1999年10月23日~24日
関太郎、畠中進二(記)
「ダメ男2人旅」
稜線をひたすら歩きたいと考えていた関さんと畠中の2人で南アルプスに行ってきた。
予定としては、北沢峠~仙丈岳~仙塩尾根~三峰岳~間の岳~北岳~広河原である。
テーマは「紅葉とおでんと酒」である。
いかにしておいしく酒を飲むかがこの山行の全てである。
果たしてどうなるか。
10月23日
快晴
深夜4時に八王子を出発し、空が白み始めた頃甲府に着いた。
コンビニに寄ろうと車を出ると、目の前に北岳が。
かっこいい。
あれ、でもちょっと待てよ。
何か白いな。
何だあれは。
雪だ。
もう雪がある。
「関さーん。雪がありますよ。やばいですよ。」
「うろたえるな畠中。とりあえず、手が取れちゃうといけないから軍手買おう。」
というわけで、慌てて軍手を買った。
それにしても南アルプスは山深い。
麓の町から広河原まで30km。
さらに北沢峠までは10kmある。
昔、南アルプスを目指した登山者はきっとロマンチストであったことだろう。
いつの日か天国で一緒にお酒でも飲みたいものである。
結局広河原には7時すぎに着き、9時の一番バスまで仮眠した。
そして、1時間ぐらい経って、そろそろ起きようかなと思っていると、「フフッ。フフフ。」という笑い声が聞こえた。
関さんがもう起きているのかなと思い見てみると、ニヤニヤ顔でまだ寝ていた。
寝言だった様だ。
恐かった。
そういう私も、小林幸子のコンサートに行く夢を見た。
さて、9時発のバスに揺られ9時30分に北沢峠着。
10時に歩き出す。
天気は快晴で外気は良く冷えている。
何日前に降ったのかは分からないが、雪が所々にあり、日影ではガリガリに凍っている。
12時に小仙丈岳着。
そこは素晴らしい展望で南ア、中アは勿論のこと北アまで見えた。
そして、驚いたことに南アルプスの2500mから上は結構雪があった。
これから行く仙塩尾根は、三峰岳直下が真っ白でガチガチに凍っているようだった。
コンビニで慌てて軍手を買った2人は、雪があることなど思ってもみなかったので軽装で来ていた。
関さんなんてボロボロの運動靴である。
「三峰岳への登りにはきっと関さんの靴はもたない。一気に谷に滑り落ちるだろう。これは無理だ。せめて関さんにあと2つぐらい命があれば…」
と私は一人で悔しがった。
というわけで計画を断念せざるを得なかった2人は完全に気が抜けてしまい、銀マットを広げねっころがり、2人のこれからについて話し合った。
そして、このまま仙丈をピストンし北沢峠に泊って、明日は甲斐駒を登ろうということに決まった。
それならのんびりと休憩してから出発しようということになり、お昼ご飯を食べようとザックをいじっていると、畠中のザックから玉手箱が出てきた。
その玉手箱を開けてみると、なんとビールが入っていた。
典型的日本人である2人は気付くと乾杯をしていた。
習慣とは恐ろしい。
後は皆様の御想像どおりに宴へ。
日本酒にも手を付け、いつのまにかBAR小仙丈へと早変わり。
前日からの疲れからかすぐに酔いつぶれた関さんを起こそうと、股間に石をのせたが全く起きる気配がなかったので、そのまま石を積んでケルンを作ったりしていたら夜も更けていった。
10月24日
快晴
仙丈岳をピストンし、一目散に下山し北沢峠発の一番バスに乗って早々と帰った。
結局何だったのだろうという思いはあったが、目的は達成できたので良しとした。
また行きましょうね、関さん。