大井川水系 日影沢 (聖沢支流)

2021/10/23~10/24
中和(記)

コースタイム:
沼平ゲート(6:42) – 聖沢出合(8:01) – 日影沢出合(8:35) – 二俣(10:29) – H2100 C1 (14:17)
H2100 C1(6:00) – 上河内岳(10:15-10:25) – 聖平(11:51-12:00) – 聖沢登山口(15:58) – 沼平ゲート(16:58)

行動記録:

10/23 快晴
沼平ゲートから自転車で林道東俣線を移動し、聖沢出合より入渓。聖沢の下流部は特に何もないので、適当に歩いて30分ほどで日陰沢出合。

日影沢の下流部もまた、基本的に歩くだけの谷。途中で8mの直瀑を持った小ゴルジュがあるがちょっと登れない。右岸から簡単に巻いた。この滝を過ぎると、安定した河原が沢山あってどこでも泊まれる感じの渓相。

8m直瀑

二俣(H1510)を過ぎて適当に登っていくと、沢が北側に折れ曲がるところに20m弱の直瀑。右側のルンゼ状は比較的簡単だが、そこから落口へのトラバースがかなり悪そう。単独だし、無理して登らなくても高巻きも簡単そうなので、迷わず高巻きを選択。見立どおり右岸の沢を使うと簡単に高巻けた。

18m直瀑

滝上はゴルジュ内に滝をかけているので、まとめて巻くと安定した河原でゆるい渓谷となる。
だが、徐々に側壁が立ち始めて何かありそうな雰囲気が漂う。予想通り、沢が折れ曲がったタイミングで滝が連続するのが見える。体のフリクションを使いつつ越えていくと登れない6m滝で詰まる。これは左岸の草付から適当に高巻いた。

6m滝

滝を連続させた左岸からの支流を見送ると、本流はV字谷に落石が挟まったような大雑把な渓相になる。挟まっている岩のサイズが大きいと突破は困難だが、幸い自動車サイズの岩はほとんど無い。快適に登るが、途中6mの滝にて詰まる。シャワー覚悟で流芯に突っ込めば登れそうだが、水が冷たくて手が痺れるので左岸の小沢を使って巻いた。

シャワー滝

H1950くらいになると沢が急激に開けて、ダケカンバと枯れたヤマハハコの茂る台地状となる。前には上河内の山頂付近が見え、後ろには笊や富士が見える素晴らしい場所だ。
あまり標高を上げると雪が出るので、薪が豊富で快適なH2100付近で泊。

10/24 快晴

この日は山頂に抜けるだけの消化試合だと思っていたが、ここからが核心だった。
夏ならなんてこと無い小滝だろうが、凍っている上に雪もあって悪い。ベルグラをハンマーで叩き落としながら登るので、なかなか進まない。おまけに登れないと雪がついた草付斜面のトラバースになるため、高巻きはもっと気持ちが悪い。アイゼンをもってくれば良かった・・・。

ベルグラがついてる

水流が雪の下に消えると、沢は崩落壁に目掛けて詰めているのが見える。気温上昇とともに崩落壁から頻繁に石ころが降ってくる上に、雪があるので落石音がせず非常に怖い。直撃すると下まで落とされそうなので、H2450付近で凍った草付にピックを決めて強引に登り、右岸の尾根に逃げた。
右岸尾根の最後は、急斜面のハイマツ藪に体力を吸われたが、主稜線は一転して快適に歩ける雪面。大展望に癒やされつつ上河内岳山頂で大休止。

上河内岳山頂 (左から兎、聖、赤石、荒川)

あとは聖沢沿いの登山道をダラダラと下山。出会所跡の先で崩落があって登山道がわからなかったが、崩落地を適当にトラバースして下山。赤石温泉白樺荘での日帰り入浴の時間にはギリギリ間に合わなかった。

遡行図:
すべての滝を水線遡行しようとしなければ難しい沢ではない。泊まり場も多いので、下降や継続に使うのに好適かと。

遡行図

装備:
ハーケン数枚(未使用)、トライカム少々(未使用)、30mロープ(未使用)、沢ハンマー、沢靴(ラバーソール)、軍手、ツェルト、シュラフ、のこぎり

瑞牆山 小ヤスリ岩 山灯花

河合(記)

小ヤスリ岩正面壁の中央、垂直の広大なフェースを登るこのルート、瑞牆林道への右折ポイントからでも、容易にそのラインを追うことができる。見た目の迫力は、かのエクセレントパワーと遜色ないと思う。しかし、人気はないようだ。過去に他パーティと被ったことはなく、トライ中のクライマーも2パーティしか見たことがない。年間で片手程度のパーティしかトライしていないのではと思う。
不人気の理由は色々ありそうだ。アプローチが80分強、標高差500mと遠い。グレードも発表時5.13a、瑞牆本で5.12dと、気軽に取り付くには中々ハードルが高い。そしてランナウト。25mのフェースにボルトは7本、特に一連の核心は強烈で、並のトラッドより緊張する。

ここ!

