冬トラッドの記録

河合(記)

今冬は緊急事態宣言やらに大分翻弄されてしまった。それは現在も…

記録の更新が久しく途絶えていたので、山ではないですが今冬のトラッド記録を残しておきます。

【1本目:センチュリーフォーカラーズ5.12b @甲府のとある岩場】

(1日目)

非常に美しい真っ向勝負のフィンガークラックがあると噂に聞き、このルートの存在は以前から気になっていた。調べてみると、甲府のとある岩場の人目に付かないところにあるとのこと、故吉田和正氏のブログを頼りに、川上さんに付き合ってもらって捜索に出かけた。入口らしき沢を発見、詰めていくうちに沢の分岐にぶつかり、左に川上さん、右に河合で探索続行。川上さんが何とか岩を発見。駐車場から1時間半位かかった。迷わなければ駐車場から25分位。

ほんと綺麗な「くの字」。その昔は「昇仙峡イクイノクス」と言われていたらしい。曲がりがオリジナルと逆だけども。

く!

横から見ても、く!

いそいそトライ開始。今まで難し目のフィンガークラックは、春うらら2p目もアレアレアも、トップロープでリハーサルしていたので、今回は少しスタイルに拘り、トップロープを封印して臨んだ。さぁ、吹っ飛ぶぞ。

出だしはプロテクションがいまいちの中ボルダームーブ、ノーズで拾ったオフセットカムが久々に活躍。その後のフィンガーはナッツやカムが良く効いて、くの字の中間部に到達、の前に既にテンションでオンサイト失敗。ここまではイレブン前半位で前哨戦。

くの字の後半がこのルートの本番。傾斜80°位、明確な足がない中をスメアで耐えつつ、フィンガージャムを、クロスムーブを交えながら連打していく。何箇所かカムをセットできる程度のレストポイントはあるけど、腕の完全回復は望めない。綺麗なクラックだけど手前側が飛び出る形でオフセットしていて、フットジャムが効かせ辛い。救いは、極端に悪いムーブはないことと、大体どこでもカムが効くことで、突っ込んでは吹っ飛びを繰り返して、1便目でムーブを解決しトップアウト。ストレニ系のルートのようだ。カムは♯0.5まで。

 2便目は、とりあえず突っ込んでみることに。くの字屈曲部まではうまく行くも、後半の最初の方で敢無く吹っ飛ぶ。繋げるとめちゃくちゃパンプするぞ。

クロスを繰り出す(Yさん撮影)

 3便目は既に腕が残っておらず、くの字後半の出だしで、いい加減にセットした♯0.4が吹っ飛び、大フォール。クラックが斜めなので、セットは要注意。地面まで戻ってきてしまった人もいるらしい。

(2日目)

 翌日、1便目で終了点のガバ取りまで達するもムーブを詰め切っておらずまた盛大に吹っ飛び、その次の5便目で完登。ビレイしてくれた川上さんと小さいカムには、吹っ飛びまくって大分負担をかけてしまった。

川上さんの3日目のトライ(小池さん撮影)

 コンディション良かったこともあり、グレードは体感易し目の5.12b位。極端に悪いムーブがなく、アクセスも良いので、敷居は春うらら2p目より低いかも。貴重な地面からトライできる5.12-の純クラック、お勧め。

【2本目:アメジスト・ライト5.13a-b? @甲府のとある岩場】

(1日目)

 このルートは、そもそもどこにあるのかすらよくわかっていなかった。センチュリーを探して彷徨っていた時、沢の右岸に壁が見えたので、「これ、センチュリーじゃない?」と見に行ったら見つかったのがこのルート。

綺麗なクラック発見!右がアメジスト・ライト

最初は名前もわからず、「何かネットで見たことあるよね、このクラック」と川上さんと話していたら、ふと、思い出した山野井氏の記録。照らし合わせてみると、やはりアメジスト・ライト。吉田氏が5.13a-b位とブログに書いていて、傾斜も110°位あり、明らかに難しそう。場所だけ覚えてセンチュリー探しに復帰。

 当初トライの予定はなかったけれど、川上さんのセンチュリー完登が近づいていたのでビレイついでに、触ってみることに。

 この日は、なぜかワイドで悶えたいと願う秀峰の誇る変〇、山崎さん、小池さん、右田さんも同行して5人の大所帯。センチュリー隣のヘイトクライム5.10aというワイドクラックで、とても楽しそうに悶絶していた。うん、間違いない、変〇だ。完登していたのは、ワイド教祖の川上さんだけだったような。

ワイドに挟まり始める山崎さん

 私は川上さんにメンドクサイ往復してもらって、アメジスト・ライトに1人寂しく向き合った。

 出だしのコーナークラックはプロテクションちょっと怖い簡単なレイバックで、5.10b位。テラスで一休みしてからが本番。

 傾斜は強いけどスタンスとクラック周辺のカチが豊富、フィンガージャムとカチフェースムーブを交えて高度を上げていく。大き目のカムが結構決まる。下部の核心はムーブに悩んだけど、シンハンドの悪い部分をスキップして、レイバックからの逆手ハンドジャムで切り抜けた。この部分、ちょっとランナウト。ここまでで5.11cはあるかな。ハンドジャムで大レスト、カムを固め取り。

 さて、ここからがこのルートの本番。クラックが途切れて次のクラックへ移る。岩がブロック状に飛び出ていて傾斜をもろに食らう中、甘い左手シンハンドジャムからのグルーで固められたサイドカチへのデッド。悪い!左手のジャム位置が少しでもずれると引きつけられない。さらにそこから左手でハンドジャムをきめてプロテクションを決めるまでも一苦労。緑エイリアンが何とか効いた。

 ここから、さらに左のアメジスト・レフトクラックに移るのがもう1つの核心、右の脆いフィンガークラックにジャムをきめ、左手を伸ばす。当初リップのガバへのランジで解決したけど、スタティックに行けることに気付いたので、以降はそちらのムーブを採用。最後はパンプしていると辛いマントル。カムは足下の緑エイリアン1つだけでランナウトしているので、メンタルにくる。

 こちらも1便でムーブは、ぼやっと作れた。タイプは違うムーブ系だけど、明らかにセンチュリーより難しい。この日はさらに2便出し、ワンテンまで。

 この日は川上さんがセンチュリーを無事RP。

傾斜110°?

(2日目)

 色々あって2週間後、寒さが一段ときつくなる中、川上さんにお願いして、再びアメジストへ。アメジストで初めて他のパーティに遭遇。

 寒さで手がかじかみ、核心最中の左手ハンドジャムを良い位置に決められず2回落ちたけど、3便目で何とか詰め切って完登。他のパーティも1名完登していた。

他のパーティの人のトライ

 この日一緒にトライしてくれた川上さんも、私も、体感グレードは5.12c位。その日完登した別パーティの人も5.12のどこかと話していて、5.13の厳しさは感じず。ムーブが違うのかもしれない。上部は岩が少々脆く、核心最中の右手フィンガーがざらざらしていて不安定、マントルの最後のガバホールドもトライ中に剥がれてしまった(少し難しくなってしまいました、すみません)ので、その辺りが影響しているのかも。

 グレードはさておき、岩が美しくて、ムーブも面白いクラックで、こちらもお勧め。

 この日、あまりに寒かったので、ビレイに付き合ってくれた川上さんに「何かやりたいルートある?」と聞いたら「スコーピオン5.12b」という答えが返ってきたので、翌日に向け、南下。そして触ることになったのが次のルート。

【3本目:タランピオン5.13a @城ケ崎浮山橋】

(1日目(実際は2日目))

 このルートは2シーズン前にスコーピオンを完登した直後に触り、あまりのムーブの悪さに封印していた。浮山橋で他にトライしたいルートがなかったので、再トライ。

正面からでは傾斜が伝わらない

 このルート、名前の通り、タランチュラの下部を経由してスコーピオンの核心をこなす。核心は下部のタランチュラ部分で、一言で表すなら「天井レイバック」。パワーと身体張力命、シワにスメアした足が抜けないことを祈りながら、ムーブを起こしていく。そして、核心の一連のパワームーブに入る手前も、右手フィンガージャムからの左手アンダーを取るムーブが悪い。

【写真10】天井レイバックするレジェンドAさん

 プロテクションセットも、非常に重要。核心は息つく暇もなくフルパワームーブが続き、スコーピオンのさかさまレストポイントに入るまで、全くプロテクションセットの隙はない。クラックはずっと細いので、小さなプロテクションで、かなりのランナウトに耐えないといけない。私は最初のレストポイントから緑と青エイリアンをセット、一度地面までクライムダウンしてから、再度トライする方法を採用。城ケ崎のカムセットあるあるで、傾斜の強い細いパラレルクラックは、ちゃんとセットしたと思っていても吹っ飛ぶことがあり、今回も1度片方吹っ飛んで、固め取りに救われた。(吉田氏ブログが参考になるので関心ある人は熟読を勧めます。)

 初日は、以前できなったムーブが起こせたので、珍しく乾いていることもあり、継続することに。ついでにスコーピオンを再トライ、前半の核心でテンションかけてしまったけど、やっぱり素晴らしいルートで、何度登っても楽しい!


足が切れたら負け。RPトライ時は最後2つのプロテクションはない(Aさん撮影)

(2日目)

 この日は、スコーピオンに王手のかかった川上さんに加え、レジェンドAさんも参戦。Aさんの年齢を感じさせないパワーに脱帽。私は核心最後の右手リップ取りの後を、手数の少ないタランチュラくるりんぱムーブに変更。腕のパワーは抑えられるものの、カム足下で体を反時計回りに回転させて足を先行させる恐怖のムーブで、落ちると頭で壁に人間除夜の鐘、絶対落ちられない。川上さんは最後のクリップで粘りに粘って、スコーピオンを完登、おめでとう。Aさん曰く、初登者が、5.12aあるか不安になって、ガバの右側でムーブ起こさないとクリップできない位置に終了点を設定したんだそうな。今の感覚だと、ガバまでで、十分5.12a以上あるように思う。

この日、ワンテンまで持ち込むも、核心の一連のムーブは、通しでは一度も成功せず。

コウモリレストを堪能する川上さん

(3日目)

 トライが形になってくるも、核心の左手アンダー寄せが止まらず、吹っ飛び続けて終了。ビレイの川上さんはマリオネット5.12aに手を出して、いい感じのようだ。アストロドームと浮山橋は片道10分位なので、互いにビレイできるのでよかった。

(4日目)

 初便でついに、核心の左手アンダーが止まった!と思ったらその後足が切れて落ちてしまった。気を抜いているつもりはないのだけど、ちょっとでも力加減が弱まると容赦なく足が抜けてしまう。2便目は左手アンダーの前にセーブしすぎて足が切れた。やっぱり出し惜しみはなしだ。恐怖に打ち勝つため、絶叫を解禁、人生で初めて気合注入のためだけに寒いのに上裸になる。次の3,4便目は、核心最後のリップ取りまで行くも、力尽きて大フォール。日没直前の5便目、ついにリップを捉えた!余力は少しある。意を決して、くるりんぱムーブに入る。怖くて絶叫。足がレストポイントに入った!ここからは勝手知ったるスコーピオンロード。慎重に腕を回復させつつ、完登。痺れた!

