瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア

瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア
河合(記)

アレアレア。
名前を見るだけで特別な感情がこみ上げる。
初めて買ったマルチピッチトポ「日本マルチピッチ」でこの名前を知ったのは10年前。当時は遙か雲の上の存在で、自分がトライする日が来るとは思わなかった。5.12マルチ黎明期に菊地敏之氏により開拓された、憧れのルートだ。取りつく人が未だに少ない本ルート、せっかく登ったので少し詳し目に紹介してみる。

以下注意!
このルートを本気でトライ予定の方には、野暮な情報てんこ盛りなので、行き詰まるまで見ない方が良いと思います。また、ムーブやプロテクションを記載しているので、オンサイト(下から通しでは誰も成功していない?)を狙う人もこの下を読まないで下さい。

【ルート解説】
・アレアレア 5.12b 10ピッチ
(使用ギア)
ヌンチャク12
カム0.25、0.4×2、0.5、0.75、1、2、0.2/0.3、0.3/0.4、0.4/0.5、紫、赤リンクカム

(1ピッチ目:5.11d:30m)
・燕返しのハングの右端からスタート。最初はハーケンとリングボルト、すぐにハンガーボルトが出現し核心に入る。核心は直上してから右上するのがオリジナルラインとのことで、ボルダー2~3級程度のパワー全開のリーチが必要なボルダームーブ、小柄だと辛い。右に大きくトラバースしてから直上し核心を巻くこともできるらしいが、プロテクションのハンガーボルトから大分離れるし、岩も脆そう。
核心後は遠いホールドを処理しつつ右上し、ハングから抜け出す所が第2核心。ここは以前あったと思われるガバのもげた痕跡があり、脱落部分はブランクなので、初登時より難しくなっているだろう。
ハングを抜けると、コーナークラックに入る。ハーケンがあるけど、カムも必要。最後はフィンガークラック。同様にボルダリーな砂の塔5.12aより少し難しく感じ、11台とはとても思えず、体感5.12a。

1ピッチ目
(2ピッチ目:5.7:20m)
・ハーケン、リングボルト、RCCボルトラダーのスラブを直上気味に辿った。オリジナルラインにはほとんどプロテクションがないらしいので、私の登ったラインはオリジナルとは異なるようだ。ボルトラダー沿いに登ると5.7では済まず、ホールドも分かりづらくて、体感5.10aのスラブで油断できない。

2ピッチ目

(3ピッチ目:5.7:20m)

・ベルジュエール3ピッチ目と共通で、フェイスを登り、最後灌木帯に入る癒しのピッチ。体感5.8。2、3ピッチは容易にリンクでき、合わせて40m弱。

3ピッチ目

(4ピッチ目:5.12a:30m)
・フェイスのピッチだけど要所でカムが必要。出だしは3ボルト左カンテを登る。出だしのランナウトが激しく岩も風化気味、5.10ノーマル程度だけど慎重に。2ボルト目の位置に戦慄!その後、右に大きくトラバースして垂壁に入り、ボルトにクリップしてからボルダー2級程度のボルダリーな核心をこなす。ヌメっていると辛いところ。その後、穴やクラックにカムを決めつつ直上、右に微妙なトラバースをこなし、最後にランナウトで5.10d程度のカンテを登る。変化に富んでいて面白い。私が瑞牆で登った他のフェイス5.12aルート全て(太陽の登1、2、5ピッチ、ギャラクシアン、医者の娘、砂の塔等)より難しく感じ
、体感5.12b(易し目)。一緒にトライした川上さんも「人生最難の5.12a」とコメント。

4ピッチ目

(5ピッチ目:5.7:20m)
・一度ダウンクライムしてルンゼに入り、よく濡れている苔だらけのコーナークラックを登る。1つ目のプロテクションセットまでが怖い。これも5.7では厳しく、短いながら悪く感じ、体感5.9。ロープを余分に伸ばせば、白クマのコルから途中離脱可能。

5ピッチ目

(6ピッチ目:5.12b:20m)
・本ルートのハイライトとなるフィンガークラック。プロテクションには特に注意が必要。出だしは浅い溝やフレアードクラックのため、プロテクションセットが困難、初登時は残置ハーケン2つをフィックスドプロテクションとしたとのこと。しかし、現在は上側のハーケンが折れて消失(誰か落ちたらしい。無事だったのか?)、下側の1本のみ。そのため、ハーケンのみをプロテクションとして核心ムーブ後半で落ちると、確実にグラウンドフォールだ。
しかし、オフセットカムやリンクカムを使えばプロテクションは一応セットできる。私は残っている下ハーケンを0.2/0.3オフセットカムで補強(効きは良い)、その上に紫リンクカム、一度クライムダウンしてアグレッシブテスト後に突っ込んだ。鍵となる紫リンクカム(オフセットカム0.4/0.5も効く?)は、頑張ればまぁまぁの効きでセットできるけれど、固め取りできず、位置が少しでもずれるとアグレッシブテストで容易に吹っ飛び、大墜落に耐えられるかはわからない。核心ムーブを起こしながら追加でマスターカム青色や灰色もセットできるけど、とても力を使うので大変。このような状況のため、出だしは現在PD相当だろう。
ルートは、出だしの数手が核心でボルダー2級程度、その後小核心こなし大レスト、その後レイバック主体の5.11-程度のフィンガークラックを登る。レイバックが多いので疲れるし、プロテクションセットも結構シビア。残置ハーケンが4箇所位あるけど、使わないでも登れる。日当たりが良いのでヌメるとしんどい。春うらら2p目5.12aより核心ムーブとプロテクションは明らかに厳しいけど持久力的には易しく、体感5.12b(易し目) PD。
このピッチのみをトライする人も多いらしいけど、ショートピッチトライとマルチピッチの6ピッチ目としてのトライは全くの別物で、このピッチの真価は下から繋げてきた時にこそ体感できると個人的には思っている。

6ピッチ目

(7ピッチ目:5.11d:30m)
・全く油断ならないピッチ。オリジナルラインは、ピナクルに登ってボルダー1級程度の地ジャンから始まる極悪の2手をこなす。初登者の菊地氏にトライ中にお会いしたので伺ったところ「地ジャンはしていない」とのこと。しかし、私より遙かに強い再登者達も地ジャンしたそうで、初登時とホールド状況が変わっているかもしれない。
ところが、川上さんが、右から回り込む画期的なラインを発見した。リーチが必要だけど、5.11+で収まる強度だ。やはり現地で菊池氏に伺ったところ「その(川上さんの)ラインでは登っていない」とのこと。
ルート攻略は出だしが鍵。オリジナルラインはランジ一発、飛び先のホールドはいまいちで、微妙な体のコントロールが難しい。できる人は多分すぐできて、できない人にはずっとできない系のムーブ。川上ラインはホールドを見出すのが核心、一見不可能そうだけれど、絶妙に続いている。キーホールドが遠いので、身長165cm未満の人に川上ラインは不可能かもしれない。出だしの核心をこなすと、ホールドのわかり辛い5.10c程度の右上スラブ。プロテクションはほぼリングボルトで一部RCC、一部抜けかけていて怖い。最後は簡単な5.7程度のクラック。ベルジュエールの終了点の太い灌木でピッチを切った。トータ
ルで体感オリジナルライン5.12b(と言うより、1級のボルダーと言う方がしっくりくる)、川上ライン5.11d(易し目)。オリジナルラインを経由するなら、間違いなくダントツで人生最難のイレブンルート。

7ピッチ目

(8ピッチ目:5.10b:35m)
ここからはベルジュエールと共通。前半はチムニー登りからステミングを交え傾斜の緩いコーナークラックを登って5.8位。プロテクションはスリングで延長しておかないと後で地獄を見るらしい。後半は逆イの字に見えるT字クラックで快適なレイバックとハンドクラック。体感5.10b。

8ピッチ目

(9ピッチ目:3rd:30m)
・クライミング要素はほぼなく、走って登れる。

(10ピッチ目:5.8:20m)
・出だしの被ったクラックは少々トリッキー。後はクラックを少し登って最後は簡単なスラブ。体感5.9。

10ピッチ目

【体感グレード】
〇トポのグレード(トポによって微妙に異なる)
5.11d→5.7→5.7→5.12a→5.7→5.12b→5.11d→5.10b→3rd→5.8
〇体感グレード
5.12a→5.10a→5.8→5.12b→5.9→5.12bPD→5.11d→5.10b→3rd→5.9
私のグレード感は大分甘いようだ。「太陽の登」は3ピッチ目5.12c(5.12bに感じた)以外はトポ通りに感じたのだが…