ショートピッチなのにビレイ地点から足元スースーで高度感満載の本ルートに惚れ込み、今年、集中的にトライした。今年の初夏と秋に小ヤスリ岩で黄色か赤色の奴が絶叫していたら多分私です、お騒がせしました。

核心に入る。Thanks to S木さん

(1日目)
2020年夏、川上さんの蒼天攀路3p目5.12bのトライに付き合いがてら、上から懸垂下降して、1便トップロープで触った。ムーブは全て起こせたけど、繋がるイメージ湧かず。

6ボルト目から下を見下ろす。ヨセミテっぽい景色。ボルト間隔が…

(2日目)
2021年初夏、トライ開始。この日は、以前このルートを登ってみたいと話していたS田さんに付き合ってもらった。今回はちゃんとリードするも、何度もバンジージャンプ、怖ぇぇ…。最終クリップ手前でバランスを崩し、剥がれるように頭を下に落ちてしまったのは、怪我しなかったけど大失態。1便目でアップどころか指と腕が終わりかけ、メンタル終了。以降トップロープでトライを継続、計4便出した。毎回リードしていたらヌンチャク回収できなかったと思う。S田さんは蒼天攀路3p目5.12bを2撃しているのに核心がこなせず「5.13aは少なくともある、封印。」と一言。パートナーを1名失った瞬間であった。

お手上げポーズ?のS田さん

(3日目)
今度は川上さんに「微笑街道5.12cやりなよ~かっこいいよ~、その間俺は隣の山灯花やるからさ~」と甘い声をかけて誘い出すことに成功。以降、パートナーは川上さん。今回も初便はリード、やはり指と腕が終了しかけた。残りはトップロープで計4便。新たにレストポイントを発見、できそうな気がしてきた。川上さんは微笑街道5.12cのムーブを順調に解決していた。ボルト8本+5番カムで、山灯花ほどランナウトしないそうだが、核心はそれでも相当ランナウトしているように見えた。小ヤスリ岩正面壁の3ルートは、どれも容赦のないランナウトが漏れなく付いてくるようだ。

(4日目)
今回からトップロープを封印、全トライリードで臨む。3便目に覚醒、核心ムーブが繋がり、最終クリップ手前まで行くも、クラックを保持れず宙を舞った。ワンテンとなった。この日は微笑街道に川上さんと、それ以外に1パーティ、蒼天攀路3p目に1パーティで小ヤスリ岩正面壁満員御礼という珍事。両パーティとも知り合いなのが、この世界の狭さを物語る。3人並んで登っている写真撮っていたらぜひ下さい。午後は突然の夕立で微笑街道パーティがヌンチャク回収不能に。タイミングよく山灯花のヌンチャク回収を終えた直後だったので、ロープをゴボウして上から回りこんで回収。

(5日目)
先週微笑街道5.12cをトライしたS木さんはRPトライを夕立でロスト、リベンジで秀峰パーティに合流。暑くなってきたので早く登攀を開始すべく、植樹祭駐車場5:30集合の朝活。S木さん、川上さんはあっさり微笑街道を片付けるも、私は山灯花核心ムーブに苦戦、一度も突破できず。S木さん、川上さんも山灯花に参戦。山灯花の核心ムーブは微笑街道より厳しいそうで、2人とも核心で敗退。

核心まで一撃、さすがのS木さん

(6日目)
5日目の翌日に朝活トライ。前日の疲労を引きずり、繋げると核心がどうしてもこなせずワンテン地獄。川上さんは全てのムーブを解決した模様。

前半のランナウトを堪能する川上さん

(7日目)
10/2。新型コロナウイルス肺炎と後遺症地獄で3ヶ月近くブランクが空き、すっかり秋になってしまった。2週間の入院と2ヶ月近くの自宅療養で体はボロボロになり、振り出しに戻った感じだ。アプローチが既に辛い。こんな状態でインドア含めクライミング復帰初戦が山灯花のヌンチャク掛けなんて、アホと言われても仕方ないが、溜まりに溜まった狂気に近い情熱の捌け口は、ここしかない。
1便目で奇跡的にトップアウトできた。自宅療養中のbeastmaker効果か。しかし、へとへとに疲れてしまった。2便目で核心一手目まで辛うじて到達するも、全く繋げて登れる気がしなかった。不甲斐なさに落ち込む。友人クライマーの言葉を借りれば「まだまだ楽しませてくれる」。ポジティブに行こう。
寒くなるまで絶対諦めないという固い決意表明でヌンチャクを残置。今の体力だとヌンチャクがけでその日が終わってしまう。

(8日目)
10/9。この時期にしては暑い。甲府は30℃、取付も14℃近くだ。先週より調子は劇的に良くなり、2便目で核心が止まりかけた。その後も繋がり1テンになった。核心の手順を変更し、3便目ではヨレヨレの中、遂に4日目以来核心を突破したが余力なく、次のクリップ後足を滑らして落ちてしまった。叫んだ。体力なくて土日の2連登は無理だけど、体が岩を思い出してきた気がする。