 体感、今まで登ったトラッドで一番難しく、労力的に5.13aに感じた。ムーブ系なので、グレードの感じ方には幅がありそう。

この日は川上さんもマリオネット完登で絶好調、おめでとう。

【4本目:タランチュラ5.13a @城ケ崎浮山橋】

(1日目)

 実は、今シーズンのタランピオン初日に、タランチュラオリジナルの部分を触るも、よくわからずプロテクションも悪めだったので封印していた。せっかくタランピオン登ったので、覚えているうちにタランチュラもやっちまおうということで、早々にタランピオンを完登していたAさんとトライ。1便目で上部を探ると、絶妙なアンダークリングで抜けられることが判明、しかし落ちるとハングの際にぶつかりそうで怖い。2便目で体にしみついた下部核心を越え、余裕をもってチュラオリジナル部分に入るも、最後、潮でツルツルの部分に雑スメアしてしまい、スリップで落ちてしまった。その次の便では、既によれていて下部をぎりぎり突破、後半は落ち着いてRP。Aさんは間隔空いて核心ムーブを忘れてしまっていて、怒濤の7トライするも下部を詰め切れず、翌日完登したそうな。

理不尽な傾斜

 労力的にはタランピオンと差を感じず。タランチュラの方がパワーは要らないけど、繊細さとメンタルが問われる感じ。ライン的は、タランチュラがオリジナルルート。トポでは5.12dと書いてあるけど、そんなに甘くなく、これより簡単な5.13aはたくさんあると思う。私は故杉野氏のHP同様、5.13aに感じた。

 なお、終了点はなく、近くの灌木も枯れているので、両手離せる部分で終了とし、エイドダウンで回収した。

 そんなこんなで今冬は、本数は少ないけど、濃厚なトラッドを堪能できた。来シーズンは、何やろうかな・・・

難しいトラッドを登る上で重要なものは何か。基礎となるジャム筋やフェース力のフィジカル、的確なプロテクションセットや安全評価の技術、プロテクションやコンディションの悪さにめげないメンタルなど色々な要素があると思うけど、個人的には、ルートに付き合ってくれる仲間の存在がとても重要なんじゃないかと思う今この頃。付き合ってくれた主に川上さん、Aさん他皆様、ありがとうございました。

名張(香落渓)遠征

2020/11/21~23
河合(記)、小池(記)、山崎(記)齊藤、玉置、船戸、山口、他1

有志で名張遠征行ってきました。

それぞれの視点で記録しておきます。

(割り振り忘れたので被ってるところありますがご容赦を)

(総括:河合)

10月のある日、山口さんから「名張行きませんか?」とLINE。長くてジャミング必要なクラックがいっぱいあるらしい!二つ返事で、「行きたいです!」と返信。その後、あれよあれよという間に8人も物好きが集まった。

11/20

22時半都内某所で山口さんと合流し途中で小池さんをピック。首都高の分岐間違えたり、東名集中工事渋滞でげんなりしつつ夜通し交代運転。朝6時頃に近くのローソンに着いた。恐ろしく眠い。

7時まで仮眠してから、山崎号と合流、一路名張へ。どこかの道の駅で寝坊した船戸号(船戸さん+玉置夫妻)はメッセージだけ残して置いていくことに。薄情也。

初日は河合、山崎さん、齊藤さんは屏風岩、他は第一岩壁へ。

渡渉が冷たいし滑る。沢靴とネオプレーンソックスとストック持ってくれば良かった。

前日雨降ったらしく、岩は下の方が湿気ていたけど、すぐ乾きそうだったし、まぁ登れるだろうということで登攀開始。

【1本目:マシュマロマン5.10a】

湿気てるけど、左端の綺麗に割れたクラック!う~ん、これ、フィストじゃ済まなくない?離陸して暫くすると、やはりスカスカ、アームバー発動。途中からは右のコーナーフィンガー使えるようになって楽になったけど、思わず本気になってパンプ。OS。手のサイズ大きい人には簡単かもしれないけど、手の小さな私には5.10b/c位に感じた。少なくとも10aじゃ厳しいよ~でも、1本目から充実のいいルート!

齊藤さんは出だしでスリップ(リードじゃなくてよかった…)、後はさくさくとTRで登っていた。山崎さんも登れそう。

マシュマロマン5.10aをリードする山崎さん。右端はパンドラ5.11a

【2本目:パンドラ5.11a】

レベルアップして手頃そうなイレブンに挑戦。マシュマロマン隣のパンドラ5.11aは、下から見上げたら核心っぽいのが見え、綺麗だったので早速トライ。出だしはあまりに快適なハンド、と思ったら突然悪くなって核心に突入。固め取りして突っ込みかけるも、苦戦するうちにパンプ、落ちそうになったので一旦レストポイントまでクライムダウン。呼吸整えて、今度は落ち着いて一連のムーブをこなして一服。上部はよく覚えてないけど何とかなってOS。体感5.11aか5.11a/b位の気持ちいルートでした。

【3本目:モスラパワー5.11c】

今回は、このルートのオンサイトトライが主目的。2本アップして体も温まったし、早速トライ。

出だしから細い。落ち着いてフィンガーサイズのカムを決めて、コーナークラックへ。足技ないのでコーナー奥でフィンガーロック、フットジャム正対力づくでねじ伏せ、シンハンドへ。が、ジャミングが効かない・・・一度クライムダウン試みるも、回復しない・・・「舐めんなよ~!」とシャウトするも、シンハンドのリトライで落とされてしまった。ぶら下がってみたら、ちゃんと左フェースにホールドあるではないか・・・無念。上部のテラスから先のシンハンド~オフフィンガーも悪くて侮れない感じ。そして長い! 70mロープで、ビレイヤーに取付まで来てもらいギリギリロアーダウンできた。メーカーによってはロアーダウン無理かも。70mロープでトライする方はくれぐれも気を付けて。

モスラパワー5.11cをオンサイトトライする河合。この後落ちた

この日は眠くて4本目を出す気力なく、ここまで。山崎さんはマシュマロマン5.10aをきっちりRP、齊藤さんもPPしていた。おめでとうございます。

(ここまで河合)

有名なエリアがいくつかあるが、それぞれアプローチが違う。山口さんと私は、3日間通して 第一岸壁エリア集中にした。

噂に聞いていた通り第一核心は渡渉 水量も多くはなく、流れは緩やかなものの、太股あたりまで水がくるので、裾の濡れやパンいち渡渉が気にならない人以外は、ウェーダーで渡ったほうがらくでしょう。持って行ってよかった。

第一岩壁への渡渉

ローカルルールに従って、渡渉点から奥に入ったところへ黄色の旗を設置し、ウェーダー残置、第一岸壁エリアはここから河原を少し歩いてから顕著な踏み跡をたどり15分ほど登ったところ。

黄色いタオルをかけておきます

初日「直登」10a15m 楽ちんかと思いきや後半 抜け口に微妙なサイズのOWが ここを上がったテラスからさらに上にのびる「サブマリン」10a25m 気持ちのよいハンドとスクイズチムニーのハング超え チキンウィングやニーバーがよく効き変化があって楽しい。テラスを横移動して降り、スネークマンテラスから、山口さんは「スネークマン」5.11a32mにトライ。すっきりとまっすぐにのびるクラックながら、サイズが悪いようで苦戦していた。暗くなってきたので撤収 この時期の日の短さが恨めしい。スーパーに寄り、つまみと行動食を買い出し後、定食屋「名張程満月」で夕食後、泊地に移動してテントで乾杯。
(ここまで小池)

キャンプ場

今回は、三重県名張市郊外にあるクラック天国、香落渓に遠征しました。

11月20日の夜遅くに3台に分かれて東京を出て、交代で運転しながら現地に着いたのが早朝。距離にして400kmほどの大移動でした。眠気を引きずりながら、初日と2日目はいくつかのエリアがある中で、屛風岩と第一岸壁に数人ずつ分かれて行き、最終日は全員で第一岸壁に行きました。

まず初日、我々の行く手を青蓮寺川が阻み、早くも岩場は簡単には我々を近づけさせません。事前情報では渡渉があることは知っていましたが、飛び石伝いに何とかなるのではと思っていましたが、ガチの渡渉でした。そこそこ深いし滑るし流れ速いし水冷たいし。パンイチになったり膝上までズボンを捲ったりウェーダーを使ったりして渡河しました。この時期はウェーダーがあると便利です。また、黄色いタオルを車の所と渡渉したところに掲げておくローカルルールがありますので、その通りにします。

さて、河合、斎藤、山崎は屛風岩に、山口、小池、玉置夫妻、船戸は第一岸壁に向かいました。

屛風岩ですが、渡渉後急登僅かで岩場基部に到着。日当たりがなく、前日降ったようで基部は濡れておりコケコケしていました。見上げると素敵なクラックが広がっていました。

下はコケコケしている

まず、アップがてら「名張入門 5.9」を登りますが、いきなりのワイドぎみで、アップどころかアップアップとなり手荒い歓迎を受けました。その横の「Crackbaby 5.7」は優しくお出迎えなるも、次に触った「マシュマロマン 10a」がこれまた手荒い歓迎。一直線に30mくらいに伸びたすばらしい綺麗なクラックですが、クラックの両側にはスタンスはなく、手足ジャムをしっかり決めないと登れません。ここ香落渓クラック群は、そのようなクラックがほとんどのようで、ごまかしが効きません。出だしフィンガーからだんだんと幅広くなり、核心はフィストよりやや広いサイズ。カムも#4を3個使いました。初日はお疲れ気味のため多くは登りませんでしたが、魅力的なルートがたくさんありました。

マシュマロマン 10a 25m

瑞牆クラッカー河合さんOS、山崎2便目でなんとかRP、斎藤さんも2便目ピンクポイント。一直線に伸びた素晴らしいクラックです。これが10aとは名張厳しい。

名張入門 5.9

まずはアップと思いきやとんでもない。入門させてもらえませんでした。

名張入門5.9をトライする山崎さん

パンドラ 11a 22m

瑞牆クラッカー河合さん OS。さすがです。

モスラパワー 11c 38m

調子に乗った河合さん、さすがに苦戦しましたが、瑞牆クラッカーを「なめんじゃねー!」の気迫で翌日ゲット。

初日はこれにて終了。第一岸壁組は、遅くまで頑張ったようです。

宿泊は、近くのキャンプ場。ご飯は、名張市内からそう遠くないので、外食で済ませ、早く寝て翌日に備えました。

(ここまで山崎)

11/22

この日は玉置夫妻と船戸さんと屏風岩。もちろん河合はモスラパワー狙い。

【4本目:Baby Crack 5.7】

オールバチ効きジャミング。短くて10mないと思う。FL。カム2個は決めたような。

左がBaby Crack

【5本目:名張入門5.9】

ナバラーの方に「右クラック限定で登ると5.10a位になって楽しいよ」と教えていただいたので、その通り登ってみた。結構ムズくて、ワンポイントならマシュマロマンより悪い。FL。体感、右クラック限定で体感ワイド5.10aかな。玉置さんは大分気合入れて魂のランナウトも完登ならず。このルート、今ツアーでトライした5/6名が撃退された。名張恐るべし・・・

【モスラパワー5.11c続き】

アップ終わったので、早速RPを期して頑張ってみるも、フィンガージャムきめて休む場所にカム入れてしまいレストできず、最後1mで落ちてがっくし。その後、もう一便出すも、下部でもうヨレヨレ、ギリギリ。でも上部はもう慣れたしジャミングでごまかせるので余裕を持って登れた。体感、下部5.11b/cと上部5.11bで合わせて5.11dかな。途中テラスで完全に休めるので、そこでグレードはリセットかなとも思うけど、労力面で確実に11+はあると感じた。変化に富んで、最後まで気の抜けない素晴らしいルート!

本日はこの4便で終了。ナバラーのIさん、Iさん夫妻にお勧めルートなど色々教えていただきました。ナバラーの皆さん大変親切で、我々ビジターにはありがたかったです。ありがとうございました。

この日は伊賀牛の焼肉。天国也。船戸さんはこの日離脱。

(ここまで河合)

2日目は、踏み跡をのぼり、これなんテラスから、「コレナンデスカ」10a 23m 快適なフィスト〜ハンド 上部がハングしており、抜け口でちょっとあったフェイスムーブをさがしてごにょごにょやっていたら落ちた。でもガバが見つかってみれば癒し系でした。山口さんはもちろんオンサイト。そのあと、下へおりて、下からスネークマンテラスへあがり、「スネーク」やろうということになるも、テラスへあがるまでのアプローチ、「でかいつらダイレクト」10Cの下部がとても悪い。そばにいたクライマーが、核心のフレークに0.5を決めておかないとグランドしますよ と、抜けやすい場所まで教えてくれてありがたかった が、山口さんが登ってみると、0.5がぽろりと外れてしまった。やな予感した、とのことで固めていたもう1本で止まったが、カム抜け目撃がトラウマになっている私はおののいた。みんな気をつけよう、「でかいつら」。核心フレークの手をかける、角のところです。ようやくよじ登ったスネークテラスから、懸案の「スネーク」山口さんトライのあと、私もトップロープで触らせてもらうも、手も足もきまらない微妙なサイズが連続し、カムエイドを繰り返してやっとトップアウトするていたらくだった。でもまっすぐで、とても美しいクラック。こんどは、ちゃんと登れるようになりたい。この日も、結局、陰るまでスネークマンテラス。山口さんは隣のプルトニウムをトライ。屏風組は、河合さんが結果を出しており、お祝いに「伊賀牛奥田」で、極上の焼肉を食す 美味しさにうっとり。河合さんごちそうさまです。テント宴会も、はなやいだ雰囲気に。

(ここまで小池)

2日目は、第一岸壁組が山口、小池、斎藤、山崎。屛風岩組が、河合、玉置夫妻、船戸に分かれました。

 渡渉は、第一岸壁の方が優しかったです。もちろん膝上でしたが。

第一岸壁も素晴らしいクラック群が目の前に現れました。しかも長い。

直登 10a 15m

上部のワイド部分が厳しいです。

写真9 スネークマン 11a 32m

素晴らしいの一言に尽きる。名張を代表するルート。最後がフェースでランナウトするが、そこまでいろいろなサイズのジャミングが要求され、足もサイドフェース面を使えずごまかしが効かない。TR張ってジャミングの練習に良いです。河合さんのみOS。ところがこのルート、取り付きまで行くのが一苦労でした。

美しいクラックのスネークマン5.11a

コンドウサン 10c 30m

山口さん渾身のOS。

プルトニウム 10c 17m

名前からしてヤバいが内容もヤバい。ナバラー曰く、垂壁のワイドでは最難とか。河合、山口がトライするもRPならず。何でこれが10c?

