八ヶ岳 赤岳西壁主稜

2016年12月11日
赤井、河合(記)

熱中症でダウンしたフリスピ以来、仕事ですっかり本チャンから遠ざかり河又クライマーとなっていましたが、やっと一段落したので羽を伸ばしてきました。
冬山シーズン始めなので足慣らし的なルートがいいなぁということで、赤井さんに付き合って頂き、メジャーな赤岳西壁主稜を登ることにしました。

12/10
川端さんと河又 (4週連続。近くていい岩場!) フリーの後、赤井さんに中央道沿線で拾って頂き、一路八ヶ岳へ。赤井さんはお疲れ気味。談合坂SAで頼んだオムライスハンバーグの大盛(+100円)がどう見ても通常サイズの3倍以上あり、山に登る前に、メシの山にぶち当たってしまった。完登できず赤井さんに助けてもらう。

12/11
3:30起床。少し運転して5:15美濃戸出発。雪がないぞ~
7:25 行者小屋。
20161211赤岳主稜_02

まだ目が覚めず眠い。足も重い。大丈夫かな。天気は今のところいい感じ。行者小屋ってこんな遠かったっけ・・・ここで猛烈に腹が減り、パン2つ消費。昨日の超大盛オムライスは一体どこに消えた?その後もスローペースで主稜取付へ。
8:55 取付へのトラバース点着。おぉ、各ピッチ終了点に人、人、人。「冬季登攀って人気あるんですねぇ」と赤井さんに聞いたら、「八ヶ岳に人が集中しているだけ」とのこと。雪の斜面を横断して1p目取付へ。取付にソロと1パーティーがいて少し待ち。9:20登攀開始。
20161211赤岳主稜_03

1p目(リード:河合)
出だしのチョックストーンをステミングで越えていく。体感Ⅳ級くらい。抜け口の雪はフカフカでアックスが効かなかった。その後はルンゼ→右上でビレイ点。中間支点は出だしの1つのみだけれど、チョックストーン越えれば容易なので気にならない。
20161211赤岳主稜_04

2p目(リード:赤井)
先行パーティのリードが上で右往左往しているらしく、ロープいっぱいの手前で出たり戻ったり繰り返している。大丈夫かな。我々の後続パーティはしびれを切らし、左から回り込んで追い越しをかけていた。我々は30分位待ってやっとスタート。出だしの垂壁にはハーケンとペツルが一個ずつ確かあった。体感Ⅲ級くらい。その後はロープ不要なリッジ歩き。赤井さんは途中のピナクルでピッチを切っていた。
20161211赤岳主稜_06

?p目(コンテ)
2p目終了点から先、上部岩壁までコンテ。中間にルンゼ状の岩場があった。その後は雪のリッジを上部岩壁ビレイ点まで。
20161211赤岳主稜_07

上部岩壁の取付は人だらけ。セルフも取れずひたすら待ち。天候も悪化傾向で、下部では弱かった風が強くなり寒い。一向に進まない順番待ちの列。(結局45分待ち。)先ほど2p目を回り込んでいたパーティーは、今度は右から回り込んで追い越しをかけていた。岩場をよく知っている人はいいなぁと思いながら、只管我慢して待つ。敗退の2文字が頭をよぎった。
20161211赤岳主稜_08

上部1p目(リード:河合)
前で苦戦していたパーティーに譲ってもらい先行。出だしはⅣ級程度か。その後、少し登ってびっくり。
20161211赤岳主稜_09

これはカオスだ。支点の良さそうなラインは大体取られていて、しかも全然進まない。5分くらい待ってみたけれど埒があかないので、人のいない所を選んで登って追い越しをかける。おぉ…支点ないぞ、まぁいいや。雪稜ゾーンでうっかり他パーティのロープと交差してしまった。すみませんでした。さっさと抜けたいので、ロープいっぱい伸ばしてピッチを切ろうとするも、ピナクルは全て人で埋まっている。仕方ないのでハーケンでビレイ。このピッチ、2ピッチに分けて登ってるパーティも多かったです。
20161211赤岳主稜_10

