北ア 錫杖岳前衛壁 注文の多い料理店、左方カンテ、1ルンゼ左

2017年9月30日~10月1日
野澤、川上(記)

ずっと行きたいと思っていた錫杖岳。野澤さんも「注文」を狙っていたことを知り、休みを合わせてぜひ行こうということになった。金曜夜発で、午前1時半頃に道の駅。翌朝は4時半起床で、5時半頃に槍見温泉の駐車場を出発した。幕営地の錫杖沢出合には7時頃。少々冷えるが、天気はバッチリだ。

初日は、まず今回の大目的であるところの「注文」に向かう。8時半頃、1番乗りで取り付きに着いたが、すぐ後から続々と2パーティーほど集まってくる。9時頃登り始める。つるべで登ったので、奇数ピッチが野澤さん、偶数が川上。
1p目、Ⅳ
簡単なフェース、アップになる。

2p目、5.8
少しトラバースして、上のテラスへ。

3p目、5.8
このピッチが核心。ハングを乗り越すところで力を使う。ジャミングで行くのか、フェースムーブで行くのか、初見では、悩みどころだ。野澤さんはスパイダーマンみたいに壁を背にするすごいムーブで登っていた。乗り越してからも距離があり、リードするには、結構緊張するだろうが、野澤さんは、さくっと終わらせる。川上も「フォローで時間はかけられない」との思いで、フォロー特有の思いきりの良さをいかしたレイバック気味のムーブで乗り越した。

4p目、5.8
テラスから、快適なダブルクラックをフェース登りで。ブッシュがうるさい壁を越えて終了。上部はルートファインディングに少し悩む。

5p目、Ⅳ+
スラブ。左上にキラキラ光るハンガーボルトが一つ。野澤さん「あー、ハンガーがある」とポツリ。使っちゃうのかな、と思いきや、ボルト使わずに、10メートル近いランナウトで解決。さすがです。全ピッチ通してオールナチュプロで登れました。

6p目、Ⅲ
あまり記憶なし、簡単だったので。すぐに頂上に抜けた、はず。

前衛壁の頂上は、草むらになっていて、西穂から槍まで一望できて、景色も最高だった。ここで正午頃。握手を交わして、しばし休憩した。日が当たりポカポカ、なんか和む、気持ちいい。その後、懸垂で同ルート下降したが、下から続々とパーティーが登ってきて、4ピッチ目のテラスでかなり待った。結局下まで2時間くらいかかる。計6パーティーくらい取り付いていたのでは?注文の多い料理店は、やはり大人気のお店で、天気の良い週末は、激込みだったという話。

「左方カンテ Ⅴ+、6ピッチ」(注文との合流地点まで)
取り付きに戻ってきた時点で午後2時半前。私「まだどこか行けますかね」。野澤さん「行けるところまで左方カンテやりますか」と話し合う。今度は私がおいしいピッチをやらせてもらおうと思い、3p目のⅤに照準を合わせて、私が奇数、野澤さんが偶数ピッチをリード。でも、確かに3ピッチ目もおもしろかったが、このルートのハイライトは、6p目だった。最初のチムニーからフェースに移るところにムーブがあって多少充実する。ただ、全体的に「注文」より簡単で、3時間かからないくらいで抜けることができた。こちらも、いくつか残置はあったが、ビレイ点以外オールナチュプロで登った。「時間的に上まで抜けれないと思ってたけど、行けましたね」と野澤さん。私もうれしかった。午後5時過ぎ。そこから懸垂して降りた。

2日目
「1ルンゼ~little wing(5.10c、10ピッチ)」…転じて「1ルンゼ左(5.8、7ピッチ)」
1ルンゼを6ピッチ登って白壁に移り、little wing(5.10c)をやるつもりだった。が、途中からルートとトポが一致していないような気がしてきた。帰ってきてから気づいたが、取り付きから間違えて1ルンゼ左ルートを登っていたようだ。奇数ピッチが野澤さんリード。

1P目、Ⅳ+
凹角に沿って登る。Ⅳ(1ルンゼなら)にしては難しめだな、と思った。

2p目、5.8
左端のオフウィズスを登ったが、思ったより悪かったので、いったんクライムダウン。より簡単そうに見えた右端のコーナーを登って、ハング下の微妙なスラブをトラバースすることにしたが、ホールドが細かくて結構緊張した、しかも苔コケで、多分登られていない。やはり、オフウィズスを登るのが正解だったようだ。1ルンゼと間違えていたため、Ⅴ+と思って取り付いたが、登りきった後で、もっと難しいよな、と思った、でも、面白かった