【実際のトライ】
ほとんどのトライを秀峰の川上さん、1日ずつ秀峰の玉置さん、山崎さんに無理言って付き合ってもらった。深く感謝。
(1日目:2020年夏)
全体像把握のため7p目までトライ。難しいピッチは何れもRPできず、一部ムーブもこなせなかったけど、ある程度勝負になることを確認。ただ、この後が長かった…
1p目5.11d:河合×、川上フォロー×
2p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
3p目5.7:河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a:川上×、河合フォロー×
5p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
6p目5.12b:河合×、川上フォロー×
7p目5.11d:川上×フォロー×、河合×
(2日目:2020年夏)
4p目まで到達するも、ヌメりに負けて4p目はRPできなかった。翌日のトライ用に1~3p目をフィックス。
1p目5.11d:川上×RPフォロー×、河合×××RP
2p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
3p目5.7:川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a:河合××、川上××
(3日目:2020年夏)
2日目の翌日、朝イチで3p目までユマールして、早めに4p目をトライし何とかRP。かんかん照りになったので午前中に白クマのコルから脱出。
4p目5.12a:河合×RP、川上×フォロー×
5p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
(4日目:2020年秋)
秋遅くに白クマのコルからベルジュエールの大フレーク経由で、7p目と6p目をトライ。コンディションは割と良かったけど、7p目の地ジャンは止まらなかった。6p目はトップロープで探り、ムーブは全て解決するも、問題はプロテクション。
7p目5.11d:河合××、川上×フォロー×
6p目5.12b:河合××、川上××
(5日目:2021年春)
大フレーク経由。7p目で地ジャンしまくり、遂に止めるも、その後のムーブを詰めておらずRPできず。シャウトでお騒がせしました。川上さんは別ラインを探り、見事発見。これなら5.11dで登れる!ということで、ランジが止まらなくなった私も新ラインに参戦し、やっと7p目のRPに成功。6p目は残りの時間にトップロープで探るも、ランジの失敗で指がズタズタ血だらけ、まともにトライできなかった。
7p目5.11d:河合××××RP(川上ライン)、川上××××
6p目5.12b:河合×、川上×
(6日目:2021年春)
大フレーク経由。前回オリジナルラインでは7p目がRPできず悔しかったのでRPするも、地ジャンは何回か失敗で確率は低い。川上さんは自分のラインできっちりRP。その後、6p目に本腰入れて取り組む。トップロープ2便でムーブ、プロテクションを固め、残り2便はトップロープだけどプロテクションセットありでもノーテンションで繋がった。でも結構ギリギリだったので、いつリードするか悩む。
7p目5.11d:河合×RP(オリジナルライン)、川上RP(新ライン)、フォロー〇
6p目5.12b:河合××‐‐川上×××××
(7日目:2021年秋)
個別RPの完了が見えてきたところで梅雨入り、夏に新型コロナウイルスに感染し肺炎を発症して病院送り、後遺症で長きに渡る自宅療養、振り出しに戻ってしまった。2ヶ月半ぶりのクライミングで山灯花5.13aトライした翌日にアレアレア。無謀と言う他ない。当然、ズタボロにされた。1p目で指先の皮が破れて大流血、ホールドを血まみれにしながらヨレヨレトライ。2p目5.7のスラブのフォローすら落ち、最後は中指人指し指全面をテーピングぐるぐる巻きにして4p目の核心をトライ、引きつけられずムーブが起こせなかった。悔しい。川上さんは4p目をフォローながらノーテンで上がってきて、昨年からの成長を
感じられたようだ。
1p目5.11d 河合×、川上フォロー×
2p目5.7川上〇、河合フォロー×
3p目5.7川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a川上××フォロー〇、河合×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
(8日目:2022年4月10日)
この日は甲府で27℃と初夏の陽気、しかしアプローチは所により膝下の雪で濡れた。前日の湯河原幕岩ボルダーの疲労を引きずりつつ、10ヶ月ぶりの6p目トライ。核心の青エイリアンをセットしていたスロットが何故か広がっていてスカスカ、仕方ないのでマスター青を入れたら見事スタック、ゴリゴリ引っ張ったら取れたけどクラックの幅が広がってしまった。ごめんなさい。ホールドとしては使わないはず。上部のハーケンも1本抜けていて、ホールドも壊れていてムーブとプロテクションの変更を余儀なくされた。岩の風化が進んでいて脆い部分があるので注意が必要だ。1便目は下部をエイドしてトップアウトし
2便目でムーブとプロテクションの確認と修正。出だしの紫リンクカムを上手く決める方法を見つけた。これは今日中に行けそうということで、3便目は出だしのみリハーサルし、トップロープを引き抜いた。そして夕方の4便目で意を決してRP。緊張した。川上さんも昨年できなかった核心を解決し、トップロープながらノーテンとなった。さぁ、次はワンプッシュだ。
6p目5.12b 河合×××RP、川上×××-×
(9日目:2022年6月18日)
仕事が忙しすぎたり、風邪引いたりで、2ヶ月ぶりの外岩復帰。リハビリ初戦にアレアレアという無茶。当然のごとく各駅停車だったけど、全てムーブはこなせた。今回は山崎さんに付き合ってもらい、難しいピッチは全てリードさせてもらった。7p目(ランジは3位飛んだけど止まる気がせず川上ライン経由)を終えたところで雨が降ってきて時間切れ。
山崎さんは手応えあった模様(?)。私はボロボロでめちゃくちゃ疲れた。
1p目5.11d 河合×、山崎フォロー×
2p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
3p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
4p目5.12a河合×、山崎フォロー×
5p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
6p目5.12b河合×、山崎フォロー×
7p目5.11d河合×、山崎フォロー×
(10日目:2022年6月25日)
遂にトライ日数が二桁になってしまった。既に甲府は37℃、灼熱が予想されたけど、玉置さんに付きあってもらい下からリトライ。今回はオールリード。リード&フォローよりリード固定の方が休めるし荷物も軽いので楽なことがわかった。
1p目は出だしのボルダームーブは気合でこなすも、後半のハング抜け口で落ちてしまい、その後コーナークラックの抜け口でも落ち、2テンションで抜けた。やり直すには体力に不安があったのでそのまま継続。2、3p目を無難にこなし、4p目の極悪垂壁へ。しっかり左手で保持り倒して渾身のデッドを止めた。そのままノーテンで5p目までこなす。
6p目は、ワンプッシュ成功の可能性ある時以外は出だしの危険ゾーンをリードしないことに決めていた。紫リンクカムの渋いセットを練習してからハンドゾーンまでエイド、一度降りてからノーテンで上まで繋げた。7p目は川上ラインを経由して問題なく再登。時間に余裕があったので、4年ぶりにベルジュエールのT字クラック8p目5.10bを登った。実はこのピッチは初めてのリード。ロープの流れが悪くなりそうなのでT字クラックの下でピッチを切った。今までのピッチに比べれば大分楽だったけど、雨が降ってきた。9p目の3rdを駆け足でこなして撤収。十一面岩山頂は、ワンプッシュ成功時まで取っておこう。かな
り疲れたけど、体が動くようになってきた気がする。
1p目5.11d 河合×、玉置フォロー×
2p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
3p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
4p目5.12a河合〇、玉置フォロー×
5p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
6p目5.12b河合△、玉置フォロー×
7p目5.11d河合〇、玉置フォロー×
8p目5.10b河合RP、玉置フォロー×
9p目3rd河合RP、玉置フォロー〇
(11日目:2022年7月2日)
3週連続アレアレアを下からトライ。そして3週連続で雨に降られた。今回は再び川上さんが、スピーディーフォローで、ワンプッシュを完全サポートしてくれるとのこと、ありがたい限り。
予報では午後早くから崩れる感じだったので夜行して、6:55に登攀を開始した。流石に3週連続なのでムーブは大体覚えていて、スムーズに1p目を突破。しかし前の週より湿度と気温(この日甲府は36.5℃)のせいか、日差しはないのにヌメっている。2、3p目も問題なくリンクし、途中でベルジュエールパーティを抜かせてもらった。4p目は、左手がヌメりでしっかり保持れず、何度もチョークアップして意を決してデッドしたら止まった。後半のカンテもヌメりで気持ち悪く、足が切れたりしたけど押し切った。5p目は出だしノープロで怖いけど、流石に慣れた。
そしてついに6p目に到達した。鍵となる紫リンクカムが一発でベストな位置に決まった。行くしかない。心を落ち着け、集中を限界まで高めて意を決して突っ込むも、出だしのレイバックホールドがヌメって発進できない。スタートの足位置を調整したらスリップ、あっけなくテンション。逸る心を落ち着けて、少し間隔を置いてからやり直す。今度は発進できた。出だしのレイバックがかなりギリギリですっぽ抜けそうだったけど歯を食いしばって耐えた。届いたフィンガージャムもヌメった!もう危険ゾーンに入っていてやり直しは利かない。スパークしそうになる頭を、もう1人の自分が「落ち着け」と宥める。冷静
にガストンし、フィンガージャムを改めて渾身の捻りでバチ効かせた。指よ、ねじ切れてしまえ。「大丈夫だ、行ける」。スタティックにハンドクラックへ。その後の小核心を越え渾身のデッドでガバを取ったところで一旦緊張の糸が切れ、気がついたら大絶叫してい
た。お騒がせしました。その後、もう一度ギアを入れ直し、パワフルレイバック音頭をこなして終了点へ。なんと表現してよいのか、とにかく凝縮された時間だった。しかし、こんなに頑張ったのに雨がぽつぽつ来てしまった。がっくし。
雨が辛うじて一旦落ち着いたので、急いで登ることにした。7p目は川上ライン経由、フルパワー気合一発でこなし、ベルジュエールのパーティを再び抜かせてもらった。8p目は時間がないので、ロープ流れが悪くなること覚悟で途中ピッチを切らずに繋げたら、途中のランナーは結構伸ばしたのに、最後は綱引きになった。8p目終了点では雷鳴が鳴り響き、再びぽつぽつ来始めた。走って9p目を1分でこなすも、10p目のスタート時点でザーザー降り始めた。これまたダッシュの2分クライムで十一面岩てっぺんに着いて、とりあえず叫んで2秒後にはロアーダウンで下降開始。川上さんを十一面岩頂上に上げる時間はなく
、すぐに横殴りの嵐。しかもロープがロープに乗ってスタック、大雨の中登り返すはめになり、すぐ処理して岩陰に逃げ込んだ。寒い。後1分遅れたら完登を逃した可能性が高く、ギリギリのタイミングで、12:25完登!全く余韻に浸る暇はなかった。途中から急いだ
せいか5時間半と、難易度の割にはスピーディーに登れたと思うけど、その分疲れた。大雨は30分程度で上がったので、冷えた体を日光浴で温めてから、ゆっくり下った。
1p目5.11d 河合〇、川上フォロー×
2p目5.7河合〇、川上フォロー〇
3p目5.7河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a河合〇、川上フォロー×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
6p目5.12b河合×〇、川上フォロー×
7p目5.11d河合〇、川上フォロー×
8p目5.10b河合〇、川上フォロー〇
9p目3rd河合〇、川上フォロー〇
10p目5.8 河合〇

ワンプッシュ完登後

(全体を通じての印象)
・10ピッチに及ぶマルチなので相応の体力は前提として、本ルートに重要なのは悪いムーブをヨレた状態でもこなせるような、瞬間的な出力を維持する力だと思う。5.11+~5.12-の各ピッチでは個性的かつ強度のあるボルダームーブが次々と待ち受けている。内容は前傾壁からスラブ、クラックと変化に富んでおり花崗岩のオールラウンドな能力が必要だ。容赦のないランナウトや難しいプロテクションセットが要求され、残置プロテクションも良くないので、易しいピッチを含め全般にグレード以上の厳しさを感じる。疲労が蓄積した状態で、落ちられないフィンガークラックの最大核心が待ち受けており、フィジカルだけでなくメンタルの強靭さが求められる。内容は濃く、グレードよりは内容を求めるトラッドなクライマーにお勧め。マルチピッチ特有の全身疲労の中で、祈るように一手、また次の一手を出していく、そんな完全燃焼ができると思う。こんな厳しくも素晴らしいルートを開拓して下さった初登者に感謝。
開拓者は、ヨセミテのアストロマンのような経験を日本でもできる場を求め、本ルートを開拓したと言う。私は本家アストロマン未経験なので、アレアレアを登って、改めて開拓者にそこまで言わしめたアストロマンを是非トライしたいと思った。

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登

河合(記)

相変わらず緊急事態宣言に翻弄されていますが、隙間の記録です。

『(前略)…これらを登るためには「アルパインクライマーにしては充分な、5.11、12を登った経験」程度ではだめで、5.12、13という数字を日常茶飯事とする実力がなければならない。つまり、フリークライマーとして高レベルにあるということが前提で、それによって初めてこうした付加価値の高いルートを登ることができる。(日本マルチピッチ フリークライミングルート図集(菊池敏之著、山と渓谷社))』

トポに書かれた一節が、当時、5.12aをやっとこ登ったばかりの私に深く刺さった。5.12や13を日常とできれば、きっと世界は大きく広がるのだろうと。

時は経ち、5.12a位なら一日で、ある程度片付くようになってきた。そこでマルチピッチも、今までの5.11台からワンランク上げ、5.12の混じるものに手を出し始めたのが昨年。実力が足りず、手を出したアレアレア、太陽の登ともに完登できずにシーズンを終えた。今回、シーズンを跨いで、やっと太陽の登を完登することができたので、記録しておく。

【太陽の登(6ピッチ、5.12c)について】

詳細はトポを参照してもらえばと思うので、各ピッチの感想。

(1ピッチ目:5.12a)

見た目と裏腹に体感しっかり5.12aあるスラフェース。嫌らしい1歩があり、出だしで湿気ていることも多く、緊張する。核心を抜けても、上部でもうひと勝負あり、朝イチアップなしで登るには中々ハードなピッチ。途中の左側の木を使うとつまらなくなるので、限定した方が良いと思う。

スラフェースに張り付く@1ピッチ目

(2ピッチ目:5.12a)

1ピッチ目と性質が変わってオーソドックスなフェースクライミング。出だしが小川山のジェットストリームっぽい。つまり怖い。その後は薄いカンテを右に左に弱点を突きながら登る、長さもあって快適で素晴らしいピッチ。瑞牆の5.12aの中では登り易い方だと思う。

立ち昇るジェットストリーム臭@2ピッチ目

(3ピッチ目:5.12c)

すっきりしたフェースにひたすら立ちこむピッチ。出だしのトラバースが遠くて悪いけど、私は横っ飛びランジで解決、リーチなくても不可能ではないはず。他に極端に悪いムーブはなく、ノーハンドレストできる箇所もあるけど、次々出てくる小核心を一つでもミスるとおしまい、集中力の持久力が必要。このピッチも本当に素晴らしい!明らかに下の2ピッチより難しく、難し目の5.12bに感じた。

晴れると爽快、でも風強くてビレイヤー殺しの3ピッチ目

(4ピッチ目:5.10a)

ボルト2本の短いピッチ。今までの快適なフェースとうって変わって岩が非常に脆く、踏んでも壊れないフットホールドを探し出すのが核心。慎重さが必要。

次々とホールドがもげる4ピッチ目

(5ピッチ目:5.12a)

スラフェースから、垂直のカンテを絡めて登る変化に富んだピッチ。出だしの岩が少々風化気味だけど、気になる程ではない。ムーブは少々トリッキー。上部のカンテも中々面白く、最後のライン取りに悩むところ。このピッチも瑞牆の5.12aにしては易しい印象。

攻めたライン取りの5ピッチ目

(6ピッチ目:5.7)

省略する人も多く、それも頷ける要注意のピッチ。出だしのトラバースからのダウンクライムは問題ないけど、その後のボロボロのルンゼはノープロテクションで神経を使う。ただ、これを登らないとカンマンボロン頂上には行けないので、ワンプッシュ時は外せない。


最後はノープロの易しいチムニーと歩き@6ピッチ目

(全体を通して)

花崗岩の典型的なスラフェースが続く、素晴らしいルート。特に、2、3ピッチ目の解放感やスケールは本当に素晴らしい。ただし、2、3ピッチ目は、完全な弱点主義で登ると、左側の脆いカンテ部分に入ってしまうので、なるべくボルト沿いに登ることを心がけた方が良いと思う。

【記録】

・初日(昨年)(パートナー:川上さん)

1ピッチ目5.12a:河合リード×、川上フォロー×

2ピッチ目5.12a:川上リード×、川上フォロー×

3ピッチ目5.12c:河合リード×(2ボルト目で寒さ敗退)

下降後

1ピッチ目5.12a:河合リード×RP、川上リード×××

・2日目(昨年)(パートナー:川上さん)

1ピッチ目5.12a:川上リード×、河合フォロー〇

2ピッチ目5.12a:河合リードRP、川上フォロー×

3ピッチ目5.12c:川上リード×、河合フォロー×

4ピッチ目5.10a:河合リードOS、川上フォロー〇

5ピッチ目5.12a:河合リード×RP、川上リードFL

下降後

1ピッチ目:川上リード××RP

・3日目(今年)(パートナー:川上さん)