これなんですか 10a 23m

出だしフィンガー、一部フィスト、あとはバチ効きハンド主体の薄被りのルート。癒されました。

皆さん、他にも思い思いにいろいろなルートを登りました。

(ここまで山崎、11/22,23日分まとめて)

これなんですか5.10aをフラッシュする山崎さん

11/23

最終日は、皆で第一岩壁。山口さん小池さんペアは3日連続だそうな。

【6本目:でかいつらダイレクト下部5.10c】

本日の目的はスネークマン5.11a。ということで、辿り着くために、アップがてらこのルートの下部をやることに。山口さんから「悪いよ~」と聞いてはいたものの、心の片隅では「10cだし、落ちないっしょ」でも取りついてみて、思いました。「ごめんなさい。」突然ヨセミテのピトンスカーみたいなカムの効かないオフフィンガー。うげー。4回か5回くらい探ってはプロテクションセットに絶望してクライムダウン。ダメ元でセットするもはじけ飛ぶ黒エイリアン。山崎さんから0.4/0.5オフセットカム借りて、やっとプロテクション信じられたのでスタート。ボルダームーブ起こしてスネークマンテラスへ。OS。ワンポイントだけど、10台のムーブにしてはえぐかった。体感5.10d。

でかいつらダイレクト下部5.10cをオンサイトする河合

【7本目:スネークマン5.11a】

このルートは、ナバラーの方にも、既にトライしていた山口さんにもお勧めされたので楽しみにしていた。とにかく綺麗なストレートクラック、トポを見る限り最後はクラックが無くなるらしくて、おっかないなぁ。齊藤さんにビレイに上がってきてもらった。

早速トライ。タイトハンドから始まる。シンハンドもあったけど要所でハンドがばっちし決まって、快適そのもの。中間のオフフィンガー部分が核心か。タイプの似ているモスラパワー上部に比べれば大分マイルド。最後のフェース部分はムーブに悩んだけど、落ち着いて探せば手も足もホールドあり、プロテクションも多少ランナウトするけど問題なし。気持ちよくOSできた。体感は5.11aぴったし、イレブンのムーブはないけど、持久系で腕が張って気持ちいい!アプローチの、でかいつらダイレクト下部のムーブの方がワンポイントでは多分悪いです。

【8本目:プルトニュウム5.10c】

前日、ナバラーのIさんに「ワイドなら」とお勧めしてもらったのでトライ。トポによると「核融合の気分が味わえる」らしい。意味がわからない。丁度コンドーサン5.10cの取付に山口さん小池さんペアがいたので、ロープフィックスしてもらって、また齊藤さんに付き合ってもらって、ユマーリング+少々クライミングで取付へ。

まず出だしのトラバースが怖い。そして、クラックに入ってからの5mが、このルートの核心。出だし5番からの、6番サイズ。とにかくサイズが悪く、たまらずテンション。右差し根性アームバーと足技でじわじわ上がって、力尽きてを繰り返す。核融合できない。後で思い返せば、リービテーション(使えるのか?)と、外足スタックをもっと活用するべきだった。途中から癒しのカチが出現し外足ヒール&トウも決まる10aクラスのワイドになった。最後はチムニーサイズのランナウト。1本で呻き声連発、充実(ゲ〇ゲ〇)の素晴らしい(〇獄の)真っ向勝負ワイドだった。次は技、根性そして何よりワイドへの愛を身につけて再挑戦したい。多分、愛がないと核融合できないんだと思う…なんか、〇態と誤解されそうな気がしてきたので、これくらいに。

グレード5.10cは、辛い!同じグレードで登ったことのある小川山の完全なる酒乱5.10cと比べると、2グレード以上の差を感じた。名張恐るべし。

【9本目:これなんですか5.10a】

プルトニュウム5.10cをもう1度トライしたかったけど時間なかったので、山崎さんと最後に1本ワークアウト。名張にしては珍しくかぶったルート。出だしはワイド気味。核心のハンドは傾斜があるけど、キャンパで行けそうな位気持ちよくジャミングが決まる。さくっとOS。体感5.10a/b。山崎さんもきっちりFLで嬉しそうだった。

この日は15時過ぎに早めに撤収。7時間運転で帰宅。

(河合)

 3日目は、「花」5.10a20mをやりたく、モモンガテラスにのぼる。しかしこのアプローチも悪かった。マルチルートの「サキサカ」1P目、5.10a続く2段のOW、(カム4番から5番くらい?)のほうがずっとマシでした。テラスから「花」5.10a20m 平行にまっすぐのびる2列を使って登る、とても気持ちのよいクラック 楽しくのぼるも、クラックが切れテラスにあがる、少しのトラバースに緊張。となりの段へおりて、「コンドーさん」5.10c30m まっすぐキレイなフィスト連続、3番が6個くらいあるとよい感じ。かなり奥に手足をつっこむので、手首がキズだらけになります。フィスト練習にはぴったり。足もクラック外で拾えるところがないため、ジャミングのいいトレーニングに。この日登ったルートすべて、山口さんオンサイト、おめでとうございます 3日間通しで第一岸壁エリアの10aすべて登り、全部オンサイト。お見事でした。私も恐怖を克服してちゃんと登れるように精進してまいります。ありがとうございました。

(小池)

(感想:河合)

・ルートが長い!1ルート登る労力が通常の2本分。特にオンサイトトライはカムが重い!

・ジャミング確実にきめないと登れない(疲れる)ルートが多いので、通えればジャミング上手くなりそう!ヨセミテに通じる!

・次はいかさま師5.12bをトライしたい。核融合も果たしたいです。誰か行きませんか~

(感想:小池)

名張はすばらしい岩場です。

クラックはすっきりとまっすぐ、長いルートもあり、80mロープがいるところも。おのずと、カムはたくさんいります 同サイズが多くいる場合も。クラックが走る壁のまわりはつるつるであったりするため、ジャミングを決めて登るしかない。通えば強くなろうというものです。そして、首都圏からは遠いです。やはりここは特別な場所。地元のナバラーの皆さんの努力で 環境を大切に保たれていることをひしひしと感じました。感謝です。また行きたい!

(感想:山崎)

慌ただしい3日間でしたが、今回、名張に来て感じたことは、とにかく素晴らしい岩場の一言に尽きます。また、名張を愛するナバラーと呼ばれる人たちの岩場に対する思いが随所に感じられ、彼らに敬意を表するとともに、なぜナバラーは強いと言われるのかわかりました。また名張を訪れたいと思います。

(その他情報:小池)

泊地:景勝地でもあり、キャンプ場が無難。第一/サニーサイド渡渉点から車で数分の 香落渓 紅葉谷 にテン泊しました 1000円/一人一泊 車で入れる土と芝の平坦地キャンプ場 水場(雨水?)炊事場(シンク)トイレあり

エリア一帯、携帯の電波がまるではいりません。試していないけど、エリアでばらけるときなど、無線があると良いかもしれないと思いました

立山東尾根

2021年10月2~3日
齊藤(記)、中和

雪山の足慣らしに立山でも…
そう計画をして立てた雄山東尾根。
正直舐めてました…。こんなにもキツイとは(笑)
雪山は雪の状況によって難度が変わるのは判っては居ました。
出発日の朝の大町は雪予報。翌日は晴れになって居たので、土曜日の午後には晴れるだろうと安易な気持ちでいた…

 

金曜日夜にパートナと合流して扇沢へ。
大町あたりから雨が降ってきたが、気温は高く7度
ホントに雪かな? 黒部平辺りで雨だと雨の中歩くのは危険だなぁと話し合いながら就寝。
朝起きると扇沢でも見事な銀世界となって居ました。

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【扇沢も降雪であった】

これで濡れずに歩けると2人とも降雪に歓喜する。
始発のバスで黒部湖へ。 黒部湖は扇沢以上の降雪で既に雪一面といった感じ。

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【黒部湖もたくさんの降雪が見られた】

わくわくしながらケーブルカーを使って目的地の黒部平へ向かう。
黒部平の園地は、吹雪の様相となって居た…

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【黒部平は吹雪の様相(笑)】

丁度、同じルートを計画をしていた友人パーティに出会う。彼らは天候悪化とラッセルなどを考慮して奥大日に変更したとのこと。その彼らに見送られながら黒部平を出発した。
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【歩き始めからラッセル】

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【この辺はまだまだ久しぶりの雪景色に歓喜をしてた(笑)】

当然のことながら、トレースは無い。出だしからくるぶしラッセルである。
この尾根は、近所にゴンドラの電線がある為、その点検道が続いている。
快適な道を歩いていく。途中から電線は大観峰の方に向かう為、道も当然そっちの方に向かっていくが、だんだんと目指す主稜線から離れていく。藪の切れ間を狙っていこうかと話をするが、何か決定的な目印が欲しい為もう少し歩くがいい加減離れていくのも明確になってきた頃に手頃なルンゼが出てきたのでここを登攀する事にした。

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【適当なルンゼを登る】

遥か上部には尾根が見えている。

尾根を目指しルンゼを上がるが、中間地点から悪くなる。
1枚岩があり良い感じのスラブ岩である。自分は何とか超える事が出来たが、パートナは断念。
左から何とか合流する。その後、尾根を目指し左上をしていく。

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【かなりの斜面ではあるが、なぜか嬉しそうなNさん(笑)】

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【ジャンクションピーク辺り。この辺がやばかった】

何とか尾根に取付くことが出来た。尾根には、なんか手掛かりや薄い登山道でもあるかと思ったが、全く無く藪一面であった…。考えが甘かったと改めて痛感した。

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【トレースがあれば快適な登り?】

ここからは藪漕ぎをしながらラッセルを行っていく。
この頃には、天気は吹雪となっており、降雪も激しく腰ラッセルの箇所も出てきていた。

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【ラッセル祭り全開中。どこを通っても胸ラッセル状態💦 】

藪をわけわけ登っていくと岩峰が出てくる。右も左もあまり良い感じではない。
岩の割れ目から生えている草を手掛かりにムーブを起こし何とか突破。後続のパートナは苦戦💦。一段降りてそこから登りなおして何とか突破した。ちょうど2350-2400mのポイントであった。
この辺から森林限界になって来るためハイマツも出てくる。
藪漕ぎが無くなったので歩きやすくなったかというと今度は降雪が行く手を遮る。
ある程度傾斜があるところは良いが平らな所は雪が溜り、腰ラッセルである。
登攀が苦手なパートナには、平地でのラッセルをお願いして登攀系のルートの時には、平地でのパワーが出ない自分が先頭に立ちとお互い役割分担をしながら進んで行く。
今日中に、何とかP2783まで目指したいが、この状況だと厳しい。
16時を時間期限として良テン場を探しながら進んで行く。P2640に何とか張れそうなポイントを見つけた為、この日はここで幕営とした。

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【今日はここは越える事ができないとビバーク決定地】

雪は朝からずっと降り続いていて、テン場についても降っていた。寝る前に再度除雪を行い就寝とした。
2人とも完全に舐めてた為、夜はかなり冷えて寒かった。寒さもだが、トイレに行きたかったが、トイレに行くのも面倒だし寒いし雪だらけになる為、朝まで我慢の夜が続いた。

 

