ギリシャ・カリムノス島

2025年9月19日〜28日
小池、山崎、船戸、薄田(記)

5月の小川山集会で分厚いトポを小池さんから見せて貰い「ギリシャ」か「いいなー」程度にしか思っていませんでした。
海外経験と言えば約40年前にパラグライダーの仕事がらみで韓国と台湾にしか行ったことが無くましてやクライミングで海外なんて仕事を引退してフリーに成ってからくらいにしか淡く思いをいたすしかなかったです。
そんなとき(6月初旬)山崎さんから当初二人の予定だったが船戸君参加希望となり私に参加打診のラインが入りました。
検討の結果会社の若手役員から「老い先短いのだから行けるうちに行ったほうが良いと」背中を押されyesと返事。
そこからが大変、最初にエアーラインのチケットGet。BOOKINNG.COMで小池さんらが取得済み中華系吉祥航空(上海トランジット)の往復チケットGet。
続いてアテネからコス島(エーゲ航空)&帰りのカリムノス島〜アテネをTrip.comでゲット(BOOKING.COM)ではうまく買えませんでした。
それから順序が違うがパスポートGet,現地でスクーターレンタルのために国際免許Get等々。もう大変。
今回は海外経験豊富な小池、山崎両氏の全面バックアップもあり何とか無事に行って登って帰ってこれたけど一人で全部やってたら上海までの往復が精一杯だったと思います。
一番グレードが高かったのが成田ーアテネーコス島までの「バゲージスルー」。
上海で小池さんが現地のAIR lineのちょっと偉い人とネゴ、コス島まで通しで運ん貰い無事にコス島まで予定通り到着。小池さん凄いです。(私も仕事で見習います)
ここでやっと行程記録(船戸君、都合でアテネ〜成田は別行動)

9/19 成田~上海浦東
   (トランジット6時間有ったので上海プチ観光)

9/20 上海浦東1:10~アテネ国際7:38
   コス島10:45~カリムノス島
   (タクシーでゲストハウス)
   14:00位からゲストハウス裏手徒歩10分で
   軽くクライミング

9/21〜25 各ペアでクライミング&観光

9/26 カリムノス島7:30~アテネ国際8:30
   (ここから3人で行動)

9/27 アテネ国際14:45~上海浦東5:05

9/28 上海浦東8:00~成田12:00

コス島(マスティハリ港)からカリムノス島(ポティア港)は高速艇で40分位だが北風が強く波も高いので海水飛沫がデッキ上シートに座っていると何度も降りかかり顔がしょっぱい。
古いけどサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」が自然と口から出た。下手くそだが風が強く誰も聞こえない。
ポティア港からは小池さん予約のタクシーでゲストハウスまで20分。
当たり前だが日本人は我々だけで周りに居るのはヨーロッパ各地からの人々(おそらく)。顔の彫りが深く格好いい(可愛いーー)

「ゲストハウス」
バルコニーから間近にテレンドス島が見え、夕日が沈む時は絶景。(これぞリゾート。朝食もここで取りました。)
以前はオーナーさんファミリーの自宅でリノベ済み。広いリビング&キッチン(冷蔵庫、食器完備)、ベッドルーム二室(4BED+sofaBED)洗濯室+洗濯機、洗面、トイレ、シャワールーム一緒のスペース(バスタブ無し)
シャワーは太陽熱温水だが4人使って十分余裕のタンク容量だった。
飲料水は水栓からは海水濾過水で少し塩味が残るので飲料不可。ミネラルウオーターを買うかマスーリ周回道路途中に有る給水所でペットボトル等に確保の2パターン。
食事は外食か自炊だが小さなスーパーがマスーリ周回道路途中に3件くらいあり日本のコンビニの130%の品ぞろいで必要なものはアルコール含め大概ゲット可能。物価は日本の約120%アップ(野菜類が高い)

「クライミング」
グランデグロッタ(どっかぶりのケーブ)は早めに日が当たるので午前中が勝負。
薄田、船戸組は「アフタヌーン」エリア付近中心なので14:00位までは日陰で快適。
いちいちルート名を上げるのは大変なので6c、7a位までのグレードを多数登りました。
シーズンで言うとTOPシーズンは10月らしいが混むらしいのでちょっと暑いが今回行った9月中、下旬くらいが狙い目では無いでしょうか?約1週間滞在したが毎日晴れて乾燥して日本の湿気が懐かしく成る。
イコール岩はパリパリで二子の冬みたいに冷たくない(当たり前か)
今回薄田はグランデグロッタ付近しか触ってないが他にも山ほどエリア、ルート(1,800以上)が有るので石灰岩好きの諸兄にはたまらない所ではないでしょうか。
日本の各エリアが「虎の穴」(アニメタイガーマスクのレスラー養成所)だとすればカリムノスはエンジョイクライミングエリアと言い得るでしょう!
また行きたい。

P.S:アテネの旅行者用ホテルのエレベーターにびっくり。何と動き出したら壁が露出し ておりビックリ、要は内扉が無く手を挟んだらなくなっちゃう状態。日本基準が当たり前と思ったら大間違い。
帰りアクロポリスの最寄り地下鉄駅乗車で市内周遊チケットで改札通過したが終点の駅で改札手前に待ち受ける職員にチケット見せたらエリア外乗車でペナルティー支払いを告げられビックリ
私は65オーバーなので約3千円、他2名はその倍ふんだくられました。
後ろの外人さんは文句言ってたけど我々は時間がもったいないので素直に支払い。
肝心なクライミングの記録は出て来ないじゃないかとクレームの声が聞こえそうですがもう少しお待ち下さい。
何せ海外クライミングビギナー(この年齢で)なので色々有ります。

 
■ 準備編

1.パスポート取得:何せ40年前の大きめの赤いやつはとっくに失効。これは地元越谷で手続き出来て割とスムーズ。

2.国際免許取得:現地でスクーター等レンタルに必要。ショップのおばちゃんがチェックしてました。各エリアは駐車スペース狭いのでスクーターが便利。
整備不良なのか回転を上げないとドライブしない。また、ノーヘル、サンダルばきは捕まると罰金と注意されたがマスーリ付近で警察の姿は見かけませんでした。

「ギア」
1.ロープ:各ルートが長いので最低70M必要、出来れば80M
2.ヌンチャク:各自20本がベター(各ゝが違うルートをトライする場合有れば)
3.ヘルメット:ノーヘルも居たが8割程度装着(自己責任)
4.シューズ:各自の好みだがどっかぶりで無ければ堅めがベター
5.ビレーグラス:ルート長いので必携
6.ウェアー 上:Tシャツ、下:薄手のクライミングパンツ(ヨーロッパクライマーはほぼ短パン)朝夕はウインドブレーカーかフリース、雨具:持参したが雨降らずで未使用

「バゲージ」
預け入れは吉祥航空は23Kgだがエーゲ航空は15kg迄なので行きだけ追加料金払いました。(複数で行く場合は要分散)

「SIM」
ワールドSIMが使えました。(ハウツーは事前に)

「反省点」
薄田は4日目午後から咳、鼻水止まらず翌日からゲストハウスで留守番。
11時間のフライトのダメージも有ったが直前の3連休も休まずクライミング。
ツアー中にコンディションを崩さないようなコンディション作りが必要でした。

 
■ 交通・準備

レンタルスクーター
手前から125cc (20€/日) 50cc 2台 (14€/日) 200cc (25€/日) と総じてアジア圏より割高、ピークシーズンは事前に予約しないと借りられないおそれあり。
「WhatsApp」を活用し、事前に店舗の目星をつけて相談しておくのがおすすめ

コス島からカリムノス島へ
夏季は季節風「メルテミ」による午後の欠航リスクに注意が必要。

帰路に利用したSKY expressのプロペラ機
週3便の運行で風の影響を受けやすいが、今回は定刻通りであった。

 
■ ゲストハウスと環境

滞在した一軒家
バルコニー正面には島のシンボル、テレンドス島の全景が望める好ロケーション。



島内各所にある給水所
ボトル持参で飲料水の補給が可能。(写真は18番)

路地の裏手に位置する岩場
生活圏とエリアが隣接している。

近隣の雑貨店
日曜を除き、毎朝焼きたてのパンが店頭に並ぶ。

 
■ クライミング

マスーリ村近くのクライミングエリア
どっかぶりの看板ルートが揃う「Grande grotta」とその北側に位置し日陰が長く午後も快適な人気エリア「Afternoon」を一望できる。
写真下部の矢印箇所を拡大すると、「L’Uomo Che No….」をトライする船戸氏の姿が確認でき、このエリアの圧倒的なスケール感を感じていただけるだろう。
北端のSpartacusには稜線に抜けられる6ピッチマルチの快適★★★ルート「3 Stripes」がある。眼下の絶景を楽しみながら登攀でき、グレード感は城山の西南カンテ程度。
所要時間の目安は待機・休憩を除き登攀終了点まで約2時間。終了点からはロープを使わずにSpartacusの取り付きまで戻れるが下降路はやや迷いやすいため注意を要する。下降の所要時間は約1時間。

Afternoonエリアにて「L’Uomo Che No….(6b)」をトライする船戸さん

テレンドス島を背にしたAfternoonエリアの快適なビレイ

Grande grottaの超有名ルート「DNA (7a)」をオンサイトする山崎氏
とても混んでいてひとり1トライしかさせてもらえなかったのが心残り。こうした人気ルートを狙うなら早朝出発で確保しなくてはならないと痛感。

テレンドス島から望む対岸のマスーリ村
島内からもGrande grottaの巨大な岩壁が際立つ。島への渡し船は片道3ユーロ、所要約10分で早朝から深夜まで運航されている。島側の岩場へはグループでのチャーター交渉による送迎が効率的である。

初日は滞在先至近のPoets Zeusエリアで足慣らし
貸切状態の「GOAT TRAIL (6b)」にて人物のサイズ比からもうかがえる岩壁の圧倒的な広大さに圧倒された。

最終日はPoets mainエリアへ
「Pepe Gilles (6c)」55mもの長さを誇る立体的な星付きルート。このような壁で登るほどに増すロープの重みへの対策に長めのクイックドローを多めに携行したい。

 
■ そのほか

ポティアの街を一望する丘の上に建つAgios Savvas修道院
ビザンチン様式の美しい壁画を鑑賞できる。クライミング以外にも古城巡りや南欧の風情ある街並みの散策、バイクでの島巡りなど豊富な観光資源もこの島の魅力である。

 
 

北アルプス 硫黄尾根

2025年4月30日~5月5日
赤井、右田(記)

ずっと気になっていた硫黄尾根に行くことができた。知らない人が多い硫黄尾根はみんな知っている槍ヶ岳の西鎌尾根から東に延びる魅力的な山稜です。
春の硫黄尾根は脆いのがネックだが寒さや体力面ではそこまで厳しくない。地熱のせいか標高を上げても藪が濃いことが想定外だった。
捨て縄は長いものを多めにあったほうがいいし懸垂の時のロープスタックを避けるには捨てビナも多いほうがいい。あと、長期縦走ではテントは重くてもダブルウォールで行くべきだと思った。藪、岩、雪、長い、どれも楽しめる硫黄尾根、面白かった!
赤井さんありがとうございました!

4月30日
朝5時に七倉ゲートからタクシーで高瀬ダムまで。そこからは歩きで湯俣まで3時間ほど。壊れかけた橋を渡ると硫黄尾根の末端となる。登山体系では水俣川側から取り付くとありピンクテープを意識して進むがどれもそれっぽくない。うろうろしたあと諦めて突っ込み笹藪をこいで尾根上に立つ。尾根に出れば藪こぎしなくて済む!と根拠のない期待ははずれ。標高2000m弱から斜度がきつくなってきたのでアイゼンを装着。雪が出てくると藪が隠れて楽~!とか思う時もあれば踏み抜くこともあり雪は雪で厄介だな・・・春山だししょうがないか・・とか思ったりして進む。標高2100m辺りで整地された居抜き物件を見つけたので1日目の行動終了。
このあと硫黄岳前衛峰群となりしばらくテント適地がなかったので正解だった。前々夜に降雪がありトレースは消えていたのでここにテントを張った方はもう西鎌へ抜けた頃だろうか。硫黄尾根で人と交わることはなかった。

5月1日
天気は晴れていて風もない。
アイゼン履いて歩き始めるとすぐにリッジ上になって岩稜中心になってくる。硫黄岳前衛峰はP1~P6とあるがそれ以上に小さいピークがあって、どれがどれだかはっきりしない。尾根が南から西に方向を変えるところでP6にいることがわかる。P6は広くて360°眺望良好。大休憩しながら硫黄尾根を歩くのが面白くなってきているのをしみじみと感じる。P6から小次郎のコルへの下りでいいところがなくまたうろつく、結局はごっそりと崩れた斜面を懸垂で下降した。全体的に脆いので以前はいい斜面だったのが崩れたのかもしれない。小次郎のコルから硫黄岳への登り返しは藪が濃い!標高2500mでも立派なツガが密生している。私より背が高くて体が硬い赤井さんは大変でしたね。硫黄岳山頂付近はハイマツと雪原となる。山頂は台地上で広くて緊張が一気に緩む。槍ヶ岳が見えるハイマツの影にテントを張った。