1ピッチ目5.12a:河合リード〇、川上フォロー×

2ピッチ目5.12a:川上リード×、河合フォロー〇

3ピッチ目5.12c:河合リード××、川上リード××

4月の暖かそうな日、花崗岩復帰戦で久々に太陽の登に取りついた。しかし、例によって風が強くて寒い。気合で1、2ピッチ目をノーフォールでこなすも、滅茶苦茶腕がパンプしてしまった。3ピッチ目のランジは感覚を忘れていて、何度も壁に膝を強打。その後のフィンガークラックからの左上トラバースは、以前フォローした時のライン取りが誤っていたことが判明し、ムーブをイチから作り直しで体力消耗。2便目で中間部のレストポイントまでたどり着くも、後半の核心で落とされてしまった。無念。しっかり要所のムーブを記憶して下降した。

・4日目(今年)(パートナー:Sさん(会員外))

1ピッチ目5.12a:河合リード〇、Sさんフォロー×

2ピッチ目5.12a:Sさんリード×、河合フォロー〇

3ピッチ目5.12c:河合リードRP、Sさんフォロー×

4ピッチ目5.10a:SさんリードOS、河合フォロー〇

5ピッチ目5.12a:Sさんリード×、河合フォロー×〇

6ピッチ目5.7:河合リード〇、Sさんフォロー〇

中々都合と天気が合わず、ノーズ以来全然マルチに行っていないというSさんを、「快適マルチですよ~2ピッチ目と5ピッチ目はオンサイト狙えますよ~」と甘い言葉で誘い出した。極悪人だ。

先行パーティを見送ってから、すっかり慣れた1ピッチ目をこなし、未だに核心以外のムーブがうろ覚えの2ピッチ目をノーテンでこなした。やはり出だし2ピッチで結構体力を削がれる。先行パーティは3ピッチ目以降行かないようだ。

2ピッチ目のフォローからの3ピッチ目のリードは、すぐはしんどいので15分位休んでスタート。出だしのランジは、この日は一発で止まった。その後、クラック、上部の小核心群に耐えてRP。かなり疲れた。Sさんは、「怖い」を連呼するものの、ムーブを全てこなして登ってきた。リーチあると出だしのトラバースは問題ないらしい。

4ピッチ目はSさんが慎重にこなした。Sさんの踏んでいたフットホールドは河合が踏んだら壊れた。

5ピッチ目もSさんがオンサイト目指して取りつくも、トリッキーな花崗岩にやられていた。ワンプッシュチームフリー的には、どちらかRPしない限り先に進めないけど、Sさんは既に疲労困憊、無理言って付き合ってもらっていたこともあり、フォローをノーテンでこなして良しとすることにした。しかし、出だしの核心で、私も手がスリップ、落ちてしまった。疲労は確実に溜まっている。テラスまで降ろしてもらい、すぐにやり直し、上部カンテを落ちそうになりながら気合でこなして、今度は何とかノーテンで抜けた。

ここまで来たら、最後の6ピッチ目を登らなければならない。ホールドのもげるボロいルンゼを、固い部分選んでチムニーして、カンマンボロン山頂へ。登攀時間6時間、下降はフィックスのゴボウ+70mロープ懸垂下降4回で30分強。支点がよく整備されているので下降も快適。

こうして、個別ピッチRPとともに、ワンプッシュもどき(厳密には5pのリードが落ちていてやり直していないので、フォローはノーテンだがワンプッシュチームフリーでない)での完登を終えた。終えてみてわかったのは、5.12のピッチをこなすと、明らかに5.11のピッチとは異なる重いダメージが体に蓄積されるということだ。これは、まだ私が5.12を日常と出来ていないことの証拠だ。マルチピッチ仕様に体を戻すとともに、5.12を日常とする位、力をつけねばと感じた。

瑞牆山十一面岩正面壁アレアレア、カンマンボロン太陽の登

河合(記)、川上

 

誰も記録書いてくれないので、また書きます。
誰か書いてよ~、山行ってる人・・・

このご時世、風邪引くと大変に面倒。PCR検査に始まり、陰性となっても自宅待機が続く。おかげで瑞牆ベストシーズンの10月をほぼ棒に振ってしまった。

やっとこ3週間ぶりにクライミングに出られたのが10/31。もう終盤戦だけど、川上さんを道連れにして駆け込み瑞牆。

10/31

さて、そろそろ互いに今年の瑞牆の心残りに区切りをつけないといけない。川上さんは蒼天攀路3p目5.12b、河合はアレアレア6p目5.12bと7p目5.11dに未練があったので、この週末は未練を断ち切ることにした。

 まずは、川上さんにとってRP目前の蒼天攀路3p目だ。朝イチで90分アプローチをこなしていつもの取付へ。川上さんがヌン掛けしている間にワンパーティやってきた。ご好意で2便連続で出させてもらえて、川上さんは無事RP!

後続パーティの蒼天攀路トライ。富士をバックに映えます

 さっさと退散して、次目指すは白クマのコル。久々にベルジュエール6p目の5.10a大フレークを登って軽くアプローチ兼アップして、狙うは7p目の5.11dピッチ。

 が、しかし、出だしの地ジャンランジが止まらない。この時期なのに日当たり良好、真昼間で少々ヌメったけど、それを抜きにしても、出した右手が振られに耐えられない。撃ちまくるも敢えなく敗退。川上さんも少し触るも、手応えなしとのこと。飛ばない手順もあれこれ考えたけど、無理。

過去触ったイレブンの中で圧倒的に再難。5.11fか5.11g?ホールド欠けた?出だし以外マイルドなのでボルダーグレードの方がわかりやすく、初段位か。アレアレアを完登する上で、最大の核心であることを認識。非常に悔しい。修行して出直しだ。

アレアレア7p目5.11d。出だし、何にもない

 さて、気を取り直して、次は6p目5.12b。前回ヌメりでクライミングにならなかったけど、今回はパリパリだ。怖いのでトップロープだけど、1便目でプロテクションもムーブも解決。しかし、出だしのプロテクションはやはり怖い。ハーケン+青エイリアン、ブラインドセットで効いてるか怪しい紫リンクカムを離陸前にセットしてからの、根性レイバック中に黒エイリアン×2。黒エイリアンのセットはフルパワー核心まっただ中なので、2つセットするのが非常に辛いけど、1個では怖い。バナナクラックの核心セットより辛いぞ。PDっしょ。レストポイントまで離陸から6手、プロテクションセットなければ気楽なんだけどなぁ。その後は11a位の、出だしに比べれば簡単なプロテクションちょっと怖いレイバック系フィンガーで快適。このルート、シビアなフィンガージャムは出だし核心の1手だけ。

 結局この日は3便出して、後少しトップロープで黒エイリアンのセット慣れたらリードで狙うかなという感じまで来たけど、7p目のランジを解決できないのにRPしても仕方ないので、今年のアレアレアは終了。ランジの修行して出直してきます。

アレアレア6p目5.12b。出だしはクラックというよりミゾ

11/1

 当初は2日目もアレアレアか蒼天攀路の予定だったけど、川上さんも河合も懸案に一区切りついたので、どうするよ~と相談。「やっぱマルチで〆じゃね」という謎の境地に(主に河合が)至ったせいで、太陽の登5.12cに決定。

1p目5.12a:河合リード

寒い。核心はスラブだ。あっさりと手順間違えフォール。いや、手順分かっていても無理。うっかり左の木に触ってしまった。他はムーブ解決。最後までに気の抜けない、見た目いまいちだけど内容の濃いピッチ。川上さんも大体解決して上がってきた。ビレイ点は風が強くてかなり寒い。

太陽の登1p目5.12a。相変わらず楽しそうに登る川上さん
紅葉は最盛期で、鮮やか!

2p目5.12a:川上リード

いよいよ風が強くなってきて辛い。出だしはジェットストリームみたいな横トラバースからのマントル。川上さんたまらずテンション、でもその後はさくさくと抜けていった。

 フォローしたら、1箇所目の核心っぽいところでライン取りミスって落ちてしまい、最後の核心にはしっかりとやられてしまった。でも、快適に右に左に弱点を突く、素晴らしいピッチだ。これは気持ちいい!ノーテンで行きたかったけど。

太陽の登2p目5.12a。出だしではまってしまった川上さん

3p目5.12c:河合リード

風がアホみたいに強くて発狂しそうだ。が、川上さんに無理行って行かせてもらうことに。出だしの左トラバースは明らかな核心、全然ホールドに手が届かない。ムーブもわからずテンション。思い切って飛んでみたら一発で止まった。ボルダー2級位か。アレアレアの地ジャンより、飛び先ガバなのでずっとマイルド。ただ、この先長そうで、ビレイヤー殺しの寒さだったので、今日はここで御終い。クライムダウンして2p目終了点まで戻って、懸垂下降。

その後は、2人で1p目5.12aをトライ。河合は2便目で木を触らないムーブを見つけ、3便目でRP。5.12aど真ん中か。川上さんは鬼のように連続トライするも詰め切れず宿題に。

11/8

 先週太陽の登が楽しかったので、今週もリベンジ。先週よりかなり暖かい。

1p目5.12a:川上リード

 今度は順番チェンジで川上さんから。調子が出ないみたいで、スラブに足が乗れていないのが遠めに分かる。やはりテンション。河合は自動化済でノーテンだったけど、朝イチスラブはしんどく、川上さんの気持ちがわかった。

太陽の登1p目5.12a。核心のゴミホールド達が見える

2p目5.12a:河合リード

 このピッチはリードが最高に気持ちいい!もう、天国!!適度にレストポイントがあり、まさにエンジョイクライミング!前回寒くてダッシュで登ったためかムーブは怪しかったけど、核心の手順は覚えていたので、何とか押し切りRP。瑞牆の今まで触った5.12aの中で一番易しく感じたけど、これより易しい5.12aはいくらでもあるので、やっぱり5.12aかな。川上さんは何回かテンションかかり、やはりまだ本調子ではなさそう。

太陽の登2p目5.12aをフォローする川上さん。すっきりしたフェース

3p目5.12c:川上リード

 核心ピッチは川上さんに任せた。前2ピッチ調子悪そうだったのでちょっと心配だったけど、調子出てきたようで、出だしの核心あっさり解決、テンションかけながらも、さくさく上に抜けていった。河合はフォローだったけど、ここまでノーテンだったし、本気スイッチオン。出だしのランジを気合で決め、クラックセクションも辛うじて越えて、レストポイントが見えた。これはノーテン行けるかと色気が出て、目の前に見えたボロいフレーク、剥がれそうな気配あったけど、下に人いないし、思わずガストンで体重かけてしまった・・・剥がれた・・・50cm×40cm×10cmの巨大フレークを剥がしてしまい、私も剥がれてフォール。岩は1p目終了点下部に着弾、取付にメテオが降り注いでしまった。大反省。川上さんはこの岩は触っていないらしく、どうやら登攀ラインから左に逃げ過ぎてボロいゾーンに入ってしまったようだ。ここはマルチなんだと、今さら再認識。

 せっかくなので周辺のボロい岩を、下に人いないので落としまくって掃除、気を取り直してフォロー継続。残りもかなり危なかったけどノーテンで行けた。あ~、悔しい。ずっと小悪いムーブが続く系で、体感5.12b。

太陽の登3p目5.12c。これまたすっきりしたフェース
隣のHappiest Youを登るパーティ。ビレイヤーの服装に注目!上裸!!