翌朝起きると直ぐにトイレに向かう。雪は止んで、ガスも晴れているが上空にはまだ重たい雲があった。

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【翌朝。ガスは晴れたが雲がかかっていた】

今日は曇りの一日なのか?そう話ながら準備を進める。空も明るくなってきた頃にテントを撤収して出発をする。

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【今日もラッセルやる気満々のNさん】

現在の標高が2650m弱 目指すピークは3000m。350m程度上げる計算にはなるが、昨日よりも雪が多いことなどを考えると一刻の猶予も許されない状況であった。15:15には最終バスが出てしまう為、15時までには、室堂に着きたいその為には、13時までにはトップアウトをしないといけない。7時間弱しか行動時間が無い。
焦っても雪が無くなる訳はなく、眼前にはたっぷりと新雪が積まれており、胸ラッセルも上等!であったが、ご来光およびモルゲンロートに光る立山はとても美しく足を止めてカメラのシャッターを押さずには居られなかった。

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【朝日が立山を照らし始める。贅沢な時間の始まりだ】

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【モルゲンロート】

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【ご来光】

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【贅沢な時間に苦しさも忘れた一時】

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【モルゲンロート2】

当初テン場予定であった、P2786に到着。ここからは下りも少しずつ入ってくる。
怪我で下りに不安を抱えるパートナは下りは慎重に。見ているこちらもひやひやである。
1つ目の大きな下りを越え、先頭を交代。私が先行して2つ目のギャップを超える。
これを超えると後は雷電峰へのひたすら登りとなる。

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【贅沢な時間が終わり再び苦しい時間へ(笑)】

ここまでは、腰上ラッセルがデフォルトで、1時間に50mを上がらないペースであったが、この辺からは少しずつ雪も締まってきてまた、風もあたるところになってきたので雪も飛び出しておりハイマツも所々顔を出して来た。そうなればこっちのもの! 両手両足を使い登っていく。
片手にピッケルを埋め、片手は雪の中に手を突っ込み、アイゼンを効かせながら快調に高度を稼いでいく。
サイコーに気持ちの良い瞬間である。

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【通ってきた道を振り返る】

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【トレースがしっかりと見て取れる】

雪壁を登り終えると、岩峰が出てくる。
岩峰群を適当に登るとピークに着く。雷電峰である。ピークには標柱跡らしきものがあるが標識など何も無かった。

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【雷電峰直下 雄山の社と神社が見て取れる】

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【雷電峰と雄山】
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【時間があったら行こうかなんて話してた龍王岳とNさん】

 

パートナとがっちり握手を交わし、雄山までの残りの道を進む。
現在10:15 何とか昼前に抜けれそうだ。雄山までの登りは今までとは全く異なりラッセルもほとんどなくあってもくるぶし程度のものとなり快適なものであった。上部に人工物らしきものが見える。
そう。登山道の道標である。あそこまで行けば終わる。と最後の力を振り絞り登る。
そしてようやく道標のロープを越え登山道へたどり着く。終わった…。

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【そして登山道。ついに帰宅できると確信した瞬間(笑)】

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【東尾根上部。雷電峰までがキツカッタ】

パートナとがっちり手を交わし無事に抜けられた事を祝う。そして雄山山頂社に行き雄山の山頂に向かう。
9月の終わりに取った鳥居は雪で埋もれていた。山頂の神社も半分ほど雪がついていた。

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【雄山社 スキーヤーがちらほら】

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【雄山神社】

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【9月に来たときはもちろん下をくぐれた鳥居。今は埋まっている】

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【Nさん】

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【筆者】

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【2人でがっちりと!サイコーの山行をありがとう!!!】

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【雄山から劒岳を望む】

なんとすがすがしい気分なんだろうか。眼下には2日間格闘してきた尾根が広がりそして今朝、先程自分たちがつけたトレースが深々と刻まれていた。あそこは大変だった。あそこも急登だったと先ほどまでの景色が脳裏に浮かぶ。
相方とがっちり肩を組み記念撮影を行い遠くに見える劒にあいさつをして社に戻る。ここでのんびり一本たてる。
後は一の越経由で下山をするだけである。今は丁度11時。遅くても13時には室堂に着くだろう。
何よりも帰宅が出来る目途がたったことが嬉しい。15時の終バスに間に合わなければ今日も室堂に泊まらないといけないかもと何回も何回も頭を過ったからだ。パートナは、まだ全快とまでは行っておらず下りに不安があるので、ゆっくり下山をするとのことで、一の越で待ち合わせとした。
一の越で再度出合い室堂に向かった。12:45 そして室堂に到着をした。

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【室堂に無事に到着】

装備を解除してアイゼンを外し13時のトロリーで帰路に着いた。大観峰からのロープウェイでは、昨日の道がくっきりと見え自分たちが通った道。登ったルンゼなどを確認をしながらの下山であった。こんなにも満足感のある山行はなかなか無かった。
本当にお疲れ様でした。2日間協力をして共に戦う。久しぶりの感覚であった。やはり雪山はサイコーである…。

 

改めて、こんなサイコーの山行を共にしてくれたパートナに感謝をしたい。

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【黒部平から。すべてはここから始まった(笑)】

瑞牆山十一面岩正面壁アレアレア、カンマンボロン太陽の登

河合(記)、川上

 

誰も記録書いてくれないので、また書きます。
誰か書いてよ~、山行ってる人・・・

このご時世、風邪引くと大変に面倒。PCR検査に始まり、陰性となっても自宅待機が続く。おかげで瑞牆ベストシーズンの10月をほぼ棒に振ってしまった。

やっとこ3週間ぶりにクライミングに出られたのが10/31。もう終盤戦だけど、川上さんを道連れにして駆け込み瑞牆。

10/31

さて、そろそろ互いに今年の瑞牆の心残りに区切りをつけないといけない。川上さんは蒼天攀路3p目5.12b、河合はアレアレア6p目5.12bと7p目5.11dに未練があったので、この週末は未練を断ち切ることにした。

 まずは、川上さんにとってRP目前の蒼天攀路3p目だ。朝イチで90分アプローチをこなしていつもの取付へ。川上さんがヌン掛けしている間にワンパーティやってきた。ご好意で2便連続で出させてもらえて、川上さんは無事RP!

後続パーティの蒼天攀路トライ。富士をバックに映えます

 さっさと退散して、次目指すは白クマのコル。久々にベルジュエール6p目の5.10a大フレークを登って軽くアプローチ兼アップして、狙うは7p目の5.11dピッチ。

 が、しかし、出だしの地ジャンランジが止まらない。この時期なのに日当たり良好、真昼間で少々ヌメったけど、それを抜きにしても、出した右手が振られに耐えられない。撃ちまくるも敢えなく敗退。川上さんも少し触るも、手応えなしとのこと。飛ばない手順もあれこれ考えたけど、無理。

過去触ったイレブンの中で圧倒的に再難。5.11fか5.11g?ホールド欠けた?出だし以外マイルドなのでボルダーグレードの方がわかりやすく、初段位か。アレアレアを完登する上で、最大の核心であることを認識。非常に悔しい。修行して出直しだ。

アレアレア7p目5.11d。出だし、何にもない

 さて、気を取り直して、次は6p目5.12b。前回ヌメりでクライミングにならなかったけど、今回はパリパリだ。怖いのでトップロープだけど、1便目でプロテクションもムーブも解決。しかし、出だしのプロテクションはやはり怖い。ハーケン+青エイリアン、ブラインドセットで効いてるか怪しい紫リンクカムを離陸前にセットしてからの、根性レイバック中に黒エイリアン×2。黒エイリアンのセットはフルパワー核心まっただ中なので、2つセットするのが非常に辛いけど、1個では怖い。バナナクラックの核心セットより辛いぞ。PDっしょ。レストポイントまで離陸から6手、プロテクションセットなければ気楽なんだけどなぁ。その後は11a位の、出だしに比べれば簡単なプロテクションちょっと怖いレイバック系フィンガーで快適。このルート、シビアなフィンガージャムは出だし核心の1手だけ。

 結局この日は3便出して、後少しトップロープで黒エイリアンのセット慣れたらリードで狙うかなという感じまで来たけど、7p目のランジを解決できないのにRPしても仕方ないので、今年のアレアレアは終了。ランジの修行して出直してきます。

アレアレア6p目5.12b。出だしはクラックというよりミゾ

11/1

 当初は2日目もアレアレアか蒼天攀路の予定だったけど、川上さんも河合も懸案に一区切りついたので、どうするよ~と相談。「やっぱマルチで〆じゃね」という謎の境地に(主に河合が)至ったせいで、太陽の登5.12cに決定。

1p目5.12a:河合リード

寒い。核心はスラブだ。あっさりと手順間違えフォール。いや、手順分かっていても無理。うっかり左の木に触ってしまった。他はムーブ解決。最後までに気の抜けない、見た目いまいちだけど内容の濃いピッチ。川上さんも大体解決して上がってきた。ビレイ点は風が強くてかなり寒い。

太陽の登1p目5.12a。相変わらず楽しそうに登る川上さん
紅葉は最盛期で、鮮やか!

2p目5.12a:川上リード

いよいよ風が強くなってきて辛い。出だしはジェットストリームみたいな横トラバースからのマントル。川上さんたまらずテンション、でもその後はさくさくと抜けていった。

 フォローしたら、1箇所目の核心っぽいところでライン取りミスって落ちてしまい、最後の核心にはしっかりとやられてしまった。でも、快適に右に左に弱点を突く、素晴らしいピッチだ。これは気持ちいい!ノーテンで行きたかったけど。

太陽の登2p目5.12a。出だしではまってしまった川上さん

3p目5.12c:河合リード

風がアホみたいに強くて発狂しそうだ。が、川上さんに無理行って行かせてもらうことに。出だしの左トラバースは明らかな核心、全然ホールドに手が届かない。ムーブもわからずテンション。思い切って飛んでみたら一発で止まった。ボルダー2級位か。アレアレアの地ジャンより、飛び先ガバなのでずっとマイルド。ただ、この先長そうで、ビレイヤー殺しの寒さだったので、今日はここで御終い。クライムダウンして2p目終了点まで戻って、懸垂下降。

その後は、2人で1p目5.12aをトライ。河合は2便目で木を触らないムーブを見つけ、3便目でRP。5.12aど真ん中か。川上さんは鬼のように連続トライするも詰め切れず宿題に。

11/8

 先週太陽の登が楽しかったので、今週もリベンジ。先週よりかなり暖かい。

1p目5.12a:川上リード

 今度は順番チェンジで川上さんから。調子が出ないみたいで、スラブに足が乗れていないのが遠めに分かる。やはりテンション。河合は自動化済でノーテンだったけど、朝イチスラブはしんどく、川上さんの気持ちがわかった。

太陽の登1p目5.12a。核心のゴミホールド達が見える

2p目5.12a:河合リード

 このピッチはリードが最高に気持ちいい!もう、天国!!適度にレストポイントがあり、まさにエンジョイクライミング!前回寒くてダッシュで登ったためかムーブは怪しかったけど、核心の手順は覚えていたので、何とか押し切りRP。瑞牆の今まで触った5.12aの中で一番易しく感じたけど、これより易しい5.12aはいくらでもあるので、やっぱり5.12aかな。川上さんは何回かテンションかかり、やはりまだ本調子ではなさそう。

太陽の登2p目5.12aをフォローする川上さん。すっきりしたフェース

3p目5.12c:川上リード

 核心ピッチは川上さんに任せた。前2ピッチ調子悪そうだったのでちょっと心配だったけど、調子出てきたようで、出だしの核心あっさり解決、テンションかけながらも、さくさく上に抜けていった。河合はフォローだったけど、ここまでノーテンだったし、本気スイッチオン。出だしのランジを気合で決め、クラックセクションも辛うじて越えて、レストポイントが見えた。これはノーテン行けるかと色気が出て、目の前に見えたボロいフレーク、剥がれそうな気配あったけど、下に人いないし、思わずガストンで体重かけてしまった・・・剥がれた・・・50cm×40cm×10cmの巨大フレークを剥がしてしまい、私も剥がれてフォール。岩は1p目終了点下部に着弾、取付にメテオが降り注いでしまった。大反省。川上さんはこの岩は触っていないらしく、どうやら登攀ラインから左に逃げ過ぎてボロいゾーンに入ってしまったようだ。ここはマルチなんだと、今さら再認識。

 せっかくなので周辺のボロい岩を、下に人いないので落としまくって掃除、気を取り直してフォロー継続。残りもかなり危なかったけどノーテンで行けた。あ~、悔しい。ずっと小悪いムーブが続く系で、体感5.12b。

太陽の登3p目5.12c。これまたすっきりしたフェース
隣のHappiest Youを登るパーティ。ビレイヤーの服装に注目!上裸!!