(9日目)
10/16、今週もこの時期にしては暑い。甲府は28℃だ。1便目から繋げて頑張り、手のかじかみに耐えながら最終クリップを越えるも、余力なく後6手でフォール。最後までデッドポイントの応酬で、きついことこの上ない。1便目で寒いのに頑張り過ぎたためパンプ、以降も引きずり、2便目は更に高度を上げるも後4手でフォール。最終便はヌメって、核心を越えたところでスリップしてしまった。RPが視野に入ってきたが、現状の弱った持久力で、苦しい最後をこなせるかどうか。リップを掴むまで全く気が抜けない。

(10日目)
10/31。前の週は風邪でダウン、いつの間にか季節は進んでいて植樹祭駐車場の日陰は真っ白。取付は最高気温6.2℃。寒い。1便目は寒過ぎて各駅でムーブの確認、2便目は14時前の、日が当たって暫く経って温まるのを待ってトライ、核心後と最後の2箇所危なかったけど、何とか押し切ってRP。大絶叫。末端壁まで普通に聞こえてしまったらしく、大変お騒がせしました。コロナ療養地獄の日々と、全然思い通りに動かない体、色々こみ上げてきて潤っときた。まだボロボロだけど、これでクライマーとして少しは復活できたかな。

(ルートの構成)
【オンサイト狙う方は以下を読まないでください】
・4ボルト目クリップ後に大レストでき、実質ここで上下に分かれる。4ボルト目まではムーブのわかりにくい5.11c程度の小コーナーからのガバフェースで、このルートのランナウトっぷりを出だしから堪能できる。マスターで登る場合、2ボルト目が遠いので、小柄な人は手前のフレーククラックに0.5か0.75カムをセットすると安心。ヌンチャクがかかっていれば問題なくクリップ可能。
・4ボルト目からが第1核心。カチとポケットに誘われるままムーブを起こしていく。4~5ボルト目は唯一ボルト間隔が少し近く、エイドでチョンボ可。
・5ボルト目にクリップしてから始まる一連のムーブが核心。最初のガツンと来るムーブから6ボルト目まで小悪いムーブがランナウトで続く、このルートのハイライト。慣れるまでは結構怖い。
・6~7ボルト目は性質が変わり、わかり辛いホールドを探しつつバランシーなムーブをこなす。目を皿にして使えるホールドを探そう。
・最終7ボルト目からは持久力勝負。クラックと言うには浅い溝を活用しつつ、散らばるホールドへのデッドポイントを連続してこなし、最後はパンプした腕でマントルを返す。私で実質スタートの1ボルト目クリップしてから計74手。
・このルートには他にも重要な核心がある。付き合ってくれるパートナーの確保だ。私は幸い川上さんやS田さん、S木さんといった優しい人々に恵まれた。特に川上さんには9日間も付き合ってもらい、深く感謝。

(感想)
典型的な花崗岩垂壁フェースで、右に左に弱点を突いて絶妙にラインが繋がっており、多彩なムーブを要求されとても面白かった。使えるホールドは色々あり、リーチもあまり関係なさそうだ。花崗岩フェースにありがちな極端に悪いムーブはなく、部分的に切り出しても難しいセクションで2級程度だろう。その代わり内容はストレニュアス、傾斜がド垂直で細かいホールドも多く、結構なカチ持久力が必要だ。見栄えとシチュエーションは最高級、岩も固く、チョーク跡もほとんどない(最近は我々の残滓があるかも)、順番待ちとは無縁、夏でも涼しい、雨後の乾きが良くコンディションも割と安定、素晴らしいルートだった。個人的には4つ星、とってもお勧め!
グレードは、高グレードの花崗岩フェースの経験が少ないので正確にはわからないけれど、太陽の登3p目5.12cと2グレード以上の差を感じ、労力的に過去に登った何本かの5.13aと全く遜色なく、(例えば、タイプは違うけどルート構成の似ている虎の穴5.13aより少し難しく感じた)、初登時の5.13aで良いのではと感じた。一緒にトライした川上さんも、微笑街道5.12c+1.5グレード位あり、同等グレードのルートだと、任侠道より大分難しいとのこと。
コロナで死にかけどん底に落ちたこの夏、ただひたすらこの灯を目指した結果、再び戻ってくることができた。私を導いてくれた、特別な灯だ。

以下、諸々の写真

アプローチのフィックスは足スースー。フィックスの安全は必ず確認を!
シャクナゲ満開のアプローチ
雨に遭う日も…

皆さんそれぞれの課題で頑張ってました。かっこよかったです。

仲秋(泉5p目)5.12d PDをRPするI田くん
千日の瑠璃4p目5.13d R/Xを探るM井さん
千日の瑠璃3p目5.14a Rを探るO西さん
蒼天攀路3p目5.12bを登るI島さん
蒼天攀路3p目5.12bを登るK野さん
微笑街道5.12cを登る川上さん。Thanks to 齊藤さん
微笑街道5.12cを登るS木さん