5月2日
朝から雪と強風
天気が回復するのを待ち風が弱まったので昼近くになって出発。ガスが濃くなり行く先の尾根が見えなくなる。そんな中、「あ、どーも。」カモシカと目が合った。雷鳥ルンゼの懸垂は2ピッチあり2ピッチ目では雪で濡れたロープが動かなくなり登り返す。この後から藪があっても薄くて気にならなくなる。硫黄岳南峰のコルで3日目終了。赤井さんのアルコールも終了。

5月3日
天気は晴れて風無し
赤岳前衛峰P1~P8とあるが正直判然としない。また本と地形図で中山沢のコルの位置が違っていて、実際は赤岳超えてから中山沢のコルがある。とにかくピークが沢山あって、脆い。また、ルートファインディングが面白いところ。懸垂も何度かありP7辺りの懸垂で下には硫黄沢が見える。そこでもロープを回収できずに登り返した。中山沢のコル(赤岳超えたコル)でテントを張っていると赤岳斜面から時折、大きな落石があった。

5月4日
夜中から土砂降りと強風
シングルウォールのテント内は浸水しシュラフも濡れた。しばらく雨が止むまで待機し昼前に出発。赤岳P2~P5もルートファインディングが面白い。そのあとの白樺台地は滑らかに白く広い台地で走り回りたいくらい素敵なところだが数歩ごとに踏み抜くのでしない。台地からもう一つピークを越えると西鎌尾根に合流した。その日はシュラフやテントもびっしょり濡れていたので槍平の冬季小屋を利用させてもらった。槍平小屋周辺には春スキーヤーでテント村が出来ていた。

5月5日
晴れ
新穂高温泉まで下山。ここからバス、電車、タクシーで七倉へ移動し車の回収に半日使う。移動の間にやっと完登の乾杯が出来た!そのあとは七倉温泉で汗を流して帰路についた。

 

城ヶ崎シーサイド コロッサス記録

河合(記)

注:暫くトップロープの悪口ばかり書いているので、老害の囀りと思ってスルーして下さい。

唐突だが、私はトップロープが好きではない。
登山からクライミングに入った私にとって、クライミングは登山の延長線上であり下から登るもの、何で予め上から吊るされているのか。
もちろん、トップロープしないわけではない。
特にアイスクライミングを始めた頃はトップロープでたくさん練習した。
でも、フリークライミングがメインとなっている現在は、なるべくトップロープを避けている。
チョンボ棒も、そんな格好悪いものを持つ位ならクライマーを引退しようと思っている。
そのくせプレクリのルートで木の枝が落ちてなかったら、他人から借りているけど…

トップロープに多くの有用性があるのは疑うべくもない。
・ルートにボルトを打って傷つけないで登ることができる
・リードと比べ圧倒的に危険が少ない
・ムーブ練習やプロテクションセット場所探索に集中でき、効率が良い
・時間がかからないので多くの本数を登ることができる
などなど。
一方、トップロープを多用している場合の弊害もある。
・落ち方が上達しない
・プロテクションの評価が上達しない
トップロープで安全を求めるが故に、逆にリードする際の危険が増している場合もあるように感じる。
ありきたりな結論だが、トップロープは、各自の許容できるスタイルの範囲内で、よく考えながら「うまく」使うことが大事なんだろう。

ついでにもう少し毒を吐いておく。
トラッドルート(特にボールドなルート)で、手段を問わず何でもありで(チッピングは当然除かれる)、最終的にルートを完登するスタイルをヘッドポイントと言うらしい。
岩にボルトを打たずクリーンに登るという潔さの点から、このスタイルは理解できる。
しかし、トップロープで徹底的にリハーサルした後で、最終的にリードして完登するのが本当に「トラッド」なのか疑問に感じる。
ハイボルダーのトップロープリハーサルも同様だ。
理想論だが、トラッドなら当然グラウンドアップじゃないの?と思うのだ。

秀峰に入れてもらった時に、故向畑代表に色々な岩場に連れていってもらった。
向畑さんもトップロープは嫌い(?)で、氷結の不十分なアイスの一度を除き、トップロープをさせてもらった記憶がない。
ノー・トップロープを通じて進むか退くかの判断等、鍛えてもらったように思い、おかげさまで今に至るまで骨折せずに済んでいる。
今回、コロッサスを登るに当たり、トップロープを含め色々妥協してしまい、お世辞にも良いスタイル・プロセスとは言えない完登となった。
向畑さん、安全という盾に隠れ、禁断の果実を口にしてしまった弱い私を、天国で笑ってやってください。

さて、前置きが非常に長くなってしまったが、コロッサスについて。
故杉野保氏初登の、時代を超越したルートだ。
実質的にシーサイド初の5.13と考えられており、5.12cと発表されたが、現在は5.13aまたは5.13bとされている。
有名さとは裏腹に、近年は1シーズンに数名程度しかトライしていない模様だ。
理由は明快で、下部がR指定のトラッドで危険だからだ。
この敷居の高さのため、シーサイドの高難度をトライする猛者達も大体素通りしていく。
R部分は易しめの5.11b程度で、(コロッサスをトライしようと思う人には)問題になる難易度ではないが、プロテクションのセットできる箇所が限られ、1箇所でも抜ければ多分地面まで戻ってくるので、不用意な墜落は絶対にできない。
実際にグラウンドフォールして、ヘリのお世話になった人もいたらしい。
後半の核心はボルトに守られているものの、そこは杉野ルート、ロングフォールの恐怖と闘いながらムーブを探ることになる。
核心は突き詰めれば一手。
ハイステップからの右手ランジ、下足からの右手デッド(リーチある人限定で足が残る)、ヒールからの左手デッドの3種類のムーブがあると思われるが、いずれも激しい。
初登者は右手ランジだったらしい。
ランジに入る前の左手カチへのデッドも悪く、左手カチへのデッドで始まる一連の核心4手で初段、その手前のリップに到達するまでで、悪めの5.12b位はある。
なお、リップでレストしている暇はなく、5.12bからの間髪入れずの初段ムーブである。
どう考えても5.12cではない。
私のサイズ(身長165cm、リーチ169cm)では核心までのムーブが随所でパッツパツ、私は難し目の5.13bか、易しめの5.13cあってもおかしくないように感じた。
杉野ルートの常で、ボルダー力が一定の水準に達している者はすぐ登れるらしく、オンサイトも記録されているそうで、1~2日で終わる人も結構いるらしい。
一方、できない人にはどうやってもできないルートのため投げ出す人も多く、グレーディングは難しい。

ランジ、左から撮影

 

ランジ 右から撮影

 

初めてトライしたのは2023年1月。
スプラッシュのトライで左膝が痛くなった時、Sさんがトライしていたので、ボルトにクリップしたトップロープ状態で触らせてもらった。
今思えば安易な発想であった。
1度だけランジ体勢に入るも、発射できず終わった。

本格的に取り組み始めたのは2023~2024冬シーズン。
2023年の春~秋シーズンは全くクライミングできずすっかり弱っていて、コロッサスでリハビリ。
ワンシーズン捧げれば終わるだろうと、舐めていた。
トライされている形跡がなくホールドに潮が乗ってそうだったので、プレッシャーダイレクト経由で上からホールドの掃除を行い(意地で核心のホールドは触らず。しっかり見てしまったが…)、R部分のムーブのリハーサルをした後、プロテクションをプリセットしてリードした。
R部分で少し落ちそうになり、肝を冷やした。
最初の頃は毎日朝の1便のみリードし、後は他にトライする人もいなかったのでロープを引き抜かずにトライした。
怖くて何度もR部分をトライしたくなかったが、ムーブが自動化されてからは大分恐怖感はましになった。
結局、冷やかしでトライしてくれた友人以外は、ほとんどセッションすることなく孤独な闘いとなった。
ランジ発射の左手ホールドが極悪、ランジはベストの取り先がよくわからず、大フォールを繰り返した。
年末のトライではランジ後体勢を崩して片足着壁し右足踵を打撲、2週間戦線離脱。
ビレイはしっかり流してもらうと良いことに気づいた。
後で、ランジで体勢崩して逆さま落ちもやらかしたが、この時の反省を元にしっかり流してもらっていたので事なきを得た。
年明け怪我からの復帰戦トライでは、コロッサスにトライしていたSさんが3つ目のボルトから蜘蛛の糸(スリング)を垂らしていた。
踵がまだ痛くて大フォールするとヤバいことを言い訳に、思わずクリップしてしまった。
せめてもの矜持として、ランジホールドとランジ起点となる左手カチはハングドックして触らない(探らない)、ランジが止まるまで次のセクションに行かないことで妥協し、引き続き右手ペシペシ叩きを繰り返した。
中々思うようなトライができない中、やっと計7便目(色々あって既に計5日目…)の16ランジ目、偶然右手が狙いから外れたら、ランジが止まった。
しかし、その瞬間指皮が宙を舞った。
べろんちょである。
ランジ発射体勢までの下部も繋がり、実質後1手まで来た。
しかし、この1手が果てしなく遠く、天気と予定も全く合わない。
結局このシーズンは12日間トライするも詰め切れず、4月頭にヌンチャクを回収した。
最後はヌメヌメで勝負にならなかった。

2024-2025シーズンは、生涯目標ルートであるEquinoxのトライの前に怪我するわけにいかず、帰国した2025年1月から再開した。
前シーズンの後半は、朝イチの1便目以外はピンクポイントトライだったが、今シーズンからはヌンチャクをプリセット、カムは毎回回収のレッドポイントトライ(?)で臨んだ。
プロテクションは2箇所とも2つ固め取りしていたので、少しだけ疲労度アップだ。
ワンテン地獄が変わらず続いたが、一日毎に少しずつ進展があり、いよいよ射程圏内に入ってきた。
4日目の朝イチに、ついにランジが止まった。
と思ったら左手がすっぽ抜けて壁に衝突、親指から大流血。
なんとか回復させて、5日目の朝イチ、ランジが止まった時にそのまま登りきることができた。

結局18日49便もかかった。
リップに到達してから30回、うちランジ体勢に入ってからも18回落ち、シンデレラボーイ以上のワンテン地獄だった。
少しでもヨレているとランジが止まらなかった。
実力不足で完登までのプロセスとしては、少々不満の残るものになってしまったので、今後はもっと良いスタイルでトライできるよう精進したいと思う。
しんどいビレイなど付き合ってくださった皆様、ありがとうございました。
時々上に抜けられなくなってティック消せなかったり、消し忘れたりしました、すみません。

Old But Gold、硬派な1本、腕に覚えのある方は、是非!

 

秀峰登高会の1年

船戸(記)
ここ最近、まるで記録を上げていない弊会ですが、活動は活発に行っています。生存報告を兼ねて、秀峰で一番アイスアックスを持っている(なんと10本)私の活動を通して、秀峰登高会をご紹介したいと思います

 

冬(12-3月)
私の冬はアイスクライミングがメインになりますが、錫杖などにも遠征しています

先日登った龍神(米子不動)

 

ウメコバ沢F3(足尾)

 

北東ルンゼ(錫杖)

 

中央ルンゼ(宝剣岳)

 

春(3ー6月)
この時期はフリークライミング中心。晴れ間を狙って雪山やマルチにも出かけています

エレクトリックレディランド(小川山)

 

薔薇色のエアメール(青葉)

 

農鳥岳

 

夏(7-9月)
この時期は山に行くことが多くなります。基本、合宿等はやらない会ですが長期休暇中は、皆で出かけることも・・・

滝谷合宿

 

源次郎尾根 & 名古屋大ルート(剱岳)

 

 

秋(9-11月)
ひたすらクライミング。岩に触ってないと死んじゃう病気にかかった人ばかりなので、雨が降ろうが風が吹こうが常にどこかの岩場に誰かがいる気がします

雷神(小豆島)

 

漁師の娘(瑞牆)

 

左方カンテ ジェードルルート(錫杖岳)

 

こんな感じで1年を通して、秀峰登高会は活動していますが、沢に行く人もいれば、年中ワイドクラックに挟まることに快感を覚える変な人も居たり。各自が自分に心の赴くままに活動しています。
普通?の会のように、講習やら合宿といったものは正直あまりありませんが、俺は(私は)歩いて登って、山に打ち込みたいんだ!という人にはきっと刺激のある良い環境になると思います。

この記事を読んで少しでも当会に興味が湧いた方は、一度連絡の上集会にお越しください
皆様からのご連絡をお待ちしています

 

※秀峰登高会では、集会を原則毎月1回、JR新宿駅周辺で行っています。
 入会をご検討されている方は、一度集会に来ていただくようお願いしています。
 こちらから事前にご連絡を頂けましたら、開催日と開催場所をご案内いたします。

 

アメリカ合衆国 Joshua Tree国立公園 クライミング

日程:2024/12/26 ~ 2025/1/6
メンバー:河合(一部記)、小林、小森(記)、T夫妻 (会外、12/28,29と1/3,4合流)

海外クライミング遠征で、年末年始Joshua Treeへ行ってきました。

見渡す限り岩だらけ、どのルートを触っても面白いJoshua Treeでのクライミング。
満天の星空でのキャンプ、映画で憧れたアメリカでのロードトリップに新年のホームパーティー。
クライミングもそれ以外も、何もかもとにかく楽しい夢のような日々でした。

今回の海外遠征のきっかけをくれた河合さん、遠征中毎日一緒に登ってくれた小林さん。
現地で合流して一緒に登ってくれて、新年ホームパーティまでお招きいただいたT夫妻、皆さん本当にありがとうございました!

