谷川岳 幽ノ沢 中央壁正面フェース

2002年9月20日
森広、大滝(記)


幽の沢は3回目だ。過去に中央壁右フェース、左フェースと登った。

5:50一ノ倉出合。
7:25カールボーデン上部。
14:45堅炭尾根。
16:55旧道。
17:50一ノ倉出合。

快晴の中、カールボーデンに向かう。やはり所々緊張する。カールボーデンを快調に登り、行き詰まった所でアンザイレンし、2P伸ばす。ここは結構怖く感じた。

ルートに入り、1目は草つきを左上して行くPとブッシュがあるので、それにランニングを採る。

左下を見ると、草付き帯が終わった所にボルト2本のビレー点があった。豆腐岩の右上10m位の地点だ。

2P目はホールド、スタンスともに豊富で快適だが、残置は無いので森広さんは20m程進んだ所にハーケンを打った。これはしっかり効いていた。最後、リッジに出て切る。

3P目はやや左寄りに行く。傾斜がきついのでゆっくり登る。残置は適度に有る。ハング下で、左上にビレー点らしきものが有ったが、納得出来ない。右のリッジに向かって確実にトラバースする。高度感が凄い。リッジ上にて切る。

4P目は出だしが少し難しいリッジを登って行って、ハング帯の切れ目を乗越すが、切れ目なので難しくなくA0にはならなかった。左上すると、草付きテラスだ。

5P目は右にトラバースしてカンテを回り込むと、後半の緩い大スラブ帯に出る。急に気分が明るくなる。真白なカールボーデンが遥か下だ。

この感覚はたまらない。この後、4P分進むと、草付き帯に達する。意外と残置があったので、ハーケンは打たなかった。

草付き帯はロープを外すべきか迷ったが、出だしが少しやばそうなので着けたままにしたら、引いてもらう時に見事に流れ難くなった。草付き帯を1Pで終えると、踏み跡に出た。

堅炭尾根に着くと半袖では寒い位だった。

気を使う嫌らしい道を下って行った。

 

谷川岳 一ノ倉沢 烏帽子奥壁凹状岩壁、幽ノ沢 中央壁正面フェース

2001年10月20日から2日間
今野、藤本(トマの風)、柴田(記)


10月20日

柴田、今野(トマの風)

以前の会の仲間からの誘いでひさびさに谷川を目指す。

ここのところ中央道方面が多かったので車窓を流れる関越の夜景は心なしか新鮮に映る。

ロープウェイ前のパーキングステーションに車を止めて軽く飲みさっさと寝る。

4時起きで暗い中を一ノ倉沢出合いまで車で、そこからヘッデンをつけて進む。

あたりは紅葉目当てのカメラマンで大混雑。

一の沢を過ぎたあたりで一度進路を間違えて戻りテールリッジにつく頃にはヘッデン不要になっていた。

メチャ混みかと思ったが案外登ってくるパーティは少ない。

前に1パーティ後ろに2パーティくらい。

中央稜を登る子安・宮下Pと「じゃ衝立の頭で」と再会を約し凹状を目指す。

今野さんとロープを結ぶのは久しぶりだ。

取付きで「先登って良いかな」

自らリードを申し出られやる気マンマンの模様。

先行の姿はなく、中央カンテにも人はいないようでこれなら凹状も大丈夫とクライミング開始。

1P目(今野)台状のバンドを左から越えて易しいフェースに。

2P目(柴田)階段状の容易なフェース。

ピンは貧弱。

3P目(今野)凹状部の手前までの緩いフェース。

中央カンテからの落石を心配しなくても良いので精神的に楽だ。

4P目(柴田) 垂直というほどではないがわりと立った凹状部。

良く見ればホールド・スタンスとも沢山有るが所々浮いているので確かめながら登る。

残置ピンは割と少ない。

最初は右端のラインを、途中から中央部を登った。

5P目(今野)小ハングを越えて右のカンテの向こうへ。

安定したテラスが有りここで小休止しレーションを口に入れる。

直射日光を浴びていると暑いくらいだ。

6P目(柴田)左のふくらんだフェースを越えてその上のクラックにフットジャムを決めたら足が抜けなくなり往生した。

7P目(今野) 草付まじりのフェースを直上。

リードは潅木で2度ランニングを取っていた。

8P目(柴田)フレーク状を直上し垂直のクラックに腕を入れて登る。

スタンスは左のフェースにたくさん有る。

青空を見上げながら終了点まで登る。

終了点につくと9時30分。

先行がいないと時間待ちのストレスがない上、落石の心配がなくて気持ち良い。

無線で中央稜の子安Pに連絡を取るとまだ2-3ピッチ残っている模様。

衝立の頭まで移動し1時間ほど待つとようやく上がってきた。

ここから4人で北稜を懸垂し衝立前沢を経て一ノ倉沢出合いに3時頃につく。

風呂を浴び道の駅横のスーパーで喰い切れないほど買い込む。

昔話と浮世話に宴会の夜は更けて行った。

【タイム】
一ノ倉沢出合/5:00 → 凹状取付/7:00 → 凹状終了点/9:30 → 衝立の頭 /12:00
→ 一ノ倉沢出合/15:00

 

