帰京日なので右ルートは次回の楽しみにする。
テント場に戻って11:00下山開始。
13:20スキー場着。
須坂では「湯っ蔵んど」と言う湯船が幾つもある温泉センターが良かった。
次回は不動前、右側壁、不動裏の右、の各ルートを登りたい。
そう思うと胸がきゅうんとする。