谷川岳 一ノ倉沢衝立岩中央稜、一ノ沢左方ルンゼ

2019年3月2日~3日
川上、山崎(記)

3月2日 谷川岳一ノ倉沢衝立岩中央稜
当初、土曜日は一ノ沢左方ルンゼ、日曜日に中央稜の予定でしたが、前日夜から小雪が舞っていたので、土曜日は衝立岩中央稜に変更。当日の天気は朝のうち薄曇りのち晴れ。
センター発500。一ノ倉沢出合600。左に一ノ沢を分けた先から本谷のデブリが現れ始める。テールリッジには末端からではなく、衝立スラブ側から取り付く。中央稜取り付きに800頃。
なお、この日の朝、知っている限りでは東尾根に1パーティ2人、三スラに1パーティ3人、一ノ倉尾根に1パーティ3人が入っていました。

1P目 川上。雪のついたスラブを左上。40m。中間支点は灌木などで取る。雪の下にハーケン。2P目 山崎。1P終了点から左にトラバース後、ルンゼ状を直上。25m。3P目 川上。本来なら右にトラバースして衝立側正面フェースに出るところ、真っ直ぐ上に見える残置物に導かれ烏帽子側フェースを直進後左上。30m位だったか。
4P目 川上。とても難しそうなので難所大好きの川上リード。下部は左面に手足なし。右側にあるリス、カチ、棚などを使うが、難しく突破に時間を要す。中間支点はハーケンあり。さらに上部は被った凹角で、挑戦するも突破は困難となり、最終的にはあの手この手でずり上がる。終了点はボロいスリングが巻かれた立木。

ボロいスリングの巻かれた立木

5P目 山崎。本ルートが走る烏帽子側正面フェース目指してルート修正し、本来のルート4P目チムニーの上に出る。そこから凹状フェースを登り終了点。25m。
6P目 川上。ルンゼ状から烏帽子側の開放的な凹角状のフェースを登る。中間支点ハーケンあるが、クラックが走っているのでトライカムなども使う。40m。
この時点で14時を回っていたのと、メインピッチは終わったということで終了とし、同ルート下降する。途中ロープの引っ掛かりなどあったが、15時頃には取り付き着。
この日の中央稜は我々のパーティのみでした。

3月3日 谷川岳一ノ沢右壁左方ルンゼ
当日の天気は朝から曇り。天気は下り坂でしたが、日中は何とか持ちそうな状況。
センター発400。一ノ倉沢出合500頃。一ノ沢に入って急な登りの途中、最初の二俣が現れるが、左手が一ノ沢本谷で、左方ルンゼには左を行く。右手からはルートミスしたのか、一団が続々と下ってくる。
取り付き着630頃。この日左方ルンゼに入るパーティは我々を入れて5パーティの大盛況。
うち山頂に抜けたのは3パーティ。
1P目取り付き。ロープ無くても行けそうだが、先行パーティの落とす氷塊が時折飛んでくるのでロープを出す。出だしだけ傾斜の緩い氷で、あとは2P目の氷瀑の前まで緩い雪面。40m。
2P以降は、特に難しくない滝を交代で登って行く。確か4P目。左側は氷が薄く、中央を行き、右岸側の立木にある残置まで。25mくらい。4P目終了点から下を覗く。4P終了点からは緩雪面。5P目手前までロープを引き摺っていく。本ルート核心の5P目チムニー滝。川上リード。確保支点は左岸側の岩角へ巻き付けたスリングやハーケンを打ち確保支点とした。乗り越えた後40mほどロープ伸ばし左岸側でビレイ。
滝は、左面に薄い氷が張っており、チョックストーンの左側を登る。それほど苦労せず突破できた(写真は現地で偶然会った友人に取ってもらったもの)。
その後、中間稜までは先行者の階段状トレースがあり、雪も締まって容易。
中間稜核心のナイフリッジもトレースがあったため難なく突破。一応スタンディングアックスビレイで確保。ナイフリッジ後はロープをしまい、東尾根に向けのんびり登って行く。ガスで真っ白のオキの耳には1200頃到着。天神平経由で1500には下山。

谷川岳 一ノ倉沢一ノ沢 左方ルンゼ

2018年3月4日
薄田(記)、野澤

コースタイム:
一ノ倉出合 5:00
F5 8:40
一ノ倉出合 12:00

「ヤバいよヤバいよ」
F5上の雪田から降ってくる雪崩でF5入り口にてビレーするデカ目のヤツにやられ、飛ばされたがアンカーに助けられ事なきを得た。
この時薄田はテンションを貰って雪壁を下降中。ハーケン抜けてたら一ノ沢の出合まで死へのダイブがスタートするところでした。
前日の予報は水上での最高気温が17℃を告げていたがいつもどおり出合まで行くだけ行って判断しようと某駐車場を出発。先々日の雪は締まったようで普通に歩きやすかった。
出合に到着しても雪面は締まっており早く1・2の中間リッジ早く抜けられたら何とかなりそう。結局何とかならなかったが・・・
先輩から教わった出合で足のすね以上埋まったら引き返すという敗退基準はクリアーしていたが気温基準がそれを越えていた。
コップ側からデカイヤツが来ていて出合から30mも行かないくらいで高さ6、7m位のデブリが斜めに走り雪崩のすさまじさを再認識。
一ノ沢の本流に入り傾斜が増す頃から雪崩れ通過後の樋状滑り台が断続的に続く。
F1、F2は簡単なので各自フリーで登る。F3からロープを出し野澤先行でスタート。
氷が柔らかいのか快調にロープを伸ばす。但し、先行1パーティーが落とす時折大きい氷が弾丸となって普通に飛んでくるので上を見ていないとヤバい。