4p目5.10a:河合リード

 ボロいスラブ。迂闊に脆いフットホールドに乗ると容赦なく取れる。グレード以上に慎重さが求められるピッチ。脆いホールドを片っ端から掃除した後、意地で草付には触らずオンサイト。

5p目5.12a:河合リード→川上リード→河合リード

 密かにオンサイトを狙っていたけれど、出だしでムーブをミスって敢無く撃沈。ダメダメだ。適当にムーブ作って抜けた。スラフェースからのカンテ登りで、変化あって楽しいピッチ。

 ここで川上さんが覚醒!出だしのムーブを粘りに粘って押し切り、フラッシュ!河合も2便目で登れたけど、作業感は否めず、あっけなく落ちた1便目に後悔が残る。なぜ川上さんのように粘れなかったのか。もっと1便を大事にしないと。このピッチは2p目の5.12aよりもさらに易しく感じて、体感5.11d。

太陽の登5p目5.12a。まだまだ続くすっきりしたフェース

6p目5.7は省略、一度下で落ち着きたいし、川上さんが因縁の1p目5.12aと勝負付けたいこともあったので下降。

 その後、川上さんは1p目5.12aと更に2便戯れ、最後は「(裏切られる)右足を信じなくてもよいムーブを発見」してRPしていた。曰く「登れなかったらトラウマになるところでした」。

 河合は前から気なっていたJoker5.12cの下部、美しいクラックのショートサーキット5.11bにトライ。シンハンドとオフフィンガーに苦しめられるも、短いので押し切ってオンサイト。すぐさまフォローで回収したら全く違うムーブになった。

ショートサーキット5.11b。右にある立木で支点構築可

 太陽の登は、核心5.12cでワンテン入ってしまってワンプッシュ・ノーフォールフリーは達成できなかったけど、十分勝負できたのは収穫。オールボルトで気楽だし、グレードも瑞牆にしてはマイルド。すっきりした岩の、素晴らしいルートでした。

そんなこんなで、その後川上さんと予定が合わないこともあり、今シーズンの瑞牆を終了。今年も楽しませてもらいました。でも、突発的に暖かくなったら、まだ行くかも。

来年は、アレアレアのワンプッシュを目標に頑張ろう。待ってろよ、7p目・・・

瑞牆山フリーウェイ

2020.10/3
河合(記)、川上

9月は連休以外天気悪くて機会のなかったフリーウェイ、やっと週末に晴れ間が来たのでリベンジ。

今回はリードRPまで前進不可、フォローも落ちたらテラスからやり直し。つまり、リードもフォローも下から順にオールフリーで登らないとダメというルール。荷上げあり。

この日は夜から秀峰小川山集会だったけど、我々は完登するまでヘッデンでも粘る決意(少なくとも私は)。登れない限り酒には永久にたどり着かない・・・

宴会へ向けて落ちずに行くぞ~ということで、気合入れて7:55登攀開始

1p目5.10d リード:川上

今回はちゃんと寒くてフリクションあるぞ。川上さん危なげなくクリア。

未だかつてないほどパリパリの1p目

2p目5.11c リード:河合

前回酷い目にあったけど、今回はフリクションが来ていて問題なし。私は上部トラバースが下部より苦手だ。

 

3p目5.11b var. リード:川上

勝手に新スタンダートの5.11b var.経由。川上さんは2箇所目のトラバース地点で相当粘り1撃でRP、前回の雪辱を果たす。フォローしたら前回より大分楽に感じ、ラインとムーブわかれば11b易し目かも。荷上げの都合で、川上さんは手前の立木テラスでピッチ切ってました。ここまで40m位。

3p目残りⅢ級位 リード:河合

7m位斜め上に移動し、10cクラックの真下まで。

4p目 5.10c リード:河合

ここから先は1年ぶり。ワイドテイストなピッチで、4番2個あると心強い。問題なし。次の終了点はボロいので、カム0.4~1辺りで支点構築。

楽しそうにフォローする川上さん

5p目+6p目リンク 5.11a+5.10a リード:川上

出だしのカンテが悪い。川上さん遂にフォール!すぐさまやり直すも、かなりプルプルな感じでクリア。河合もフォローの出だし足滑ってフォール!すぐやり直してクリア。核心が最初の方でよかった。なお、この11aのピッチの終了点はハンギングビレイになるので、次の10aピッチもリンクした方が快適。リンクしてもロープ30m。

7p目 5.11a リード:河合

私の唯一RPできていないピッチ。1年ぶりに対面するも、出だしのスラフェースのマントルは相変わらず悪い。探りまくって意を決して発進するもフォール。2回目で突破。どうやら最適ムーブではなかったようだ。上部の10cスラブは、今回は問題なし。フォローの川上さんは11aマントル一発も、上部10cスラブで無念の不意落ち。もちろんロアーダウンでテラスからやり直し、次は突破。

8p目 Ⅲ級 リード:川上

 Ⅲ級となっているけど、出だしのワンムーブは5.9位あると思う。30m位ロープ出たところにある、残置のある立木でビレイ。

1年前に10cピッチの終了点に懸垂下降で残置したビナが、移動していた

後は台座の裏側から回り込んで、13:35に大面岩山頂に到着。

登攀5時間40分。

大面岩頂上の岩の上にて、川上さん

 [

同河合。背景真っ白

2回落ちたけど、やり直してオールフリーで終えることができて良かった。

コンディション良い時に登ると、こんなに快適なのか~というのが、正直な感想。

体力的にも余裕があり、ワイルド・アット・ホームや一刀への継続も視野に入って来た感じ。荷物絞って荷上げ無くせば、登攀時間も1時間は短縮できる?

けれど、今回は宴会が待っているのでさっさと下山。

下山時、いつも気になっていたボルダー課題、ジャイアンとパンダ3級のオンサイトを2人で決めた。この課題は高さがないのでノーマットでも怖くない。

小川山の宴会場には、瑞牆からなのに、まさかのクライミング組一番乗りだった。これで「ヘッデン野郎共」の汚名返上だな。翌日、川上さんは日没してからもスラブと闘って、すぐさまヘッデン野郎に戻っていたけど。あ、私もか。

フリーウェイはやっぱ5.11b var.経由がいいよね~というのは、川上さんとの共通した感想。

川上さん曰く「クラックからクラックを繋いでフリーで登る感じが、ヨセミテを感じさせる」そうで、私はヨセミテの切れたクラックは全て振り子トラバースで突破してきたのでよくわかんないけど、とにかくライン取りは素晴らしいです。

5.11b var.経由で途中リンクすれば5.10d→5.11c→5.11b→5.10c→5.11a→5.11a→Ⅲ級と、中だるみもなくなり、イレブンも4ピッチ稼げて、日本を代表するイレブンマルチ!!と思いました。お勧めです。

大面岩頂上からの、一瞬の絶景

笠ヶ岳 穴毛谷四ノ沢 ピナクル東南壁五月晴れ

日程:2020.9/20-22

参加者…山崎(記)、船戸

 

今回の主な登攀装備

60mダブルロープ×2、#01~5×2、#6、ヌンチャク。スリング、確保器、他

 

9月19日(土)

20時、都内某所集合。新穂高温泉駐車場。

 

9月20日(日) 曇り / 晴れ

7時15分 駐車場発 ~ 10時15分 四ノ沢出会い。

蒲田川左俣林道を行き、穴毛谷をやり過ごし、2本目の左に分かれる道に入る。直進すると弓折・双六方面。しばらく行くと穴毛谷に入り、堰堤を右岸に渡り、後は沢を左右に渡りながら穴毛谷を遡る。踏み跡などは全くなし。四ノ沢出会いには10時15分着。

林道分かれ道

穴毛谷

   四ノ沢出会。遠くに目指すピナクル。

出会 10時40分 ~ 二俣 11時10分 ~ テン場 13時30分

出会から四ノ沢を左俣と右俣に分ける二俣までは順調。二俣から左俣に入るが、その辺りから悪くなる。当日は雪渓あるも部分的に薄いようで、時々音を立てて崩壊していた。雪渓左端を進み、左俣に少し入ったとこで左岸に渡るが、この辺りは全体的にガレ場で、ほぼみんな浮石で動く。中には冷蔵庫大の岩も普通に動くので、極めて慎重に行動しなければならない。触れて動き出した岩が、轟音を立てて沢に落ちていく。

慎重に左俣を詰め、左岸側3本目の沢筋に入っていく。この辺で水を補給。支沢の急登を20分位で右側にトラバースしていくと、わずかなスペースのテン場に到着する。テン場は2人用1張り分しかなく少し斜めっている。二俣からテン場までが非常に悪く、神経をすり減らすので、大した行動時間でないのにとても疲れた。

  二俣付近。雪渓が現れる。岩はみんな浮いている。

  二俣付近。左俣に入ったところ。

 前方にそそられる第1岩峰が。

 

  テン場。眺めは最高。遠くに穂高が。

 

9月21日(月) 高曇りのち晴れ

基部ルンゼまでは、テン場からすぐそこ。そこからクライミング開始。

 

  ピナクル全景。赤線が登攀ライン。

1P目

7時30分開始 ~ ピナクル頭 13時50分

 

1P目 Ⅲ級 50メートル 船戸

テン場から登ってきてルンゼ状をそのまま登って行っても基部大テラスに出られるが、途中ロープを出し、右側のカンテ状を登る。簡単だがプロテクションを取るところがあまりない。カムを2つだったか決めて基部大テラスへ。正面をさらに一段上がったところの小灌木の根っこに新しい捨て縄があり、そこで切る。

 

2P目 Ⅳ ほぼ60m 船戸

1P目終了点すぐ上の草の生えた少し悪い凹角状を上がり、あとは右上方向にみえる3P目のダブルクラック下の木を目指して緩斜面を右上していく。古いハーケンが1つあったが、リードは無視し、岩やところどころにある節理にプロテクションを取りながら右上していく。滑る草付きやスラブ、脆い箇所もあるので慎重に行く。

 

2P目 ダブルクラック下の立木目指して緩やかに右上。

3P目 10a 35m 山崎

出だし滑りやすい草付きに注意しながら直上し小ハングを越え、ダブルクラックは左側のクラックを登る。垂直に立っており、遠くからだとわからなかったが、左側のクラックは、これまたダブルになっており、左側はワイド、右側は快適なハンドサイズ。ワイドクラック内は湿っており、足を滑らせ少々苦戦したが、右側はハンドバチ効きで快適。抜け口が草付きで滑り易く、少し悪いが慎重に上がる。終了点の太い立木でビレイ。残置スリングが巻き付けてある。体感10aか。

  3P目出だし。右上の小木にも残置スリングあり。帰りはそこを懸垂支点とした。


  3P目終了点の立木

 

4P目 5.7 40m 船戸

太い木から草付きを少し右上すると短いワイドクラック。ここで6番カムを使用。アームバーと膝を使ったりヒール&トゥで体を上げるが、すぐにガバがある。ワイドを抜けたところに大きな動く岩があるので注意する。この辺岩が不安定な状態。さらに気の抜けないいやらしい草付き岩稜帯をほぼ直上していくと木がありそこでビレイ。2本の捨て縄あり。

4P目。ここからは見えないが、右の木が生い茂っているところにワイドクラックがある。

 

5P目 10b 30m 山崎

最終ピッチ。少し左にいくと3つの割れ目が。トポでは真ん中を行くことになっているので、最初右から入り、真ん中のクラックに移ろうとするも乗り移れず。そのまま右のワイドクラックを直上する。右クラックはガバもあり容易。スタート点から少し下ったクラックの一番下からも取り付こうとしたがうまくいかず、結果こうなった。

脆い岩に注意しながら登ると、大岩に2本のスリング。すぐその先がピナクルてっぺんだが、ハイマツで足場が悪そうなので降りてきて2本スリングのところでビレイ。

 

  5P目の3本のクラック。五月晴れルートは真ん中を行く。一段降りて下から取り付こうとしたが、草が生えてて手を入れられず怖いので、サッサと右から抜けた。右は簡単。

  5P目ビレイ点から下。下に見える木が4P目の終了点。

   登ってきた壁。

帰りは各終了点にあった立木を使って、登ってきたルート沿いに降下した。色々あったが生きて取り付きに戻ってきた。


翌日は、二俣までのあの最悪な沢筋をゆっくり丁寧に慎重に下り、11時頃に新穂高温泉郷に到着。ほかの方の記録でもありましたが、帰ってきたというよりは生還したといった感じ。

壁は、人気ルートとは大違いで、連休にも関わらずだれもおらず、とてもワイルドな感じであったが静かなクライミングを楽しめました。

それよりもとにかくアプローチが悪い。アプローチ核心でした。

8月瑞牆山マルチ(アレアレア、ワイルド・アット・ホーム、夢のカリフォルニア)他

順番は前後しますが、過去のものも、随時上げていければと思ってます。
管理人がさぼらなければ。

2020年8月の12日間
河合(記)

この半年は色々なことがあった。コロナ禍でイタリア赴任が出国2日前に幻に消え、東京で住む場所が消失、補充人員として非常事態の職場内を転々、コロナ自粛でクライミングも2ヶ月以上ブランク。

自粛解除後からはリハビリ外岩。ボルトルートのショートピッチやボルダーで体が戻ってきたので、8月は瑞牆山に通った。(なお、8月現在私は都民ではないことを断っておきます。)職場より瑞牆行った回数の方が多いかも・・・?

