2006年10月21日
森広(記)
土合駅に泊まって、明るくなってから駅舎を出る。
夜に雨が降ったようだ。
湯檜曽川に沿った道を一ノ倉沢出合まで歩き、沢靴に替えて湯檜曽川を渡ってゼニイレ沢に入る。
出合から二俣まではただガラガラしているだけだ。
少し登ったところにカメラを構えたおじさんがいた。
背後に一ノ倉沢を眺めながら登るはずだが、あいにく霧が低く下りていて、一ノ倉沢は全く見えない。
側壁は泥流堆積物のようで、これが多量の礫を出し続けているのだろう。
この壁は二俣の少し上まで続く。
二俣から川床は長い長いナメになる。
どこからが滝で、どこまでがナメなのか、区別がつかない。
傾斜は微妙に変わり、所々礫の堆積をはさんで、延々とナメが続く。
水は冷たいが、岩の表面を濡らす程度なので、気にならない。
空気もかなり冷たい。
周囲の草や低木が、赤や黄色に染まっていて、日が当たればもっときれいだろう。
スラブが一時狭くなって、再び開けると三俣、ここから藪の中の溝のようになり、正面には岩壁が近づいてくる。
真ん中の溝を登って、ブッシュをこいで一旦小尾根に出て、少し登ると白毛門の登山道に出る。
少し下ったところに展望のいいところがあり、一ノ倉沢が本谷バンドあたりまで見えている。
午後になっていくらか晴れ間も見えてきたとはいえ、稜線はずっと霧の中だ。
紅葉も遠くはかすんで見えない。
ブナだけが既に落葉しているのが目立った。
無人の土合駅には何もないが、電話もなくなってしまっていた。