※現地のお役立ち情報は最下部にまとめています、情報が必要な方はそちらを参照ください。

 

日誌

■0日目 12/26
(小森)
各自移動してロスの空港に昼頃集合、レンタカーを借りて出発。
道中、片側6車線道路や周りのバカでかいアメ車にウキウキ。
小林さん、右側通行で見事に逆車線に突っ込む、恐怖。

Joshua Tree国立公園近くの29 Palmsの街へ移動して終了、Motel泊。

(小林)
2回目の海外遠征、期待と不安の中で出発。
いくつか目標に設定したルートはあるけれど、自分の中で納得できるクライミングをして帰ってこようと決める。

車線の多い道路や巨大トレーラーを見て、アメリカに来た!と実感。テンションアゲアゲ⤴︎
でも、右側通行の道路は慣れるまで頭が追いつかない。。

■1日目 12/27
(小森)
いよいよこの日からクライミング。
公園内に入ると、朝焼けの絶景に圧倒される。

魔法の時間、息を呑む景色

日が昇り見通しが効くようになると、今度は膨大な岩の量に見惚れることに。
車中からでも、見える岩見える岩に綺麗なクラックがいくらでも見つかる。
日本にあれば大人気ルートになりそうなクラックが、道路脇から徒歩3分程度の位置にゴロゴロしていて、人もいない。
改めて日本との違いに驚く、天国かな?

見渡す限り岩だらけ、日本から来た身にはちょっと信じられない光景

今回の遠征、河合さんは生涯目標課題のEquinoxに全振りするとのこと、まずはEquinoxへ向かう。
園内の主要道路を外れてダートを走ること15分、路肩に駐車。
そこからさらに歩くこと25分、砂漠の中の絶好のロケーションに鎮座しているスパッと割れた綺麗なスプリッターが目に入る、これはかっこいい。
スコーミッシュからの4人パーティの先客がいてEquinoxトライ中、河合さんはさっそくお友達に、なんというコミュ力。
ビレイもしてくれるとのこと、先客パーティのトライを見届けて小森、小林さんは移動することに。

この日以降、毎朝河合さんをEquinoxへ送迎して残置 (河合さんはビレイヤー現地調達 or トップロープソロ)。
小森・小林さん組は日中別のエリアで登ることになった。
河合さんのコミュ力あればこその作戦。

奥に見えるのがEquinoxのあるJerry’s Quarry、これから毎日ここに河合さんを残置

別エリアで登るために車に戻って出発しようとするも、ドアが開かない。
痛恨の鍵閉じ込め。
電波がないのでヒッチハイク連発、色々あって結局街に移動してロードサービスを依頼することに、500 USDなり。
途中助けを求めたレンジャーさんの車に乗せてもらう際、真顔で「銃はもっているか?」と聞かれ吹き出しそうになった、持ってません。
鈍器 (#6カム) ならありますが。。。

結局この日はクライミング出来ず、小林さん本当にすいませんでした。
助けてくれた皆さん、この場を借りて御礼申し上げます。

この日も29 Palmsの街でMotel泊。
Motelで現地在住のT夫妻と合流、現地のことを色々と教えていただく。

レンタルしたスマートカー、実は賢すぎて鍵を勝手に閉めちゃうドジっ子

(小林)
この日からいよいよジョシュアツリー国立公園へ!

入ってすぐに朝焼けの絶景!見たことのない色の空で、日本の朝焼けとはまた違う不思議な空の色だった。

公園内はまさに岩だらけで、本当に異世界に来てしまったように感じる。スターウォーズに出てくる惑星の一つみたい。
(ラピュタとかBack to the Futureは見たことないですけど、スターウォーズは知ってます!)
クラックもそこら中に見え、まさに天国!ルートになっていないところも沢山あり、日本とのスケールの違いを実感した。

観光客の人も意外と多い。確かに、ロスから3時間ほどでこのような大自然がある訳で、人がやってくるのも納得。

この日は車のカギのトラブルで登れず。まあ、そういう日もあります。
小森さんがレンジャーの車に乗る際、背中の後ろで手を組むように言われて身体検査を受けていた。笑ったら何をされるか分からないから大人しくしていたけど、映画でしか見たことのないやり方で思わずジロジロ見てしまった。
街まで乗せてくれた別のレンジャーはすごく親切で、仕事が休みの日にはジョシュアでクライミングをすることもあるそう。カッコいい仕事だし、休みの日にはすぐクライミングにも行ける環境、いいなぁ。

■2日目 12/28
(小森)
いよいよこの日からクライミング (2日連続2度目)。
朝一で園内に移動、まずはHidden Valley Camp Groundに宿泊場所を確保。
駐車場の眼の前の岩場ではフリーソロが一人、しかも他のクライマーも観光客も野球観戦のような気軽さで応援中、度肝を抜かれる。

Hidden Valley Camp Groundは岩に囲まれた素敵なキャンプ場

河合さんをEquinoxに残置後、念願のクライミング開始。
岩が多すぎてどこから手を付ければいいのか迷うも、手始めにキャンプ場から徒歩圏で、T夫妻に教えてもらったおすすめルートに取り付く。
・Toe Jam 5.7
・Dog Leg 5.8
・Double Cross 5.7
・North Overhang 5.9

低グレードでもいずれもスケールがあって内容も面白い、何よりジャミングし放題、ニヤケが止まらない。
昨日の分も合わせて、存分にクライミングを楽しむ。

四ツ星のDouble Cross、低グレードでも面白い

河合さんをピックアップ (また別パーティがいて仲良くなったとのこと)、一度街に出て買い出しの後、キャンプ。
アメリカといえば肉、スーパーで肉を買い込んで星空の下で盛大に焼いて楽しんだ。

ああ楽しい
ああ楽しい

(小林)
ようやくクライミングスタート。
この日はメインのHidden Valley Campground のエリアで、体をほぐしながらエンクラ。

駐車場の脇にいきなり岩があり、しかもそこをフリーソロしているという状況に遭遇。初めはびっくりしたけれど、これから日常的にフリーソロしている人を見ることになる。これは国民性の違いなのか。

Double Crossは5.7の四つ星。
低グレードでも長さのある楽しいルートがあるから、色々な人がクライミングを楽しむという地盤が根付くのかとも思う。
待ちに待ったクライミング、最高!!

この日からキャンプ開始。
想定していたより気温が高く、快適にキャンプができた。
ビールと肉のフルコンボを決め、綺麗な夜空の下で焚火をするという幸せな時間だった。

肉、肉!!!

■3日目 12/29
(小森)
朝は河合さんをEquinoxに残置 (この日から指の痛さを訴え始める)。

小林さんがツアー一番の目標ルート Leave It to Beaver 12a にトライするとのことでお付き合い。
下部核心超えても上部も悪いとのこと、盛大にボコボコにされていた。

遠征前に首を故障して1ヶ月間ほど登れていなかった小森は、この日もエンクラに徹しようと Sphincte Quites 5.9 に取り付く。
下から見てやけに細いクラックに嫌な予感がして、慣れないながらもナッツを持参。
案の定ナッツ必須、足元マイクロナッツ連発したところで心が折れてテンション、情けなくて凹む。
日本ではカムに頼りきりでした、練習してきます。

二人共傷心で今度こそはエンクラと Sail Away 5.8 へ、こちらはちゃんと5.8で癒やされる。
後続で登ってきたアメリカ人が爆速だったので「ガイドさんですか?」と聞くと「I’m not a guide, just a guy」と答えてニヤリ。
本場のアメリカンジョークが聞けて満足、nice guyでした。

T夫妻とはここで一旦解散。

(小林)
そろそろ本気でトライをしようと思い、予め目標にしていたLeave it to Beaver(5.12a)へ向かう。メインのトレイルのそばにあり、一目で分かる。壁の弱点を繋いでいくカッコいいラインで、見栄えもGood!

出だしから結構ヒヤヒヤし、核心に入ったところでテンション。。リーチがあれば良いところまで届きそうだが、僅かに届かず。足の使い方で上手く距離を出せそうだったけど、分からなかった。上部のフェイス部分もホールドがそれぞれ遠く、打ちのめされてボロボロになりながらとりあえず上まで抜けた。
カッコいいラインだったけれど、力不足を感じて凹んだ。明日からどうしようか、迷う。しばらくクラックばかりやっていたことでフェイス力が結構落ちていたこともあり、ムーブを起こして最後まで繋げていくイメージが湧かなかった。

Leave It to Beaver

その後は、小森さんと近くの岩塔にあったSail Away(5.8)へ。トップアウトして見えた夕焼けに染まる岩と果てしなく広がる景色に、少し心が軽くなった気がする。

■4日目 12/30
(小森)
河合さん今日はレスト日、ビレイヤーとしてこちらに同行してくれるとのこと。

小森は少しずつ調子が戻ってきたので、目をつけていたIllusion Dweller 10bにトライ。
綺麗なクラックが30m一直線に斜上する大迫力のルート、Joshuaの膨大なルートの中でも迫力が際立っていた。
こんなクラック見たこと無いとテンションだだ上がりで取り付くも、変なところでレイバックして行き詰まりテンション、凹む。
グレードは確かに10b、しっかりとムーブのある下部と上部、爽快にグイグイ高度をあげられる中間部とメリハリもある素晴らしいルート、おすすめです。

Illusion Dweller、30m以上延々と斜上クラックが続く迫力のルート

小林さんはHidden Arch 11dにトライ。
日本ではなかなかお目にかかれない長いDiheadralに苦戦、回収時のカムスタックにロープスタックとフルコンボをくらい、またも盛大にボコボコにされていた。
取り付きに降りてくるなりシャツをたくし上げて〇〇ドリルのネタをシャウト、元ネタを知らなかった小森、河合さんはドン引き。
普段は物静かな小林さんがこの有り様、よほど辛かったのだろう。
この時の写真を撮り逃したことが、この遠征唯一の心残りとなった。

Hidden Arch、小林さんをcrushした元凶

またも傷心の二人でThe Eye 5.6でエンクラ。
こちらのルートはフリーソロが順番待ちで列を作っていた。
フリーソロクライマーは頭のネジが飛んで、もっと眉間にシワを寄せた気難しい人の集まりと思っていたが、話してみると気さくでとってもいい人ばかり。
「君の登りを見ていたけど絶対に落ちないだろ、you can do it」とのこと。問題はそこじゃないと思う。

笑顔のフリーソロクライマー、絵になるなぁ

(小林)
どのルートをやろうか決まらず、とりあえず昨日同様にLeave it to Beaverへ行ってみる。リードでムーブが固められる自信がなく、やるならトップロープかと迷う。。結局トップロープでやるくらいならやめようと思い、もう一つ気になっていたHidden Arch(5.11d)が同じエリアにあったのでそちらをトライしてみることにした。
こちらはメインのエリアから少し離れたところにあり、人の気配がない。あー、こういうのを求めていたんだと気づく。砂漠の中で、静かなクライミングをしたかったのです。
取り付きまでのアプローチも、大きな岩をくぐったり越えたりする必要があり悪い。その先に狭っ苦しそうなコーナークラックがあり、まさに「隠れた」ルートである。

出だしはボルト2本のボルダームーブだが、1本目のボルトがかなり高い。ノープロでバランシーなムーブを求められかなり痺れるが、何とか突破。
ただその先のコーナークラックは、クラックも閉じており、明確なスタンスもなく大苦戦。上から岩が被さっていて非常に窮屈で、動きにくい。今までに経験のないタイプで、突破方法がさっぱり分からずボコボコにされた。。引き出しの少なさを痛感し、また凹む。
その後もカムのスタックで時間を費やし、ロープを抜いた際にも謎の突起にロープがクルクルっと絡まってスタックするというトラブル続き。。河合さん、長ビレイになってしまってすみませんでした。。
その後取り付きに戻り、この2日間で色々溜まったものが砂漠の開放的な空気も相まって溢れてしまった。

その後は、小森さんが見つけたThe Eye(5.6)をフォロー。僕たちの次が何とフリーソロのクライマーで、僕がフォローで出る際に「お前は登るの早いか?」と聞かれビビる。とにかくサクサク登り、上でそのフリーソロクライマーとおしゃべり。フリーソロする人はさぞおっかない人だろうと思ったけど、話してみるとすごく気さくなイケメン。棚に腰掛けて一服してる様は超クールで、カッコよかった!フリーソロの入門ルートなのか、その後もどんどんフリーソロで登っていく人が続いていた。フリーソロなんて気が狂ってると思ってたけど、こんな広大な大地の中で登るなら、ロープに囚われず自由に登りたいと思うのも理解できる気がした。
この日も、綺麗な夕焼けの景色が胸に沁みた。

■5日目 12/31
(小森)
河合さんをEquinoxに残置 (レストで回復したと嬉しそうだが、傷心の小林さんからは反応が消えてきた)。

小林さんは Heart of Darkness 11a をトライして見事OS、おめでとう!