いや~、小ヤスリ岩ってほんといいところだな~

取付からの大絶景
山灯花5.13aで富士山をバックにレストする河合。Thanks to I田くん

北岳バットレス 下部フランケ~Dガリー奥壁

2021年10月2~3日
山崎-船戸、浅野-小池(記)

山行タイム/行動記録:

10月2日(土)前夜、某所集合 快晴 
先発組の山崎、船戸、小池 アプローチ下見とガチャデポ

05:15、芦安駐車場発(バス)

06:13-06:30、広河原インフォメーションセンター
緊急事態宣言解除後、初の週末とあって、ハイキングも盛況。かなりの人出。センター男子トイレ前に見たことないほどの大行列ができていた。吊り橋をわたった広河原山荘のほうは比較的、すいていた。

09:10-09:20、大樺沢二俣
風光を楽しみビバーク適地を探したりしつつ、のんびりと大樺沢を詰める。

12:10、Cガリー出合 周辺をチェック
二俣あたりの沢は枯れていたのに、水がけっこう流れており、明日も汲めそう。
Cガリーを飛び石をたどり渡渉後、まもなくの岩のところを右に入ると、取り付きへの踏み跡がある(登山道わきに目印のケルンあり)少し登って、傾斜がゆるくなったあたりの岩盤上部で再度沢筋をわたり、対岸の踏み跡を登っていくと、視界が開け足元が草付きになる。そのまま登れば下部岸壁取り付きに至る。Cガリー出合いから30分くらい。

12:45-13:45、取り付き下見
下部岸壁の各ルートをみながら相談。いちばん簡単で落石リスクも少なそうな5尾根支稜経由が早くて良いのだろうが、もし明日渋滞行列になっていたら、すいていそうな十字クラックから行こうか、などと検討しつつ、ガチャのデポ。見た感じ、十字クラックは予想に反してあまり楽しそうなルートではなかった。登られてなくて、何か詰まっていそうだ。1Pだけでもためしてみようかとの気力も萎え、翌日への体力温存を最優先に、早々にテン場に下る

14:40、大樺沢二俣

15:00、白根御池小屋
コロナ下での今シーズンから テント泊までも事前予約制になり、オンライン事前決済に変わった。密を避ける配慮もあってのことだろうが、人数制限か、連休や土日は予約が早く埋まってしまうので要注意 (何度もやむなく山行中止してきたが、台風などの気象条件悪化の場合は、予約取り消し願いのメールがきて、払戻ししてくれる)  前日から営業再開したばかりの白根御池小屋の生ビールをありがたくいただき、翌日に備える。一番の不安は時間のこと。2時間並んだとの記録もあった。渋滞に巻き込まれて足止めを食らうと、バスをのがして、最悪、夜叉神峠のゲートまで4時間くらいは林道の登り道を歩かなければならないだろう。 16時40分発の最終バスが出てしまったあと、個人でタクシーを呼ぶという最終手段があるが、それでもゲートが閉まる18時前に夜叉神を通過しなくてはならず、17時半広河原出発がデッドライン。それまでにはなんとしても下っておきたい。

19:00、就寝

10月3日(日)快晴

1:30、起床
某所より、後発にて参加の浅野さんと合流 会えてよかった!

3:00、白根御池小屋発
3:30、大樺沢二俣
4:25、バットレス沢出合
4:30、Cガリー出合
4:50  下部岸壁 5尾根支稜取り付きで支度 4尾根に行く3人パーティーの先行が1組いるのみ 空が明るくなり稜線が見えてきた

広河原から見えた快晴の北岳 左側に大樺沢が見える
取り付き下部から見た全景

5時すぎ、山崎-船戸組先行、続いて5時30分頃 浅野-小池組も登攀開始

~下部岸壁~

1P目、(浅野)5尾根支稜の角まで
傾斜はそれほどでもなくスタンス、ホールドも豊富にあるが、プロテクションをとれるところがない。朝いちの岩は指につめたく 緊張感がある くの字型にルートがまがるところで、流れが悪くならないよう付近の立木をビレイ支点にピッチを切る。

2P目、(小池)角から広めの草付き前まで
ところどころ草や木が生えているスラブ 残置ハーケンと木で数カ所、中間支点がとれる。フリクションのきかないチャートスラブのツルツル感がここから実感できる。傾斜がゆるくなり、草つきになってきたところで、それ以上のばすと、とれなくなりそうだったので、立木支点で適当にピッチを切った。

3P目、(浅野)草付きから一段上がった岩面のビレイ点まで
先行の山崎-船戸組が、わりと悪そうな右側のルンゼをコンテで登っていくのが見えた。そのすぐ上部に先行の3人パーティーがつかえている様子をみて、浅野さんは違うラインをとり、ビレイ点から斜上する細いレッジ伝いに、岩の中間部くらいまでのばしたところで切った。

4P目、(小池)中間部ビレイ点から、横断バンド、下部フランケ取り付きまで
やさしいスラブ壁面をほぼ直上していくとすぐ、横断バンドに出た。そこから草付きを数メートルのぼると、下部フランケ1P目取り付きの左、Dガリーそばに何本か古いスリングのかかったビレイ用支点がある。