 

8/1(1日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

11ヶ月ぶりにマルチに復帰。玉置さんと。着いて早々「濡れてる・・・」

1p目5.11c(リード:河合)
早速コーナーで濡れた足が滑ってテンション。核心のスラブ部分も、キーホールドが濡れていてテンション。でも、ムーブは濡れていても起こせることがわかった。

2p目5.10c(リード:玉置→河合)
びしょ濡れの簡単ワイド~ハンドクラック。玉置さんギブアップでリードチェンジ。濡れていてもハンドなので問題なく再登。

3p目5.11a(リード:河合)
全面びしょ濡れ。玉置さんに「行く?」と聞いたら「行ってみよう」というので、行ってみた。雑巾ムーブ多用、最後1手まで行ったところでムーブミスって落ちた。以前オンサイトしたはずなのに・・・半分以上のホールドが濡れていてチョークは意味なし。濡れていてもカチホールドはカチれることがわかった。

がっつり濡れてる・・・

 

4p目5.10d(リード:河合)
見た目乾いてそうで安心。でもジャムしたら手が黄緑色に。再登。このピッチは瑞牆にしては珍しくグレード甘目で、5.10bか、あっても5.10c位。

5p目5.11b(リード:河合)
このピッチも乾いていて嬉しい。ヌメるけど。昨年落ちたけど、今回は無事リベンジ。変化に富んだ楽しいピッチ。でも最後のスラブがちょっとボロくて怖い。

ここまで来て、もういいやとなって、太陽のテラスから懸垂2発で下降。

 

8/2(2日目)【大ヤスリ岩:夢のカリフォルニア5.10b】

前日びしょ濡れでげんなりだったので玉置さんと相談、この日は確実に乾いていそうな大ヤスリ岩、夢のカリフォルニア5.10bへ。あわよくばミステリー5.12aに繋げる作戦。

1p目5.10b(リード:河合)
初っ端から厳しいレイバックで怖い。テンションと叫びたいのをぐっと我慢して耐えると気持ちよくワイドになった。後半終了点手前の岩は浮いているので要注意。オンサイト。


ヌンチャク下の岩は浮いているので注意

2p目5.10a(リード:玉置→河合)
まずは玉置さんにトライしてもらうも、ワイド部分ギブアップでリードチェンジ。このピッチは本当に気持ちよく快適なクラックで、さくっとフラッシュ。トポに出ていた終了点が存在せず、仕方ないのでナイフピークの根本まで。

ついでにロープ伸ばしてミステリー5.12aを見に行くも、古いRCCとリングボルトしか見えず、思った以上にドスラブ、心が折れて登らず撤収。

この日の核心は下降。1p目終了点に荷物置いてきてしまったので同ルート下降せざるを得なかったけど、危惧した通りロープが激しくスタック、マイクロトラクションジャンプとかで何とかしたけど、もうげんなり。クラック横のリングボルト抜くのはまだわかるけど、トポに出ている終了点まで撤去するのは、やり過ぎじゃないかと思った。同ルート下降はお勧めできない。

 

8/8(3日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

この土日はツヨツヨの川上さんが付き合ってくれるので、前からトライしたかったアレアレア5.12bへ。今の我々にオンサイトは厳しいので、なるべくムーブを解決してトップアウトを目指すことに。

 

1p目5.11d(リード:河合)
出だしからいきなり悪くてA0してしまった。出だし以外は各駅停車だけどムーブ起こせた。カムは0.4、1、2を使用。

2p目5.7(リード:川上)
いや、5.7とか嘘でしょ!?5.10aか10bはある悪いスラブ。川上さんはオンサイト、河合もフォローでノーテン。

3p目5.7(リード:河合)
このピッチはちゃんと5.7だった。ベルジュエールと共通で、再登。カムは2使用。

4p目5.12a(リード:川上)
前半の核心ピッチだ。まずはカンテ登り、2ボルト目がとても遠くて怖い。その後も容赦ないランナウトで、川上さん各駅ながら渾身のトップアウト。メンタル耐久力ないと、このピッチで敗退もあるかも。河合はフォローで全ムーブ起こせた。核心は1級くらいありそうな垂壁ムーブで悪い。カムは0.5、0.75、1使用。

5p目5.7(リード:川上)
5.7とか嘘でしょ!?その2。短いけど悪い濡れ濡れコーナークラック。川上さんは何事もないようにオンサイトしてたけど、河合はフォローでも落ちそうになった。カムは0.75か1辺り使用、だったような。

6p目5.12b(リード:河合)
出だしにハーケンが2つあるという話だったけど、最初の1本しかない。蜘蛛の巣べったりでトライの形跡もない。3番カムで補強してスタートするも、日差しでヌメヌメ、どうしようもない。エイドに切り替えるも、カムが効かない。片刃効きカムを束ねて体引き上げて黒エイリアンを決め、そっとテンション。抜けたら多分グラウンドフォールだ。ノーズの冷や汗エイドを思い出した。その後プロテクションは問題なくなったけど、ヌメって、ただのエイドクライミングになってしまった。フォローの川上さんは出だし以外何とかなった模様。出だしはPDでもいいんじゃないかと思った。

多分快適にフォローしているように見える

7p目5.11d(リード:川上→河合→川上)
ピナクル上から次のホールドまで、遠くて足もない。どうやらランジのようだ。川上さんが飛びまくるも止まらず選手交代。10回位飛んだら1回止まりかけるも、ホッカホカのホールドに耐えられず。再び川上さんにスイッチ、A0交えてトップアウトしてもらった。ランジの後は10台のスラブと5.7位のクラックでマイルド。カムは0.75~2辺り使用。

朝8時スタートで、この時点で17時過ぎていて日が暮れそうだったので、ベルジュエールと共通の3ピッチは互いに既登だったこともあり省略、白クマのコル経由で下降。

今シーズントライした人はまだほとんどいないのかもしれない。素晴らしいルートなのに、もったいない。

8/8(4日目)【小ヤスリ岩:蒼天攀路5.12b、山灯火5.12d】
川上さんは蒼天攀路3p目5.12bをやってみたい、私は山灯火5.12d触りたいということで、小ヤスリ岩へ。蒼天攀路3p目は、最初とにかく怖いのだけど、川上さんは気合と根性で1便目からトップアウトしていた。河合は2年前に既登なので快適にフォローさせてもらったけど、後半の核心でテンションかけてしまった。

その後、山灯火5.12dにトップロープでトライ。結構ランナウトしていて、リードだと大変そう。ムーブは1便目で全部ばらせ、核心はボルダー1級くらいか。指と足の持久力がかなり必要そうだったけど、本当に気持ちいの良い素晴らしいルートだった。今度はちゃんとリードでトライしたい。

この後は再び蒼天攀路ビレイ点に下降して川上さん炎のトライのビレイ。

山灯火は、ザ・垂壁。出だしから怖い

 

8/9(5日目)【カンマンボロン:ワイルド・アット・ホーム5.11c】

この日は仕事で帰った川上さんに代わって、薄田さんに付き合ってもらった。3日目でヨレてたけど、そこは気合だ。

1p目5.11c(リード:河合)
スラブはヌメったけど、きっちりRPできた。薄田さんは出だしでテンションも、スラブ部分はノーテン。さすがっす。

核心手前トラバース中の薄田さん

 

2p目5.10a(リード:河合)
乾いていれば快適。

3p目5.11a(リード:薄田)
当初は河合のオールリード&荷上げのつもりだったけど、薄田さんがやりたいとのことでチェンジ。いつも通り濡れているフェースに四苦八苦した模様。このピッチ、乾いていることってあるの?河合はもう慣れているのでノーテン。

4p目5.10d(リード:河合)
もう3回目だし問題なし。

5p目5.11b(リード:薄田)
また薄田さんがリードしたいというのでチェンジ。3p目よりは手応えあったようだ。河合もさくっとノーテンでフォロー、と言いたかったけど、最後のスラブで足滑らせて危なかった。

6p目5.8(リード:薄田)
チムニーのピッチまでは登りたいというので、また薄田さんに行ってもらうも、慣れないワイドで大苦戦だった模様。久々の手羽ムーブ。

このピッチで面倒になったので下降。最後のピッチ登ってないけど、とりあえず個人的にはノーテン・ワンプッシュ完了。次は継続だ。下りながら見たHappiest you5.12cは面白そうだった。太陽のテラスからロープぶん投げた方向が左より過ぎて悪く、ロープがスタックして下降が大変だった。面倒でも、鎌形ハング上で1回切った方が良い気がする。

 

8/15(6日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

遅い夏休み開始。また川上さんに付き合ってもらってアレアレア。今回はフィックス使って、下から順にRPして土日で白クマのコルから抜けることが目標。

 

1p目5.11d(川上×RP、河合×××RP)
川上さんがトライするも、出だしムーブばらせず。河合がムーブ解決、すぐさま川上さんRP。河合は自分で作ったムーブをなぜか間違え、結局4便もRPにかかり出だしからつまずいた。同じくボルダームーブの砂の塔5.12aより難しく、体感5.12a。

ハングを抜けるとコーナークラック(ハーケンあるけどカムも欲しい)

 

2p目5.7(河合RP、川上フォロー)
怖いスラブを今度は河合リード。わかれば5.10a位。やはり5.7ってことはないと思う。

3p目5.7(川上再登、河合フォロー)
特になし。

4p目5.12a(河合××、川上××)
先週より日が当たってヌメり、核心ムーブが起こせなかった。ランナウトが痺れる。川上さんは最終ボルトのはるか上から吹っ飛んできた。

ここで時間切れ、取りつきまでロープ2本でフィックスして下降。

 

8/16(7日目)【十一面岩正面壁:アレアレア5.12b】

朝イチで空中ユマーリング。ヨセミテっぽいぞ。

 

4p目5.12a(河合×RP、川上×)
1便目から狙っていくも、核心ホールド保持れず。川上さん推奨の持ち方を試したら保持れるようになって、次の便でギリギリ何とかRP。シャウトでお騒がせしました。この時期、日が当たると勝負にならず、10時過ぎが本気トライのリミットだ。川上さん曰く「人生最難の5.12a」とのこと、河合の体感は易し目の5.12b。良い時期ならもうちょい簡単に感じる、といいな。

核心でぶら下がる川上さん。ムーブ悪いぞ

5p目5.7(河合RP、川上フォロー)
コーナークラックも、今日は乾いていた。でもワンポイント結構悪くて、5.9か5.10a位あると思う。6p目は既にアツアツでヌメって話にならないので、そのまま白クマのコルにロープ伸ばして脱出。後半戦は涼しくなってからかな。

時間が余ったので、午後は川上さんの蒼天攀路3p目5.12bの炎のトライのビレイ。私は指皮が終わっていて試合終了。めちゃ暑くてビレイだけでも熱中症になりそうだった。

 

8/18(8日目)【大面岩下ボルダー:青い日2段ほか】

パートナーいないのでボルダー。前から気になっていた青い日2段を触ったけど、ホールド遠い上にヌメって何もさせてもらえず。他にいくつか触ったけどあまり登れず、成果は2級1本。