小森もトライするつもりだったが体が全く動かずレスト日に変更、四ツ星 11bの Coase of Buggy を偵察して終了。

夜はT夫妻の家にご招待いただき、年越しホームパーティー。
クライミングやアメリカ生活の話を色々と聞きながら、とっても楽しく、無事に年を超すことが出来ました。
年末の忙しい時期にも関わらずお招きいただき、ありがとうございました。

(小林)
この日は小森さんと意見が一致し、Heart of Darkness(5.11a)へ。
Hidden Valleyから車で少し移動したエリアで、アプローチも分かりづらかった。トレイルを辿っていくまではいいが、ルートが壁と壁の隙間にあるため見つけづらい。

隠れた場所にあるけれど、本当にすっぱり割れたクラックで綺麗。パッと見では、サイズ感もそこまで悪くなさそう。これならオンサイトできる可能性もありそうだと思い、真剣にオブザベしてトライ。
手の薄い自分にはやはりドンピシャのサイズ感で、しっかりオンサイト!手の大きいアメリカ人には窮屈なサイズと思われ、当然といえば当然だけど、グレーディングにも反映されるということを実感した。
何となく腑に落ちない部分もあったけど、こういうルートを確実に登れるようになったのは確かに成長。暗い壁と壁の隙間から登っていき、登りきって視界がパーっと開けるのは爽快で気持ちがよかった!

大晦日ということで早めに切り上げ、T夫妻と年越しホームパーティー!
ピザとチキンとビールでカロリー補給。作っていただいたお餅と鰻ご飯も大変おいしく、またお二人のアメリカ暮らしの話もすごくそそられた。素敵な時間をありがとうございました!

■6日目 1/1
(小森)
買い出しをしながら公園に戻り、河合さんをEquinoxに残置 (知り合いから「Joshuaまで来て他のルート触らずに1つのルート、しかも指の猛烈に痛いルートを休みなく毎日トライするなんてCrazy…」と言われたそうな、さもありなん)。

小森はIllusion Dwellerを回収、なんとはなしに登れて胸を撫で下ろす、それにしても素晴らしいルートでした。
やっと調子が戻ってきたので、明日からは目標ルートに手をつけることに。

小林さんは Left Ski Track 11a をトライ。
パワフルな出だし、明らかに効きの悪そうなプロテクションセットと見るからに難しそう。

(小林)
全くお正月感はないが、2025年の元旦。ロスの街から公園に戻ってクライミング再開。

移動と買い出しで登れる時間も短いため、Hidden Valley周辺で登ることにする。三つ星のLeft Ski Track(5.11a)をやってみる。ここを登れ!と言わんばかりの左上するラインで、初めにHidden Valleyに来たときに目にしてからずっと気になっていた。
穴がポコポコ開いている独特の形状で、カムが決めにくい。パワフルな出だしで少し迷うが、これなら出来そう。帰るまでに登って帰りたいと、目標に設定した。

■7日目 ½
(小森)
河合さんはレスト日、レンジャーがサイト代の徴収に来るまでキャンプ場でお留守番、のち散歩へ。Asteroid Crack 5.12dやPersian Room 5.13a辺りの偵察に行っていた模様。

小森と小林さんはツアー目標の一つWanger Banger 11cを触りにRusty Wallへ。
遠目からでも一目でわかる綺麗なスプリッター。
近寄ってみると、核心はアメリカ人のシンハンド = 日本人のタイトハンド系の、小さな手には有利なルートに見える。
OS狙いで離陸するも、核心一手甘いジャムがあり耐えきれずにフォール、2便目でRP。
Japanese Small Hand Magicが存分に効いてました。

小林さんもきっちりRP。

ここでは別の日本人パーティともお会いしました、楽しい一日をありがとうございました。

左がWanger Banger、遠目からでも分かる綺麗なスプリッター
抜群のロケーションでスプリッターを満喫

この日、小森さんの食器がリスに齧られた(河合は立ち去る犯人を目撃)。
食器はテントにしまっておくのが無難。

(小林)
小森さんも調子が出てきたようで、残り日数も少なくなってきたので共通の目標だったWangerbanger(5.11c)へ。

綺麗なクラックで、しかも少し高台にあって眺めの良い抜群のロケーション!僕が大好きな小川山のゴジラ岩のテラスを彷彿とさせ、すごく居心地がいい。
辛めのグレード感で言わされてきたので不安もあったけれど、Wangerbangerは実際に見るとサイズ感は悪くないように見える。
実際に登ってみると、案の定サイズは悪くない!シンハンドや上部のワイドなど苦手なところもあったけれど、無事に完登。
Heart of Darkness同様に腑に落ちない部分もない訳ではないけど、目標の一つでもあったし、素晴らしいロケーションの中で気持ちよく登れたのは何より最高だった!

隣のO’Kelley’s Crack(5.10c)も面白そうだった。出だしがかなり高くリーチが必要と思われるが、現地の女性クライマーが果敢にトライしていた。すごく大変そうだったけど、でもすごく楽しそうに何度もトライしている姿が印象的だった。

綺麗なクラックが2本、シンプルで美しい。

■8日目 ⅓
(小森)
朝キャンプ場を歩いていると、知らないアメリカ人から「Good luck Equinox !」とまばゆい笑顔で声をかけられた。違うそれ私じゃない。
Crazyな日本人が毎日Equinoxと激闘してると噂になってるようだ。

河合さんをEquinoxに残置 (ガンバ!!)。

小林さん狙いの Hot Rocks 11c へ。
大きな岩のど真ん中をクラックが一直線に走る徹頭徹尾かっこいいルート、しばし見惚れる。
オブザベするも、閉じたクラックでレイバックをするようにしか見えない中間部でプロテクションを取れるように見えず、二人して断念。
本当に11c? と首をひねる。
今回Joshuaで見た中でもぶっちぎりの迫力と綺麗さで心底登りたくなったルート、強くなって再訪したい。

その後は小森の希望でPoodles Are People Too 10bへ。
出だしからクラックが細く、先日の5.9トライがフラッシュバック。
マイクロカムでランナウトした核心部分、よっぽどテンションかけたかったがそこは先日の悔しさでなんとか我慢して登る。
終わってみれば、35m、#0.2カムやマイクロナッツでランナウトした状態でバランシーな10b核心ムーブが数回出て来る10bルート。
横のアメリカ人に感想を聞くと「Spicy」の一言。
緊張感が続きとても充実する素晴らしいルート、個人的には間違いなく4ツ星 (トポだと3ツ星、なぜ?)、おすすめ。

再合流したT夫妻はScary Poodleをトライ、Scaryだが良いルートとのこと、次回はそちらもトライしたい。
トポに ”Poodle in Shining Armor” というルートもあった。何を食べたらそんなルート名を思いつくのか、初登者の頭の中が見てみたい。

横のOver Seers 5.9でエンクラして終了、爽快な35mルートでこちらもおすすめです。

真ん中、クライマーが登っているラインが Poodles Are People Too、Spicy

(小林)
残り2日、日本に帰ることが信じられない。

これも気になっていたルート、Hot Rocks(5.11c)へ行ってみる。Hidden Valley のキャンプ場から数分、すごく近い。
一目見て、度肝を抜かれた。大きな壁に走るクラックは本当に綺麗。
下部の細いクラックが核心に見えるけど、プロテクションの取り方に自信が持てない。傾斜は緩いから、意外と立てるのか。。でも上まで抜けられるイメージも付かない。これまでのロングトライも脳裏をよぎり、今回は見送ることにした。
ジョシュアのこれまでの滞在中に色々なルートを見てきたけど、これが圧倒的にNo.1。いや、クライミングを始めてから見てきたルートの中でも、ここまで揺さぶられるものはなかった。でも取り付く勇気すら出せず、それが一番悔しい。僕はあまり一つのルートに固執しないタイプだけど、これはいつか登りに行きたいと思う。

Hot Rocks

もう残り一日、段々と帰国が近づいてくる。あー、帰りたくない。

■9日目 ¼
(小森)
遂に最終日、後ろ髪を惹かれながらキャンプを撤収。

河合さんをEquinoxに残置 (本当に最後までEquinoxしか触らなかった、流石です)。

AMは小林さん狙いの Left Ski Track へ。
寒い日陰、悲壮な表情でシリアストライする小林さんを尻目に、何やら横の岩で盛り上がっている。
よく見るとアメリカ紳士たちが温かい日向でスッポンポンクライミング、それを見たクライマーと観光客のグループが黄色い? 歓声を送っていた。
これが国民性の違いか。

生まれたままの姿でクライミングを楽しむアメリカ紳士達 (写真ではギリギリ隠れているので、安心してください)

PMは小森のツアー目標の一つ、日本では滅多にないルーフ課題のMore Monkey Than Funky 11cへ。
1便目、ハンドをしっかり効かせて離陸、足が離れると経験したことがない方向に重力を感じて緊張。
カムを1つ決めて進むが、次のカムを決める余力がなくフォール、緊張して力を入れすぎてしまった。
2便目、ルーフのコツが掴めてカムは問題なくセット、リラックスして抜け口まで進む。
ルーフ抜け口でまごつくが耐え、なんとか上のシンハンドに手をねじ込んでルーフの外に体を出すが、耐えられずフォール。
その後はムーブをバラすも、フォール時に足がスカってルーフの庇でスネを強打、ロープスタック、カムスタックとルーフの洗礼をフルコースで受け、真っ暗になってからやっと取り付きに戻った。
お待たせした皆さん、何よりも真っ暗な砂漠の中で待ってくれた河合さん、最後の最後まですいませんでした。。。
おかげさまでルーフを満喫できました、これにて遠征のトライ終了。

More Monkey Than Funky、これがしたかった!

(小林)
遂に迎えてしまった最終日。
明日には飛行機に乗っているなんて、信じられない。いや、信じたくないのかもしれない。

目標にしていたLeft Ski Trackに最後のトライ。核心は越えたが、その後に足が抜けて痛恨のフォール。。かなり疲労感は溜まっていたし、これが現在地だということ。でも、いつも足がすっぽ抜けるのは何なんだろうなぁ。。

午後は小森さんのMore Monkey Than Funkyへ。ヨレた体にはルーフはキツく、フォロー回収すらロクにできず。。ルーフとか強傾斜も、普段から嫌がらずにやります。

ヘッデンで駐車場に戻り、真っ暗な中で待つ河合さんをピックアップ。今までの色々なことを思い出して寂しい気持ちと、またいつか来ようという思いが混ざり合い、充実した気持ちでジョシュアツリーを離れた。

■10日目 ⅕
(小森)
帰国の日。
Motelを出て一路ロス、日本へ。
道中仕事のメールを確認しているワーカホリックな河合さん、日本が近づくにつれ顔がどんどん暗くなる小林さんに「また来たいね」と声をかけ合い、空港で解散。

「Joshuaに行くけど、来る?」と声を掛けてもらったのが昨年の春先。
当時はまだクレイジージャムが登れたばかりで尻込みをするも、憧れの遠征のチャンスを逃すまいと勢いで同行をお願いした。
それからはワイドの誘惑にも負けずに普通のクラックを登りこみ、やっとの思いで実現した今回の遠征。
そんな経緯も含めて、初めての海外遠征はただただ楽しく、充実したものになりました。

日本で登り込んで、また次の遠征を楽しみたい。

(小林)
遂に帰国の日。
到着した日に見た景色と同じ景色、帰るんだということを実感して寂しさが募る。日本で仕事が待ってるなんて。。
でも、また強くなってから来ようと心に決めた。

最終日を終えての夕食にて、皆さんありがとうございました!!

(小林 総括)
今はもう2月。帰国翌日から仕事で体は一気に現実世界に引き戻されたものの、気持ちは未だ夢の中。。ジョシュアツリーの広い大地やその中の朝焼け・夕焼けの景色は今でも目に浮かぶし、楽しかったことや悔しかったこともまだ鮮明に覚えている。あー、ジョシュア…!!

ジョシュアでのクライミングで特によかったのは、どのルートもトップアウトして岩の上に立てるということ!
独立した巨大な岩にルートが引かれており、ルートを登った先は岩の頂上に行き着く。壁の途中で終わらず、頂上に立てるのは何より気持ちがいい。特に夕方、心身ともに疲れた中で岩の上から見た夕焼けの景色は絶景だった。

日本での準備段階から一緒にお世話になった河合さんと小森さん、素晴らしい機会をありがとうございます!そして現地で合流したT夫妻のお二人、たくさんのおもてなしをありがとうございました!

やっぱり、アメリカの自由な空気感はいいなぁと改めて実感。ヨセミテ も行ってみたいし、またジョシュアにもリベンジに行かないと。スミスロックのChain Reactionも宿題のまま。他の岩場も行ってみたい。
またアメリカでチャレンジできるように、日本で鍛え直します!