~下部フランケ~

1P目、(浅野)5.10a、20m スラブ~Ⅳ、15m V字凹角
支点からバンドを右へ。この1P目が下部フランケ核心ピッチ。スラブ面の真ん中くらいのところに、直上するへこみがあり、ハーケンがたくさん打たれている。チャートのスラブではなかなか手強い角度。細いリスに指をひっかけて登るが、草付きへ抜けるところがとくに悪い。抜けると草付き上部に安心して立てるスペースがある。前の二人はここでビレイしていたが、浅野さんは、続きも短いからと繋げた。切らずに続けた次は、Ⅳ、15mの凹角をステミングであがり左へ。凹角内部の中間支点は豊富にある残置ハーケンでとれる。

2P目、(小池)Ⅳ+、20m。V字凹角。
ここも右壁にハーケンが連打されている。前の凹角と似たような感じのルンゼを登る。上にハングがかぶさってきたところを左に抜けていくとビレイ点あり。立木に残置スリングがかかっている。振り向けば快晴の空を背景に、富士山が裾まできれいに見えた。こんなに晴れているバットレスなんて、神様の贈り物か奇跡か。

3P目、(浅野)Ⅳ+、40m。V字凹角。
チョックストーンを乗越し、ハング下を左へ。抜け口に、手のホールドがみつからず、緊張する。閉塞感のあるルンゼが続いたあと、左方向へ抜けていくと視界がひらけ、開放的なDガリー全貌がよく見える。
からりと晴れて空気も澄んでおり、終了点近くのチムニー、城塞のあたりまでハッキリ見える。こんな風に爽快な高度感を味わいつつ、ゴールにむかってまっすぐ登っていけるロングルートはそうそうないのではないだろうか。

4P目、(小池)Ⅳ+、25m~?フェイスに走るクラックから草付きトラバースへ連続、Ⅲ、40mくらい。(途中で切って懸垂)
カンテを伝って走るクラックをたどって、Dガリーへの横断バンドを探しつつ登る。ここかな?と思われるところで、途中から、Dガリーへ向かう草付きへトラバース。「支点があまりとれない 迷いやすい」との記録も多数目にしていたので、よくよく下調べしておいたつもりが、うっかり斜上しすぎてしまい痛恨のミス。 バンド途中にスリングがかかった支点のボルトをみつけたので、一旦切って、フォローの浅野さんに一段下へ先に行ってもらい、解除後、正解と思われるバンドへ懸垂でおりた。心もとない支点を頼りに、降りはじめてみれば階段状に歩ける傾斜。このピッチまで順調だったのに、時間のロスが痛い。

5P目、(浅野)Ⅲ、40m。Dガリーを詰める。
それほど傾斜のない草付きを、Dガリーを辿り登る。コンテでも大丈夫そうではあるが、中間支点をとりつつ左のルンゼ方向から4段ハングの直下テラスにまであがれば、安定したビレイ点がある。50mロープぎりぎり、残り1mくらいまで、するすると出た。

下部フランケ側から、トラバース先のDガリー方向を見る 青丸、先行の山崎さんが4段ハング真下のテラスに到達したあたり 赤丸 ビレイポイントの船戸さん

~Dガリー奥壁~

1P目、(小池)Ⅴ+、40m。4段ハング クラック
4段ハングをクラック沿いに乗越していく、トポ上Dガリー核心。1段目のハング面、左側と右側にクラックがあり、右のほうが登られているようだが、ロープをまっすぐ伸ばせそうだったので、左のフィストサイズのクラックに挑戦するも、下部に足置きにいいホールドをみつけられず、かなり体をあげないとひっかからなく苦しい。この1段目と、最後の段が難しかった。さいごも幅広のフィストサイズで、左側高い位置にホールドがあったが、そこをみつけるまで探りながら3番で結局カムエイド。この4段ハングピッチは全体で20m程度と短いけれど、弾切れが心配になり、カムをずらしながら、残置ハーケンに支点をかけかえつつあがった。(ハンドサイズのカムを2セットも持っていたので、心配いらない数だった。)最後のハングを乗り越すと眼前に、Dガリーのピンク色のスラブが広がる。ゆく先に、いくつかのハーケンとボルトがまとまって見えるので、あれがビレイ点かな?と、そこまでロープをのばし、シンハンドサイズのクラック沿いにスラブを10mくらい進み、残しておいたリンクカムと3番で補強してピッチを切る。

しかし、この位置からの引き上げだと、クラック抜け口にセットしてきたほうの3番が干渉してしまい、ロープアップに難儀した。こんな風に抜け口に短くカム支点をとるなら、ハングをぬけたすぐのところにあるリングボルトと そのへんの適切なクラックを使って、上から覗きこめるくらい近い距離のところをビレイ点にしておくのが正解。またしても時間をくってしまい 先行との距離もさらに開いてしまう。そこへとなりの4尾根からあがってくる3人パーティーのコールが聞こえ、視界に入ってきた。追いつかれて、もし、抜け口渋滞にはまってしまったら、広河原への下山デッドラインを超えてしまうかもしれない。

