2000年4月2日
関(記)
今回目指すのは赤岳東稜の予定だった。
このルートは2月に夜間登攀による日帰りでのトライをしたが、あまりの眠気とはかどらないラッセルを理由に取付き手前で敗退している。
2月の日帰りは無謀だった。
4時半に出発して1時間ほどたつと周囲も明るくなり始め、東壁の全容が明らかになってきた。
なるほど東稜はナイフリッジとなって真教寺尾根へつきあげている。
おもしろそうだ。
けど、東稜は2月でも登れる、というか2月頃の方が充実するだろう。
雪の充分にしまったこの状況では、興味はルンゼの最奥から赤岳に直接つきあげるリッジに移ってしまう。
トポをみるとちゃんと「Aルンゼ中央稜」
と命名されてルートになっている。
「よーしあれにしよう!」
勝手にルート変更しちゃいました。
東稜取付きの大門沢二俣を過ぎると傾斜が強まっていく。
アイゼンを装着しダブルシャフトでぐんぐん高度をかせぐ。
日も差し始めいくつか雪片も落ちてくるようになる。
しばらくすると極端に多くの雪片が落ちてきて「まさか、この雪質で雪崩はねぇーよな」
と思いつつもピッケルバンドとザックベルトをはずして上部をキョロキョロすると、親子連れの獣がAルンゼ中央稜の取付付近をトラバースしていた。
カモシカ?それとも・・・クマ?どっちかよくわからなかったが、顔がやたらでかく見えたのでクマかもしれない。
彼らは中央稜取付きから東壁左岩稜へとトラバースしていたので、私は左から大きく迂回してAルンゼ中央稜にとりついた。
ここから先は傾斜が最も強く雪壁となっている。
アックスを小気味よく利かせて一気に登りきるとひょこり頂上付近にとびでた。
下降は真教寺尾根から大門沢左俣をへてスキー場へ戻った。
とりたてる程のルートではありませんが、日帰りで登れて昼前に下山できるところが魅力と言えるでしょう。
なんてったって2時に帰宅できたのですから。
おかげで当日に記録をまとめることができました。
4:30八ヶ岳スキー場出発 8:40赤岳頂上 10:40スキー場下山