 

Equinox奮闘記 (河合、記)

Equinox。
この名前を聞いて反応をするのは、競馬ファンとコアな割れ目クライマーくらいだろう。
ヨセミテのSeparate Realityと並び、クラックを始めた頃から目標にしてきたクラックだ。
世界で一番美しいフィンガークラックだと勝手に思っている。
グレードは初登時5.13a、現在は辛めの5.12cとされている。

Equinox全景。フレークに立ってスタート、実質20mくらい

昨年は忙しく、夏~秋は半年くらいまともにクライミングできなかったが、遠征前の2ヶ月は尻に火が付き、クラックをそこそこ登りこんだ。
カーテンコール5.12aをアルツハイマーフラッシュ(以前トライしたのは忘却の彼方)、サキシマハブ5.12aやカサンドラクロス5.12bをワンデイ、苦手な持久系のHeaven5.12cも4日かかったが登れ、調子は戻ってきた気がした。
遠征直前には既登の「SSK Equinox」センチュリーフォーカラーズ5.12bを繰り返し登り、「9日間もあるし、グレードも5.13ないし、何とかなるだろう」と思っていた。
甘かった。
Joshua Treeのグレードが辛いのは噂に聞いていた。
しかし、RP体勢にすら辿り着けないなんて…
コンディションは最終日の爆風低温を除き概ね良かったので、言い訳できない。
Mountain Projectによれば、昨シーズンに後半のガバフレークが崩壊したそうで、現地でお会いしたYさんも、「後半は全くの別物になってしまった」と話していた。
でも、それを差し引いても、今の私には難し過ぎた。

取付下のたまり場。「ここで寝泊りしているのか」と聞かれた。違うから!

スコーミッシュからの長期遠征部隊の人にビレイしてもらった初日の1便目で、「今回のツアーで登りきるのは無理」と悟った。
諦めて出直して残りの日程でエンクラか、今回可能な限り進めて、チャンスがいつあるかわからない次回に賭けるか、少し悩んだ。
でも、今の自分が求めているクライミングは、手に入るとわかっているものにはない。
すぐに悩みは消し飛んだ。
その後は小森さん小林さんに毎日駐車場に残置してもらい、一人でEquinoxに通う日々。
幸い、私のようなソロ含め、ほぼ毎日他のパーティがトライしに来ており、楽しい日々が過ごせた。
憧れのルートとじっくり対峙できた日々は、幸せ以外何物でもなかった。
結局、9日間の滞在日程中、レストを2回挟んで7日間トライした。
最初から最後まで思いっきりフィンガークラックなので指がとても痛く、結構混んでいたのもあって最初は1日で2トライが限界。
5日目頃からトライが形になり始め、6日目のトップロープソロでのワンテンが、今回の最高到達点となった。

EquinoxをRPするバーガーコックコスプレのスコーミッシュクライマー。強かった!

ルートはキャメロット0.3サイズで始まり、広目の0.4サイズが長く続き、最後は0.5サイズで終わる。
極小カムもオフセットカムもナッツも不要、シンハンドジャム以上できる幅は皆無なので手の甲のテーピングも要らない。
広目の0.4サイズは指がしっかりクラックに入るため、大体全部ガバだ。
しかし、難しい。
それはクラック周辺のフットホールドがシビアなためだ。
核心はハングしていて足は極小3mmエッジ、ジャムも甘い。
その後も垂直にひたすら続く小悪いジャムとパワフルなレイバック、ストレニュアスだ。
ダメ押しはフレーク崩壊で新たに誕生した後半の核心。
私のムーブではテクニカルなジャミングを要求され、クラックルートとしての質は崩壊前より上がったのではと思わされる。
体感は5.13aぴったり。
一緒にトライしたクライマーは、少なからず「5.12dか5.13a」と話しており、とあるローカルの女性は「私にはAsteroid Crack 5.12dより難しい。ルートのタイプは違うけどねー。」とコメント。
日本で内容の似ているルートは、残念ながら知らない。
少なくとも、似ていると期待していたセンチュリーフォーカラーズとは、クラックの向きだけでなく、傾斜、指への負担、フットホールドの悪さ、グレード(アルファベットではなく数字1つ近く違う)等レベルが異なり、似ているのはサイズ感位だった。
蛇足ながら、センチュリーフォーカラーズの写真を見せて「Japanese Equinox!」と宣伝したら結構ウケて、「綺麗なフィンガー」との評価を勝ち取れた。

エイドで登っている人もいた。多分トップロープ張りに行っていると思われる。左上のシルエットは河合のFix

なお、後半のフレーク崩壊箇所はまだ少し岩がザラザラしているが、登るのに支障はない。
ただし、後半パートのフットホールドの多くは剥がれやすいフレークから構成され、私がトライした時も、レストで使う左足のガバフレークが突如5cm程欠けてしまったのでご注意を(ごめんなさい…)。
フレークの剥がれた縁がフットホールドになっており、他にも過去に剥がれた痕跡は結構あったので、初登時とフットホールドの状況は結構変わっているのかもしれない。
ホールドが極小なことには変わってないと思うけれど…
また、花崗岩の結晶が粗いので、替えの靴をお忘れなく。
私のそこそこソールの残っていたミウラーは4日で昇天し、やむを得ず急遽現地のNomad Venturesで調達した新品TCプロ(この靴、分厚いのに意外とフィンガーもいけることにびっくり。さすがトミーデザインの靴だ)も、3日間で、ゴミホールドを踏み続けた左足はソールの2/3が消失した。

とにかく絵になるシチュエーション。傾斜が中々きつい

Equinoxは結構な人気ルートで、ビレイヤーを現地調達できることがわかったので(今冬は例年より暖かいようだったので、賑わったのは今回だけかも?)、今年の年末年始も、たとえ単独でもリベンジに行こうと思う。
でも、今年の年末年始で行く方がもしいらっしゃれば、声かけてもらえると嬉しいです。

これを書いている今も、まだ指が痛い。
最後はロキソニンまで飲んで、頑張ったんだがなぁ…
あぁ、楽しかったけど、悔しいなぁ…

敗退した最終日、取付で見送った夕日は、鮮烈だった
また次回!

 

お役立ち情報

■トポ
下のトポを使用、主要なルートは写真付きでほぼ網羅、アクセスも詳細でわかりやすい。
日本では入手困難? な様子、Joshua Treeの街のギアショップ、ツーリストインフォに在庫があった。

■気候
今回の遠征では3日間のみ曇り、他の日は全て快晴。
ローカルの話では冬でも雪が降るのは年に数度程度、積もることはかなり稀、積もってもすぐ溶けることが多いとのこと。
昼の日向は半袖でも快適、日差しはジリジリと強く感じる。一方で日陰はダウンが必要な程寒い。
夜は冬用シュラフだと快適な気温。
日によっても気温の差が大きい、かなりの強風が吹く日もありその場合は体感気温が一気に下がる。
今回の遠征では最終日のみトライに若干の支障あり (曇りと強風が重なり、日陰ルートでは寒すぎて指が弾かれる、かじかむ)。他の日はベストコンディションだった。

■宿泊
国立公園の周りで主な街は”Joshua Tree”, “Twentynine Palms”, “Yucca Valley”の3箇所。
上記3つの街のMotel、または園内でのキャンプが主な宿泊の選択肢の様子。

園内のキャンプ場はエリアにより予約の要否が異なるので、最新情報を要確認。
今回宿泊したHidden Valleyのキャンプ場は先着順で宿泊 (予約不可)。連日満員だったが、朝一であればどこかしら場所は確保できた。毎朝9時頃レンジャーさんが見回りをしているのでその際に支払い、25 USD group/day。水場なし、トイレとゴミ箱あり、焚き火可 (園内で薪調達不可、街で要購入) で宿泊は非常に快適。主なクライミングエリアはこのHidden Valley周辺が多いので便利だった。

Joshua Treeの街のCoyoteという土産物屋に有料シャワーがあるとローカルから聞いたが、未確認。

■買い物
Joshua Treeの街に何でも売ってるギアショップ(Nomad Ventures)があり、アメリカンエイドまで、クライミング道具やトポは大抵何でも揃いそう。ロスのREIよりよっぽど品揃えが良い。靴だけはアメリカンな大きいサイズしかないことが多いが…日本では中々手に入らないYatesのギアも買うならここ!生鮮食品は“Twentynine Palms”と”Yucca Valley”には大きめのスーパーがあり入手可、”Joshua Tree”の街にはスーパーが見つからず入手困難。

■移動
園内の主要道路 (地図赤線) は全て舗装路。主要エリアはこの舗装路脇に車を止めて、そこから徒歩 (5分~10分程度) でアクセス可、2WD車でも問題なし。河合さんトライのEquinoxは4マイル位未舗装路を経由するため、路面はそこそこきれいだが4WD車が無難。雪降ったらアプローチヤバそう。

国立公園からから各街への出入り口はWest EntranceとNorth Entranceの2箇所。車移動でHidden Valley~Joshua Treeの街が30分、Hidden Valley~29 Palmsの街が40分程度かかる。朝10時~昼3時くらいまではどちらのEntranceも公園に入る方向で渋滞あり。加えてWest Entranceは日没直後結構な長さの渋滞が発生し、公園から出る際に時間がかかるので注意 (North Entrance側は渋滞少ない様子)。

■その他
Joshuaのルートは終了点が無いことが多く、登り終わると「カムで支点構築→フォロー回収→別の場所からクライムダウン or 懸垂」となるパターンが多い(Equinoxにはちゃんと終了点があって、裏にFixロープもあって回り込んで終了点に行けたが、恐らく例外的)。トライの際はカム・スリング類を少し残し、ATCの持参を推奨。フォロー回収用にアッセンダーがあると便利 (特に遠征後半は体力、指皮温存に効果大)。取り付きへの移動・クライムダウンで岩の上での行動が多く、そこそこのクライミングになることも多いので、アプローチシューズ推奨、日本でよく見るトレランシューズは避けたほうが無難。

以上

 

小川山 「むささびルート」(烏帽子岩、裏烏帽子右岩壁)

山行日:23年9月10日(日)
メンバー:船戸、野澤、薄田(記)

今回、当初は9/9~/10で錫杖の計画であったが台風13号の影響を考慮して9日は壁が濡れいて登れないと判断。急遽変更した。
朝、某道の駅から移動して廻り目平の駐車場に車を駐めてアプローチ40分位で取り付き到着。
1p目野澤リードでスタート(7:00くらい)したが朝一で体が硬いのか5.10bのトポ表示だが1時間位掛かってやっとフォローがスタート(薄田~船戸)触ってみると時間の消費が納得体感 10bとは思えない難しさ。浅い凹角と右側のカンテを使ってジワジワ体を上げていく。
左のハング気味のカンテは触らないで凹角沿いに行くのが正解。30m程度で終了。

1P目
1P終了点

 

2p~3pはスラブ&ガバハンド(バチ効き)5.9位で易しい。

2p終了点

4P目が見た目ワイドも混じる「いたちクラック」。初見なれど触ってみるとハンド~フィスト「バチ効き」で快適そのもの。本ルート上一番楽しいピッチとなる。ワイド部は手足を外に置けば難しく無い。10aは納得。3人で時間掛かったのでそこで終了して懸垂3回で取り付き迄下降する。

3p
4pいたちクラック
4P目終了点

取り付き着が13時00分位。時間が余ったので「ロケットマンルート」1pのみ登ろうと移動。見上げると下部がこけこけでモチベーションだだ落ち。
近くに有る「登攀のすべてPart3」10cを3人で触るが誰もRP出来ず。
フレークが終わる迄はカムを効かして登れるが最初のボルトクリップ後の一手が難しく
取れない。スラブも練習が必要。18:00迄やって暗くなって来たのでお終いとした。
楽しい1日でした。

城ヶ崎 スプラッシュの記録

河合(記)

久々に心と体を削って登った1本の記録を残しておく。
スプラッシュ。
有名なルートだと思う。
故杉野保氏の作品で、城ケ崎シーサイドエリア黎明期からかなりの間を空け、1998年に初登された。
現在、城ケ崎シーサイドの最難ルートだ(登れなくなったクランチャーを除けば)。
グレードは5.13cか5.13d、トポによって異なる。
シーサイドの最奥にあり、潮が引いた時でないと全貌が見えない。
杉野氏初登の城ケ崎ルートの多くに共通するのは、「ある程度ムーブを起こす力がないと、何もさせてもらえない」ことだと思う。
てるてる坊主5.12d、サーカスライト5.12d、コロッサス5.13aか5.13b、秘奥義5.13b辺りをトライした人ならわかってもらえるだろうか。
「ある程度」の力があればムーブをこなせるけど、その「ある程度」の水準が随分と高い。
そのため、杉野ルートの多くは、登れる人はあっさり登り、登れない人は封印するか、私のように歯を食いしばる努力をすることになる。
スプラッシュも、ご多分に漏れず、その類のルートだ。
核心のムーブは激しく、厳しい。
そして、さらにこのルートを厳しくしているのは、そのボルト位置だ。
下部核心のランジを止め損ねると、岩角に叩きつけられるリスクが高い。
下部を余裕でこなせない人には「やっても意味ないよ」というメッセージか。
中間部の核心垂壁は、ハングドッグでは探れず、一連のムーブを終えてさらに登ってからでないとクリップできず、大抵はボルト足下でバンジージャンプすることになる。
最後のサーカスライト共通部分の核心も同様で、ムーブを起こし終えない限り最後のガバを触ることすらできない。
ボルトに守られたルートだからこそ、少しでも未知の部分を緊張感の中で探る、本来のクライミングらしい部分を感じて欲しい、という初登者のメッセージのように思う。
本ルートの構成は以下のとおり。
(以降、ムーブの記載オンパレードなので、オンサイト狙う人は読まないで下さい。)