上部2p目(リード:河合)
上部にルンゼが見えてラインは明瞭かつ簡単そう。念のため赤井さんに肩がらみで確保してもらう。
20161211赤岳主稜_11

ルンゼにはハーケンが1つあった。Ⅲ-くらいかな。今度は使われていないピナクルがちゃんとあって良かった。
ここまでで登攀は実質終了なのでロープを解く。歩いて3分程で、12:45に登山道合流点。3時間半の登攀のうち活動時間は半分ちょっと。空いていれば2時間位で抜けられるルートのようでした。
稜線は相変わらず風が強く、山頂で-17℃。うぉ~もう厳冬期ではないか。寒いのでさっさと美濃戸へ。久々の山歩きでもうクタクタ。体力、落ちてるなぁ。
20161211赤岳主稜_12

赤岳西壁主稜は急な稜線、時々ロープの欲しい岩場という感じで、岩登り成分は物足りない感じでした。足慣らしにいいルートと思いましたが、今回はあまりに混み過ぎていました。美濃戸発でスタートが遅くなったので(この日多分最後から2番目のパーティ)、次に行くなら朝一番で行って、ささっと抜けたいです。でも、シーズン始めの良いトレーニングになり、楽しめたので良かったです。

コースタイム
5:15美濃戸駐車場→7:25 /8:05行者小屋→8:55主稜トラバース点→(15分待ち)→9:20 1p目リード登攀開始→9:40 1p目フォロー終了→(30分待ち)→10:10 2p目リード登攀開始→10:30 2p目フォロー終了→10:35コンテ開始→10:50上部岩壁ビレイ点到着→(45分待ち)→13:35上部1p目リード登攀開始→(途中5分待ち)→12:15上部1p目フォロー終了/上部2p目リード登攀開始→12:35上部2p目フォロー終了→12:40歩き開始→12:45登山道合流点→12:50/13:00赤岳山頂→13:55/14:25行者小屋→15:55美濃戸駐車場

八ヶ岳 赤岳 西壁主稜

2002年3月17日
池﨑、一ノ瀬(記)


池崎さんと「どっか易しいとこ行きたいねぇ」と石尊稜を計画したが「石尊の前に赤岳主稜だな」とみんなに言われ、即変更。

そして初めてのリーダー、無事登れるだろうか、緊張とワクワク感が交互にくる。

3月16日

西国分寺朝発。

身支度して10時前に美濃戸口バス停出発。

13時前に行者小屋に着いてしまった。

無風快晴、今日はのんびりひなたぼっこ。

3月17日

6:10文三郎道をゆく。

先行Pに習い、真ん中あたりの道標よりロープ出してトラバース、8時取付。

1P目:順番待ち。後続がぞくぞく控えているのでもう変な格好でもなんでもいいや登れれば、と自分に理由をつけてかなりのへっぴり腰でチョックストーンを乗越す。

2P目:先行Pに「左だよ」とルートを教えられ、笑顔で左に廻りこむ。

3・4P目:雪付きガレを適当に。

5P目:凹角の右ラインをいく。左ラインより楽?

6P目:雪付きガレを池崎さんに適当にいってもらう。

7P目:凹角。右ラインのピンは使用中なので仕方なく(私には)難しめの左ラインをとる。私はここが核心だった。

ここから2・3P雪付きガレ、最後稜線までは惰性でロープを延ばす。

池崎さん、そのまま先行けばいいのに「いや、一ノ瀬さん、どうぞっ!」というので行かせてもらう。

稜線12時。

赤岳頂上で嬉しくて力いっぱい握手。

あとは文三郎道を下る。

池崎さんは元気に下るが私は気が抜けたのか、膝へろへろ。

行者に着く頃、滑落事故があったようだ。内容はよく分からなかったが、ヘリで負傷者が輸送されるのをぼーっと見届けたあと行者をあとにする。

ふろふろめしめしと言いながら夕暮れ前に駐車場に着。

ほとんどのピッチ、長スリングを岩に引っ掛けて支点とする。
ピンがないので短スリングはあまり使用しなかった。
ロープ2本あったのだが1本で通してしまった。(池崎さんロープ背負いっ放し、ごめんなさい)時間短縮にはなったと思うが簡単なルートではこれでいいのかな。