薄田、一度拳1/3程度がバウンドを読み切れず左胸にHIT、痛かった。
ビレー解除の声に薄田スタート。簡単なるも50mいっぱい伸びていたので脹ら脛のレストの為若干休憩を入れながら登る。
F4リードを薄田に交代。出だしF3より急だが4mも登るとバンド伝い、左右に逃げられるので見た目ほど難しくは無い。
氷部は25m程で抜けて更に5m雪面を左に上がり立木(残置シュリンゲ有り)でビレー。

続く雪壁も50mいっぱいで左手の立木でビレー、そこから核心のF5チョックストーンが見える。更に50m弱で手前の右壁下部にハーケンを2枚打つが1枚は半分しか入らない。
さて、この頃から強めの日射のもと気温も上がり塵雪崩が落ちてくる。
核心は野澤君の番だが既にゆるゆるの雪と申し訳なさ程度に付着した氷のためか難しそう。
そうこうする内に上部雪田からの塵雪崩落下間隔が狭まり大きさも増してきた。

薄田にリードを交代するもチョックストーンの左手には微かな氷しか無く傾斜も強いので逡巡。右手手前に目を移すが氷は付着するも気温の上昇でグズグズの状態、草付き状だが傾斜も有り支点取れないのでこちらもヤバイ。
そうこうする内に上部雪田から間欠的に重めの雪崩が降ってくる。
「もう駄目だ!」降りると決断。
薄田、そのままテンション入れながら50m下降。途中、野澤君がビレー中大きめの1発を食らいセルフにぶら下がる。ハーケン、効いてて良かった。
何とか立木まで降りてそこから懸垂開始。50m2回ではF3取り付きに届かず薄田7m程クライムダウン。後はテンションとクライムダウンで一ノ沢本流に到着。
助かった。

反省点はなんと言っても気温上昇。こんな日に入っちゃ行けない。しかし先行1パーティーはしっかり抜けて我々がセンター到着前に降りて来ていた。もう一点はもう1時間早くスタートが必要だった。

谷川岳 一ノ沢左方ルンゼ

2007年3月24日
向畑、長門(記)、金子夫婦

今日は日帰りなので荷物が軽くて出発から足どりも軽い。

アルパインが初めての金子夫妻はちょっと緊張気味だ。

天気予報では午後から崩れるので、午前中で登れるところと考え安易な選択だったけど、意外にも楽しめたと思う。

ルートは快適なアイスクライミングとちょっと怖い雪稜があり、いい感じだ。

核心は前半がチムニーの滝と、後半はルンゼをぬけてからの一・ニノ沢中間稜のナイフリッジだった。

2:40指導センターを出発、6:00ぐらいに取付きに着く。

先行パーティーが登っている。

我々も取付きで準備をしていると僕のアイゼンのバックルが折れてしまった。

スタートからついていない。

ここまで来たのに登れないのはもったいないから、一人で東尾根にでも行こうかと思ったが、ガムテープでぐるぐる巻きにしたら驚いたことにアイゼンがピッタリと靴に収まった。

これはいける。

人間、あきらめないのが肝心だ!これからガムテープは必需品にしよう。

長門、金子さんで先行し、向畑さん、金子夫人でロープを組みいよいよスタート。

1P目、70度ぐらいのアイス、50mぐらいでピッチを切った。

2P目もいっぱい伸ばして木でビレイ。

3、4P目もロープいっぱいに伸ばす、垂直部分もあるが短いからそれほど問題ない。

5P目チムニーの滝、僕はここがちょっと難しかった。

ベルグラに引っかけて、ステミングでこえると緩い雪田。

チムニー上のビレイ点を、ピトン一つ足したが回収し忘れてしまった。

伝言はちゃんと伝えないといけないな。

これが長い壁なら、ピトン一つでも大問題。

あとは雪壁をコンテ混じりの2Pでアイスは終わり、後はコンテで100mほど登り一・ニノ沢中間稜に合流。

左方ルンゼはそれなりにおもしろかった。

初めてでも、難なく登った金子さんも満足げだ。

ここからは微妙なリッジクライミングとなる。

雪もそれほど付いてないからいいが、積雪が多いと大変だろう。

部分的に嫌らしいが、途中の木や岩角が適度にあるから恐怖は少ない。

6Pで東尾根に合流。

12:00に国境稜線。

風も強くなり、予報通りに天気も下降気味なので早々に下山。

14:30に指導センター着。

タイム

02:40指導センター~06:00左方ルンゼ取付き~10:00一・二ノ沢中間稜~12:00国境稜線  14:30指導センター着