戸台川 上ニゴリ沢、舞姫の滝、歌宿沢

2002年1月12日から3日間
森広、神谷(同流山岳会)、柴田(記)


1月12日

急行アルプスと飯田線を乗り継いでようやくたどり着いた北伊奈駅の待合室はクッション付の椅子で暖かそうに見えたが「朝7時30分まで閉鎖」との張り紙にガックリ。

寒さに震えながら1時間以上バスを待つのも気乗りしないので3人で協議の結果戸台までタクシーで行く事にする。

7650円を支払い放り出された戸台はまだ薄暗くて寒々しいが支度をしているうちに大分明るくなってきた。

河原に沿ってチンタラ進むと1時間少々で上ニゴリ沢出合いに着き、登山道脇にベース設営後上部の上ニゴリ沢に向かう。

赤い鉄製堰堤を越えて暫く進むと左から小百合沢F1が出合うのでウォームアップでここを3人で登る。(このときはここがカミニゴリ沢F1と思っていた。)

Ⅲ+くらいで難しくはないが氷はもろい。

今回は年末に買ったライトマシンの筆おろしなのだが期待を込めて振っているのに5回に1回くらいしか決まらず「おっかしいなー」。

小百合沢F1を全員が登った後本当のカミニゴリF1に移動。

2パーティほど先行しており、左のV+はある一番難しいラインを立った所を神谷さんリード。

フォローの気楽さで「これで登れるか」といろんなムーブをためしてみたら全部NGで何度も落ちてしまった。

氷は岩と違いだましだまし、というのは通用しない事が良く分かった。

左にトラバースしてスーパー林道に上がりF2を森広さんが難なくリード。

やや氷は薄い。

F3は10m程度で短く易しく茶色がかったF4は結構大きく左下から右上のライン20mくらいを柴田リード。

ここで元秀峰会員の杉浦さんに会う。

今は箕輪付近に住んでいてここから1時間ですよ、と言っていた。

下りは途中からヘッデンになってしまったがF1をヘッデンつけてトレーニングしているパーティもいた。

1月13日

赤河原を経由して舞姫の滝に向かう。

出合いからきれいな姿のF3が上に見えている。

F1~F2は森広さんによれば普通ロープなしで行ってしまうとの事だが今回はロープを付けて短いが立った所を選んで登る。

舞姫の滝F3に着くとちょうど先行パーティが取付いた所で、トップは核心3本目の支点を飛ばして登っている。

先行のセカンドがフォローした後は神谷さんの是非との希望でリード。

フリーで要所にきちんと支点を取りきれいに抜けていった。

柴田・森広と続く。

氷結状態は概ね良好だが時々ピックを打つと氷がまとめてはがれてくる。

F4、F5はなんと言う事なく、F6は右の氷柱部を登り左にトラバース、中央の氷柱部をまた登る。

雪でおおわれた急斜面のガレを登りタッチの氷柱にタッチ。

森広さんは何やら氷の彫刻をタッチの氷柱の下にピッケルで製作していた。

舞姫はF3で帰ってしまうパーティが多いようだが最後まで詰めるのはそれなりの達成感がある。

出合いにザックをおいてきたので空腹を抱えて懸垂を繰り返して出合に戻る。

時間が余れば舞姫ルンゼでもと思っていたがこれからだと前日に続いてのヘッデンになりそうなのでおとなしくテン場に戻る。

1月14日

歌宿の沢に入り歌姫の宿を捜すがトレース通りだと氷瀑に出ないままスーパー林道に出てしまいそうだ。

途中から一本左の沢に入った所でにぶく光る氷瀑が現れたのでそちらに進むが、更に右手にそれよりも大きなガイド本通りの氷瀑が現れこれが歌姫の宿である事が分かる。

小滝とナメ状を越えて取付きで支度を終え「さあて、リードしたい人は」となるが神谷さんは「私は昨日舞姫をやらせてもらったので今日は結構です」と控え目である。

森広さんに希望を聞くと「先に登って」との事なので1P目柴田、2P目森広ということで登攀開始。

中央部の氷柱状はしずくが垂れているので傾斜の緩い下部15mくらいを終えた後でやや左にトラバース。

前日ガレをガシガシ歩いたせいかここまでの緩傾斜帯でもアイゼンのフロントポイントが全然決まらず蹴り込んでもつるつる滑り焦る。