【出だし】
・スタートはサーカス5.12cと共通の地ジャンまたはデッド、初っ端から激しい。
・その後、ルーフ下のガバを繋ぎ、ランジ体勢に入ってランジを止める所が最初の核心、意外とテクニカルで、ここで落ちると危ない。
・なお、このセクションは、サーカスのフットホールドを使ってハンドトラバースすると簡単にこなせるけど、スプラッシュ感が感じられないので、私は不採用。岩の強点を攻めてこそスプラッシュ!
・その後遠いガバをデッドで繋ぐとハング下のレストガバに到達する。クリップが遠い。
・ここまでで、5.12bはあるだろうか。

【核心】
・ルーフからの抜け出し方には2通りある。初登者ムーブは見えないガバへの強烈なデッドで、リーチがないと不可能。私は辛うじてガバに届いたもののマージンがなく、その後動けなかった。
・小柄な人はリップのゴミカチを握りしめ、ルーフ下にヒールする通称「スプライトムーブ」一択だ。このムーブはリーチの不足分を足位置でカバー可能。ルーフ下ヒールは非常に膝に悪い。人によっては簡単というこのムーブ、私にとっては最大核心で、このムーブをやり過ぎて左膝側副靭帯を痛めた。
・ルーフ抜け出しの最後は、遠いガバへのデッドから、垂壁へ乗りあがって左カンテへの横移動で、このセクションが最大核心という人が多い。ガバマッチからのクロスと、左足乗り込みの2通りムーブがある。左足への乗り込みは股関節の柔軟性が鍵で、大柄の人には狭くて辛いらしい。クロスムーブは試していないのでわからない。
・一連の核心ムーブは私の場合10手で、V8位の強度はあると思う。
・ここまでで既に5.13b以上ある気がする。

垂壁の核心ムーブ

【サーカスライト核心】
・カンテのレストポイントはサーカスと共通のドガバでかなり休める。
・その後サーカスライトの核心だが、このムーブもかなり悪く、右手でゴミカチを押さえながらヒールで体を引き上げていく。カチ力と体幹の残量が鍵で、パンプが取れていてもなぜか落ちる。このセクションだけでもV6はありそう。リーチがないと最後ヒールを残したまま穴ガバが取れないので、足を切ってから余計な強度のあるワンムーブが増え、辛い。
・最後は5.10b位のスラブで、ホールドは初見ではわかりづらいけれど、ここまで到達した人が落ちることはないだろう。
前置きが長くなった。
シーサイドの最終課題といった雰囲気の、このルートの敷居は高かった。
初トライは2020年3月に遡る。
このシーズンは首尾よく虎の穴5.13aが登れ、その勢いで試しに1日トライした。
2便目でハング下まで繋がるも、核心は全く歯が立たず、あっさり諦めた。
翌2021年3月、シンデレラマン5.13bをシーズンぎりぎりで間に合わせた後、パートナーのシンデレラボーイのビレイついでに1日トライするも、同様に核心は歯が立たなかった。カンテまで10cm以上左手が足りない。
本腰を入れてトライを開始したのは2021年12月。
シーズンを捧げる覚悟で、12月上旬からトライを開始した。
考えられる足位置を全て検討した結果、計7日目にカンテに到達した。
RPしたのではないかって位嬉しかった。
この日はヌメヌメのサーカスライトセクションが抜けられず、計8日目にトップアウト。
トップアウトがこんなに嬉しいルートは中々ない気がする。
しかし下部のランジを取り損ねて頭を壁に強打し流血、髪の毛が少し減った。情けない。
さらに、4日目頃にできたルーフ下ヒールムーブが全く再現しない。
意地になってトライし続けた結果、年の明けた1月、靭帯を痛めて左膝裏に激痛が走るようになり、計11日目で登攀不能となった。
このシーズン、左膝は回復せず、スカラップ5.12d/13aで関節技極めたり、秘奥義5.13bに通い詰めて絶望したり、シーズン末期にヌメヌメのブリザード5.12dにトライしたり迷走。

極めて膝に悪いヒール

2022年12月、今度はムーブを変えて初登者ムーブで再挑戦。
ルーフ下のヒールが不要で、膝への負担が少ないからだ。
しかし、ルーフ上へのデッドは辛うじて止まるも、その後全く動けず。
これはどうしようもなく、2日間トライした結果諦め、ムーブを元に戻した。
当然、また膝裏が痛くなった。
しかもワークアウトでトライしたドラゴンフライ5.11cでどか落ちし、左踵をしこたまぶつけてしまい、早々に2週間ほど戦線離脱。その間に何とか膝を回復させた。
ワントライ3回、1日9回まで、週1のトライに制限して、こつこつトライを続けたが、滅多にムーブができない。
繋げると、まずできず、膝も痛い。
できる時とできない時の違いがわからない。
同じ場所で何十回も落ちて、心が折れかけた。
後はもう、道具を変える位しか、できることがない。
完登者に使った靴を教えてもらい、新たに2足買って試した。
鍵となったのはヒールの形状だった(行き詰まったら研究してみて下さい)。
1足目は結構感触が良く、暫く履き続けるも結局ヒールは下からでは繋がらず。
2足目はぴったりフィットしたが、ムーブを起こす際の激痛に耐えられず、一度は投げ出した。
その後、1足目ではどうしてもムーブが繋がらないので、2足目を再導入。
不思議なことに、今度はムーブが不思議な位スムーズに起こせた。
どうやら膝周りに謎の筋肉が付いて靭帯への負担が減ったらしい。
こうして迷走すること計23日目、遂にルーフを抜け出してカンテに出て、ワンテンとなった。
時既に2月中旬。
後は時間と持久力との闘いだ。
しかし、サーカスライト核心もとても悪い。
本当に5.12dのルートの核心なのか。
カンテに出る確率も5割を下回り、バンジージャンプを繰り返した。
最後、散々練習したムーブを変更したところ、計27日目となる2023年3月4日、初めて触ってから足かけ3年、73便をかけて完登した。

終わった。

とにかく、長かった。
正直、ルーフ下ヒールを安定してこなせるようになった計22日目まで、このルートを登れるか全くわからなかった。
いつ膝が爆発するかわからない恐怖。
リップにデッドし過ぎて右肩も痛くなり、週末に体をベストコンディションに持ってくるため、ジムに行けなくなった。
ひたすらスプラッシュだけトライし、落ちる日々。
体を壊してまで、そこまでして登る価値はあるのか?
「膝痛むのに続けるなんて、バカじゃないの?」友人クライマーに言われた。
バカだと思う。
でも、何と言われようが、かっこよすぎるんだよ、このルート。
最後にグレードについて。

5.12b+V8+V6+5.10b、計48手。
それぞれの間に大レストを挟んで、どのグレードとなるか。
身長166cmの私でも随所にパツパツ、最後にダメ押しのきついムーブが入って辛く、途中狭い部分があるにせよ、トータルでは大柄な人に有利なルートのように思えた。
持久系ではないので、ボルダー力が一定以上の水準に達している人は易しく感じるかもしれない。
私は5.13c以上はこのルート以外登ったことがないのでよくわからない。
今まで登った5.13bより明らかに難しかったので、5.13c以上の何かだと思う。
5.13dあったら嬉しい。
蛇足だが、サーカスライトは5.13aある気がする。スプラッシュ登った翌日についでにRPできたけれど、虎の穴5.13aより難しいと思う。
シーサイドの5.13-が大体片付いたら、是非トライしてみてください。
昨シーズン、結構な頻度でマーキング消すの忘れて、また最初から最後までヌンチャク残置してすみませんでした。
また、様々なアドバイス下さった皆様、現地で一緒にトライやビレイして下さった皆様、特にワンシーズン丸々付き合ってくれたK林君、ありがとうございました。

オワタ\(^o^)/

大井川水系 大根沢

南アルプスに大根沢山という山がある。「ダイコンたくさん」ではなく「おおねさわやま」と言う。この山を源流にする沢はいくつかあるが不勉強な自分は明神谷くらいしか遡行していない。そんな訳で、山名の由来となった大根沢に行くことにした。


中和(単独、記)

概要:
2022/11/03~11/06
信濃俣河内支流の西河内から大根沢にアプローチ。
大根沢支流のブナ沢から寸又川まで下降後、杓子沢を遡行して大根沢山。

11/3 快晴
赤石温泉付近に車を停めて自転車で畑薙ダムに移動。林道をしばし歩いて信濃俣河内に入渓する。渇水期なので信濃俣河内に水の重さはなく、紅葉を眺めながら歩くだけで西河内の出合に到着。

畑薙は紅葉シーズン

アプローチに使った西河内は「何もない」の一言で表現できる沢だ。小滝とミニゴルジュが散見される程度の下降向きの沢で、登って面白いと感じたなら感性が豊かな人だと思う。水源も低くH1400くらいで枯れる。稜線に上がると焚火ができないのでH1600あたりの傾斜地をそれっぽく整地して宿泊。ぞんざいな整地だったので、傾斜でズリ落ちては起きるを繰り返す嫌な夜になった。

11/4 快晴
夜明けと同時にガレた沢を登ってコルを目指す。不安定なガレを登らず、横着して右手の尾根に逃げるとあっけなくコルに出た。
コルから水の少ない沢を下降していくと40分ほどでブナ沢の源流部に出る。ここから杓子沢(地図に名前がないが大根沢山の南西に詰める沢)出合まで3時間で下降できると予想していたが、滝が多く2倍ほどの時間がかかった。
途中、木の根を支点に懸垂したらロープを引けずに登り返したり、大高巻きしてのルートミスもやらかしている。適正な判断ができる人ならもっとスピーディに下降できるとは思う。

H1600付近の12m滝
大滝はないが10mくらいまでの滝が点在

滝やゴルジュで薄暗いブナ沢から一転し、杓子沢の出合は薪も豊富な明るい河原で宿泊好適地。ここより下流の大根沢の中下流部はゴルジュはあるものの小滝と釜が続くきれいな渓が寸又川本流まで続く。この日は大根沢橋よりやや下流に泊まった。

サクラ沢出合の二俣

11/5 快晴
この日は寸又川まで下降した後、杓子沢出合まで登り返して同沢を遡行するのが目的。泊地を出て大根沢を下降していくが、渓相は相変わらず穏やかだ。にしても林業のゴミが非常に多い。大根沢には森林鉄道の支線や営林小屋があったので何となく予想していたが、ブルドーザー、ワイヤー、吊り橋、小屋、森林鉄道など林業ゴミの展覧会となっている。

コマツ製ブルドーザー

左岸の大根沢事業所跡を見送るとすぐに寸又川との出合だが、ここはゴルジュ内に全水量が1mほどの幅で圧縮されて落ち込みとなっている。高さは2mほどなのでトラバースして釜に飛び込めば下降できるが、すぐ横に森林軌道があるので歩いて寸又川に出合う。

上から見た落ち込み

大根沢出合からは左岸林道に上がって時間短縮しようとしたが、この林道は相変わらず崩落地だらけで極悪だった。釣り師によると思われるトラロープが残置されているが、落ちたら良くて大怪我の崩落地にロープの強度も固定方法も不明なゴミで突っ込めるのが信じられない。豆腐メンタルの自分はトラロープに命を預ける気にならず、適当な場所で懸垂して大根沢に降りて杓子沢の出合まで戻った。

画像だと何が何だかわからないが、崩落地にトラロープがフィックスされている

ここからは大根沢の南西に詰めあげる杓子沢の遡行だが、基本的に上に行くほど難しいしヌメる。下流は小規模なゴルジュと小滝のみだが、中流は5m前後のヌメる滝が連続し、上流部はV字谷からの崩落壁という品揃え。
中流部の終わりであるH1580で三俣状になって沢が東に屈曲するが、本流と思われる沢の水は伏流し、地図にない支流からは大量の水が流れこんでいる。地図と現実の不一致にひどく困惑させられたが、一番風格のある本流と思われる涸れ沢を遡行したら正解だったようで、すぐに水は復活した。と同時に左右の壁が立って来てルンゼ状になってくる。快適な幕場は諦めざるを得ない雰囲気だが、H1750付近に奇跡的に平坦な場所をゲットし快適な夜を過ごした。

最上流部。同じような滝が3つ続いて崩落地に出る

11/6 快晴
この沢は詰めが崩落壁なので、どこで逃げるかの判断が核心になる。なまりきった今の体とメンタルで崩落地を登る気になれないので、遡行中も脱渓ポイントのチェックばかりしていた。途中5m滝を高巻きするためロープを使って一段上がると、5m滝が3つ連続する上は崩落地となっているのが見えた。頑張って登ってもすぐに遡行終了になるのがわかったので、懸垂して一段降りて滝下の右岸から脱渓。あとは藪を漕いで大根沢山に到達。この先はほぼ登山道なので、14時前には赤石温泉にたどり着いた。

コースタイム:
11/3:赤石温泉(10:30)-信濃俣林道終点(11:02)-西河内(12:49)-西河内H1600(15:29)
11/4:西河内H1600(5:39)-コル(6:11)-杓子沢出合(14:27)-大根沢橋(15:50)-泊地(16:10)
11/5:泊地(6:40)-寸又川(8:13)-大根沢橋(10:50)-杓子沢出合(11:57)-杓子沢H1750(15:27)
11/6:杓子沢H1750(6:37)-大根沢山(9:35)-赤石温泉(13:50)