4p目5.10a:河合リード

 ボロいスラブ。迂闊に脆いフットホールドに乗ると容赦なく取れる。グレード以上に慎重さが求められるピッチ。脆いホールドを片っ端から掃除した後、意地で草付には触らずオンサイト。

5p目5.12a:河合リード→川上リード→河合リード

 密かにオンサイトを狙っていたけれど、出だしでムーブをミスって敢無く撃沈。ダメダメだ。適当にムーブ作って抜けた。スラフェースからのカンテ登りで、変化あって楽しいピッチ。

 ここで川上さんが覚醒!出だしのムーブを粘りに粘って押し切り、フラッシュ!河合も2便目で登れたけど、作業感は否めず、あっけなく落ちた1便目に後悔が残る。なぜ川上さんのように粘れなかったのか。もっと1便を大事にしないと。このピッチは2p目の5.12aよりもさらに易しく感じて、体感5.11d。

太陽の登5p目5.12a。まだまだ続くすっきりしたフェース

6p目5.7は省略、一度下で落ち着きたいし、川上さんが因縁の1p目5.12aと勝負付けたいこともあったので下降。

 その後、川上さんは1p目5.12aと更に2便戯れ、最後は「(裏切られる)右足を信じなくてもよいムーブを発見」してRPしていた。曰く「登れなかったらトラウマになるところでした」。

 河合は前から気なっていたJoker5.12cの下部、美しいクラックのショートサーキット5.11bにトライ。シンハンドとオフフィンガーに苦しめられるも、短いので押し切ってオンサイト。すぐさまフォローで回収したら全く違うムーブになった。

ショートサーキット5.11b。右にある立木で支点構築可

 太陽の登は、核心5.12cでワンテン入ってしまってワンプッシュ・ノーフォールフリーは達成できなかったけど、十分勝負できたのは収穫。オールボルトで気楽だし、グレードも瑞牆にしてはマイルド。すっきりした岩の、素晴らしいルートでした。

そんなこんなで、その後川上さんと予定が合わないこともあり、今シーズンの瑞牆を終了。今年も楽しませてもらいました。でも、突発的に暖かくなったら、まだ行くかも。

来年は、アレアレアのワンプッシュを目標に頑張ろう。待ってろよ、7p目・・・

瑞牆山フリーウェイ

2020.10/3
河合(記)、川上

9月は連休以外天気悪くて機会のなかったフリーウェイ、やっと週末に晴れ間が来たのでリベンジ。

今回はリードRPまで前進不可、フォローも落ちたらテラスからやり直し。つまり、リードもフォローも下から順にオールフリーで登らないとダメというルール。荷上げあり。

この日は夜から秀峰小川山集会だったけど、我々は完登するまでヘッデンでも粘る決意(少なくとも私は)。登れない限り酒には永久にたどり着かない・・・

宴会へ向けて落ちずに行くぞ~ということで、気合入れて7:55登攀開始

1p目5.10d リード:川上

今回はちゃんと寒くてフリクションあるぞ。川上さん危なげなくクリア。

未だかつてないほどパリパリの1p目

2p目5.11c リード:河合

前回酷い目にあったけど、今回はフリクションが来ていて問題なし。私は上部トラバースが下部より苦手だ。

 

3p目5.11b var. リード:川上

勝手に新スタンダートの5.11b var.経由。川上さんは2箇所目のトラバース地点で相当粘り1撃でRP、前回の雪辱を果たす。フォローしたら前回より大分楽に感じ、ラインとムーブわかれば11b易し目かも。荷上げの都合で、川上さんは手前の立木テラスでピッチ切ってました。ここまで40m位。

3p目残りⅢ級位 リード:河合

7m位斜め上に移動し、10cクラックの真下まで。

4p目 5.10c リード:河合

ここから先は1年ぶり。ワイドテイストなピッチで、4番2個あると心強い。問題なし。次の終了点はボロいので、カム0.4~1辺りで支点構築。

楽しそうにフォローする川上さん

5p目+6p目リンク 5.11a+5.10a リード:川上

出だしのカンテが悪い。川上さん遂にフォール!すぐさまやり直すも、かなりプルプルな感じでクリア。河合もフォローの出だし足滑ってフォール!すぐやり直してクリア。核心が最初の方でよかった。なお、この11aのピッチの終了点はハンギングビレイになるので、次の10aピッチもリンクした方が快適。リンクしてもロープ30m。

7p目 5.11a リード:河合

私の唯一RPできていないピッチ。1年ぶりに対面するも、出だしのスラフェースのマントルは相変わらず悪い。探りまくって意を決して発進するもフォール。2回目で突破。どうやら最適ムーブではなかったようだ。上部の10cスラブは、今回は問題なし。フォローの川上さんは11aマントル一発も、上部10cスラブで無念の不意落ち。もちろんロアーダウンでテラスからやり直し、次は突破。

8p目 Ⅲ級 リード:川上

 Ⅲ級となっているけど、出だしのワンムーブは5.9位あると思う。30m位ロープ出たところにある、残置のある立木でビレイ。

1年前に10cピッチの終了点に懸垂下降で残置したビナが、移動していた

後は台座の裏側から回り込んで、13:35に大面岩山頂に到着。

登攀5時間40分。

大面岩頂上の岩の上にて、川上さん

 [

同河合。背景真っ白

2回落ちたけど、やり直してオールフリーで終えることができて良かった。

コンディション良い時に登ると、こんなに快適なのか~というのが、正直な感想。

体力的にも余裕があり、ワイルド・アット・ホームや一刀への継続も視野に入って来た感じ。荷物絞って荷上げ無くせば、登攀時間も1時間は短縮できる?

けれど、今回は宴会が待っているのでさっさと下山。

下山時、いつも気になっていたボルダー課題、ジャイアンとパンダ3級のオンサイトを2人で決めた。この課題は高さがないのでノーマットでも怖くない。

小川山の宴会場には、瑞牆からなのに、まさかのクライミング組一番乗りだった。これで「ヘッデン野郎共」の汚名返上だな。翌日、川上さんは日没してからもスラブと闘って、すぐさまヘッデン野郎に戻っていたけど。あ、私もか。

フリーウェイはやっぱ5.11b var.経由がいいよね~というのは、川上さんとの共通した感想。

川上さん曰く「クラックからクラックを繋いでフリーで登る感じが、ヨセミテを感じさせる」そうで、私はヨセミテの切れたクラックは全て振り子トラバースで突破してきたのでよくわかんないけど、とにかくライン取りは素晴らしいです。

5.11b var.経由で途中リンクすれば5.10d→5.11c→5.11b→5.10c→5.11a→5.11a→Ⅲ級と、中だるみもなくなり、イレブンも4ピッチ稼げて、日本を代表するイレブンマルチ!!と思いました。お勧めです。

大面岩頂上からの、一瞬の絶景

瑞牆山 小ヤスリ岩 山灯花

河合(記)

小ヤスリ岩正面壁の中央、垂直の広大なフェースを登るこのルート、瑞牆林道への右折ポイントからでも、容易にそのラインを追うことができる。見た目の迫力は、かのエクセレントパワーと遜色ないと思う。しかし、人気はないようだ。過去に他パーティと被ったことはなく、トライ中のクライマーも2パーティしか見たことがない。年間で片手程度のパーティしかトライしていないのではと思う。
不人気の理由は色々ありそうだ。アプローチが80分強、標高差500mと遠い。グレードも発表時5.13a、瑞牆本で5.12dと、気軽に取り付くには中々ハードルが高い。そしてランナウト。25mのフェースにボルトは7本、特に一連の核心は強烈で、並のトラッドより緊張する。

ここ!

ショートピッチなのにビレイ地点から足元スースーで高度感満載の本ルートに惚れ込み、今年、集中的にトライした。今年の初夏と秋に小ヤスリ岩で黄色か赤色の奴が絶叫していたら多分私です、お騒がせしました。

核心に入る。Thanks to S木さん

(1日目)
2020年夏、川上さんの蒼天攀路3p目5.12bのトライに付き合いがてら、上から懸垂下降して、1便トップロープで触った。ムーブは全て起こせたけど、繋がるイメージ湧かず。

6ボルト目から下を見下ろす。ヨセミテっぽい景色。ボルト間隔が…

(2日目)
2021年初夏、トライ開始。この日は、以前このルートを登ってみたいと話していたS田さんに付き合ってもらった。今回はちゃんとリードするも、何度もバンジージャンプ、怖ぇぇ…。最終クリップ手前でバランスを崩し、剥がれるように頭を下に落ちてしまったのは、怪我しなかったけど大失態。1便目でアップどころか指と腕が終わりかけ、メンタル終了。以降トップロープでトライを継続、計4便出した。毎回リードしていたらヌンチャク回収できなかったと思う。S田さんは蒼天攀路3p目5.12bを2撃しているのに核心がこなせず「5.13aは少なくともある、封印。」と一言。パートナーを1名失った瞬間であった。

お手上げポーズ?のS田さん

(3日目)
今度は川上さんに「微笑街道5.12cやりなよ~かっこいいよ~、その間俺は隣の山灯花やるからさ~」と甘い声をかけて誘い出すことに成功。以降、パートナーは川上さん。今回も初便はリード、やはり指と腕が終了しかけた。残りはトップロープで計4便。新たにレストポイントを発見、できそうな気がしてきた。川上さんは微笑街道5.12cのムーブを順調に解決していた。ボルト8本+5番カムで、山灯花ほどランナウトしないそうだが、核心はそれでも相当ランナウトしているように見えた。小ヤスリ岩正面壁の3ルートは、どれも容赦のないランナウトが漏れなく付いてくるようだ。

(4日目)
今回からトップロープを封印、全トライリードで臨む。3便目に覚醒、核心ムーブが繋がり、最終クリップ手前まで行くも、クラックを保持れず宙を舞った。ワンテンとなった。この日は微笑街道に川上さんと、それ以外に1パーティ、蒼天攀路3p目に1パーティで小ヤスリ岩正面壁満員御礼という珍事。両パーティとも知り合いなのが、この世界の狭さを物語る。3人並んで登っている写真撮っていたらぜひ下さい。午後は突然の夕立で微笑街道パーティがヌンチャク回収不能に。タイミングよく山灯花のヌンチャク回収を終えた直後だったので、ロープをゴボウして上から回りこんで回収。

(5日目)
先週微笑街道5.12cをトライしたS木さんはRPトライを夕立でロスト、リベンジで秀峰パーティに合流。暑くなってきたので早く登攀を開始すべく、植樹祭駐車場5:30集合の朝活。S木さん、川上さんはあっさり微笑街道を片付けるも、私は山灯花核心ムーブに苦戦、一度も突破できず。S木さん、川上さんも山灯花に参戦。山灯花の核心ムーブは微笑街道より厳しいそうで、2人とも核心で敗退。

核心まで一撃、さすがのS木さん

(6日目)
5日目の翌日に朝活トライ。前日の疲労を引きずり、繋げると核心がどうしてもこなせずワンテン地獄。川上さんは全てのムーブを解決した模様。

前半のランナウトを堪能する川上さん

(7日目)
10/2。新型コロナウイルス肺炎と後遺症地獄で3ヶ月近くブランクが空き、すっかり秋になってしまった。2週間の入院と2ヶ月近くの自宅療養で体はボロボロになり、振り出しに戻った感じだ。アプローチが既に辛い。こんな状態でインドア含めクライミング復帰初戦が山灯花のヌンチャク掛けなんて、アホと言われても仕方ないが、溜まりに溜まった狂気に近い情熱の捌け口は、ここしかない。
1便目で奇跡的にトップアウトできた。自宅療養中のbeastmaker効果か。しかし、へとへとに疲れてしまった。2便目で核心一手目まで辛うじて到達するも、全く繋げて登れる気がしなかった。不甲斐なさに落ち込む。友人クライマーの言葉を借りれば「まだまだ楽しませてくれる」。ポジティブに行こう。
寒くなるまで絶対諦めないという固い決意表明でヌンチャクを残置。今の体力だとヌンチャクがけでその日が終わってしまう。

(8日目)
10/9。この時期にしては暑い。甲府は30℃、取付も14℃近くだ。先週より調子は劇的に良くなり、2便目で核心が止まりかけた。その後も繋がり1テンになった。核心の手順を変更し、3便目ではヨレヨレの中、遂に4日目以来核心を突破したが余力なく、次のクリップ後足を滑らして落ちてしまった。叫んだ。体力なくて土日の2連登は無理だけど、体が岩を思い出してきた気がする。

(9日目)
10/16、今週もこの時期にしては暑い。甲府は28℃だ。1便目から繋げて頑張り、手のかじかみに耐えながら最終クリップを越えるも、余力なく後6手でフォール。最後までデッドポイントの応酬で、きついことこの上ない。1便目で寒いのに頑張り過ぎたためパンプ、以降も引きずり、2便目は更に高度を上げるも後4手でフォール。最終便はヌメって、核心を越えたところでスリップしてしまった。RPが視野に入ってきたが、現状の弱った持久力で、苦しい最後をこなせるかどうか。リップを掴むまで全く気が抜けない。

(10日目)
10/31。前の週は風邪でダウン、いつの間にか季節は進んでいて植樹祭駐車場の日陰は真っ白。取付は最高気温6.2℃。寒い。1便目は寒過ぎて各駅でムーブの確認、2便目は14時前の、日が当たって暫く経って温まるのを待ってトライ、核心後と最後の2箇所危なかったけど、何とか押し切ってRP。大絶叫。末端壁まで普通に聞こえてしまったらしく、大変お騒がせしました。コロナ療養地獄の日々と、全然思い通りに動かない体、色々こみ上げてきて潤っときた。まだボロボロだけど、これでクライマーとして少しは復活できたかな。

(ルートの構成)
【オンサイト狙う方は以下を読まないでください】
・4ボルト目クリップ後に大レストでき、実質ここで上下に分かれる。4ボルト目まではムーブのわかりにくい5.11c程度の小コーナーからのガバフェースで、このルートのランナウトっぷりを出だしから堪能できる。マスターで登る場合、2ボルト目が遠いので、小柄な人は手前のフレーククラックに0.5か0.75カムをセットすると安心。ヌンチャクがかかっていれば問題なくクリップ可能。
・4ボルト目からが第1核心。カチとポケットに誘われるままムーブを起こしていく。4~5ボルト目は唯一ボルト間隔が少し近く、エイドでチョンボ可。
・5ボルト目にクリップしてから始まる一連のムーブが核心。最初のガツンと来るムーブから6ボルト目まで小悪いムーブがランナウトで続く、このルートのハイライト。慣れるまでは結構怖い。
・6~7ボルト目は性質が変わり、わかり辛いホールドを探しつつバランシーなムーブをこなす。目を皿にして使えるホールドを探そう。
・最終7ボルト目からは持久力勝負。クラックと言うには浅い溝を活用しつつ、散らばるホールドへのデッドポイントを連続してこなし、最後はパンプした腕でマントルを返す。私で実質スタートの1ボルト目クリップしてから計74手。
・このルートには他にも重要な核心がある。付き合ってくれるパートナーの確保だ。私は幸い川上さんやS田さん、S木さんといった優しい人々に恵まれた。特に川上さんには9日間も付き合ってもらい、深く感謝。