またスクリューは7本のうち既に3本を使ってしまっておりどうも足りそうもないので下から3本補給してもらう。

できればフリーでリードしたかったがこのゴタゴタであっさりフィフィ使用。安全第一と言い訳しつつ実力不足でした。

堅い氷質の立った所を5mほど登ると傾斜が緩み今度は右にトラバースし直上する。

左の潅木で切る事が出来るかな、と思っていたが少々遠くまた簡単でもなさそうなのでもう一段上の潅木を目指す事とする。

氷質は水氷に変り食いつきが良くなっている。

ライトマシンも2回に1回は決まるようになってきた。

下からは「あと10m」のコールがかかるが10mあれば何とか届くだろうと登り続ける。

IV級程度を7mほど登ると左手に潅木の生えた雪を付けない斜面と右手すぐ上部にスーパー林道が突然現れ、終了点直前まで登ってしまった事が分かった。

左手の潅木でセルフを取り森広さん、神谷さんの順番でフォロー、そのままスーパー林道まで上がる。

2P目リードのはずだった森広さんはルートが殆ど終わっているのを見ると「あれーっ」と驚いていた。

3人が林道に揃った所でお疲れさまと握手。

時計を見ると既に12時45分。

ずいぶん時間が掛かってしまった。

大急ぎで左岸の尾根を下降し歌宿沢経由でテン場に戻る。

テン場を撤収のして2日前に歩いた道を戸台に戻るが暖かで春のような陽気だった。

 

【タイム】

1月12日:戸台 6:45→カミニゴリ出合 8:15

1月13日:テン場 8:00→舞姫の滝出合 9:20→F3上12:00→タッチの氷柱13:30→F1下15:00

1月14日:テン場7:30→歌姫の宿取付9:30→終了点(スーパー林道)12:45→テン場 14:10/14:30→戸台15:30

 

甲斐駒ヶ岳 戸台川 舞姫ノ滝

2000年1月22~23日
関、椛島、本郷(記)

1月22日(土)

晴れ

前日、関さんの新車のワンボックスで八王子を後にしたが、中央自動車道のトラック横転事故で笹子トンネルから出られなくなり、戸台まで行けず途中の道の駅に着いたのが午前3時過ぎになってしまい予定がすっかり狂ってしまった。

少しだけ飲んで、少しだけ寝ようとしたら10時になっていて、急いで準備をして、朝飯も食べず、戸台に着いたのが11時であった。

戸台川の河原歩きから丹渓山荘についたのが、午後2時。

玄関にツェルトを張ってベースを作成した後、時間も中途半端なので「舞姫ノ滝」F1へ偵察を兼ね、出かけた。

アイスクライミングが3回目のカバ君が、最初に取付くがパワフルなクライミングでなかなかうまかった。

ちょうど、CMCのパーティーが降りてきて、カバ君の登りを見ていたが片手ムスタングで登っている姿を見て呆れていた。

CMCの人にF3(舞姫ノ滝)の結氷状況を聞いたら、ツララの集合体でヤバそうなので登らなかったという。

我々は、明日登ることにしてベースへ戻る。

小屋は、毛布もあって非常に快適に寝ることが出来た。

 1月23日(日)

気合を入れて、5時に起床。

6時30分の暗いうちに出発した。

しかし、なんと「舞姫ノ滝」F1前に先行がいてビックリ。

彼らが先に取付いて、その後を追って登ることにした。

F1は、最後の出口が氷柱状の垂直部分があるが短いので問題なく、F2もクリアし、核心のF3へは歩いて100M程で着く。

先行は、見ただけで帰ってしまった。

カバ君に本郷のプレデター2本を貸して、取付いたが片方のセミチューブがツララには決まりにくく一旦降りて来て、関さんのナジャを1本借りて再度取付く。

スクリューを5本打ちながら、垂直部もクリアしていく姿はとてもアイス3回目とは思えない頼もしさがあった。

関、本郷の順でフォローし、なんとか登ることができた。

舞姫ノ滝自体は、気温も高かったので氷の状態も良くなく、大同心大滝より困難に感じた。

とりあえず、舞姫ノ滝が登れたので3人で機嫌良く帰ることができ、非常に楽しい山行だった。

帰りは吹雪になり、車で峠を越えるのが今回の核心であった。