青い日2段。綺麗だな

 

8/19(9日目)【金山沢ボルダー:鷲は舞い降りた初段ほか】

この日もボルダー。朝イチで、昨年登れなかった鷲は舞い降りた初段に打ち込むも、後ちょっとで左手が止まらず悔しい。その後トラマン1級、山形県エリアで阿修羅初段、ヒドラ1級などトライするもいずれもヌメりで心が折れて、ヨレヨレの中、何とか穴契約社員3級とトラツグミ3級登って終了。トラツグミ3級は面白かった。

鷲が舞い降りた初段、左手目測誤って痛恨のフォール

 

8/22(10日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12b】

雨が降りそうだったので、川上さんとカンマンボロン砂のエリアへ。7月に1便だしたEternal Wish5.12bをトライ。前回濡れていた核心ホールドは拭けば登れるレベル、3便出して核心2度抜けたけど、両トライとも最後落とされてしまった。プロテクションは間隔遠いけど、ちゃんと決まる所があり不安はない。

Eternal wish5.12b。傾斜やばくてロープがおかしな方向に垂れてる

 

8/29(11日目)【大面岩:フリーウェイ5.11c】

今週も川上さんとマルチ。1年ぶりのフリーウェイ。

 

1p目5.10d(リード:川上)
川上さん問題なく1撃。河合もフォローでノーテンだったけど、ヌメるぞ。

2p目5.11c(河合××〇、川上××フォロー)
1便目はクラック入る手前の最後の核心で落ちてしまった。その後また同じ場所で落ち、川上さんも吹っ飛びを繰り返し、大分時間食ってしまった。過去最悪にヌメって心が折れそうだったけど、何とか3便目でねじ伏せた。指が痛い。(この日のルールで、どちらか完登しないと前進できない)

 

3p目5.11b(川上×、河合FL)

今回はより充実するため、5.11b var.を選択。川上さんが難しいライン取りを解明してくれたので、気合でフラッシュ。出だしのランナウトが痺れた。ほとんど登られた形跡がないけど、泥チムニー登るよりよっぽど快適だし、充実するのでお勧め。カムは小さいのから4番まで2セットでちょっと余る位。

 

3ピッチ目var.5.11bは秀逸なライン取り。
こっちがフリーウェイの新スタンダート?
どこでトラバースするか、センスが問われる

 

ここで大雨が降ってきて敗退。残念。

 

8.30(12日目)【カンマンボロン:Eternal Wish5.12bほか】

この日は前日よりも予報が悪かったのでフリーウェイを諦めて砂のエリア。Eternal Wish5.12b1便目でキーホールドを掃除して、2便目でRP。体感5.12a/b。またシャウトでお騒がせしました。難しいジャムはないかわり、フェース力と耐久力が問われる1本。RP直後から、やはり雨が降ってきた。

川上さんも後ちょっと。その後岩の殿堂5.12cに行こうとするも、以前登った砂の塔5.12aの核心ホールドがごっそりなくなっており、以前のムーブに固執したら1便目でトップアウトできず、2便目で抜けるも時間切れ。核心は以前登った上回りだとワングレードアップ、下回りは変わらないと思うけど、またホールドが欠けるかもしれない。岩の殿堂5.12cは次回また天候不安定な時に。

川上さんEternal wish5.12b核心を抜けたところ

8月は天気が良くて、計画した山行がほとんど実現できて良かった。これからフリクションが来る季節、天気良くて色々登れるといいなぁ。

錫杖岳前衛フェース黄道光デラックス(仮)

2020年9月19日~22日
河合(記)、川上

マルチピッチクライミングには、色々な取り組み方がある。エイドorフリー。ピンクポイントorレッドポイント。オールリードorリード&フォロー。ワンプッシュorフィックス。壁のすっきりした部分で終えるor登山の原点に戻ってトップアウト。理想は、ワンプッシュかつオンサイトフリーでのトップアウトと思うけど、中々それは難しい。

今回、既に2度敗退している黄道光に、2年ぶりにチャレンジすることになった。パートナーは同じ位登れる川上さんなので、今回は以下のルールでトライ。

  • 黄道光の終了点は壁の途中で中途半端なので、北沢デラックスの最終ピッチ5.11bを経由して前衛フェース頂上へ抜ける。
  • 実質クライミングの2ピッチ目5.11a、4ピッチ目5.11c、5ピッチ目5.11c、6ピッチ目5.11bは下から順に各自RPする。進行スピードを合わせるかは、その場の具合で判断
  • フィックスロープを許容。
  • 荷上げあり。
  • 個別ピッチRP時は、クイックドローの残置は許容、カムは回収。
  • 最終的に、リード&フォローかつノーフォールで前衛フェース頂上に抜けることを目標とする。

9/19
 そんなことをまじめに行きの車内で話し合っていたら、うっかり伊那ICまで行ってしまったぜ。当初予定では前日夜行のつもりだったけど、前日は雨。以前の経験からびしょ濡れサンシャインクラックが予想されたので、ゆっくり昼間運転で16:30槍見温泉着、17:50錫杖沢出合のテン場着。

 

9/20
確か7時過ぎから登り始めたはず。

1ピッチ目(Ⅲ級)リード:川上
川上さん「ロープ要りますか?(いらねーだろ)」河「朝イチなんでお願いします」当然のように川上さんはノープロで登って行った。

2ピッチ目(5.11a)リード:河合(×)→川上RP→河合RP→川上フォロー
朝イチからハングは辛い。下部のコーナー核心をパンプしながら抜けるも、上部でライン取りをミスってボルトが消失、魂のクライムダウンで最後力尽きて落ちてしまった。川上さんは一発でクリア。北沢デラックスへ向かうKさんAさんパーティを見送り、河合も再トライ。指が冷えまくって感覚無くなるも、何とかRP。4年前にトライしたはずなのに、最初からこれはまずいなぁ。体感5.11b。しかも、冷え切った指で、6年連れ添ったマイクロトラクションを落としてしまい、がっくし。荷上げはムンターで何とかした。なお、川上さんは全く指冷え問題なかったとのこと。これが二子山クライマーと城ケ崎クライマーの耐寒性の差か。


(先にさくさくと登っていくK
さん)

 

3ピッチ目(Ⅱ級)リード:河合
KさんAさんパーティが上に抜けるのをじっくり鑑賞してから、行動開始。北沢デラックス、めちゃかっこいい。このピッチはただの草付トラバース。ホールドはガバ(灌木と笹)。

 

4ピッチ目(5.11c)リード:川上(×、×)→河合RP→川上RP
核心かつハイライトのサンシャインクラックを擁する55mのロングピッチだ。河合は2年前に1度トライしていたので、川上さんがオンサイトトライ。しかし、残念ながら出だしのハング越えではまってしまい早々にテンション。余程悔しかったらしく、すぐにロープ引き抜いてリトライするも、第2ハング越えと、クラック後のフェースでテンションが入っていた。やはり、厳しいようだ。

河合は2年前にびちゃびちゃのクラックに耐えるも第2ハング越えまでは繋がっていた、はずなのだが全くムーブ記憶にない。とりあえず出だしからランジになったぞ、おかしいな。今度は湿気ているクラックをだましだまし登ると、鬼門の第2ボルトセクションに来ていた。「ここまで来たら(もう1回やりたくないから)落ちられねーな。」慎重に一番確実そうなムーブを選んで抜けた。今回はガバから蛙が飛び出すこともなく、40m地点のテラスへ。後半のライン取りも悩み、少し行っては探りを繰り返し、以前登った時のライン取りと違うような気もするけど、何とか一発で登ることができた。ムーブは核心でもイレブン前半、休めるところも結構あった。でも、55mのスケールは肉体的にも精神的にも体力が必要で、体感5.11c/d。

こうなると川上さんにプレッシャーがかかる。緊張した面持ちの川上さんは、それでもきっちり次の便でRP。さすが決められる男は違うな。物静かな彼には珍しく、ロアーダウンしながらガッツポーズしていた。

(川上さん珍しくガッツポーズ!下降はフィックスしてグリグリ)

今日はここまでで時間切れ。4ピッチ目終了点と、2ピッチ目終了点にそれぞれ60mロープをフィックスして撤収。(2ピッチ目終了点にはロープ出して戻った。)

 

9/21
 この日も7時20分にスタートしようとするも、左方カンテと共通の1ピッチ目は混雑。ユマーリングなので~と途中で入れてもらえて(無理やり入って?)感謝。朝から空中ユマーリング、3ピッチ目だけまたロープ出して、8時40分に5ピッチ目開始。

(これ全部ユマーリングとか憂鬱)

 

5ピッチ目(5.11c)リード:河合FL→川上FL→河合フォロー
このピッチは以前ビレイとユマーリングしたことがあるので、オンサイトトライではなかった。けれど、やっぱしムーブわからないぞ。行っては戻りをまた繰り返して前半の悪い核心を抜け、クラックに入った。カムをヌンチャクで延長するの忘れて、ロープの流れが悪くて重いけど、クラックに入ってしまえばこっちのもの。フィンガーロックをきめてランナウトさせて突っ込んだら、5.11b/cセクションが終わっていた。後半の5.11aセクションは、最後油断ならなかったけど根性決めてムーブ起こしてFL。上部はちょっと脆くて注意が必要。

また川上さんにプレッシャーかけてしまった。何か悪いなぁ。しかしそこは川上さん、また彼にしては珍しくムーブやレストポイントを尋ねられたけど、テンポよく、ビレイヤーの見た目ではあっさりとFL。このピッチは、ワンプッシュトライ時は私の担当かなと思ったので、フォローでもう一回登っておいた。ザック背負ってもノーテンで行けた。わかってしまえば、このピッチもイレブン前半のムーブだ。が、しかし、40mの長さはやはりしんどく、体感5.11c。

6ピッチ目(5.11b)リード:川上OS→河合FL
黄道光の終了点はハンギングビレイで、一応両手離して立てるけど、ちょっと中途半端だ。上には気持ち良さそうなフェースがボルト3つ分続いていて、北沢デラックスの最終ピッチとなっている。「これは登るのが自然だよね。」と川上さんと意見が一致、さあ、もうひと踏ん張り。

川上さんはあっさりとOSして一言「5.11bもないっすよ」。河合はかなり必死にFL。ムーブは悪いけど、今までの長いピッチに比べればかなり気楽だ。体感5.11a/b。

終了点は明らかなテラスがあったけど、残置ハーケン3つとボロいスリング。(後でこの6m上にハンガーボルト残置ビナ付きを発見)仕方ないので捨て縄で補強してカラビナ残置して(後で自分達の追加した分は撤去したのでありません)ロアーダウン。

個別RP完了ということで、15時位にさっさと取付に戻って、翌日のワンプッシュに向けて英気を養った。この日、黄道光は我々以外にワンパーティトライしていた。前来た時はチョーク跡さえなかったのに、良い時期は、人気だな~

9/22
 さあ、勝負のワンプッシュだ。また7時過ぎにスタートしようとしたら、後続パーティも黄道光とのこと。オンサイトトライの邪魔するのも悪いし、我々が全部一発で行ける保証もないので、先に行ってもらうことにして、7時20分スタート。

1ピッチ目(Ⅲ級 30m)リード:川上
先行パーティが左方カンテ1ピッチ目終了点まで行き過ぎたので、やはり先に行かせてもらうことにした。例によってノープロ川上さん。

2ピッチ目(5.11a 30m)リード:河合
さすがに3回目じゃ落ちられない。出だし勢いよく2ボルト目にクリップしようとしたら、クリップしていた1ボルト目のヌンチャクからロープが外れた。こういうことってあるんだな~。力入ったけど、問題なくクリア。体はちょっと固い、指は昨日から血だらけだけど、動いている。もう3日目だし、やっと錫杖の岩に体が馴染んできた感じだ。でもバックロープもシングルなんで地味に重い。川上さんもノーテンフォロー。

3ピッチ目(Ⅱ級 20m)リード:川上
お散歩(草)。

4ピッチ目(5.11c 55m)リード:川上
呼吸を整えて、いざスタート。と、思ったら、Zクリップじゃね~か!!川上さん魂のアンクリップ。彼には出だしが鬼門らしい。その後立て直して、本人曰く「かなりやばかった」けど無事ノーテンで抜けていた。流石だ。こんな気合入ったクライミング見せられたら、フォローで落ちるわけにはいかないので、ノーテンでフォローした。

5ピッチ目(5.11c 40m)リード:河合
55mフォローしてから40mをすぐリードできる体力はなく、20分位休んでスタート。3度目でムーブに悩むことはない、と思いきや、下部核心でまごついてしまった。でもカラーランプが点灯するほどではなかった。最後の核心では疲れていて、思わず声が出たけど、確実に再登。途中のヌンチャクに余ったカム残置したりしたけど・・・川上さんは「きついっす」とか言いながら、めっちゃ笑顔でノーテンフォロー。この時点で黄道光完登!