分からないのでなんかいろいろ持っていったがリードしたことによってどんなルートで何がどれだけ必要か少しだけ分かった。

かかった時間も渋滞のおかげで後押しされたのや、ルートの迷いもなかったことで大して遅くはなかったが、渋滞でなければどうだったのだろう・・・。

うーん、まだまだなのだ。

 

赤岳 天狗尾根から真教寺尾根

2002年1月1日から3日間
一ノ瀬、池﨑、瀧島(記)


そもそも八ヶ岳に来るはずではなかった。

大晦日に五竜岳を目指してまさに歩き出そうとしてザックを背負った瞬間に池崎のザックがバキッと嫌な音を発した。

点検してみると背負うために一番大切な背負い紐が背中の中心部分から切れている。

このザックで予定通りに計画をこなすことは不可能だし今後の天気も好天は期待薄だし、この時点で五竜岳の計画は中止した。

今回は止めとけという、天の声だったのか?こんな事で中止とは昔ならば腹の虫が収まらなかっただろうけど、年とったのか、丸くなったのか。すぐに気持ちを切り替えることができた。

松本でザックとその他の装備を揃えて、いろいろ考えた末、短期間で十分にこなせる八ヶ岳東面の天狗尾根に転進することにした。

 

1月1日

晴れ

美しの森駐車場で奥秩父の山々の上に昇った初日の出をしっかりと目に焼き付けてから出発。

地獄谷に続く林道をつめ途中から沢通しに進む。

トレースを追いかけて堰堤をいくつか過ぎて地獄谷の小屋を通過する。

さらに進むと目指す天狗尾根を登ってツルネ東稜を降りてきた3人パーティーと出会った。

彼らのものと思われるトレースは右の赤岳沢に延びていた。

今回は地獄谷の本流側から天狗尾根に取り付こうとしていたので、地獄谷本流をしばらく進んだ。

本流の川原はラッセルが深く、樹林の少ない斜面から天狗尾根の尾根上に出た。

しばらく進むと先行パーティーのトレースに出会った。

風も防げる樹林の中で快適なテントスペースを見つけ、少し早いけれどテントの中にもぐり込んだ。

樹間からキレットが見えるが現在地はキレットより少し低いようだ。

 

1月2日

風雪

テントから外を覗くと視界はほどほどだったが、出発時には遠景は全く見えなくなっていた。

しばらく樹林帯を進んだ。

はじめは先行パーティーのトレースも残っていた。

樹林帯では雪も風もほとんど気にならない。

最初の10m程の岩場は左のバンド状から簡単に巻けた。

次の30m程の岩場で初めてロープを使った。

ここには右側を巻くフィックスロープがあったが正面左側から右上する凹角を登って抜けた。

このあたりで森林限界を抜けたようだが東面なので風はそれほどでもない。

しばらくガスの中を登ると大きな岩場にぶつかった。

ルートを探ると50mくらい右下に岩場の弱点を発見した。

ビレー点にちょうど良い岳樺にはテープが張ってある。

かぶり気味の凹角に残置ハーケンも見える。

ここを強引に超えて一段上のバンドに上がりバンドを右に抜けた。

きっとこのあたりが大天狗や小天狗の岩峰のあたりだろうか。

後は風雪の中ひたすら高きを目指した。

銃走路に出てからも意外と長い。

頂上では誘惑に負けて小屋で休憩してお汁粉を食べた。

山頂小屋は年末年始には営業しているのだ。

ここは正月の赤岳山頂、でも小屋にはお客はいないみたいだ。

こんな天気には誰も登ってこないのか?