3p目、5.8
1ルンゼなら「Ⅳ.簡単な凹角」のはずだが、結構奮闘的。野澤さん「簡単な凹角…ではなかったですね」、僕もそう思った。
以下、手元のトポにグレード表記ないので、私の体感

4p目、Ⅲくらい
明るいスラブに出て、簡単な岩稜を登る。ほとんどランナーは取らなかった。

5p目、Ⅳ+くらい
凹角っぽい所を登り、広いテラスへ。

6p目、Ⅴ+くらい
1ルンゼの6ピッチ目には、5.10bのバリエーションがあり、これをやるつもりだったが、ルートが良く分からない(実際は1ルンゼ左を登っていたので当然だが)。適当に難しそうなフェースから凹角に入った。全然登られていない感じで、嫌らしかった。カムも所々にしか決まらず緊張。それでもⅤ+~5.8位か。

7p目、Ⅲくらい
左にトラバースして、ブッシュを登ると、前衛壁の頂上と思われる所に出てしまう。Little wingに入るトラバースを見逃して頂上まで来てしまったようだ。ここで午後1時半頃。このルートは、残置は多かったが、大体ハーケンか、怪しいリングボルトだったため、残置数ヶ所使った以外、ナチュプロで登った。

懸垂2回して、広いテラスに戻る。多分、ここをトラバースでlittle wingだろうと目星をつけ、実際に野澤さんがトラバースしてみたが、もう時間は午後3時前。下らないとこの日のうちに帰れないため、後ろ髪を引かれる思いで、下山を始めた。幕営地でテントをしまう。午後6時半頃に駐車場に着いた。

今回、憧れの錫杖岳に行けて本当に楽しかった、野澤さんありがとうございました。もっと力をつけて、今後は深夜特急や黄道光といった高難度ルートにも挑戦したいと思った。新しい目標ができ、日々のフリークライミングにも力が入りそうだ。皆さん、今後ともよろしくお願いします。

 

錫杖岳 前衛フェース 左方カンテ

2016年6月4日~5日
赤井、河合(記)

最近、隔週で本チャン行っては報告書いている気がします。今回も週始めに、日程の合った赤井さんと相談。今回は錫杖岳に行くことになりました。河合の狙いは左方カンテ、赤井さんの狙いは3ルンゼということで、混みそうな左方カンテを土曜、3ルンゼを日曜に登ることにしました。

6/3
都内某所22:00集合。一路新穂高温泉へ。駐車場には似たような人達が次々と来ました。

6/4 晴れのち曇り
6:00に起きたら、周りのパーティーはほとんど出発した後でした。寝過ぎたかな。左方カンテは人気ルートだし、ひとしきり皆さんが取付いた後行けばいいでしょということで、まったり出発。
1時間位で錫杖沢出合のテン場に着いてびっくり。テントが一張しかない!みんな別の所で泊まってるのかな。ここから歩いて30分ちょっとで左方カンテ取付に到着。さすがに先行パーティあり。話では上にもう1パーティいるとのことで、今日は3パーティのようです。

1P目:Ⅲ(リード:河合)
このルートは残置がほとんどない、ということで、初っ端から残置ゼロ。でも立木あるし、Ⅲ級なので気にはなりません。ルンゼを直上、先行Pの使っていた支点の下の立木でピッチを切りました。初っ端からビレイはハンギング気味(ちゃんとテラスにビレイ点ありますが混んでると使えないです)。
終了点からは黄道光1P目5.11aのペツルボルトがよく見えました。
錫杖_20160604 写真2
2P目:Ⅳ(リード:赤井)
引き続きルンゼを登ります。傾斜が立ってきました。このピッチも残置なかったと思いますが、クラックが随所にあるのでプロテクション取るには充分。
錫杖_20160604 写真3
3P目:Ⅴ(リード:河合)
ピナクル登ってスラブ右上→小ハング→右上という感じでした。ピナクル登ってから小ハングまでに細いクラックが走っていてカム使えました。小ハングはカム使えないような細いクラックに、ハーケンが2つくらい埋まっていましたが使える代物ではなく無視。スタンスは豊富でホールドもガバ、岩も硬いので思い切って行けます。スラブを左に行くクラックが走っていてそちらも登れそうでしたが、多分外れ。
錫杖_20160604 写真4
4P目:Ⅱ(リード:赤井)
チムニー入口までの歩きピッチ。15m位。一瞬で終了。黄道光サンシャインクラック5.11cが見えていて、超かっこいいです。これは惚れる!
錫杖_20160604 写真5
5P目:Ⅳ(リード:河合)
易しいチムニー。チムニー内にクラックが結構走っていて支点は取りやすいです。一個、古そうな残置カムがありました。このピッチ、フォローはザックを股下に吊るして登ったそうです。
錫杖_20160604 写真6
6P目:Ⅳ+(リード:赤井)
左フェースを登ってそのままテラスまで。出だしは珍しく残置ハーケン(今日初めて?)ありました。最初のレッジまでまともなプロテクションがほぼ取れませんが、基本はガバでスタンスも豊富なので手順間違えなければ大丈夫。
錫杖_20160604 写真7
7P目:Ⅴ+(リード:河合)
左方カンテの核心ピッチみたいです。出だしのチムニー突破はワンムーブが結構悪いですが、出だし1ピン目にペツル打ってあるので多少気休めになります。(落ちればグラウンドの可能性高いですが・・・)行けそうだったのでフリーで登りました。最初のチョックストーン越えてからはチムニー→左壁乗越→カンテ。チムニーはクラック結構ありキャメ#0.5が残置されていたほか、ハーケンも打ってありました。ここもフォローは股下ザック登攀となり、大変だったようです。
錫杖_20160604 写真8

