春うらら

2019年9月15日
河合(記)

うちの会は山行っても記録書いてくれない人が多いので、せめてマルチ行ったら記録書くことにしてます。今回も一応マルチなんで書きましたが、実質ショートピッチ的トライ・・・
(記録書くと反省できてそれなりに意味あると思うんで、みんな登ってばかりいないで、たまには書いた方がいいと思いますよ。文字にすると見えてくるものもあるし。>うちの会の人)

2ピッチ目5.12aの核心へ入る
 今更このルートの歴史を語る必要はないでしょう。瑞牆山に通うクラック好きとしては、是非登りたい。諸事情で今シーズン中に絶対登りたいということで、春うららかな日に1p目5.11b、秋に2p目5.12aをやろうと思った年度のはじめ。
4月20日
GWにヨセミテで一緒に登る予定だったI君、さらにTさんOさんと、ゲート開く前から末端壁。さっそくアップもせずにI君が1p目に取り付くも、出だしでフォール、チェンジングコーナーでもテンション。そして私もトライ。出だしのグーチョキパーで不意落ち。すぐ登り直すも、チェンジングコーナーでプロテクション取れず、怖くて後ちょっとで落ちてしまった。後のコーナーはノーテンで抜ける。2便目はチェンジングコーナーで無理やり0.75決めて右壁のガバポッケを掴んでほっと一息。後は慎重に登って2撃。

長くて美しいコーナーをランナウトさせて登る
 1p目は後半の美しいコーナーは長くて持久力多少いるけど休めるし、ほぼ腕フルパワーで下部核心に突入できるので、取り組みやすい印象。I君のムーブ見ていたのに1撃できなかったのは悔しい。
ロープをフィックス、I君がユマールで上がってきた。ヨセミテっぽいぞ。そしてI君は2p目をトライ。こつこつ高度を上げてトップアウト、ムーブも大体ばらせたみたい。時間的に私のリードの時間はなさそうだったので、トップロープで触らせてもらうことに。
出だしのドラキュラ部分は無我夢中で登ったらノーテンで行けた。後もムーブは一応作れたような気がしてトップアウト。プロテクション取るのが課題っぽい気配を感じた。歯が立たないわけではないことがわかり、秋に本気トライすることに決めた。
9月8日
まだ暑くて時期じゃないと思うけど、空いているうちにムーブを固めて、シーズンインしたら確実にRPする作戦。野澤さんが1p目トライついでに2p目をビレイしてくれるというので、1p目をリードしてもらって、ザックを背負ってフォローするも、テンションが入る。出だしのグーチョキパーは、わかればプロテクション取らなくても大丈夫な位安心感があるけど、チェンジングコーナーはやっぱムズい。
2p目はムーブ全く覚えておらず、そもそもカムセットしていないので最初からやり直し。1時間半以上かかって各駅停車でムーブ解体してみたら、フットジャムで足がめちゃくちゃ痛くなった。
野澤さんの2p目のトップロープトライ(巻き添えにしてすんません)を挟んで、トップロープでカム持って2トライ目。日当たり良好過ぎてヌメリが激しい。プロテクションを徹底検討、少し間引いたがまだ多いなぁ。この日のトライはこれで終了、野澤さんの1p目ビレイのため、地上に戻った。
9月14日
今度は1p目RP済の川上さんが付き合ってくれるとのこと。運が良いことに曇り。アップ兼アプローチで1p目を河合がリードするも、指入れるところに0.5入れてチェンジングコーナーで早速テンション。まともに登れないものか。
乾いているように見えた2p目の1便目。上部シンハンド~甘いハンドクラック帯はヌメヌメで、レスト後の上部は水が滴るレベル。でも、ムーブもプロテクションも大分固まった。最後のカムは、4番じゃなくて2番キャメで問題ないことが判明。軽くなるぞ。
川上さんのトップロープトライを挟んで、2便目は本気で狙ってみることにした。ドラキュラを越え、パンプに泣き叫びながらレイバック帯を2回こなしてシンハンド~甘いハンドの核心の直前で死に物狂いでレストするも、ヌメってジャムの効きが悪くて、腕が全く回復してこない。結局体を引きつける力が戻らず、落とされてしまった。核心周辺のムーブを念入りに再確認して、翌日の朝一に賭けることにした。
9月15日
この日は1p目のRPのかかった野澤さんも合流。朝1でアップもせずにきっちりRP。チェンジングコーナー登りながら3つもプロテクションを決めるってすごい。ロープをフィックスしてもらって川上さんはフォロー、私は空中ユマールでお昼寝テラスへ。
トワイライト終了点からフィックスすると最後までほぼ足がつかない完全空中ユマールで良いアップになる。ユマール筋さえあれば、春うらら1p目のフォローより楽だし早いと思う。

ビッグウォールっぽい?

日の当たる前が勝負ということで、10時に出す。下部はパリパリでコンディション良好。ドラキュラ終了後のハンドでプロテクションを間違えかけるも何とか修正。

なぜかプロテクションを間違えかける

やはり吠えつつレイバックして、核心前のレスト。今日はヌメらないぞ!突っ込んでハンドレストポイントまで気合で繋げる。腕が猛烈に張ったので長時間レスト。

ハンドレスト直前の最後の逆手デッドハンドジャム
ハンドジャムで無限レスト中。通りがかりのUさんに撮って頂きました

後半のハンドクラック部分はやはり濡れていてチョークがなくなったので、慎重にチョークアップして再度レイバック帯に突っ込む。

さあ、またレイバックだ!気合だ!!
手が濡れていてプロテクション取る余裕ないので、1個カムを間引いた。ワイドの内面も湿気が酷く、滑らないように慎重にムーブを起こして、ワイドに挟まって一安心。そして何とかRP!4日6便と、便数の割に日数がかかった。
野澤さん1p目RPと合わせて、ワンプッシュ、チームフリーで春うらら完了!
コンディションはいまいちだったけど、メインシーズン入る前に何とかなりました。極端に悪いムーブはないけれど、回復ポイントもあまりなく、ストレニュアスなルートという印象です。中間部~上部のコンディションが悪いことが多いことも、RPを難しくしていると思います。悪いフィンガー→悪いレイバック→易し目レイバック→核心のシンハンド~甘いハンド→(大レスト)→ガバハンド→ガバレイバック→内面登攀→易しいワイド。プロテクションはランナウトするし、ジャムも大体全てのサイズを繰り出すことになり、総合力の必要な素晴らしいルートでした。私は出だしの固め取りと最後の木の根スリングタイオフをそれぞれ1つと数えて、0.2~3番を15個も取ってます。多分取り過ぎで、思い返せば後3~4個は間引けたかな。持久力あればもっとたくさん取れます。
お付き合いいただいた川上さん、野澤さん、I君、ありがとうございました。このルートの真の核心は、やはりお昼寝テラスまで来てくれる心優しいパートナーかもしれない。