(感想)
典型的な花崗岩垂壁フェースで、右に左に弱点を突いて絶妙にラインが繋がっており、多彩なムーブを要求されとても面白かった。使えるホールドは色々あり、リーチもあまり関係なさそうだ。花崗岩フェースにありがちな極端に悪いムーブはなく、部分的に切り出しても難しいセクションで2級程度だろう。その代わり内容はストレニュアス、傾斜がド垂直で細かいホールドも多く、結構なカチ持久力が必要だ。見栄えとシチュエーションは最高級、岩も固く、チョーク跡もほとんどない(最近は我々の残滓があるかも)、順番待ちとは無縁、夏でも涼しい、雨後の乾きが良くコンディションも割と安定、素晴らしいルートだった。個人的には4つ星、とってもお勧め!
グレードは、高グレードの花崗岩フェースの経験が少ないので正確にはわからないけれど、太陽の登3p目5.12cと2グレード以上の差を感じ、労力的に過去に登った何本かの5.13aと全く遜色なく、(例えば、タイプは違うけどルート構成の似ている虎の穴5.13aより少し難しく感じた)、初登時の5.13aで良いのではと感じた。一緒にトライした川上さんも、微笑街道5.12c+1.5グレード位あり、同等グレードのルートだと、任侠道より大分難しいとのこと。
コロナで死にかけどん底に落ちたこの夏、ただひたすらこの灯を目指した結果、再び戻ってくることができた。私を導いてくれた、特別な灯だ。

以下、諸々の写真

アプローチのフィックスは足スースー。フィックスの安全は必ず確認を!
シャクナゲ満開のアプローチ
雨に遭う日も…

皆さんそれぞれの課題で頑張ってました。かっこよかったです。

仲秋(泉5p目)5.12d PDをRPするI田くん
千日の瑠璃4p目5.13d R/Xを探るM井さん
千日の瑠璃3p目5.14a Rを探るO西さん
蒼天攀路3p目5.12bを登るI島さん
蒼天攀路3p目5.12bを登るK野さん
微笑街道5.12cを登る川上さん。Thanks to 齊藤さん
微笑街道5.12cを登るS木さん

いや~、小ヤスリ岩ってほんといいところだな~

取付からの大絶景
山灯花5.13aで富士山をバックにレストする河合。Thanks to I田くん

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登
河合、川上(記)

これまた緊急事態宣言の隙間の記録。
このルートの記録書くの何回目だろうか。

前回、散々付き合ってくれた川上さんを裏切り、抜け駆けで太陽の登を登ってしまったので、今度は川上さんにも太陽の登にけりをつけてもらうべく、もう1日行ってきました。本人は忙しそうなので、また勝手に私が記録つけておきます。

(今回のルール)
・各ピッチ、どちらかがRPしない限り先に進まず、チームフリーを目指す。
・2、3ピッチ目は未RPの川上さんリードで、川上さんRPまで先に進まない。
・フォローのテンションは、時間あれば下からやり直すけど、基本やり直しなし。
・河合はサポートで1、5ピッチ目のリードを担当(足引っ張るなよ)。

【1ピッチ目5.12a リード:河合】
7;45開始。2、3ピッチ目の川上さんのトライのためには一発で登りたいところ。このピッチは4回連続で落ちてないので大丈夫と思ったら、最後の核心で右手の結晶がポロっと取れてズルっといきかけて危なかったけど耐えた。川上さんはフォローで核心1テン入ってしまったけど、足はちゃんと乗れていい感じだったそう。

壁黒くね?
いや、気のせいだろ。
黒く見えるのは心が煤けているからだ!
雨上がりの1ピッチ目。

【2ピッチ目5.12a リード:川上】
この日は本当に緑が綺麗だった。このルートの魅力は内容もさることながら、景色にもあると思う。なんてことを思いながらまったりビレイしていたら、最後の核心で川上さんが落ちてしまった。長いのでやり直しは体力を消耗する。短い休憩を挟んだ2便目で川上さんはきっちりRP。私も落ちずにフォロー。

新緑の道!

【3ピッチ目5.12c リード:川上】
川上さんの根性を見た!川上さんは1便目はヌンがけに徹し、さあ次で、と思ったら出だしの核心ではまり2~4便目を無駄にしてしまう(出だしのみでロアーダウン)。気持ちはわかるが、少し落ち着こうか。日差しでホールドが温まってきてしまったけど、大休憩を挟んだ5便目で出だしの核心を抜け、遂に行ったか!と思ったら上部最後の核心でミスったそうで、吹っ飛んできた。「マジかーぁぁ!」の声がこだまする。さすがに今日は無理で出直しかな~と思っていたら、6便目でなんと決めてきた!9便目で5.12c RPしてくるとか、どんな体力してるんだ・・・私も出だしのランジが一発で決まりシャウト、そのままの勢いでノーテンフォロー。

ビレイ点にて、川上さんbefore

【4ピッチ目5.10a リード:河合】
後は俺の仕事だ任せろヘッデン出してでも今日中にチームフリーするぞ、ということで河合リード。大分ボロいホールドは掃除したと思う。問題なく再登&フォロー。

【5ピッチ目5.12a リード:河合】
このピッチはトリッキーなムーブがあるけど安定してこなせて、危なげなく再登。川上さんは出だしの核心で落ちてしまったけど根性でテラスからやり直し、最後の核心で歯食いしばってノーテンフォロー、マルチピッチフリーかくあるべしという気合を見た。やばいぜ!

イクストランへの旅に出ているパーティが!いいなぁ!!

【6ピッチ目5.7 リード:河合】
川上さんはこのピッチを登ったことがないというので「行く?」と聞いたら、「もう5.10台でも落ちそうな位ヨレてる」そうで、「5.7だから行けるじゃん」なんて野暮なことは言わずに河合リード。ボロいルンゼも慣れたので問題なく再登&フォロー、17:20カンマンボロン頂上に到着!

川上さんafter。
そしてこの笑顔である。
肖像権は・・・

今回は9時間半かかったけど、ワンプッシュチームフリーで太陽の登を登ることができた。個人的には一度も落ちずに頂上まで登れたのが嬉しい。それにしてもこの日13便出した川上さんには脱帽するしかない。私も体力付けないとなぁ。

8月瑞牆山マルチ(アレアレア、ワイルド・アット・ホーム、夢のカリフォルニア)他

順番は前後しますが、過去のものも、随時上げていければと思ってます。
管理人がさぼらなければ。

2020年8月の12日間
河合(記)

この半年は色々なことがあった。コロナ禍でイタリア赴任が出国2日前に幻に消え、東京で住む場所が消失、補充人員として非常事態の職場内を転々、コロナ自粛でクライミングも2ヶ月以上ブランク。

自粛解除後からはリハビリ外岩。ボルトルートのショートピッチやボルダーで体が戻ってきたので、8月は瑞牆山に通った。(なお、8月現在私は都民ではないことを断っておきます。)職場より瑞牆行った回数の方が多いかも・・・?

 

8/1(1日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

11ヶ月ぶりにマルチに復帰。玉置さんと。着いて早々「濡れてる・・・」

1p目5.11c(リード:河合)
早速コーナーで濡れた足が滑ってテンション。核心のスラブ部分も、キーホールドが濡れていてテンション。でも、ムーブは濡れていても起こせることがわかった。

2p目5.10c(リード:玉置→河合)
びしょ濡れの簡単ワイド~ハンドクラック。玉置さんギブアップでリードチェンジ。濡れていてもハンドなので問題なく再登。

3p目5.11a(リード:河合)
全面びしょ濡れ。玉置さんに「行く?」と聞いたら「行ってみよう」というので、行ってみた。雑巾ムーブ多用、最後1手まで行ったところでムーブミスって落ちた。以前オンサイトしたはずなのに・・・半分以上のホールドが濡れていてチョークは意味なし。濡れていてもカチホールドはカチれることがわかった。

がっつり濡れてる・・・

 

4p目5.10d(リード:河合)
見た目乾いてそうで安心。でもジャムしたら手が黄緑色に。再登。このピッチは瑞牆にしては珍しくグレード甘目で、5.10bか、あっても5.10c位。

5p目5.11b(リード:河合)
このピッチも乾いていて嬉しい。ヌメるけど。昨年落ちたけど、今回は無事リベンジ。変化に富んだ楽しいピッチ。でも最後のスラブがちょっとボロくて怖い。

ここまで来て、もういいやとなって、太陽のテラスから懸垂2発で下降。

 

8/2(2日目)【大ヤスリ岩:夢のカリフォルニア5.10b】

前日びしょ濡れでげんなりだったので玉置さんと相談、この日は確実に乾いていそうな大ヤスリ岩、夢のカリフォルニア5.10bへ。あわよくばミステリー5.12aに繋げる作戦。

1p目5.10b(リード:河合)
初っ端から厳しいレイバックで怖い。テンションと叫びたいのをぐっと我慢して耐えると気持ちよくワイドになった。後半終了点手前の岩は浮いているので要注意。オンサイト。


ヌンチャク下の岩は浮いているので注意

2p目5.10a(リード:玉置→河合)
まずは玉置さんにトライしてもらうも、ワイド部分ギブアップでリードチェンジ。このピッチは本当に気持ちよく快適なクラックで、さくっとフラッシュ。トポに出ていた終了点が存在せず、仕方ないのでナイフピークの根本まで。

ついでにロープ伸ばしてミステリー5.12aを見に行くも、古いRCCとリングボルトしか見えず、思った以上にドスラブ、心が折れて登らず撤収。

この日の核心は下降。1p目終了点に荷物置いてきてしまったので同ルート下降せざるを得なかったけど、危惧した通りロープが激しくスタック、マイクロトラクションジャンプとかで何とかしたけど、もうげんなり。クラック横のリングボルト抜くのはまだわかるけど、トポに出ている終了点まで撤去するのは、やり過ぎじゃないかと思った。同ルート下降はお勧めできない。

 

8/8(3日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

この土日はツヨツヨの川上さんが付き合ってくれるので、前からトライしたかったアレアレア5.12bへ。今の我々にオンサイトは厳しいので、なるべくムーブを解決してトップアウトを目指すことに。

 

1p目5.11d(リード:河合)
出だしからいきなり悪くてA0してしまった。出だし以外は各駅停車だけどムーブ起こせた。カムは0.4、1、2を使用。

2p目5.7(リード:川上)
いや、5.7とか嘘でしょ!?5.10aか10bはある悪いスラブ。川上さんはオンサイト、河合もフォローでノーテン。

3p目5.7(リード:河合)
このピッチはちゃんと5.7だった。ベルジュエールと共通で、再登。カムは2使用。

4p目5.12a(リード:川上)
前半の核心ピッチだ。まずはカンテ登り、2ボルト目がとても遠くて怖い。その後も容赦ないランナウトで、川上さん各駅ながら渾身のトップアウト。メンタル耐久力ないと、このピッチで敗退もあるかも。河合はフォローで全ムーブ起こせた。核心は1級くらいありそうな垂壁ムーブで悪い。カムは0.5、0.75、1使用。

5p目5.7(リード:川上)
5.7とか嘘でしょ!?その2。短いけど悪い濡れ濡れコーナークラック。川上さんは何事もないようにオンサイトしてたけど、河合はフォローでも落ちそうになった。カムは0.75か1辺り使用、だったような。

6p目5.12b(リード:河合)
出だしにハーケンが2つあるという話だったけど、最初の1本しかない。蜘蛛の巣べったりでトライの形跡もない。3番カムで補強してスタートするも、日差しでヌメヌメ、どうしようもない。エイドに切り替えるも、カムが効かない。片刃効きカムを束ねて体引き上げて黒エイリアンを決め、そっとテンション。抜けたら多分グラウンドフォールだ。ノーズの冷や汗エイドを思い出した。その後プロテクションは問題なくなったけど、ヌメって、ただのエイドクライミングになってしまった。フォローの川上さんは出だし以外何とかなった模様。出だしはPDでもいいんじゃないかと思った。

多分快適にフォローしているように見える

7p目5.11d(リード:川上→河合→川上)
ピナクル上から次のホールドまで、遠くて足もない。どうやらランジのようだ。川上さんが飛びまくるも止まらず選手交代。10回位飛んだら1回止まりかけるも、ホッカホカのホールドに耐えられず。再び川上さんにスイッチ、A0交えてトップアウトしてもらった。ランジの後は10台のスラブと5.7位のクラックでマイルド。カムは0.75~2辺り使用。