錫杖_20160604 写真9
8P目:Ⅳ+(リード:赤井)
注文の多い料理店と共通パートで、結構順番待ちがありました。人気ルートが2つ重なっているので、仕方ありません。フェースですがちゃんとプロテクションきめられる場所があります。上部は灌木帯の間のフェースを登りますが、懸垂下降時ロープが引っかかりやすいので要注意です。
錫杖_20160604 写真10
9P目(Ⅲ)は藪歩きっぽいので省略、というのは建前で、赤井さんも河合も錫杖沢に残置したビール回収の誘惑に負けたという説が濃厚。一応オールフリーで登れました。
下降は注文側を4ピッチ懸垂下降。油断していたら8P目の灌木帯でロープが引っかかり、後ろの懸垂パーティに取って頂きました。危うくもう一回8ピッチ目登るところでした。先行パーティが同じ目に遭っていたのを助けたばかりなのに、自分達もやっちまって反省。
足早に下山してビールにありつきました。何で登った後のビールはこんなに旨いんだろうか。雲行き怪しく、明日も登れるのかな?

6/5 小雨→曇り
夜中に雨音がしたような気がしていましたが、「気のせいのはず・・・」と知らんぷり。ささっと3ルンゼ登って午前中の下山を目論んでいましたが、4:00起きしてテントの入口を開けて、「あっ、ダメだ。」雨は降っていないものの結構濡れていて、登る気起きず撤退。朝から温泉浸かっていたら日が差してきたので転戦を画策しましたが、頼みの太刀岡山目指して山梨県入ったら本降りに…諦めてまっすぐ帰宅となりました。赤井さん、3ルンゼ登れずごめんなさい。

左方カンテは人気ルートなので順番待ちがそこそこありましたが、岩が硬くとても快適でした。ここに慣れてしまうと一ノ倉沢行けなくなってしまいそう・・・残置は噂のとおりほとんどなく(見落としもあると思いますが、ほんと少ないです)、確実にプロテクションを取れる技術ないと危ないかと。錫杖、もっと近ければいいんだけどなぁ。

コースタイム:
6:50登山口→7:55/8:20錫杖沢出合→8:55/9:30左方カンテ取付→14:05 8P目フォロー終了→15:05/15注文取付→15:25/45左方カンテ取付→16:10錫杖沢出合

持っていったナチュプロ
キャメロッ#ト0.3~2、エイリアン青と緑、BDストッパー#4~8

錫杖岳 左方カンテ・1ルンゼ

2002年8月22日から2日間
石田、大滝(記)