装備:
60mロープ、荷揚げ用補助ロープ、トライカム#2まで(未使用)、ハーケン数枚(未使用)、アブミ(未使用)、沢靴(ラバーソール)、軍手、シュラフ


アルパインの岩場における残置やラッペルボルトの是非を語るクライマーは多いが、登山者もペンキと赤札の設置について少しは思いを巡らせても良いのではないか。
もちろん百名山や丹沢・奥多摩あたりの登山道ならば、立派な道標があろうが等間隔で刺々しい色のペンキマークがあろうが何か言うつもりはない。そういう場所だと承知しているからだ。
また、赤札をゼロにしろなどと言う気もない。バリエーションにおいて、ルートの取付きや尾根の下降点に確信が持てないとき、無造作につけられた赤札で一安心したことも一度や二度ではないからだ。
ただ、未整備であることが魅力の深南部において、ペンキや赤札で過剰にルート整備するのは、山域の特性を無視した身勝手な行為だと思えてならない。例えるなら谷川岳や剱岳の岩場をラッペルボルトで整備するのと同レベルの暴挙なのではなかろうか。

過剰なペンキの典型、この後も赤札が連打されている

 

 

笠間 ターゲット

笠間 ターゲット
河合(記)

この冬トライして最も印象に残った1本は?
問われると、それはスプラッシュでも秋雨でも、スカラップでもない。「ターゲット」。この1本に尽きる。
パートナーがおらずひっそり出かけたある日、アプローチで迷いに迷い、何故か鎖場にぶち当たり、ペットボトル転げ落としながら辿り着いた笠間ボルダーで、出会ってしまった。
このルートはひっそりと口を開けていた。ボルダーで3級、リードで5.10cという、よくわからないグレードが付いている。
綺麗に割れた弓状の前傾ハンドクラックで、出だしはフィンガーだ。
笠間で一番美しいのでは、と思う。
高さは取付から7~8m。下地は最悪、斜めの岩盤か木の根が飛び出た急斜面。リードならカムを2~3個決めるだろうか。
チョーク跡は、やはりついていない。
当初、見た目に圧倒され、トライするつもりはなかった。
しかし、石器人スラブの鬼トライを重ねるうち、ソールも心も擦り切れ、あまりに美しい割れっぷりに気が少々触れて「やってみるか」となった。
トライするにはそれなりに葛藤があった。
「万が一にも落ちないか」
「Point of no returnはどこか」
「クラック内のコンディションは?」
「落ちたら大怪我確実・・・でも頭から落ちなければ死なないよな・・・」
最終的にグラウンドアップは諦め、トライ前に抜け口に回り込んだ。
マントル位置に葉がヤバイ量乗っていないか確認(多少乗ってたが無視)。登攀に使わない部分のクラックに手を入れ、湿気と幅に問題がないことを確認。申し訳程度にマット1枚とサーマレストを敷き、やにわにトライを開始。マットの上に落ちられる気がしない。
出だしのフィンガーからシンハンド部分が少しテクニカルだったが問題なく、タイトハンドに手を捻じ込んだ。
「これならクライムダウンできる。行こう」
心は決まった。
後は絶対の自信のあるハンドジャム。
しかし、安全圏から飛び立つあの感覚。
久々に、アルパインをやっていた時の感覚を思い出した。
最後はワイドハンド気味、ジャムの決まりは甘くなったが、予想通りの容易さ。
多分15秒位であっさり片付いた。
リップ部分は、やはり少し枯葉が乗っていた。
妥協して掃除しときゃ良かった。
最後まで手はジャムのみに拘り、丁寧にマントルを返して抜けた。
周りに誰もいない中、一人、小さく「やった」と呟いて、足早に取付に戻った。
こうして無事に抜けられたので、とりとめもない記事を書いている。
この割れ目に触れ合った時間は多分1分に満たないけど、凝縮された時間だった。

そもそも、私はメンタルが弱い。
クライマーのくせに、安全圏から離れることが嫌いだ。
当然ランナウトが苦手、RやXの付くルートは基本、興味の外だ。
今回、自分の興味とは真逆のルートに触れて体感したのは何か。
それは、精神的な、目に見えない部分での「クライミング」だった。
この手のクライミングの、安全圏に抜けた時の、全身から迸る充実感は、筆舌に尽くし難いものがあることもわかった。
でも、登ってみて思う。
こういうクライミングは、苦手だ。
私の芸風ではないし、適性もないことも何となくわかった。
どっと疲れを感じつつ、再び石器人スラブでソールと心を磨く作業に戻った。
【蛇足】
・体感グレードは、多分リードしたら5.10b位。5.10cはかなり甘いと思う。
・ボルダーグレードの3級は、オンサイトトライでの葛藤を加味していると思われる。
・間違っても、ハンドジャムのできない人や、やったことない人が、グラウンドアップ・
ロープなしで取りついてはいけない。
・もう二度とやりたくないと今は思っているけど、また気が向いたら登ってしまう可能性
もゼロではない。
・ボルダートライは全くお勧めできないけど、クラッカーが自らを試す一本にはなると思
う。(リードすれば楽しいと思います!)

瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア

瑞牆山 十一面岩正面壁 アレアレア
河合(記)

アレアレア。
名前を見るだけで特別な感情がこみ上げる。
初めて買ったマルチピッチトポ「日本マルチピッチ」でこの名前を知ったのは10年前。当時は遙か雲の上の存在で、自分がトライする日が来るとは思わなかった。5.12マルチ黎明期に菊地敏之氏により開拓された、憧れのルートだ。取りつく人が未だに少ない本ルート、せっかく登ったので少し詳し目に紹介してみる。

以下注意!
このルートを本気でトライ予定の方には、野暮な情報てんこ盛りなので、行き詰まるまで見ない方が良いと思います。また、ムーブやプロテクションを記載しているので、オンサイト(下から通しでは誰も成功していない?)を狙う人もこの下を読まないで下さい。

【ルート解説】
・アレアレア 5.12b 10ピッチ
(使用ギア)
ヌンチャク12
カム0.25、0.4×2、0.5、0.75、1、2、0.2/0.3、0.3/0.4、0.4/0.5、紫、赤リンクカム

(1ピッチ目:5.11d:30m)
・燕返しのハングの右端からスタート。最初はハーケンとリングボルト、すぐにハンガーボルトが出現し核心に入る。核心は直上してから右上するのがオリジナルラインとのことで、ボルダー2~3級程度のパワー全開のリーチが必要なボルダームーブ、小柄だと辛い。右に大きくトラバースしてから直上し核心を巻くこともできるらしいが、プロテクションのハンガーボルトから大分離れるし、岩も脆そう。
核心後は遠いホールドを処理しつつ右上し、ハングから抜け出す所が第2核心。ここは以前あったと思われるガバのもげた痕跡があり、脱落部分はブランクなので、初登時より難しくなっているだろう。
ハングを抜けると、コーナークラックに入る。ハーケンがあるけど、カムも必要。最後はフィンガークラック。同様にボルダリーな砂の塔5.12aより少し難しく感じ、11台とはとても思えず、体感5.12a。

1ピッチ目
(2ピッチ目:5.7:20m)
・ハーケン、リングボルト、RCCボルトラダーのスラブを直上気味に辿った。オリジナルラインにはほとんどプロテクションがないらしいので、私の登ったラインはオリジナルとは異なるようだ。ボルトラダー沿いに登ると5.7では済まず、ホールドも分かりづらくて、体感5.10aのスラブで油断できない。

2ピッチ目

(3ピッチ目:5.7:20m)

・ベルジュエール3ピッチ目と共通で、フェイスを登り、最後灌木帯に入る癒しのピッチ。体感5.8。2、3ピッチは容易にリンクでき、合わせて40m弱。

3ピッチ目

(4ピッチ目:5.12a:30m)
・フェイスのピッチだけど要所でカムが必要。出だしは3ボルト左カンテを登る。出だしのランナウトが激しく岩も風化気味、5.10ノーマル程度だけど慎重に。2ボルト目の位置に戦慄!その後、右に大きくトラバースして垂壁に入り、ボルトにクリップしてからボルダー2級程度のボルダリーな核心をこなす。ヌメっていると辛いところ。その後、穴やクラックにカムを決めつつ直上、右に微妙なトラバースをこなし、最後にランナウトで5.10d程度のカンテを登る。変化に富んでいて面白い。私が瑞牆で登った他のフェイス5.12aルート全て(太陽の登1、2、5ピッチ、ギャラクシアン、医者の娘、砂の塔等)より難しく感じ
、体感5.12b(易し目)。一緒にトライした川上さんも「人生最難の5.12a」とコメント。

4ピッチ目

(5ピッチ目:5.7:20m)
・一度ダウンクライムしてルンゼに入り、よく濡れている苔だらけのコーナークラックを登る。1つ目のプロテクションセットまでが怖い。これも5.7では厳しく、短いながら悪く感じ、体感5.9。ロープを余分に伸ばせば、白クマのコルから途中離脱可能。

5ピッチ目

(6ピッチ目:5.12b:20m)
・本ルートのハイライトとなるフィンガークラック。プロテクションには特に注意が必要。出だしは浅い溝やフレアードクラックのため、プロテクションセットが困難、初登時は残置ハーケン2つをフィックスドプロテクションとしたとのこと。しかし、現在は上側のハーケンが折れて消失(誰か落ちたらしい。無事だったのか?)、下側の1本のみ。そのため、ハーケンのみをプロテクションとして核心ムーブ後半で落ちると、確実にグラウンドフォールだ。
しかし、オフセットカムやリンクカムを使えばプロテクションは一応セットできる。私は残っている下ハーケンを0.2/0.3オフセットカムで補強(効きは良い)、その上に紫リンクカム、一度クライムダウンしてアグレッシブテスト後に突っ込んだ。鍵となる紫リンクカム(オフセットカム0.4/0.5も効く?)は、頑張ればまぁまぁの効きでセットできるけれど、固め取りできず、位置が少しでもずれるとアグレッシブテストで容易に吹っ飛び、大墜落に耐えられるかはわからない。核心ムーブを起こしながら追加でマスターカム青色や灰色もセットできるけど、とても力を使うので大変。このような状況のため、出だしは現在PD相当だろう。
ルートは、出だしの数手が核心でボルダー2級程度、その後小核心こなし大レスト、その後レイバック主体の5.11-程度のフィンガークラックを登る。レイバックが多いので疲れるし、プロテクションセットも結構シビア。残置ハーケンが4箇所位あるけど、使わないでも登れる。日当たりが良いのでヌメるとしんどい。春うらら2p目5.12aより核心ムーブとプロテクションは明らかに厳しいけど持久力的には易しく、体感5.12b(易し目) PD。
このピッチのみをトライする人も多いらしいけど、ショートピッチトライとマルチピッチの6ピッチ目としてのトライは全くの別物で、このピッチの真価は下から繋げてきた時にこそ体感できると個人的には思っている。

6ピッチ目

(7ピッチ目:5.11d:30m)
・全く油断ならないピッチ。オリジナルラインは、ピナクルに登ってボルダー1級程度の地ジャンから始まる極悪の2手をこなす。初登者の菊地氏にトライ中にお会いしたので伺ったところ「地ジャンはしていない」とのこと。しかし、私より遙かに強い再登者達も地ジャンしたそうで、初登時とホールド状況が変わっているかもしれない。
ところが、川上さんが、右から回り込む画期的なラインを発見した。リーチが必要だけど、5.11+で収まる強度だ。やはり現地で菊池氏に伺ったところ「その(川上さんの)ラインでは登っていない」とのこと。
ルート攻略は出だしが鍵。オリジナルラインはランジ一発、飛び先のホールドはいまいちで、微妙な体のコントロールが難しい。できる人は多分すぐできて、できない人にはずっとできない系のムーブ。川上ラインはホールドを見出すのが核心、一見不可能そうだけれど、絶妙に続いている。キーホールドが遠いので、身長165cm未満の人に川上ラインは不可能かもしれない。出だしの核心をこなすと、ホールドのわかり辛い5.10c程度の右上スラブ。プロテクションはほぼリングボルトで一部RCC、一部抜けかけていて怖い。最後は簡単な5.7程度のクラック。ベルジュエールの終了点の太い灌木でピッチを切った。トータ
ルで体感オリジナルライン5.12b(と言うより、1級のボルダーと言う方がしっくりくる)、川上ライン5.11d(易し目)。オリジナルラインを経由するなら、間違いなくダントツで人生最難のイレブンルート。

7ピッチ目

(8ピッチ目:5.10b:35m)
ここからはベルジュエールと共通。前半はチムニー登りからステミングを交え傾斜の緩いコーナークラックを登って5.8位。プロテクションはスリングで延長しておかないと後で地獄を見るらしい。後半は逆イの字に見えるT字クラックで快適なレイバックとハンドクラック。体感5.10b。