ハング抜け口でビレイする山崎さんと、クラック核心部の船戸さん

2P目(浅野)Ⅴ、40mくらい クラック スラブ
スラブに走るハンドサイズのクラックをたどり右方向へ登る 手足とも豊富にホールドがあってよく効く感じだが、痛い。チャート岩質のクラックが滑りそうなのと面倒で、テーピングもロクにしてこなかったため、拳や指のあちこちが切れて血が滲む。ハンドサイズといっても、次第に幅が広くなる。足も深くハマり、痛い。続いてシンハンドくらいの微妙なサイズのクラック。しかし広々とした視界のDガリーは開放感があって爽快。さわやかな風が抜けていった。ハーケンやリングボルトは、残置が多すぎて ピッチもどこで切ってよいのか不明瞭。残置にカムで補強してどこでも切れるように思う。

Dガリー2P目 スラブをすいすい登っていく浅野さん 上部中央に4Pめチムニー入り口、左側に城塞ハング入り口が見える

3P目、(小池)Ⅳ、30mくらい。スラブ
このつるつるスラブをランナウト気味に直上するのかな?怪しげな残置以外とれなさそうで、悪いように見えるので、やや右方向へ浅めルンゼをたどり、4尾根ルート近くにある潅木で中間支点をとった。そこから逆くの字型に本来ルートへ戻る方向へ、次ピッチのチムニーをめざして左上、チムニー真下で切った。このピッチはかなり悪いらしいときいたが、それほど難しく感じなかった。本来ルートから右に逃げてしまったのかもしれない。ここで4尾根方向から登ってくる3人パーティーが新たに突然現れた。同ルートを後ろから来ていたはずのガイドパーティーの皆さんだった。時間切れか、Dガリー奥壁をやめ、ショートカットしてきた模様。同じ抜け口に向かって3パーティー集中となる。みんな帰りのバス時間のことを考えているだろう。

4P目、(浅野)Ⅳ+、30m。オフウィズス チムニー
右側の壁に1箇所、ハーケンが打ってあるほかには、プロテクションをとれるところがない。ステミングとチムニー登りで体をねじこみズリあげ、じゃまなザックにもがきながら少し進み、右壁プロテクションのあたりで、早々に壁の右上へいったん抜けてから、反対側へチムニーを跨ぎ越える。わたったところのすぐそばがビレイポイント。

Dガリー4P目 オフィズスチムニーを乗越す船戸さん

5P目(小池)Ⅳ,15m  スラブからチムニー  城塞ハング
ビレイ点から、城塞ハング入り口までのスラブは短く、傾斜もさほどないが、支点がとれずランナウトするので絶対に足を滑らせたりできない。

しかし恐怖より下山時間のほうが気になり、4尾根ルートから来てビレイしているガイドパーティーをすり抜けるように駆け上がり、ハング入り口へ突進してしまった。入り口からすこし被った、浅い凹角をあがりチムニーへ。

内部はやや曲がっていて、ハーケンもたくさん打ってある。まず右壁レッジに打ってあるピンでランナーをとる。ホールド、支点ともたくさんあるので、見た目ほどには悪くなく、後ろも続いているので、なんでもありのステミングとチムニー登りでさっさと抜ける。

最終ピッチ、城塞ハングを通過中の山崎さん

12:20-12:30、dガリー奥壁終了点
抜けたところの、根元にたくさんスリングのかかったハイマツを支点に終了。

崩落後、ほとんどのルートの最終ピッチがここ城塞ハングに集中、名物の渋滞がおきるボトルネックになっている。もし、何かで誰かがつかえてしまうと、たちまち大渋滞になるだろう。先行の山崎船戸組にかなり遅れてではあるが無事に続いて、待つこともなく素早く抜けられてよかった。

13:00、登山道
終了点からの登り道で踏み跡を見失い、少々迷子になってのち先行の2人と合流。お待たせして、すみません。下山時間の広河原からの足が気になり、すぐに走っておりる覚悟でいたが、せっかくだから山頂踏んできたら?と言っていただき、最終手段のタクシー手配が確定した。その場で電話予約、帰りの足も確保できて、ひと安心したのち、お言葉に甘えて、山頂へ。

13:10-13:25、北岳(3193m)   ありがたく山頂を踏む。
15時 大樺沢二俣16時40分頃 広河原

広河原発17時30分で、と、予約していた車が既に到着していた。大きい荷物を積みたいとお願いしていたところ、乗合と同じバンタイプの車両にしていただき、おかげで大型荷物もトラブルなく積めました。さらに現地で相乗りを3名、申し込まれたこともあって、かなり安くすみました。乗合価格とあまりかわらなかった。船戸さん交渉ありがとうございます。

 

おもな確保系共同装備
・ダブルロープ50m×2本
・カム1式(キャメサイズ目安 0.3×10.5×20.75×21×22×23×2 うち紫と緑各1はリンクカム代用 黄色1はトーテムカムで代用)4番サイズも、手元にあれば核心で使えたと思うがかさばるので持って行かなかった (なくてもいけた)
・アルパインヌンチャク 8本位
・スリング 120cm、60cm適宜  捨て縄、ビナ各種 など
・ナッツ類は持っていったが使用せず