アプローチ短く、岩小屋は沢で水が取れて快適。

岩は明るくしっかりしている。

焚き火が出来て無料温泉もある。

3回目だがもっと行きたい。

8月22日

槍見温泉対岸の無料駐車場は舗装されていて快適。

ヘリポートが併設されて居る。

7:45発 9:40岩小屋10:15左方カンテ取り付き。

石田君は、登る力はあるがルートファインディングの力は分からないので大滝が全てリード。1、2P目、おおまかな岩をぐいぐいと登って行く。

3P目は初めての時はアブミに乗ったが、今回はアブミを出しはしたが、A0風にしてホールドの形状を確かめながら登った。

被り気味だがホールドは大きい。

石田君はフリーで登ってきた。

流石に上手だ。

5P目のチムニーでは、ザックを股の下にぶら下げて登ると背中が空いて楽になる事を教えた。

その上のフェースは綺麗な素晴らしい壁。

バランスクライムの格好の練習場だ。

7P目の出だしのオフウィズスはやはり嫌らしいが短いので何とかなる。

その上のフェースは前回恐かったが、今回は全然恐くなかった。

ルートを覚えたせいだろうか。

高度感も出て気持ちいい。

13:30終了 同ルート下降。

15:00取付きに戻る。

このルートはロープの回収時に気をつけなければいけない。

7P目の回収時にゆっくりと引いたにもかかわらず引っ掛かった。

石田君が少し登り返して回収した。

3P目の懸垂では、降り立った反対側にピナクルがあるので勢い余ったロープがピナクル側まで行ってしまい易い。

実際、回収不能になったロープが5m位の長さで残されていた。

我々はすごくゆっくりと引いたのでクリアー出来た。

そのロープを回収して岩小屋に渡して、ツェルトをぴんと張った。

8月23日

6:40 1ルンゼ取り付き。

ここは出だしから立っているので恐い。

シュリンゲがあちこちぶら下がっているのでつい握ってしまう。

本番だからいいやと自分をごまかす。

3P分緊張すると、大テラスに着く。

5P目はルートが分かり難い。

中央より登り始めて右上し、その後、左上して行く。

ランニングを長くした方が良い。

6P目は素直にアブミを出す。

ハーケンの効きを確かめながら静かに加重してゆく。

リードで落ちたら抜けると思われるハーケンが何箇所かある。

前回、上部でカンテ左のフェースに行ったが、ルンゼを直上出来ないものかと少し登って見たが、びしょびしょ濡れ濡れで、残置ハーケンは在るがとても登れたものではない。

正規ルートに戻り、快適なフェースを進む。

このピッチは好きだ。

最終ピッチは開脚で登る広いチムニー。

その後、右に岩は堅いが恐いトラバースをすると広い横断バンドに出て終わり。

11:30同ルート下降で12:40取り付きに戻る。

今回、石田くんのロープが8.3ミリだった。

懸垂下降時、空中になるとすべりが良すぎて辛かった。

細いロープの時はグローブをはめた方が良いかも知れない。

 

錫杖岳 前衛フェース3ルンゼ/左方カンテ

2001年7月20日から3日間
石原(愛媛大WV山岳部OB)、赤井(記)


7月20日

槍見温泉手前の駐車場に8:00集合、装備をザックに積め9:00出発

10:30頃 錫杖沢出合に到着テントを張る。

出合を出て12:30 3ルンゼの取り付きに到着した。

私らが準備をしていると、3人組の1パーティがきた。

12:50登攀開始、岩は多少濡れており、ガラガラした感じだが4ピッチ目までは順調につるべで登る。

途中、後ろのパーティがでかい落石(岩雪崩れのような音がした)を起こした時はビビったが・・・。

このルートは前に他のパーティがいるときは要注意です。逃げ場はなし。

5ピッチ目、石原君リードで残置のスリングがかかっている、右側の壁をトラバース気味に登っていく。

途中悪いため少々てこずっている様だったが無事抜けていく。

6ピッチ目、右側には残置のハーケンがある濡れた壁。

真中はチョックストーンに2箇所ほどスリングがかかっている、難しそうな壁。

左側はボルト1本に5mほどスリングが連結されている壁。

どれを行くか迷ったが途中支点が取れそうな右側を行く。

途中カム、ハーケン等で支点を補強しつつ人工で登るが、最後、4メートルほどの左へのトラバースが濡れていて踏み出せない。

手持ちのガチャで左横に補強して人工しようとするが、ハーケンが入らず、石原君に交代してもらう。

彼は、私の行き詰まったところからもう1歩上がり青のエイリアンをかまし。

テンショントラバースのようにし、その先に、もう1個キャメJr.をかまして、抜けていく。

7ピッチ目、やさしい草付きを抜け稜線に出る。

16:30終了。

1回懸垂を交えて逆側の谷のほうに行き、やぶをトラバースしFIXの張ってあるピナクルに出る。

FIXロープ沿いに降りクリヤ谷に向かって降りていった。

7月20日

7:00 左方カンテ取り付き。

すでに2パーティの順番待ち。

取り付きに戻ってくる予定なので、ザックを一ヶ残置する。

8:00頃登攀開始。

赤井、石原の順番にてつるべで登る、途中順番待ちで待たされるもののおおむね岩は硬く快適に登っていく。

最終ピッチ、貝の化石のあるフェースを私のリードで取り付く、石原君は”太古のロマンにひたりながら登ってください”などと余裕の発言をしていたが。

途中のフレークが触ると動き、また、所々濡れており結構悪かった。

同ルートを下降。

注文の多い料理店などを見物し、テン場に戻ったのは15:00ごろでした。

7月21日

烏帽子岩を登る予定でしたが寝坊をし、途中のアプローチの大滝まで行くも、帰る時間が遅くなりそうなので、やめて撤収した。

帰りは温泉に入りビールに焼肉を食べ、結構満足な3日間でした。