幽ノ沢 中央壁 正面フェース
柴田、今野・藤本(トマの風)

10月21日

時間がかかることもあるからと3時30分に起きたが結局一ノ倉沢を出発する頃は5時になっていた。

朝もやの中正面フェース3人、V字右4人の計7名でカールボーデンを目指す。

大滝を経てカールボーデン手前で登攀具を身につけV字右の4人に別れを告げてトウフ岩右の草付を目指す。

3人パーティなのでリード区間を3つに分けることとし1-4Pを柴田が5-7Pを藤本さんが、8-10Pを今野さんが担当することとし発進。

1P トポ通りトウフ岩右の草付を直上しその後左にトラバースしたがランナーは殆どなくビレー点もボルト1本だけでひょっとしたら間違ったラインだったかもしれない。

フォローは数メートルの間隔を置いて同時に登ってくるが貧相なビレーポイントに顔をしかめていた。

2P ビレー点からフェースを左にトラバースして緩いバンド上に出てルートを見ると左下のランぺ状がどう見ても正規ルートに見える。

少々クライムダウンしてランぺ上に合流すると急に残置ピンが目に付くようになった。

やっぱりこっちが正規だった。

3P 傾斜を増すフェース状をハング下のビレーポイントまで。

天候は高曇りだが、もうしばらくは持つだろうという感じ。

3日間ほど天気は良かったはずなのにやはり核心のハング部からはしずくが垂れている。

アンカー用のピンはグラグラしているのでクロモリを一つ打ち足す。

(あとから回収)

4P ハングのくびれまで慎重にフリーで登る。

残置ピンは4つ連打されていて3つめはしっかり効いている。

一番上のが飛んでもこれで止まるだろうと安心するが濡れていてスタンスが決まらずフリーを諦めA0に。

抜けた後の左のホールドがよく分からず2度戻り、3度目にようやく抜け左手の岩にエイリアン黄色を決める。

右の草付きバケツラインを登り笹薮を経て平らなテラスでビレー。

ここは慎重を期してフォローも一人ずつ登った。

5P リードを藤本さんにチェンジ。

テラスからフェースをやや左上して右に戻る。

笹薮を横断してスラブ状でピッチきる。

やはり笹薮よりは岩が気持ちいい。

V字を登っている飯田さんたちははや終了点間近で「そっちは笹薮だらけですねー」

とコールを送ってくる。

登っているとそうでもないんだけどな。

6P 小カンテを右に越え容易なフェースを直上。

やさしいが結局最後までランニングビレーなし。

フォローしてみるとリードは笹薮を束ねたアンカーポイントを2つ用意して後続を引き上げていた。

「静荷重には耐えるよ」

と言ったって。。。

7P 頭上の笹薮を直上してから左のフェース状に移りレッジまで。

残置は依然として少ないのでやさしくても慎重に。

笹薮アンカーなのでリードがランニングを取るまで気が気ではなかった。

8P 今野さんにリードを交代。

フェース状から湿った凹角を越え安定したバンド状テラスまで。

急に残置ピンが増えた気がした。

9P 1mほどクライムダウンして狭いフェース状の左側を登る。

頭上には中央壁の頭が大きく見え終了が近いことを知らせる。

10P ラストピッチ。

草付き混じりのフェースを直上しハングを左に避けて笹薮の中の終了点まで。

沢登りの会にいるくせに沢嫌いの今野さんがしぶしぶ草付きをリードしている珍しい光景をカメラに収める。

終了点でロープをたたみ藪の中の踏み跡をたよりに中央壁の頭まで。

踏み跡の広いところでしばしくつろぎ行動食を口に入れる。

堅炭尾根を芝倉沢まで下り黄葉に彩られた旧道経由で一ノ倉沢出合に戻る。

【タイム】
一ノ倉沢出合/5:00 → カールボーデン/6:35 → 正面フェース取付き/7:00 → 中央壁の頭/13:20→
旧道出会い/15:30 → 一ノ倉沢出合/16:20