朝8時スタートで、この時点で17時過ぎていて日が暮れそうだったので、ベルジュエールと共通の3ピッチは互いに既登だったこともあり省略、白クマのコル経由で下降。

今シーズントライした人はまだほとんどいないのかもしれない。素晴らしいルートなのに、もったいない。

8/8(4日目)【小ヤスリ岩:蒼天攀路5.12b、山灯火5.12d】
川上さんは蒼天攀路3p目5.12bをやってみたい、私は山灯火5.12d触りたいということで、小ヤスリ岩へ。蒼天攀路3p目は、最初とにかく怖いのだけど、川上さんは気合と根性で1便目からトップアウトしていた。河合は2年前に既登なので快適にフォローさせてもらったけど、後半の核心でテンションかけてしまった。

その後、山灯火5.12dにトップロープでトライ。結構ランナウトしていて、リードだと大変そう。ムーブは1便目で全部ばらせ、核心はボルダー1級くらいか。指と足の持久力がかなり必要そうだったけど、本当に気持ちいの良い素晴らしいルートだった。今度はちゃんとリードでトライしたい。

この後は再び蒼天攀路ビレイ点に下降して川上さん炎のトライのビレイ。

山灯火は、ザ・垂壁。出だしから怖い

 

8/9(5日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

この日は仕事で帰った川上さんに代わって、薄田さんに付き合ってもらった。3日目でヨレてたけど、そこは気合だ。

1p目5.11c(リード:河合)
スラブはヌメったけど、きっちりRPできた。薄田さんは出だしでテンションも、スラブ部分はノーテン。さすがっす。

核心手前トラバース中の薄田さん

 

2p目5.10a(リード:河合)
乾いていれば快適。

3p目5.11a(リード:薄田)
当初は河合のオールリード&荷上げのつもりだったけど、薄田さんがやりたいとのことでチェンジ。いつも通り濡れているフェースに四苦八苦した模様。このピッチ、乾いていることってあるの?河合はもう慣れているのでノーテン。

4p目5.10d(リード:河合)
もう3回目だし問題なし。

5p目5.11b(リード:薄田)
また薄田さんがリードしたいというのでチェンジ。3p目よりは手応えあったようだ。河合もさくっとノーテンでフォロー、と言いたかったけど、最後のスラブで足滑らせて危なかった。

6p目5.8(リード:薄田)
チムニーのピッチまでは登りたいというので、また薄田さんに行ってもらうも、慣れないワイドで大苦戦だった模様。久々の手羽ムーブ。

このピッチで面倒になったので下降。最後のピッチ登ってないけど、とりあえず個人的にはノーテン・ワンプッシュ完了。次は継続だ。下りながら見たHappiest you5.12cは面白そうだった。太陽のテラスからロープぶん投げた方向が左より過ぎて悪く、ロープがスタックして下降が大変だった。面倒でも、鎌形ハング上で1回切った方が良い気がする。

 

8/15(6日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

遅い夏休み開始。また川上さんに付き合ってもらってアレアレア。今回はフィックス使って、下から順にRPして土日で白クマのコルから抜けることが目標。

 

1p目5.11d(川上×RP、河合×××RP)
川上さんがトライするも、出だしムーブばらせず。河合がムーブ解決、すぐさま川上さんRP。河合は自分で作ったムーブをなぜか間違え、結局4便もRPにかかり出だしからつまずいた。同じくボルダームーブの砂の塔5.12aより難しく、体感5.12a。

ハングを抜けるとコーナークラック(ハーケンあるけどカムも欲しい)

 

2p目5.7(河合RP、川上フォロー)
怖いスラブを今度は河合リード。わかれば5.10a位。やはり5.7ってことはないと思う。

3p目5.7(川上再登、河合フォロー)
特になし。

4p目5.12a(河合××、川上××)
先週より日が当たってヌメり、核心ムーブが起こせなかった。ランナウトが痺れる。川上さんは最終ボルトのはるか上から吹っ飛んできた。

ここで時間切れ、取りつきまでロープ2本でフィックスして下降。

 

8/16(7日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

朝イチで空中ユマーリング。ヨセミテっぽいぞ。

 

4p目5.12a(河合×RP、川上×)
1便目から狙っていくも、核心ホールド保持れず。川上さん推奨の持ち方を試したら保持れるようになって、次の便でギリギリ何とかRP。シャウトでお騒がせしました。この時期、日が当たると勝負にならず、10時過ぎが本気トライのリミットだ。川上さん曰く「人生最難の5.12a」とのこと、河合の体感は易し目の5.12b。良い時期ならもうちょい簡単に感じる、といいな。

核心でぶら下がる川上さん。ムーブ悪いぞ

5p目5.7(河合RP、川上フォロー)
コーナークラックも、今日は乾いていた。でもワンポイント結構悪くて、5.9か5.10a位あると思う。6p目は既にアツアツでヌメって話にならないので、そのまま白クマのコルにロープ伸ばして脱出。後半戦は涼しくなってからかな。

時間が余ったので、午後は川上さんの蒼天攀路3p目5.12bの炎のトライのビレイ。私は指皮が終わっていて試合終了。めちゃ暑くてビレイだけでも熱中症になりそうだった。

 

8/18(8日目)【大面岩下ボルダー:青い日2段ほか】

パートナーいないのでボルダー。前から気になっていた青い日2段を触ったけど、ホールド遠い上にヌメって何もさせてもらえず。他にいくつか触ったけどあまり登れず、成果は2級1本。

青い日2段。綺麗だな

 

8/19(9日目)【金山沢ボルダー:鷲は舞い降りた初段ほか】

この日もボルダー。朝イチで、昨年登れなかった鷲は舞い降りた初段に打ち込むも、後ちょっとで左手が止まらず悔しい。その後トラマン1級、山形県エリアで阿修羅初段、ヒドラ1級などトライするもいずれもヌメりで心が折れて、ヨレヨレの中、何とか穴契約社員3級とトラツグミ3級登って終了。トラツグミ3級は面白かった。

鷲が舞い降りた初段、左手目測誤って痛恨のフォール

 

8/22(10日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12b】

雨が降りそうだったので、川上さんとカンマンボロン砂のエリアへ。7月に1便だしたEternal Wish5.12bをトライ。前回濡れていた核心ホールドは拭けば登れるレベル、3便出して核心2度抜けたけど、両トライとも最後落とされてしまった。プロテクションは間隔遠いけど、ちゃんと決まる所があり不安はない。

Eternal wish5.12b。傾斜やばくてロープがおかしな方向に垂れてる

 

8/29(11日目)【大面岩:フリーウェイ5.11c】

今週も川上さんとマルチ。1年ぶりのフリーウェイ。

 

1p目5.10d(リード:川上)
川上さん問題なく1撃。河合もフォローでノーテンだったけど、ヌメるぞ。

2p目5.11c(河合××〇、川上××フォロー)
1便目はクラック入る手前の最後の核心で落ちてしまった。その後また同じ場所で落ち、川上さんも吹っ飛びを繰り返し、大分時間食ってしまった。過去最悪にヌメって心が折れそうだったけど、何とか3便目でねじ伏せた。指が痛い。(この日のルールで、どちらか完登しないと前進できない)

 

3p目5.11b(川上×、河合FL)

今回はより充実するため、5.11b var.を選択。川上さんが難しいライン取りを解明してくれたので、気合でフラッシュ。出だしのランナウトが痺れた。ほとんど登られた形跡がないけど、泥チムニー登るよりよっぽど快適だし、充実するのでお勧め。カムは小さいのから4番まで2セットでちょっと余る位。

 

3ピッチ目var.5.11bは秀逸なライン取り。
こっちがフリーウェイの新スタンダート?
どこでトラバースするか、センスが問われる

 

ここで大雨が降ってきて敗退。残念。

 

8.30(12日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12bほか】

この日は前日よりも予報が悪かったのでフリーウェイを諦めて砂のエリア。Eternal Wish5.12b1便目でキーホールドを掃除して、2便目でRP。体感5.12a/b。またシャウトでお騒がせしました。難しいジャムはないかわり、フェース力と耐久力が問われる1本。RP直後から、やはり雨が降ってきた。

川上さんも後ちょっと。その後岩の殿堂5.12cに行こうとするも、以前登った砂の塔5.12aの核心ホールドがごっそりなくなっており、以前のムーブに固執したら1便目でトップアウトできず、2便目で抜けるも時間切れ。核心は以前登った上回りだとワングレードアップ、下回りは変わらないと思うけど、またホールドが欠けるかもしれない。岩の殿堂5.12cは次回また天候不安定な時に。

川上さんEternal wish5.12b核心を抜けたところ

8月は天気が良くて、計画した山行がほとんど実現できて良かった。これからフリクションが来る季節、天気良くて色々登れるといいなぁ。

春うらら

2019年9月15日
河合(記)

うちの会は山行っても記録書いてくれない人が多いので、せめてマルチ行ったら記録書くことにしてます。今回も一応マルチなんで書きましたが、実質ショートピッチ的トライ・・・
(記録書くと反省できてそれなりに意味あると思うんで、みんな登ってばかりいないで、たまには書いた方がいいと思いますよ。文字にすると見えてくるものもあるし。>うちの会の人)

2ピッチ目5.12aの核心へ入る
 今更このルートの歴史を語る必要はないでしょう。瑞牆山に通うクラック好きとしては、是非登りたい。諸事情で今シーズン中に絶対登りたいということで、春うららかな日に1p目5.11b、秋に2p目5.12aをやろうと思った年度のはじめ。
4月20日
GWにヨセミテで一緒に登る予定だったI君、さらにTさんOさんと、ゲート開く前から末端壁。さっそくアップもせずにI君が1p目に取り付くも、出だしでフォール、チェンジングコーナーでもテンション。そして私もトライ。出だしのグーチョキパーで不意落ち。すぐ登り直すも、チェンジングコーナーでプロテクション取れず、怖くて後ちょっとで落ちてしまった。後のコーナーはノーテンで抜ける。2便目はチェンジングコーナーで無理やり0.75決めて右壁のガバポッケを掴んでほっと一息。後は慎重に登って2撃。

長くて美しいコーナーをランナウトさせて登る
 1p目は後半の美しいコーナーは長くて持久力多少いるけど休めるし、ほぼ腕フルパワーで下部核心に突入できるので、取り組みやすい印象。I君のムーブ見ていたのに1撃できなかったのは悔しい。
ロープをフィックス、I君がユマールで上がってきた。ヨセミテっぽいぞ。そしてI君は2p目をトライ。こつこつ高度を上げてトップアウト、ムーブも大体ばらせたみたい。時間的に私のリードの時間はなさそうだったので、トップロープで触らせてもらうことに。
出だしのドラキュラ部分は無我夢中で登ったらノーテンで行けた。後もムーブは一応作れたような気がしてトップアウト。プロテクション取るのが課題っぽい気配を感じた。歯が立たないわけではないことがわかり、秋に本気トライすることに決めた。
9月8日
まだ暑くて時期じゃないと思うけど、空いているうちにムーブを固めて、シーズンインしたら確実にRPする作戦。野澤さんが1p目トライついでに2p目をビレイしてくれるというので、1p目をリードしてもらって、ザックを背負ってフォローするも、テンションが入る。出だしのグーチョキパーは、わかればプロテクション取らなくても大丈夫な位安心感があるけど、チェンジングコーナーはやっぱムズい。
2p目はムーブ全く覚えておらず、そもそもカムセットしていないので最初からやり直し。1時間半以上かかって各駅停車でムーブ解体してみたら、フットジャムで足がめちゃくちゃ痛くなった。
野澤さんの2p目のトップロープトライ(巻き添えにしてすんません)を挟んで、トップロープでカム持って2トライ目。日当たり良好過ぎてヌメリが激しい。プロテクションを徹底検討、少し間引いたがまだ多いなぁ。この日のトライはこれで終了、野澤さんの1p目ビレイのため、地上に戻った。
9月14日
今度は1p目RP済の川上さんが付き合ってくれるとのこと。運が良いことに曇り。アップ兼アプローチで1p目を河合がリードするも、指入れるところに0.5入れてチェンジングコーナーで早速テンション。まともに登れないものか。
乾いているように見えた2p目の1便目。上部シンハンド~甘いハンドクラック帯はヌメヌメで、レスト後の上部は水が滴るレベル。でも、ムーブもプロテクションも大分固まった。最後のカムは、4番じゃなくて2番キャメで問題ないことが判明。軽くなるぞ。
川上さんのトップロープトライを挟んで、2便目は本気で狙ってみることにした。ドラキュラを越え、パンプに泣き叫びながらレイバック帯を2回こなしてシンハンド~甘いハンドの核心の直前で死に物狂いでレストするも、ヌメってジャムの効きが悪くて、腕が全く回復してこない。結局体を引きつける力が戻らず、落とされてしまった。核心周辺のムーブを念入りに再確認して、翌日の朝一に賭けることにした。
9月15日
この日は1p目のRPのかかった野澤さんも合流。朝1でアップもせずにきっちりRP。チェンジングコーナー登りながら3つもプロテクションを決めるってすごい。ロープをフィックスしてもらって川上さんはフォロー、私は空中ユマールでお昼寝テラスへ。
トワイライト終了点からフィックスすると最後までほぼ足がつかない完全空中ユマールで良いアップになる。ユマール筋さえあれば、春うらら1p目のフォローより楽だし早いと思う。

ビッグウォールっぽい?