権現岳まで縦走してからツルネ東稜を下ろうと思っていたが、風の強い銃走路を避けて真教寺尾根を下ることにした。

東面の真教寺尾根に入ると風はかなり弱まってくれた。

後は尾根を外さないように慎重に下る。

1ヵ所、不安定な雪壁で懸垂した。

風は弱まったけれど風下の東面の雪の量は想像以上だ。

腰から胸まで潜りながらも傾斜があるので雪崩に気をつけながらどんどん下った。

もちろんトレースはなかった。

途中に懸垂も1回。

2500m付近で少し傾斜が緩みテントを張れる場所を発見。

テントに入ったらすぐにヘッドランプが必要だった。

 

1月3日

小雪のち晴れ

この日も下りラッセルを続ける。

傾斜がなくなってくると空荷でのラッセルで進む。

牛首山を過ぎると雪も大分減ってちょうど12時頃に美しの森駐車場に着いた。

今回は予想以上の充実感を味わうことができた。

それは正月なのにほとんど人に会わない静かな山であったこと。

二日目の風雪で先行パーティーのトレースも無くなり、冬山の厳しさを味わえたこと。

下山路の真教寺尾根は予想を超える雪の量だったこと。

この3点が充実した理由だと思う。

40才過ぎた体にはよい刺激になった。

自分にとっては新鮮味の薄い八ヶ岳で新しい発見ができたのがうれしい。

鉱泉や行者小屋で定着したり、軽荷の日帰りで駈足で登るだけが八ヶ岳ではないのだ。

慣れた山だからできる創造的な山登りを八ヶ岳では目指してみたい。

 

八ヶ岳 赤岳 東壁Aルンゼ中央稜

2000年4月2日
関(記)

今回目指すのは赤岳東稜の予定だった。

このルートは2月に夜間登攀による日帰りでのトライをしたが、あまりの眠気とはかどらないラッセルを理由に取付き手前で敗退している。

2月の日帰りは無謀だった。

4時半に出発して1時間ほどたつと周囲も明るくなり始め、東壁の全容が明らかになってきた。

なるほど東稜はナイフリッジとなって真教寺尾根へつきあげている。

おもしろそうだ。

けど、東稜は2月でも登れる、というか2月頃の方が充実するだろう。

雪の充分にしまったこの状況では、興味はルンゼの最奥から赤岳に直接つきあげるリッジに移ってしまう。

トポをみるとちゃんと「Aルンゼ中央稜」

と命名されてルートになっている。

「よーしあれにしよう!」

勝手にルート変更しちゃいました。

東稜取付きの大門沢二俣を過ぎると傾斜が強まっていく。

アイゼンを装着しダブルシャフトでぐんぐん高度をかせぐ。

日も差し始めいくつか雪片も落ちてくるようになる。

しばらくすると極端に多くの雪片が落ちてきて「まさか、この雪質で雪崩はねぇーよな」

と思いつつもピッケルバンドとザックベルトをはずして上部をキョロキョロすると、親子連れの獣がAルンゼ中央稜の取付付近をトラバースしていた。

カモシカ?それとも・・・クマ?どっちかよくわからなかったが、顔がやたらでかく見えたのでクマかもしれない。

彼らは中央稜取付きから東壁左岩稜へとトラバースしていたので、私は左から大きく迂回してAルンゼ中央稜にとりついた。

ここから先は傾斜が最も強く雪壁となっている。

アックスを小気味よく利かせて一気に登りきるとひょこり頂上付近にとびでた。

下降は真教寺尾根から大門沢左俣をへてスキー場へ戻った。

とりたてる程のルートではありませんが、日帰りで登れて昼前に下山できるところが魅力と言えるでしょう。

なんてったって2時に帰宅できたのですから。

おかげで当日に記録をまとめることができました。

4:30八ヶ岳スキー場出発  8:40赤岳頂上  10:40スキー場下山

 

 

八ヶ岳 赤岳西壁主稜

1999年2月28日
小谷、畠中(記)

3時45分に月明かりの中、美濃戸を出発。

満天の星空と遠く街の灯りが美しい。

外気はよく冷えている。

6時に行者小屋着。

文三郎尾根をつめ、7時30分に取り付く。

初めのチムニーで畠中てこずる。

かっこわるい。

風が強く寒いため手足の指先は痛い。

顔も痛い。

10時30分に赤岳に到着。

景色が美しい。

寒いのでそそくさと地蔵尾根を下降し、11時40分に行者小屋着。

春山のような陽気だったので、1時間ほどのんびりとする。

美濃戸には13時30分着。

私は、久しぶりの山登りだったが、今回の山行で「山登りは痛い」ということを思い出した。