谷川岳 一ノ倉沢 4ルンゼ

2000年3月23日
小谷(記)

立体駐車場1:05発。

センターに計画書を出しラッセルに励む。

雪は踝から脛で、所々膝上になったりトレースが出てきたりと相変わらずだが、積雪量は多い。

2:50一ノ倉沢出合い着。

し~んと静まりかえり、下弦の月があたりを照らす。

快晴無風、-5℃。

装備を付け、ここ数か月間溜め込んだものを一気に吐き出すように歩き始めた(3:15)。

衝立前沢からのデブリが歩き難いが、ここ以外デブリらしいデブリが無い。

雪は踝くらいまでもぐる。

月が沈み、ヘッデンをつける。

5時滝沢下部氷瀑近くに着く。

明るくなってきてしまった。

下方に2人パーティが登ってくる。

ヘッデンを外し、用足しをして出発するも本谷バンドのクレバスが大きく越えられない。

狭くなった所を右へ右へと探すがうまいところが無く南陵近くまで行くと、ヒドンクレパスが突然出てきて危うく落ちそうになる。

少し戻り、下がしっかりしていそうなところを勝負で乗越す。恐かった(5:25)。

後はひたすら雪壁を登るのみ。

2ルンゼを過ぎ、3ルンゼの氷瀑が綺麗だ。

滝沢スラブが真横から見える。

後続パーティは3スラに張り付いている。

3スラのF1近くには氷がびっしり張っている。

周りに見とれながら、4ルンゼの最狭部F4を7時過ぎに通過。

F4と言っても単なる雪面が続いているだけで、ダガーポジションでぐいぐい登れる。

これがやりたかった。

上部カール地帯に入るとあたりは開け、カチカチに凍った雪壁が延々と続いている。

アイゼンの前爪しか入らない雪面にダガーポジションでの登高は疲れる。踏み外すと一気に下まで飛んでいきそうだ。

早く右の尾根に乗りたいが、尾根上も岩が出ていて面倒そうなので、慎重に蹴り込んでは
疲れるとがに股に足を置き最後の詰めまで雪面を登る。

8:05頂上直下の一ノ倉尾根に抜けた。

雪煙を舞上げた風が心地よい。

疲れたのか、緊張が解けないのか、鼓動が収まらない。

快晴で遠くまで雪山が続いている。稜線上は風が強いが、厳冬の寒さは無く歩きやすい。

トマの耳手前でヘリコプターが頭上を何回も旋回してくる。何か連絡した方がいいのかと思いあわててトランシーバーを出すが、出したとたんに行ってしまった。

巻き上がる雪煙で西黒尾根の下降点に迷うが降りてしまえば難なく歩けた。

一ノ倉岳8:30発、肩の小屋9:38、登山センター11:10着。

4ルンゼは特に難しい箇所もなく、一ノ倉沢のど真ん中を一ノ倉岳頂上直下まで一気に上り詰められる気分の良いルートだった。

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