日の当たる前が勝負ということで、10時に出す。下部はパリパリでコンディション良好。ドラキュラ終了後のハンドでプロテクションを間違えかけるも何とか修正。

なぜかプロテクションを間違えかける

やはり吠えつつレイバックして、核心前のレスト。今日はヌメらないぞ!突っ込んでハンドレストポイントまで気合で繋げる。腕が猛烈に張ったので長時間レスト。

ハンドレスト直前の最後の逆手デッドハンドジャム
ハンドジャムで無限レスト中。通りがかりのUさんに撮って頂きました

後半のハンドクラック部分はやはり濡れていてチョークがなくなったので、慎重にチョークアップして再度レイバック帯に突っ込む。

さあ、またレイバックだ!気合だ!!
手が濡れていてプロテクション取る余裕ないので、1個カムを間引いた。ワイドの内面も湿気が酷く、滑らないように慎重にムーブを起こして、ワイドに挟まって一安心。そして何とかRP!4日6便と、便数の割に日数がかかった。
野澤さん1p目RPと合わせて、ワンプッシュ、チームフリーで春うらら完了!
コンディションはいまいちだったけど、メインシーズン入る前に何とかなりました。極端に悪いムーブはないけれど、回復ポイントもあまりなく、ストレニュアスなルートという印象です。中間部~上部のコンディションが悪いことが多いことも、RPを難しくしていると思います。悪いフィンガー→悪いレイバック→易し目レイバック→核心のシンハンド~甘いハンド→(大レスト)→ガバハンド→ガバレイバック→内面登攀→易しいワイド。プロテクションはランナウトするし、ジャムも大体全てのサイズを繰り出すことになり、総合力の必要な素晴らしいルートでした。私は出だしの固め取りと最後の木の根スリングタイオフをそれぞれ1つと数えて、0.2~3番を15個も取ってます。多分取り過ぎで、思い返せば後3~4個は間引けたかな。持久力あればもっとたくさん取れます。
お付き合いいただいた川上さん、野澤さん、I君、ありがとうございました。このルートの真の核心は、やはりお昼寝テラスまで来てくれる心優しいパートナーかもしれない。

お盆のマルチとかの記録@瑞牆山・小川山

2019年8月9日~8月18日
河合(記)、他

今年の梅雨は、酷かった。どこに行こうとしても大体雨。マルチの計画は流れ続けた。さらに、7月頭に腰痛が再発。一ヶ月位まともなクライミングから遠ざかることに。
そんなわけで、当初はもっと遠い山に行くつもりだったけど、現状の体力で行ってもケガの元ということで、盆休みは近場の瑞牆山周辺に籠った。8/9
1本目は、元気なうちに大面岩にあるフリーウェイ(5.11c、9ピッチ)のオンサイトトライ。パートナーは平日クライミングでよくお世話になっているSさん(会員外)。
Sさんは手首故障中でリードは厳しいとのこと、河合のオールリード+荷上げで臨むことに。私自身、マルチピッチ自体をノーズ以来10ヶ月やっておらず、大丈夫かなぁ。

1ピッチ目(5.10d)
7:20登攀開始。まず1つ目のぺツルボルトにヌンチャクかけるまでが悪く心が折れそうになるも、慎重に何とかクリップ。その後ワンポイント悪いスラブフェースムーブをこなす。後は落ちたくないようなフレークにカムを効かせたりしながらのフェースクライミング。うーん、この落ちられない感じが瑞牆マルチだなぁ。オンサイト。Sさんはアタックザック荷上げ不要と力強い一言、でもヒーヒー状態でフォローしてきたので、以降は荷上げ。

2ピッチ目(5.11c)
早速の核心ピッチ。絶妙なスラフェースクライミング。2つ目のハンガーボルトにクリップしてからの立ちこみで、早速落ちてしまった。とても悔しい。その後もポッケホールドを見落としたりで、2回テンションかけてしまった。クラックに入る所も悪かったけど、クラック自体は簡単で5.9位。3ピッチ目(5.10a)
小さなハングをハンドジャムで越えてから、傾斜の緩いクラックをレイバック。手順間違えて出だしで足ブラハンドジャムキャンパになりかけた。オンサイト。

4ピッチ目前半(5.10a)
メンタル面で核心となったピッチ。まずチムニー自体を根本から直上しようとするも、どうやっても10台前半のワイドムーブではなさそうで、プロテクションも♯4カムでは取れない。ビレイ点まで戻って探ると、木とのステミングでフェースに移れることが判明し、何とか離陸。その後はリングボルトと♯4カムで湿気たチムニーこなして、太目の灌木に120cmスリングをタイオフしてから、ダイクトラバースへ。チムニーの最後は、灌木が抜けかかっているので全力で掴まぬよう要注意。ダイクトラバースはノープロ。多分7m位だと思うけど、まともなハンドホールドなくて怖い。慎重に進んで、ハンドクラックに移れば一安心。荷上げを考えて、クラック終了点にあっ立木でハンギングイレイ。オンサイト。4ピッチ目後半
右上にトラバースして太い立木の広いテラスまで。一気にここまで来てしまうと荷上げ不可能だけど、荷上げなしなら一気にここまで行った方が良いと思う。

5ピッチ目(5.10c)
ガタガタしたワイド~フィストクラック。出だしで♯4カムを2つ使ってしまい、その後半開きの♯3で震えながら登ることに。猛烈なパンプに襲われるも、気合で抜け、オンサイト。リングボルトのショボい終了点だったので、♯1カムでバックアップ。カムで支点作った方が良いかもしれない。荷上げで左腕がツりかけた。やべぇ、疲れた。

6ピッチ目(5.11a)
まだまだ続くよ、フリーウェイ。ここからはカンテラインのフェースとスラブ。日差しでホッカホカだぜ!出だしの11a垂壁セクションを渾身のカチと立ちこみで切り抜けてから簡単なスラブとハンドクラック。オンサイト。7ピッチ目(5.10a)
ハンド位のクラックとカンテ側のスラブ。大粒の雨が降ってきて下降か悩んだけど、登った方が早いということで突っ込むことに。濡れたスラブはエキサイティングだぜ!全速力リードで、フォローも担いで荷上げ省略。オンサイト。安定したテラスへ。

8ピッチ目(5.11a)
イレブンのピッチがダメ押しで出てきた。出だしのマントルについているグレードのようだ。雨はすぐ止んだが、アツアツヌメヌメのホールドで登れるほど甘くはなく、テンション。またいつ雨が降ってくるかわからないので、あまり探らず上に抜けた。結局このワンポイントのみ、フリーで行けなかった。上部のボロい10cスラブも1回テンションかけてしまった。安定したピナクル頂上のテラスへ。9ピッチ目(Ⅲ級)
Ⅲ級だなんてとんでもない!出だしにリングボルト1個で、ワンポイント悪いムーブをこなす必要があって、多分10a位あるんじゃないかと。その後はほぼ歩き。オンサイト。適当にピナクルでピッチを切る。このピッチも荷上げはなし。頂上台地に14:10に到着。

結局6時間50分もかかってしまった。久々のマルチで色々遅いし、もうヘロヘロ。やっぱ荷上げ挟むとスピード落ちるし疲れるなぁ。
下降は裏側のフィックスを1発懸垂&歩き。フィックスは2本ちゃんと設置されていました。感謝です。
持って行ったギア:ヌンチャク13(含アルパイン)、カム♯0.2~♯4+♯0.75、1、3、4、ナッツ♯5~9(ナッツは使わず)

8/10
フリーウェイで疲れてしまったので、Sさんの希望でまったり金山沢ボルダー。湿気ていたけど午後にはましになった。ほとんど昼寝で時々鷲が舞い降りた初段にトライ。核心の左手ポッケを止められず荒ぶる鷲のポーズを繰り返す。その後逆トラマン初段をトライしたら、ムーブ解明後あっさり完登できた。
ついでに金谷沢入口のトポに出ていないボルダーも登れそうなので、正面ラインを登ってみた。3級くらいかな。

8/11
少し体力戻ってきたので、カンマンボロンにあるワイルド・アット・ホーム(5.11b、7ピッチ)へ。これもイレブンが連続する、中々ハードなマルチらしい。

1ピッチ目(5.11b)
6:25開始。出だしのコーナーから悪い。11a位ありそうで、朝一からハードワークだ。その後テラスからラインを読むと、ボルトラインが2本見えた。1本は右にトラバースしてカンテを絡めてクラックに至るライン、もう1本は右上気味にクラックを目指すラインだ。1、2ピッチ目はリンクするつもりだったのでロープ流れが気になり、右上ラインの方がロープ流れよさそうだったしホールドも見えた。こうしてHappiest youの5.12cのボルト~謎のオフルートラインに入ってしまった。当然厳しいムーブ。ガバカチと思ったら外傾スローパーで万事休す、テンション。このコンディションでムーブ起こせる気がしなかったし、もうやり直せないのでエイドして抜けた。あちゃー。2ピッチ目(5.10a)
1ピッチ目からリンク。コーナークラックを適当に登り、問題なくリンクできた。安定したテラスへ。オンサイト。

3ピッチ目(5.11a)
見た目冴えないフェース。このピッチはクラックないのでカム不要。ハングからの染み出しで登攀ラインのカチが結構濡れていておっかなかったけど、だましだまし登ってオンサイト。極端に難しいムーブはなかったけど次々と小悪いムーブが出てきて、精神的な持久力が試される感じ。4ピッチ目(5.10d)
出だしからは草の生えた簡単なコーナーを登る。途中からクラックが出現するけど、そこまでは結構ランナウト。ハングに突き当たってからはトラバース。抜け口が悪くて、ホールドカチったらもげて落石してしまった。さらに胴体スタックさせて見つけたアンダーガバも、力こめたらボリっともげそうな感じで、使えない。どうやったか忘れたけど、適当に気合のパワームーブで抜けた。オンサイト。このピッチは岩が脆くていまいち。ここの終了点はハンギングビレイで腰に悪い。5ピッチ目(5.11b)
もう既にヘロヘロだ。出だしのコーナークラックからテラスに上がるところで、うっかりバランス崩してふい落ちしそうになってしまった。テラスをトラバースしてから実質のイレブンピッチの開始だ。まずは気合で立ちこみ、第一核心を抜けたと思ったら、足を滑らせて落ちてしまった。悔しい!その後またテラスでレストして、切れ切れクラック垂壁をボルダームーブで抜けるも、既にボロボロで各駅停車。最後はスラブで、5.10a位だけど、次のハンガーボルトまでかなり遠い。切れかけた緊張の糸をつなぎ留め、怖いスラブをこなして太陽のテラスまで。このピッチがフリークライミング的には最も面白かった。

6ピッチ目(5.8)
太陽のテラスでアリの襲撃を受けつつ大休止してから、ワイド気味チムニー。リングボルト打ってあるので♯5や6カム持っていかなくてもプロテクションは取れる。その後ダイクをトラバース。トポだと結構トラバースするように見えるけど、実際はすぐ支点がある。私は支点を見送って、先の怖いトラバースの1歩をこなしてしまい、支点がない!今度は逆トラバースで戻ることに。オンサイト。

7ピッチ目前半(5.7)
ハーケンにクリップしてまた怖い1歩のトラバースをこなしてから、恐怖のクライミムダウン。土のルンゼに降り立ってから、ボロボロの全くプロテクションの取れないルンゼを登った。やはり荷上げの都合で、下降支点横の太い立木でビレイ。オンサイト。

7ピッチ目後半
ほぼ歩き。立木から右に回り込んでカンマンボロン山頂まで。ボロいフィックスの垂れている直上クラックの方がクライミングっぽくて楽しいと思う。

13時登攀終了。天候悪化の兆しがなかったので意識的にゆっくり登ったり、大休止しまくったものの、6時間35分はやっぱり時間かかり過ぎだ。13時半下降開始、山頂から60mロープ1本の折り返し懸垂2回(山頂から最初の下降支点までのフィックスは結構ボロボロだったので残置ビナで懸垂下降した)、60mロープ連結の懸垂下降2発で太陽の登2ピッチ目終了点経由で14:45下降完了。Sさんに下降は任せて楽させてもらう。下降しながら見た太陽の登は、とても魅力的なライン!
持って行ったギア:ヌンチャク13(含アルパイン)、カム♯0.4~♯4+♯0.75、1、2