携帯電波状況
ドコモは広河原から大樺沢、山頂付近のほぼ全域で使えたがAU、ソフトバンクは 大樺沢周辺、テント場とも電波がはいらないらしい。

 

かかった時間
下部岸壁1時間強、下部フランケ2時間、トラバースに40分くらい、Dガリー奥壁3時間弱。
以前ソロで登ったとき、Dガリー奥壁2P目スラブ上でお茶にしたと浅野さん。風流です。セルフをとってゆっくり景色を楽しみながら、この岩盤の上で一服できたら、幸せだろう。時間に余裕があれば、いろいろ楽しみながら登りたかった。
行程的に下山時間が気になるので、もう1泊する余裕があるといいと思った。

念願のルート
前に4尾根から登ったとき、Dガリー奥壁を登るクライマーがよく見えた。いつか あそこにいきたいと、当時の仲間たちと目標にしたルートである。しかしどうにも縁に恵まれず計画すれば、そのたび魔法のように必ずなにかがおきて、中止や天気敗退を繰り返すうち何年もたってしまったのだ。今度こそ登りたかった。今シーズンもまた何回かいろいろあったのち、念願の快晴、絶景。下部フランケDガリー奥壁からの北岳登頂がようやくかなった。名前からしてカフカの「城」みたいであった「城塞」ハング。最終Pまでたどりつけるのだろうか、抜けられて終えてしまったら、さぞや感無量だろうと思いきや、時間が気になるあまり、これで夜道の林道歩きを免れた!という安心感と達成感のほうが大きかった。勿体ないことです。本来的な、登れたという喜びは、あとからジワジワと来ました。

しつこい台風や想定外のアクシデントに何度もめげそうになりましたが、諦めずに行ってみよう、と励まし続けてくれたメンバーみなさんに感謝しています。

奥秩父 大洞川・荒沢北雲沢

2021年7月10~11日
赤井・小池・谷水(記)

赤井さん・小池さんが沢に行くと聞いたので、混ぜてもらうことに。梅雨の終わりで半日ごとに天気予報が変わり、なかなか場所が決まらない。もうバリエーション尾根に…ともなったが土壇場で予報が回復し、無事沢山行に行くことができた。

コースタイム
7月10日 サメ沢橋ゲート(9:25)-荒沢谷橋(10:30-10:48)-アシ沢出合(11:48-12:01)-狼谷出合(15:00)-ビバーク地点1260m(15:55)
7月11日  ビバーク地点(6:29)-北雲沢出合(7:14)-登山道(9:50-10:00)-雲取山(10:25-10:30)-お清平(13:25-13:35)-猿鼻尾根-サメ沢橋ゲート(15:15)

7月10日(晴)
釣り師の多い沢なので朝出発。天気予報では曇のち雨だったが、それに反して晴天で気分は上がる。林道歩きの1時間は暑く、早く水に入りたくてたまらなくなる。橋で準備し増水気味の沢に入渓。わざと水流の強いところを選びしぶきを浴びたり、深みにハマって流されてみたり、気温の高さも相まって水の冷たさが気持ちいい。アシ沢を過ぎ、ベンガラの滝に着くが水が前に飛び出していて真っ白。巻いていてもしぶきがすごい。増水をはっきりと感じられた。

ベンガラの滝

その後絶好のテンバである菅の平につくが、時間はまだお昼。明日朝一で井戸淵に入りたくないので先を目指して進む。井戸淵は短く明るい。突破できないかと入ってみるが、2つ目の滝ではじかれる。滝の水量もあるが、淵も白く泡立っていて底がしれない・・・。巻道もあるし無理はしなかった。

井戸淵のはじかれた滝

巻きは右手から。遡行図によると狼谷に降りるみたいだったが出合いへ向けての懸垂下降で本流に戻れた。30mロープで事足りた。そこからはひたすら小滝をこえ歩き、沢が左側へ曲がってきたな、というところで左手に大地をみつけそこで幕営。本流から離れているし、高いしさらなる増水でも耐えられそう。

しかし連日の雨で薪はしけっていた。科学の結晶である着火剤を多用し火はついたが、大きくはならず、いつまでも手のかかる焚火であった。寝る前に光に寄ってきたのかミヤマクワガタ(河合さんに確認済)が現れ、野生のクワガタを初めて見たと言ったら赤井さんに驚かれてしまった。

ライトに映えるミヤマクワガタ

7月11日(晴)
出発してから1時間くらいのところで本流が土砂崩れで埋まっており伏流も水が少なかったので、水をくんだ。しかし土砂崩れを過ぎるとすぐに本流の水は復活、脱渓するまで枯れることはなかった・・・。