8ピッチ目

(9ピッチ目:3rd:30m)
・クライミング要素はほぼなく、走って登れる。

(10ピッチ目:5.8:20m)
・出だしの被ったクラックは少々トリッキー。後はクラックを少し登って最後は簡単なスラブ。体感5.9。

10ピッチ目

【体感グレード】
〇トポのグレード(トポによって微妙に異なる)
5.11d→5.7→5.7→5.12a→5.7→5.12b→5.11d→5.10b→3rd→5.8
〇体感グレード
5.12a→5.10a→5.8→5.12b→5.9→5.12bPD→5.11d→5.10b→3rd→5.9
私のグレード感は大分甘いようだ。「太陽の登」は3ピッチ目5.12c(5.12bに感じた)以外はトポ通りに感じたのだが…

【実際のトライ】
ほとんどのトライを秀峰の川上さん、1日ずつ秀峰の玉置さん、山崎さんに無理言って付き合ってもらった。深く感謝。
(1日目:2020年夏)
全体像把握のため7p目までトライ。難しいピッチは何れもRPできず、一部ムーブもこなせなかったけど、ある程度勝負になることを確認。ただ、この後が長かった…
1p目5.11d:河合×、川上フォロー×
2p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
3p目5.7:河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a:川上×、河合フォロー×
5p目5.7:川上OS、河合フォロー〇
6p目5.12b:河合×、川上フォロー×
7p目5.11d:川上×フォロー×、河合×
(2日目:2020年夏)
4p目まで到達するも、ヌメりに負けて4p目はRPできなかった。翌日のトライ用に1~3p目をフィックス。
1p目5.11d:川上×RPフォロー×、河合×××RP
2p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
3p目5.7:川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a:河合××、川上××
(3日目:2020年夏)
2日目の翌日、朝イチで3p目までユマールして、早めに4p目をトライし何とかRP。かんかん照りになったので午前中に白クマのコルから脱出。
4p目5.12a:河合×RP、川上×フォロー×
5p目5.7:河合RP、川上フォロー〇
(4日目:2020年秋)
秋遅くに白クマのコルからベルジュエールの大フレーク経由で、7p目と6p目をトライ。コンディションは割と良かったけど、7p目の地ジャンは止まらなかった。6p目はトップロープで探り、ムーブは全て解決するも、問題はプロテクション。
7p目5.11d:河合××、川上×フォロー×
6p目5.12b:河合××、川上××
(5日目:2021年春)
大フレーク経由。7p目で地ジャンしまくり、遂に止めるも、その後のムーブを詰めておらずRPできず。シャウトでお騒がせしました。川上さんは別ラインを探り、見事発見。これなら5.11dで登れる!ということで、ランジが止まらなくなった私も新ラインに参戦し、やっと7p目のRPに成功。6p目は残りの時間にトップロープで探るも、ランジの失敗で指がズタズタ血だらけ、まともにトライできなかった。
7p目5.11d:河合××××RP(川上ライン)、川上××××
6p目5.12b:河合×、川上×
(6日目:2021年春)
大フレーク経由。前回オリジナルラインでは7p目がRPできず悔しかったのでRPするも、地ジャンは何回か失敗で確率は低い。川上さんは自分のラインできっちりRP。その後、6p目に本腰入れて取り組む。トップロープ2便でムーブ、プロテクションを固め、残り2便はトップロープだけどプロテクションセットありでもノーテンションで繋がった。でも結構ギリギリだったので、いつリードするか悩む。
7p目5.11d:河合×RP(オリジナルライン)、川上RP(新ライン)、フォロー〇
6p目5.12b:河合××‐‐川上×××××
(7日目:2021年秋)
個別RPの完了が見えてきたところで梅雨入り、夏に新型コロナウイルスに感染し肺炎を発症して病院送り、後遺症で長きに渡る自宅療養、振り出しに戻ってしまった。2ヶ月半ぶりのクライミングで山灯花5.13aトライした翌日にアレアレア。無謀と言う他ない。当然、ズタボロにされた。1p目で指先の皮が破れて大流血、ホールドを血まみれにしながらヨレヨレトライ。2p目5.7のスラブのフォローすら落ち、最後は中指人指し指全面をテーピングぐるぐる巻きにして4p目の核心をトライ、引きつけられずムーブが起こせなかった。悔しい。川上さんは4p目をフォローながらノーテンで上がってきて、昨年からの成長を
感じられたようだ。
1p目5.11d 河合×、川上フォロー×
2p目5.7川上〇、河合フォロー×
3p目5.7川上〇、河合フォロー〇
4p目5.12a川上××フォロー〇、河合×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
(8日目:2022年4月10日)
この日は甲府で27℃と初夏の陽気、しかしアプローチは所により膝下の雪で濡れた。前日の湯河原幕岩ボルダーの疲労を引きずりつつ、10ヶ月ぶりの6p目トライ。核心の青エイリアンをセットしていたスロットが何故か広がっていてスカスカ、仕方ないのでマスター青を入れたら見事スタック、ゴリゴリ引っ張ったら取れたけどクラックの幅が広がってしまった。ごめんなさい。ホールドとしては使わないはず。上部のハーケンも1本抜けていて、ホールドも壊れていてムーブとプロテクションの変更を余儀なくされた。岩の風化が進んでいて脆い部分があるので注意が必要だ。1便目は下部をエイドしてトップアウトし
2便目でムーブとプロテクションの確認と修正。出だしの紫リンクカムを上手く決める方法を見つけた。これは今日中に行けそうということで、3便目は出だしのみリハーサルし、トップロープを引き抜いた。そして夕方の4便目で意を決してRP。緊張した。川上さんも昨年できなかった核心を解決し、トップロープながらノーテンとなった。さぁ、次はワンプッシュだ。
6p目5.12b 河合×××RP、川上×××-×
(9日目:2022年6月18日)
仕事が忙しすぎたり、風邪引いたりで、2ヶ月ぶりの外岩復帰。リハビリ初戦にアレアレアという無茶。当然のごとく各駅停車だったけど、全てムーブはこなせた。今回は山崎さんに付き合ってもらい、難しいピッチは全てリードさせてもらった。7p目(ランジは3位飛んだけど止まる気がせず川上ライン経由)を終えたところで雨が降ってきて時間切れ。
山崎さんは手応えあった模様(?)。私はボロボロでめちゃくちゃ疲れた。
1p目5.11d 河合×、山崎フォロー×
2p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
3p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
4p目5.12a河合×、山崎フォロー×
5p目5.7山崎OS、河合フォロー〇
6p目5.12b河合×、山崎フォロー×
7p目5.11d河合×、山崎フォロー×
(10日目:2022年6月25日)
遂にトライ日数が二桁になってしまった。既に甲府は37℃、灼熱が予想されたけど、玉置さんに付きあってもらい下からリトライ。今回はオールリード。リード&フォローよりリード固定の方が休めるし荷物も軽いので楽なことがわかった。
1p目は出だしのボルダームーブは気合でこなすも、後半のハング抜け口で落ちてしまい、その後コーナークラックの抜け口でも落ち、2テンションで抜けた。やり直すには体力に不安があったのでそのまま継続。2、3p目を無難にこなし、4p目の極悪垂壁へ。しっかり左手で保持り倒して渾身のデッドを止めた。そのままノーテンで5p目までこなす。
6p目は、ワンプッシュ成功の可能性ある時以外は出だしの危険ゾーンをリードしないことに決めていた。紫リンクカムの渋いセットを練習してからハンドゾーンまでエイド、一度降りてからノーテンで上まで繋げた。7p目は川上ラインを経由して問題なく再登。時間に余裕があったので、4年ぶりにベルジュエールのT字クラック8p目5.10bを登った。実はこのピッチは初めてのリード。ロープの流れが悪くなりそうなのでT字クラックの下でピッチを切った。今までのピッチに比べれば大分楽だったけど、雨が降ってきた。9p目の3rdを駆け足でこなして撤収。十一面岩山頂は、ワンプッシュ成功時まで取っておこう。かな
り疲れたけど、体が動くようになってきた気がする。
1p目5.11d 河合×、玉置フォロー×
2p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
3p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
4p目5.12a河合〇、玉置フォロー×
5p目5.7河合〇、玉置フォロー〇
6p目5.12b河合△、玉置フォロー×
7p目5.11d河合〇、玉置フォロー×
8p目5.10b河合RP、玉置フォロー×
9p目3rd河合RP、玉置フォロー〇
(11日目:2022年7月2日)
3週連続アレアレアを下からトライ。そして3週連続で雨に降られた。今回は再び川上さんが、スピーディーフォローで、ワンプッシュを完全サポートしてくれるとのこと、ありがたい限り。
予報では午後早くから崩れる感じだったので夜行して、6:55に登攀を開始した。流石に3週連続なのでムーブは大体覚えていて、スムーズに1p目を突破。しかし前の週より湿度と気温(この日甲府は36.5℃)のせいか、日差しはないのにヌメっている。2、3p目も問題なくリンクし、途中でベルジュエールパーティを抜かせてもらった。4p目は、左手がヌメりでしっかり保持れず、何度もチョークアップして意を決してデッドしたら止まった。後半のカンテもヌメりで気持ち悪く、足が切れたりしたけど押し切った。5p目は出だしノープロで怖いけど、流石に慣れた。
そしてついに6p目に到達した。鍵となる紫リンクカムが一発でベストな位置に決まった。行くしかない。心を落ち着け、集中を限界まで高めて意を決して突っ込むも、出だしのレイバックホールドがヌメって発進できない。スタートの足位置を調整したらスリップ、あっけなくテンション。逸る心を落ち着けて、少し間隔を置いてからやり直す。今度は発進できた。出だしのレイバックがかなりギリギリですっぽ抜けそうだったけど歯を食いしばって耐えた。届いたフィンガージャムもヌメった!もう危険ゾーンに入っていてやり直しは利かない。スパークしそうになる頭を、もう1人の自分が「落ち着け」と宥める。冷静
にガストンし、フィンガージャムを改めて渾身の捻りでバチ効かせた。指よ、ねじ切れてしまえ。「大丈夫だ、行ける」。スタティックにハンドクラックへ。その後の小核心を越え渾身のデッドでガバを取ったところで一旦緊張の糸が切れ、気がついたら大絶叫してい
た。お騒がせしました。その後、もう一度ギアを入れ直し、パワフルレイバック音頭をこなして終了点へ。なんと表現してよいのか、とにかく凝縮された時間だった。しかし、こんなに頑張ったのに雨がぽつぽつ来てしまった。がっくし。
雨が辛うじて一旦落ち着いたので、急いで登ることにした。7p目は川上ライン経由、フルパワー気合一発でこなし、ベルジュエールのパーティを再び抜かせてもらった。8p目は時間がないので、ロープ流れが悪くなること覚悟で途中ピッチを切らずに繋げたら、途中のランナーは結構伸ばしたのに、最後は綱引きになった。8p目終了点では雷鳴が鳴り響き、再びぽつぽつ来始めた。走って9p目を1分でこなすも、10p目のスタート時点でザーザー降り始めた。これまたダッシュの2分クライムで十一面岩てっぺんに着いて、とりあえず叫んで2秒後にはロアーダウンで下降開始。川上さんを十一面岩頂上に上げる時間はなく
、すぐに横殴りの嵐。しかもロープがロープに乗ってスタック、大雨の中登り返すはめになり、すぐ処理して岩陰に逃げ込んだ。寒い。後1分遅れたら完登を逃した可能性が高く、ギリギリのタイミングで、12:25完登!全く余韻に浸る暇はなかった。途中から急いだ
せいか5時間半と、難易度の割にはスピーディーに登れたと思うけど、その分疲れた。大雨は30分程度で上がったので、冷えた体を日光浴で温めてから、ゆっくり下った。
1p目5.11d 河合〇、川上フォロー×
2p目5.7河合〇、川上フォロー〇
3p目5.7河合〇、川上フォロー〇
4p目5.12a河合〇、川上フォロー×
5p目5.7河合〇、川上フォロー〇
6p目5.12b河合×〇、川上フォロー×
7p目5.11d河合〇、川上フォロー×
8p目5.10b河合〇、川上フォロー〇
9p目3rd河合〇、川上フォロー〇
10p目5.8 河合〇

ワンプッシュ完登後

(全体を通じての印象)
・10ピッチに及ぶマルチなので相応の体力は前提として、本ルートに重要なのは悪いムーブをヨレた状態でもこなせるような、瞬間的な出力を維持する力だと思う。5.11+~5.12-の各ピッチでは個性的かつ強度のあるボルダームーブが次々と待ち受けている。内容は前傾壁からスラブ、クラックと変化に富んでおり花崗岩のオールラウンドな能力が必要だ。容赦のないランナウトや難しいプロテクションセットが要求され、残置プロテクションも良くないので、易しいピッチを含め全般にグレード以上の厳しさを感じる。疲労が蓄積した状態で、落ちられないフィンガークラックの最大核心が待ち受けており、フィジカルだけでなくメンタルの強靭さが求められる。内容は濃く、グレードよりは内容を求めるトラッドなクライマーにお勧め。マルチピッチ特有の全身疲労の中で、祈るように一手、また次の一手を出していく、そんな完全燃焼ができると思う。こんな厳しくも素晴らしいルートを開拓して下さった初登者に感謝。
開拓者は、ヨセミテのアストロマンのような経験を日本でもできる場を求め、本ルートを開拓したと言う。私は本家アストロマン未経験なので、アレアレアを登って、改めて開拓者にそこまで言わしめたアストロマンを是非トライしたいと思った。