8/13
この日は午後から崩れる予報だし疲れていたのでマルチはなし。Sさん希望の、KUMITEボルダー近くの夜行巡査1級を触ってシッケシケ感に絶望して午前中で撤収。8/17
今度はツヨツヨの川上さんにお願いして、小川山で念願のバナナクラック。このルート、プロテクションセットが悪いという噂やら、他にノーリターンとかいう怖い名前のルートしかないやらで、パートナーに困っていたので助かった。前日の台風一過天城山の虫探しでろくに寝てなくて、めちゃ眠い。
肝心のバナナはとりあえずリード、その後トップロープで3回ムーブとプロテクションを探った。無理なく核心でプロテクションセットできる体勢を発見したので、次はリードで狙ってみよう。それにしてもハイパワーレイバックなルートで、ジャムだけでは登れる気がしない。意外と夏でも、すぐ日陰になるので登れることがわかった。ヌメるけど。8/18
瑞牆山に移動して、またフリーウェイ。河合は2回目、川上さんは3回目だ。お互い初めてじゃないので、今度はワンプッシュでチームフリーとか、流行りな感じのトライをしてみることに。今回は以下のルール。
〇どちらかが完登しない限り次のピッチに進めない
〇プロテクションはリードが進んだ所まで残置(ピンクポイントを許容)
〇ハングドックでムーブを探るのは許容
〇互いに未RPのピッチ(河合:2、8ピッチ目、川上:1、2ピッチ目)は満足する(諦める)までトライ

1ピッチ目5.10d(川上リード)
6:35登攀開始。川上さんは未RPだったけど、出だしの悪いワンポイントをこなして、幸先よく1撃。

2ピッチ目5.11c(川上→河合の順で各2回リード)
互いに未RPの核心ピッチ。2ボルト目から3ボルト目の間がトリッキーで、やはり1便目では登れず、2人ともムーブをバラした2便目に完登。川上さんはこの時点で個別RP完了、おめでとう。このピッチはムーブ、ラインともに秀逸で三ツ星!最初はグレード辛いと思ったけど、ムーブ判ってしまえば、やっぱ5.11cかなぁ。

3ピッチ目5.10a(川上リード)
途中から右上する5.11bのピッチに行くか悩むも、ラインが読めなかったので諦めてオリジナルピッチへ。問題なく1撃。

4ピッチ目5.10a(河合リード)
チムニーが前回に増してびしょ濡れだったけど、気合でチムニーして、ドロドロの靴を拭いてから恐怖のダイクトラバース。でも、もう慣れた。1撃。

5ピッチ目5.10c(川上リード)
川上さん曰く「♯3と♯4カムを1個ずつで行けますよ」。実際その通りに1撃してくれた。クレイジーだ。私なら後♯4が1個は最低でも欲しい。終了点はカムで構築。

6ピッチ目5.11a(河合リード)
本気靴に履き替えたのにうっかり出だしで落ちてしまい、すぐやり直して2撃。

7ピッチ目5.10a(川上リード)
あっさり1撃。特に書くことなし。

8ピッチ目5.11a(河合→川上リード)
まず河合がトライするも、1ボルト目の出だしのスラブで落ちる、落ちる、落ちる。20回位トライしたらやっと登れたけど、足先が限界、後半の10cスラブに落とされてしまい、激カチしていた中指先端が裂けて選手交代。
川上さんはRP済だけど出だしこなせず。真夏のアツいスラブは相当難しくなっているらしい。「テラス挟んでるから10c部分RPできれば、チームフリーだぜっ」と言い訳して10cスラブに突っ込んでもらったけど、そちらもテンション、雨降ってきてThe END。ワンプッシュチームフリー失敗。無念だ。急いで60mロープ1本で懸垂下降して撤収。14:10下降完了。取付に降り立った途端、本降りになったので、木の下で雨宿りを決め込んだ川上さんを残置し、残置荷物をダッシュで回収して登山道近くの岩小屋に逃げ込んだ。雨さえ降らなければいけたと思うけどなぁと、負け惜しみ。でも、互いに完登のプレッシャーを感じながらオールフリー目指して登るのは、とっても楽しくて充実することがわかった。のが、一番の成果かな。また、今度はもうちょい良い時期に、頑張ろう。

瑞牆山 小ヤスリ岩 蒼天攀路

河合(記)

十一面岩の奥にひっそり聳える小ヤスリ岩。この岩を意識したのは、今年、ベルジュエールを登った時だった。明瞭な左右2つのカンテ、真ん中の美しいフェース、それぞれに合計3本の難ルートが拓かれているらしい。その中でも特に目を引くのは右のカンテ、蒼天攀路3p目。グレードは発表時5.12bで、最新のトポでは5.12aとされているようだ。アプローチが結構遠く、他にルートもほとんどないため、パートナー核心っぽい。少ない便数で登らないと厳しそうなので、来年トライしようと思ったけど、今年付き合ってくれるパートナーが見つかったので、行ってみることにしました。

8/17 day 1

玉置さんに付き合ってもらって初トライ。8時40分植樹祭駐車場出発。取付まで特に迷わず10時到着、10時40分出発。

1p目(5.10b、35m位):河合リード
最初は出だしにぺツルのある汚い泥ルンゼ。靴についた泥をぬぐいつつ、次は浅いコーナークラックを最初はボルト頼り、途中から大きなカムが頼りに登る。バランス悪い感じ。睡眠不足、かつ季節外れのノロウィルス食中毒からの病み上がりで体調は悪い。2回位足がつりかけたので、不意落ちしないよう慎重に登る。最後はびしょ濡れのコーナーを避けつつ終了点へ。終了点はぺツル、RCC、リングが混在。

出だし
コーナー。ぺツル2つ位あったはず

2p目(5.10a:20m位):河合リード
最初は少し被り気味のチムニー、途中から何とも不思議な三角形に変貌。チムニー内でグルンと1回転。後半三角形になってからは背中で体をスタックさせてイモムシ登りができるようになり、簡単になった。大き目のカムは1セットで十分。あまりオフウィズス登りにはならなかった。上から登っているクライマーを覗き込むと面白い。

チムニー下から
人間が挟まってる

3p目(5.12b:30m位):河合リード
さて、楽しい前菜は終了でメインディッシュだ。大分時間経ってしまって、13時45分スタート。出だしはクラックをレイバックで直上~左トラバースで最初から悪く、凄まじい高度感。調子も出ないし怖くて、1ボルト目はエイドでプレクリしてからスタートしてしまった。2ボルト目まではバランスが悪いけど何とか大丈夫、でも3ピン目がめちゃ遠そう、と言うより、そもそも見えない。カンテの反対側の大分上みたいだ…手前に発見したクラックに半開き♯0.5キャメを突っ込みテンション。あぁ、弱い…その後、恐怖しながら突破。どうやらここが最初の核心みたいだ。なお、♯5キャメは、残しておくとロープ流れ悪くなるので、結局外した。

ビレイ点を見下ろす
カンテを越えると美しいフェース

その後はしばらくマイルドで、美しいフェースをエンジョイ、と言いたいけど、ボルト間隔は遠いし、風強くて寒い。6ボルト目まで各駅で到着するも、7ボルト目が遠くて怖くてムーブが起こせない。核心直前の左フレークに伸び上がって片っ端からカムを突っ込むも全部外れ、その度にパンプしてフォール。玉置さんに持ってきてもらったアブミで核心ムーブ手前までのムーブを省略するも、核心ムーブできなきゃ進めないので結局ダメ。カムの選択肢が尽き、意を決して右足に乗り込んで突っ込んだら何とかムーブがこなせた。最初から恐れず突っ込めばよかった。
8ボルト目までのムーブも引き続き悪く、やはり足がポイントだった。久々にカンテも使った。かなり精魂絞り出す。
8ボルト目~9ボルト目間も結構遠い。ボルト少し上に♯0.3キャメが決めたけど、なくてもほとんど変わらない。意を決して右カンテのガバへランジしたら、取り損ねた!ぶっ飛びたくない一心で気合で耐えて、今度は左ガバへデッドしたら、何とか取れた。このシチュエーションでこのムーブか!

点々とボルト

最後はマントル返してから、傾斜の落ちた簡単なカンテ状を登って終了。トップアウトに1時間半もかかってしまったけれど、抜けられてよかった。

花唄小径(5.8:30m位):河合リード
蒼天攀路3p目は河合のみのトライ。玉置さんにも小ヤスリ岩のてっぺんに立ってもらうべく、蒼天攀路2p目終了点から右にトラバースし(ロープ付けないと危ない)、もう1本リード。でも、このルート、結構悪い。上のテラスから6キャメを決めるまでの緊張感が中々。蒼天攀路の1,2ピッチ目よりしんどい。足元は抜けかけたリングボルト1個で、微妙なムーブ。その後はマイルドになったけどランナウト気味で落ちられない系。

最後はノープロのフェース

再び小ヤスリ岩のてっぺんに着いたら、もう夕方になっていた。頂上も素晴らしい!景色を堪能してさっさと下山。下降は何とかオンサイトできたが、ヘッドライト下山になった。

てっぺんにて

8/26 day 2
一度は封印しようと思ったけど、時が経つほど悔しさは募り、1便目でおおよそのムーブはこなせていた(気がした)ので、今度は、Sさん(会員外)を誘って出撃。今度は1,2p目を省略して3p目までショートカット。植樹祭駐車場から85分かかった。小ヤスリのコルまで標高差550mを登る。

1便目
各駅ヌンチャクがけに徹する。やっぱり♯0.5キャメは使ってしまったが、今度は各核心セクション2回以内で、ばちっとムーブが決まる。これは行けるかも??

2便目
気合入れてトライしたら、最初のトラバースがこなせてしまった。レストポイントで呼吸を整えつつ6ボルト目以降の第2核心へ、と言いたいところだけど既にヨレヨレ。無我夢中で吠えて7ボルト目に到達し、必至でレストするもパンプが取れない。8ボルト目までの最後の核心ムーブがテンションムーブだったため再現できず、その場のアドリブで頑張るも後1足1手で無念のドカ落ち。その後のムーブも一発でこなせたので悔しい。さっさとトップアウト。

3便目。
Sさんは2撃であっさり登ってしまった。まずいっ、蒼天パートナー消失の危機!腕は2便目で頑張り過ぎて終わりかけていたけど、ビレイ含めて1時間空けて、気合で3トライ目。トラバースは危ういところで抜けるも、出だしからガタガタ。腕も回復せず、第2核心手前でヨレきってフォール。カチ筋が残っておらず、ムーブを確認して終了。時間切れでSさんの1,2p目トライもまた今度になり、辛うじてパートナー消失危機を脱する。

登れてないけど、あまりの爽快さにガッツポーズ!

9/9 day 3
前日に行こうとしたら、秋雨前線にやられて雨だったのでカサメリ沢モツランド。翌日に望みをかけて控えめに登ろうと決意してオリーブ5.11cをまったり流すも、たらこ5.11dが面白くてついムキになってカチ筋パンプ。
当日朝は駐車場びしょ濡れ、それでも風当たり強いので乾くと信じてSさんHさんと突撃。アプローチも荒れてて、うっかりシロクマのコルまで登り過ぎてしまった。
取付についたら意外と乾いていたので、まず濡れた花唄小径5.8をエイドで登る。核心はろくにエイド効かない上。落ちられないので緊張。5.10台あると思うのだけど。
頂上は猛烈な風。頂上から懸垂下降しながらヌンチャクがけと掃除。核心は濡れていた。

1便目
トラバースは自動化でスムーズにできたけど、その後保持できず3ボルト目クリップした直後、落ちてしまった。トップアウトせず戻る。

2便目
明らかに前日の腕パンプが残っているが、足は元気だ。ホールドは生暖かくてちょっとヌメる。これは足で耐えるしかないということで頑張ったら何とか登れた。

終了点にて。この時点で登れてないですけど

初トライの翌日、最新のトポで5.12aとされている、カサメリ沢のギャラクシアンにトライしてみたら、フラッシュ寸前まで行けた(ヌンチャクかかってたし、最後落ちたけど)。蒼天攀路3p目と1グレードは差を感じた。ムーブを固めて登り終えた今、初便の印象よりはよくなったけど、それでも易し目のは5.12bあるのではと感じた。トラバースの怖さ、ボルトの遠さ、高度感が体を固くしていることが影響しているかもしれない。

5.12のマルチという敷居の高さや遠いアプローチからか、あまり登られていないルートのようですが(おかげで順番待ちなくて助かった。2パーティいたらちょっとしんどい)、ロケーションは日本離れしていて、ムーブも面白いです。岩も固くて美しいし、てっぺんは快適で眺めは素晴らしいし、これでアプローチが近ければ人気ルートになりそう。遠いと言われるボルト間隔は、クリップホールドやロープ流れの関係で仕方ない気がします。3ボルト目以降はぶつかる出っ張りもないし、思いっきりぶっ飛べば良いかと。アブミやらカムやら動員した私が言っても説得力ないですが、チョンボ棒なんて使わず、トップアウトできるかドキドキしながら登った方が楽しめると思います。開拓はほんと楽しかっただろうな~と羨ましく思いました。
道連れになっていただいた玉置さん、Sさん、Hさんありがとうございました。