大雲沢はつめが悪いらしいので北雲沢に入る。この二股の手前から倒木がひどく鬱陶しくなる。早めに尾根に上がってしまいたかったが、同行者が沢を詰めたそうだったので沢どうしで登山道を目指した。1780m付近の雲取山と三条ダルミの間に出た。そこからはひたすら北へ。お清平目指して一直線。15時から雨予報もでていたので、それに合わないように急ぎ気味。お清平からトラバースで猿鼻ノ尾根にのり標高差700m下の雲取林道目指して下る。空はまだ青く雨が降る様子はない。1136地点を南西にとるとすぐに雲取林道に続く林道に出た。

クネクネと林道を辿ること30分ほどで曇り林道に合流。そこからサメ沢橋までの10分間がとても長かった。西の空が暗くなってきていたので、降り出す前に戻ってこれて一安心。荷物を車にのせ、出発して暫くして土砂降りに。いいタイミングで降りてこられた。

山行中は本当に晴天で気持ちが良かった。サメ沢橋を出発してから3組の釣り師とすれ違ったので、この流域はゆっくり出発がちょうど良かった。増水していたことで巻いてしまった滝も平水なら取り付けたように感じたのが、やや残念ではあった。飛び入り参加を快く受け入れてくださりありがとうございました。

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登

瑞牆山 カンマンボロン 太陽の登
河合、川上(記)

これまた緊急事態宣言の隙間の記録。
このルートの記録書くの何回目だろうか。

前回、散々付き合ってくれた川上さんを裏切り、抜け駆けで太陽の登を登ってしまったので、今度は川上さんにも太陽の登にけりをつけてもらうべく、もう1日行ってきました。本人は忙しそうなので、また勝手に私が記録つけておきます。

(今回のルール)
・各ピッチ、どちらかがRPしない限り先に進まず、チームフリーを目指す。
・2、3ピッチ目は未RPの川上さんリードで、川上さんRPまで先に進まない。
・フォローのテンションは、時間あれば下からやり直すけど、基本やり直しなし。
・河合はサポートで1、5ピッチ目のリードを担当(足引っ張るなよ)。

【1ピッチ目5.12a リード:河合】
7;45開始。2、3ピッチ目の川上さんのトライのためには一発で登りたいところ。このピッチは4回連続で落ちてないので大丈夫と思ったら、最後の核心で右手の結晶がポロっと取れてズルっといきかけて危なかったけど耐えた。川上さんはフォローで核心1テン入ってしまったけど、足はちゃんと乗れていい感じだったそう。

壁黒くね?
いや、気のせいだろ。
黒く見えるのは心が煤けているからだ!
雨上がりの1ピッチ目。

【2ピッチ目5.12a リード:川上】
この日は本当に緑が綺麗だった。このルートの魅力は内容もさることながら、景色にもあると思う。なんてことを思いながらまったりビレイしていたら、最後の核心で川上さんが落ちてしまった。長いのでやり直しは体力を消耗する。短い休憩を挟んだ2便目で川上さんはきっちりRP。私も落ちずにフォロー。

新緑の道!

【3ピッチ目5.12c リード:川上】
川上さんの根性を見た!川上さんは1便目はヌンがけに徹し、さあ次で、と思ったら出だしの核心ではまり2~4便目を無駄にしてしまう(出だしのみでロアーダウン)。気持ちはわかるが、少し落ち着こうか。日差しでホールドが温まってきてしまったけど、大休憩を挟んだ5便目で出だしの核心を抜け、遂に行ったか!と思ったら上部最後の核心でミスったそうで、吹っ飛んできた。「マジかーぁぁ!」の声がこだまする。さすがに今日は無理で出直しかな~と思っていたら、6便目でなんと決めてきた!9便目で5.12c RPしてくるとか、どんな体力してるんだ・・・私も出だしのランジが一発で決まりシャウト、そのままの勢いでノーテンフォロー。

ビレイ点にて、川上さんbefore

【4ピッチ目5.10a リード:河合】
後は俺の仕事だ任せろヘッデン出してでも今日中にチームフリーするぞ、ということで河合リード。大分ボロいホールドは掃除したと思う。問題なく再登&フォロー。

【5ピッチ目5.12a リード:河合】
このピッチはトリッキーなムーブがあるけど安定してこなせて、危なげなく再登。川上さんは出だしの核心で落ちてしまったけど根性でテラスからやり直し、最後の核心で歯食いしばってノーテンフォロー、マルチピッチフリーかくあるべしという気合を見た。やばいぜ!

イクストランへの旅に出ているパーティが!いいなぁ!!

【6ピッチ目5.7 リード:河合】
川上さんはこのピッチを登ったことがないというので「行く?」と聞いたら、「もう5.10台でも落ちそうな位ヨレてる」そうで、「5.7だから行けるじゃん」なんて野暮なことは言わずに河合リード。ボロいルンゼも慣れたので問題なく再登&フォロー、17:20カンマンボロン頂上に到着!

川上さんafter。
そしてこの笑顔である。
肖像権は・・・

今回は9時間半かかったけど、ワンプッシュチームフリーで太陽の登を登ることができた。個人的には一度も落ちずに頂上まで登れたのが嬉しい。それにしてもこの日13便出した川上さんには脱帽するしかない。私も体力付けないとなぁ。