1999年12月11~12日
水柿、三好(記)
以前の会で岩に行く人が居なくなってしまったので、大学の山岳部に顔を出した時期があった。
でも、合宿以外ほとんど岩も山も行かないし、誘ったとしても様々な理由で断られてしまうのだ。
今回(直前ではあったけど)、たまにはと山岳部の人々を誘ってはみたが、状況は変わっていないらしく、自分のモチまで下がってしまいそうで怖くなった。
そんなこんなで、秀峰横浜支部の水柿さんが行けることになったので、ほっとする。
さてさて、どこに行こう。
人の居ないルートがいいなぁ。
順番待ちは嫌いだし。
そういえば、S太郎さんが、人の居ないルートだと自分の実力やスピードがばれないからいいんだよねぇてなことを言っていた。
私は実力もないし、トロいのでそれも当ってる。
でも、たまにはよく知られたルートにするかと小同心クラックに行くことにする。
プラス、無名峰北稜で渋く行こう。
12月11日(土)
曇りのち晴れ
美濃戸口に到着したのは0:00くらいだったろうか。
焼酎がかなりあるので、少し飲んでから眠るかということになったのだが、いつのまにか4:30。
もう歩き始めている人もいるのに、私達はそれから仮眠を取る。
「飲んべぇだと立派なクライマーにはなれないなぁ」と言ったら、「4:00過ぎてからさらに〝注げー〟と言ったのは三好さんですからね」とのこと。
もちろん都合よく覚えていない。
バスで到着した人の声で起きたのか、やばいやばいと歩き始めたのは8:50。
赤岳鉱泉には10:30に到着し、テントを張ってから取付きへ向かう。
八ヶ岳もよく知らない二人だったので、小同心クラックには小同心右稜から取付けばいいかということになっていた。
しかし、小同心ルンゼの一本手前の沢に入ってしまい、小同心左稜を登ることになった。
倒木を避けながら尾根にのり上げ、ぜぃぜぃしながら進んで、小同心クラックに取付いたのは15:00。
もう、下りようかとも思ったのだが、小同心はほとんど2ピッチだけだし、1ピッチくらい行ってみるかぁとなったのだ。
1ピッチ目、三好リード。
ホールドたくさん。
ぐいぐい登れる。
水柿さんが上がってきたのは15:25.まだ、暗くならないね。
2ピッチ目はそのまま水柿さんリードに。
こっちの方が体が外に出る箇所があって少し緊張した。
さぁ、さっさと下りるぞ。
しかし、当たり前のようにロープがひっかかりまくり、1回めの懸垂でもう暗くなってきた。
2回目の懸垂、最後の方になって、またロープが引っかかる。
もがいていると、あっ、ヘッドランプが落ちた。
途中で止まったのが見え、ほっとしたのもつかの間、ランプの明かりが見えなくなった。
とりあえず、取付き地点まで下れたので、ヘッデンを探す。
あった!しかし、今回デビューのヘッデンなのに割れてしまい、明かりもつかない。
水柿さんのヘッデンも接触不良で、ついたり消えたりする。
そんなぁ、と言っているうちになんとか私のヘッデンにも明かりがついた。
よかったー。
さて、大同心稜ってどこだ?行ったことないし、暗いし、ついでにガスもかかってしまった。
あっち?もっと先でしょう。
うろうろ。
あっ、踏み跡だ!!ばっちり付いた踏み跡を見て、生きて帰れる喜びをかみ締めながら、テントに急ぐ。
テント着、19:00。
初めて、赤岳鉱泉でビールを買って飲む。
なんて社会人っぽいんだ。
その後、座りながら眠る私に、水柿さんは「はいっ」と焼酎を渡し続けた。
飲む、眠る、飲むを繰り返し、どれくらい飲んだのか全然わからない。
12月12日(日)
晴れ時々曇り
今日は間違えないぞと小同心ルンゼに入る。
北稜に登り上げる付近まで来ると、小同心右稜から下っている新しい踏み跡があった。
取付きには二人組。
他にも北稜に行く人がいるんだねと話していたら、「ここ無名峰南稜だと思ってるんですけど」と言う。
違うっす。
とりあえず、先行が行くのを待ち、10:00頃取り付く。
ロープを出したのは3ピッチほど。
途中、中山尾根からみよしさーんと叫ぶ倉田さんの声が聞こえたが、続けて叫んだらしい○ブーは聞こえなかった。
岩というよりは、木につかまり、草付きにアックスを効かせて登って行く。
水柿さんが、岩よりこっちが好きだなぁと生き生きしてきて、少しでも気を抜くとさっさか離れてゆく。
高度な下ネタといい、あの妙な落ち着き(?)といい、20前半じゃない、きっと年齢を偽っているんだと信じていたが、なんのかんの言って元気なのを見ると水柿さんはやっぱり若いのかもしれんと年寄りみたいなことを考えながら登る。
あと、ロープを出したのは1ポイントだけ。
最後の岩場はちょっとやだなと思いつつもロープを出さずに右を巻いてしまった。
14:30に稜線にたどりつき、久しぶりに硫黄岳まわりで下山した。
赤岳鉱泉に16:30着。
途中ヘッデンが消えたりしてスッテン転んでばかりいたら、車についたのは18:30だった。
あっち?、いや、こっちだよと考え、歩き、登るのはとても楽しかった。
今までの八ヶ岳の中で一番かもしれない。
もうヘッデンは落とさないように注意しますので、水柿さん、また一緒に行きましょうね(嫌がっているらしい!?)。