(まだ本気の川上さん)

(5.11b/cパートを終え、めっちゃ笑顔の川上さん)

 

6ピッチ目(5.11b 15m)リード:川上
まだまだ旅は終わらない。このピッチは川上さん爽やかに再登。河合は、うっかり荷上げ荷物に入れるの忘れてしまったカムとヌンチャクのせいで、どっさり加重クライミング。足切れたりするも、短いのでパワーでねじ伏せノーテンフォロー。ちょっと落ちそうだった。

7ピッチ目(Ⅴ級位15m)リード:川上
ここからは、前衛フェース頂上に行ったことがあるという川上さんに任せた。テラスから直上したところ、わかりにくい位置にボルトと残置を発見、その後10m位左上気味に登ったところの灌木にあった残置でピッチを切っていた。

8ピッチ目(Ⅳ+級位25m)リード:川上
フェースの境界線に沿ってさらにカムをきめつつ左上。先ほどまでの爽やかなフェースはどこへやら、抜けそうな灌木掴んだり、ジャルパインテイストだ。最後はヤブに突入したら、ちゃんと左方カンテの最終ピッチ出だしの終了点に出ていた。

9ピッチ目(Ⅲ級40m)リード:河合
最後は歩きと、ほんの少しのクライミングで、気持ちよい笹原の前衛フェース頂上に出た。13時50分、リード&フォロー、ノーフォール、ワンプッシュで黄道光デラックス(仮)9ピッチ、完了!

(@前衛フェース頂上)

下降は注文の多い料理店側に降りた。左方カンテ終了点各所の懸垂下降支点に残置カラビナが1枚しかなく、しかも左方カンテ組が皆平気で残置カラビナ1枚で懸垂下降していることに愕然。仕方ないので1枚ずつカラビナを足して降りたところ、3枚も消費。持っていかないでね。さらに先行パーティが懸垂3ピッチ目で見事にチムニーにロープスタック、ヘルプを頼まれ、注文の水平テラスに降りる予定が、我々まで大テラスに降りることになってしまった。我々のロープはチムニースタックを小技で回避、やれやれだぜ、と思ったら次のピッチで落石してしまった。すんません。

何はともあれ、無事に降りてきて、翌日の予報がいまいち、かつ登攀欲を上回る温泉欲と食欲(主に河合)に突き動かされ、最終日の予定を変更して早々に下山した。誰だろなぁ、最後は深夜特急で締めるとかいう活きのいい計画書作ってた奴は。

そんなこんなで、黄道光デラックス(仮)を、今の我々にできうる多分最良のスタイルで完登できました。条件、パートナーに恵まれ、素晴らしいルートを、疲れてもなお次から次へ出てくる核心、落ちられないプレッシャーなど諸々含めて堪能できたのが良かった。

いつか状況が許すようになったら、こんなクライミングを、ヨセミテのあの例の世界一☆の多いと呼ばれるルートで、オンサイトでやってみたい。そのためにはまだ力が足りない。がんばろー。

足尾ウメコバ沢中央岩稜「チコちゃんルート」

2020年2月2日
薄田(記)、野澤

リベンジ(に成ってない)に行って来ました。
昨年、川上君と行って途中敗退しているのでリベンジ&トレーニングで行ってきました。
埼玉を前夜発して某所を4:00に出発。銅親水公園よりスタート。1.5時間で出合着。途中昨年の台風の影響か道が寸断されており少し迷う。
又、何人かの出発前のグループとテント場で情報交換。(後でルート上にて、4P終了点で会話してG登攀クラブさんと判明。お名前を伺ったが忘れてしまい失礼。)
雪が無いのは想像していたがアプローチはカラカラ、ロングスパッツまで付けていたので出合に着く頃には大汗をかいていた。
取り付き迄約40分。取り付きにも雪は皆無アイゼン装着を迷ったがトレーニングの意味も含めて装着した。
7:00野澤リードでスタート。
1P(Ⅳ、35m)スラブ右手のコーナークラックからのスタート。昨年は雪がフットフォールドを隠していたノで怖かったが今回は足置きが遙かに楽で助かった。
コーナークラックに手ジャムとスラブにアイゼンをきしませ立ち木を回り込み大きめなピナクル状を左から回り込み右上。程なく稜上の終了点到着。
ここは岩にカムでセルフビレー。2P(Ⅲ)薄田、多少雪の着いた岩稜を30m。

2P目終了点より

3P(Ⅳ、35m)野澤。昨年の肝心なクラック4m程度(キャメロット4番残置)は回り込んで回避。4P(Ⅲ)薄田、昨年の4P目より更に上に上がり終了。ここのビレーポイントはハーケン2本の残置有り。

5P(Ⅴ、30m)野澤、本日の核心ピッチ。見てのとおり雪が皆無なのでアイゼン外せば楽勝だがトレーニングなので外さない。
10m位登ると垂壁(3m程度)となり残置ハーケンが2本見える。
野澤君最初のハーケンにヌンチャクかけカムで補強後テムレスグローブ着けっぱなしでフリーにて果敢に突破。[気合いの]声が響いた。
フォロー、薄田はおんぼろアックス2本でドライ登り。残置ハーケンA0含め3手程度でクリア。

5P目核心

後は終了点までスタカットで3P程度。写真の枯れた大木を登り切ったところが終了点となる。

最終ピッチ

最後、野澤君がピッチ切った後、稜上を薄田1P延ばすが完全に行き過ぎ。誰かの敗退φ7mmシュリンゲがピナクルに掛かっていた。
下降は終了点から1Pフィックス頼りにクライムダウン。

フィックス支点

その後フィックスダブルロープ30mの懸垂でガレ場を歩いて本流まで。この段階で15:00位。
雪の有無がルートを変えてしまう。今回はリベンジに成りませんでした(気温が高く素手でも行けた位)。
次回は違うルートを雪のある時に挑戦したいものです。

海金剛スーパーレイン

2020年1月4日(土)
薄田、山崎(記)

今回の主な登攀装備:
50mダブルロープ×2、ドラゴンカム№00~5×2セット(=キャメ#01~4)(5も持って行ったが無くてもよかった)、ナッツ(使わなかった)。Aヌンチャク8本。スリング180cm、確保器 他

1月4日(土)
晴れ、弱風
雲見オートキャンプ場駐車場発 7時45分頃。
岩場までのアプローチは、車で登って来た坂道を少し戻った電柱のある個所(写真1)を入っていきます。一段上がると平坦地に出るので、さらに向かって左側を一段登り、奥へと続く踏み跡に従って進んでいきます。所々赤や青のテープがあり、踏み跡も明瞭。途中笹やらガレ場などがあり歩き難いところもあります。木の表面にトゲトゲのついた謎の南国の樹木?を、知らずにガバっと握ってとても痛い思いをしました。要注意です。

(写真1)岩場へのアプローチ取りつき付近

踏み跡は少しずつ海の方に高度を落としていき、40分くらい歩くと断崖の上に出ます。そこには懸垂支点とフィックスロープがあり、それを使っても降りられますが、脆い崖のためロープを出して懸垂で降りました。海辺なので支点は要チェックです。

懸垂した崖

懸垂で海辺に降りたら、左を見るとスーパートリトンなどがある左岸壁、正面には尾根状(中央稜)が見え、それに上がり、壁に向かって右の方へと続く踏み跡に従い歩いていくとスーパーレインの取り付きに到着する。スリングが巻き付けてある木が目印となる。ここまでゆっくり歩いて大体1時間くらいか。取り付きには、1パーティーおり、今にもスタートするところでした。取り付きで、しばし休憩。

尾根状に上がったところ。海金剛全景。スーパーレイン取り付きは右奥の方
スーパーレイン取り付き

3P目 薄田 10a 30mくらいか
ここからがスーパーレインの核心部。10aピッチが続く。ここで先行パーティーに先を譲っていただくことに。ありがとうございました。さて、出だしは5.7のフィンガークラックから。ジャミングの効きは悪くない。登って行くと左に小木が現れ、その上あたりからこんどは右上していく狭いクラック沿いに小さいカムをきめ、バランスに注意しながら進み、最後に直上するクラックをのぼれば、ハンガーボルト2個の終了点へ。このあたりから視界が開け、大変気持ちがいい。前を見ればこれから登る正面壁、後ろを見れば駿河湾がドーンと眼下に。

3P目取り付き

4P目 山崎 10a 30mくらいか
スーパーレインルートの核心ピッチ。出だしはゆるやかなフェース。そのうち右上していくクラック沿いに進む。最初は足もあり、クラックに緑だか紫だかのカムをきめ、ジャミングをおくりながら進むが、そのうち右側フェース面のフットホールドがなくなるので、右足スメアー気味に、左足はクラックに足を突っ込みながら、手を送り丁寧に高度を上げれば、そのうちいいホールドが出てくる。次に直上する5.8OWで、下はハンドがよく効くが、上に行くにつれだんだんクラック幅が広くなる。最後に青をセットしたら、あとはレイバック気味に一気に突破し、ハンガーボルト2個の終了点へ。左を見ると遠くに富士山、手前に下降用のハンガーボルト2個に残置ビナが見える。

4P目
4P目終了点から

5P目 薄田 10a 40mくらいか
「先人クラック」と言われているところ。最初は階段状のフェースをクラック沿いにハング下まで進み、ハング部でしっかりカムをセットしたらハングを乗り越す。ここはジャミングがよく効き、ハングの上にもホールドがあり、被っているとはいえ足も棚状にあるので、それほど困難ではない。体が硬いとハングを乗り越すときの足上げがきついかな。ほどなくしてハンガーボルト2個の終了点に到着。そこは大岩がガレガレしている広いテラス。ここで少し休憩。遠くに富士山も見え、最高に眺めがよく気持ちがいい。

5P目、先人クラック
大テラスにて

6P目 山崎 5.8 40mくらいか
トポでは5.8になっているが、それ以上に感じたピッチ。出だしからよろしくなく、赤だったかカムをセットして体を上げるが、右側に手足がなく、右の上の方のちょっとしたホールドを手掛かりに足を上げる。一段上がると頭をハングに押さえつけられる。ハング下にカムをセットして、ハングを左から出ていくようにバランスに気を付けながら上がっていく。ちなみにハング右側に出ていくルートもある。ハング部を左回りで突破し、フェースを上がると、ボルト2個の終了点があったが、ロープがまだ半分あったので、次のピッチ直前までロープを伸ばし、ピナクルに長いスリングを巻き付けてビレイ点とした。
7P目 薄田 5.8 20mくらいか
最終ピッチの出だしは、短い幅広のクラックから。左面は手足なし。右手ハンド、右足足ジャムで、青、黄で固めて右、左、右の3手で上のガバホールドを取れば終わり。体を引き上げるのにパワーが必要。あとはフェースを登るだけだが、そんなに簡単ではない。途中に錆びたハーケンが1つあった。海辺の金属物なのでサビサビで信頼性は疑問。ほどなくして到着した終了点は、スリングの巻き付いたハンガーボルト2個。到着時間は大体13時頃だったろうか。2人ともノーテンで無事終了した。眺めは最高。

最終ピッチの出だし

終了点からの眺めはとても素晴らしくポカポカ暖かいので、お茶でも飲みながらいつまでも居たいところだが、風が出てきたのでサッサと同ルート下降の懸垂に移る。
懸垂は全部で5回でした。岩や枝への結び目引っ掛かりに注意しながら慎重に降りる。50mロープなら4回でも降りられそうだが、風が出てきたので、引っ掛かりを警戒して5回で降りた。
取り付きには、大体13時40分頃。片付けをして14時には取り付きを後にした。行きに懸垂した断崖は、フィックスロープを頼りに慎重に登り返す。無事駐車場に着き、キャンプ場の管理人さんに下山報告して今年最初のクライミングを終了しました。