錫杖岳 前衛フェース ANNIVERSARY

2001年10月13日から2日間
三好、朱宮(記)


10月13日(土)

槍見温泉(9:00)~錫杖沢出合(10:30)~BC(10:40-11:30)~取付(12:00-12:45)~2P終了(16:15)~取付(17:00)~BC(18:00)

6:00くらいに一度起きるが、槍見温泉の下の駐車場に着いたのが4:00で、とにかく眠いのと、なんと雨がしとしとと降っていたので、寝なおしてしまう。

次に起きたら8:30頃で、雨が止んでいたので、天気回復を祈りつつ出発する。

重荷に耐える体力がないのがわかっているから、いつも食事から何から荷物をできるだけ絞るようにしているので、アメリカンエイドの重荷にとてもバテバテになってしまう。

以前、山岳部の現役くんは、めいっぱい食べるために重さに耐えられるようにするって言っていたけど、何が理由であれ、やっぱり体力が基本と反省する。

もっとトレーニングしよう。

錫杖の岩場は一瞬見えたが、後はガスの中でもう何も見えなくなってしまう。

錫杖沢の2本手前の沢にも人が見えたけど、なんだか厳しそうに見えた。

錫杖沢に入ってすぐ、右のブッシュに入る手前に岩小屋がちょうどいい具合にあるので、そこにテントを張る。

また雨が降り始めた。

本格的な降りで止みそうにない。

のんびりと薪を拾って雨の当たらない所に集めておき、とりあえず取付まで行ってみようということで出発する。

以前来た時は沢伝いに登っていったのだが、沢の左岸についた道に沿っていくと、そのまま左方カンテの取付まで行けた。

雨が降り続いているので、気が滅入る。

あれと思うと、ANNIVERSARYの1P目終了点に人が見える。

人気ルートなのだなぁ。

うちら遅いし、絶対追いつくことないから大丈夫だよ、先に取付かなくてよかったな、迷惑になるからななんて情けないことを言いあいながら、ゆっくり準備して取付く。

ちょうど雨も止んできた。

1P目 20m(朱宮)、リスに気持ちいいくらいにピトンやエイリアンが効く。

脆い箇所の多かった丸東とは大違いだーと言いながら登って行く。

10mくらいの垂直のフェースからテラスまで。

結局ピトンはロストアロー3、ナイフブレード1で、あとはエイリアンで。

2P目 20m(三好)、アンダーフレークの左にナイフブレードのタイオフをしただけで、あとはカム、ナッツ。

途中、残置もあるが使わず。

岩も硬くて、ナッツが決まると気持ちいいーと感動し、楽しみながら登る。

途中にもボルトがあるが、さらに進んで、終了点はリング2で、キャメを2つ使って補強した。

猿の腰掛けテラスはちょっと小さめ。

時々ガスがきれた時の紅葉がきれいだ。

ここで、いい時間になって終了。

ザイルをFIXして懸垂する。

今日は焚き火だーとやる気になっていたが、木も濡れてなかなか火もつかず、それよりも眠くて眠くて断念し、夕食を食べて早々に眠ってしまった。

夕食はジフィーズの牛飯。

久しぶりに食べるとうんまい。

 

10月14日(日)

BC発(5:00)~取付(6:00)~3P終了(8:00)~4P終了点(9:45―10:45)~6P登り始め(12:00)~大テラス(14:30-15:00)~取付(16:00-16:30)~BC(17:00-17:30)~槍見温泉(18:20)

朝は快晴。

暗いうちから出発する。

ユマールに慣れていないので、疲れる。

先々週に小指の皮をべろんと剥いてしまったのは、鋭いフィフィのせいと判明。

ついでに、Tシャツも穴を開けまくってしまう。

アメリカンエイドの時は取り替えてこよう。

3P目 40m(朱宮)、直上してからブッシュを左上してゆくピッチ。

エイドからブッシュ手前のフリーの部分が少し悪い。

ロストアロー1とナイフブレード1で、後はカムとナッツ。

回収は大変。

パワーがないのか、コツがわからないのか。

時間が掛かってしまった。

でも、もう少し早かったら、こぶし大の落石に当たっていたかもしれない。

ブッシュの左端を辿って藪漕ぎはそれほどきつくなかった。

先行パーティは5ピッチ目を登っているので、のんびり行こうやとなる。

4P目 20m(三好)、フリーのピッチ。

最初はキャメとエイリアンを効かせるも、あとはピトンも打つところがない。

なんだかびびってプロテクションを決めようとウロウロして、余計疲れる。

難しくもないので、覚悟を決めて落ちないように進めばいいのに。

こんなところが悪い所に弱いと言われる所以なのだろう。

左方カンテのチムニー下で切る。

先行がいるので、のんびり待ち。

左方カンテはどんどん人が来て、上に進んでいる人達も合せると6パーティも取付いていた。

登る人と懸垂する人と落石が入り乱れて怖かった。

5P目 15m(朱宮)、右側のハングを超えて行くピッチ。

キャメを決めてトラバース、ナイフブレード、キャメ、バガブー、エイリアンと決めて行く。

ハングの出っ張りは割れた後があって、決めにくいらしく、一応エイリアンを二つ付けてさて次へと行こうとしたところ、最初に決めたエイリアンが外れた。

二つ決めておいてよかった。

クリーニングはしんどかった。

カムはいいけど、ナイフもバガブーもなかなか外れず、外れたのを見てみたら、先がぐにっと曲がっていた。

決めすぎってのもあるんだろうか。

6P目 30m(三好)、左上してフリーに移るようだが、びびり屋な私は、使える限りアブミを使って、所々フリーという感じになって、ものすごく時間がかかってしまった。

アングル1、ロストアロー1、ナイフブレード1、あとはカムで進む。

先行パーティは真上に見えるジェードルルートを進んでいる。

いつか行ってみたいと思う。

7P目 15m(朱宮)、北沢フェースの大テラスにあるビレイ点まで。

草付きが非常に滑りやすかった。

時間が迫っているのはわかっていたが、大テラスは広々として景色もよくて、ゆっくり行動食を食べ、紅葉を楽しんでから懸垂にかかる。

上のルートにつなげられないのは残念だったけど、ANNIVERSARYを登れてよかった。

また来よう。

北沢フェースを懸垂し、シングル1回、ダブル2回、シングル1回で取付に降り立つ。

テントを撤収、槍見温泉に着いたときにはどっぷりと夜になっていた。

「ビックウォールやろうぜ」を何回も読んで、頭の中でシミュレーションして、先々週初めてアメリカンエイドに行った。

誰が教えてくれるわけでもなく、要領もわからずに試行錯誤、カタツムリのように進む。

でも、そんなのが楽しくて、たっぷりの充実感を与えてくれる。